JP5388487B2 - 高耐圧半導体装置 - Google Patents
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さらに、表面電荷や界面電荷などの外乱の影響を防ぐために、チップ外周部の電界緩和領域(ガードリング領域)にシート抵抗が108〜1011Ω/□の窒化シリコン膜で覆うことにより、電荷の影響を防止することも提案されており、基板の比抵抗を特に高めることなしに半導体装置の高耐圧化を可能としている(たとえば、特許文献1参照)。
図14において、高濃度の第1導電型(n+)の半導体基板1の上には、低濃度の第1導電型(n−)のエピタキシャル層2が形成され、半導体基板1の下面には、コレクタ電極3が形成されている。
第1のフィールドプレート8aの端部は、半導体領域4と第1のガードリング5aとの間のエピタキシャル層2の上に位置している。
各フィールドプレート8a〜8cは、ガードリング5a〜5cの端部の電界集中箇所を緩和させるためのシールド電極として機能する。
したがって、各ガードリング5a〜5c、フィールドプレート8a〜8c、フィールドストッパ6、および、ストッパ電極10は、フローティング状態となっている。
特に出願人の測定実験によれば、高温(たとえば、125℃)の環境下では、シート抵抗が2〜3桁低くなることが分かっており、窒化シリコン膜11の最適なシート抵抗値が限定されることは明らかである。
図14において、コレクタ電極3に正電圧を印加し、かつエミッタ電極7に負電圧を印加し、半導体基板1と半導体領域4との間の接合に対して逆電圧を印加していくと、空乏層が発生して、ガードリング5a〜5cが形成された電界緩和領域に延びていく。
ガードリング構造は、設計電界上限を超えないように、エピタキシャル層2の絶縁破壊電界以下で設計されている。
このとき、窒化シリコン膜11のシート抵抗が高い場合には、ガードリング5a〜5cやフィールドプレート8a〜8cの端部電界が高くなるが、シート抵抗が低ければ、ガードリング5a〜5cの間の電界分布は平均化される傾向を示す。
公知のように、チップ全面積に対する活性領域のスペースファクタ向上は、高耐圧チップになればなるほど重要な課題となっているので、電界緩和領域の面積を低減させることは重要な課題である。
図16では、一例としてΣ形状に構成した場合を示しているが、同じ目的で、端部断面形状を、斜面に研磨することや、矢先のようなV形状に構成することなどにより、端部沿面寸法の拡大が可能なことが知られている。
しかしながら、この場合、ウエハ端部の沿面寸法を拡げるために、ウエハ端部を研磨しなければならず、製造プロセス工数の増大を招いている。また、このような半導体装置の耐電圧は、端部沿面絶縁で支配されていると言っても過言ではない。
図1はこの発明の実施の形態1に係る高耐圧半導体装置の端部電界緩和領域を示す断面図である。
図1において、前述(図14参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。なお、前述と同様に、n+型半導体層の場合を例にとって説明するが、これに限定されることはない。
すなわち、前述のフローティング構造における表面電荷や界面電荷などの外乱の影響を回避するために、エミッタ電極7、フィールドプレート8a〜8c、絶縁膜9a〜9d、ストッパ電極10の上部は、非線形抵抗膜13で覆われており、さらに非線形抵抗膜13の上に、パッシベーション膜12が形成されている。
非線形抵抗膜13は、電界に対して抵抗値が低下する特性を有する。
具体的には、図2内の各曲線は、平均粒径φ(=0.5μm、0.7μm、1.2μm、2μm、3μm、7μm)のSiC粒子とエポキシ樹脂とを充填したものを絶縁筒上に塗布して、平均電界0.05[kV/mm]〜7[kV/mm]に対する絶縁抵抗値の変化を計測した場合の特性を示している。
たとえば、現行のIGBTチップ(6.5kV耐圧)の電界緩和領域の幅(=2〜3[mm])での平均電界2〜3kV/mmを考慮すれば、抵抗値が電界緩和機能を有する半導電性(108Ω〜1011Ω)を示す、電界値が2〜3[kV/mm]前後の特性を得るためには、図2に示すように、平均粒径φが0.5〜7[μm]のSiC粒子を用いることが望ましい。ただし、この粒径値に限られるわけではない。
図3において、前述(図15)と同様に、縦軸はエピタキシャル層2の上部の電界強度であり、横軸はチップ外周部の相対位置である。
すなわち、局所的に高電界箇所が存在する場合には、非線形抵抗膜13により抵抗値が低下して電界が緩和され、平衡状態では、ガードリング5a〜5cの間の電界が平均化されて、理想的には、図3内の実線で示した電界分布になる。
また、ガードリング5a〜5cの間の寸法は、半導体装置の絶縁破壊電界によって規定されているので、従来装置と比べて最大電界が1/2になれば、ガードリング5a〜5cの間の寸法も1/2に設計することができ、電界緩和領域の幅を飛躍的に狭めることができる。
さらに、この発明の実施の形態1に係る高耐圧半導体装置は、電界緩和領域の上部を覆うように形成された非線形抵抗膜13およびパッシベーション膜12を備えており、非線形抵抗膜13は、非線形抵抗膜13に印加される電界に対して抵抗値が低下する特性を有する。
したがって、ガードリング5a〜5cの間の電界が平均化され、耐電圧が保たれ、かつ電界緩和領域の寸法の縮小が可能となるので、同一寸法のチップでの半導体領域4のスペースファクタを向上させて、チップコストを低減させることができる。
また、高耐圧チップは、多数個搭載して最終的にパワーモジュールとして電気鉄道の駆動制御などに使用されるので、チップの電界緩和領域の縮小は、駆動制御装置の小型軽量化にも寄与し、電気鉄道の省エネルギー化に効果があり、エネルギー消費の削減に貢献する。
また、エポキシ樹脂に代えて、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド/アミド樹脂を用いても同様の効果が得られるとともに、さらに耐熱性の高い非線形抵抗膜13を実現することができる。
図4のように、パッシベーション膜12を省略することにより、半導体装置の製造工程が簡略化されるので、さらにチップコストを低減させることができる。
なお、上記実施の形態1(図1〜図4)では、ガードリング5a〜5cの対応位置にフィールドプレート8a〜8cを形成したが、図5のように、フィールドプレート8a〜8cを省略してもよい。
図5はこの発明の実施の形態2に係る高耐圧半導体装置の端部電界緩和領域を示す断面図であり、前述(図1参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
前述のように、フィールドプレート8a、8b、8cは、ガードリング5a〜5cの端部の電界集中箇所を緩和させるためのシールド電極として機能するが、元々、非線形抵抗膜13には、局部高電界箇所の電界を緩和する機能がある。
また、フィールドプレート8a、8b、8cを形成する必要が無いので、製造プロセスを簡素化することができ、半導体装置のさらなる低コスト化を実現することができる。
さらに、この発明の実施の形態2に係る高耐圧半導体装置は、電界緩和領域の上部を覆うように形成された非線形抵抗膜13およびパッシベーション膜12を備えており、非線形抵抗膜13は、非線形抵抗膜13に印加される電界に対して抵抗値が低下する特性を有するので、前述と同等の作用効果を奏することができる。
また、エポキシ樹脂に代えて、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド/アミド樹脂を用いても同様の効果が得られるとともに、さらに耐熱性の高い非線形抵抗膜13を実現することができる。
図6のように、パッシベーション膜12を省略することにより、半導体装置の製造工程が簡略化されるので、さらにチップコストを低減させることができる。
なお、上記実施の形態2(図5、図6)では、ガードリング5a〜5cを形成したが、図7のように、ガードリング5a〜5cを省略してもよい。
図7はこの発明の実施の形態3に係る高耐圧半導体装置の端部電界緩和領域を示す断面図であり、前述(図5参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。図7においては、ガードリング5a〜5cが除去された点のみが図5と異なる。
図8はこの発明の実施の形態3による電界緩和領域の電界分布を示す説明図である。
図8においては、図7のように非線形抵抗膜13を形成した場合の電界分布(実線)と非線形抵抗膜13が無い場合の電界分布(破線)とを対比して示している。
一方、この発明の実施の形態3(図7)のように、非線形抵抗膜13を形成した場合には、半導体領域4の端部の電界集中箇所において抵抗が低くなるので、電界を緩和させることができ、安定状態では、半導体領域4とフィールドストッパ6との間の電界が平均化される。
また、前述(図5)のガードリング5a〜5cおよびフィールドプレート8a〜8cを除去することにより、製造プロセスを簡素化して半導体装置の低コスト化を実現するとともに、電界緩和領域のスペースファクタを大幅に向上させることができ、電界緩和領域幅を飛躍的に狭めることができる。
また、エポキシ樹脂に代えて、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド/アミド樹脂を用いても同様の効果が得られるとともに、さらに耐熱性の高い非線形抵抗膜13を実現することができる。
図9のように、パッシベーション膜12を省略することにより、半導体装置の製造工程が簡略化されるので、さらにチップコストを低減させることができる。
なお、上記実施の形態3(図7〜図9)では、電界緩和領域の最縁部にチャネルストッパ6(フィールドストップ)およびストッパ電極10を設けたが、図10のように、チャネルストッパ6およびストッパ電極10を省略してもよい。
図10はこの発明の実施の形態4に係る高耐圧半導体装置の端部電界緩和領域を示す断面図であり、前述(図7参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。図10においては、チャネルストッパ6およびストッパ電極10が除去された点のみが図7と異なる。
または、ウエハプロセス過程において、あらかじめエピタキシャル層2上の平面部分に対して非線形抵抗膜13およびパッシベーション膜12を形成した後、半導体チップをパワーモジュール実装後に、チップ側面に非線形抵抗膜13およびパッシベーション膜12を形成する方法もある。
また、チップ側面にまで電界緩和領域が有効利用されるので、さらに大幅の電界緩和領域を縮小することができる。
図11のように、パッシベーション膜12を省略することにより、半導体装置の製造工程が簡略化されるので、さらにチップコストを低減させることができる。
なお、上記実施の形態4(図10、図11)では、半導体層端部の沿面寸法拡大について考慮しなかったが、前述(図16)の大電力半導体装置に適用した場合を想定して、図12のように、端部をΣ形状に形成するとともに、非線形抵抗膜13をシリコーンゴム25でモールドしてもよい。
図12においては、高耐圧半導体装置として、ウエハ1枚で使用するサイリスタ、GTO(Gate Turn Off thyristor)、またはダイオードのような、大電力半導体(たとえば、PNP構造)を想定しており、端面をΣ形状に研磨した点と、非線形抵抗膜13の上にモールド用のシリコーンゴム25が追加形成された点ろが前述と異なる。
なお、端面形状は、Σ形状に限らず、斜面形状やV形状であってもよい。また、端面形状にかかわらず、非線形抵抗膜13をシリコーンゴム25でモールドしてもよい。
また、半導体領域の外周縁部の電界緩和領域の端面は、斜面形状、V形状またはΣ形状に研磨されているので、端部沿面寸法を拡大することができる。
したがって、ウエハ端面部分の大幅な電界緩和効果があり、高耐圧半導体装置の耐電圧信頼性向上の効果がある。
なお、上記実施の形態5(図12)では、ウエハ端面をΣ形状に研磨したが、図13のように、ウエハ端面を平面形状に研磨するか、ウエハ端面を研磨せずにそのままの状態としてもよい。
図13はこの発明の実施の形態6に係る高耐圧半導体装置のベベル構造(端部電界緩和領域)を示す断面図であり、前述(図12参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
図13においては、端面を平面形状に研磨した点のみが前述(図12)と異なる。
これにより、電界緩和領域の電界が平均化されて耐電圧信頼性が保持されるとともに、ウエハ端面の沿面寸法拡大用のΣ形状などの研磨工程、さらにウエハ端面の研磨工程を省くことができる。
Claims (8)
- 第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板に形成された低濃度の第1導電型の第1の不純物層と、
前記第1の不純物層に形成された高濃度の第2導電型の第2の不純物層からなる半導体領域と、
前記半導体領域を隔離するように前記第1の不純物層の上面に形成された絶縁膜と、
前記半導体領域を囲む電界緩和領域において、前記第1の不純物層の表面層に選択的に形成された低濃度の第2導電型のガードリングと、
前記ガードリングに接触し、かつ前記絶縁膜を介して前記半導体領域の表面の一部を覆うフィールドプレートと、
前記半導体基板および前記第1の不純物層からなる第1導電型半導体層の最縁部の表面に設けられた、高濃度の第1導電型の不純物層からなるフィールドストップと、
前記フィールドストップに接触し、かつ前記絶縁膜を介して前記電界緩和領域の表面の一部を覆うように設けられたストッパ電極とを備え、
前記ガードリングは、互いに隔離された複数のガードリングからなり、
前記フィールドプレートは、前記複数のガードリングにそれぞれ個別に接触した複数のフィールドプレートからなる高耐圧半導体装置であって、
前記電界緩和領域の上部を覆うように形成された非線形抵抗膜およびパッシベーション膜をさらに備え、
前記非線形抵抗膜は、前記非線形抵抗膜に印加される電界に対して抵抗値が低下する特性を有し、平均粒径が0.5μm〜7μmのSiCまたはZnOと、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド/アミド樹脂またはエポキシ樹脂と、の混合物により構成されたことを特徴とする高耐圧半導体装置。 - 第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板に形成された低濃度の第1導電型の第1の不純物層と、
前記第1の不純物層に形成された高濃度の第2導電型の第2の不純物層からなる半導体領域と、
前記半導体領域を隔離するように前記第1の不純物層の上面に形成された絶縁膜と、
前記半導体領域を囲む電界緩和領域において、前記第1の不純物層の表面層に選択的に形成された低濃度の第2導電型のガードリングと、
前記半導体基板および前記第1の不純物層からなる第1導電型半導体層の最縁部の表面に設けられた、高濃度の第1導電型の不純物層からなるフィールドストップと、
前記フィールドストップに接触し、かつ前記絶縁膜を介して前記電界緩和領域の表面の一部を覆うように設けられたストッパ電極とを備え、
前記ガードリングは、互いに隔離された複数のガードリングからなる高耐圧半導体装置であって、
前記電界緩和領域の上部を覆うように形成された非線形抵抗膜およびパッシベーション膜をさらに備え、
前記非線形抵抗膜は、前記非線形抵抗膜に印加される電界に対して抵抗値が低下する特性を有し、平均粒径が0.5μm〜7μmのSiCまたはZnOと、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド/アミド樹脂またはエポキシ樹脂と、の混合物により構成されたことを特徴とする高耐圧半導体装置。 - 第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板に形成された低濃度の第1導電型の第1の不純物層と、
前記第1の不純物層に形成された高濃度の第2導電型の第2の不純物層からなる半導体領域と、
前記半導体領域を隔離するように前記第1の不純物層の上面に形成された絶縁膜と、
前記半導体領域を囲む電界緩和領域の最縁部に設けられた高濃度の第1導電型の不純物層からなるフィールドストップと、
前記フィールドストップに接触し、かつ前記絶縁膜を介して前記電界緩和領域の表面の一部を覆うように設けられたストッパ電極とを備えた高耐圧半導体装置であって、
前記電界緩和領域の上部を覆うように形成された非線形抵抗膜およびパッシベーション膜をさらに備え、
前記非線形抵抗膜は、前記非線形抵抗膜に印加される電界に対して抵抗値が低下する特性を有し、平均粒径が0.5μm〜7μmのSiCまたはZnOと、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド/アミド樹脂またはエポキシ樹脂と、の混合物により構成されたことを特徴とする高耐圧半導体装置。 - 前記非線形抵抗膜は、前記パッシベーション膜の機能を兼ねていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の高耐圧半導体装置。
- 第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板に形成された低濃度の第1導電型の第1の不純物層と、
前記第1の不純物層に形成された高濃度の第2導電型の第2の不純物層からなる半導体領域と、
前記半導体領域を囲む電界緩和領域と、前記半導体基板および前記第1の不純物層からなる第1導電型半導体層の最縁部および側面部との上部を覆うように形成された非線形抵抗膜およびパッシベーション膜をさらに備え、
前記非線形抵抗膜は、前記非線形抵抗膜に印加される電界に対して抵抗値が低下する特性を有し、平均粒径が0.5μm〜7μmのSiCまたはZnOと、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド/アミド樹脂またはエポキシ樹脂と、の混合物により構成されたことを特徴とする高耐圧半導体装置。 - 前記非線形抵抗膜は、前記パッシベーション膜の機能を兼ねていることを特徴とする請求項5に記載の高耐圧半導体装置。
- 前記非線形抵抗膜は、さらにシリコーンゴムでモールドされていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の高耐圧半導体装置。
- 前記半導体領域の外周縁部の前記電界緩和領域の端面は、斜面形状、V形状またはΣ形状に研磨されていることを特徴とする請求項7に記載の高耐圧半導体装置。
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