JP4884096B2 - 物体識別システム - Google Patents
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一方、
P(A); 事象Aが発生する確率(事前確率; prior probability)
P(B|A); 事象Aが発生しているときに、事象Bが観測される確率(尤度;likelihood)
として、
P(A|B); 事象Bが観測されたときに、事象Aが発生している確率(事後確率; posterior probability)は、
P(A|B) =P(A) ×P(B|A)/[Σ{P(A) ×P(B|A)}]
として表されることが、ベイズの定理として周知である。
ここで、これらの物体識別システムは、前記観測装置として、自動車周辺をレーダ計測するレーダ装置と、自動車周辺を撮影するカメラとを備えるものであってよく、前記各観測結果とは、当該観測結果が観測される位置に存在する物体の前記カメラが撮影した画像から推定される大きさと、当該位置に対して前記レーダ装置が計測したレーダ反射強度との各組み合わせであってよい。または、これらの物体識別システムは、前記観測装置として、自動車周辺をレーダ計測するレーダ装置と、自動車周辺を撮影するカメラとを備えるものであってよく、前記各観測結果とは、当該観測結果が観測される位置に存在する物体の前記カメラが撮影した画像から推定される大きさと、当該位置に対して前記レーダ装置が計測したレーダ反射強度と、当該位置までの距離と当該位置の方向との少なくとも一方との各組み合わせであってよい。
なお、これらの事後確率を算出する物体識別システムは、物体の種別分けをせずに設定した各位置の物体の事前確率と、物体の種別分けをせずに設定した物体が存在した場合に得られる各観測結果の尤度とを用いて、各位置に物体が存在する事後確率を、物体の種別を問わずに算出するものとして構成するようにしてもよい。
図1aに、本実施形態に係る周辺監視システムの構成を示す。
図示するように、周辺監視システムは、レーダ装置1、カメラ2、物体領域抽出部3、物体認識部4、物標追尾部5、事前確率テーブル6、尤度テーブル7、存在確率算出部8、事後確率テーブル9、周辺状況提示部10とを有している。
ここで、本周辺監視システムが搭載された自動車を自車100として、図1bに示すようにレーダ装置1とカメラ2は、自車100の後部に配置される。また、図2aに示すように、レーダ装置1は、自車100後方をスキャン範囲11としてスキャン範囲11内にある物体上のレーダ反射点の相対位置と相対速度と当該反射点におけるレーダ反射強度を測定し測定データとして出力する処理を繰り返す。また、カメラ2は自車100後方の撮影範囲21の映像を撮影する処理を繰り返す。
図3aに示すように事前確率テーブル6は、観測範囲30の各区域毎に設けられたエントリ(図中の各行)を有し、区域iに対応するエントリには、当該区域iに、事象Aが発生する確率の推定値が事前確率Pi(A)として登録される。ここで、事象Aとしては、「歩行車が存在する」、「二輪車が存在する」、「普通車が存在する」、「大型車が存在する」、「その他の物体が存在する」、「物体が存在しない」、の6つの事象を用いる。
そして、図3に示すように、事後確率テーブル9は、観測範囲30の各区域毎に設けられたエントリ(図中の各行)を有し、区域iに対応するエントリには、当該区域iに、事象Aが発生している確率が事後確率Pi(A|B)として登録される。ここで、前述の通り、事象Aとしては、「歩行車が存在する」、「二輪車が存在する」、「普通車が存在する」、「大型車が存在する、「その他の物体が存在する」、「物体が存在しない」、の6つの事象を用いる。
すなわち、測定データのうちに、ある追尾中物体の現在の推定相対位置に許容距離以内に近接する相対位置を示す測定データが存在する場合に、当該測定データを、当該追尾中物体の測定データであるとして、当該追尾中物体の追尾情報に加える。ここで、追尾中物体の現在の推定相対位置は、当該追尾中物体の過去最近の測定データが示す相対位置と相対速度に基づいて算出する。また、許容距離は、当該過去最近の測定データが示す相対位置が含まれる区域に存在する物体について物体認識部4が前述したように識別した物体の種別に応じて、たとえば、歩行者よりも大型車が大型車よりも普通車が大きくなるように設定する。
まず、存在確率算出処理について説明する。
図4に、この存在確率算出処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、まず、事後確率テーブル9の全てのエントリの全ての事後確率Pi(A|B)を0%に初期化する(ステップ402)。そして、レーダ装置1が出力した測定データが示す相対位置が含まれる区域であるか、もしくは、物体領域抽出部3が抽出したカメラ2が撮影した画像中の物体が写り込んでいる領域に対応する区域である区域の全てを検知区域に設定する(ステップ404)。なお、物体領域抽出部3が抽出したカメラ2が撮影した画像中の物体が写り込んでいる領域に対応する区域は、物体領域抽出部3が出力する区域番号より識別する。
このステップ408から414の処理では、まず、処理対象となった検知区域を検知区域jとして、検知区域jに対応する画像中の領域について物体領域抽出部3が抽出し出力した物体の幅の広い/狭い/無と、レーダ装置1が出力した検知区域j内の相対位置を含む測定データが示すレーダ反射強度の強/弱/無との組み合わせを当該検知区域jの観測事象Bに設定する(ステップ408)。ここで、検知区域jに対応する領域を物体領域抽出部3が物体が写り込んでいる領域として抽出していない場合には、物体の幅は無しとする。また、検知区域内の相対位置を含む測定データがレーダ装置1によって出力されていない場合には、レーダ反射強度は無とする。また、物体の幅の広い/狭いは、尤度テーブル作成時に用いた物体の幅の広い/狭いの基準と同じ基準に従って判別する。また、同様に、レーダ反射強度の強/弱は、尤度テーブル作成時に用いたレーダ反射強度の強/弱の基準と同じ基準に従って判別する。
Pj(A|B) =Pj(A) ×Pj(B|A)/[Σ{Pj(A) ×Pj(B|A)}]
によって算出し、事後確率テーブル9の検知区域jのエントリに当該6つの事象に対応する事後確率として各々登録する(ステップ414)。
そして、各検知区域についてステップ408から414の処理を終了したならば、ステップ402に戻り、以上の処理を繰り返す。
次に、事前確率テーブル更新処理について説明する。
なお、事前確率テーブル6は初期状態において、全てのエントリに事前確率Pj(A)は登録されていない。
図5に、この事前確率テーブル更新処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、事前確率テーブル6のエントリに事前確率Pi(A)が登録されていない区域内に含まれる相対位置を示す測定データをレーダ装置1が出力するか、事前確率テーブル6のエントリに事前確率Pi(A)は登録されていない区域に対応する画像中の領域を物体領域抽出部3が物体が写り込んでいる領域として抽出したならば(ステップ502)、事前確率テーブル6の当該区域のエントリに事前確率Pi(A)の初期値を登録する(ステップ510)。初期値は、「物体が存在しない」事象の事前確率Pi(A)を所定値とし、残りの確率を他の事象に均等に分配したものとする。すなわち、たとえば、事前確率Pi(A)の初期値は、「歩行車が存在する」事象の事前確率Pi(A)を15%、「二輪車が存在する」事象の事前確率Pi(A)を15%、「普通車が存在する」事象の事前確率Pi(A)を15%、「大型車が存在する」事象の事前確率Pi(A)を15%、「その他の物体が存在する」事象の事前確率Pi(A)を15%、「物体が存在しない」事象の事前確率Pi(A)を25%とする。
ところで、以上では、レーダ反射強度と、カメラ2で撮影した画像中に写り込んでいる物体の幅との組み合わせを観測事象Bとして用いたが、レーダ反射強度や物体の幅や、これらの物体の種別毎の相違は、物体までの距離や物体の存在する方向によって異なるものとなる。
以上のように本実施形態によれば、物体の種別、または、種別と位置との組み合わせに応じて、物体の大きさとレーダ反射強度の組み合わせが異なるものとなることを利用して、各種別の物体が存在する確率を表す事後確率を算出や物体及び物体の種別の識別を行うので、効率的かつ適正に各種別の物体が存在する確率を算出できるようになる。
Claims (2)
- 自動車に搭載される、当該自動車周辺に存在する物体を識別する物体識別システムであって、
自動車周辺を観測する観測装置と、
自車周辺の各位置に各種別の物体が存在する事前確率を規定した事前確率テーブルと、
前記観測装置の各観測結果が各種別の物体が存在した場合に得られる尤度を規定した尤度テーブルと、
自車周辺の各位置について、当該位置の前記事前確率テーブルとより求まる事前確率と、前記尤度テーブルが規定する当該位置について前記観測装置が観測した観測結果に対応する尤度とより、当該位置に各種別の物体が存在する事後確率を算出する物体存在確率算出手段と、
前記観測装置の各位置の観測結果に応じて、前記事前確率テーブルが規定する当該位置の各事前確率を、物体の存在が推定される観測結果が観測された位置に物体が存在する事前確率が増加するように更新する事前確率更新手段を有し、
前記観測装置は、自動車周辺をレーダ計測するレーダ装置であり、
前記事前確率更新手段は、前記レーダ装置のレーダ計測結果が表すレーダ反射点の位置を、前記物体の存在が推定される観測結果が観測された位置として、当該物体の存在が推定される観測結果が観測された位置に物体が存在する事前確率が増加するように、前記事前確率テーブルを更新することを特徴とする物体識別システム。
- 自動車に搭載される、当該自動車周辺に存在する物体を識別する物体識別システムであって、
自動車周辺を観測する観測装置と、
自車周辺の各位置に各種別の物体が存在する事前確率を規定した事前確率テーブルと、
前記観測装置の各観測結果が各種別の物体が存在した場合に得られる尤度を規定した尤度テーブルと、
自車周辺の各位置について、当該位置の前記事前確率テーブルとより求まる事前確率と、前記尤度テーブルが規定する当該位置について前記観測装置が観測した観測結果に対応する尤度とより、当該位置に各種別の物体が存在する事後確率を算出する物体存在確率算出手段と、
前記観測装置の観測結果に基づいて物体の移動を予測する物体移動予測手段と、
前記事前確率テーブルが規定する前記物体移動予測手段が予測した物体の移動の移動元の位置の事前確率と、前記事前確率テーブルが規定する当該移動の移動先の位置の事前確率とを、移動元の位置に物体が存在する事前確率が減少し、移動先の位置に物体が存在する事前確率が増加するように更新する事前確率更新手段とを有し、
前記観測装置は、自動車周辺をレーダ計測するレーダ装置であって、
前記物体移動予測手段は、前記レーダ装置のレーダ計測結果が表すレーダ反射点の位置の推移より自動車周辺の物体を追尾し、当該追尾により求まる自動車周辺の物体の移動を、前記物体の移動として予測することを特徴とする物体識別システム。
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