以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。以下では、デジタル複合機として本発明を具体化する。
図1は本実施形態におけるデジタル複合機の全体構成の一例を示す概略構成図である。図1に示すように、複合機100は、画像読取部120および画像形成部140を含む本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102とを備える。本体101の上面には原稿台103が設けられており、原稿台103はプラテンカバー102によって開閉されるようになっている。また、プラテンカバー102は、原稿搬送装置110と原稿トレイ111と排紙トレイ112を備えている。
原稿台103の下方には、画像読取部120が設けられている。画像読取部120は、原稿の画像を読み取りその画像のデジタルデータを生成する。原稿は、原稿台103に載置することができる。原稿台103の下方には走査光学系121が配置されている。走査光学系121は、第1キャリッジ122や第2キャリッジ123、集光レンズ124を備える。第1キャリッジ122には線状の光源131およびミラー132が設けられ、第2キャリッジ123にはミラー133および134が設けられている。光源131は原稿を照明する。ミラー132、133、134は、原稿からの反射光を集光レンズ124に導き、集光レンズ124はその光像をラインイメージセンサ125の受光面に結像する。この走査光学系121において、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123は、副走査方向135に往復動可能に設けられている。第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を副走査方向135に移動することによって、原稿台103に載置された原稿の画像をイメージセンサ125で読み取ることができる。イメージセンサ125は、受光面に入射した光像から、原稿の画像データを生成する。
また、原稿は、原稿トレイ111に載置することもできる。原稿搬送装置110は、ピックアップローラ113により原稿トレイ111にセットされた原稿を1枚ずつ搬送路116へ送り出す。その搬送路116上には画像読取位置Pがある。搬送ローラ114は画像読取位置Pへ原稿を搬送する。原稿トレイ111にセットされた原稿の画像を読み取る場合、画像読取部120は、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を画像読取位置Pに合わせて一時的に固定する。原稿が画像読取位置Pを通過するとき、光源131は原稿を照明する。光源131からの光は、原稿台103を透過して原稿読取位置Pを通過する原稿において反射し、ミラー132、133、134、集光レンズ124によってイメージセンサ125に導かれる。イメージセンサ125は、受光光に基づいて、例えば、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色に対応する画像データを生成する。画像読取位置Pを通過した原稿は、排紙ローラ115により排紙トレイ112に排出される。
画像形成部140は、画像読取部120で得た画像データや、ネットワーク162に接続された他の機器(図示せず)からネットワークアダプタ161を介して受信した画像データを用紙に印刷する。画像形成部140は、感光体ドラム141を備える。感光体ドラム141は一定速度で一方向に回転する。感光体ドラム141の周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器142、露光器143、現像器144、中間転写ベルト145が配置されている。帯電器142は、感光体ドラム141表面を一様に帯電させる。露光器143は、一様に帯電した感光体ドラム141の表面に、画像データに応じて光を照射し、感光体ドラム141上に静電潜像を形成する。現像器144は、その静電潜像にトナーを付着させ、感光体ドラム141上にトナー像を形成する。中間転写ベルト145は、感光体ドラム141上のトナー像を用紙に転写する。画像データがカラー画像である場合、中間転写ベルト145は、各色のトナー像を同一の用紙に転写する。なお、RGB形式のカラー画像は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)形式の画像データに変換され、各色の画像データが露光器143に入力される。
画像形成部140は、手差しトレイ151、給紙カセット152、153、154等から、中間転写ベルト145と転写ローラ146との間の転写部に用紙を給送する。手差しトレイ151や各給紙カセット152、153、154には、様々なサイズの用紙を載置または収容することができる。画像形成部140は、ユーザの指定した用紙や、自動検知した原稿のサイズに応じた用紙を選択し、選択した用紙を給送ローラ155により手差しトレイ151やカセット152、153、154から引き出す。引き出した用紙は搬送ローラ156やレジストローラ157で転写部に送り込む。トナー像を転写した用紙は、搬送ベルト147により定着器148に搬送される。定着器148は、ヒータを内蔵した定着ローラ158および加圧ローラ159を有しており、熱と押圧力によってトナー像を用紙に定着する。画像形成部140は、定着器148を通過した用紙を排紙トレイ149へ排紙する。
図2は複合機が備える操作パネルの外観の一例を示す図である。ユーザは、操作パネル200を用いて、上述のような複合機に複写開始やその他の指示を与えたり、複合機100の状態や設定を確認したりすることができる。操作パネル200には、タッチパネル付きディスプレイ201や操作ボタン203が配置されている。ユーザは、例えば、タッチペン202を使用して、ディスプレイ201を通じて入力を行うことができる。
ディスプレイ201は、設定部204およびメッセージ表示部205を有する操作画面を表示する。設定部204には、複数のタブ206が用意されている。「基本」タブは、用紙のサイズや向き、複写倍率、濃度などの設定に使用される。「基本」タブは、その設定のためボタンなどの各種の要素を有している。例えば「濃度設定」ボタン207を押す操作をユーザが行うと、濃度の数値を指定するためのウィンドウがそのタブ上に重ねて表示される。図2の例では、「基本」タブのほか、「ユーザ機能」、「機能リスト」、「プログラム」タブも設けられている。ユーザは、タブボタン208を選択する(触れる)操作を行うことによって、これらのタブの表示を切り替えることができる。一つのタブが選択されている間、操作画面上で他のタブやその要素は隠れている。
メッセージ表示部205は、複写が可能かどうかや用紙の補給が必要かどうかなどの複合機の状態や、複写部数などの設定をユーザに知らせるメッセージを表示する。この表示には、複合機100が備える各種のセンサの検知結果やユーザの操作結果が反映される。
操作キー203は、主電源キー209、テンキー210やスタートキー211、クリアキー212等を含む。例えば、主電源キー209は、複合機100の主電源のON、OFFの切り替えに使用される。テンキー210は、複写部数の指定や複写倍率の設定に用いることができる。ユーザがそれらの設定をすると、複合機は、例えば「コピーできます(設定あり)」のようなメッセージを表示部205に表示し、ユーザによる設定が行われたことを通知する。スタートキー211は、複写や画像印刷の開始指示に使用される。ユーザは、自身でした設定を解除する場合、クリアキー212を操作する。ユーザによる設定を機械が受け付けているかどうかは上述のメッセージで判断することができるので、その設定が不要になれば、クリアキー212を操作すればよい。
図3は、複合機における制御系のハードウェア構成図である。本実施形態の複合機100は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304および原稿搬送装置110、画像読取部120、画像形成部140における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。ROM303やHDD304等はプログラムを格納しており、CPU301はその制御プログラムの指令にしたがって複合機100を制御する。例えば、CPU301はRAM302を作業領域として利用し、ドライバ305とデータや命令を授受することにより上記各駆動部の動作を制御する。また、HDD304は、画像読取部120により得られた画像データや、他の機器からネットワークアダプタ161を通じて受信した画像データの蓄積にも用いられる。
内部バス306には、操作パネル200や各種のセンサ307も接続されている。操作パネル200は、ユーザの操作を受け付け、その操作に基づく信号をCPU301に供給する。また、ディスプレイ201は、CPU301からの制御信号にしたがって上述の操作画面を表示する。また、センサ307は、プラテンカバー102の開閉検知センサや原稿台103上の原稿検知センサ、定着器148の温度センサ、搬送される用紙または原稿の検知センサなど各種のセンサを含む。CPU301は、例えばROM303に格納されたプログラムを実行することで、以下の各手段を実現するとともに、これらセンサからの信号に応じて各手段の動作を制御する。
図4は、複合機の機能ブロック図である。設定入力部401は、画像形成部140における画像データの印刷に適用する印刷条件をユーザが入力するために使用される。本実施形態では、ディスプレイ201が設定入力部401として機能する。印刷条件保持部402は、設定入力部401を通じて入力された印刷条件を保持する。ここで、印刷条件とは、用紙サイズ、印刷濃度、印刷品質、倍率、レイアウト、カラーモード、カラーバランス、後処理(パンチ穴あけ、ステープル)等、用紙上への画像印刷に際し画像形成部140に設定可能な条件である。また、後で詳述するように、本実施形態では、ユーザが、印刷条件を構成する複数の設定項目についてそれぞれ複数の設定値を有する印刷条件を設定する場合がある。なお、本実施形態では、後処理装置の図示を省略している。
項目抽出部403は、印刷条件保持部402に保持された印刷条件を構成する設定項目の中から、2以上の設定値を含む設定項目を抽出する。印刷条件生成部404は、項目抽出部403が抽出した設定項目が2項目以上ある場合に、画像形成部140において実行可能な印刷条件の全組み合わせを、抽出された各設定項目についての設定値、および非抽出の各設定項目についての設定値に基づいて生成する。実行可能な印刷条件の全組み合わせとは、特定の設定項目において特定の設定値が設定された場合に、印刷条件の設定項目として意味を成さない(有効でない)他の設定項目の設定値との組み合わせを含む印刷条件を除外することを意味する。例えば、設定項目「カラーモード」において、「フルカラー」および「モノクロ」が設定され、設定項目「カラーバランスのシアン濃度」において、「−25」および「+25」の値が設定されている場合(ここでは、「0」が標準設定を意味する。)、「モノクロ」に対し、設定項目「カラーバランスのシアン濃度」は意味を成さない。すなわち、この場合、印刷条件の組み合わせとして、{「フルカラー」,「−25」}、{「フルカラー」,「+25」}、{「モノクロ」,「−25」}、{「モノクロ」,「+25」}が想定されるが、印刷条件生成部404は、{「フルカラー」,「−25」}、{「フルカラー」,「+25」}、{「モノクロ」}を印刷条件として生成する。
印刷実行部406は、印刷条件生成部404が生成した各印刷条件で画像形成部140に印刷対象の画像データを印刷させる。なお、本実施形態では、印刷対象の画像データは画像データ保持部405に保持される。画像データ保持部405に保持される画像データは、例えば、画像読取部120やネットワークアダプタ161を通じて取得される。
また、本実施形態の複合機100は、表示部407、条件選択部408をさらに備える。表示部407は、印刷条件生成部404が生成した全印刷条件を表示する。条件選択部408は、表示部407に表示された印刷条件の中から、印刷を実行すべき印刷条件をユーザが指定するために使用される。また、さらに、複合機100は、印刷実行部406が画像形成部140に印刷対象の画像データを印刷させる印刷条件の印刷実行順序をユーザが指定するために使用される印刷順指定部409をさらに備えてもよい。特に限定されないが、本実施形態では、ディスプレイ201が表示部407、条件選択部408および印刷順指定部409として機能する。
図5は、本実施形態の複合機が実行する制御手順の一例を示す図である。当該制御手順は、ユーザから印刷開始指示が与えられたことをトリガとして進行する(ステップS501Yes)。当然ながら、ユーザは、複合機100に操作パネル200(設定入力部401)を用いて所望の印刷条件を入力した後、複合機100に印刷開始指示を与える。ユーザが入力した印刷開始条件は、印刷条件保持部402に保持される。
図6から図8は、操作パネルのディスプレイに表示される印刷条件設定時の操作画面の例を示す図である。図6から図8は、図2に示す「濃度設定」ボタン207をユーザが選択した場合の例を示している。この場合、図6から図8に示すように、濃度を指定するためのウィンドウ601が「基本」タブに重ねて表示される。ウィンドウ601は、濃度の指定にするための「濃度指定」ボタン群602、印刷条件設定モードの選択に使用する「モード選択」ボタン603、指定した濃度を確定してウィンドウ601を閉じるために使用する「設定」ボタン604、指定した濃度をキャンセル(変更前の濃度に指定)してウィンドウ601を閉じるために使用する「キャンセル」ボタン605を備える。
ユーザは、「濃度指定」ボタン群602に含まれるいずれかのボタンを選択することで印刷濃度を設定することができる。例えば、図6は、デフォルトの設定状態を示す図であり、「濃度指定」ボタン群602の「3」ボタンが選択された状態になっている。この状態で、ユーザが「濃度指定」ボタン群602の「5」ボタンに触れると、図7に示すように「3」ボタンの選択が解除され、「5」ボタンが選択された状態になる。また、この状態で、ユーザが「濃度指定」ボタン群602の「3」ボタンに触れると、図6に示すように「5」ボタンの選択が解除され、「3」ボタンが選択された状態になる。そして、ユーザが「設定」ボタン604を選択すると、「設定」ボタン604の選択時に選択されていた濃度が印刷条件として設定される。一方、ユーザが「キャンセル」ボタン605を選択すると、ウィンドウ601の起動時に選択されていた濃度が印刷条件として設定される。
また、ユーザが「モード選択」ボタン603を選択した場合、「濃度指定」ボタン群602について、複数のボタンが選択可能な状態(以下、複合モードという。)になる。すなわち、図6に示す画面状態でユーザが「モード選択」ボタン603を選択し、その後、「濃度指定」ボタン群602の「5」ボタンに触れると、図8に示すように「3」ボタンおよび「5」ボタンがともに選択された状態になる。この状態で、ユーザが「設定」ボタン604を選択すると、「3」および「5」の2つの設定値がともに、濃度の印刷条件として設定される。以下では、このように1つの設定項目について、2つ以上設定値を設定した状態を複合設定状態といい、複合設定状態である設定項目を複合設定項目という。なお、図8に示す画面状態において、ユーザが「3」ボタンに触れると、「3」ボタンの選択が解除され、「5」ボタンのみが選択された状態になる。また、図8に示す画面状態において、ユーザが「モード選択」ボタン603に触れると、複数選択ができない状態(以下、通常モードという。)になるため、「3」ボタンおよび「5」ボタンを選択した状態を維持することはできない。特に限定されないが、本実施形態では、複合モードから通常モードへ変更した場合、図6に示すデフォルト状態(「3」ボタンが選択された状態)になる。
以上、印刷濃度の事例により複合設定の例を説明したが、本実施形態の複合機100は、印刷条件を構成する全ての設定項目の設定画面に、それぞれ「モード選択」ボタンが設けられており、印刷条件を構成する各設定項目について、適宜、複合設定ができるように構成されている。
以上のようにして印刷条件を設定したユーザが、スタートボタン211押下等により複合機100に印刷開始指示を与えると複合機100は印刷処理を開始する。なお、複合機100が印刷を行うためには、印刷対象の画像データが指定される必要がある。画像データの指定方法は、特に限定されない。ここでは、印刷対象の原稿が原稿搬送装置110の原稿トレイ111にセットされ、印刷開始指示および印刷条件に応じて、画像読取部120において原稿の画像が読み取られ、当該画像データが印刷対象の画像データとして指定される。なお、画像読取部120で読み取られて、あるいは、ネットワーク162を介して他の機器から入力されて、HDD304に格納されている画像データが印刷対象の画像データとして指定されてもよい。印刷対象の画像データは、画像データ保持部405に保持される。一方、スタートボタン211押下等の印刷開始指示があるまでは、複合機100は待機状態にある(ステップS501No)。
印刷開始の指示があると、項目抽出部403が、印刷条件保持部402に保持された印刷条件を構成する設定項目の中から、複合設定項目(2以上の設定値を含む設定項目)を抽出する(ステップS502)。本実施形態では、印刷条件を構成する設定項目ごとに、複合モードが選択されているか否かを示すフラグがデータとして保持されており、項目抽出部403は当該フラグの状態を全設定項目について確認することで当該抽出を容易に行うことができる。
複合設定項目を2つ以上抽出した場合、項目抽出部403はその旨および抽出した設定項目を印刷条件生成部404へ通知する(ステップS502Yes、S503Yes)。当該通知を受けた印刷条件生成部404は、印刷条件保持部402を参照して、項目抽出部403から通知された各複合設定項目について設定値を抽出し、当該設定値の全組み合わせを生成する。例えば、複合設定項目が3項目存在し、それぞれの複合設定項目が3つの設定値を有している場合、3×3×3=27通りの組み合わせが生成される。また、項目抽出部403から通知された複合設定項目以外の設定は全て共通であるので、印刷条件生成部404は生成した組み合わせと、印刷条件保持部402が保持している、複合設定項目以外の設定項目の設定値とを結合することで、全組み合わせに対応する印刷条件(上述の例では27通り)を生成する。
また、印刷条件生成部404は、さらに、当該印刷条件の中から、画像形成部140において実行可能な印刷条件のみを抽出する。すなわち、印刷条件生成部404は、生成した複数の印刷条件中に実質的に同一の印刷条件が含まれている場合は、その実質的に同一の印刷条件中の1つの印刷条件のみを抽出し、生成した複数の印刷条件中に画像形成装置140が実行不可能な印刷条件が含まれている場合は、その実行不可能な印刷条件を除外する。これにより、印刷条件生成部404において、画像形成部140において実行可能な印刷条件の全組み合わせが生成される(ステップS504)。
一方、抽出した複合設定項目が1つである場合、項目抽出部403はその旨および抽出した設定項目を印刷条件生成部404へ通知する。この場合、印刷条件生成部404は設定値の組み合わせを算出することなく、単純に、通知された複合設定項目の設定値ごとに、印刷条件を生成する(ステップS503No)。
以上のようにして、複数の印刷条件を生成した印刷条件生成部404は、生成した全印刷条件を表示部407に表示させる。また、ユーザは、表示部407に表示された全印刷条件の印刷実行の要否を判断し、条件選択部408を使用して印刷を実行すべき印刷条件を指定する。また、必要に応じて、ユーザは印刷順指定部409を使用して選択した印刷条件の印刷実行順序を指定する(ステップS504)。なお、本実施形態では、上述のように、ディスプレイ201が表示部407、条件選択部408、印刷順指定部409として機能する。
図9は、複合機がディスプレイに表示する条件選択画面(条件選択部)の一例を示す図である。当該画面は印刷条件生成部404が印刷条件の生成を完了したときにディスプレイ201に表示される。この例では、条件選択画面901には、複合設定項目の項目名および印刷条件一覧902が表示されている。また、特に限定されないが、本実施形態では、印刷条件生成部404が各印刷条件にIDを付す構成になっており、図9の例では、印刷条件一覧902の左端に当該IDが表示されるようになっている。当該印刷条件一覧902には、各印刷条件ついて複合設定項目の設定値がそれぞれ表示されるとともに、各印刷条件に対応してチェックボックス903が表示されている。ユーザは、当該チェックボックス903をチェック状態(オン状態)にすることで、その印刷条件を実行する印刷条件として指定することができる。当該チェックボックス903はユーザが触れることでチェック状態(オン状態)と非チェック状態(オフ状態)とが交互に切り替わるように構成されている。なお、印刷条件一覧902には必要に応じてスクロールバー908(垂直スクロールバーおよび水平スクロールバー)が表示され、表示領域を移動できるように構成されている。
また、条件選択画面901は、全てのチェックボックス903をオフ状態にする「全解除」ボタン906、全てのチェックボックス903をオン状態にする「全選択」ボタン907を備える。さらに、条件選択画面901は、「設定」ボタン904および「順序設定」ボタン905を備える。ユーザが「設定」ボタン904を選択すると、「設定」ボタン904の選択時にチェックボックス903がオン状態になっていた印刷条件が、実行する印刷条件として設定される。なお、本実施形態では、全印刷条件のチェックボックス903をオフ状態にした状態でユーザが「設定」ボタン904を選択すると、印刷条件生成部404が生成した印刷条件がキャンセルされ、ユーザに印刷条件の再設定を求める構成になっている。
ところで、条件選択画面901においてユーザが「順序設定」ボタン905を選択すると、印刷順指定画面(印刷順指定部409)が表示される。図10は、複合機がディスプレイに表示する印刷順指定画面(印刷順指定部)の一例を示す図である。この例では、印刷順指定画面1001には、条件選択画面901においてユーザが選択した印刷条件が選択条件一覧1002として表示されている。当該選択条件一覧1002には、各印刷条件ついて複合設定項目の設定値がそれぞれ表示されるとともに、各印刷条件に対応して印刷順表示欄1003が表示されている。ユーザは、選択条件一覧1002に表示された印刷条件を選択することで、その印刷条件に印刷実行順序を指定する。すなわち、1番目に選択された印刷条件に対応する印刷順表示欄1003に「1」が入力され、2番目に選択された印刷条件に対応する印刷順表示欄1003に「2」が入力される。図10は、2番目の印刷条件が選択された状態を示している。なお、選択条件一覧1002には必要に応じてスクロールバー1007が表示され、表示領域を移動できるように構成されている。
また、印刷順指定画面1001は、「設定」ボタン1004、印刷条件の選択を修正する際に条件選択画面901を表示するために使用する「戻る」ボタン1005、指定した印刷順序をリセットするために使用する「リセット」ボタン1006を備える。ユーザが「設定」ボタン1004を選択すると、「設定」ボタン1004の選択時に入力されていた印刷順序が設定される。なお、本実施形態では、一部の印刷条件にのみ印刷順序が指定された場合、印刷順が指定された印刷条件についてはその順序にしたがって印刷が設定され、印刷順が指定されていない印刷条件については、例えば、ID順にしたがって印刷が設定される。
印刷条件の選択、印刷条件の印刷順序の設定が完了すると、当該設定情報が表示部407を通じて印刷条件生成部404に入力される。このとき、印刷条件生成部404は、指定された印刷条件を、指定された順番(指定のない場合はID順)で印刷時実行部406に入力する(ステップS506)。印刷条件生成部404は、まず、1番目の印刷条件を印刷時実行部406へ入力する。
上述のように、本実施形態では、印刷対象の画像データが印刷開始指示および印刷条件に応じて画像読取部120によって画像データが取得される。そのため、印刷実行部406は、この時点で、原稿搬送装置110および画像読取部120へ原稿画像の読み取りを指示する(ステップS507)。印刷実行部406は、このとき、入力された印刷条件に応じた画像読取条件(解像度等)を画像読取部120へ指示する。例えば、印刷条件に、画像データを拡大したり縮小したりする条件が含まれている場合、印刷対象の画像データを印刷条件に応じた条件(解像度等)で取得した方か高品質な印刷物が得られる場合がある。したがって、この構成では、より高品質な印刷物を得ることが可能である。なお、画像読取部120が取得した画像データは画像データ保持部405に保持される。
画像読取部120による画像データの取得が完了すると、印刷実行部406は、画像データ保持部405が保持している印刷対象の画像データを取得して、入力された印刷条件に応じて画像処理等を適用した印刷用画像データを生成する(ステップS508)。そして、印刷実行部406は、当該印刷用画像データを入力された印刷条件で画像形成部140に印刷させる(ステップS509)。
印刷を実行した印刷実行部406は、印刷条件生成部404にその旨を通知する。当該通知を受けた印刷条件生成部404は、続いて印刷を実行すべき印刷条件の有無を確認し、実行すべき印刷条件がある場合は、当該印刷条件を印刷時実行部406へ入力する(ステップS510Yes、S511)。
このとき、印刷実行部406は、新たに入力された印刷条件に基づいて、印刷対象の画像データを再取得すべきか否かを判断する(ステップS512)。当該判定は、新たに入力された印刷条件と、画像データ保持部405に保持されている画像データの解像度等に画像データ情報とに基づいて行われる。
画像データの再取得が必要と判定した場合、印刷実行部406は、表示部407を通じてユーザに原稿搬送装置110への原稿再セットを要求する。原稿が再セットされると、印刷実行部406は、原稿搬送装置110および画像読取部120へ原稿画像の読み取りを指示する(ステップS512Yes、S507)。このとき、印刷実行部406は、新たに入力された印刷条件に応じた画像読取条件(解像度等)を画像読取部120へ指示する。一方、画像データの再取得が不要と判定した場合、印刷実行部406は、画像データ保持部405が保持している印刷対象の画像データを取得して、新たに入力された印刷条件に応じて画像処理等を適用した印刷用画像データを生成する(ステップS512No、S508)。
なお、本実施形態は、画像データの再取得が比較的容易な事例であるため、画像データの再取得の要否を判定する構成を採用しているが、HDD304等に既に格納されている画像データや、他の機器からネットワークアダプタ161を介して取得された画像データが印刷用の画像データである場合、一般に、画像データ再取得は困難である。この場合は、画像データの再取得の要否を判定することなく、常に、画像データ保持部405が保持している印刷対象の画像データにより印刷用画像データを生成する構成としてもよい。
以上の手順が、続いて実行すべき印刷条件がなくなるまで継続され、全印刷条件での印刷が実行されると、手順が終了する(ステップS510No)。また、上述のステップS502において、項目抽出部403が複合設定項目を抽出できなかった場合、印刷条件保持部402には単一の印刷条件が保持されていることになる。この場合、項目抽出部403がその旨を印刷条件生成部404に入力すると、印刷条件生成部404は、印刷条件保持部402が保持している印刷条件を読み出し、当該印刷条件をそのまま印刷実行部406へ入力する(ステップS502No、S506)。そして、当該印刷条件による印刷が実行されると、次印刷条件がないのでそのまま手順が終了する(ステップS507、S508、S509、S510No)。
以上のように、この複合機では、複数の設定項目についてそれぞれ複数の設定値を有する印刷条件を容易に設定することができる。また、1回の印刷指示で当該複数の印刷条件による印刷を実行することができる。さらに、自動的に生成された印刷条件の中からユーザが必要な印刷条件のみを選択して印刷することもできる。したがって、複数の印刷条件の設定容易さ損なうことなく、不要な印刷条件で印刷が実行されることを防止できる。加えて、各印刷条件の中で、優先的に実行したい印刷条件がある場合に、優先順位を設定することもできる。その結果、用紙やトナーが無駄な消費を抑制できるとともに、作業効率が向上する。
なお、上述した各実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上記では、特に好ましい実施形態として、条件選択部および印刷順指定部をともに備える構成を説明したが、印刷順指定部のみを備える構成であってもよい。この場合、印刷条件生成部が生成した全印刷条件に印刷順を設定することができる。そのため、印刷すべき印刷条件から順に印刷順を設定して印刷を実行し、不要な印刷条件での印刷が開始される時点で複合機の処理を停止すれば、複数の印刷条件の設定容易さ損なうことなく、不要な印刷条件での印刷実行を防止できる。このような効果は、条件選択部のみを備える構成であっても同様に得ることができる。
また、表示部、条件選択部および印刷順指定部を備えない構成を採用してもよい。この構成であっても、印刷条件を構成する複数の設定項目についてそれぞれ複数の設定値を有する印刷条件を容易に設定することができる。
さらに、上述の実施形態では、デジタル複合機として本発明を具体化したが、デジタル複合機に限らず、プリンタや複写機などのいかなる画像印刷装置にも本発明を適用することが可能である。