JP5388713B2 - 電力流通設備保守支援装置、電力流通設備保守支援方法および電力流通設備保守支援プログラム - Google Patents

電力流通設備保守支援装置、電力流通設備保守支援方法および電力流通設備保守支援プログラム Download PDF

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Description

この発明は、電力流通設備の保守を支援する電力流通設備保守支援装置、電力流通設備保守支援方法および電力流通設備保守支援プログラムに関し、電力供給支障リスクと経済性の両面から最適な保守計画を作成することができる電力流通設備保守支援装置、電力流通設備保守支援方法および電力流通設備保守支援プログラムに関するものである。
電力流通設備の保守方策は、事後保全に分類されるCM(Corrective Maintenance)、予防保全に分類されるTBM(Time Based Maintenance)やCBM(Condition Based Maintenance)などが、設備種別ごとに適切に使い分けられている。このうち、余分な保守費用をできるだけ抑制することを目的に、設備の劣化状態を適切に監視しながら、その状態に応じて保守するCBMの適用拡大によって点検周期の延伸化が進められている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、設備の故障リスクや設備の重要度に応じて、保守の優先度を決定するRCM(Reliability Centered Maintenance)についての検討も進んでいる(例えば、非特許文献2参照。)。
電気協同研究会:「電力流通設備におけるライフサイクルマネージメントの動向と将来の展望−劣化診断と保全監視技術の最新動向−」電気協同研究、第59巻第2号、pp.20−29、2004−2 小栗章敬、大木功:「電力流通設備保守計画へのRCM手法の適用」、電気学会電力技術・電力系統技術合同研究会、PE−01−65/PSE−01−59、2001
しかしながら、過去に大量に設置された設備が高経年化を迎えることから、上記の従来技術に加えて、電力流通設備が設置されてから更新を迎えるまで(以下、ライフサイクル)のリスクと費用を考慮し、中長期の視点で合理的に電力流通設備を管理することが重要な課題となっている。
この発明は、上述した課題を解消するためになされたものであり、電力供給支障リスクと経済性の両面から最適な保守計画を作成することができる電力流通設備保守支援装置、電力流通設備保守支援方法および電力流通設備保守支援プログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、電力流通設備の保守を支援する電力流通設備保守支援装置であって、記憶部から前記電力流通設備の設置費用、毎年の維持費、オーバーホール費用及びオーバーホールの前提条件を取得する取得部と、前記電力流通設備が故障した場合の供給支障電力量を算出する算出部と、所定期間内におけるオーバーホールの時期及び回数を変えながら、前記前提条件を満たしつつ、前記電力流通設備の実経年に対してオーバーホールによる補正を加えた状態年齢を用いて算出した年間の故障率と前記供給支障電力量を乗算して求められる供給支障電力量期待値が許容値内に収まり、且つ、前記設置費用、前記維持費用の累積及び前記オーバーホール費用を加算したライフサイクルコストを前記電力流通設備の使用年数で除算した年間平均費用が最小となる時期である経済寿命を迎えたときの年間平均費用が最小となるオーバーホールの時期及び回数を求める時期回数決定部と、時期回数決定部により求められた時期及び回数でオーバーホールを実施するように保守計画を決定する最適保守計画決定と、前記最適保守計画決定により決定された保守計画を出力する保守計画出力とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、電力流通設備の保守を支援する電力流通設備保守支援装置による電力流通設備保守支援方法であって、記憶部から前記電力流通設備の設置費用、毎年の維持費、オーバーホール費用及びオーバーホールの前提条件を取得する取得ステップと、前記電力流通設備が故障した場合の供給支障電力量を算出する算出ステップと、所定期間内におけるオーバーホールの時期及び回数を変えながら、前記前提条件を満たしつつ、前記電力流通設備の実経年に対してオーバーホールによる補正を加えた状態年齢を用いて算出した年間の故障率と前記供給支障電力量を乗算して求められる供給支障電力量期待値が許容値内に収まり、且つ、前記設置費用、前記維持費用の累積及び前記オーバーホール費用を加算したライフサイクルコストを前記電力流通設備の使用年数で除算した年間平均費用が最小となる時期である経済寿命を迎えたときの年間平均費用が最小となるオーバーホールの時期及び回数を求める時期回数決定ステップと、時期回数決定ステップにおいて求めた時期及び回数でオーバーホールを実施するように保守計画を決定する最適保守計画決定ステップと、前記最適保守計画決定ステップにより決定された保守計画を出力する保守計画出力ステップとを含んだことを特徴とする。
また、本発明は、電力流通設備の保守を支援する電力流通設備保守支援プログラムであって、記憶部から前記電力流通設備の設置費用、毎年の維持費、オーバーホール費用及びオーバーホールの前提条件を取得する取得手順と、前記電力流通設備が故障した場合の供給支障電力量を算出する算出手順と、所定期間内におけるオーバーホールの時期及び回数を変えながら、前記前提条件を満たしつつ、前記電力流通設備の実経年に対してオーバーホールによる補正を加えた状態年齢を用いて算出した年間の故障率と前記供給支障電力量を乗算して求められる供給支障電力量期待値が許容値内に収まり、且つ、前記設置費用、前記維持費用の累積及び前記オーバーホール費用を加算したライフサイクルコストを前記電力流通設備の使用年数で除算した年間平均費用が最小となる時期である経済寿命を迎えたときの年間平均費用が最小となるオーバーホールの時期及び回数を求める時期回数決定手順と、時期回数決定手順において求めた時期及び回数でオーバーホールを実施するように保守計画を決定する最適保守計画決定手順と、前記最適保守計画決定手順により決定された保守計画を出力する保守計画出力手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明によれば、電力流通設備の故障に起因する電力供給支障リスクを所定の許容レベル以下に抑えるとともに所定期間内における電力流通設備の費用を最小にする最適な保守計画を決定し、決定した保守計画を出力するよう構成したので、電力供給支障リスクと経済性の両面から最適な保守計画を作成することができるという効果を奏する。
図1は、本実施例1に係る電力流通設備の保守において用いるライフサイクルリスクマネジメントグラフの概念を説明するための説明図である。 図2は、設備の年間費用と経済寿命との関係を示す図である。 図3は、実経年と状態年齢との関係を示す図である。 図4は、設備の故障率に対するオーバーホールの効果を実経年と状態年齢で示した図である。 図5は、年間維持費用に対するオーバーホールの効果を実経年と状態年齢で示した図である。 図6は、本実施例1に係る電力流通設備保守支援装置の構成を示す機能ブロック図である。 図7は、条件記憶部の一例を示す図である。 図8は、経年変化データ記憶部の一例を示す図である。 図9は、本実施例1に係る電力流通設備保守支援装置によるオーバーホール計画決定処理の処理手順を示すフローチャートである。 図10は、本実施例1に係るオーバーホール計画作成に用いたg1(オーバーホールによる状態年齢の回復を算出する関数)を示す図である。 図11は、本実施例1に係るオーバーホール計画作成に用いたg2(状態年齢から故障率を算出する関数)を示す図である。 図12は、本実施例1に係る電力流通設備保守支援装置が作成したオーバーホール計画の一例を示す図である。 図13は、本実施例1に係る電力流通設備保守支援装置により表示されるLCRGの一例を示す図である。 図14は、本実施例1に係る電力流通設備保守支援装置により表示される年間平均費用の推移の一例を示す図である。 図15は、本実施例1に係る電力流通設備保守支援プログラムを実行するコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。 図16は、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置の概要を説明するための図である。 図17は、本実施例2に係る設備の劣化状態のモデルを説明するための図である。 図18は、本実施例2に係る故障率のモデルを説明するための図である。 図19は、本実施例2に係る維持費用のモデルを説明するための図である。 図20は、本実施例2に係るオーバーホールのモデルを説明するための図である。 図21は、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置の構成を示す機能ブロック図である。 図22は、条件設定データ記憶部により記憶される条件設定データの一例を示す図である。 図23は、設備データ記憶部により記憶される設備データの一例を示す図である。 図24は、供給支障データ記憶部により記憶される供給支障データの一例を示す図である。 図25は、供給支障電力の推移を示す図である。 図26は、決定計画表示部によって出力される保守・更新計画の一例を示す図である。 図27は、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置による保守・更新計画決定処理の処理手順を示すフローチャートである。 図28は、モデル系統の一例を示す図である。 図29は、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置により算出された考察期間内における全費用の一例を示す図である。 図30は、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置によって決定された保守・更新計画の一例を示す図である。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る電力流通設備保守支援装置、電力流通設備保守支援方法および電力流通設備保守支援プログラムの好適な実施例を詳細に説明する。
まず、本実施例1に係る電力流通設備の保守において用いる概念について図1〜図5を用いて説明する。本実施例1に係る電力流通設備の保守では、電力流通設備の保守計画を作成する場合に、その設備のライフサイクル期間中のリスクとライフサイクル評価に基づく年間平均費用に基づいて行う。一般的に、リスクを低く抑えるには費用がかかり、費用を抑えるとリスクは高くなるというように、リスクと費用はトレードオフの関係にある。そこで、本実施例1に係る電力流通設備の保守では、電力供給支障リスクを所定の許容レベルに抑えながらライフサイクル評価に基づく年間平均費用が最小となるように保守計画を作成する。
図1は、本実施例1に係る電力流通設備の保守において用いるライフサイクルリスクマネジメントグラフ(以下、LCRG)の概念を説明するための説明図である。LCRGは、ある一つの設備のライフサイクルの間に、電力供給支障リスクがどのように推移するかを示すものである。
LCRGで扱う電力供給支障リスクは電力ネットワーク全体の供給信頼度から見たリスクであり、供給支障電力量期待値(EENS:Expected Energy Not Supplied)を指標としている。EENSは(1)式のように計算できる。
EENS=ENS*FR (1)
ただし、
ENS:設備が故障した場合の供給支障電力量[MW・分]
FR :年間の設備の故障率[1/年]
である。
すなわち、設備の経年劣化に対応した故障率がモデル化できれば、設備故障による電力供給支障リスクがライフサイクルの間でどのように推移していくかをLCRGで示すことができる。なお、設備故障による電力供給支障リスクをライフサイクルの間で一定レベル以下とするために、EENSに上限を設定する。また、オーバーホールを行っても許容リスクレベル以下にできない元々電力供給支障リスクの高い設備については、電力ネットワークの拡充を検討すべきであり、保守計画の対象と考えない(図1の「設備拡充エリア」)。
LCRGでは、設備の設置費用に毎年の維持費用およびオーバーホール費用を加算したものをライフサイクルコストとする。このライフサイクルコストを設備使用年数で除算して年間平均費用に換算した場合に、この年間平均費用が最小となる時期が経済的に最適な更新時期であり、これを「経済寿命」という。
すなわち、本実施例1に係る電力流通設備の保守では、設備の寿命は経済面から決定され、この経済寿命は設備の物理寿命より短い。図1で「設備更新エリア」を設定しているように経済寿命を超過した経年設備は更新されるものとする。
図2は、設備の年間費用と経済寿命との関係を示す図である。同図に示すように、ここでは、毎年の維持費用の増加を一次関数でモデル化する。なお、維持費用とは、設備を健全な状態に維持するための修理・点検、不良箇所の早期発見や障害発生の未然防止に必要となる費用ならびに事後保全費用をいい、オーバーホール費用は除かれる。
図2に示すように、維持費用が増加傾向にあれば、ライフサイクルコストを年間平均費用に換算すると、この年間平均費用が最小となる時期が存在する。年間平均費用(AAC)は(2)式にように計算され、AACが最小となる時期が経済的に最適な更新時期となり、このときの実経年数が経済寿命となる。
AAC=LLC/y=(IC+CRC+OHC)/y (2)
ただし、
AAC:年間平均費用
LLC:ライフサイクルコスト
IC :設置費用
CRC:維持費用の累積
OHC:オーバーホール費用
y :実経年数[年]
である。
オーバーホールは、設備を健全状態に維持し、設備を長期に亘り使用することを可能とするものである。この点で、経年の観点からはオーバーホールの効果として設備が回復することがいえる。このオーバーホール回復効果をモデル化するために、ここでは、「状態年齢」の概念を導入する。
そして、設備の故障率を、実際の経年(以下、実経年)から決まるものではなく、設備の劣化状態から決まるものであると考え、図3のように設備の劣化状態を実経年とは別の年齢(以下、状態年齢)で表現する。この状態年齢は、オーバーホールを行うことによって回復するものとする。
その際、状態年齢の減少分は、オーバーホールの規模(費用)と相関するものと仮定する。すなわち、オーバーホール費用が高い場合には、それだけ大掛かりなオーバーホールを行ったことで劣化状態の改善、すなわち状態年齢の回復は大きいとする。逆に、オーバーホール費用が低い場合には、劣化状態の改善は少ししか望めない、すなわち状態年齢の回復は小さいとする。
ただし、いくら費用をかけてオーバーホールを行っても設置時点の状態まで回復させることは困難で、オーバーホールによる回復効果には限界があるため、オーバーホール後の状態年齢には下限値を設ける。また、オーバーホール費用には上限値と下限値を設ける。
図4は、設備の故障率に対するオーバーホールの効果を実経年と状態年齢で示した図である。実経年で表現する場合には、経年とともに常に右側に推移していき、オーバーホールを行うと真っ直ぐ下に故障率が下がり、また右側に推移していく形となる。オーバーホール前とオーバーホール後の2つの曲線が描かれるようなイメージである。
これに対して、状態年齢で表現する場合には、右側に推移していたものがオーバーホールを行うことによって、一旦状態が左側に逆戻りし、また経年とともに右側に推移していく形となる。したがって、状態年齢の概念を用いれば、故障率を1つの関数で表現することができる。
また、オーバーホールの回復効果によって、設備の故障率が低減するとともに、維持費用も低減するものとする。維持費用に関するオーバーホールの回復効果についても故障率と同様に、状態年齢を用いて表現する。毎年の維持費用増加を直線とした場合の、実経年と状態年齢による表現の相異を図5に示す。
実経年で表現する場合には、経年とともに常に右側に推移していき、オーバーホールを行うと真っ直ぐ下に年間維持費用が下がり、また右に推移していく形となる。これに対して、状態年齢で表現する場合には、右側に推移していたものがオーバーホールを行うことによって、一旦状態が左側に逆戻りし、また経年とともに右側に推移していく形となる。したがって、状態年齢の概念を用いれば、年間維持費用を1つの関数で表現することができる。
次に、本実施例1に係る電力流通設備保守支援装置の構成について説明する。図6は、本実施例1に係る電力流通設備保守支援装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この電力流通設備保守支援装置100は、供給支障電力量算出部110と、オーバーホール計画決定部120と、条件記憶部130と、条件設定部140と、経年変化データ記憶部150と、決定計画表示部160とを有する。
供給支障電力量算出部110は、磁気ディスク装置から対象とする電力系統の系統データを読み出して、電力流通設備のある設備(対象設備)が故障した場合の供給支障電力量ENSを算出する処理部である。この供給支障電力量算出部110は、例えば、設備が故障した場合には、SUNPRAS(Sub-transmission Network Probabilistic Reliability Analysis System)などの二次系統の供給信頼度解析システムにより供給支障電力量ENSを算出する。
オーバーホール計画決定部120は、対象とする電力流通設備のオーバーホール計画を決定する処理部である。このオーバーホール計画決定部120は、オーバーホール計画決定問題、すなわち、経済的に最も望ましいオーバーホールのタイミングと規模(費用)を求める問題を最適化問題として定式化し、最適化問題を解くことによってオーバーホール計画を決定する。
例えば、オーバーホールがライフサイクルの間に1回だけ行われる場合、オーバーホール計画決定問題は、(4)式〜(8)式の条件のもとで(3)式を最小化する制約条件付の非線形計画問題として定式化できる。
Figure 0005388713
ただし、
EL:経済寿命[年]
OH:オーバーホールを実施する時期[年]
EENSOH,EENSEL:OH、EL時のEENS[MW・分/年]
EENSref:許容できるEENSの上限[MW・分/年]
COAOH,COAEL:OH、EL時の状態年齢[年]
CHAOH:OH時の実経年[年]
CHC:オーバーホール費用
COAmin:オーバーホール後の状態年齢下限
OHCmin:オーバーホール費用の最小値
OHCmax:オーバーホール費用の最大値
1(*):オーバーホールによる状態年齢の回復を算出する関数
2(*):状態年齢から故障率を算出する関数
3(*):状態年齢から維持費用を算出する関数
COAy:実経年yでの状態年齢[年]、
y<OHの時、COAy=y
それ以外の時、COAy=y−g1(OHC)
である。
また、ライフサイクルの間にオーバーホールがn回行われるとする場合でも、OHとOHCをそれぞれOH1、・・・、OHnとOHC1、・・・、OHCnとすることで同様に定式化することができる。
このように、オーバーホール計画決定部120が、オーバーホール計画決定問題を最適化問題として定式化し、最適化問題を解いてオーバーホール計画を決定することにより、電力供給支障リスクと経済性の両面から最適な保守計画を作成することができる。
条件記憶部130は、オーバーホール計画を決定する場合の前提条件を条件項目ごとに記憶する記憶部である。オーバーホール計画決定部120は、この条件記憶部130から前提条件を読み出してオーバーホール計画を決定する。
図7は、条件記憶部130の一例を示す図である。例えば、この条件記憶部130は、オーバーホール回数として2を、オーバーホール後の状態年齢下限として1回目のオーバーホールに対しては15を、2回目のオーバーホールに対しては20を記憶する。なお、図7の回復係数Rおよび回復指数nは、オーバーホールによる状態年齢の回復を算出する関数
1(OHC)=R*(OHC)n
の定数である。
また、図7のg2に対応する値0.00294は、状態年齢から故障率を算出する関数g2(COA)に用いられる定数である。すなわち、g2(COA)は、
COA<20:g2(COA)=0.00294
COA≧20:g2(COA)=0.00294+0.01*(e0.05(t-19)−1)
と定義される。
また、ここでは、オーバーホール費用および維持費用は初期設置費用を1として正規化した値を用い、図7の値から、最大のオーバーホール費用OHCmaxは0.5、最小のオーバーホール費用OHCminは0.03、維持費用の関数g3
3(COA)=β*COA=0.001*COA
と定義される。また、許容するリスクレベルの上限EENSrefは80と定義される。
条件設定部140は、ユーザがマウスおよびキーボードを用いて指定する前提条件を条件項目ごとに受け付け、条件記憶部130に条件項目と対応させて書き込む処理部である。すなわち、ユーザは、条件記憶部130が記憶する前提条件を変更することができる。したがって、ユーザは、様々な前提条件におけるライフサイクル評価に基づく年間平均費用と電力供給支障リスクとの関係を分析することができる。
経年変化データ記憶部150は、オーバーホール計画決定部120がオーバーホール計画を決定する際に算出する供給支障電力量期待値EENS、年間平均費用AAC、経済寿命などを記憶する記憶部であり、オーバーホール計画決定部120によって読み書きが行われるとともに、決定計画表示部160によって読み出される。
図8は、経年変化データ記憶部150の一例を示す図である。同図に示すように、この経年変化データ記憶部150は、オーバーホールの回数ごとに、各年の供給支障電力量期待値EENS、経済寿命、各年の年間平均費用AACおよびその最小値、オーバーホール時期ならびにオーバーホール費用を記憶する。
決定計画表示部160は、経年変化データ記憶部150が記憶するデータを読み出して、最適なオーバーホール計画、LCRG、年間平均費用の推移などを表示装置に表示する処理部である。
次に、本実施例1に係る電力流通設備保守支援装置100によるオーバーホール計画決定処理の処理手順について説明する。図9は、本実施例1に係る電力流通設備保守支援装置100によるオーバーホール計画決定処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、オーバーホールを最大2回行う場合を例として説明する。
図9に示すように、電力流通設備保守支援装置100は、対象とする設備が故障した場合の供給支障電力量ENSを供給支障電力量算出部110が算出する(ステップS1)。そして、オーバーホール計画決定部120が、オーバーホールを行わない条件でオーバーホール計画問題を定式化して最適化問題を解き、経済寿命EL、経済寿命を迎えた時の年間平均費用AACを算出する(ステップS2)。
また、オーバーホール計画決定部120は、オーバーホールを1回行う条件、2回行う条件でオーバーホール計画問題をそれぞれ定式化して最適化問題を解き、経済寿命EL、経済寿命を迎えた時の年間平均費用AAC、オーバーホールの時期・費用を算出する(ステップS3〜ステップS4)。
そして、オーバーホール計画決定部120が、オーバーホール回数に対応するAAC間の比較を行い、AACが最小となるシナリオすなわちオーバーホール回数を選択する(ステップS5)。そして、決定計画表示部160が、最適なオーバーホール計画を表示する(ステップS6)。
また、決定計画表示部160は、設備が設置されてから更新を迎えるまで、すなわちライフサイクルの間の電力供給支障リスクの推移をLCRG上にプロットして表示し(ステップS7)、年間平均費用の推移をプロットして表示する(ステップS8)。
このように、オーバーホール計画決定部120が、オーバーホールの回数ごとにオーバーホール計画問題をそれぞれ定式化して最適化問題を解くことによって、最適なオーバーホール計画を作成することができる。
次に、本実施例1に係る電力流通設備保守支援装置100によるオーバーホール計画作成例について説明する。なお、前提条件として用いたg1およびg2をそれぞれ図10および図11に示す。
図12は、本実施例1に係る電力流通設備保守支援装置100が作成したオーバーホール計画の一例を示す図である。同図では、経済寿命を迎える時の年間平均費用はオーバーホール2回の場合が最小となっており、この例ではオーバーホール2回が最適な計画となる。
図13は、本実施例1に係る電力流通設備保守支援装置100により表示されるLCRGの一例を示す図である。同図は、オーバーホール回数別の電力供給支障リスク推移を示している。なお、オーバーホールの時期については最適化計算の結果を四捨五入して離散化した年度単位の値を使用している。
図14は、本実施例1に係る電力流通設備保守支援装置100により表示される年間平均費用の推移の一例を示す図である。同図に示すように、設備が設置された直後は、設置費用の影響が大きく、年間平均費用の値が高くなっているが、年が経過するにしたがって減少し、寿命を迎える時に年間平均費用が最小となっている。また、オーバーホール実施直後はオーバーホール費用により年間平均費用は増加するが、オーバーホール実施による設備の回復効果で維持費用が減少するため、オーバーホールを実施しない場合よりも、その後の年間平均費用の減少率は大きくなっている。
上述してきたように、本実施例1では、条件記憶部130に記憶された前提条件および供給支障電力量算出部110が算出した供給支障電力量を用いて、オーバーホール計画決定部120が、供給支障電力量期待値がライフサイクルの間で一定レベル以下で年間平均費用が最小となるオーバーホール計画を作成することとしたので、電力供給支障リスクと経済性の両面から最適なオーバーホール計画を作成することができる。
なお、本実施例1では、電力流通設備保守支援装置について説明したが、電力流通設備保守支援装置が有する構成をソフトウェアによって実現することで、同様の機能を有する電力流通設備保守支援プログラムを得ることができる。そこで、この電力流通設備保守支援プログラムを実行するコンピュータについて説明する。
図15は、本実施例1に係る電力流通設備保守支援プログラムを実行するコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このコンピュータ200は、RAM210と、CPU220と、HDD230と、LANインタフェース240と、入出力インタフェース250と、DVDドライブ260とを有する。
RAM210は、プログラムやプログラムの実行途中結果などを記憶するメモリであり、CPU220は、RAM210からプログラムを読み出して実行する中央処理装置である。HDD230は、プログラムやデータを格納するディスク装置であり、系統データを記憶する。なお、条件記憶部130および経年変化データ記憶部150はRAM210に設けることもHDD230に設けることもできる。
LANインタフェース240は、コンピュータ200をLAN経由で他のコンピュータに接続するためのインタフェースである。入出力インタフェース250は、マウスやキーボードなどの入力装置および表示装置を接続するためのインタフェースであり、DVDドライブ260は、DVDの読み書きを行う装置である。
そして、このコンピュータ200において実行される電力流通設備保守支援プログラム211は、DVDに記憶され、DVDドライブ260によってDVDから読み出されてコンピュータ200にインストールされる。あるいは、この電力流通設備保守支援プログラム211は、LANインタフェース240を介して接続された他のコンピュータシステムのデータベースなどに記憶され、これらのデータベースから読み出されてコンピュータ200にインストールされる。そして、インストールされた電力流通設備保守支援プログラム211は、HDD230に記憶され、RAM210に読み出されてCPU220によって実行される。
上記実施例1では、1つの電力流通設備を対象とした場合について説明した。一般的に、電力系統の設備形成は、1つの設備の故障による電力供給支障に関する基準を満たすように行われているため、1つの設備の故障で供給支障を生じることは原則としてはない。したがって、1つの設備の故障による電力供給支障に関する基準の範囲では、停止設備による電力供給支障リスクに差が現れにくい。
しかしながら、劣化による故障率増大を考えると、これまでは十分に小さいと見なされてきた複数設備の同時故障の確率が無視できなくなっている。供給支障の発生量を鑑みても、複数設備の同時故障は、電力供給支障リスクを扱う際に考慮すべきファクタとなり得ると考えられている。
ただし、リスク評価に複数設備の同時故障を考慮して設備の保守・更新の検討を行う場合、ある設備の保守・更新の効果が、その設備の電力供給支障リスクのみならず、他の設備の電力供給支障リスクにも効果を及ぼし得ることを考慮する必要がある。
また、一般的に設備への投資(設備予算)に制限がある点を考慮するのが現実的であり、電力ネットワーク全体の視点は供給支障リスクにとどまらず、投資コストの面においても必要である。ネットワーク全体でのコストを考慮する場合、1つの設備でのライフサイクルにおける経済性評価という視点は採用できないため、新たな経済性の評価の考え方を導入する必要がある。
さらに、設備の計画業務にて扱う対象は、保守だけでなく更新や拡充も含まれるのが一般的である。今後の情勢を踏まえると、拡充は主要因とはなりがたいことから、保守と更新を含めた計画検討ができるほうが望ましい。
そこで、以下では、実施例2として、高経年設備の故障率増加にともなう複数設備の同時故障での電力供給支障リスクと、年間の保守費用制約などを考慮して、数十年以上にわたる考察期間で最も経済的となる保守・更新計画を作成する場合について説明する。なお、以下に示す実施例2では、1つの設備の故障を「N−1故障」と呼び、2つの設備の同時故障を「N−2故障」と呼ぶ。
まず、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置の概要について説明する。本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置は、複数の設備を対象とし、所定の長さの期間である考察期間を設け、その考察期間全体での経済性を評価する。なお、本実施例2では、1つまたは2つの設備が故障した場合、すなわち、N−2故障までを対象とする。また、考察期間内で系統構成および需給バランスは変化しないものとする。
図16は、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置の概要を説明するための図である。同図に示すように、具体的には、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置は、対照とする設備の故障率や維持費用などのデータ、故障時の電力供給支障リスクのデータ、供給信頼度や年間費用に関する制約や計算条件のデータを入力する。そして、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置は、考察期間における経済性を評価し、供給信頼度および費用を制約とした場合に考察期間内の全費用が最小となる保守・更新計画を出力する。なお、ここでいう「保守・更新計画」には、保守計画プラン、更新計画プラン、リスクの推移、費用の推移などが含まれる。
このように、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置は、高経年設備の故障率増加にともなう2つの設備の同時故障での電力供給支障リスクと、年間の保守費用制約などを考慮して、数十年以上にわたる考察期間で最経済となる保守・更新計画を作成する。すなわち、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置は、保守・更新が一時期に集中することを回避しつつ、「どの設備をいつ、どのように大規模保守または更新すればよいか」という指針を示すことができる。
次に、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置が用いるモデルについて説明する。本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置は、保守・更新計画を決定するために用いるモデルとして、設備の劣化状態のモデル、故障率のモデル、維持費用のモデル、オーバーホールのモデルを用いる。
まず、設備の劣化状態のモデルについて説明する。本実施例2では、設備の劣化状態のモデルとして、実施例1で説明した「状態年齢」の概念を用いる。状態年齢は、実施例1で説明したように、設備の劣化状態を年齢で表現するものである。
図17は、本実施例2に係る設備の劣化状態のモデルを説明するための図である。同図は、状態年齢と実経年との関係を示している。同図に示すように、例えば、オーバーホールが実施された場合には、設備の劣化状態が改善される。本実施例2では、このように劣化状態が改善されることを「状態年齢が若返る」と表現する。
続いて、故障率のモデルについて説明する。故障率は、保守データの蓄積などによって、代表的と思われる故障率曲線を数理的なモデルで表すことができる。
図18は、本実施例2に係る故障率のモデルを説明するための図である。同図は、状態年齢(COA)と故障率(FR)との関係を示している。同図に示すように、一般的に、劣化型の機器の故障率は、経年期に急激に増加することが知られている。そこで、本実施例2では、故障率のモデルとして、以下の(9)式に示すように、状態年齢を変数とした指数関数で表されるモデルを用いる。
COA≦Bのとき FR=A
COA>Bのとき FR=A+C*(eD(COA-B)−1) (9)
ただし、
COA:状態年齢
FR:故障率
A〜D:定数
である。
続いて、維持費用のモデルについて説明する。本実施例2では、維持費用は、設備を健全な状態に維持するための軽微な補修・点検、不良箇所の早期発見や障害発生の未然防止に必要となる費用および応急保全費用としている。また、維持費用は、劣化状況の把握や維持にあてられるものとし、維持費用には故障率の低下作用はないこととする。
図19は、本実施例2に係る維持費用のモデルを説明するための図である。同図は、状態年齢(COA)と年間維持費用(RC)との関係を示している。同図に示すように、一般的に、年間の維持費用は、初期の頃は変化が少なく、劣化が進んだ経年期に急激に増加することが知られている。そこで、本実施例2では、維持費用のモデルとして、以下の(10)式に示すように、状態年齢を変数としたべき乗の関数で表されるモデルを用いる。
COA≦Bのとき RC=A
COA>Bのとき RC=A+C*(COA−B)D (10)
ただし、
COA:状態年齢
RC:年間維持費用
A〜D:定数
である。
なお、線形の維持費用の増加を考慮する場合には、(10)式でD=1とすればよい。
続いて、オーバーホールのモデルについて説明する。設備の大がかりな保守が行われると、設備の劣化状態が回復し、設備の故障率や年間の維持費用は低減すると考えられる。本実施例2では、修理系部品の交換を伴う分解整備や精密点検、腐食防止のための塗装などを総合的に実施する大掛かりな改修または修繕をオーバーホールとし、それに費やした費用をオーバーホール費用とする。
かかるオーバーホール費用の内訳を考えると、故障率とは直接の関わりがないが人件費や諸経費をはじめ実施の際に必ず生じる費用(ここでは固定費用として扱う)と、それに加えて、修理すべき部品代や機器調整費用など、故障率に影響する各作業に応じた費用が積み上げられることになる。このように、オーバーホールの費用は何段階かの離散的な値で構成されていると考えることができる。また、オーバーホールの作業内容はある程度限られていると思われる。そこで、本実施例2では、オーバーホールのモデルとして、作業の対象となる部位ごとに細分化されたモデルを用いる。
図20は、本実施例2に係るオーバーホールのモデルを説明するための図である。同図に示すように、具体的には、本実施例2では、オーバーホールのモデルとして、部位ごとに、その箇所の故障率曲線、作業に要する費用、作業を行った場合に期待される回復効果(状態年齢の若返り)、維持費用への影響を設定したモデルを用いる。
ここで、故障率曲線は、(9)式に示した指数関数で表される。なお、オーバーホールの対象とならない部位の劣化を考慮するために、オーバーホールの対象とならない箇所についても、細分化して故障率曲線を設定するようにした。また、本実施例2では、簡略化のため、各部位の故障率を加算したものを設備全体の故障率として用いる。
また、回復効果は、『作業した箇所の状態年齢がある年齢に戻る』、『作業した箇所の状態年齢がある年齢分若返る』という2種類の表現で表される。後者については、オーバーホールによる回復効果の限界を考え、設定した状態年齢の下限を下回る年齢までは若返れないものとしている。
また、維持費用への影響は、部位ごとに異なると考えられるため、その影響度合いを割合で設定している。この割合に従って各部位の状態年齢を加重して算出することで、設備全体の状態年齢が得られる。そして、得られた設備全体の状態年齢を(10)式に代入することによって、年間維持費用が算出される。
このように、設備を部位ごとに細分化してモデル化することで、例えば、「○年後に作業1および3を行えばよい」というように、どのようなオーバーホールをすればよいかを示すことができるので、内容も明確な結果をユーザに示すことができる。
次に、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置の構成について説明する。図21は、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この電力流通設備保守支援装置300は、条件設定データ記憶部310と、条件設定データ入力部320と、設備データ記憶部330と、設備データ入力部340と、供給支障データ記憶部350と、供給支障データ入力部360とを有する。また、電力流通設備保守支援装置300は、保守・更新計画決定部370と、保守・更新計画データ記憶部380と、決定計画表示部390とを有する。
条件設定データ記憶部310は、保守・更新計画を決定する際の制約条件が条件項目ごとに設定されたデータを条件設定データとして記憶する。図22は、条件設定データ記憶部310により記憶される条件設定データの一例を示す図である。同図に示すように、具体的には、条件設定データ記憶部310は、条件設定データとして、以下に示す条件項目の設定値を記憶する。
・考察期間[年]
・金利[%]
・個々の設備の故障(N−2故障を含む)に対して許容できる電力供給支障リスクの上
限値[MW・分/年]
・系統に対して許容できる電力供給支障リスクの上限値[MW・分/年]
・1年間の維持費用の上限
・1年間のオーバーホール費用の上限
・1年間の更新費用の上限
・1年間の保守費用(維持費用+オーバーホール費用)の上限
条件設定データ入力部320は、マウスやキーボードなどの入力装置を介して、ユーザから条件設定データの入力を受け付ける。そして、条件設定データ入力部320は、入力された条件設定データを条件設定データ記憶部310に格納する。
設備データ記憶部330は、保守対象となる電力流通設備に関するデータを設備データとして記憶する記憶部である。図23は、設備データ記憶部330により記憶される設備データの一例を示す図である。同図に示すように、具体的には、設備データ記憶部330は、設備データとして、以下に示す項目の設定値を設備ごとに記憶する。
・設備番号
・名称
・経年
・更新費用
・オーバーホール(OH)の対象となる部位数
・オーバーホール(OH)の対象外となる部位数
・年間維持費用の算出関数((10)式の定数A,B,C,D)
・設備故障時の復旧時間[時間]
・部位番号
・現在の状態年齢
・故障率の算出関数((9)式の定数A,B,C,D)
・維持費用への影響
・オーバーホールの費用
・オーバーホールの効果
・状態年齢の下限
ここで、「設備番号」〜「維持費用の算出関数」は、設備ごとに設定される。また、「部位番号」〜「維持費用への影響」は、オーバーホールの対象となる部位、および、オーバーホールの対象外となる部位、それぞれについて設定される。また、「オーバーホールの費用」〜「状態年齢の下限」は、オーバーホールの対象となる部位のみについて設定される。
なお、「維持費用への影響」については、全体の維持費用に対して各部位の維持費用が占める割合が設定される。また、「オーバーホールの効果」については、効果を『状態年齢がある年齢に戻る』または『状態年齢がある年齢分若返る』と表現する場合の年齢が設定される。また、費用については、実際の費用が設定されてもよいし、ある費用をベースとした相対値が設定されてもよい。
設備データ入力部340は、マウスやキーボードなどの入力装置を介して、ユーザから設備データの入力を受け付ける。そして、設備データ入力部340は、入力された設備データを設備データ記憶部330に格納する。
供給支障データ記憶部350は、複数の設備が故障した場合の電力供給支障リスクに関するデータを供給支障データとして記憶する。なお、本実施例2では、1つまたは2つの設備が故障した場合、すなわち、N−2故障までを対象としている。そのため、供給支障データ記憶部350は、設備のN−1故障およびN−2故障時の電力支障リスクに関するデータを供給支障データとして記憶する。
図24は、供給支障データ記憶部350により記憶される供給支障データの一例を示す図である。同図に示すように、例えば、供給支障データ記憶部350は、供給支障データとして、2つの設備番号の組合せごとに、以下に示す項目の設定値を記憶する。ここで、2つの設備番号が同じであるデータは、N−1故障に関するデータとなり、2つの設備番号が異なるデータは、N−2故障に関するデータとなる。なお、ここでいう「操作」とは、系統切替および配電融通に関する操作である。
・2つの設備番号の組合せ
・操作完了までの供給支障電力量
・操作完了時間
・操作完了後の供給支障電力
本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置300は、例えば状態列挙法などを用いて、電力供給支障の頻度、故障状態の継続時間を算出する。電力供給支障の頻度、故障状態の継続時間は、各設備の故障率によって変化する。そのため、電力供給支障リスクに関するデータとしては、図25に示すように、系統切替および配電融通が完了するまでの操作完了時間、操作完了までの供給支障電力量、操作完了後の供給支障電力、故障状態終了時間が必要となる。
具体的には、実施例1で説明したように、電力供給支障リスクは供給支障電力量期待値(EENS)で表される。この供給支障電力量期待値(EENS)は、供給支障電力量(ENS)および故障率(FR)から導出される(実施例1の(1)式を参照)。
ここで、図25に示すように、供給支障電力量(ENS)は、
ENS
=”操作完了までの供給支障電力量”
+”操作完了後の供給支障電力”*(”故障状態終了時間”−”操作完了時間”)
で表される。
また、故障状態終了時間は、故障率および復旧時間で決定される。
なお、系統切替や配電融通を考慮した供給支障量は、例えば、SUNPRAS(Sub-transmission Network Probabilistic Reliability Analysis System)などの二次系統の供給信頼度解析システムを用いてあらかじめ算出される。
供給支障データ入力部360は、マウスやキーボードなどの入力装置を介して、ユーザから供給支障データの入力を受け付ける。そして、供給支障データ入力部360は、入力された供給支障データを供給支障データ記憶部350に格納する。
保守・更新計画決定部370は、供給信頼度および費用を制約とした場合に考察期間内の全費用が最小となる保守・更新計画を決定する。
具体的には、保守・更新計画決定部370は、設備の故障が系統におよぼす電力供給支障リスクおよびオーバーホールや更新の費用をそれぞれ許容レベル以下に抑えるとともに、考察期間内の全費用が最小となる保守・更新計画を求める問題を最適化問題として定式化する。なお、ここでいう全費用とは、考察期間における維持費用、オーバーホール費用および更新費用の総和である。そして、保守・更新計画決定部370は、定式化した最適化問題を解くことによって保守・更新計画を決定する。
例えば、保守・更新計画決定部370は、以下に示す(12)〜(28)式で表される制約条件のもとで、(11)式で表される目的関数を最適化問題として定式化する。
目的関数:考察期間における全費用の最小化
Figure 0005388713
制約条件:
・各設備における電力供給支障リスクに対する制約
Figure 0005388713
・系統全体の電力供給支障リスクに対する制約
Figure 0005388713
・年間のオーバーホール費用合計に対する制約
Figure 0005388713
・年間の更新費用合計に対する制約
Figure 0005388713
・年間の維持費用合計に対する制約
Figure 0005388713
・年間の保守費用合計に対する制約
Figure 0005388713
・y年後の設備iの部位kに対するオーバーホールの有無
Figure 0005388713
・y年後の設備iのオーバーホールの有無
Figure 0005388713
・y年後の設備iのオーバーホール費用の合計
Figure 0005388713
・y年後の設備iの部位kにおける状態年齢
Figure 0005388713
・y年後の設備iの年間維持費用
Figure 0005388713
・y年後の設備iの故障率
Figure 0005388713
・y年後の設備iの電力供給支障リスク
Figure 0005388713
・y年後の設備iと設備jの二重故障による供給支障電力量
ただし、i=jのときは設備iの単独故障による供給支障電力量
Figure 0005388713
・y年後の系統全体の電力供給支障リスク
Figure 0005388713
・y年後の設備iの更新の有無
Figure 0005388713
・y年後の設備iの更新費用
Figure 0005388713
ただし、
Y:考察期間
N:対象とする設備数
RCi,y:y年後の設備iの年間維持費用
OHCi,y:y年後の設備iのオーバーホール費用
ICi,y:y年後の設備iの更新費用
r:金利
RISKi,y:y年後の設備iの電力供給支障リスク
SYS_RISKy:y年後の系統の電力供給支障リスク
RISKref:個々の設備の故障に対して許容できるリスクの上限値
SYS_RISKref:系統に対して許容できるリスクの上限値
OHCmax:1年間のオーバーホール費用の上限
ICmax:1年間の更新費用の上限
RCmax:1年間の維持費用の上限
OHi,k,y:y年後の設備iの部位kに対するオーバーホールの有無
OH0i,y:y年後の設備iのオーバーホールの有無
OHCi,k:設備iの部位kに対するオーバーホールの費用
OHC0i:設備iのオーバーホール固定費用
COAi,k,y:y年後の設備iの部位kにおける状態年齢
FRi,y:y年後の設備iの故障率
RPi,y:y年後の設備iの更新の有無
IC0i:設備iの更新費用
ENS_TCOi,j:設備iと設備jの二重故障による操作完了までの供給支障電力量
ただし、i=jのときは設備iの単独故障による操作完了までの供給支障電力量
TCOi,j:設備iと設備jの二重故障による操作完了時間
ただし、i=jのときは設備iの単独故障による操作完了時間
PNSi,j:設備iと設備jの二重故障による操作完了後の供給支障電力
ただし、i=jのときは設備iの単独故障による操作完了後の供給支障電力
RTi:設備iの設備故障時の復旧時間
1,i(*):設備iの部位kにおけるオーバーホール後の状態年齢算出関数
2,i(*):設備iの年間維持費用算出関数
3,i(*):設備iの故障率算出関数
4,i(*):設備iの電力供給支障リスク算出関数
5,i,j(*):設備iと設備jの二重故障による供給支障電力量算出関数
ただし、i=jのときは設備iの単独故障による供給支障電力量算出関数
6(*):系統の電力供給支障リスク算出関数
である。
なお、g1,i(*)は、g2,i(*)、g3,i(*)は、前述した設備の劣化状態のモデル、維持費用のモデル、故障率のモデルによって定義される関数である。
このように、保守・更新計画決定部370が、供給信頼度および費用を制約とした場合に考察期間内の全費用が最小となる保守・更新計画を求める問題を最適化問題として定式化し、定式化した最適化問題を解いて保守・更新計画を決定することによって、電力供給支障リスクと経済性の両面から最適な保守・更新計画を作成することができる。
保守・更新計画データ記憶部380は、保守・更新計画決定部370によって算出された各種計算値を記憶する。具体的には、保守・更新計画データ記憶部380は、保守・更新計画決定部370によって算出された以下の項目の算出値をy年ごとに記憶する。
・y年後の設備iの年間維持費用RCi,y
・y年後の設備iのオーバーホール費用OHCi,y
・y年後の設備iの更新費用ICi,y
・y年後の設備iの電力供給支障リスクRISKi,y
・y年後の系統の電力供給支障リスクSYS_RISKy
・y年後の設備iの部位kに対するオーバーホールの有無OHi,k,y
・y年後の設備iのオーバーホールの有無OH0i,y
・y年後の設備iの部位kにおける状態年齢COAi,k,y
・y年後の設備iの故障率FRi,y
・y年後の設備iの更新の有無RPi,y
なお、保守・更新計画データ記憶部380によって算出された上記の算出値は、保守・更新計画決定部370によって読み書きが行われるとともに、後述する決定計画表示部390によって読み出される。
決定計画表示部390は、保守・更新計画決定部370によって決定された保守・更新計画を出力する。具体的には、決定計画表示部390は、保守・更新計画データ記憶部380によって記憶されている各種算出値を読み出し、読み出した算出値をもとに、保守計画プラン、更新計画プラン、リスクの推移、費用の推移などの保守・更新計画を表示装置に出力する。
図26は、決定計画表示部390によって出力される保守・更新計画の一例を示す図である。同図に示すように、例えば、決定計画表示部390は、各設備の故障によるリスクの推移や、系統全体のリスクの推移、各設備の年間維持費用の推移、年間維持費用合計の推移、オーバーホール費用の推移、更新費用の推移、各設備の維持費用+オーバーホール費用の推移などを出力する。
次に、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置300による保守・更新計画決定処理の処理手順について説明する。図27は、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置300による保守・更新計画決定処理の処理手順を示すフローチャートである。
図27に示すように、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置300では、まず、条件設定データ入力部320が、条件設定データの入力を受け付け、入力された条件設定データを条件設定データ記憶部310に格納する(ステップS11)。
また、設備データ入力部340が、設備データの入力を受け付け、入力された設備データを設備データ記憶部330に格納する(ステップS12)。また、供給支障データ入力部360が、供給支障データの入力を受け付け、入力された供給支障データを供給支障データ記憶部350に格納する(ステップS13)。
続いて、保守・更新計画決定部370が、電力供給支障リスクおよびオーバーホールや更新の費用をそれぞれ許容レベル以下に抑えるとともに、考察期間内の全費用が最小となる保守・更新計画を決定する(ステップS14)。
そして、決定計画表示部390が、保守・更新計画決定部370によって決定された保守・更新計画を表示装置に出力する(ステップS15)。
次に、図28〜30を用いて、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置300による保守・更新計画決定の一例について説明する。図28は、モデル系統の一例を示す図である。また、図29は、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置300により算出された考察期間内における全費用の一例を示す図である。また、図30は、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置300によって決定された保守・更新計画の一例を示す図である。
ここでは、図28に示すモデル系統内の変圧器AおよびBを対象に、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置300を用いて保守・更新計画を決定した。なお、ここでは、考察期間は100年とした。また、リスク制約を考慮しない場合の考察期間100年における供給支障リスクの最大値は、変圧器Aが19.66MW・分/年であり、変圧器Bが36.60MW・分/年である。
その結果、図30に示すように、20年目から55年目における保守・更新計画は、個別単独ケースでは、20年目、30年目、40年目に変圧器Aの大規模保守(オーバーホール)を行い、20年目、30年目、38年目、46年目に変圧器Bの更新を行い、50年目に変圧器Aの更新を行い、53年目に変圧器Bの更新を行うという計画になった。そして、これに対し、複数設備協調ケースでは、20年目、30年目、39年目に変圧器Aの大規模保守を行い、20年目、30年目、40年目、46年目に変圧器Bの更新を行い、49年目に変圧器Aの更新を行い、53年目に変圧器Bの更新を行うという計画になった。
すなわち、個別単独ケースと複数設備協調ケースとを比較した場合に、変圧器Aについては、個別単独ケースにおける40年目の大規模保守が、複数設備協調ケースでは39年目に前倒しされた(図30の(1)参照)。また、変圧器Bについては、個別単独ケースにおける38年目の大規模保守が、複数設備協調ケースでは40年目まで先延ばしされた(図30の(2)参照)。さらに、変圧器Bについては、個別単独ケースにおける46年目の大規模保守が、複数設備協調ケースでは取りやめとなった。これにより、複数の設備で協調的にリスク抑制を図った結果、大規模保守が1回不要になり、その分だけ考察期間における費用が低減された。
具体的には、図29に示すように、考察期間における費用は、変圧器Bのみを保守・更新した場合(個別単独ケース)には、合計で5.890となったのに対し、変圧器AおよびBをそれぞれ保守・更新した場合(複数設備協調ケース)には、合計で5.866となった。なお、ここでは、変圧器AおよびBの費用は、変圧器の更新費用を1とした相対値で表している。このように、複数の設備で協調的にリスク抑制を図った結果、考察期間全体での経済性を向上することができた。
上述してきたように、本実施例2では、保守・更新計画決定部370が、複数の電力流通設備の故障に起因する電力供給支障リスク、年間のオーバーホール費用、年間の更新費用および年間の維持費用をそれぞれ所定の許容レベル以下に抑えるとともに考察期間内におけるオーバーホール費用、更新費用および維持費用の合計を最小にする最適な保守・更新計画を決定する。そして、決定計画表示部390が、保守・更新計画決定部370により決定された保守・更新計画を表示装置に出力する。
したがって、本実施例2によれば、電力ネットワーク全体としての供給支障リスクや投資コスト、設備同士の相互影響までを含めて評価でき、包括的に設備保全計画の策定を支援することが可能である。また、複数設備を同時に考慮することにより、単一設備を対象とするよりも現実的なオーバーホールおよび更新の計画を得ることができる。
なお、本実施例2に係る電力流通設備保守支援装置300についても、実施例1に係る電力流通設備保守支援装置100と同様に、ソフトウェアによって実現することが可能である。
以上のように、本発明に係る電力流通設備保守支援装置、電力流通設備保守支援方法および電力流通設備保守支援プログラムは、電力流通設備の保守に有用である。
100 電力流通設備保守支援装置
110 供給支障電力量算出部
120 オーバーホール計画決定部
130 条件記憶部
140 条件設定部
150 経年変化データ記憶部
160 決定計画表示部
200 コンピュータ
210 RAM
211 電力流通設備保守支援プログラム
220 CPU
230 HDD
240 LANインタフェース
250 入出力インタフェース
260 DVDドライブ
300 電力流通設備保守支援装置
310 条件設定データ記憶部
320 条件設定データ入力部
330 設備データ記憶部
340 設備データ入力部
350 供給支障データ記憶部
360 供給支障データ入力部
370 保守・更新計画決定部
380 保守・更新計画データ記憶部
390 決定計画表示部

Claims (10)

  1. 電力流通設備の保守を支援する電力流通設備保守支援装置であって、
    記憶部から前記電力流通設備の設置費用、毎年の維持費、オーバーホール費用及びオーバーホールの前提条件を取得する取得部と、
    前記電力流通設備が故障した場合の供給支障電力量を算出する算出部と、
    所定期間内におけるオーバーホールの時期及び回数を変えながら、前記前提条件を満たしつつ、前記電力流通設備の実経年に対してオーバーホールによる補正を加えた状態年齢を用いて算出した年間の故障率と前記供給支障電力量を乗算して求められる供給支障電力量期待値が許容値内に収まり、且つ、前記設置費用、前記維持費用の累積及び前記オーバーホール費用を加算したライフサイクルコストを前記電力流通設備の使用年数で除算した年間平均費用が最小となる時期である経済寿命を迎えたときの年間平均費用が最小となるオーバーホールの時期及び回数を求める時期回数決定部と、
    時期回数決定部により求められた時期及び回数でオーバーホールを実施するように保守計画を決定する最適保守計画決定と、
    前記最適保守計画決定により決定された保守計画を出力する保守計画出力
    を備えたことを特徴とする電力流通設備保守支援装置。
  2. 各オーバーホール回数の中で最適な時期にオーバーホールを行った場合の電力供給支障リスクの経年変化をライフサイクルリスクマネジメントグラフとして出力するライフサイクルリスクマネジメントグラフ出力部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の電力流通設備保守支援装置。
  3. オーバーホールの時期及び回数を決定する際に前提とする条件を記憶する条件記憶手段をさらに備え、
    前記時期回数決定部は、前記条件記憶から条件を読み出してライフサイクル評価に基づく年間平均費用を算出することを特徴とする請求項1に記載の電力流通設備保守支援装置。
  4. 前記時期回数決定部は、複数の電力流通設備の故障に起因する電力供給リスクを許容レベル以下に抑えるように、オーバーホールの時期及び回数を決定することを特徴とする請求項1に記載の電力流通設備保守支援装置。
  5. 前記時期回数決定部は、前記電力供給支障リスクに加えて、年間のオーバーホール費用、年間の更新費用および年間の維持費用をそれぞれ所定の許容レベル以下に抑えるように、オーバーホールの時期及び回数を決定することを特徴とする請求項4に記載の電力流通設備保守支援装置。
  6. 前記時期回数決定部は、前記所定期間内におけるオーバーホール費用、更新費用および維持費用の合計を最小にする最適なオーバーホールの時期及び回数を決定することを特徴とする請求項4または5に記載の電力流通設備保守支援装置。
  7. 前記時期回数決定部は、更新の計画を含めたオーバーホールの時期及び回数を決定することを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載の電力流通設備保守支援装置。
  8. 前記時期回数決定部は、オーバーホールの作業の対象となる部位ごとに設定された故障率曲線、オーバーホール費用、オーバーホールによる回復効果、維持費用への影響のいずれか一つまたは複数に基づいて、前記電力流通設備の費用を算出し、算出した費用を最小にする最適なオーバーホールの時期及び回数を決定することを特徴とする請求項4〜7のいずれか一つに記載の電力流通設備保守支援装置。
  9. 電力流通設備の保守を支援する電力流通設備保守支援装置による電力流通設備保守支援方法であって、
    記憶部から前記電力流通設備の設置費用、毎年の維持費、オーバーホール費用及びオーバーホールの前提条件を取得する取得ステップと、
    前記電力流通設備が故障した場合の供給支障電力量を算出する算出ステップと、
    所定期間内におけるオーバーホールの時期及び回数を変えながら、前記前提条件を満たしつつ、前記電力流通設備の実経年に対してオーバーホールによる補正を加えた状態年齢を用いて算出した年間の故障率と前記供給支障電力量を乗算して求められる供給支障電力量期待値が許容値内に収まり、且つ、前記設置費用、前記維持費用の累積及び前記オーバーホール費用を加算したライフサイクルコストを前記電力流通設備の使用年数で除算した年間平均費用が最小となる時期である経済寿命を迎えたときの年間平均費用が最小となるオーバーホールの時期及び回数を求める時期回数決定ステップと、
    時期回数決定ステップにおいて求めた時期及び回数でオーバーホールを実施するように保守計画を決定する最適保守計画決定ステップと、
    前記最適保守計画決定ステップにより決定された保守計画を出力する保守計画出力ステップと
    を含んだことを特徴とする電力流通設備保守支援方法。
  10. 電力流通設備の保守を支援する電力流通設備保守支援プログラムであって、
    記憶部から前記電力流通設備の設置費用、毎年の維持費、オーバーホール費用及びオーバーホールの前提条件を取得する取得手順と、
    前記電力流通設備が故障した場合の供給支障電力量を算出する算出手順と、
    所定期間内におけるオーバーホールの時期及び回数を変えながら、前記前提条件を満たしつつ、前記電力流通設備の実経年に対してオーバーホールによる補正を加えた状態年齢を用いて算出した年間の故障率と前記供給支障電力量を乗算して求められる供給支障電力量期待値が許容値内に収まり、且つ、前記設置費用、前記維持費用の累積及び前記オーバーホール費用を加算したライフサイクルコストを前記電力流通設備の使用年数で除算した年間平均費用が最小となる時期である経済寿命を迎えたときの年間平均費用が最小となるオーバーホールの時期及び回数を求める時期回数決定手順と、
    時期回数決定手順において求めた時期及び回数でオーバーホールを実施するように保守計画を決定する最適保守計画決定手順と、
    前記最適保守計画決定手順により決定された保守計画を出力する保守計画出力手順と
    をコンピュータに実行させることを特徴とする電力流通設備保守支援プログラム。
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