JP5389910B2 - アンスラサイクリン系化合物の安定な凍結乾燥製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、癌化学療法剤として有用であるアムルビシンまたはその薬学上許容される塩を含有する安定化された製剤、特に凍結乾燥製剤に関する。本発明はまた、それらアムルビシンまたはその薬学上許容される塩を含有する製剤、特に凍結乾燥製剤の製造方法に関する。
下記式(1):
Figure 0005389910
で示される(7S,9S)−9−アセチル−9−アミノ−7−[(2−デオキシ−β−D−エリスロ−ペントピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,11−ジヒドロキシ−5,12−ナフタセンジオン(以下、アムルビシンと称す。)およびその塩は、癌化学療法剤として有用であることが知られている(特許文献1参照)。かかるアムルビシンの塩酸塩には、数種の結晶形があるが、そのうちの特定の結晶が熱安定性に優れていることも知られている(特許文献2参照)。
アムルビシンなどのアンスラサイクリン系化合物は溶液中で不安定であるが、このような化合物を注射剤として製剤化する場合には粉末充填または凍結乾燥を施して用時溶解型の注射剤とする方法が一般に行われている。
また、アムルビシンの安定化された製剤として、L−システインまたはその塩を含有する製剤が知られている(特許文献3および特許文献4参照)。
特公平3−5397号公報(対応米国特許第4,673,668号明細書) 特許第2975018号公報(対応米国特許第6,376,469号明細書) 特許第2603480号公報(対応米国特許第4,952,566号明細書) 国際公開第2004/050098号パンフレット(対応米国特許出願公開第2006/0003949号明細書)
アムルビシンの代表的な分解物として、下記式(2):
Figure 0005389910
で示される脱糖体(以下、脱糖体(2)と称す。)および下記式(3):
Figure 0005389910
で示される脱アミノ体(以下、脱アミノ体(3)と称す。)が知られており、これら分解物は、アムルビシン製剤の製造工程や保存の過程で増加する傾向が認められている。従って、医薬品の品質保証という観点から、長期にわたりこれら分解物の増加をできるだけ抑制することは極めて重要であり、アムルビシン製剤をさらに安定化する方法の開発が望まれていた。
一方で、アムルビシン製剤の安定化方法として、前述の通り、製剤中にL−システインまたはその塩を添加する方法が知られている(特許文献3)。しかしながら、この方法により、脱アミノ体(3)の生成は抑制できるものの、条件によっては脱糖体(2)の生成が増加する場合があった。従って、本願発明の目的は、当該L−システイン含有製剤の脱糖体(2)の生成を抑制し、さらなる安定化を達成することである。
本発明者が鋭意研究した結果、アムルビシン凍結乾燥製剤を調製するにあたって、凍結乾燥前の水溶液中のアムルビシンまたはその薬学上許容される塩の濃度を一定範囲内にコントロールし、およびL−システインまたはその塩を組み合わせて使用することで、脱糖体(2)の生成が抑制され、長期保存時にも安定な凍結乾燥製剤が得られることを見出した。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 下記工程(1)〜(3)を含む、アムルビシン凍結乾燥製剤の製造方法:
(1)(a)アムルビシンまたはその薬学上許容される塩、および、(b)L−システインまたはその塩を含有し、アムルビシンまたはその薬学上許容される塩の濃度が約7.5mg(力価)/mL〜約30mg(力価)/mLである水溶液を調製し、
(2)(1)の水溶液を無菌濾過し、
(3)(2)で得られた水溶液を凍結乾燥する。
[2] L−システインの塩が塩酸塩である、[1]記載の製造方法。
[3] アムルビシンの塩が塩酸塩である、[1]または[2]のいずれか記載の製造方法。
[4] 工程(1)の水溶液のアムルビシンまたはその薬学上許容される塩の濃度が約7.5mg(力価)/mL〜約25mg(力価)/mLである、[1]〜[3]のいずれか一項記載の製造方法。
[5] さらに賦形剤を含む、[1]〜[4]のいずれか一項記載の製造方法。
[6] 賦形剤として乳糖を含む、[5]記載の製造方法。
[7] アムルビシンの塩が粉末X線回折図において回折角(2θ):6.3±0.3、10.1±0.3、20.3±0.3、26.5±0.3および26.9±0.3度に主ピークを示す結晶性塩酸アムルビシンである、[1]〜[6]のいずれか一項記載の製造方法。
[8] アムルビシンまたはその薬学上許容される塩を含有する製剤であって、アムルビシンまたはその塩を約7.5mg(力価)/mL〜約30mg(力価)/mL含有する水溶液を凍結乾燥することによって製造される凍結乾燥製剤。
[9] L−システインまたはその塩を含有する、[8]記載の凍結乾燥製剤。
[10] L−システインまたはその塩の含有量がアムルビシンまたはその塩100mg(力価)に対し約0.5〜約250mgである、[9]記載の凍結乾燥製剤。
[11] L−システインまたはその塩の含有量がアムルビシンまたはその塩100mg(力価)に対し約3〜約45mgである、[9]記載の凍結乾燥製剤。
[12] アムルビシンの塩が塩酸塩である、[8]〜[11]のいずれか一項記載の凍結乾燥製剤。
[13] L−システインの塩が塩酸塩である、[9]〜[12]のいずれか一項記載の凍結乾燥製剤。
[14] 製剤中の水分が凍結乾燥粉末重量に対して0〜約4重量%である、[8]〜[13]のいずれか一項記載の凍結乾燥製剤。
[15] 製剤中の水分が凍結乾燥粉末重量に対して約0.5〜約3.5重量%である、[8]〜[13]のいずれか一項記載の凍結乾燥製剤。
[16] 製剤中の水分が凍結乾燥粉末重量に対して約0.5〜約2.0重量%である、[8]〜[13]のいずれか一項記載の凍結乾燥製剤。
[17] [1]から[7]のいずれか一項記載の製造方法によって製造される、凍結乾燥製剤。
本発明は、凍結乾燥前のアムルビシンまたはその薬学上許容される塩の水溶液濃度を一定の範囲内にコントロールし、およびL−システインまたはその塩を組み合わせて使用することにより、アムルビシンの分解産物である脱糖体の生成を抑制することができ、長期保存時にも一層安定な凍結乾燥製剤を得ることができる。
様々な塩酸アムルビシン濃度の水溶液を調製し、小型凍結乾燥機で製造した凍結乾燥製剤を40℃−3ヶ月の安定性試験(実験例1)に供した際の、分解物の一つである脱糖体(2)の生成量を表すグラフである。
様々な塩酸アムルビシン濃度の水溶液を調製し、大型凍結乾燥機で製造した凍結乾燥製剤を40℃−6ヶ月の安定性試験(実験例2)に供した際の、分解物の一つである脱糖体(2)の生成量を表すグラフである。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本明細書において、特に記載した場合を除き、脱糖体(2)および脱アミノ体(3)の含量は、アムルビシンの配合量に対する重量%を表す。脱糖体(2)および脱アミノ体(3)の含量は、HPLC法(アムルビシン標準品を標準とした絶対検量線法)により測定することができる。
本明細書において、特に記載した場合を除き、製剤中の「水分」とは凍結乾燥粉末重量に対しての重量%を表す。製剤中の水分は、公知の測定方法、例えばカールフィッシャー法により測定することができる。
アムルビシンの薬学上許容される塩としては、酸付加塩および塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩、トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩等が挙げられる。好ましい薬学上許容される塩として塩酸塩等を挙げることができる。
塩酸アムルビシンの場合には、より安定な結晶形である、β型結晶性塩酸アムルビシン(粉末X線回折図において回折角(2θ):6.3±0.3、10.1±0.3、20.3±0.3、26.5±0.3および26.9±0.3度に主ピークを示す結晶性塩酸アムルビシン;特許第2975018号公報)を用いることがより好ましい。粉末X線回折パターンは、リガク電機(株)のX線回折装置RINT2500VによりCu・Kαの1.541Åを用いて測定することができる。
本発明の凍結乾燥製剤を安定化するために添加されるアミノ酸としては、L−システインまたはその塩が挙げられる。L−システインの塩としては通常は塩酸塩が用いられ、その他の塩としては硫酸塩などが挙げられる。L−システインまたはその塩は、その水和物等の溶媒和物であってもよい。例えば好ましいものとして、L−システイン塩酸塩一水和物が挙げられる。
L−システインまたはその塩の添加量および添加方法としては特に限定されないが、アムルビシンの安定化度あるいは添加物の薬理活性などの関係から、例えばアムルビシンまたはその薬学上許容される塩100mg(力価)に対して約0.5〜約250mg、好ましくは約3〜約80mg、さらに好ましくは約3〜約45mgが適当である。特に好ましくは、アムルビシンまたはその塩100mg(力価)に対して、L−システインを約5〜約20mgの範囲で、またはそれに相当する量のL−システイン塩を添加することが適当である。ここで、「それに相当する量のL−システイン塩」とは、含まれるL−システインの量が等モルであることを表す。例えば、L−システイン121.2mgに「相当する量の」L−システイン塩酸塩は157.6mgであり、同様に、「相当する量の」L−システイン塩酸塩一水和物は175.6mgである。L−システイン塩としてL−システイン塩酸塩一水和物を用いる場合、「約5〜約20mgの範囲のL−システイン」に相当する量とは、L−システイン塩酸塩一水和物約7.2〜約29mgである。
本発明の凍結乾燥製剤において、必要ならば通常の製剤成分として添加されうる賦形剤等の添加物を加えてもよい。賦形剤としては、例えば、乳糖、ショ糖、パラチノース、ブドウ糖、マルトース、果糖、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、イノシトール、デキストラン、ソルビトール、アルブミンおよびこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。好ましい賦形剤としては、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マルトース、果糖、マンニトール、キシリトール、イノシトール、デキストランおよびこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。さらに好ましくは、乳糖、マンニトールおよびこれらの混合物が挙げられる。本発明で用いる賦形剤の添加量は、本発明の効果を奏すれば特に制限されないが、使用感や抗癌効果などを考慮して適宜選択して用いることができる。
凍結乾燥製剤中の水分は0〜約4重量%、好ましくは0〜約3.5重量%、より好ましくは約0.5〜約3.5重量%、さらに好ましくは約0.5〜約2.0重量%が安定化のために効果的である。
凍結乾燥製剤の製法は、例えば(a)アムルビシンまたはその薬学上許容される塩、(b)L−システインまたはその塩および必要に応じ賦形剤等を注射用蒸留水に溶解し、無菌濾過した液をバイアル瓶に充填して凍結乾燥を施し粉末状態で製剤とするもので、注射剤はこの状態で保存がおこなわれ、用時水に溶解されて投与に使用される。
本発明の特徴は、上記凍結乾燥製剤の製造方法において、凍結乾燥前の水溶液濃度をアムルビシンまたはその薬学上許容される塩の濃度が約7.5mg(力価)/mL以上であるように調製することにある。後述の実施例に示すとおり、本発明者らは、凍結乾燥前の水溶液濃度が約7.5mg(力価)/mL以上であることにより、それ未満の濃度で製造した凍結乾燥製剤よりもさらに優れた安定性を示すことを見出した。凍結乾燥前の水溶液濃度として、より好ましくは約8.0mg(力価)/mL以上であり、さらに好ましくは約9.0mg(力価)/mL以上である。
凍結乾燥前の水溶液濃度の上限は、含有される成分が溶解する限り特に制限されないが、アムルビシンまたはその薬学上許容される塩の濃度として、好ましくは約90mg(力価)/mL以下である。溶解の容易さ、充填液量の制御等、製造上の理由により、アムルビシンまたはその塩の濃度として、さらに好ましくは約30mg(力価)/mL以下であり、一層好ましくは約25mg(力価)/mL以下であり、より一層好ましくは約20mg(力価)/mL以下である。
また、(a)アムルビシンまたはその薬学上許容される塩、(b)L−システインまたはその塩および必要に応じ賦形剤等を注射用蒸留水に溶解した水溶液は、無菌濾過する前に微量の塩基および/または酸でpH調整することが好ましい。pHはアムルビシンの特性から考えてpH約1.9〜約5.0の間に調整されていることが望ましく、より好ましくはpH約1.9〜約3.0の範囲が挙げられる。pH調節剤として用いることのできる塩基としては、例えばアルカリ金属(例えばナトリウム、カリウムなど)の水酸化物、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム、カルシウムなど)の水酸化物、弱酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。pH調節剤として用いることのできる塩基の好ましい具体例としては、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが挙げられる。pH調節剤として用いることのできる酸としては、例えば塩酸、硫酸などが挙げられる。
本発明のアムルビシンまたはその薬学上許容される塩を含有する安定化された凍結乾燥製剤は、癌化学療法剤として、種々の癌疾患の治療に用いることができる。治療対象となる癌は、特に制限されないが、血液癌および固型癌等を含む癌疾患が挙げられる。ヒトの治療に用いる場合の投与量としては、静脈内投与の場合、例えばヒトの体表面積mあたり1日量5〜300mg、好ましくは20〜250mg、更に好ましくは35〜160mgの範囲で連続点滴投与して処置することができる。投与スケジュールとしては、例えば単回投与、1日1回3日間連日投与等を挙げることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例、実験例においては、特許第2975018号公報記載の方法により製造された、β型結晶性塩酸アムルビシンを使用した。
実施例1:小型凍結乾燥機により製造した凍結乾燥製剤の保存安定性
塩酸アムルビシン20mg(力価)に対してL−システイン塩酸塩一水和物3.2mg、賦形剤としてラクトース(乳糖)50mg、pH調節剤として水酸化ナトリウム0.13mgを加えて塩酸アムルビシンの濃度が2.5mg/mL、5mg/mL、7.5mg/mL、10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、または30mg/mLになるよう、それぞれ注射用蒸留水8mL、4mL、2.67mL、2mL、1.33mL、1mL、または0.67mLに溶解し無菌濾過をおこない、ガラス製バイアルに充填した。これを小型凍結乾燥機(乾燥庫容量約0.5m)(ULVAC製、型式DMF−13A−特)に入れ、充分凍結した後、温度と真空度を制御しながら凍結乾燥ケーキが融解しないように水分を乾燥した後、ゴム栓及びキャップシールすることにより凍結乾燥製剤を得た。得られた凍結乾燥製剤について、水分を測定していずれも十分に乾燥していることを確認した後、40℃−1箇月、40℃−3箇月の保存安定性試験を行った。分解物である脱糖体(2)または脱アミノ体(3)の測定結果(HPLC法により測定)を表1に示す。さらに、当該脱糖体(2)の40℃−3ヶ月の試験時の測定結果のグラフを図1に示す。
Figure 0005389910
上記安定性データに見られるように、長期保存時の脱糖体(2)の生成量は、凍結乾燥前の水溶液中の塩酸アムルビシン濃度に依存し、塩酸アムルビシン濃度を7.5〜30mg/mLの範囲内にコントロールして調製した場合の凍結乾燥製剤は、比較例として2.5および5.0mg/mLの濃度にコントロールして調製した場合の凍結乾燥製剤と比べて安定性の向上、特に脱糖体(2)生成の抑制が認められ、長期保存時にも十分安定な凍結乾燥製剤であることが確認された。また、脱アミノ体(3)の生成量は塩酸アムルビシン濃度による差は認められず、いずれの場合も低かった。
実施例2:大型凍結乾燥機により製造した凍結乾燥製剤の保存安定性
塩酸アムルビシン50mg(力価)に対してL−システイン塩酸塩一水和物8mg、賦形剤としてラクトース(乳糖)125mg、pH調節剤として水酸化ナトリウム0.31mgを加えて塩酸アムルビシンの濃度が5mg/mL、10mg/mL、12.5mg/mL、または25mg/mLになるよう、それぞれ注射用蒸留水10mL、5mL、4mL、または2mLに溶解し無菌濾過をおこない、ガラス製バイアルに充填した。これを大型凍結乾燥機(乾燥庫容量約12.4m)(ULVAC製、型式DFB5150−5BS−ST/CIP/CCV)に入れ、充分凍結した後、温度と真空度を制御しながら凍結乾燥ケーキが融解しないように水分を乾燥した後、ゴム栓及びキャップシールすることにより凍結乾燥製剤を得た。得られた凍結乾燥製剤について、水分を測定していずれも十分に乾燥していることを確認した後、40℃−1ヶ月、40℃−3ヶ月、40℃−6ヶ月の保存安定性試験を行った。分解物である脱糖体(2)の測定結果(HPLC法により測定)を表2に示す。さらに、当該脱糖体(2)の40℃−6ヶ月の試験時の測定結果のグラフを図2に示す。
Figure 0005389910
上記安定性データに見られるように、長期保存時の脱糖体(2)の生成量は、凍結乾燥前の水溶液中の塩酸アムルビシン濃度に依存し、塩酸アムルビシン濃度を10mg/mL、12.5mg/mL、または25mg/mLにコントロールして調製した場合の凍結乾燥製剤は、比較例としての5mg/mLの濃度にコントロールして調製した場合の凍結乾燥製剤と比べて脱糖体(2)生成の抑制が認められ、長期保存時にも十分安定な凍結乾燥製剤であることが確認された。
以上述べた、本願発明によるアムルビシン凍結乾燥製剤の更なる安定化により、安定に保存できる期間の延長が期待できる。
本発明により、癌化学療法剤として有用であるアムルビシンの、長期保存時にも十分安定な凍結乾燥製剤を得ることができるため、工業的利用価値が高い。

Claims (9)

  1. 下記工程(1)〜(3)を含む、アムルビシン凍結乾燥製剤の製造方法:
    (1)(a)アムルビシンまたはその薬学上許容される塩、および、(b)L−システインまたはその塩を含有し、アムルビシンまたはその薬学上許容される塩の濃度が7.5mg(力価)/mL〜30mg(力価)/mLである水溶液を調製し、
    (2)(1)の水溶液を無菌濾過し、
    (3)(2)で得られた水溶液を凍結乾燥する。
  2. L−システインの塩が塩酸塩である、請求項1記載の製造方法。
  3. アムルビシンの塩が塩酸塩である、請求項1または2のいずれか記載の製造方法。
  4. 工程(1)の水溶液のアムルビシンまたはその薬学上許容される塩の濃度が7.5mg(力価)/mL〜25mg(力価)/mLである、請求項1〜3のいずれか一項記載の製造方法。
  5. さらに賦形剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の製造方法。
  6. 賦形剤として乳糖を含む、請求項5記載の製造方法。
  7. アムルビシンの塩が粉末X線回折図において回折角(2θ):6.3±0.3、10.1±0.3、20.3±0.3、26.5±0.3および26.9±0.3度に主ピークを示す結晶性塩酸アムルビシンである、請求項1〜6のいずれか一項記載の製造方法。
  8. アムルビシンまたはその薬学上許容される塩を含有する製剤であって、アムルビシンまたはその塩を7.5mg(力価)/mL〜30mg(力価)/mL含有する水溶液を凍結乾燥することによって製造される凍結乾燥製剤であって、
    L−システインまたはその塩を含有する、凍結乾燥製剤。
  9. L−システインまたはその塩の含有量がアムルビシンまたはその塩100mg(力価)に対し0.5〜250mgである、請求項記載の凍結乾燥製剤。
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