JP5391354B1 - 下肢運動機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】車いすに対して容易に着脱でき、構造が簡単で製造コストが安く、かつ、利用者の下肢を全体に亘って運動させることが可能な下肢運動機構を提供する。
【解決手段】車いす100の後輪101と一体として回動可能に後輪101に固定される回動板2と、回動板2に設置される保持手段5と、保持手段5によって傾動不能に保持されるガイド部材6と、前輪102の近傍において車体フレーム103に設置される回動支持部材7と、回動支持部材7によって傾動自在に支持されて前輪102の前方へ前端3aが突出するように車体フレーム103の側方に配置されるシャフト3と、利用者の足を載置可能に前端3aに傾動自在に連結されるペダル4と、を備え、シャフト3の後端3bは、ガイド部材6の長手方向へスライド自在に、かつ、回動自在にガイド部材6によって保持される。
【選択図】図1
【解決手段】車いす100の後輪101と一体として回動可能に後輪101に固定される回動板2と、回動板2に設置される保持手段5と、保持手段5によって傾動不能に保持されるガイド部材6と、前輪102の近傍において車体フレーム103に設置される回動支持部材7と、回動支持部材7によって傾動自在に支持されて前輪102の前方へ前端3aが突出するように車体フレーム103の側方に配置されるシャフト3と、利用者の足を載置可能に前端3aに傾動自在に連結されるペダル4と、を備え、シャフト3の後端3bは、ガイド部材6の長手方向へスライド自在に、かつ、回動自在にガイド部材6によって保持される。
【選択図】図1
Description
本発明は、車いすに取り付けられる下肢運動機構に係り、特に、利用者の足が載置されたペダルを後輪に連動して上下動させることにより利用者にリハビリ運動をさせることが可能な下肢運動機構に関する。
従来、怪我や病気によって長期入院をすると、下肢の筋肉や関節を使用しないために歩行が困難となり、移動の際に車いすを必要とする場合があった。また、歩行の回復に長期間を要し、日中の大部分を車いすを利用して過ごす場合もあった。
しかし、従来の車いすは、利用者の足先を載置するフットサポートが車いすを構成する車体フレームに対し移動不能に固定されているため、車いすの使用時に下肢を大きく動かすことができない。そのため、車いすの利用が長期になるにつれて、歩行機能の低下が進み、回復に時間がかかるという課題があった。
そこで、このような課題を解決する目的で、近年、利用者の下肢を運動させることが可能な機構を備えた車いすが開発されており、それに関して既にいくつかの発明が開示されている。
しかし、従来の車いすは、利用者の足先を載置するフットサポートが車いすを構成する車体フレームに対し移動不能に固定されているため、車いすの使用時に下肢を大きく動かすことができない。そのため、車いすの利用が長期になるにつれて、歩行機能の低下が進み、回復に時間がかかるという課題があった。
そこで、このような課題を解決する目的で、近年、利用者の下肢を運動させることが可能な機構を備えた車いすが開発されており、それに関して既にいくつかの発明が開示されている。
特許文献1には「車椅子」という名称で、脚部を運動させることでその機能低下を防止し、又はその機能を短期間で回復させることが可能な車椅子に関する発明が開示されている。
以下、特許文献1に開示された発明について説明する。特許文献1に開示された発明は、車体の走行に伴って回転する回転部材と、この回転部材の動力を入力として、シートに座った乗員の脚部を強制的に動かして運動させる運動機能部とを備え、この運動機能部は、車体の前後方向へ往復直線運動可能な脚受け部を有し、回転部材と脚受け部との間にクランク機構が介在していることを特徴とする。
このような特徴を備えた車椅子においては、車体の走行に伴って回転部材が回転し、この回転運動がクランク機構によって水平方向への往復運動に変換される。よって、脚受け部も同方向へ往復直線運動し、脚受け部に乗せた脚部が前後に強制的に動かされるという作用を有する。したがって、車椅子の生活を長期間継続した場合でも、足の機能低下を防止することができる。また、リハビリテーションを開始した際の患者の労力負担を軽減することができるとともに、脚部の機能回復を早めることができる。
以下、特許文献1に開示された発明について説明する。特許文献1に開示された発明は、車体の走行に伴って回転する回転部材と、この回転部材の動力を入力として、シートに座った乗員の脚部を強制的に動かして運動させる運動機能部とを備え、この運動機能部は、車体の前後方向へ往復直線運動可能な脚受け部を有し、回転部材と脚受け部との間にクランク機構が介在していることを特徴とする。
このような特徴を備えた車椅子においては、車体の走行に伴って回転部材が回転し、この回転運動がクランク機構によって水平方向への往復運動に変換される。よって、脚受け部も同方向へ往復直線運動し、脚受け部に乗せた脚部が前後に強制的に動かされるという作用を有する。したがって、車椅子の生活を長期間継続した場合でも、足の機能低下を防止することができる。また、リハビリテーションを開始した際の患者の労力負担を軽減することができるとともに、脚部の機能回復を早めることができる。
次に、特許文献2には「下肢運動機構付き車椅子」という名称で、足関節の底背屈運動を行うことで、下肢の血流促進を図ることができる下肢運動機構付き車椅子に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、両足が乗載可能な両足乗載手段を有し、この両足乗載手段の両端部を座部前方下部にて回動自在で且つ着脱自在に軸支すると共に、両足乗載手段の両端部の少なくとも一の端部を回動自在で着脱自在に保持する収納手段を座部の前方下部手前に備え、一の主車輪の回転を往復運動に変換するクランク機構を備え、このクランク機構により上記一の主車輪が回転すると両足乗載手段の後端部が上下動することを特徴とする。
このような特徴を有する下肢運動機構付き車椅子においては、両足乗載手段に乗載させた下肢はつま先方向を支点として踵部が上下に往復運動し、足関節が底背屈運動するという作用を有する。したがって、下肢ふくらはぎ部分の筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことで下肢筋により血液が効果的に送り出され、下肢静脈瘤等の予防軽減を図ることができる。
特許文献2に開示された発明は、両足が乗載可能な両足乗載手段を有し、この両足乗載手段の両端部を座部前方下部にて回動自在で且つ着脱自在に軸支すると共に、両足乗載手段の両端部の少なくとも一の端部を回動自在で着脱自在に保持する収納手段を座部の前方下部手前に備え、一の主車輪の回転を往復運動に変換するクランク機構を備え、このクランク機構により上記一の主車輪が回転すると両足乗載手段の後端部が上下動することを特徴とする。
このような特徴を有する下肢運動機構付き車椅子においては、両足乗載手段に乗載させた下肢はつま先方向を支点として踵部が上下に往復運動し、足関節が底背屈運動するという作用を有する。したがって、下肢ふくらはぎ部分の筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことで下肢筋により血液が効果的に送り出され、下肢静脈瘤等の予防軽減を図ることができる。
さらに、特許文献3には「リハビリ用車椅子」という名称で、脚部の運動範囲の調節が可能なリハビリ用車椅子に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、車椅子の前部の車体フレームに設けた左右のペダル軸受と、そのペダル軸受に両端を軸承させた互い違いの両ペダルを有するペダル回転軸と、ペダル回転軸に設けた傘歯車と車椅子の駆動車輪の車輪軸に設けた傘歯車と、ペダル回転軸と車輪軸の両傘歯車に連結させた駆動シャフトとから成り、車椅子を押して駆動車輪を回転させることにより足を載せたペダルを回転させ、脚のリハビリ運動ができるようにしたことを特徴とする。
このような特徴を有するリハビリ用車椅子においては、自らが手で回転させるか又は他人が車椅子を押すことで足を載せたペダルが回転し、強制的に脚が動かされるという作用を有する。また、回転径調節機構により、両ペダルの長さが各々伸縮調節されるので、障害の程度に応じて運動の範囲が自由に調節される。したがって、脚の運動機能を障害の程度に応じて引き出すことができるという効果を有する。
特許文献3に開示された発明は、車椅子の前部の車体フレームに設けた左右のペダル軸受と、そのペダル軸受に両端を軸承させた互い違いの両ペダルを有するペダル回転軸と、ペダル回転軸に設けた傘歯車と車椅子の駆動車輪の車輪軸に設けた傘歯車と、ペダル回転軸と車輪軸の両傘歯車に連結させた駆動シャフトとから成り、車椅子を押して駆動車輪を回転させることにより足を載せたペダルを回転させ、脚のリハビリ運動ができるようにしたことを特徴とする。
このような特徴を有するリハビリ用車椅子においては、自らが手で回転させるか又は他人が車椅子を押すことで足を載せたペダルが回転し、強制的に脚が動かされるという作用を有する。また、回転径調節機構により、両ペダルの長さが各々伸縮調節されるので、障害の程度に応じて運動の範囲が自由に調節される。したがって、脚の運動機能を障害の程度に応じて引き出すことができるという効果を有する。
しかしながら、特許文献1に開示された発明においては、脚受け部は専ら水平方向に往復直線運動を行うことから、起立時に使用する大腿部にそれほど負荷がかからず、その筋力を十分に向上させることができない。また、脚受け部を上下方向に運動させることは可能であるものの、それにはクランク機構や揺動変換機構を交換する必要があるため、車椅子を利用している最中に直ちに脚の運動方向を変更することは困難である。
次に、特許文献2に開示された発明においては、特許文献1に開示された発明と同様に、大腿部がほぼ運動しない状態であるので、足関節の底背屈運動によって増加する下肢ふくらはぎ部分の血流を上半身に効率的に送り出すことが不十分となる可能性がある。また、クランク機構は主車輪の内側に設けられていることから、これを取り外すことは利用者や介助者にとって非常に困難である。なお、両足乗載手段は座部前方下部手前に収納可能であるが、前述したようにクランク機構の取り外しが困難であるため、下肢の運動を必要としない場合であっても両足乗載手段の運動に費やす労力が必要とされる。両足乗載手段に備えられた付勢手段によってこの労力はいくらか減少するとも考えられるが、この問題は依然として完全には解決されていない。
さらに、特許文献3に開示された発明においては、左右のペダル軸受に両端を軸承させたペダル回転軸や、ペダル回転軸と車輪軸の両傘歯車に連結させた駆動シャフト等といった容易には着脱できない部材から構成されているため、導入に際しては既存の車椅子の改造、若しくはリハビリ車椅子の完成品を新規に購入するなどしなければならない。しかし、車椅子の改造は、特許文献2に開示された発明と同様に、利用者等にとって非常に困難であり、通常、専門業者に依頼することになるため、改造費用が嵩んでしまう。また、完成品を新規に購入する場合、一般に、既存の車椅子を改造する場合よりも費用が高くなる。したがって、特許文献3に開示された発明においては、安価に導入できないという課題があった。
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、車椅子に対して容易に着脱でき、構造が簡単で製造コストが安く、かつ、利用者の下肢を全体に亘って運動させることが可能な下肢運動機構を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明に係る下肢運動機構は、車体フレームの前後に前輪と後輪がそれぞれ配設された車いすに取り付けられる下肢運動機構であって、後輪と一体として回動可能に後輪に固定される回動板と、この回動板に設置される保持手段と、この保持手段によって傾動不能に保持されるガイド部材と、前輪の近傍において車体フレームに設置される回動支持部材と、この回動支持部材によって傾動自在に支持されて前輪の前方へ前端が突出するように車体フレームの側方に配置されるシャフトと、利用者の足を載置可能にシャフトの前端に傾動自在に連結されるペダルと、を備え、シャフトの後端は、ガイド部材の長手方向へスライド自在に、かつ、回動自在にガイド部材によって保持されることを特徴とする。
このような構成の下肢運動機構において、「後輪に固定される回動板」とは、後輪に対し直接固定される他、後輪の外側に設けられる駆動用のハンドリムを介して後輪に固定される場合が含まれる。そして、回動支持部材は前輪の近傍において車体フレームに設置されるとともに、シャフトは前端が前輪の前方へ突出するように配置され後端はガイド部材によって保持されることから、回動支持部材はシャフトの前端と後端の間に設置される構成である。なお、「シャフトの後端は、回動自在にガイド部材によって保持される」における「回動」とは、後輪の回動と一体的に行われる回動をいう。また、下肢運動機構を構成する部材の材質としては、十分な強度を有する金属製であることが望ましい。
このような構成の下肢運動機構において、「後輪に固定される回動板」とは、後輪に対し直接固定される他、後輪の外側に設けられる駆動用のハンドリムを介して後輪に固定される場合が含まれる。そして、回動支持部材は前輪の近傍において車体フレームに設置されるとともに、シャフトは前端が前輪の前方へ突出するように配置され後端はガイド部材によって保持されることから、回動支持部材はシャフトの前端と後端の間に設置される構成である。なお、「シャフトの後端は、回動自在にガイド部材によって保持される」における「回動」とは、後輪の回動と一体的に行われる回動をいう。また、下肢運動機構を構成する部材の材質としては、十分な強度を有する金属製であることが望ましい。
一方、シャフトは回動支持部材によって傾動自在に支持されるため、シャフトの前端及び後端は、回動支持部材を中心として互いに逆の方向へ上下に変位する円弧運動を行う。したがって、回動板の回動によって後端の円弧運動が駆動されると同時に、前端の円弧運動が行われる。さらに、この前端にはペダルが連結されているため、回動板がハンドリムに固定されている場合においては、利用者がハンドリムを回動させると、その運動が回動板を介してシャフトに伝達される。その結果、ペダルに載置された利用者の足が上下方向に円弧運動を行うという作用を有する。このとき、主に膝関節と股関節がいずれも屈曲及び伸展運動を行う。なお、回動板の回動方向が回動中心に対し時計回り・反時計回りのいずれであっても、シャフトの前端は円弧運動を行う。すなわち、回動板の回動方向に関わらず、利用者の足は上下運動を行う。
また、逆に利用者が足を円弧運動させると、その運動がシャフトを介して回動板に伝達され、さらに後輪に伝達される。その結果、車いすが走行するという作用を有する。
ただし、後輪の回動運動と後端の円弧運動とは明らかに水平方向については移動量が異なっているため、後輪の回動運動と後端の円弧運動を同時に成立させるための部材が必要となる。このような部材として、本請求項に係る発明では、保持手段とガイド部材が備えられている。これら保持手段とガイド部材の作用について、以下に説明する。
また、逆に利用者が足を円弧運動させると、その運動がシャフトを介して回動板に伝達され、さらに後輪に伝達される。その結果、車いすが走行するという作用を有する。
ただし、後輪の回動運動と後端の円弧運動とは明らかに水平方向については移動量が異なっているため、後輪の回動運動と後端の円弧運動を同時に成立させるための部材が必要となる。このような部材として、本請求項に係る発明では、保持手段とガイド部材が備えられている。これら保持手段とガイド部材の作用について、以下に説明する。
保持手段は、回動板に設置されるため、回動板と一体的に回動する。さらに、ガイド部材は、この保持手段によって保持されることから、その全体的な位置は回動板と一体的に移動することとなる。
ここで、回動運動と専ら上下方向に変位する円弧運動との相違について検討すると、回動運動では回動中心からの半径が一定である。一方、円弧運動では、上下方向の移動量と比較すると水平方向の移動量はかなり小さいものとなっている。したがって、回動運動の半径と円弧運動の上下方向における移動量が等しい場合、回動運動と円弧運動の水平方向における移動量の差を吸収する部材を設けることで、回動運動と円弧運動を同時に成立させることが可能となる。
そこで、例えば、ガイド部材を長尺形状とし、シャフトの後端がその長手方向に沿ってスライド可能に保持される構造とすれば、ガイド部材によって後輪の回動運動と円弧運動の水平方向における移動量の差が吸収される。
しかし、上下方向へはガイド部材と回動板が一体的に移動することとなるため、このままでは、水平方向に対するガイド部材の長手方向の傾斜角度が回動板の回動に伴って変化してしまう。そのため、この回動運動の影響を受けずに、回動運動と円弧運動の水平方向における移動量の差を吸収するためには、常に水平方向に対するガイド部材の長手方向の傾斜角度を一定に保持するための保持手段が必要となる。この保持手段として、例えば、回動板の回動に伴って自転するギヤに、ガイド部材を固定した別個のギヤを噛合させる構造が考えられる。このような構造であれば、回動板の回動方向によらず、水平方向に対するガイド部材の長手方向の傾斜角度が一定に保持される。すなわち、上記構造の保持手段とガイド部材によれば、回動板の回動方向が時計回り・反時計回りのいずれであっても、後輪の回動運動とシャフトの後端の円弧運動が同時に成立するのである。
ここで、回動運動と専ら上下方向に変位する円弧運動との相違について検討すると、回動運動では回動中心からの半径が一定である。一方、円弧運動では、上下方向の移動量と比較すると水平方向の移動量はかなり小さいものとなっている。したがって、回動運動の半径と円弧運動の上下方向における移動量が等しい場合、回動運動と円弧運動の水平方向における移動量の差を吸収する部材を設けることで、回動運動と円弧運動を同時に成立させることが可能となる。
そこで、例えば、ガイド部材を長尺形状とし、シャフトの後端がその長手方向に沿ってスライド可能に保持される構造とすれば、ガイド部材によって後輪の回動運動と円弧運動の水平方向における移動量の差が吸収される。
しかし、上下方向へはガイド部材と回動板が一体的に移動することとなるため、このままでは、水平方向に対するガイド部材の長手方向の傾斜角度が回動板の回動に伴って変化してしまう。そのため、この回動運動の影響を受けずに、回動運動と円弧運動の水平方向における移動量の差を吸収するためには、常に水平方向に対するガイド部材の長手方向の傾斜角度を一定に保持するための保持手段が必要となる。この保持手段として、例えば、回動板の回動に伴って自転するギヤに、ガイド部材を固定した別個のギヤを噛合させる構造が考えられる。このような構造であれば、回動板の回動方向によらず、水平方向に対するガイド部材の長手方向の傾斜角度が一定に保持される。すなわち、上記構造の保持手段とガイド部材によれば、回動板の回動方向が時計回り・反時計回りのいずれであっても、後輪の回動運動とシャフトの後端の円弧運動が同時に成立するのである。
次に、請求項2記載の発明に係る下肢運動機構は、請求項1記載の下肢運動機構において、保持手段は、後輪回動軸に対して回動不能に連結される中心ギヤと、この中心ギヤに噛合し回動板に軸支される第1のギヤと、この第1のギヤに噛合し回動板に軸支される第2のギヤと、からなり、ガイド部材は、この第2のギヤに固着され、後輪回動軸は、車体フレームに固定され前記後輪が回動自在に保持されることを特徴とする。
このように構成される下肢運動機構において、後輪回動軸は車体フレームに固定されるため、後輪回動軸自体は全く回動しない構造である。また、回動板は、後輪回動軸に回動自在に保持される後輪に固定されることから、回動板に軸支される第1のギヤ及び第2のギヤは、後輪回動軸を中心として回動する構造である。 上記構成の下肢運動機構においては、請求項1に記載の発明の作用に加え、回動板の回動に伴って、中心ギヤは自転しないが、第1のギヤは後輪回動軸の周囲を公転する。さらに、第1のギヤに噛合する第2のギヤは、第1のギヤに対して逆向きに回動する。すなわち、第2のギヤは、第1のギヤに対する中心ギヤの影響を打ち消すように作用する。また、第2のギヤにはガイド部材が固着されるため、水平方向に対するガイド部材の長手方向の傾斜角度は変化しないまま、後輪回動軸の周囲を公転するという作用を有する。したがって、例えば、ガイド部材の長手方向と車いすの走行方向が平行である場合には、シャフトの後端は、この走行方向に沿ったスライド運動を行うこととなる。なお、回動板の回動方向が、後輪回動軸を中心とする時計回り・反時計回りのいずれであっても、上記の作用は同様に発揮される。
このように構成される下肢運動機構において、後輪回動軸は車体フレームに固定されるため、後輪回動軸自体は全く回動しない構造である。また、回動板は、後輪回動軸に回動自在に保持される後輪に固定されることから、回動板に軸支される第1のギヤ及び第2のギヤは、後輪回動軸を中心として回動する構造である。 上記構成の下肢運動機構においては、請求項1に記載の発明の作用に加え、回動板の回動に伴って、中心ギヤは自転しないが、第1のギヤは後輪回動軸の周囲を公転する。さらに、第1のギヤに噛合する第2のギヤは、第1のギヤに対して逆向きに回動する。すなわち、第2のギヤは、第1のギヤに対する中心ギヤの影響を打ち消すように作用する。また、第2のギヤにはガイド部材が固着されるため、水平方向に対するガイド部材の長手方向の傾斜角度は変化しないまま、後輪回動軸の周囲を公転するという作用を有する。したがって、例えば、ガイド部材の長手方向と車いすの走行方向が平行である場合には、シャフトの後端は、この走行方向に沿ったスライド運動を行うこととなる。なお、回動板の回動方向が、後輪回動軸を中心とする時計回り・反時計回りのいずれであっても、上記の作用は同様に発揮される。
さらに、請求項3記載の発明に係る下肢運動機構は、請求項2に記載の下肢運動機構において、回動板は後輪に対して着脱自在に取り付けられ、回動支持部材は車体フレームに対して着脱自在に取り付けられ、中心ギヤは後輪回動軸に対して着脱自在に取り付けられることを特徴とする。
このような構成の下肢運動機構において、回動板は、例えば後輪のホイールやハンドリムの周縁に、留めネジ等によって着脱自在に取り付けられる。回動支持部材及び中心ギヤも同様に、留めネジ等によってそれぞれ着脱自在に取り付けられる。
上記構成の下肢運動機構においては、請求項2に記載の発明の作用に加え、回動板、回動支持部材及び中心ギヤの取付・取り外し操作をすることで、下肢運動機構全体が車いすに着脱されるという作用を有する。
このような構成の下肢運動機構において、回動板は、例えば後輪のホイールやハンドリムの周縁に、留めネジ等によって着脱自在に取り付けられる。回動支持部材及び中心ギヤも同様に、留めネジ等によってそれぞれ着脱自在に取り付けられる。
上記構成の下肢運動機構においては、請求項2に記載の発明の作用に加え、回動板、回動支持部材及び中心ギヤの取付・取り外し操作をすることで、下肢運動機構全体が車いすに着脱されるという作用を有する。
続いて、請求項4記載の発明に係る下肢運動機構は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の下肢運動機構において、シャフトの前端近傍に立設されるペダル軸と、ペダルに対して係止可能にシャフトに設けられる回動抑制部材と、利用者の足を係止可能にペダルの上面に設けられる係止部材と、を備え、ペダルは、長手方向に沿って長く形成されるガイド穴が側面に設けられ、ペダル軸は、このガイド穴の長手方向へスライド自在に、かつ、回動自在にガイド穴によって保持されることを特徴とする。
このような構成の下肢運動機構においては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の作用に加え、ペダルがペダル軸を中心として抵抗なく自在に回動し、このとき主に利用者の足関節が背屈及び底屈運動を行うという作用を有する。ただし、回動抑制部材によって、この背屈及び底屈運動は抑制される。具体的な回動抑制部材としては、例えば、ペダル軸を挟んだ両側にシャフト表面から突出してペダルの上面及び下面を係止するL型の棒材等が考えられる。また、回動が抑制される角度は、例えばペダル軸を中心とする時計回り・反時計回りの方向においてそれぞれ30度程度である。
さらに、ペダル軸を中心とする回動運動と、ぺダル軸のガイド穴の長手方向に沿ったスライド運動と、シャフトの前端の円弧運動は、通常、組み合わされた状態で行われるが、このうちのスライド運動では、主に足関節の背屈及び底屈運動と、膝関節の屈曲及び伸展運動が行われる。したがって、後輪に設けられるハンドリムが駆動されるのに伴い、これら回動運動、スライド運動及び円弧運動が同時に行われる場合には、利用者の股関節、膝関節及び足関節の運動が一斉に行われる。すなわち、下肢全体の運動が行われる。また、回動支持部材からシャフトの前端までの距離は一定であるにも関わらず、スライド運動が組み合わされることによって、ペダルに載置された足は、利用者にとって最も負担が少なくなるような軌道を描いて上下運動を行う。なお、ハンドリムが駆動されない場合でも、ペダル軸を中心とする回動運動とスライド運動は可能である。
また、上記運動時においては、係止部材によって利用者の足がペダル面を滑ったり、この面から離れたりすることが防止される。具体的な係止部材としては、例えば、ペダル上面に設けられて足背の一部を被覆し、足先の挿抜が容易なカバー等が考えられる。
このような構成の下肢運動機構においては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の作用に加え、ペダルがペダル軸を中心として抵抗なく自在に回動し、このとき主に利用者の足関節が背屈及び底屈運動を行うという作用を有する。ただし、回動抑制部材によって、この背屈及び底屈運動は抑制される。具体的な回動抑制部材としては、例えば、ペダル軸を挟んだ両側にシャフト表面から突出してペダルの上面及び下面を係止するL型の棒材等が考えられる。また、回動が抑制される角度は、例えばペダル軸を中心とする時計回り・反時計回りの方向においてそれぞれ30度程度である。
さらに、ペダル軸を中心とする回動運動と、ぺダル軸のガイド穴の長手方向に沿ったスライド運動と、シャフトの前端の円弧運動は、通常、組み合わされた状態で行われるが、このうちのスライド運動では、主に足関節の背屈及び底屈運動と、膝関節の屈曲及び伸展運動が行われる。したがって、後輪に設けられるハンドリムが駆動されるのに伴い、これら回動運動、スライド運動及び円弧運動が同時に行われる場合には、利用者の股関節、膝関節及び足関節の運動が一斉に行われる。すなわち、下肢全体の運動が行われる。また、回動支持部材からシャフトの前端までの距離は一定であるにも関わらず、スライド運動が組み合わされることによって、ペダルに載置された足は、利用者にとって最も負担が少なくなるような軌道を描いて上下運動を行う。なお、ハンドリムが駆動されない場合でも、ペダル軸を中心とする回動運動とスライド運動は可能である。
また、上記運動時においては、係止部材によって利用者の足がペダル面を滑ったり、この面から離れたりすることが防止される。具体的な係止部材としては、例えば、ペダル上面に設けられて足背の一部を被覆し、足先の挿抜が容易なカバー等が考えられる。
そして、請求項5記載の発明に係る下肢運動機構は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の下肢運動機構において、回動支持部材は、シャフトに対して直交するように設けられるシャフト軸と、このシャフト軸を回動自在に保持する連結部材と、この連結部材に接続されて車体フレームに対して着脱自在に形成される第1の固定部材及び第2の固定部材と、からなることを特徴とする。
このような構成の下肢運動機構において、シャフトは車体フレームに対し直接取り付けられるのではなく、回動支持部材を介して取り付けられる。例えば、シャフトは、連結部材に基端が回動自在に連結されるシャフト軸によって固持されているとともに、連結部材から突出する第1の固定部材及び第2の固定部材の先端が、それぞれ留めネジ等を備えて車体フレームに対し着脱自在に固定されるといった構成が考えられる。また、第1の固定部材及び第2の固定部材の個数は、それぞれ1個ずつに限定されず、複数個であっても良い。さらに、連結部材はシャフト軸と、第1の固定部材及び第2の固定部材を外側から視認不能に被覆する構造が望ましいが、必ずしも被覆する構造でなくても良い。
上記構成の下肢運動機構においては、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発明の作用に加え、シャフトは回動支持部材によって車体フレームに対して回動可能かつ着脱自在に連結される。このようにシャフトが連結された場合には、シャフト軸の1点に加えられる荷重は、第1の固定部材及び第2の固定部材によって分散されるという作用を有する。
このような構成の下肢運動機構において、シャフトは車体フレームに対し直接取り付けられるのではなく、回動支持部材を介して取り付けられる。例えば、シャフトは、連結部材に基端が回動自在に連結されるシャフト軸によって固持されているとともに、連結部材から突出する第1の固定部材及び第2の固定部材の先端が、それぞれ留めネジ等を備えて車体フレームに対し着脱自在に固定されるといった構成が考えられる。また、第1の固定部材及び第2の固定部材の個数は、それぞれ1個ずつに限定されず、複数個であっても良い。さらに、連結部材はシャフト軸と、第1の固定部材及び第2の固定部材を外側から視認不能に被覆する構造が望ましいが、必ずしも被覆する構造でなくても良い。
上記構成の下肢運動機構においては、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発明の作用に加え、シャフトは回動支持部材によって車体フレームに対して回動可能かつ着脱自在に連結される。このようにシャフトが連結された場合には、シャフト軸の1点に加えられる荷重は、第1の固定部材及び第2の固定部材によって分散されるという作用を有する。
本発明の請求項1記載の下肢運動機構によれば、利用者がハンドリムを回動させると利用者の足が上下方向に円弧運動を行うことから、簡単な操作によって足の運動を行うことができる。よって、主に膝関節と股関節を同時に屈曲及び伸展させることが可能であり、足先から下腿にかけて停滞している血流等を速やかに上半身へと送り出すことができる。なお、回動板の回動方向に関わらず、利用者の足は上下運動を行うことから、車いすが前進及び後進する場合の双方において足の運動が可能である。したがって、効率的に下肢が動かされ、筋力の低下や関節の拘縮を防止することができるので、歩行機能の低下防止や病後の早期回復を達成することが可能である。
また、保持手段とガイド部材によって、後輪の回動運動とシャフトの後端の円弧運動を同時に成立させることが可能なことから、回動板の回動運動を足の上下運動へと効率よく変換することができる。そのため、足の上下運動を滑らかかつ継続的に行うことが可能である。
さらに、本請求項記載の下肢運動機構は、回動板と、保持手段と、ガイド部材と、回動支持部材と、シャフトと、ペダルなどから成り、部品点数も少なく比較的簡易な構成であるので、容易かつ安価な製造が可能である。また、全体的にコンパクトな構成であるため、車いすへ装着した際に走行の妨げとならず、また取り外された場合も容易に収納可能である。したがって、製造や保管等に関して経済的負担が少ないため、個人や小規模な介護用品の貸出業者であっても容易に導入することができる。
また、保持手段とガイド部材によって、後輪の回動運動とシャフトの後端の円弧運動を同時に成立させることが可能なことから、回動板の回動運動を足の上下運動へと効率よく変換することができる。そのため、足の上下運動を滑らかかつ継続的に行うことが可能である。
さらに、本請求項記載の下肢運動機構は、回動板と、保持手段と、ガイド部材と、回動支持部材と、シャフトと、ペダルなどから成り、部品点数も少なく比較的簡易な構成であるので、容易かつ安価な製造が可能である。また、全体的にコンパクトな構成であるため、車いすへ装着した際に走行の妨げとならず、また取り外された場合も容易に収納可能である。したがって、製造や保管等に関して経済的負担が少ないため、個人や小規模な介護用品の貸出業者であっても容易に導入することができる。
本発明の請求項2記載の下肢運動機構によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、回動板の回動の際に、水平方向に対してガイド部材の長手方向が一定の傾斜角度を保ったまま、中心ギヤの周囲を公転することから、回動板の回動運動を効率よくシャフトの後端の円弧運動に変換することができる。また、シャフトの後端は車いすの走行方向と一定の角度をなす方向へスライド運動を行うので、車いすが傾斜面を走行する際もその傾斜角度に関わらず後端の円弧運動を持続することができる。なお、この円弧運動は回動板の回動方向に依存しないため、車いすの走行方向とは無関係にこの円弧運動が行われる。このように、本請求項記載の下肢運動機構は、保持手段とガイド部材とを備えることで、車いすを走行させるという簡単な操作のみにより、足の運動を安定的に行うことができる。
また、保持手段及びガイド部材には、例えば市場に多種類が出回っているギヤや長尺状スライドレールを利用することが可能であるので、これらのうちから好適なサイズや材質のものを適宜選択できる。
また、保持手段及びガイド部材には、例えば市場に多種類が出回っているギヤや長尺状スライドレールを利用することが可能であるので、これらのうちから好適なサイズや材質のものを適宜選択できる。
本発明の請求項3記載の下肢運動機構によれば、請求項2に記載の発明の効果に加えて、回動板、回動支持部材及び中心ギヤの取付・取り外し操作をすることにより、下肢運動機構を車いすに着脱することができる。このような操作は、利用者や介助者が容易に行うことが可能である。したがって、既存の車いすの改造や、下肢運動用車いすの完成品の購入等をしなければならない従来の場合と比較して、より安価に導入することができる。
加えて、足の筋力等の回復に一定の成果が得られ、下肢を運動させる必要がなくなった場合には、本請求項記載の下肢運動機構を直ちに取り外し、下肢の運動機能を有さない通常の車いすとしての利用が可能となる。
加えて、足の筋力等の回復に一定の成果が得られ、下肢を運動させる必要がなくなった場合には、本請求項記載の下肢運動機構を直ちに取り外し、下肢の運動機能を有さない通常の車いすとしての利用が可能となる。
本発明の請求項4記載の下肢運動機構によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、主に足関節の背屈及び底屈運動が行われるので、ふくらはぎの血流循環等を良好に改善させることができる。さらに、この足関節の運動は、足の上下方向の円弧運動と同時に行うことが可能なことから、ペダルがペダル軸を中心として回動しない場合と比較して、足の円弧運動を自然な動きによって継続することができる。また、回動抑制部材によって足関節の背屈及び底屈運動が抑制されるため、ペダルの過度な回動による足の踏み外しを防止することができる。したがって、足の不自由な利用者が、本請求項に記載の下肢運動機構を安全に使用することが可能である。
また、ペダル軸を中心とする回動運動と、ぺダル軸のガイド穴の長手方向に沿ったスライド運動と、シャフトの前端の円弧運動は、互いに独立して行うことも組み合わせて行うこともできる。すなわち、利用者は、これらの運動のうちから所望する運動のみを選択的に行うことも、すべての運動を同時に行うことも可能である。この場合、下肢全体の運動がなされるので、歩行機能の回復等に大変効果的である。なお、車いすを走行させなくとも、ペダル軸を中心とする回動運動とスライド運動は可能であることから、利用者の回復程度に見合った適切な運動を行うことができる。また、スライド運動が組み合わされることで、ペダルに載置された足は、利用者にとって最も負担が少なくなるような軌道を描いて上下運動を行う。すなわち、本発明によれば、利用者間の足の長さの相違が吸収されるため、体格が異なる複数の利用者が共同で利用することができる。
さらに、係止部材によって、シャフトの前端の円弧運動が確実に利用者の足へ伝達されるので効率的であるとともに、運動の途中で不意に足先がペダルから外れるといった危険を回避できる。
また、ペダル軸を中心とする回動運動と、ぺダル軸のガイド穴の長手方向に沿ったスライド運動と、シャフトの前端の円弧運動は、互いに独立して行うことも組み合わせて行うこともできる。すなわち、利用者は、これらの運動のうちから所望する運動のみを選択的に行うことも、すべての運動を同時に行うことも可能である。この場合、下肢全体の運動がなされるので、歩行機能の回復等に大変効果的である。なお、車いすを走行させなくとも、ペダル軸を中心とする回動運動とスライド運動は可能であることから、利用者の回復程度に見合った適切な運動を行うことができる。また、スライド運動が組み合わされることで、ペダルに載置された足は、利用者にとって最も負担が少なくなるような軌道を描いて上下運動を行う。すなわち、本発明によれば、利用者間の足の長さの相違が吸収されるため、体格が異なる複数の利用者が共同で利用することができる。
さらに、係止部材によって、シャフトの前端の円弧運動が確実に利用者の足へ伝達されるので効率的であるとともに、運動の途中で不意に足先がペダルから外れるといった危険を回避できる。
本発明の請求項5記載の下肢運動機構によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、車いすの車体フレームに対するシャフトの着脱作業を容易に行うことができるという効果を奏する。また、第1の固定部材及び第2の固定部材によって、シャフト軸に加わる負荷が減少し、シャフトや車体フレームの破損、変形等を防止できる。さらに、連結部材がシャフト軸と、第1の固定部材及び第2の固定部材を被覆する構造であれば、手指等が挟まり難くいため、負傷を防ぐことができる。
本発明の実施の形態に係る下肢運動機構の実施例について、図1乃至図7を参照しながら説明する。図1(a)は実施例に係る下肢運動機構を取り付けた車いすを左側から見た場合の側面図であり、図1(b)は図1(a)における下肢運動機構のA方向矢視図である。なお、図1で説明した構成要素と同一の構成要素は、図2乃至図7においても同一の符号を付してその説明を省略する。
図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施例に係る下肢運動機構1は、走行面107に置かれた車いす100の後輪101と一体として回動可能な回動板2と、車いす100を構成する車体フレーム103の外側に配置されるシャフト3と、シャフト3の前端3aに傾動自在に連結されるペダル4と、シャフト3の後端3bを回動板2に連結する保持手段5及び長尺状のガイド部材6と、前輪102の上方においてシャフト3を回動可能に支持するための回動支持部材7と、を備える。これら回動板2と、シャフト3と、ペダル4と、保持手段5と、ガイド部材6と、回動支持部材7と、は、十分な強度を有する金属製である。
車いす100は、既存のものを利用可能である。この車いす100の後輪101は回動軸104を中心として回動するが、回動軸104自体は車体フレーム103に固定されるため全く回動しない構造である。また、車いす100に既設のフットサポート(図示せず)は折り畳まれて座面105の斜め前方下方に収納されている。
回動板2は、後輪101の外側に取り付けられるハンドリム106のさらに外側に配置され、複数個の留めネジ2aによってハンドリム106の周縁に着脱可能に固定される。また、保持手段5は回動板2に設置され、ガイド部材6はこの保持手段5を構成するギヤ5c(図2参照)に固着されている。さらに、シャフト3の後端3bは、ガイド部材6によって、その長手方向に沿ってスライド自在に保持されており、シャフト3は、前端3aと後端3bの間の箇所を回動支持部材7によって車体フレーム103に連結されている。
図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施例に係る下肢運動機構1は、走行面107に置かれた車いす100の後輪101と一体として回動可能な回動板2と、車いす100を構成する車体フレーム103の外側に配置されるシャフト3と、シャフト3の前端3aに傾動自在に連結されるペダル4と、シャフト3の後端3bを回動板2に連結する保持手段5及び長尺状のガイド部材6と、前輪102の上方においてシャフト3を回動可能に支持するための回動支持部材7と、を備える。これら回動板2と、シャフト3と、ペダル4と、保持手段5と、ガイド部材6と、回動支持部材7と、は、十分な強度を有する金属製である。
車いす100は、既存のものを利用可能である。この車いす100の後輪101は回動軸104を中心として回動するが、回動軸104自体は車体フレーム103に固定されるため全く回動しない構造である。また、車いす100に既設のフットサポート(図示せず)は折り畳まれて座面105の斜め前方下方に収納されている。
回動板2は、後輪101の外側に取り付けられるハンドリム106のさらに外側に配置され、複数個の留めネジ2aによってハンドリム106の周縁に着脱可能に固定される。また、保持手段5は回動板2に設置され、ガイド部材6はこの保持手段5を構成するギヤ5c(図2参照)に固着されている。さらに、シャフト3の後端3bは、ガイド部材6によって、その長手方向に沿ってスライド自在に保持されており、シャフト3は、前端3aと後端3bの間の箇所を回動支持部材7によって車体フレーム103に連結されている。
次に、図2を用いて、実施例に係る下肢運動機構を構成する保持手段とガイド部材について、詳細に説明する。図2(a)は実施例に係る下肢運動機構を構成する保持手段及びガイド部材の側面図であり、図2(b)は(a)のB−B線矢視断面図である。
図2(a)及び図2(b)に示すように、保持手段5は、回動軸104に対し回動不能かつ着脱自在に取り付けられる中心ギヤ5aと、中心ギヤ5aに噛合するギヤ5bと、ギヤ5bに噛合するギヤ5cと、から構成される。なお、中心ギヤ5a及びギヤ5b,5cの回動中心には、それぞれ片側へ突出するように軸体12が形成されており、この軸体12は回動板2に設けられた軸孔2bに回動自在に挿通されている。また、中心ギヤ5a及びギヤ5b,5cは、直径がいずれも等しく、それらの歯車比は1:1:1である。
次に、ガイド部材6はギヤ5cの外側表面に固着され、スライド部材6aはガイド部材6に対し、その長手方向へスライド自在に取り付けられている。また、図2(a)に矢印Eで示すように、シャフト3の後端3bはスライド部材6aに対して回動自在に取り付けられている。
図2(a)及び図2(b)に示すように、保持手段5は、回動軸104に対し回動不能かつ着脱自在に取り付けられる中心ギヤ5aと、中心ギヤ5aに噛合するギヤ5bと、ギヤ5bに噛合するギヤ5cと、から構成される。なお、中心ギヤ5a及びギヤ5b,5cの回動中心には、それぞれ片側へ突出するように軸体12が形成されており、この軸体12は回動板2に設けられた軸孔2bに回動自在に挿通されている。また、中心ギヤ5a及びギヤ5b,5cは、直径がいずれも等しく、それらの歯車比は1:1:1である。
次に、ガイド部材6はギヤ5cの外側表面に固着され、スライド部材6aはガイド部材6に対し、その長手方向へスライド自在に取り付けられている。また、図2(a)に矢印Eで示すように、シャフト3の後端3bはスライド部材6aに対して回動自在に取り付けられている。
続いて、図3を用いて、実施例に係る下肢運動機構を構成する回動支持部材について、詳細に説明する。図3(a)は図1(a)において下肢運動機構が設置された箇所を部分的に拡大した図であり、図3(b)は図3(a)のC−C線矢視断面の一部を拡大して示した図である。
図3(a)に示すように、回動支持部材7は、シャフト3に対して直交するように設けられるシャフト軸7aと、シャフト軸7aを回動自在に保持する連結部材7bと、連結部材7bに接続されて車体フレーム103に対して着脱自在に形成される固定部材7c〜7eと、から構成される。
より詳細には、図3(b)に示すように、シャフト3は、連結部材7bに基端が回動自在に連結されるシャフト軸7aによって固持されている。また、固定部材7c〜7eは、それぞれ基端が連結部材7bに固定されるとともに、環状の取付部8が先端に設けられている。なお、ヒンジ8aと留めネジ8bからなる取付部8は、車体フレーム103に対し着脱自在に形成されている。
図3(a)に示すように、回動支持部材7は、シャフト3に対して直交するように設けられるシャフト軸7aと、シャフト軸7aを回動自在に保持する連結部材7bと、連結部材7bに接続されて車体フレーム103に対して着脱自在に形成される固定部材7c〜7eと、から構成される。
より詳細には、図3(b)に示すように、シャフト3は、連結部材7bに基端が回動自在に連結されるシャフト軸7aによって固持されている。また、固定部材7c〜7eは、それぞれ基端が連結部材7bに固定されるとともに、環状の取付部8が先端に設けられている。なお、ヒンジ8aと留めネジ8bからなる取付部8は、車体フレーム103に対し着脱自在に形成されている。
さらに、ペダル4について図4及び図5を用いて詳細に説明する。図4(a)はペダル4の側面図であり、図4(b)は図4(a)のD方向矢視図である。
図4(a)及び図4(b)に示すように、ペダル4は、長手方向に沿って長く形成されるガイド穴9が側面を貫通するように設けられている。さらに、ペダル4の上面4aの前方には、利用者が足先を挿抜自在に係止カバー10が設けられている。
ガイド穴9の内部には、シャフト3の前端3aに立設されるペダル軸3cが挿入されており、ガイド穴9から突出するペダル軸3cの先端には、ペダル軸3cがガイド穴9から離脱しないようにワッシャー3dが嵌め込まれている。これにより、ペダル4は、ペダル軸3cに対し、矢印Fで示す方向へガイド穴9の前面9aから後面9bの範囲内でスライド自在に、かつ、回動自在になっている。
さらに、シャフト3の前端3a付近には、ペダル4の上面4aに対して係止可能な回動抑制部材11aと、ペダル4の下面4bに対して係止可能な回動抑制部材11bが、それぞれ突設されている。
図4(a)及び図4(b)に示すように、ペダル4は、長手方向に沿って長く形成されるガイド穴9が側面を貫通するように設けられている。さらに、ペダル4の上面4aの前方には、利用者が足先を挿抜自在に係止カバー10が設けられている。
ガイド穴9の内部には、シャフト3の前端3aに立設されるペダル軸3cが挿入されており、ガイド穴9から突出するペダル軸3cの先端には、ペダル軸3cがガイド穴9から離脱しないようにワッシャー3dが嵌め込まれている。これにより、ペダル4は、ペダル軸3cに対し、矢印Fで示す方向へガイド穴9の前面9aから後面9bの範囲内でスライド自在に、かつ、回動自在になっている。
さらに、シャフト3の前端3a付近には、ペダル4の上面4aに対して係止可能な回動抑制部材11aと、ペダル4の下面4bに対して係止可能な回動抑制部材11bが、それぞれ突設されている。
図5(a)及び図5(b)は、回動抑制部材11a,11bの作用を説明するための図であり、図5(a)はペダル4が最も前方へ移動した場合を示し、図5(b)はペダル4が最も後方へ移動した場合を示している。
図5(a)及び図5(b)に示すように、ペダル4はペダル軸3cを中心として上面4aが回動抑制部材11aに当接、または下面4bが回動抑制部材11bに当接するまで回動する。すなわち、ペダル4は、±θ度の範囲内で回動可能となっている。なお、利用者の足への負担を考慮すると、θは10〜30度であることが望ましい。
図5(a)及び図5(b)に示すように、ペダル4はペダル軸3cを中心として上面4aが回動抑制部材11aに当接、または下面4bが回動抑制部材11bに当接するまで回動する。すなわち、ペダル4は、±θ度の範囲内で回動可能となっている。なお、利用者の足への負担を考慮すると、θは10〜30度であることが望ましい。
次に、保持手段5について図6を用いて詳細に説明する。図6(a)乃至(d)は、保持手段5の作用を説明するための模式図である。
なお、図6(a)乃至図6(d)は中心ギヤ5a、ギヤ5b及びギヤ5cが回動する様子を模式的に表したものであり、数字1〜4は、各ギヤに対し、回動方向や回動角度に対する理解を容易にするために、便宜上、付したものである。
図6(a)に示すように、保持手段5は回動板2上の位置Gに配設され、ガイド部材6はギヤ5c上の数字2,4を結ぶ線上に配置されている。
図6(b)に示すように、回動板2が回動軸104を中心として時計回りに90度回動すると、位置Gの保持手段5も回動する。このとき、中心ギヤ5aは自転しないが、中心ギヤ5aとギヤ5bの歯車比が1:1であることから、ギヤ5bは軸体12を中心として時計回りに90度回動する。また、ギヤ5b,5cの歯車比が1:1であるため、ギヤ5cはギヤ5bに対して反時計回りに90度回動する。すなわち、ギヤ5cはギヤ5bに対して逆向きに、かつ、ギヤ5bと同じ速度で回動することで、ギヤ5bに対する中心ギヤ5aの影響を打ち消すように作用する。したがって、中心ギヤ5aと同様にギヤ5cも自転しない。これにより、ガイド部材6は水平状態が維持される。
なお、図6(c)及び図6(d)に示すように、回動板2が回動軸104を中心として時計回りに90度ずつ順次回動した場合でも、ギヤ5cが自転しないため、ガイド部材6は、常に水平状態を維持したまま、回動軸104を周回する。なお、回動板2が逆向きに回動した場合でも、この作用は同様に発揮される。
なお、図6(a)乃至図6(d)は中心ギヤ5a、ギヤ5b及びギヤ5cが回動する様子を模式的に表したものであり、数字1〜4は、各ギヤに対し、回動方向や回動角度に対する理解を容易にするために、便宜上、付したものである。
図6(a)に示すように、保持手段5は回動板2上の位置Gに配設され、ガイド部材6はギヤ5c上の数字2,4を結ぶ線上に配置されている。
図6(b)に示すように、回動板2が回動軸104を中心として時計回りに90度回動すると、位置Gの保持手段5も回動する。このとき、中心ギヤ5aは自転しないが、中心ギヤ5aとギヤ5bの歯車比が1:1であることから、ギヤ5bは軸体12を中心として時計回りに90度回動する。また、ギヤ5b,5cの歯車比が1:1であるため、ギヤ5cはギヤ5bに対して反時計回りに90度回動する。すなわち、ギヤ5cはギヤ5bに対して逆向きに、かつ、ギヤ5bと同じ速度で回動することで、ギヤ5bに対する中心ギヤ5aの影響を打ち消すように作用する。したがって、中心ギヤ5aと同様にギヤ5cも自転しない。これにより、ガイド部材6は水平状態が維持される。
なお、図6(c)及び図6(d)に示すように、回動板2が回動軸104を中心として時計回りに90度ずつ順次回動した場合でも、ギヤ5cが自転しないため、ガイド部材6は、常に水平状態を維持したまま、回動軸104を周回する。なお、回動板2が逆向きに回動した場合でも、この作用は同様に発揮される。
さらに、下肢運動機構1の作用について図7を用いて詳細に説明する。なお、図7は、下肢運動機構1を取り付けた車いすが水平な走行面107に置かれた状態を示している。
図7に示すように、下肢運動機構1では、利用者が手動でハンドリム106を回動させると、この周縁に固定される回動板2が回動する。その結果、図6を用いて説明したように、ガイド部材6が常に水平状態を維持したまま、回動軸104を周回する。このとき、ガイド部材6は、回動軸104に対し上下方向へ距離Rの範囲内で移動する。なお、本実施例では、Rを15cm程度に設定している。
前述したように、ガイド部材6には、シャフト3の後端3bがスライド部材6aを介して取り付けられており、シャフト3は、回動支持部材7のシャフト軸7aの位置で車体フレーム103に揺動自在に連結されている。そのため、ガイド部材6が上述のように周回すると、シャフト3の後端3bはシャフト軸7aを中心として円弧運動を行う。ここで、シャフト軸7aから後端3bまでの距離をL、水平方向とシャフト3のなす角度をφとする。このとき、後端3bは、上下方向については距離Rの範囲内で移動し、水平方向については回動軸104から後方へL(1−cosφ)の範囲内で移動する。なお、本実施例では、Lを30〜40cm、φを0〜20度に設定しているため、後端3bは水平方向へ1.8〜2.4cmの範囲内で移動する。
一方、ガイド部材6の中心部は、水平方向に対し、回動軸104から前後方向へ距離Rの範囲内で移動する。すなわち、ガイド部材6の中心部と後端3bは、水平方向については移動量が異なる。しかし、下肢運動機構1においては、ガイド部材6の長手方向へ後端3bをスライド自在にすることで、回動板2の回動運動と後端3bの円弧運動を同時に成立させている。
図7に示すように、下肢運動機構1では、利用者が手動でハンドリム106を回動させると、この周縁に固定される回動板2が回動する。その結果、図6を用いて説明したように、ガイド部材6が常に水平状態を維持したまま、回動軸104を周回する。このとき、ガイド部材6は、回動軸104に対し上下方向へ距離Rの範囲内で移動する。なお、本実施例では、Rを15cm程度に設定している。
前述したように、ガイド部材6には、シャフト3の後端3bがスライド部材6aを介して取り付けられており、シャフト3は、回動支持部材7のシャフト軸7aの位置で車体フレーム103に揺動自在に連結されている。そのため、ガイド部材6が上述のように周回すると、シャフト3の後端3bはシャフト軸7aを中心として円弧運動を行う。ここで、シャフト軸7aから後端3bまでの距離をL、水平方向とシャフト3のなす角度をφとする。このとき、後端3bは、上下方向については距離Rの範囲内で移動し、水平方向については回動軸104から後方へL(1−cosφ)の範囲内で移動する。なお、本実施例では、Lを30〜40cm、φを0〜20度に設定しているため、後端3bは水平方向へ1.8〜2.4cmの範囲内で移動する。
一方、ガイド部材6の中心部は、水平方向に対し、回動軸104から前後方向へ距離Rの範囲内で移動する。すなわち、ガイド部材6の中心部と後端3bは、水平方向については移動量が異なる。しかし、下肢運動機構1においては、ガイド部材6の長手方向へ後端3bをスライド自在にすることで、回動板2の回動運動と後端3bの円弧運動を同時に成立させている。
後端3bの円弧運動に伴い、シャフト3の前端3aも上下方向へシャフト軸7aを中心として円弧運動を行う。そして、既に述べたように、ペダル4がペダル軸3cに対しガイド穴9の前面9aから後面9bの範囲内でスライド自在に、かつ、回動自在となっている。そのため、ペダル4の上面4aに載置された足は、シャフト軸7aやペダル軸3cを中心とする円軌道と、ペダル4の長手方向に沿った直線軌道あるいはそれらを組み合わせた軌道を描くように運動する。したがって、下肢運動機構1を取り付けた車いすにおいては、利用者の足関節、膝関節及び股関節の伸展・屈曲する範囲がより拡張されるという作用を有する。なお、シャフト軸7aを中心とする円弧運動以外の運動については、車いす100が停止している場合でも可能である。
また、前述したように、回動抑制部材11a,11bによってペダル4のペダル軸3cを中心とする回動運動の角度が±θ度の範囲内に制限されるため、ペダル4は上下方向へ最大で(φ+θ)度まで傾動する。
また、前述したように、回動抑制部材11a,11bによってペダル4のペダル軸3cを中心とする回動運動の角度が±θ度の範囲内に制限されるため、ペダル4は上下方向へ最大で(φ+θ)度まで傾動する。
次に、下肢運動機構1の車いすへの着脱方法について説明する。
図1に示したように、下肢運動機構1においては、回動板2が、中心ギヤ5aには連結されることなく、ハンドリム106の周縁に留めネジ2aを用いて固定される。また、シャフト3は、図3に示したように、固定部材7c〜7eに接続された連結部材7bに対しシャフト軸7aを介して回動自在に連結されている。したがって、シャフト3は、固定部材7c〜7eの先端に設けられた取付部8を車体フレーム103に装着することで、車体フレーム103に対しシャフト軸7aを中心として回動自在に連結される。なお、取付部8の車体フレーム103への装着は、留めネジ8bを緩めてヒンジ8aを開き、このヒンジ8aを車体フレーム103に取り付けた後、再び閉じ、さらに留めネジ8bを締め付けることにより行う。
すなわち、下肢運動機構1は、留めネジ2a,8bの締緩とヒンジ8aの開閉という簡単な操作により、車いす100に対して容易に着脱可能な構造となっている。なお、下肢運動機構1を取り外し、座面105から既設のフットサポートを引き出すことにより、下肢の運動機能を有さない通常の車いすとして使用することができる。
図1に示したように、下肢運動機構1においては、回動板2が、中心ギヤ5aには連結されることなく、ハンドリム106の周縁に留めネジ2aを用いて固定される。また、シャフト3は、図3に示したように、固定部材7c〜7eに接続された連結部材7bに対しシャフト軸7aを介して回動自在に連結されている。したがって、シャフト3は、固定部材7c〜7eの先端に設けられた取付部8を車体フレーム103に装着することで、車体フレーム103に対しシャフト軸7aを中心として回動自在に連結される。なお、取付部8の車体フレーム103への装着は、留めネジ8bを緩めてヒンジ8aを開き、このヒンジ8aを車体フレーム103に取り付けた後、再び閉じ、さらに留めネジ8bを締め付けることにより行う。
すなわち、下肢運動機構1は、留めネジ2a,8bの締緩とヒンジ8aの開閉という簡単な操作により、車いす100に対して容易に着脱可能な構造となっている。なお、下肢運動機構1を取り外し、座面105から既設のフットサポートを引き出すことにより、下肢の運動機能を有さない通常の車いすとして使用することができる。
以上説明したように、下肢運動機構1においては、保持手段5とガイド部材6によって回動板2の回動運動が足の上下運動へ効率よく変換されるため、利用者がハンドリム106を手動で回動させるという簡単な操作によって足の上下運動を行うことができる。このとき、足関節、膝関節及び股関節を同時に伸展及び屈曲させることが可能であるため、下肢全体が効率的に動かされ、起立や歩行機能の早期回復を実現することが可能である。さらに、これらの関節を選択的に運動させることが可能であるので、利用者個人の希望や状態に適合した運動を適宜調整しながら行うことができる。
また、シャフト3の後端3bは、車いす100の走行面107に対してスライド運動を行うことから、車いす100が傾斜面を走行する際もその傾斜角度に関わらずシャフト3の円弧運動を継続することができる。なお、この円弧運動は回動板2の回動方向に依存しないため、車いす100が前進及び後進する場合のいずれであっても足の運動を行うことが可能である。
また、シャフト3の後端3bは、車いす100の走行面107に対してスライド運動を行うことから、車いす100が傾斜面を走行する際もその傾斜角度に関わらずシャフト3の円弧運動を継続することができる。なお、この円弧運動は回動板2の回動方向に依存しないため、車いす100が前進及び後進する場合のいずれであっても足の運動を行うことが可能である。
さらに、ペダル4は、ガイド穴9に沿ったスライド運動及びペダル軸3cを中心とする回動運動が可能であることから、下肢全体の運動を滑らかに行うことができる。したがって、継続的に運動した場合であっても、下肢の痛みや疲労が発生し難い。
そして、ペダル4は、回動抑制部材11a,11bによって過度の回動が抑制されるとともに、足が上面4aから離れないように係止カバー10によって確実に保持されることから、足の踏み外し等を防止し、運動時の安全性を確保することができる。
また、ペダル4が長手方向へスライドするため、ペダル4に載置された足は、利用者にとって最も負担が少なくなるような軌道を描いて上下運動を行う。したがって、複数の利用者が体格の違いを気にせずに、共同で利用することができる。
そして、ペダル4は、回動抑制部材11a,11bによって過度の回動が抑制されるとともに、足が上面4aから離れないように係止カバー10によって確実に保持されることから、足の踏み外し等を防止し、運動時の安全性を確保することができる。
また、ペダル4が長手方向へスライドするため、ペダル4に載置された足は、利用者にとって最も負担が少なくなるような軌道を描いて上下運動を行う。したがって、複数の利用者が体格の違いを気にせずに、共同で利用することができる。
さらに、回動支持部材7では、固定部材7c〜7eによって、支点であるシャフト軸7aにかかる荷重が分散されるため、シャフト3や車体フレーム103の破損、変形等を防止できる。加えて、固定部材7c〜7eがシャフト3に装着された部分及びシャフト軸7aに対し、その側面を覆うように連結部材7bが設置されているため、車いす100の走行時等に誤って手指等を挟んで怪我をするおそれがなく、安全である。
そして、下肢運動機構1は、回動板2と、保持手段5と、ガイド部材6と、回動支持部材7と、シャフト3と、ペダル4などから成り、回動板2を回動する場合にモーター等の駆動手段を必要とせず、簡単な構造であることから、容易かつ安価に製造することが可能である。さらに、下肢運動機構1を金属製とすれば、十分に強度を確保できるため、破損し難く、長期的な使用にも耐え得るものとなる。また、全体的にコンパクトな構成であるため、車いすへ装着した際に走行の妨げとならない。また、車いすから取り外した場合でも嵩張らないため、収納が容易である。すなわち、製造や保管等に関して経済的負担が少ないため、個人や小規模な介護用品の貸出業者であっても容易に導入することができる。
なお、本発明の下肢運動機構は本実施例に示すものに限定されない。例えば、ガイド部材6の内部は、長手方向に沿って凹部や貫通孔が設けられ、この部分に沿ってレール溝が設けられていても良い。そして、シャフト3の後端3bは、スライド部材6aを介してガイド部材6に取り付けられるほか、このレール溝に嵌合した状態でスライド部材6aによってスライド自在に保持されてもよい。また、ペダル4のガイド穴9に沿って、ペダル軸3cを係止可能な複数の凹部や凸部が設けられた構造であっても良い。さらに、ペダル4の回動が抑制される角度θ、シャフト3の円弧運動の角度φ及びシャフト軸7aから後端3bまでのシャフト3の長さLは、実施例に示した値に限らず、適宜変更可能である。
請求項1乃至請求項5に記載された発明は、歩行機能等の早期回復を図るために、車いすに装着して下肢の運動を可能とする下肢運動機構として利用可能である。
1…下肢運動機構 2…回動板 2a,8b…留めネジ 2b…軸孔 3…シャフト 3a…前端 3b…後端 3c…ペダル軸 3d…ワッシャー 4…ペダル 4a…上面 4b…下面 5…保持手段 5a…中心ギヤ 5b,5c…ギヤ 6…ガイド部材 6a…スライド部材 7…回動支持部材 7a…シャフト軸 7b…連結部材 7c〜7e…固定部材 8…取付部 8a…ヒンジ 9…ガイド穴 9a…前面 9b…後面 10…係止カバー 11a,11b…回動抑制部材 12…軸体 100…車いす 101…後輪 102…前輪 103…車体フレーム 104…回動軸 105…座面 106…ハンドリム 107…走行面
Claims (5)
- 車体フレームの前後に前輪と後輪がそれぞれ配設された車いすに取り付けられる下肢運動機構であって、
前記後輪と一体として回動可能に前記後輪に固定される回動板と、
この回動板に設置される保持手段と、
この保持手段によって傾動不能に保持されるガイド部材と、
前記前輪の近傍において前記車体フレームに設置される回動支持部材と、
この回動支持部材によって傾動自在に支持されて前記前輪の前方へ前端が突出するように前記車体フレームの側方に配置されるシャフトと、
利用者の足を載置可能に前記シャフトの前端に傾動自在に連結されるペダルと、を備え、
前記シャフトの後端は、前記ガイド部材の長手方向へスライド自在に、かつ、回動自在に前記ガイド部材によって保持されることを特徴とする下肢運動機構。 - 前記保持手段は、後輪回動軸に対して回動不能に連結される中心ギヤと、
この中心ギヤに噛合し前記回動板に軸支される第1のギヤと、
この第1のギヤに噛合し前記回動板に軸支される第2のギヤと、からなり、
前記ガイド部材は、この第2のギヤに固着され、
前記後輪回動軸は、前記車体フレームに固定され前記後輪が回動自在に保持されることを特徴とする請求項1記載の下肢運動機構。 - 前記回動板は前記後輪に対して着脱自在に取り付けられ、前記回動支持部材は前記車体フレームに対して着脱自在に取り付けられ、前記中心ギヤは前記後輪回動軸に対して着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の下肢運動機構。
- 前記シャフトの前端近傍に立設されるペダル軸と、
前記ペダルに対して係止可能に前記シャフトに設けられる回動抑制部材と、
前記利用者の足を係止可能に前記ペダルの上面に設けられる係止部材と、を備え、
前記ペダルは、長手方向に沿って長く形成されるガイド穴が側面に設けられ、
前記ペダル軸は、このガイド穴の長手方向へスライド自在に、かつ、回動自在に前記ガイド穴によって保持されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の下肢運動機構。 - 前記回動支持部材は、
前記シャフトに対して直交するように設けられるシャフト軸と、
このシャフト軸を回動自在に保持する連結部材と、
この連結部材に接続されて前記車体フレームに対して着脱自在に形成される第1の固定部材及び第2の固定部材と、からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の下肢運動機構。
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