JP6359960B2 - 故障予測装置、故障予測方法及び故障予測プログラム - Google Patents
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Description
以下、本願が開示する故障予測装置、故障予測方法及び故障予測プログラムの実施形態を説明する。以下の実施形態では、屋外に設置される鋼管柱を故障率予測の対象とする。すなわち、実施形態は、鋼管柱の予防保全、例えば、設備更改や設備点検の優先順位の決定を行う際に、実使用時間だけでは把握できない使用環境の違いなどに由来する劣化状態の違いも簡易に統計的に考慮できる故障予測の手法を提示する。しかし、故障率予測の管理対象物は、経年劣化とともに設置環境等の経年劣化以外の要因により劣化が進行し、故障又は要交換状況に至る機器、設備等であって、同一又は同様の規格のものが様々な地理条件下あるいは気象条件下に多数設置されるものであればよい。なお、以下の実施形態は、一例を示すに過ぎず、本願が開示する技術を限定するものではない。また、以下に示す実施形態及びその変形例は、矛盾しない範囲で適宜組合せてもよい。
図1は、故障予測装置の構成の一例を示す図である。故障予測装置10は、点検情報データベース1、出力装置2が接続される。点検情報データベース1は、少なくとも鋼管柱の識別情報、建設年月、最新点検年月、少なくとも3段階で劣化の進行程度を示す劣化状態が、鋼管柱毎に対応付けられたレコードを有する。点検情報データベース1は、十分な数のレコード(データ数)を蓄積している。出力装置2は、故障予測装置10による故障予測結果を出力するディスプレイ、プリンタ等の出力装置である。
図2は、点検情報データの一例を示す図である。点検情報データ1aは、点検情報データベース1に格納される。点検情報データベース1は、少なくとも鋼管柱の基本属性情報及び最新の点検結果を記録したデータベースである。ここで、点検結果である劣化状態の評価結果は少なくとも3状態以上である。点検情報データベース1は、点検情報データ1aの一例として、鋼管柱の地際部腐食状況を記録する。
図3は、故障予測装置の各部の処理の詳細の一例を示す図である。故障予測装10の第1の導出部11は、平均故障率曲線の関数式導出の際に、点検情報データベース1から鋼管柱の「使用時間」及び『劣化状態』を抽出する。なお、「使用時間」は、点検情報データベース1の各レコードの『最新点検年月』から『建設年月』を差し引いた差である「年数」を採用するとしてもよい。「年数」未満の差は、四捨五入等の所定の丸めルールに従い処理してもよい。なお、「使用時間」の時間単位は、『建設年月』及び『最新点検年月』に応じて「年数」又は「月数」としてもよく、『建設年月』及び『最新点検年月』に、より詳細な時刻が規定される場合には、その詳細な時刻に沿った時間単位としてもよい。
以下、ワイブル分析(累積ハザード型)について説明する。累積ハザード関数H(t)は、以下の(数4)に示すワイブル分布の故障率を、以下の(式5)に示すように、時刻区間[0,t](t>0)で積分したものである。
図4〜図6を参照して、ワイブルプロットの一例について説明する。図4は、劣化状態1を故障とする場合のワイブルプロットの一例を示す図である。図4は、『劣化状態』“1”を故障と見なし、『劣化状態』“2”〜“4”を故障なしと見なし、上述したランダム打ち切りに基づく累積ハザード解析を行い、ワイブルプロットを行った場合を示す。図4に示すように、ワイブルプロットは、“y=5.307x−23.29”と直線近似できる。ここで、“y=ln(H(t))”“x=ln(t)”である。よって、図4に示すワイブルプロットにより、上記の(式2)に示す平均故障率曲線の関数式の形状パラメータmavg及び尺度パラメータ(または特性寿命)ηavgが推定できる。mavg=5.307であり、ηavg=80.52である。なお、『劣化状態』“1”を故障と見なし、『劣化状態』“2”〜“4”を故障なしと見なした場合の、ワイブル分布に基づく平均故障率曲線の関数式は、以下の(式7)のとおりである。
図8は、故障予測処理を示すフローチャートである。故障予測装置10の第1の導出部11は、点検情報データベース1から使用時間及び劣化状態の情報を抽出し、ワイブル解析(累積ハザード型)によって、形状パラメータmavgと尺度パラメータηavgを求める。そして、第1の導出部11は、形状パラメータmavg及び尺度パラメータηavgに基づく平均故障率曲線の関数式を導出する(ステップS11)。
実施形態によれば、各劣化状態に達するまでの使用時間を用いて平均故障率曲線の関数式を補正することにより、実使用年数のみで表現しきれない、最新点検時の劣化状態の違いが考慮された、より妥当な設備故障率の予測が可能となる。延いては、故障(劣化)予測の精度を高めることができ、効率的なメンテナンスやその計画、決定支援が可能となる。
実施形態では、時刻tのベキ関数で表現できるワイブル分布に基づく将来故障率曲線の関数式を導出するとした。しかし、時刻tのベキ関数に限らず、時刻tの指数関数、時刻tの対数関数、バスタブ曲線等、将来故障率を表現可能ないずれの関数式を導出するとしてもよい。そして、将来故障率を表現可能ないずれかの関数式に対して、最新点検時の劣化状態に応じた時刻tへ加算する定数を算出する。そして、現在以降の予測時点T1における実使用年数と、最新点検時の劣化状態とに基づき、現時点以降の予測時点T1の故障率を算出するとしてもよい。
以下に、実施形態の適用例を示す。図9Aは、従来技術により算出した故障率の順位を示す図である。また、図9Bは、実施形態の技術により算出した故障率の順位を示す図である。図9A及び図9Bは、ある県域の鋼管柱の点検結果のデータ数が、例えば16,239個であるとする。そして、点検結果の各『劣化状態』を“1”〜“4”の4ランクに分け、『劣化状態』“1”は、劣化が最も進んでいる状態であり、更改対象となるとする。『劣化状態』“2”、“3”、“4”の順で劣化の程度が軽減され、『劣化状態』“4”は劣化なしと見なすとする。
図1に示す故障予測装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、故障予測装置10の機能の分散および統合の具体的形態は図示のものに限られず、全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。
図10は、各プログラムが実行されることにより、故障予測装置が実現されるコンピュータの一例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010、CPU1020を有する。また、コンピュータ1000は、ハードディスクドライブインタフェース1030、ディスクドライブインタフェース1040、シリアルポートインタフェース1050、ビデオアダプタ1060、ネットワークインタフェース1070を有する。コンピュータ1000において、これらの各部はバス1080によって接続される。
2 出力装置
10 故障予測装置
11 第1の導出部
12 使用時間推定部
13 第2の導出部
14 将来故障率算出部
1000 コンピュータ
1010 メモリ
1020 CPU
Claims (7)
- 3以上の劣化状態に段階的にレベル分けされている各管理対象物の点検結果を蓄積したデータから、管理対象物のある使用時間における平均故障率を予測する平均故障率曲線の関数式を導出する第1の導出部と、
各管理対象物が非故障状態に該当する各劣化状態から故障状態に該当する各劣化状態に至るまでの各平均使用時間を推定する推定部と、
前記第1の導出部により導出された平均故障率曲線の関数式における使用時間に、前記推定部により推定された各平均使用時間を加算することにより、各劣化状態に該当する各管理対象物のある使用時間における故障率を予測する故障率曲線の関数式を導出する第2の導出部と、
前記第2の導出部により導出された故障率曲線の関数式を用いて、各劣化状態に該当する各管理対象物がある使用時間において故障する各故障率を算出する算出部と
を備えることを特徴とする故障予測装置。 - 前記データは、各管理対象物の実使用時間と、第1〜第nの劣化状態(但し、nは、n≧3を満たす自然数)のうちの各管理対象物の劣化状態とが対応付けられており、
前記第1の導出部は、第1の劣化状態を故障状態と設定し、第2〜第nの劣化状態を非故障状態と設定し、前記データにおいて該非故障状態に該当する管理対象物が、該故障状態に該当するに至る故障率を使用時間の関数で表す前記平均故障率曲線の関数式を導出し、
前記推定部は、第1〜第kの劣化状態(但し、kは、1<k<nを満たす自然数)を故障状態と設定し、第(k+1)〜第nの劣化状態を非故障状態と設定し、前記データにおいて該非故障状態に該当する管理対象物が、該故障状態に該当するに至るまでの第kの平均使用時間を推定し、
前記第2の導出部は、前記平均故障率曲線の関数式における使用時間に前記第kの平均使用時間を加算して、前記データにおいて第kの劣化状態に該当する管理対象物が、第1の劣化状態に該当するに至る前記故障率を使用時間の関数で表す前記故障率曲線の関数式を導出する
ことを特徴とする請求項1に記載の故障予測装置。 - 前記第1の導出部は、ワイブル解析に基づき前記平均故障率曲線の関数式を導出し、
前記推定部は、ワイブル解析に基づき前記平均使用時間を推定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の故障予測装置。 - 故障予測装置の第1の導出部が、3以上の劣化状態に段階的にレベル分けされている各管理対象物の点検結果を蓄積したデータから、管理対象物のある使用時間における平均故障率を予測する平均故障率曲線の関数式を導出し、
前記故障予測装置の推定部が、各管理対象物が非故障状態に該当する各劣化状態から故障状態に該当する各劣化状態に至るまでの各平均使用時間を推定し、
前記故障予測装置の第2の導出部が、前記第1の導出部により導出された平均故障率曲線の関数式における使用時間に、前記推定部により推定された各平均使用時間を加算することにより、各劣化状態に該当する各管理対象物のある使用時間における故障率を予測する故障率曲線の関数式を導出し、
前記故障予測装置の算出部が、前記第2の導出部により導出された故障率曲線の関数式を用いて、各劣化状態に該当する各管理対象物がある使用時間において故障する各故障率を算出する
こと含むことを特徴とする故障予測方法。 - 前記データは、各管理対象物の実使用時間と、第1〜第nの劣化状態(但し、nは、n≧3を満たす自然数)のうちの各管理対象物の劣化状態とが対応付けられており、
前記第1の導出部が、第1の劣化状態を故障状態と設定し、第2〜第nの劣化状態を非故障状態と設定し、前記データにおいて該非故障状態に該当する管理対象物が、該故障状態に該当するに至る故障率を使用時間の関数で表す前記平均故障率曲線の関数式を導出し、
前記推定部が、第1〜第kの劣化状態(但し、kは、1<k<nを満たす自然数)を故障状態と設定し、第(k+1)〜第nの劣化状態を非故障状態と設定し、前記データにおいて該非故障状態に該当する管理対象物が、該故障状態に該当するに至るまでの第kの平均使用時間を推定し、
前記第2の導出部が、前記平均故障率曲線の関数式における使用時間に前記第kの平均使用時間を加算して、前記データにおいて第kの劣化状態に該当する管理対象物が、第1の劣化状態に該当するに至る前記故障率を使用時間の関数で表す前記故障率曲線の関数式を導出する
ことを含むことを特徴とする請求項4に記載の故障予測方法。 - 前記第1の導出部が、ワイブル解析に基づき前記平均故障率曲線の関数式を導出し、
前記推定部が、ワイブル解析に基づき前記平均使用時間を推定する
ことを含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の故障予測方法。 - 請求項1〜3の何れか1つに記載の故障予測装置としてコンピュータを機能させる故障予測プログラム。
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