JP6571552B2 - 予測装置および予測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、予測装置および予測方法に関する。
道路、橋梁、通信設備、あるいは電力設備等の社会インフラの多くは、高度成長時代に全国に大量に設置されたものが未だに使用されている。時間の経過とともに老朽化した設備が増加すれば、機能を維持するために保守人員や費用等の保守に要するリソースが増加する。一方で、労働人口の減少や、事業における競争環境が厳しさを増し、保守に割り当てられるリソースは減少している。そこで、いかに少ないリソースで効率よく老朽化が進む設備の保守を行うかが課題になっている。
高効率な保守を実現するために、設備の劣化度を予測する劣化予測を利用して保全計画を立案する手法が知られている。特に、上記のような社会インフラは、故障した場合の社会的な影響が大きいため、劣化予測に基づいて、劣化の進行状況が深刻なものを優先して点検し、不具合箇所の発見を効率よく行い、故障に至る前に事前に補修や交換を行うことが望ましい。
設備の劣化予測の方法の一つに、設備の故障データや点検データ等のワイブル解析を行って求められた故障率曲線の関数を利用して、個々の設備の使用時間から故障率を予測する方法が知られている(非特許文献1,2参照)。
ここで、ワイブル解析に用いられるワイブル分布とは、脆弱材料の破壊は材料中に分布する互いに独立な欠陥の存在が原因となって発生する、との仮定のもとに提案されたモデルである。信頼性工学において頻出する、システムの一番弱いところが故障することによりシステム全体が使用できなくなるようなモデルに対しても適用できることから、しばしば故障発生の確率分布モデルとして採用されている。
ワイブル分布において、故障率λ(t)は、次式(1)で表される。ワイブル解析において、形状パラメータmおよび尺度パラメータηを決定することにより故障率曲線が決定する。次式(1)に示すように、形状パラメータmおよび尺度パラメータηが決定した故障率曲線において、故障率は、使用時間あるいは使用頻度等を意味するtのみで予測される。
Figure 0006571552
ワイブル解析は、あらゆる条件下の設備の故障データや点検データを用いて行われるため、ワイブル解析によれば、その設備の実際の使用時間以外の使用条件が考慮されない平均的あるいは代表的な故障率の値が求められる。したがって、劣化予測対象の設備の使用条件が一様で劣化が一様に進行する場合には、ワイブル解析は好適である。
なお、石油プラント等を対象として、個々の設備の故障率をベイズ推定を用いて推定する手法が知られている(非特許文献3,4参照)。ベイズ推定では、現在までに集められたデータから、ある事象が発生する確率分布を事前確率として予め求めておき、事象が発生した等の新たな証拠が観測された時点で、その情報を用いて再度、より信頼性の高い確率分布を事後確率として求める。このベイズ推定では、腐食による減肉厚等の定量的なデータを利用して事後確率が算出される。
田中健次,「4.2 少数データのワイブル解析」,入門 信頼性,日科技連,2008年,p.82-91 外間正浩,澤田孝,「鋼管柱の地際部腐食に関する信頼性分析」,REAJ第25回秋季信頼性シンポジウム発表報文集,日本信頼性学会,2012年11月2日,p.21-24 涌井良幸,涌井貞美,「第3章 ベイズの定理の基本」,図解 これならわかる!ベイズ統計学,ナツメ社,2012年3月10日,p.72-83,p.108-117 社団法人日本高圧力技術協会,「付属書B(参考) ベイズの定理」,HPISリスクベースメンテナンスハンドブック HPIS Z 107-1TR:2010,2010年3月26日,p.37-47
しかしながら、道路、電柱、あるいは通信設備等の広範囲に設置される設備は、個々の設備の気象条件や交通量等の使用条件が大きく異なり、同じ使用時間でも劣化の進行状況が異なる。そのため、このように広範囲に設置される設備では、ワイブル解析で求められる平均的な故障率曲線からの乖離が大きく、個々の設備の劣化予測を行うことは困難であった。
また、このように広範囲に分散して設置される設備に対する点検では、目視による定性的な評価のみが実施され、劣化状況等の定量的な調査が実施されない場合が多い。また特に通信設備の多くは、劣化抑制のための劣化抑制層を含む複数の層で構成されており、各通信設備の劣化の進行は一様ではない。このような設備の個々の故障率を、ベイズ推定で推定することも困難であった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、使用条件の異なる個々の設備の劣化状況を予測することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る予測装置は、多数の各設備の点検時の使用年数と劣化状況とを含む点検データを記憶する記憶部と、設備の平均的な劣化状況と使用年数との関係を表す標準劣化曲線を作成する標準劣化曲線作成部と、前記標準劣化曲線とは劣化速度が異なる設備の劣化状況と使用年数との関係を表す複数の候補劣化曲線を設定する候補劣化曲線設定部と、対象設備について、前記標準劣化曲線または前記候補劣化曲線のうちのいずれがもっともらしいかを示す事前確率を設定する事前確率設定部と、前記対象設備の前記点検データと設定された前記事前確率とを用いて、前記標準劣化曲線および前記候補劣化曲線のそれぞれに対する該点検データに応じた事後確率を推定し、該事後確率を用いて前記事前確率を更新する事後確率推定部と、設備の劣化状況と推定された前記事後確率とを用いて、前記対象設備の将来の劣化状況を予測する劣化予測部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、使用条件の異なる個々の設備の劣化状況を予測することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る予測装置による予測処理の対象設備の概略構成を示す模式図である。 図2は、他の実施形態の対象設備の概略構成を例示する模式図である。 図3は、本実施形態の劣化ランクを説明するための説明図である。 図4は、本実施形態に係る予測装置の概略構成を示す模式図である。 図5は、本実施形態の対象設備を構成する各層の平均的な劣化速度を例示する図である。 図6は、本実施形態の標準劣化曲線を例示する図である。 図7は、本実施形態の候補劣化曲線の劣化速度の設定例を示す図である。 図8は、本実施形態の事前確率の設定例を示す図である。 図9は、本実施形態の点検データを用いた事後確率の求め方を説明するための説明図である。 図10は、本実施形態の予測処理手順を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
[対象設備の構成]
図1は、本実施形態に係る予測装置による予測処理の対象とされる対象設備の概略構成を例示する模式図である。本実施形態において、広域に多数設置される通信設備の一例としての鋼管柱を対象設備として、後述する予測処理が行われる。図1に示すように、本実施形態の予測処理の対象設備5は、設備(鋼管柱)本体51の外側に3層の劣化抑制層A〜C(52〜54)が形成されたものである。本実施形態において、設備本体51側から外側に向かって順に、劣化抑制層A52、劣化抑制層B53、および劣化抑制層C54が形成されている。
なお、劣化抑制層の数は1以上であれば特に限定されない。例えば、図2に例示するように、劣化抑制層は、劣化抑制層A52および劣化抑制層B53の2層でもよい。
この対象設備5に対して定期的に点検が行われ、設備の劣化の進行状況に応じて劣化ランクが判定される。ここで判定された劣化ランクは点検データに設定され、後述する設備DBに蓄積される。
具体的に劣化ランクは、図3に例示するように、どの劣化抑制層の劣化抑制機能が維持されているかに応じて判定される。例えば、図3(a)に示すように、劣化が進行した劣化部6が一番外側の劣化抑制層C54の一部にとどまり、この劣化抑制層C54の劣化抑制機能が維持されている場合には、劣化ランク0と判定される。
また、図3(b)に示すように、劣化部6が劣化抑制層B53にまで進行して劣化抑制層C54の劣化抑制機能が損失している場合には、劣化ランク1と判定される。また、図3(c)に示すように、劣化部6が進行して劣化抑制層B53の劣化抑制機能が損失している場合には、劣化ランク2と判定される。
そして、図3(d)に示すように、劣化部6が設備本体51にある程度以上に進行して劣化抑制層A52の劣化抑制機能が損失している場合には、劣化ランク3と判定され、この対象設備5の取り換えの基準とされる。
[予測装置の構成]
次に、図4を参照して、本実施形態に係る予測装置の概略構成を説明する。本実施形態に係る予測装置1は、ワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータで実現され、後述する予測処理を実行して、対象設備5の将来の劣化状況を予測する。この予測装置1は、設備DB(データベース)2、制御部3、および出力部4を有する。
設備DB2は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、記憶部として、多数の点検データおよび設備データを記憶する。
点検データは、多数の各設備の点検時の使用年数と劣化状況とを含む。本実施形態の点検データは、各設備の設置年、点検年、および劣化状況を示す劣化ランクを含む。点検時の使用年数は、設置年と点検年との間の年数として算出される。
また、設備データは、各設備に関する例えば設置場所等の情報を含む。本実施形態では、設備データは、図5に例示するように、各設備を構成する設備本体51、劣化抑制層A〜C(52〜54)の各層の劣化速度を含む。図5の例では、劣化速度は1年の減肉量(μm)で表され、例えば、劣化抑制層C54の劣化速度は、1年に2.6μmである。この劣化速度の値は、例えば、点検データを用いた統計的解析や、暴露試験や加速試験等による劣化状況と使用時間との関係を示す試験データの分析等により求められる。
本実施形態において、各層の劣化速度は、点検データを用いたワイブル解析により予め導出される。具体的に、層ごとに、多数の点検データを当該層が未破壊のものと当該層が破壊されているものとに分類し、ワイブル解析を用いて当該層が破壊に至った平均的な使用時間すなわち平均寿命を推定する。そして、例えば当該層の厚みを推定された平均寿命で除することにより、当該層の平均的な劣化速度が導出される。
なお、点検データおよび設備データは、キーボードやマウス等の入力デバイスを用いて実現される図示しない入力部あるいはNIC(Network Interface Card)等で実現される図示しない通信制御部を介して、外部のサーバ装置等から予測装置1に入力されてもよい。
制御部3は、処理プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等を用いて実現され、標準劣化曲線作成部31、候補劣化曲線設定部32、事前確率設定部33、事後確率推定部34、および劣化予測部35として機能する。
標準劣化曲線作成部31は、設備の平均的な劣化状況と使用年数との関係を表す標準劣化曲線を作成する。具体的に、標準劣化曲線作成部31は、対象設備5の設備本体51および劣化抑制層A〜C(52〜54)の劣化が線形に進行するものと仮定して、標準劣化曲線を作成する。図6は標準劣化曲線を例示する図である。図6に示すように、標準劣化曲線作成部31は、各層の劣化速度を傾きとした線分を連結して、標準劣化曲線を作成する。その際、標準劣化曲線作成部31は、設備DB2を参照して各層の劣化速度を取得する。
なお、標準劣化曲線および後述する候補劣化曲線において、劣化状況は、劣化ランクまたは減肉量を意味する劣化度(μm)で表される。
候補劣化曲線設定部32は、標準劣化曲線とは劣化速度が異なる設備の劣化状況と使用年数との関係を表す複数の候補劣化曲線を設定する。例えば、候補劣化曲線設定部32は、標準劣化曲線の劣化速度を1とした場合の各候補劣化曲線の劣化速度の値を設定する。そして、候補劣化曲線設定32は、各候補劣化曲線の劣化速度と標準劣化曲線作成部31が作成した標準劣化曲線とを用いて、各候補劣化曲線を設定する。
図7は、候補劣化曲線の劣化速度の設定例を示す図である。図7に示すように、候補劣化曲線設定部32は、各候補劣化曲線を識別する劣化曲線No.に対応付けて、対象設備5の各層(51〜54)の劣化速度の組み合わせを設定する。図7には、例えば、劣化曲線No.が2の候補劣化曲線については、劣化抑制層C54の劣化速度が1/2、劣化抑制層B53の劣化速度が1、劣化抑制層A52の劣化速度が1、設備本体51の劣化速度が1と設定されている。
これらの各候補劣化曲線の劣化速度の値は、点検データや試験データから得られる劣化速度のばらつきに基づいて設定される。図7に例示した各候補劣化曲線の劣化速度は、予め設定され、設備DB2等の適当な記憶部に記憶されてもよい。候補劣化曲線設定部32は、図6に例示した標準劣化曲線と図7に例示した各候補劣化曲線の劣化速度とを用いて、各候補劣化曲線を設定する。
事前確率設定部33は、対象設備について、標準劣化曲線または候補劣化曲線のうちのいずれがもっともらしいかを示す事前確率を設定する。具体的に、事前確率設定部33は、標準劣化曲線および各候補劣化曲線の劣化曲線のそれぞれに、総和が1になるように、各劣化曲線のもっともらしさを意味する確率を事前確率として設定する。
図8は、図7に例示した各劣化曲線に対して設定された事前確率を例示する図である。図8には、例えば劣化曲線No.が6の標準劣化曲線に対する事前確率は0.16と設定され、劣化曲線No.が1〜16の各劣化曲線に対する事前確率の合計が1になっている。これらの事前確率の値は、全劣化曲線に対して一律な値としてもよいし、正規分布等の確率密度分布に基づいた値としてもよいし、点検データや試験データに基づいた値としてもよい。
事後確率推定部34は、対象設備5の点検データと設定された事前確率とを用いて、標準劣化曲線および候補劣化曲線のそれぞれに対する事後確率を推定する。具体的に、事後確率推定部34は、設備DB2を参照して対象設備5の点検データを取得して、ベイズ推定により各設備の事後確率を推定する。
ここで、ベイズ推定において、事後確率P(A|X)は、ベイズ定理に基づいて次式(2)で表される。ここで、P(A)とは、対象設備5がある劣化曲線Aに従う確信度すなわち事前確率を表す。また、P(A|X)とは、対象設備5の点検データの劣化ランクがXという新たな証拠が発生した場合に、この対象設備5が劣化曲線Aに従う事後確率を表す。
Figure 0006571552
また、P(X|A)は、対象設備5が劣化曲線Aに従う場合に、点検データの劣化ランクがXである確率を表す。図9は、点検データを用いてP(X|A)を求める方法を例示する説明図である。まず、事後確率推定部34は、図9(a)に例示するように、設備DB2を参照し、全点検データを対象に各劣化ランクの設備数を集計する。
また、事後確率推定部34は、図9(b)に例示するように、劣化ランクと減肉量を意味する劣化度(μm)とを対応付けて、劣化ランクごとの劣化度の確率密度分布を求める。具体的に、本実施形態では、各劣化ランクの劣化度の確率密度分布は、各劣化ランクの劣化度の中心値を平均とした正規分布に従うものとした。この確率密度分布は、正規分布に限定されず、例えばガンベル分布や対数正規分布としてもよい。
そして、事後確率推定部34は、図9(c)に例示するように、劣化度ごとの各劣化ランクの割合を求める。すなわち、事後確率推定部34は、各劣化ランクの設備数と劣化度の確率密度分布とを乗算して劣化度に対する各劣化ランクの設備数の分布を求め、これを劣化度に対する各劣化ランクの設備数の割合に換算する。
また、事後確率推定部34は、図9(d)に例示するように、ある劣化曲線Aについて、対象設備5の点検データの点検年での使用年数yにおける劣化度の確率密度分布を求める。本実施形態では、使用年数yにおける劣化度の確率密度分布は、使用年数yにおける劣化曲線A上の劣化度μを平均とした正規分布N(μ、σ)に従うものとした。
次に、事後確率推定部34は、図9(c)に例示した劣化度ごとの劣化ランクの割合と、図9(d)に例示した使用年数yにおける劣化度の確率密度分布とを対照する。これにより、事後確率推定部34は、図9(e)に例示するように、劣化曲線Aについて、点検データの点検年での使用年数yにおける劣化ランクごとの劣化度の確率密度分布を求める。
そして、事後確率推定部34は、図9(e)に示した使用年数yにおける劣化度の確率密度分布の各劣化ランクの面積を用いて、P(X|A)を求める。すなわち、事後確率推定部34は、図9(f)に例示するように、劣化ランクXの面積の割合をP(X|A)として算出する。例えば、図9(f)に示す例では、劣化曲線Aにおける劣化ランク0の割合が算出され、これによりP(劣化ランク0|A)が求められている。
事後確率推定部34は、全ての劣化曲線nについて、以上の処理を繰り返し、P(X|n)を求める。本実施形態において、n=1〜16である。以上により求められたP(X|A)およびP(X|n)を上記式(2)の最右式に代入することにより、劣化曲線Aの事後確率P(A|X)が求められる。
同様に、事後確率推定部34は、全ての劣化曲線n(n=1〜16)について、事後確率P(n|X)を求める。
劣化予測部35は、設備の劣化状況と推定された事後確率とを用いて、対象設備5の将来の劣化状況を予測する。具体的に、劣化予測部35は、次式(3)を用いて、予測したい使用年数における劣化ランクXの割合P(X)を算出することにより、予測したい使用年数での劣化状況を予測する。
Figure 0006571552
ここで、P(X|A)は、予測したい使用年数における、劣化曲線Aでの劣化ランクXの割合を表す。また、事前確率P(A)には、先に求められた対象設備5についての劣化曲線Aの事後確率が適用される。
P(X)を算出するために、劣化予測部35は、まず、予測したい使用年数zにおけるP(X|A)を、上記の図9(c)〜(f)に例示した処理と同様の処理を行って求める。ここで、劣化予測部35は、図9(d)に例示した処理については、点検年での使用年数yを予測したい使用年数zに代えて、使用年数zにおける劣化度の確率密度分布を求める。
劣化予測部35は、使用年数zにおける劣化度の確率密度分布と、図9(c)に例示した劣化度ごとの劣化ランクの割合とを対照し、図9(e)に示した例と同様に、劣化曲線Aについて使用年数zにおける劣化ランクごとの劣化度の確率密度分布を求める。これにより、劣化予測部35は、図9(f)に例示した処理と同様に、劣化曲線Aについて、予測したい使用年数zにおけるP(X|A)を求める。
劣化予測部35は、全ての劣化曲線A(A=1〜16)について同様の処理を行って、上記式(3)の右辺に代入する。また、劣化予測部35は、上記式(3)におけるP(A)には、前述したように、事後確率推定部34により求められた事後確率を代入する。以上により、劣化予測部35は、上記式(3)を用いて、予測したい使用年数zに劣化ランクXである割合P(X)を求める。
例えば、予測したい使用年数における劣化ランク3の割合を求めることにより、対象設備5の危険度を予測できる。あるいは、劣化ランク3の割合が50%を超える使用年数を予測することにより、点検時期や取り換え時期の決定に寄与できる。
出力部4は、液晶ディスプレイなどの表示装置、プリンター等の印刷装置、情報通信装置等によって実現され、予測された劣化状況や劣化時期等の予測処理の結果を操作者に対して出力する。
[予測処理]
次に、図10を参照して、予測装置1による予測処理について説明する。図10のフローチャートは、例えば、ユーザによる予測処理の開始を指示する操作入力があったタイミングで開始される。
まず、標準劣化曲線作成部31が、標準劣化曲線の作成、候補劣化曲線の設定および事前確率の設定がされているか否かを確認する(ステップS1)。標準劣化曲線が作成されていない場合には、標準劣化曲線作成部31が標準劣化曲線を作成する。また、候補劣化曲線が設定されてない場合には、候補劣化曲線設定部32が候補劣化曲線を作成する。また、事前確率が設定されていない場合には、事前確率設定部33が、各劣化曲線に対する事前確率を設定する(ステップS1,No→ステップS2)。
なお、ステップS1の処理において、標準劣化曲線の作成、候補劣化曲線の設定および事前確率の設定がされている場合には(ステップS1,Yes)、ステップS3に処理が進む。
次に、事後確率推定部34が、新規点検データが追加されたかを確認し(ステップS3)、追加されている場合には(ステップS3、Yes)、新規点検データという新たな証拠を用いて、事後確率を推定する(ステップS4)。また、事後確率推定部34は、ここで得られた事後確率をその設備の事前確率として保存する。なお、新規点検データが追加されていない場合には(ステップS3,No)、ステップS5に処理が進む。
その後、劣化予測部35が、点検年より将来の使用年数における劣化状況を予測して(ステップS5)、出力部4が、予測された劣化状況や劣化時期等の予測処理の結果を出力する(ステップS6)。
以上、説明したように、本実施形態の予測装置1では、設備DB2に記憶された、多数の各設備の点検時の使用年数と劣化状況とを含む点検データを用いて、標準劣化曲線作成部31が、設備の平均的な劣化状況と使用年数との関係を表す標準劣化曲線を作成する。また、候補劣化曲線設定部32が、標準劣化曲線とは劣化速度が異なる設備の劣化状況と使用年数との関係を表す複数の候補劣化曲線を設定する。また、事前確率設定部33が、対象設備について、標準劣化曲線または候補劣化曲線のうちのいずれがもっともらしいかを示す事前確率を設定する。その後、事後確率推定部34が、対象設備5の点検データと設定された事前確率とを用いて、標準劣化曲線および候補劣化曲線のそれぞれに対する事後確率を推定する。そして、劣化予測部35が、設備の劣化状況と推定された事後確率とを用いて、対象設備5の将来の劣化状況を予測する。
このようにして得られた対象設備5の事後確率は、その設備の事前確率として保存され、次に点検データを用いて事後確率を推定する際に、設備ごとに更新された事前確率が用いられる。したがって、対象設備5の点検データを用いて事後確率の推定が行われる度に、各対象設備5に固有な事前確率が更新される。
これにより、本実施形態の予測装置1における予測処理によれば、予測処理の対象設備5の点検実績に基づいて求められた固有の事後確率を用いて、点検以降の将来の使用年数における劣化ランク等の劣化状況を予測できる。これにより、例えば、予測したい使用年数における劣化ランク3の割合を求めることにより、対象設備5の危険度を予測できる。また、劣化ランク3の割合が50%を超える使用年数を予測することにより、点検時期や取り換え時期の決定に寄与できる。このように、本実施形態の予測装置1の予測処理によれば、使用条件の異なる個々の設備の劣化状況を予測することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 予測装置
2 設備DB
3 制御部
31 標準劣化曲線作成部
32 候補劣化曲線設定部
33 事前確率設定部
34 事後確率推定部
35 劣化予測部
4 出力部
5 対象設備
51 設備本体
52 劣化抑制層A
53 劣化抑制層B
54 劣化抑制層C
6 劣化部

Claims (3)

  1. 多数の各設備の点検時の使用年数と劣化状況とを含む点検データを記憶する記憶部と、
    設備の平均的な劣化状況と使用年数との関係を表す標準劣化曲線を作成する標準劣化曲線作成部と、
    前記標準劣化曲線とは劣化速度が異なる設備の劣化状況と使用年数との関係を表す複数の候補劣化曲線を設定する候補劣化曲線設定部と、
    対象設備について、前記標準劣化曲線または前記候補劣化曲線のうちのいずれがもっともらしいかを示す事前確率を設定する事前確率設定部と、
    前記対象設備の前記点検データと設定された前記事前確率とを用いて、前記標準劣化曲線および前記候補劣化曲線のそれぞれに対する該点検データに応じた事後確率を推定し、該事後確率を用いて前記事前確率を更新する事後確率推定部と、
    設備の劣化状況と推定された前記事後確率とを用いて、前記対象設備の将来の劣化状況を予測する劣化予測部と、
    を備えることを特徴とする予測装置。
  2. 前記標準劣化曲線作成部は、前記点検データを用いたワイブル解析により推定された劣化速度を用いて前記標準劣化曲線を作成することを特徴とする請求項1に記載の予測装置。
  3. 予測装置で実行される予測方法であって、
    前記予測装置は、多数の各設備の点検時の使用年数と劣化状況とを含む点検データを記憶する記憶部を備え、
    設備の平均的な劣化状況と使用年数との関係を表す標準劣化曲線を作成する標準劣化曲線作成工程と、
    前記標準劣化曲線とは劣化速度が異なる設備の劣化状況と使用年数との関係を表す複数の候補劣化曲線を設定する候補劣化曲線設定工程と、
    対象設備について、前記標準劣化曲線または前記候補劣化曲線のうちのいずれがもっともらしいかを示す事前確率を設定する事前確率設定工程と、
    前記対象設備の前記点検データと設定された前記事前確率とを用いて、前記標準劣化曲線および前記候補劣化曲線のそれぞれに対する該点検データに応じた事後確率を推定し、該事後確率を用いて前記事前確率を更新する事後確率推定工程と、
    設備の劣化状況と推定された前記事後確率とを用いて、前記対象設備の将来の劣化状況を予測する劣化予測工程と、
    を含んだことを特徴とする予測方法。
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