JP6966857B2 - 運転保守管理方法、プログラム、及び運転保守管理システム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1では、運転中のガスタービンの状態に係る情報を基に、正確に運転中のガスタービンの状態を特定し保守計画を策定することが記載されている。
以下、本発明に係る統合システムの運転保守管理方法について図1〜図11を参照して説明する。
図1は、本発明の運転保守管理方法において、事業者やメーカの統合システムへの関わりを説明した図である。
図1に示す運転保守管理システム10は、複数の機器を含む統合システムの運用計画および保守計画の生成や運用の意思決定を支援する情報の生成を行う。まず、本実施形態における統合システム11の運転保守方法と対比するために従来の運転保守方法について説明を行う。
図11は、従来の運転保守管理方法において、事業者やメーカの統合システムへの関わりを説明した図である。
図11に示す事業者は、統合システム11を運用する主体である。事業者は、統合システム11の機器毎の運用・管理を行う。また、メーカα、メーカβは、統合システム11に含まれる複数の機器のメーカである。例えば、メーカαは機器A、機器Bの製造を行っており、機器A、機器Bの監視や保守を行う。また、メーカβは機器Cのメーカであって、機器Cの監視や保守を行う。このように従来は、事業者が自ら立案した保守計画、あるいは、メーカαやメーカβが各々の担当する機器について提案した保守計画に従って、運用を行っている。その為、その保守作業が、例えば全体としての経済的な観点から見て、最適な時期に行われているか、あるいは、保守作業の内容が適切かといったことが必ずしも明らかではなかった。
なお、統合システム11とは、例えば、ガスタービンなどの産業用プラント、航空機等である。以下、統合システム11が発電プラントの場合を例に説明を行う。
図2に示す運転保守管理システム10は、ユーザ部システム20A、20Bと情報共有システム30とを含んで構成される。ユーザ部システム20A、20Bと情報共有システム30は、サーバ端末装置などのコンピュータで構成されている。また、ユーザ部システム20Aとユーザ部システム20Bと情報共有システム30とは、ネットワークを介して通信可能に接続されている。ユーザ部システム20Aは、統合システム11に含まれる機器を製造するメーカが所有する。ユーザ部システム20Aには、メーカが製造する機器の部品などの機密情報が記録されていてもよい。ユーザ部システム20Bは、統合システム11を保有する事業者が所有する。ユーザ部システム20Bには、事業者が保有する機密性の高い資産計画情報、運転計画情報(以下、単に運転計画と記載する)、保守計画情報(以下、単に保守計画と記載する)等が記録されていてもよい。これに対し、情報共有システム30は、メーカと事業者が共有するデータが記録されている。情報共有システム30は、メーカと事業者が互いに公開可能な情報を用いて、双方向的かつ総合的に予測シナリオや運用計画の作成等の処理を行う。
なお、図2では、ユーザ部システム20Aが1台のみ記載されているが、ユーザ部システム20Aは、統合システム11が備える機器に関わる各メーカが別々に所有している。
設定情報受付部21Aは、統合システムの評価に用いる指標および評価期間の入力を受け付ける。
入力情報取得部22Aは、機器の性能変化、アップグレード部品の性能、価格情報など機器の保守や部品のアップグレード提案等に必要な情報の入力を受け付ける。また、入力情報取得部22Aは、機器の監視によって得られた機器の運転情報(機器に設けられたセンサが検出した機器の運転状態を示す情報)を取得する。
予測情報算出部23Aは、機器の性能の経時的変化を示す予測情報等を算出する。
シナリオ編集部24Aは、情報共有システム30が作成した各種シナリオ情報(以下、単にシナリオと記載する)を表示する。また、表示したシナリオに対する編集操作を受け付ける。
出力部25Aは、シナリオ編集部24Aが生成したシナリオをディスプレイ等に出力する。
記憶部26Aは、各種情報を記憶する。例えば、記憶部26Aには、機器の価格などを含む機器情報DB(データベース)、機器の性能を示す機器性能モデル、機器性能の経時的な変化を示す機器劣化モデル、機器に含まれる部品に対するアップグレード部品の情報が含まれたアップグレードDBなどが記録されている。これらの情報は、メーカの機密情報であってもよい。また、記憶部26Aには、設定情報受付部21Aが受け付けた評価指標のリスト、入力情報取得部22Aが取得した入力情報の各項目、シナリオ編集部24Aが表示した予測曲線のデフォルト値を記憶している。デフォルト値とは編集を行っていない状態であることを示す。
なお、記憶部26Aは、ユーザ部システム20Aが備える記憶装置でもよいし、外部(例えば、データセンタ等)の記憶装置であってもよい。
通信部27Aは、他装置との通信を行う。
設定情報受付部21Bは、統合システムの評価に用いる指標および評価期間の入力を受け付ける。
入力情報取得部22Bは、統合システム11の運転計画、保守計画等や、それらの作成に必要な燃料価格の予測、需要予測等の情報の入力を受け付ける。
予測情報算出部23Bは、例えば、入力情報取得部22Bが取得した未来のある時期における燃料価格の予測値に基づいて、評価期間における燃料価格の推移を示す予測情報を算出する。あるいは、予測情報算出部23Bは、入力情報取得部22Bが取得した需要予測のとおり需要があった場合の、統合システム11の運転によって得られる利益の評価期間における推移を示す予測情報を算出する。
シナリオ編集部24Bは、情報共有システム30が作成したシナリオを表示する。また、表示したシナリオに対する編集操作を受け付ける。
出力部25Bは、シナリオ編集部24Bが生成したシナリオをディスプレイに出力し、表示する。
記憶部26Bは、各種情報を記憶する。例えば、記憶部26Bには、燃料や需要の予測モデル、事業者の運転ノウハウを蓄積した運転ノウハウDB、過去の統合システム11に対するメンテナンス履歴情報などが記録されている。これらの情報は、事業者の機密情報であってもよい。また、記憶部26Bには、設定情報受付部21Bが受け付けた評価指標のリスト、入力情報取得部22Bが取得した入力情報の各項目、シナリオ編集部24Bが表示したシナリオのデフォルト値を記憶している。なお、記憶部26Bは、ユーザ部システム20Bが備える記憶装置でもよいし、外部の記憶装置であってもよい。
通信部27Bは、他装置との通信を行う。
設定情報受付部31は、ユーザ部システム20Aから設定情報受付部21Aが取得した指標および評価期間などの設定情報を取得する。設定情報受付部31は、同様にユーザ部システム20Bから指標および評価期間などの設定情報を取得する。
予測情報取得部32は、ユーザ部システム20Aから予測情報算出部23Aが算出した機器性能の予測情報などを取得する。同様に予測情報取得部32は、ユーザ部システム20Bから予測情報算出部23Bが算出した燃料価格や統合システム11の運転によって得られる利益など予測情報を取得する。また、予測情報取得部32は、ユーザ部システム20Bから運転計画や保守計画を取得する。
予測情報調整部33は、予測情報取得部32が取得した各種予測情報に対する調整を行う。
シナリオ算出部34は、予測情報取得部32が取得した複数の予測情報や予測情報調整部33による調整後の予測情報を集約して、統合システム11の運用の評価に用いる評価指標を算出するためのシナリオを算出する。例えば、評価指標を「燃料コスト」とした場合、シナリオ算出部34は、予測情報取得部32が取得した運転計画と、燃料価格の予測情報とに基づいて、その運転計画で発電プラントを運転した場合に必要となる燃料コストの推移を示すシナリオを算出する。
評価指標算出部35は、シナリオ算出部34が算出したシナリオに対する評価指標を計算する。
記憶部36は、記憶部36には、メーカと事業者が共有できる種々の情報を記憶する。例えば、記憶部36には、統合システム11の最新の運転情報、過去の運転情報の履歴、機器や原料価格の予測値などを記憶する。なお、記憶部36は、ユーザ部システム20Aあるいは20Bが備える記憶装置でもよいし、外部の記憶装置であってもよい。
通信部37は、他装置との通信を行う。
図3は、本発明に係る統合システムの運転保守管理方法の実施形態の一例を示すフローチャートである。
まず、情報共有システム30の設定情報受付部31が、ユーザ部システム20A、20Bから、通信部37を介して評価指標・期間を取得し、設定する(ステップS11)。例えば、評価指標として「燃料コスト」、期間として「5年間」等の情報を設定する。次に予測情報取得部32が、通信部37を介してユーザ部システム20A、20Bから経時変化を考慮した予測情報を取得する(ステップS12)。例えば、予測情報取得部32は、ユーザ部システム20Aから発電プラント(統合システム11)の機器A、機器B、機器Cそれぞれの経年変化を考慮した未来の5年間の性能予測情報を取得する。また、例えば、予測情報取得部32は、ユーザ部システム20Bから、未来5年間の運転計画や、発電に必要な未来5年間の燃料価格の予測情報などを取得する。
次にシナリオ算出部34が、比較検討すべきシナリオが揃ったかどうかを判定する(ステップS15)。例えば、ある1種類の「燃料の価格予測」、ある1種類の「性能予測」、3種類の「運転計画」(運用計画A,B,C)の候補について、評価指標「燃料コスト」をシミュレーションして、3種類の「運転計画」の中から最も「燃料コスト」の観点で優れた運転計画を選択するのであれば、比較検討すべきシナリオは、3種類の「運転計画」に対する「燃料コスト」の予測シナリオである。比較検討すべきシナリオが揃っていない場合、比較検討すべきシナリオが揃うまでステップS12からの処理を繰り返す。比較検討すべきシナリオが揃った場合、運用計画A,B,Cの未来5年間の燃料コストの推移を示す予測曲線(シナリオ)に基づいて計算された5年間の燃料コストが計算済みとなっている。評価指標算出部35は、計算した評価指標を、通信部37を介してユーザ部システム20A、20Bに送信する。ユーザ部システム20Aでは、出力部25Aが、評価指標の計算結果を比較表示する(ステップS16)。例えば、出力部25Aは、運転計画Aの場合X円、運転計画Bの場合Y円、運転計画Cの場合Z円等の情報を出力する。ユーザ部システム20Bについても同様である。
図4は、本発明に係る統合システムの運転保守管理方法の実施形態の一例を示すシーケンス図である。
なお、図4に示すシーケンス図では、ユーザ部システム20Bの記憶部26Bが、外部記憶装置(例えばいわゆるクラウドコンピューティングシステムのようなものであってもよい)として構成されている。
まず、事業者がユーザ部システム20Bを用いて、評価処理を開始する(ステップS201)。具体的には、事業者が、ユーザ部システム20Bに評価指標(例えば「燃料コスト」)、評価期間(例えば「5年間」)の情報を入力する。すると、設定情報受付部21Bが、それらの情報を取得し、通信部27Bを介して、情報共有システム30へ送信する。情報共有システム30では、設定情報受付部31が、通信部37を介してそれらの情報を取得し記憶部36へ記録する。なお、この処理については、メーカが行ってもよい(ステップS202)。
これに対し、機器Aは、機器Aの運転情報(機器Aに設けられたセンサが計測した情報など)の履歴(履歴情報)をユーザ部システム20Aへ送信する(ステップS205)。また、外部記憶装置は、燃料価格や需要予測情報をユーザ部システム20Bへ送信する(ステップS206)。なお、これらステップS205、S206の処理は必須ではなく、それぞれ、ユーザ部システム20A、20Bを介して入力されたものであってもよい。
図5(a)に示すグラフ5Aは、シナリオ算出部34が算出した燃料価格の予測情報である。図5(b)に示すグラフ5Bは、シナリオ算出部34が算出した運転計画の予測情報である。
これら2つのグラフの右に示す表は、ステップS208で表示される入力画面の一例である。事業者は、T=T0(現在)の燃料価格、運転計画(発電量や1日あたりの稼働時間など)を入力する。また、事業者は、所定期間未来(例えばT=T0+ΔT)の燃料価格、運転計画の予測値を入力する。事業者は、評価期間の終了時期であるTmまでの所定期間ごとの燃料価格、運転計画の予測値を入力する。また、例えば、事業者は、保守計画に基づいて、保守を行う予定となっている時期の予定値を入力する。
このグラフの右に示す表は、ステップS207で表示される入力画面の一例である。メーカαは、T=T0(現在)の機器Aの性能情報、機器Bの性能情報を入力する。また、メーカαは、所定期間未来(例えばT=T0+ΔT)の機器Aおよび機器Bの性能情報を入力する。メーカαは、評価期間の終了時期Tmまでの所定期間ごとの機器Aおよび機器Bの性能情報の予測値を入力する。
これら、グラフ5A、5B、5C−2に示す予測情報は、シナリオの一部を構成しており、それぞれがシナリオである。また、グラフ5C−1は、点検・保守を行わなかった場合のシナリオとして、点検・保守の効果を把握するための比較対象とすることもできる。
シナリオ算出部34は、グラフ5A、5B、5C−2を集約して、評価期間における燃料コストの推移を示す予測情報(グラフ5D)を作成する。例えば、シナリオ算出部34は、運転計画の予測グラフ5Bと、性能の予測グラフ5C−2とに基づいて、運転計画の実行に必要な燃料量の推移を算出する。シナリオ算出部34は、必要な燃料量にグラフ5Aで予測された燃料価格を乗じてグラフ5Dを作成する。運転時間が増加するにつれて機器の性能が低下していれば、ある一定の発電量を計画していても必要な燃料が増加する。また、時間T1〜T2の点検・保守後に機器の性能が向上すれば、少ない燃料で点検前と同じ発電量を賄うことができる。その為、グラフ5Dにおいても点検・保守後に燃料コストが低下する。しかし、グラフ5Aが示すように燃料価格が上昇するため、その後、燃料コストは上昇する予測となる。シナリオ算出部34は、時間T0の時点での燃料コスト、時間T0+ΔTでの燃料コストを算出し、図5(d)の右に示す表を作成し、ユーザ部システム20A、20Bを通じて作成した表をメーカ、事業者に提示する。
このように予測情報調整部33は、ある入力情報の経時変化の予測情報(グラフ5C―1)を、別の入力情報の経時変化の予測情報(点検・保守によって改善する機器Aの性能情報)に基づき調整し、シナリオ算出部34は調整後の予測情報を集約してシナリオを作成する。
シナリオ編集部24Aは、メーカの編集操作を受け付けて、編集後のグラフ5C−2を作成する。シナリオ編集部24Bは、編集後のグラフ5C−2を、通信部27Aを介して情報共有システム30へ送信する(ステップS220)。情報共有システム30では、通信部37を介してシナリオ算出部34が編集後のグラフ5C−2(最終化されたシナリオ)を取得し、記憶部36に記録する。
シナリオ編集部24Bは、事業者の編集操作を受け付けて、編集後のグラフ5A、5Bを作成する。シナリオ編集部24Bは、編集後のグラフ5A,5Bを、通信部27Bを介して情報共有システム30へ送信する(ステップS222)。情報共有システム30では、通信部37を介してシナリオ算出部34が編集後のグラフ5A、5B(最終化されたシナリオ)を取得し、記憶部36に記録する。
図6は、本発明に係る統合システムにおけるアップグレード有無に関するシナリオ比較の一例を示す図である。
図6(a)に、機器Aの性能の予測情報のシナリオを示す。グラフ6A−1は、点検・保守で機器Aに対して、部品の交換などを行うことなく補修などを行ったときの機器Aの性能の予測情報を示している。グラフ6A−2は、点検・保守で機器Aに対して、アップグレード部品を適用したときの機器Aの性能の予測情報を示している。図に示すようにアップグレード部品を適用すると、大幅な性能の向上を見込むことができる。
このように本実施形態の運転保守管理システム10によれば、アップグレードによる性能向上と、アップグレードによる一時的なコスト増大の両面から燃料コストの評価を行って、アップグレード部品の導入可否を判断することができる。
例えば、図4のシーケンス図におけるステップS211、S213における燃料コストの指標計算において、必要な入力情報をユーザ部システム20A,20Bを介してそれぞれメーカと事業者に入力画面に明示し、事業者とメーカが入力できる箇所を埋めていく穴埋め方式として互いに情報を共有するようにしてもよい。事業者とメーカが必要な入力情報を入力する入力画面(入力インタフェース)の一例として図5(a)、(c)の右側の表のような入力領域を表示し、互いに担当する項目を埋めるように構成してもよい。つまり、ユーザ部システム20Aは、価格予測および運転計画を表示項目、機器A、機器Bの性能情報を入力項目とする入力画面を表示する。また、ユーザ部システム20Bは、価格予測および運転計画を入力項目、機器A、機器Bの性能情報を表示項目とする入力画面を表示する。そして、メーカが機器Aなどの性能情報を入力すると、ユーザ部システム20Bは、機器Aの表示項目にメーカが入力した性能情報を表示した入力画面を表示する。また、事業者が価格予測、運転計画などの情報を入力すると、ユーザ部システム20Aは、価格予測、運転計画の表示項目に事業者が入力したそれらの情報を表示した入力画面を表示する。このような対話型サービスとすることで、互いに開示できる範囲の予測情報と評価情報を共有しながら、最適化された運用計画および保守計画の策定を行うことができる。
これまで、評価指標を「燃料コスト」として、例えば、適切な運用計画を選択したり、部品のアップグレードを行うか否かを判断したりする場合の実施例について説明を行った。次に、評価指標を「経済性劣化コストが補修・保守コストを上回るタイミング」として、ガスタービンの補修/保守タイミングを策定する場合を例に、運転保守管理システム10の説明を行う。なお、経済性劣化コストとは、ガスタービンの性能低下による逸失利益である。経済性劣化コストは、例えば、発電効率減少による収益減、設備での消費電力増大によるコスト増、故障発生率増大によるコスト増などの合計で表される。補修・保守コストとは、補修・保守の実施に必要なコストである。
図7(a)に、発電効率の経時的変化を示す予測情報(グラフ7A)を示す。グラフ7Aが示すようにガスタービンは、経年劣化により、運転時間の増加に伴い発電効率が低下する。発電効率が低下すると、売電による収益が減少する。グラフ7Aは、メーカがユーザ部システム20Aに入力したプラントの運転情報や、性能情報、劣化モデルに基づくものである。
図8に経済性劣化コストの予測情報を示すグラフ8A、補修・保守コストの予測情報を示すグラフ8Bを示す。
情報共有システム30では、シナリオ算出部34が、グラフ7A,7B,7Cを集約して経済性劣化コストの予測情報(グラフ8A)を算出する。また、シナリオ算出部34は、上述のように補修・保守コストの予測情報(グラフ8B)を算出する。グラフ8Aは、発電プラントの性能劣化による経済性能の低下(コストの増大)の例を示している。この経済性能の低下は、補修・保守によって機器の性能を回復することによって改善することができる。しかしながら、補修・保守の実施にはコストが掛かる。グラフ8Bは、補修・保守によって生じる経済性の低下(コストの増大)の例を示している。補修・保守を行うと、一時的に補修・保守コストが発生しても、その後の経済性劣化コストを抑制することができるため、長期的な観点では、コストを低減することにつながる。図8は、評価指標を「経済性劣化コストが補修・保守コストを上回るタイミング」とした場合に「経済性劣化コスト」と「補修・保守コスト」とを比較表示した図である。
次に評価指標算出部35は、補修・保守コスト<経済性劣化コストとなるタイミングを算出し、経済的に最適化された補修・保守スケジュールとする。
まず、予測情報算出部23A、23Bがメーカ、事業者が入力したパラメータ情報(性能情報、劣化モデル、運転停止による経済的損失など)を読み出す(ステップS21)。予測情報算出部23A、23Bは、ガスタービンの経済性能の経時変化予測値を算出する。また、シナリオ算出部34が、複数の経時変化予測値を集約して経済性劣化コストの予測情報(グラフ8A)を算出する(ステップS22)。また、シナリオ算出部34が、補修にかかるコスト、補修に要する時間、運転停止による単位時間あたりの経済的損失の予測情報を集約して、補修・保守コストの予測情報(グラフ8B)を算出する(ステップS23)。次に評価指標算出部35が、経済性劣化コスト>補修・保守コストとなるタイミングを算出する(ステップS24)。評価指標算出部35は算出したタイミングをユーザ部システム20A,20Bに送信する。ユーザ部システム20Aでは、出力部25Aが最適化された補修・保守スケジュールを出力する。また、ユーザ部システム20Bでは、出力部25Bが最適化された補修・保守スケジュールを出力する(ステップS25)。
上記のようにメーカからの改善提案を行う場合、事業者が設定した保守スケジュールを基準シナリオとし、これを編集してメーカが提案する新たな保守スケジュールを反映したシナリオとして、2つのシナリオについて評価指標の計算結果を比較すれば、事業者に対して、メーカ提案の効果を判り易く伝えることが可能となる。
ユーザ部システム20A,20B、情報共有システム30は、例えば一般的なコンピュータ500を用いて実現することができる。図10にコンピュータ500の構成の一例を示す。
図10は、本発明に係るユーザ部システム20A,20B、情報共有システム30のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ500は、CPU(Central Processing Unit)501、RAM(Random Access Memory)502、ROM(Read Only Memory)503、ストレージ装置504、外部I/F(Interface)505、入力装置506、出力装置507、通信I/F508等を有する。これらの装置はバスBを介して相互に信号の送受信を行う。
また、ユーザ部システム20A、20B、情報共有システム30は、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
30・・・情報共有システム、31・・・設定情報受付部、32・・・予測情報取得部、33・・・予測情報調整部、34・・・シナリオ算出部、35・・・評価指標算出部、36・・・記憶部、37・・・通信部
Claims (15)
- 複数の部品や機器で構成される統合システムの運用を行うユーザが使用する第1システムと、前記部品や前記機器のメーカごとに用意された前記メーカが使用する第2システムと、情報共有システムと、を用いて行う前記統合システムの運転保守管理方法であって、
前記情報共有システムが、前記統合システムを評価する指標および期間を取得するステップと、
前記情報共有システムが、前記ユーザが機密情報に基づいて前記第1システムへ入力した前記指標の計算に用いる公開可能な第1の入力情報の経時変化を示す第1の予測情報を前記第1システムから取得するステップと、
前記情報共有システムが、前記メーカが機密情報に基づいて前記第2システムへ入力した前記指標の計算に用いる公開可能な第2の入力情報の経時変化を示す第2の予測情報を前記第2システムから取得するステップと、
前記情報共有システムが、前記第1の予測情報と前記第2の予測情報を集約して将来の予測のシナリオを作成するステップと、
前記情報共有システムが、前記シナリオに対する評価指標を計算するステップと、
を有する運転保守管理方法。 - 前記情報共有システムが、前記シナリオを前記第1システムと前記第2システムに送信するステップと、
前記第1システムと前記第2システムの各々が、前記シナリオを表示するステップと、
前記第1システムが、表示した前記シナリオに対する前記ユーザの編集操作を受け付けるステップと、
前記第1システムが、編集された前記シナリオを前記情報共有システムへ送信するステップと、
前記第2システムが、表示した前記シナリオに対する前記メーカの編集操作を受け付けるステップと、
前記第2システムが、編集された前記シナリオを前記情報共有システムへ送信するステップと、
をさらに有し、
前記評価指標を計算するステップでは、前記情報共有システムが、編集された前記シナリオに対する評価指標を計算し、
その後、前記情報共有システムが、計算結果を前記第1システムと前記第2システムに送信するステップと、
前記第1システムと前記第2システムの各々が、複数の前記シナリオに対する評価指標の計算結果を比較表示するステップと、
をさらに有する請求項1に記載の運転保守管理方法。 - 前記第1システムでは、前記第1の入力情報の一部又は全てについて、第1の入力インタフェースにて穴埋め形式で入力でき、
前記第1の予測情報を前記第1システムから取得するステップでは、前記第1の入力インタフェースを通じて入力された前記第1の予測情報を取得し、
前記第2システムでは、前記第2の入力情報の一部又は全てについて、第2の入力インタフェースにて穴埋め形式で入力でき、
前記第2の予測情報を前記第2システムから取得するステップでは、前記第2の入力インタフェースを通じて入力された前記第2の予測情報を取得する、
請求項1または請求項2に記載の運転保守管理方法。 - 前記第1の入力情報と前記第2の入力情報の一部又は全てについて、保有者が開示できる内容にまで情報が簡素化され、前記シナリオに取り込まれる、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の運転保守管理方法。 - 前記将来の予測のシナリオを作成するステップにおいて、前記第1の予測情報を前記第2の予測情報に基づき調整するか、又は前記第2の予測情報を前記第1の予測情報に基づき調整する
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の運転保守管理方法。 - 前記第1システムでは、前記第1の入力情報の一部又は全てについて、前記第1の予測情報の出発値として、前記統合システムの現在の状態を参照して補正し、
前記第2システムでは、前記第2の入力情報の一部又は全てについて、前記第2の予測情報の出発値として、前記統合システムの現在の状態を参照して補正する、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の運転保守管理方法。 - 前記第1システムでは、前記第1の入力情報の一部又は全てについて、前記第1の予測情報として、前記統合システムの過去の経時変化の実績を参照して補正、或いは流用し、
前記第2システムでは、前記第2の入力情報の一部又は全てについて、前記第2の予測情報として、前記統合システムの過去の経時変化の実績を参照して補正、或いは流用する、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の運転保守管理方法。 - 前記第1の入力情報に、前記統合システムの保守計画情報を含む、
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の運転保守管理方法。 - 前記第1の入力情報に、前記統合システムの運転計画情報を含む、
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の運転保守管理方法。 - 前記第2の入力情報に、前記統合システムの性能の情報を含む、
請求項1から請求項9の何れか1項に記載の運転保守管理方法。 - 前記指標は、前記統合システムの性能低下による逸失利益と、前記統合システムの性能改善に要するコストと、に基づいて、評価される、
請求項1から請求項10の何れか1項に記載の運転保守管理方法。 - 前記情報共有システムは、前記統合システムの性能低下による逸失利益と、前記統合システムの性能改善に要するコストと、に基づいて、補修または保守計画を設定する、
請求項11に記載の運転保守管理方法。 - 前記統合システムは、発電設備であって、
前記指標は、発電効率減少による収益減、設備での消費電力増大によるコスト増、故障発生率増大によるコスト増の合計による逸失利益と、補修や部品交換にかかるコスト、及び保守のために運転停止することによるコストの合計と、に基づいて、評価される、
請求項1から請求項11の何れか1項に記載の運転保守管理方法。 - 複数の部品や機器で構成される統合システムの運用を行うユーザが使用する第1システムと、前記部品や前記機器のメーカごとに用意された前記メーカが使用する第2システムと、情報共有システムと、を含む前記統合システムの運転保守管理システムのコンピュータを、
前記情報共有システムが、前記統合システムを評価する指標および期間を取得する手段、
前記情報共有システムが、前記ユーザが機密情報に基づいて前記第1システムへ入力した前記指標の計算に用いる公開可能な第1の入力情報の経時変化を示す第1の予測情報を前記第1システムから取得する手段、
前記情報共有システムが、前記メーカが機密情報に基づいて前記第2システムへ入力した前記指標の計算に用いる公開可能な第2の入力情報の経時変化を示す第2の予測情報を前記第2システムから取得する手段、
前記情報共有システムが、前記第1の予測情報と前記第2の予測情報を集約して将来の予測のシナリオを作成する手段、
前記シナリオに対する評価指標を計算する手段、
として機能させるためのプログラム。 - 複数の部品や機器で構成される統合システムの運用を行うユーザが使用する第1システムと、前記部品や前記機器のメーカごとに用意された前記メーカが使用する第2システムと、情報共有システムと、を含む前記統合システムの運転保守管理システムであって、
前記情報共有システムが、
前記統合システムを評価する指標および期間を取得する設定情報受付部と、
前記ユーザが機密情報に基づいて前記第1システムへ入力した前記指標の計算に用いる公開可能な第1の入力情報の経時変化を示す第1の予測情報を前記第1システムから取得し、前記メーカが機密情報に基づいて前記第2システムへ入力した前記指標の計算に用いる公開可能な第2の入力情報の経時変化を示す第2の予測情報を前記第2システムから取得する予測情報取得部と、
前記第1の予測情報と前記第2の予測情報を集約して将来の予測のシナリオを作成するシナリオ算出部と、
前記シナリオに対する評価指標を計算する評価指標算出部と、
を有する運転保守管理システム。
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