JP5973398B2 - 劣化評価装置および劣化評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、設備の劣化を評価する劣化評価装置および劣化評価方法に関するものである。
現代生活は様々な設備や構造物等によって支えられている。多くの設備や構造物等は、時間の経過とともに様々な要因によって劣化し、所定の機能を失っていく。社会生活の維持のためには、このような設備や構造物等が、時間とともにどの程度劣化していくのかを把握し、維持・メンテナンス・更改等の計画を立てて、実施していくことが求められる。
設備や構造物等の対象物が、時間とともにどの程度劣化していくのかを表すものとして、劣化曲線が挙げられる。劣化曲線は、多くの場合、使用年数や使用頻度等その対象物の使用度を表す指標と、使用度に対する対象物の劣化度あるいは健全度の2軸をとってグラフ化したものである。劣化曲線は、実物の観測や実験、あるいは理論計算に基づいた劣化度や健全度の平均値で作成される。
一方で、実際の設備はさまざまな環境に暴露されるため、中には劣化を促進する要因等によって早期に機能を喪失する場合がある。以降、こうした劣化を「早期劣化」、また早期劣化した設備を「早期劣化設備」と呼ぶ。また、通常の劣化を「通常劣化」、通常劣化による設備を「通常劣化設備」と呼ぶ。メンテナンス上、あるいは事故等の防止上、早期劣化設備への対処は重要である。
早期劣化設備の従来の把握方法の一つとしては、点検データ等を活用して、対象設備全体の平均劣化曲線からの乖離具合を用いる方法が挙げられる。つまり、早期劣化設備では劣化曲線の形状や傾きが平均劣化曲線と異なる軌跡をたどることを利用して、早期劣化設備かどうかを判断する。例えば、劣化曲線の横軸が使用年数で、縦軸が劣化度である場合、早期劣化設備では、劣化曲線の傾きが急になる、あるいは劣化曲線全体が使用年数の小さい方へずれる。この変化量で早期劣化設備かどうかを判断することとなる。
しかしながら、早期劣化のうち、非常に急激な劣化を起こした場合(以降、このような劣化を急速劣化、急速劣化した設備を急速劣化設備と呼ぶ)、例えば異物の接触等で損傷を受けたような場合には、従来の方法による劣化曲線では対応できないことがある。
現状、大量の設備を対象とする点検は、ある点検周期に基づいたタイムベースメンテナンスが多い。急速劣化に効果的に対処しようとすると、点検間隔を短くせざるを得ない。しかし、このような対処を全体的に実施することは、稼働・コスト面で困難であることから、早期劣化設備の劣化曲線を作成し、その特性を把握する必要がある。こうした点からも、急速劣化に対応した劣化曲線作成方法が求められる。
従来の方法による劣化曲線では急速劣化に対応できない理由として、次のような理由が挙げられる。
劣化曲線は通常1本の軌跡で連続的に表現される。しかし、急速劣化の場合、その劣化程度は原因事象等の発生を境に非連続になる。現状、非連続を仮定した劣化曲線の作成方法や、さらには劣化事象の特徴等を反映する関数は具体的に示されていない。
特に設備総数が多い場合、点検は周期的な定期点検によることが多く、ほぼすべての劣化事象を事後的に把握することとなる。点検周期を非常に短くして頻繁に点検を行わない限り、ある設備に急速劣化が発生したタイミングでデータを得ることは困難である。このため、急速劣化設備の把握は、急速劣化が発生して急激な劣化が起こった後、さらに劣化を重ねた段階でなされることとなる。このような事後的なデータを用いる場合、急速劣化に対応できる劣化曲線関数に対してデータを投入し、劣化曲線のパラメータを推定することで、劣化設備の状況を捉える必要がある。
製品の性能評価や設備保全等を目的として劣化曲線を活用する技術は数多く存在するが(例えば特許文献1)、上述したような急速劣化に対応した劣化曲線の作成方法は提案されていない。
特開2001−296236号公報
以上のように、従来の技術では、急速劣化設備の劣化曲線を作成することができず、急速劣化設備のリスク評価を正確に行うことができないという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、急速劣化設備の劣化曲線を作成することができ、急速劣化設備のリスク評価を正確に行うことができる劣化評価装置および劣化評価方法を提供することを目的とする。
本発明の劣化評価装置は、劣化促進事象による設備へのダメージの量とこのダメージにより設備の劣化抑制期間が短縮される時間短縮量との関係を表す関数と、劣化促進事象により急速に劣化が進んだと類推される急速劣化設備の点検データとから、前記急速劣化設備の劣化曲線関数式のパラメータを推定するパラメータ推定手段と、このパラメータ推定手段が推定したパラメータを前記急速劣化設備の劣化曲線関数式に代入することで前記急速劣化設備の劣化曲線関数式を確定する第1の劣化曲線作成手段とを備え、前記急速劣化設備の劣化曲線関数式は、設備の使用年数を入力変数とし、前記劣化促進事象の発生時期と前記劣化抑制期間の時間短縮量とを含む前記パラメータと、設備の平均劣化曲線関数式とを用いて定義されるものであり、前記平均劣化曲線関数式が表す平均劣化曲線を、前記劣化促進事象の発生時期において前記劣化抑制期間の時間短縮量に応じた劣化度の分だけ遷移させた劣化曲線を表すことを特徴とするものである。
また、本発明の劣化評価装置の1構成例は、さらに、前記平均劣化曲線関数式と前記急速劣化設備の劣化曲線関数式とから、前記急速劣化設備の取り換え使用年数までの残余年数の時間短縮量を算出する比較手段を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の劣化評価装置の1構成例は、さらに、前記パラメータ推定手段がパラメータを推定する前に、全ての設備の点検データ、あるいは劣化促進事象が発生していないと考えられる設備の点検データを基に前記平均劣化曲線関数式を導出する第2の劣化曲線作成手段を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の劣化評価装置の1構成例において、劣化促進事象による設備へのダメージの量とこのダメージにより設備の劣化抑制期間が短縮される時間短縮量との関係を表す関数は、事前に実施される試験に基づいて予め定義されるか、あるいは前記ダメージの量と前記劣化抑制期間の時間短縮量との関係を近似するワイブル分布を用いて予め定義される。
また、本発明の劣化評価方法は、劣化促進事象による設備へのダメージの量とこのダメージにより設備の劣化抑制期間が短縮される時間短縮量との関係を表す関数と、劣化促進事象により急速に劣化が進んだと類推される急速劣化設備の点検データとから、前記急速劣化設備の劣化曲線関数式のパラメータを推定するパラメータ推定ステップと、このパラメータ推定ステップで推定したパラメータを前記急速劣化設備の劣化曲線関数式に代入することで前記急速劣化設備の劣化曲線関数式を確定する第1の劣化曲線作成ステップとを含み、前記急速劣化設備の劣化曲線関数式は、設備の使用年数を入力変数とし、前記劣化促進事象の発生時期と前記劣化抑制期間の時間短縮量とを含む前記パラメータと、設備の平均劣化曲線関数式とを用いて定義されるものであり、前記平均劣化曲線関数式が表す平均劣化曲線を、前記劣化促進事象の発生時期において前記劣化抑制期間の時間短縮量に応じた劣化度の分だけ遷移させた劣化曲線を表すことを特徴とするものである。
本発明によれば、劣化促進事象による設備へのダメージの量とこのダメージにより設備の劣化抑制期間が短縮される時間短縮量との関係を表す関数と、劣化促進事象により急速に劣化が進んだと類推される急速劣化設備の点検データとから、急速劣化設備の劣化曲線関数式のパラメータを推定することにより、設備メンテナンスで重要視すべき急速劣化設備に対応した劣化曲線を作成することができる。本発明では、非連続的な劣化事象を反映した劣化曲線が作成することができる。また、本発明では、劣化促進事象による設備へのダメージの量とこのダメージにより設備の劣化抑制期間が短縮される時間短縮量との関係を表す関数を用いることにより、劣化を促進する事象や要因の特性を劣化曲線に反映させることができ、各事象や要因の急速劣化への影響を個別に考慮することができる。以上により、本発明では、対象設備のリスク評価をより正確に行うことができ、効率的なメンテナンスやその計画、決定支援が可能となる。
本発明の実施の形態に係る劣化評価装置の構成を示すブロック図である。 対象設備の構成を示す断面図である。 平均劣化曲線の例を示す図である。 劣化促進事象によって劣化した急速劣化設備の劣化曲線の例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る劣化評価装置の動作を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る劣化評価装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態の劣化評価装置1は、外部データベース(以下、外部DB)13との通信のための通信部2と、内部データベース(以下、内部DB)3にデータを蓄積するデータ蓄積部4と、分析対象データ設定部5と、統計量算出部6と、指標値設定部7と、モデル式選択設定部8と、パラメータ算出部9(パラメータ推定手段)と、劣化曲線作成部10(第1の劣化曲線作成手段)と、平均劣化曲線作成部11(第2の劣化曲線作成手段)と、算出値比較部12と、出力部13とを備えている。
外部DB14からは、気象データや交通量データ等を取得することができる。内部DB3には、対象設備の点検データ、対象設備の使用年数、対象設備の仕様等のデータが蓄積される。
本実施の形態では、評価対象の設備として、次のような設備を想定する。この対象設備は屋外に設置されるものであり、広域に数多く建設されている。この対象設備については、定期的な点検で劣化程度が把握され、ある程度の点検データの蓄積があり、基本的な統計量は算出できるものとする。つまり、データ蓄積部4は、対象設備の定期的な点検で得られた点検データを内部DB3に蓄積させ、統計量算出部6は、点検データの統計量(例えば平均値)を算出する。点検データとしては、例えば設備の表面亀裂の大きさのデータ、表面亀裂の深さのデータ、設備の表面強度のデータ等がある。
対象設備は、図2に示すように、設備本体20と、本体20の外側に形成された劣化抑制層21の2層で構成されている。劣化抑制層21の機能(劣化抑制機能)は、ある程度の使用年数を過ぎると部分的に機能が失われてゆき、その結果として確率的に本体20の劣化が発生、進行し始めるものとする。また、この設備の劣化度DCは、ある劣化指標によって示されるものとする。つまり、劣化度DCは、点検データを基に設備の劣化状態を数値化したものである。劣化度DCは、設備の使用年数Tを用いて平均劣化曲線の関数として次式で表せる。
DC=f(T) ・・・(1)
ここで、f(T)は使用年数Tによって規定される関数である。
劣化抑制層21の部分的な機能喪失が進行、累積し、劣化抑制機能が事実上消滅した、あるいは期待できないと判断する設備の劣化度DCを劣化度Iとし、設備が劣化度Iに達する平均使用年数をtIとする。すなわち、劣化度I=f(tI)である。また、劣化度Iへの到達後、さらに劣化が進んだ劣化度IIをこの設備の取り替え基準とし、その平均使用年数をtIIとする。すなわち、劣化度II=f(tII)である。
対象設備の劣化度を判定するための指標値(点検データを基に対象設備の劣化度を判定する際に判定基準となる指標値)や、一般的に設備の信頼性分析等で用いられるMTTF(平均寿命)等については、予め内部DB3にひと通り準備されていてもよいし、劣化評価装置を用いるユーザが指標値設定部7を介して、分析対象設備の特性等に応じて任意に設定できるようにしてもよい。
横軸を設備の使用年数、縦軸を設備の劣化度とした場合の平均劣化曲線の例を図3に示す。
対象設備の劣化を促進する、ある劣化促進事象Aが使用年数taで発生したとする。本実施の形態では、劣化促進事象Aは対象設備への異物接触とする。対象設備への異物の接触によって劣化抑制層21がダメージを受け、そのダメージの大きさに応じてΔTだけ劣化抑制期間が短縮される。ΔTは次式で表せる。
ΔT=tI・Pr(G) (0<Pr(G)≦1) ・・・(2)
ここで、Pr(G)は劣化促進事象Aが対象設備に与えるダメージ量Gによって規定される確率(関数)である。
劣化促進事象Aは劣化抑制層21へのみ影響を与えるものとすると、ta+ΔT≦tIが成り立つ。このとき式(2)は次式のように表せる。
ΔT=tI・Pr(G) (0<Pr(G)≦1,ΔTmax=tI−ta) ・・(3)
ここで、ΔTmaxは劣化抑制期間の時間短縮量ΔTが取り得る最大値である。
式(2)、式(3)の関数Pr(G)や関数Pr(G)の取り得る範囲については、ユーザがモデル式選択設定部8を介して、劣化曲線の形状として代表的であるシグモイド曲線や逆シグモイド曲線等を関数Pr(G)として選択できるようにしてもよいし、ユーザがモデル式選択設定部8を介して関数Pr(G)や関数Pr(G)の取り得る範囲を適宜入力するようにしてもよい。また、ΔTが取り得る最大値ΔTmaxについても、ユーザがモデル式選択設定部8を介して適宜入力するようにしてもよい。
また、関数Pr(G)については、例えば予め加速劣化試験等により、劣化抑制層21における傷の大きさや深さと、劣化抑制層21が機能しなくなるまでの期間との関係を測定した上で、回帰分析等により関数Pr(G)を予め決定しておくことも可能である。これらの関数Pr(G)や最大値ΔTmaxは、内部DB3に格納される。
劣化促進事象Aが平均劣化曲線DC=f(T)に与える影響について図4に概念的に示す。図4における40は図3に示した平均劣化曲線、41は劣化促進事象Aが発生した設備の劣化曲線である。劣化抑制層21が消失し、設備本体20が露出すると設備の劣化速度は不連続に変化する。ただし、劣化抑制層21の抑制機能は通常期待できる抑制期間の前から確率的に機能を喪失していくこと、また平均劣化曲線は設置環境の影響を受けている様々な劣化速度の設備群の劣化度を平均した劣化曲線であるため、平均劣化曲線は図3や図4の40で示すように連続曲線になっている。
従来の平均劣化曲線で最も傾き(=劣化速度)が大きい部分にtIが位置しているのは、この位置での設備の状態が、劣化抑制機能が消失して設備本体20の急速な劣化が始まる状態であることを考慮しているからである。また、多くの劣化事象、例えば腐食等による設備の劣化速度は、ある程度劣化が進行するとさまざまな要因で低下することから、劣化曲線は次第に傾きが緩くなる曲線となる。
以上から、劣化促進事象Aが発生した設備の劣化度DCは、次式のように表せる。
T<taのとき、DC=f(T)
a≦Tのとき、DC=f(T+ΔT)=f(T+tI・Pr(G)) ・・・(4)
ただし、0<Pr(G)≦1、ΔTmax=tI−ta
式(4)は図4の破線で示した劣化曲線41を表す。先述したように、多くの場合、急速劣化設備は点検等を通じて事後的に急速劣化の可能性が類推されることとなる。劣化評価装置を用いるユーザは、急速劣化設備と類推される設備を選択する。分析対象データ設定部5は、このユーザの選択に応じて急速劣化設備の点検データを選択する。パラメータ算出部9は、選択された急速劣化設備の点検データを基に、この急速劣化設備の使用年数T毎の劣化度DCを求め、これらの劣化度DCを式(4)に代入することで、劣化促進事象Aの発生時期taや劣化抑制期間の時間短縮量ΔT等のパラメータを推定する。
上記のとおり、内部DB3には、対象設備の劣化度を判定するための指標値が登録されているので、この指標値を基に、対象設備の劣化度DCを判定することができる。また、パラメータを推定する時点で、平均劣化曲線関数f(T)、劣化促進事象Aによる設備へのダメージ量Gと劣化抑制期間の時間短縮量ΔTとの関係を表す関数Pr(G)、設備が劣化度Iに達する平均使用年数tI、およびΔTが取り得る最大値ΔTmaxについては既知なので、式(4)から劣化促進事象Aの発生時期taや劣化抑制期間の時間短縮量ΔTを求めることができる。
そして、劣化曲線作成部10は、パラメータ算出部9が推定したパラメータ(ta,ΔT)を式(4)に代入することで、急速劣化設備の劣化曲線関数を作成する。こうして、急速劣化設備の特性を把握することが可能となる。
また、劣化促進事象Aによる対象設備へのダメージ量Gと劣化抑制期間の時間短縮量ΔTとの関係(式(4)の関数Pr(G))が不明な場合、確率的な仮定のもとで立式し、推定することも可能である。例えば、本実施の形態の場合、劣化促進事象Aとして異物接触による劣化抑制層21の損傷を仮定している。このとき、ダメージ量Gによって本来の劣化抑制年数tIが減じられる割合がワイブル分布で表現できるとすると、式(4)のΔTは次のように表される。
Figure 0005973398
ここで、Xはダメージ量Gを表す値、αはワイブル分布の形状パラメータ、βはワイブル分布の尺度パラメータ、γはワイブル分布の位置パラメータ、X≧γである。
上記のとおり、劣化評価装置を用いるユーザは、急速劣化設備と類推される設備を選択する。分析対象データ設定部5は、このユーザの選択に応じて急速劣化設備の点検データを選択する。パラメータ算出部9は、選択された急速劣化設備の点検データを基に、この急速劣化設備の使用年数T毎の劣化度DCを求め、式(5)を代入した式(4)に、これらの劣化度DCを代入することで、劣化促進事象Aの発生時期taや劣化抑制期間の時間短縮量ΔT等のパラメータを最小二乗法や最尤法等により推定する(つまり、発生時期taとワイブルパラメータ(α,β,γ)とを推定する)。
図5は本実施の形態の劣化評価装置の動作を説明するフローチャートである。まず、劣化評価装置を用いるユーザは、全ての対象設備、あるいは劣化促進事象Aが発生していないと考えられる対象設備を選択する。分析対象データ設定部5は、このユーザの選択に応じて、全ての対象設備の点検データ、あるいは劣化促進事象Aが発生していないと考えられる対象設備の点検データを選択する。平均劣化曲線作成部11は、選択された点検データを基に、対象設備の使用年数T毎の劣化度DCを求め、対象設備の使用年数を複数の区間に分割して、区間毎に劣化度DCの平均値を計算し、区間毎の劣化度DCの平均値を回帰分析して、平均劣化曲線関数f(T)を導出する(図5ステップS1)。この平均劣化曲線関数f(T)は、内部DB3に格納される。なお、平均劣化曲線関数f(T)は、予め内部DB3に登録されていてもよい。この場合は、例えば事前に行なった試験の結果に基づいて平均劣化曲線関数f(T)を求めておくことになる。
次に、ユーザは、急速劣化設備と類推される設備を選択する。分析対象データ設定部5は、このユーザの選択に応じて急速劣化設備の点検データを選択する。パラメータ算出部9は、選択された急速劣化設備の点検データを基に、この急速劣化設備の使用年数T毎の劣化度DCを求め、これらの劣化度DCから、劣化促進事象Aの発生時期taや劣化抑制期間の時間短縮量ΔT等のパラメータを推定する(図5ステップS2)。
このパラメータ推定は、上記のとおり関数Pr(G)が既知の場合は、急速劣化設備の使用年数T毎の劣化度DCを式(4)に代入することで行うことができる。また、上記のとおり関数Pr(G)が不明の場合は、式(5)を代入した式(4)に、急速劣化設備の使用年数T毎の劣化度DCを代入することで、パラメータを推定することができる。
劣化曲線作成部10は、パラメータ算出部9が推定したパラメータ(ta,ΔT)を式(4)に代入することで、急速劣化設備の劣化曲線関数を確定する(図5ステップS3)。
続いて、算出値比較部12は、平均劣化曲線作成部11が導出した平均劣化曲線関数と劣化曲線作成部10が導出した急速劣化設備の劣化曲線関数とから、急速劣化設備の取り換え使用年数までの残余年数の時間短縮量を算出する(図5ステップS4)。対象設備を取り替えるべき劣化度IIは規定の値である。対象設備の平均取り換え使用年数tIIは対象設備が劣化度IIに達したときの使用年数Tである。したがって、平均劣化曲線から平均取り換え使用年数tIIを求めることができる。一方、劣化促進事象Aにより対象設備の劣化が急速に進むと、取り換え使用年数も短縮される。急速劣化設備の取り換え使用年数は、急速劣化設備が劣化度IIに達したときの使用年数Tである。したがって、急速劣化設備の劣化曲線から急速劣化設備の取り換え使用年数を求めることができ、急速劣化設備の取り換え使用年数までの残余年数の時間短縮量(すなわち、平均取り換え使用年数tIIと急速劣化設備の取り換え使用年数との差)を求めることができる。こうして、急速劣化設備の残余年数の時間短縮量を定量的に明らかにできる。
出力部13は、対象設備の平均劣化曲線と、急速劣化設備の劣化曲線と、急速劣化設備の取り換え使用年数までの残余年数の時間短縮量とを表示する(図5ステップS5)。こうして、劣化評価装置の処理の結果を出力することにより、例えば対象設備の点検周期の短縮等、リスク回避のために今後行うべき点検計画立案に資することができる。
上記のように、異物接触等によって設備の急速な劣化が起こった場合、この設備の劣化曲線は、なだらかな連続曲線ではなく、図4の41で示すように、劣化促進事象発生時に一度にある劣化度まで遷移する非連続曲線として示された方がより現実に合致する。一般的な平均劣化曲線の作成手法を用いた場合、特に劣化促進事象発生時付近の劣化曲線は、実際の劣化と相応の乖離が生じる。本実施の形態では、劣化促進事象による設備へのダメージの量とこのダメージにより設備の劣化抑制期間が短縮される時間短縮量との関係を表す関数と、劣化促進事象により急速に劣化が進んだと類推される急速劣化設備の点検データとから、急速劣化設備の劣化曲線関数式のパラメータを推定することにより、急速劣化設備に対応した劣化曲線を作成することができる。
なお、本実施の形態では、上記のとおり、劣化抑制層21の部分的な機能喪失が進行・累積し、劣化防止機能が事実上消滅した、あるいは期待できないと判断する劣化度を劣化度Iとし、設備が劣化度Iに達する平均使用年数をtIとし、また、劣化促進事象Aが使用年数taで発生したとしている。さらに、本実施の形態では、劣化促進事象Aを対象設備への異物接触とし、劣化促進事象Aは劣化抑制層21へのみ影響を与えるものとしている。想定した急速劣化は最大で「劣化抑制層21の喪失」なので、劣化促進事象Aが対象設備に与え得るダメージによる劣化抑制期間の時間短縮量ΔTは最大でtI−taとなり、これがΔTmaxとなる。
本実施の形態では、図5のステップS2で説明したように関数式のパラメータを解いて関数式(式(4))を推定する必要があるので、設定に応じた変数の制限としてΔTmaxを既知の値として定義している。ΔTmaxを考慮しないと、場合によってはΔTが「劣化抑制層21の喪失」を超えた状態を意味する値になる可能性があり、関数式の精度上問題となる。
本実施の形態で説明した劣化評価装置は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。
本発明は、設備の劣化を評価する技術に適用することができる。
1…劣化評価装置、2…通信部、3…内部データベース、4…データ蓄積部、5…分析対象データ設定部、6…統計量算出部、7…指標値設定部、8…モデル式選択設定部、9…パラメータ算出部、10…劣化曲線作成部、11…平均劣化曲線作成部、12…算出値比較部、13…出力部、14…外部データベース、20…設備本体、21…劣化抑制層。

Claims (8)

  1. 劣化促進事象による設備へのダメージの量とこのダメージにより設備の劣化抑制期間が短縮される時間短縮量との関係を表す関数と、劣化促進事象により急速に劣化が進んだと類推される急速劣化設備の点検データとから、前記急速劣化設備の劣化曲線関数式のパラメータを推定するパラメータ推定手段と、
    このパラメータ推定手段が推定したパラメータを前記急速劣化設備の劣化曲線関数式に代入することで前記急速劣化設備の劣化曲線関数式を確定する第1の劣化曲線作成手段とを備え、
    前記急速劣化設備の劣化曲線関数式は、設備の使用年数を入力変数とし、前記劣化促進事象の発生時期と前記劣化抑制期間の時間短縮量とを含む前記パラメータと、設備の平均劣化曲線関数式とを用いて定義されるものであり、前記平均劣化曲線関数式が表す平均劣化曲線を、前記劣化促進事象の発生時期において前記劣化抑制期間の時間短縮量に応じた劣化度の分だけ遷移させた劣化曲線を表すことを特徴とする劣化評価装置。
  2. 請求項1記載の劣化評価装置において、
    さらに、前記平均劣化曲線関数式と前記急速劣化設備の劣化曲線関数式とから、前記急速劣化設備の取り換え使用年数までの残余年数の時間短縮量を算出する比較手段を備えることを特徴とする劣化評価装置。
  3. 請求項1または2記載の劣化評価装置において、
    さらに、前記パラメータ推定手段がパラメータを推定する前に、全ての設備の点検データ、あるいは劣化促進事象が発生していないと考えられる設備の点検データを基に前記平均劣化曲線関数式を導出する第2の劣化曲線作成手段を備えることを特徴とする劣化評価装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の劣化評価装置において、
    劣化促進事象による設備へのダメージの量とこのダメージにより設備の劣化抑制期間が短縮される時間短縮量との関係を表す関数は、事前に実施される試験に基づいて予め定義されるか、あるいは前記ダメージの量と前記劣化抑制期間の時間短縮量との関係を近似するワイブル分布を用いて予め定義されることを特徴とする劣化評価装置。
  5. 劣化促進事象による設備へのダメージの量とこのダメージにより設備の劣化抑制期間が短縮される時間短縮量との関係を表す関数と、劣化促進事象により急速に劣化が進んだと類推される急速劣化設備の点検データとから、前記急速劣化設備の劣化曲線関数式のパラメータを推定するパラメータ推定ステップと、
    このパラメータ推定ステップで推定したパラメータを前記急速劣化設備の劣化曲線関数式に代入することで前記急速劣化設備の劣化曲線関数式を確定する第1の劣化曲線作成ステップとを含み、
    前記急速劣化設備の劣化曲線関数式は、設備の使用年数を入力変数とし、前記劣化促進事象の発生時期と前記劣化抑制期間の時間短縮量とを含む前記パラメータと、設備の平均劣化曲線関数式とを用いて定義されるものであり、前記平均劣化曲線関数式が表す平均劣化曲線を、前記劣化促進事象の発生時期において前記劣化抑制期間の時間短縮量に応じた劣化度の分だけ遷移させた劣化曲線を表すことを特徴とする劣化評価方法。
  6. 請求項5記載の劣化評価方法において、
    さらに、前記平均劣化曲線関数式と前記急速劣化設備の劣化曲線関数式とから、前記急速劣化設備の取り換え使用年数までの残余年数の時間短縮量を算出する比較ステップを含むことを特徴とする劣化評価方法。
  7. 請求項5または6記載の劣化評価方法において、
    さらに、前記パラメータ推定ステップでパラメータを推定する前に、全ての設備の点検データ、あるいは劣化促進事象が発生していないと考えられる設備の点検データを基に前記平均劣化曲線関数式を導出する第2の劣化曲線作成ステップを含むことを特徴とする劣化評価方法。
  8. 請求項5乃至7のいずれか1項に記載の劣化評価方法において、
    劣化促進事象による設備へのダメージの量とこのダメージにより設備の劣化抑制期間が短縮される時間短縮量との関係を表す関数は、事前に実施される試験に基づいて予め定義されるか、あるいは前記ダメージの量と前記劣化抑制期間の時間短縮量との関係を近似するワイブル分布を用いて予め定義されることを特徴とする劣化評価方法。
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