JP5389709B2 - 筆記具用インキカートリッジ及びそれを用いた筆記具 - Google Patents
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しかしながら、水性インキに比べて蒸気圧が高い油性インキをカートリッジ内に収容した場合、保管時に温度や気圧の変化に伴って内圧が上昇し、栓体がずれたり外れたりすることで、インキ漏れを生じることがある。
また、収容するインキを増量した場合、落下等によって容器内方から栓体にかかる力(インキによる押圧力)が増加し、栓体がずれたり外れたりすることでインキ漏れを生じることがある。
更に、前記蓋体が、少なくとも容器壁面と栓体に接触する形状であること、前記蓋体が、容器壁面を挟持すること、前記蓋体と容器外壁との間に、筆記具尾栓の開口端を嵌入する隙間部が形成されること、前記蓋体が、容器内壁間で挟持されると共に、容器の開口端部から外方に延設される凸部を備えてなること、20℃における主溶剤の蒸気圧が5mmHg〜80mmHgの範囲にある油性インキを収容してなることを要件とする。
更には、前記いずれかに記載の筆記具用インキカートリッジを収容又は保持してなる筆記具を要件とし、前記筆記具が、本体後方に一端を開口する着脱可能な尾栓を備えており、前記尾栓を外すことでカートリッジ交換が可能となることを要件とする。
尚、本発明において「上」とは、容器の開口方向を示し、「下」とは、容器の底部(閉鎖部)側を示し、「前」とは、筆記具のペン先側を示し、「後」とは、筆記具の軸側を示す。
また、前記栓体を取り付けた筆記具用インキカートリッジを筆記具に収容又は保持することで、インキがペン先に供給されていない状態でセリースに内包して陳列する場合であっても、同一セリース内で筆記具とインキカートリッジを並列配置した時のように横幅を大きくすることがなく、吊下げ陳列時に生じやすい落下による開栓(衝撃や筆記具内の突起部との接触による)等の不具合を抑制できるため、販売時の小スペース化と吊下げ陳列が可能となる。
また、前記容器は透明、不透明のいずれであってもよいが、外側からインキ収容量が視認できるように、透明性を有する材質で形成することが好ましい。
更に、容器の内壁面には、軸方向に伸びるリブや溝を設けることができる。これにより、筆記具接続時のインキの誘導性を高めたり、透明性を有する場合には外側からの視認性を高めることが可能となる。
前記栓体は、容器嵌着時において、インキ収容部内側からの抜け力が1.5kg/cm2以上になるように設定されることが好ましい。これにより、内圧変化が大きい場合であっても、内側からの押力で栓体が外れることを防止できる。
前記油性インキとしては、主溶剤にアルコール、ケトン、エステル、炭化水素、グリコールエーテル等の有機溶剤が用いられ、具体的には、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルイソブチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ギ酸n−ブチル、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸プロピル等を例示できる。
前記有機溶剤は一種又は二種以上を混合して用いてもよく、インキ組成中30〜90重量%の範囲で用いられる。
前記蓋体により栓体の移動を確実に抑制するために、少なくとも容器壁面と栓体上面とで接触するような形状で蓋体を形成することが好ましい。その際、前記壁面や栓体とは面接触或いは二点以上で接触する形状が好適である。
具体的には、蓋体により容器を挟持する嵌着方法として、蓋体が容器壁面を内側と外側から挟持する形状や、対向する容器壁面を外側から挟持する形状が挙げられる。また、容器により蓋体を挟持する嵌着方法(即ち、容器開口部内に蓋体を圧入する嵌合方法)として、蓋体が容器内壁間に挟持(嵌合)されると共に、着脱時の摘み部として、容器の開口端部から外方(上側)に延設される凸部を形成した形状等が例示できる。
前記蓋体はいずれも、保管状態では容器の開口部側で確実に保持されると共に、使用時(筆記具取付時)には、容易に外すことができるように嵌着される。
更に、前記蓋体が前軸の後端開口部内に嵌入する形状や前軸後端を把持する形状等とすることで、前軸後端とも接続状態を維持できるようになるため、筆記具形態での保管が可能となる。
例えば、繊維ペン体、フェルトペン体、プラスチックペン体、万年筆型金属ペン体等のマーキングペンチップや、ボールペンチップをペン先として軸筒前方の筆記先端部に装着し、軸筒内部に筆記先端部と接続状態に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体に、インキカートリッジ内のインキを誘導し、該インキを筆記先端部に供給する構造、筆記先端部後方に櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させ、該インキ流量調節部材の後方にインキカートリッジを取り付ける構造、軸筒内部の筆記先端部とインキカートリッジとの間に弁機構を設け、前記筆記先端部に所定量のインキを供給する構造のマーキングペン(サインペン、フェルトペン、筆ペン等)やボールペンが挙げられる。
尚、前記筆記具には、インキカートリッジを取り付けた際に栓体の特定位置を押圧するための突起部を設けることが好ましい。これにより、小さい押圧力で容易に栓体を外すことが可能なものとなる。
例えば、前記筆記具の構造としては、本体後方に一端を開口する着脱可能な尾栓を備えており、該尾栓を外すことでカートリッジ交換が可能となる構造の筆記具が好適である。蓋付インキカートリッジを収容できない場合の保持方法としては、蓋体自体や、蓋体と容器外壁との間に、尾栓の開口端を嵌入する隙間部を形成して尾栓と蓋付インキカートリッジを接続すると共に、筆記具本体側(前軸)に対して蓋体を直接圧入したり、溝部形成により嵌入することで接続保持する方法が適用できる。
図1は本発明の第一の形態の筆記具用インキカートリッジを表す断面図であり、図2は第二の形態の筆記具用インキカートリッジを表す断面図である。また、図3は第三の形態の筆記具用インキカートリッジを保持したマーキングペンを表す断面図である。
筆記具用インキカートリッジ1は、上端を開口し下端が閉鎖された有底円筒状体であり、合成樹脂(具体的にはポリプロピレン樹脂)の射出成形またはブロー成形により得られる容器2の上方開口部分の内側壁面に栓体3が嵌着され、更に上方に蓋体5が嵌着されている。また、前記容器2内には、油性インキ4が直接収容されるインキ収容部21(内径1.4cm、容積6cm3)が設けられると共に、栓体3が嵌着される環状突部22が形成されている。
前記構造とすることで、栓体接触部52の下面が栓体3の上面(本実施例では突起31の上面)と面接触した状態で、挟持部51により容器(開口部24)を外側から挟持する(即ち、開口部24を挟持部51で外嵌する)ことで蓋体5を嵌着できる。
そのため、開口部に容易に取り付けることが可能であると共に取付状態では、落下によって栓体3がインキ4で押圧された場合や、温度変化や内圧変化に伴いインキ収容部21内のインキ溶剤が気化して栓体3が外方に押圧された場合であっても、開口端部25方向に栓体3が移動することを抑制できるため、不用意なインキ漏れを防止できる。
また、外筒部分(挟持部51)を上方に引き上げることで、蓋体5を容易に取り外すことができるため、使用時(筆記具取付時)には筆記具にカートリッジを容易に装着できる。
尚、本実施例では蓋体5の上方視認形状を円形として開口部全体を被覆しているが、上方視認形状を非円形(例えば略長方形)とし、蓋体5を小さくして適用することもできる。
筆記具用インキカートリッジ1は、上方に嵌着される蓋体5以外は実施例1と同様の形態で構成されている。
前記蓋体5は、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等)の射出成形により得られる円板状体の上下両面に突起を備えた独楽状物であり、円板の外周が開口部24(開口端部25)によって挟持される被挟持部51となっている。また、円板の下面に形成される突起の底部には、栓体3の突起31と緩く嵌合する凹部が形成されており、該凹部の内壁面が栓体接触部52として機能している。尚、栓体3が突起31を有しない場合、下側突起の底部を平滑面とし、該底部(栓体接触部52)が栓体3上面と当接(面接触)するように構成すればよい。
更に、円板の上面に形成される突起は、開口端部25より外方(上方)に延設される円柱部であり、蓋体着脱時に把持するための把持用凸部53となっている。
そのため、把持用凸部53を持って開口部に容易に取り付けることが可能であると共に、取付状態では、落下によって栓体3がインキ4で押圧された場合や、温度変化や内圧変化に伴いインキ収容部21内のインキ溶剤が気化して栓体3が外方に押圧された場合であっても、栓体3が開口端部25方向に移動することを抑制できるため、不用意なインキ漏れを防止できる。
また、把持用凸部53を上方に引き上げることで、蓋体5を容易に取り外すことができるため、使用時(筆記具取付時)には筆記具にカートリッジを容易に装着できる。
尚、本実施例では蓋体5の上方視認形状を円形として開口部内周面全体で円板部外周を挟持し、開口部全面を被覆しているが、開口部24内周の対向面で非円板状物(例えば上方視認形状が略長方形)の被挟持部51を挟持するように形成し、蓋体5を小さくして適用することもできる。
筆記具用インキカートリッジ1は、上方に嵌着される蓋体5以外は実施例1と同様の形態で構成されている。
前記蓋体5は、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等)の射出成形により得られる二重筒状体(上方で接続される)であり、内筒底部が栓体3を押圧接触する栓体接触部52となっている。また、外筒部分の内壁にはリブ状の挟持部が全周に亘って複数個形成されており、更に外筒部分は、挟持部が形成された部分より下方に延設されており、該延設部は容器2と非接触となるような形状に成形されている。
前記構造とすることで、延設部54と容器2(開口部24)との間に隙間部61を形成できると共に、栓体接触部52の下面が栓体3の上面と円形に接触した状態で、外筒(挟持部)により容器の開口部近傍を外側から挟持する(即ち、開口部24を挟持部51で外嵌する)ことで蓋体5を嵌着できる。
そのため、開口部に容易に取り付けることが可能であると共に、取付状態では、落下によって栓体3がインキ4で押圧された場合や、温度変化や内圧変化に伴いインキ収容部21内のインキ溶剤が気化して栓体3が外方に押圧された場合であっても、開口端部25方向に栓体3が移動することを抑制できるため、不用意なインキ漏れを防止できる。
また、外筒部分(延設部54)を上方に引き上げることで、蓋体5を容易に取り外すことができるため、使用時(筆記具取付時)には筆記具にカートリッジを容易に装着できる。
尚、本実施例では蓋体5の上方視認形状を円形として開口部全体を被覆しているが、上方視認形状を非円形(例えば略長方形)とし、蓋体5を小さくして適用することもできる。
前記前軸7の内面には、前後方向に延びる複数本のリブが一体に形成されており、該リブにインキ吸蔵体73の外周面が圧接保持される。また、前記先細部内面にもリブが形成され、ペン先74の外周面が圧接保持される。
前記リブにより、インキ吸蔵体73の外周面と前軸7の内面との間、ペン先74外周面と先細部内面との間に空気通路が形成される。
前軸7側では、後端開口部71に蓋体3が圧入されて蓋付インキカートリッジ1を保持しており、尾栓8側では、蓋体5の延設部54と容器2(開口部24)との間に形成される隙間部61に、尾栓8の開口端部81を嵌入することで蓋付インキカートリッジ1と接続されている。そのため、一本の筆記具形態を維持したまま未開封のインキカートリッジが長期間安定して保持できる。
2 容器
21 インキ収容部
22 環状突部
23 空間部
24 開口部
25 開口端部
3 栓体
31 突起
4 油性インキ
5 蓋体
51 挟持部(被挟持部)
52 栓体接触部
53 把持用凸部
54 延設部
6 筆記具
61 隙間部
7 前軸
71 後端開口部
72 中間部材
73 インキ吸蔵体
74 ペン先
8 尾栓
81 開口端部
9 キャップ
Claims (8)
- 一端が開口され且つ他端が閉鎖された容器と、該容器を密栓する栓体とからなり、前記容器の開口部内に栓体を嵌着することによって内部にインキ収容部を構成してなる筆記具用インキカートリッジであって、前記栓体が容器の開口端部方向に移動することを抑制する蓋体が設けられることを特徴とする筆記具用インキカートリッジ。
- 前記蓋体が、少なくとも容器壁面と栓体に接触する形状であることを特徴とする請求項1記載の筆記具用インキカートリッジ。
- 前記蓋体が、容器壁面を挟持することを特徴とする請求項2記載の筆記具用インキカートリッジ。
- 前記蓋体と容器外壁との間に、筆記具尾栓の開口端を嵌入する隙間部が形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の筆記具用インキカートリッジ。
- 前記蓋体が、容器内壁間で挟持されると共に、容器の開口端部から外方に延設される凸部を備えてなることを特徴とする請求項2に記載の筆記具用インキカートリッジ。
- 20℃における主溶剤の蒸気圧が5mmHg〜80mmHgの範囲にある油性インキを収容してなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の筆記具用インキカートリッジ。
- 前記請求項1乃至6のいずれかに記載の筆記具用インキカートリッジを収容又は保持してなる筆記具。
- 前記筆記具が、本体後方に一端を開口する着脱可能な尾栓を備えており、前記尾栓を外すことでカートリッジ交換が可能となる請求項7記載の筆記具。
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