JP5811325B2 - 半導体素子および半導体装置 - Google Patents
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Description
図12において、(a)はその平面図、(b)はその断面図であり、符号1〜12および100はそれぞれ、n半導体基板、p分離拡散領域、活性領域、pウエル領域、nエミッタ領域、ゲート絶縁膜、ゲート電極、層間絶縁膜、エミッタ電極、pコレクタ領域、コレクタ電極、端部および半導体チップを示している。この逆阻止IGBTは600Vで1mA(1x10−3A/cm2)以下のリーク電流を達成し、高い逆阻止性能を高い良品率で実現している。
例えば、図12に示す特許文献1の逆阻止バイポーラ半導体素子すなわち逆阻止Si−IGBTにおいては、一方の主表面に順逆耐圧を実現するためのターミネーション(図12では耐圧構造部と記述)を設けて、順方向耐圧と逆方向耐圧の両方を達成している。特に、逆方向耐圧を実現するために一方の主表面から不純物を拡散して他方の主表面のpコレクタ10に達するp分離拡散領域2を形成し、このp分離拡散領域2およびpコレクタ10とドリフト層として機能するn半導体基板1とで高耐圧接合を形成している。このため、p分離拡散領域2の厚さは、電界を緩和するドリフト層(特許文献1のn半導体基板1)の厚さよりも厚くしなければならない。ドリフト層は、耐圧に相当する電圧を半導体素子に印加した際に空乏層を広げて電界を緩和し、接合部の最大電界をその半導体材料固有の絶縁破壊電界強度以下に抑える機能を持つものである。図12の開示例においては、耐圧が600Vの逆阻止Si−IGBTを実現するために、ドリフト層の厚さを約100ミクロンメートル(以下ではμmと記述する)にしている。耐圧はノンパンチスルー型半導体素子の場合は、原理的に最大絶縁破壊電界と空乏層幅の積に比例する。ドリフト幅は空乏層幅以上に設計しないと耐圧を達成できない。従って、耐圧が10倍の6kVの逆阻止Si−IGBTを実現しようとすると、ドリフト層の幅は1000μm程度必要になる。
このように開示例の構造では、高耐圧逆阻止半導体素子の場合は分離拡散領域が厚いので量産性よく形成することが実用的には困難であり、従って、量産性よく逆阻止半導体素子および半導体装置の高耐圧を実現することが難しいという第1の問題がある。
このように開示例では、ダイボンディング時のストレスで、逆阻止半導体素子および半導体装置の逆方向耐圧の低減が発生するという第2の問題がある。
開示例における上記のダイボンディング時の半導体素子の損傷は、半導体装置の稼働中に受けるこのストレスで徐々に拡大するので、更なる逆方向耐圧の劣化やリーク電流の増大が進行し、信頼性が損なわれる。
このように、開示例ではダイボンディング時の損傷に起因して、稼働中のストレスにより逆阻止半導体素子および半導体装置の信頼性が損なわれるという第3の問題がある。
なお、本明細書におけるターミネーションとは半導体素子の接合端部の電界を緩和する電界緩和手段を示し、JTEやFLR、RESURF、ガードリング等が該当する。また、ターミネーション領域とはこのターミネーションの他にチャネルストッパやダイシング代等を含む活性領域の周辺領域全体を示す。
両領域は主表面間に両領域の表面が主表面を構成するように設けられ、且つ半導体素子を横断する共通の第1の導電型の第1半導体層(ドリフト層)を有しており、活性領域の各セルは各々の他方の主表面への露出面に第1の主電極(コレクタ電極)が設けられ且つ各々の一方の主表面への露出面に第2の主電極(エミッタ電極)が設けられている半導体素子において、
ターミネーション領域の一方の主表面には、少なくとも第1の導電型の第1半導体層(ドリフト層)内に設けられた第1のターミネーションと第1の導電型の第5半導体層(第1のチャネルストッパ層)とが活性領域側から順次露出しており、その間には第1の導電型の第1半導体層(ドリフト層)が露出しており、且つこれらの露出面は第1のパッシベーション膜で被覆されており、更に第1のターミネーションは第2の主電極(エミッタ電極)と電気的に接続されており、ターミネーション領域の他方の主表面には、活性領域の周囲を取り囲む第1の凹部が、底面が前記第1の導電型の第1半導体層(ドリフト層)内に含まれるように設けられ、第1の凹部の底面には第2のターミネーションが露出して設けられ且つ第1の主電極(コレクタ電極)と電気的に接続されており、
第1の凹部をはさんで活性領域と反対側の他方の主表面には、第1の導電型の第1半導体層(ドリフト層)と接する第10の半導体層(半導体支持体)が他方の主表面に露出して設けられており、第1の主電極(コレクタ電極)と接する部分以外の他方の主表面は全て第2のパッシベーション膜で被覆されていることを特徴とする。
ここでの半導体素子は、IGBT、MAGBT、GTOサイリスタ、SIサイリスタ(Static Induction Thyristor)、MOSサイリスタなどのビルトイン電圧を有するものである。
前記の他方の主表面には、活性領域に接してその周囲を取り囲む第2の導電型の第4半導体層(接合端コレクタ層)が前記第1の導電型の第1半導体層(ドリフト層)の他方の表面に接して設けられ、更に前記第1の凹部はこの第2の導電型の第4半導体層(接合端コレクタ層)に接してその周囲を取り囲んで設けられ、その厚さは第1の凹部の深さよりも小さく且つその側面が第1の凹部の斜面に露出しており、
前記の各セルは、他方の主表面に露出し且つ前記第1の導電型の第1半導体層(ドリフト層)と接する第2の導電型の第1半導体層(コレクタ層)と 前記第1の導電型の第1半導体層(ドリフト層)内に設けられ且つ一方の主表面に露出する第2の導電型の第2半導体層(ボディ層)と、第2の導電型の第2半導体層(ボディ層)内に間隔をおいて設けられ且つ一方の主表面に露出する複数の第1の導電型の第2半導体層(エミッタ層)とを有し、
第2の導電型の第1半導体層(コレクタ層)の他方の主表面への露出面と第2の導電型の第4半導体層(接合端コレクタ層)の表面で且つ第2のパッシベーション膜で被覆されていない部分には第1の主電極(コレクタ電極)が設けられ、
複数の第1の導電型の第2半導体層(エミッタ層)の一方の主表面に露出する面の一部とその間の第2の導電型の第2半導体層(ボディ層)の一方の主表面に露出する面には第2の主電極(エミッタ電極)が設けられ、
第1の導電型の第2半導体層(エミッタ層)と第2の導電型の第2半導体層(ボディ層)との第2の主電極(エミッタ電極)が設けられていない主表面露出面および第1の導電型の第1半導体層の一方の主表面露出面にはゲート酸化膜が設けられ、その上にはゲート電極が設けられ、各セルの第1の主電極(コレクタ電極)どうし、第の2主電極(エミッタ電極)どうし、ゲート電極どうしは各々電気的に接続されており、
第2の導電型の第3半導体層(接合端ボディ層)は前記第1のターミネーションと第2の導電型の第5半導体層(第1連結層)で連結され、セルの第2の導電型の第2半導体層(ボディ層)とも電気的に接続されており、第2の導電型の第4半導体層(接合端コレクタ層)は前記第2のターミネーションと第2の導電型の第6半導体層(第2連結層)で連結され、第2の導電型の第1半導体層(コレクタ層)とも電気的に接続されていることを特徴とする。
前記第10の半導体層(半導体支持体)と第1の導電型の第1半導体層(ドリフト層)との間に、第1の導電型の第1半導体層よりも高い不純物濃度を有する第1の導電型の第6半導体層(第2のチャネルストッパ)が設けられていることを特徴とする。
前記の他方の主表面には、活性領域に接してその周囲を取り囲む第2の導電型の第4半導体層が設けられ、更に前記第1の凹部はこの第2の導電型の第4半導体層に接してその側面が第1の凹部の斜面に露出するようにその周囲を取り囲んで設けられており、
前記の各セルは、他方の主表面に露出し且つ前記第1の導電型の第1半導体層と接する第2の導電型の第1半導体層と 前記第1の導電型の第1半導体層内に設けられ且つ一方の主表面に露出する第2の導電型の第2半導体層と、第2の導電型の第2半導体層内に設けられ且つ一方の主表面に露出する複数の第1の導電型の第2半導体層とを有し、第2の導電型の第1半導体層の主表面露出面と第2の導電型の第4半導体層の表面で且つ第2のパッシベーション膜で被覆されていない部分には第1の主電極が設けられ、複数の第1の導電型の第2半導体層の一方の主表面に露出する面の一部とその間の第2の導電型の第2半導体層の一方の主表面に露出する面には第2の主電極が設けられ、
第1の導電型の第2半導体層と第2の導電型の第2半導体層との第2の主電極が設けられていない主表面露出面および第1の導電型の第1半導体層の一方の主表面露出面にはゲート酸化膜が設けられ、その上にはゲート電極が設けられ、各セルの第1の主電極どうし、第の2主電極どうし、ゲート電極どうしは各々電気的に接続されており、
第2の導電型の第3半導体層はセルの第2の導電型の第2半導体層とも電気的に接続されており、第2の主電極と電気的に接続された電極が前記凸部の斜面と底面に第1のパッシベーション膜を介して、第2の導電型の第3半導体層から前記第1のターミネーションに至るように設けられており、
第2の導電型の第4半導体層は第2の導電型の第1半導体層とも電気的に接続されており、第1の主電極と電気的に接続された電極が前記第1の凹部の斜面と底面に第2のパッシベーション膜を介して、第2の導電型の第4半導体層から第2のターミネーションに至るように設けられており、
前記第1の導電型の第1半導体層と第2の導電型の第1半導体層および第2の導電型の第4半導体層との間に、第1の導電型の第1半導体層よりも高い不純物濃度を有する第1の導電型の第4半導体層を、その側面および第1の導電型の第1半導体層が第1の凹部の斜面に露出するように設け、
第1の導電型の第1半導体層と前記一方の主表面との間に、前記複数の第1の導電型の第2半導体層を内蔵した前記第2の導電型の第2半導体層および第2の導電型の第3半導体層を内蔵した第1の導電型の第3半導体層を、その側面が前記凸部の斜面に露出するように設け、その厚さを凸部の厚さよりも小さくし且つその不純物濃度を第1の導電型の第1半導体層よりも高くせしめたことを特徴とする。
第2の導電型の第1半導体層(コレクタ層)の他方の主表面に露出する面には第4の主電極が設けられ、第1の導電型の第9半導体層(エミッタ層)の一方の主表面に露出する面には第5の主電極が設けられ、第2の導電型の第8半導体層(ベース層)の一方の主表面に露出する両端の面にはゲート電極が設けられ、第4の主電極とゲート電極の間には第3のパッシベーション膜が設けられており、
各セルの第4の主電極どうし、第の5主電極どうし、ゲート電極どうしは各々電気的に接続されており、
前記第2の導電型の第8半導体層(ベース層)は第1のターミネーションと第2の導電型の第5半導体層(第1連結層)で連結され、第2の導電型の第1半導体層は第2のターミネーションと第2の導電型の第6半導体層(第2連結層)で連結されていることを特徴とする。
パッケージは半導体素子の前記第1の主電極(コレクタ電極)および前記第2の主電極(エミッタ電極)を集約した集約エミッタ電極と半導体素子のゲート電極を集約した集約ゲート電極とに各々電気的に接続した第1の主配線および第2の主配線とゲート配線とを有しており、各配線は外部配線と接続するための第1の主端子および第2の主端子とゲート端子とを有しており、
第1の主配線において、少なくとも半導体素子の前記第1の主電極(コレクタ電極)が接続する部分はメサ状に盛り上がっており、その表面のメサ状接続部は半導体素子の他方の主表面の前記第10の半導体層(半導体支持体)に対向する位置よりも内側に存在しており、
少なくとも半導体素子とその周辺部および各配線の一部はレジンで被覆されており、前記第1の主配線と半導体素子の端面間の絶縁破壊電圧が半導体素子の逆方向耐圧よりも高くなるように前記第1の主配線と半導体素子の端面間の最短距離を設定したことを特徴とする。
このため本発明では、半導体素子の他方の主表面において、活性領域の周囲に第1の凹部を設けてその中に第2のターミネーションを形成し、且つこの他方の主表面において第1の凹部を挟んで活性領域と反対側の主表面に半導体支持体を設ける。活性領域の他方の主表面には他方の主電極を形成する。また半導体支持体表面には第2のパッシベーション膜を形成し、この膜で他方の主電極と半導体支持体とを絶縁すると共に、一方の主電極と半導体支持体とも絶縁し逆方向耐圧を実現する。この結果、p分離拡散領域を用いない構成で順逆両方向の耐圧を実現することが可能になり、上記の第1の問題を解決できる。
適正距離≧半導体素子の逆方向耐圧÷レジンの絶縁破壊電界
この結果、半導体装置に逆バイアスが印加された際、第2の主電極(エミッタ電極)と前記第1の主配線間が半導体素子の端面(ダイシング面)を介して絶縁破壊するのを防いで、高い逆方向耐圧を実現することが可能になり、より効果的に上記の第1の問題を解決できる。
そこで本発明では、第1および第2のターミネーションは各々n電流拡大層およびnバッファー層によりpボディ層およびpコレクタ層から分断されている構造にする。これは例えば、p連結層を製作しないことによって実現できるし、またはp連結層の不純物濃度をn電流拡大層およびnバッファー層の不純物濃度より低くすることによっても実現できる。そのうえで、第1および第2の主電極に電気的に接続した電極が、凸部の斜面に設けた酸化膜を介してn電流拡大層とnバッファー層さらにnドリフト層の凸部斜面への露出面上に延在する構造にする。これにより、順方向電圧印加時にはn電流拡大層とnドリフト層の表面が第1の主電極の電圧による電界効果で、また逆方向電圧印加時にはnバッファー層とnドリフト層の表面が第2の主電極の電圧による電界効果でp層に反転させることができる。この結果、各々のターミネーションはpボディ層もしくはpコレクタ層と連結して電界緩和用のターミネーションとして機能し、順逆両方向の所定の高耐圧を実現できる。このように、新規な電界効果型ターミネーションにより耐圧を損ねることなく半導体素子を高性能化することが可能になり、より効果的に上記第1の問題を解決できる。
一方、本発明では半導体素子の第1の凹部に露出するnドリフト層の露出面に、パッケージの半田を介するコレクタ電圧による電界効果によりチャネルが誘起されるという問題が生じる。しかし、上記構成により、半導体素子の第1の凹部が比較的深いのでこの電界効果を低減できる。また、半導体素子の第1の凹部により分断されたnバッファー層と、このnバッファー層とp半導体支持体の間に設けた高濃度のn半導体層とにより第2のチャネルストッパを構成する。これにより、上記の電界効果によって第1の凹部のnドリフト層露出面に誘起されるチャネルが伸長しp半導体支持体に達して逆方向耐圧が劣化するのを抑制でき、より効果的に上記の第3の問題を解決できる。
図1に本逆阻止IGBT半導体素子の形状を示す。本明細書および添付図面ではA,C,D領域を合せて活性領域と呼ぶ。本逆阻止IGBTはX-Y線を中心線とする円盤状であり、活性領域には複数のIGBTセルが設けられ、その外周部をターミネーション領域Bが取り巻いている。C領域には、中心線X−Yに向かってIGBTセルAがリング状で且つ同心円状に何重にも多数内蔵されており、中心部DにはセルAと同じ断面を有する1個のセルがそのセンターが中心線X−Yに重なるように配置されている。本素子の直径は約15mmであり、セルAの幅は約105μm、ターミネーション領域Bの幅は約2400μm、素子のSi厚さは約990μmである。
セルAはダイボンディングされる他方の主表面側から、コレクタ電極101、pコレクタ層102、nドリフト層103、pボディ層105、チャネル層106およびnエミッタ層107の順で構成され、pコンタクト層108とnエミッタ層107上にはエミッタ電極109が設けられている。更にnエミッタ層107とチャネル層106およびpボディ層105間のnドリフト層103の上にはゲート酸化膜110が設けられ、このゲート酸化膜を介してゲート電極111が設けられている。例えば、pコレクタ層102は不純物濃度が約1x1019cm−3で厚さが約30μm、nドリフト層103は不純物濃度が約1.5x1013cm−3で厚さが960μmであってもよい。また、コンタクト層108は不純物濃度が約1x1019cm−3で巾が10μm、nエミッタ層107は不純物濃度が約4x1019cm−3で巾が6μm、pボディ層105は不純物濃度が約1x1018cm−3で巾が25μm、チャネル部106は不純物濃度が約5x1016cm−3で巾が約1.5μmであってもよく、pボディ105間の幅は約80μmであってもよい。この場合は、セルの幅が約105μmである。なお、ゲート酸化膜の厚さは約500オングストロームであってもよい。
ターミネーション領域B内の凸部15に設けた接合端pボディ層126のうちの活性領域側の部分上には、チャネル、ゲート酸化膜およびゲート電極、nエミッタ層、更にエミッタ電極としても機能する接合端pボディ層電極127が形成されており、1/2のIGBTセルとして機能する。なお、本発明では凸部15の側面114は主表面に対し傾斜角を持っているので以下では斜面と記述する。接合端pボディ層126の斜面側の部分上にはnエミッタ層とゲート電極が形成されていないのでIGBTセルとしては機能しない。しかし、斜面に沿った第1のp連結層115により凸部底面20のJTE112と接続された複合構造を構成しており、凸部15は側面が傾斜したメサ形状をしていることから、この複合構造をメサJTEと呼ぶ。公知のようにメサ形状をした接合端(ベベルとも呼ばれる)とJTEは各々電界緩和効果をもつが、両者を結合した上記の複合構造すなわちメサJTEにすると両者の電界緩和効果が融合された高い電界緩和効果を発揮する。また、JTE112から所定の距離をおいてnチャネルストッパー層113が設けられている。
例えば、第1の凹部116は深さが50μmで底部の幅が約1900μm、JTE117の活性領域に近いゾーン117aは不純物濃度が約1.6x1017cm−3で巾が約950μm、活性領域から遠いゾーン117bは不純物濃度が約0.8x1017cm−3で巾が約650μm、第2のp連結層118は不純物濃度が約1.6x1017cm−3であってもよい。
まず、図2(a)に示すように、ドリフト層となる約965μm厚のnSi基板103の他方の主表面に、pコレクタ層102を拡散する。更にpコレクタ層保護用絶縁被覆膜120‘を形成する。
次に、図2(b)に示すように、pコレクタ層保護用絶縁被覆膜120‘をホトリソ加工し、この膜をマスクとしてドライエッチングにより例えば深さ約25μmの第1の凹部116を形成する。この結果、前述したように、第1の凹部により分断されたpコレクタ102および接合端pコレクタ層128とp半導体支持体119とが形成される。
更に公知のマスク用絶縁膜形成とホトリソ加工とを繰り返し併用しながら2ゾーンJTE117と第1の凹部の斜面の第2のp連結層118とをホウ素のイオン打込みで形成する。ついで、保護用絶縁被覆膜120’をエッチング除去した後、他方の主表面全面に新たに絶縁パッシベーション膜120を形成する。
ついで、ゲート酸化膜110とポリシリコンのゲート電極111を形成し、更にエミッタ電極109及び接合端pボディ層電極127を公知のホトリソ技術とスパッタリング技術およびアニール技術を用いて選択的に順次形成する。
その後、表面保護用の絶縁レジン膜を多層配線全面に厚め(数μm〜数十μm)に形成し、半導体装置の他方の主表面全面にコレクタ電極膜を形成する。ついで、公知のホトリソ加工手法により第1の凹部116およびp半導体支持体119とその周辺部の上の電極膜部分を除去しコレクタ電極101を形成する。ついで、多層配線上の絶縁レジン膜も除去してアニールした後、ウエーハをダイシングして逆阻止Si−IGBT半導体素子を完成する。
このために本実施例では、上記のコレクタ配線部53にはあらかじめ半導体素子50の周囲に溝64を設け、半導体素子のダイボンディング部分にメサ状に盛り上げたメサ状接続部63を設けている。この溝によりダイシング面30に付着した半田がコレクタ配線部53と接するのを防いでいる。
また、半導体素子のダイシング面30とコレクタ配線部53の間の距離が小さいと、逆バイアスが印加された際にエミッタ電極109とコレクタ配線部53との間でダイシング面30を介して逆方向耐圧よりも低い電圧で絶縁破壊してしまう。本実施例ではこの溝により、ダイシング面30とその周辺のコレクタ配線部53との距離を十分確保し、この間の絶縁破壊耐圧が半導体素子の逆方向耐圧以上になるようにしている。このために必要なダイシング面30とその周辺のコレクタ配線部53の間の最短距離は、レジンの絶縁破壊電界に依存する。本半導体装置の場合は耐圧が8kVであるので、例えばこの間のレジンの絶縁破壊電界が約60kV/cmの場合はこのメサの高さは約1.5mmでもよい。
メサ状接続部63はコレクタ電極101とほぼ相似な平面形状にしているが、p半導体支持体119よりも内側に存在するような大きさにすることが肝要である。これはダイボンディングおよびワイヤボンディング後の半導体素子に真空中でレジンを滴下塗布する際に、メサ状接続部63と半導体素子の第1の凹部の間にガスが残留するのを避けるとともに、レジンが充満できるようにするためである。
まず、耐圧について説明する。コレクタ電極101の電位がエミッタ電極109の電位よりも高い、いわゆる順バイアス状態にすると、pボディ層105およびチャネル層106とで形成する主接合が逆バイアスされ、この主接合から空乏層がpボディ層105およびチャネル層106側とnドリフト層103側に拡がる。本実施例の場合では耐圧に該当する電圧が印加されても、空乏層がpコレクタ層102に達しないように所定の低不純物濃度のドリフト層103を十分厚くしたいわゆるノンパンチスルーIGBT構造にしてある。すなわち、本実施例のような不純物濃度のドリフト層の場合、概略1kVの電圧印加で形成される空乏層厚さは100μm程度と算出されるので、耐圧8kVに該当する電圧が印加されると800μm程度である。ドリフト層103の厚さは例えば約960μmであるので、空乏層がpコレクタ層102に達するまでには160μm程度の余裕がある。上記の電圧が印加された際、ターミネーション領域Bではチャネル106と接合端pボディ層126および第1p連結層115とnドリフト層103とで形成する接合や、第1JTE112とドリフト層103とで形成する接合が逆バイアスされ空乏層が拡がってゆく。第1JTE112と第2JTE117間のドリフト層103の厚さは900μm以上あるので、この場合も耐圧に該当する電圧が印加されても空乏層はpコレクタ層102もしくは第2JTE117に達しない。印加電圧が耐圧に該当する電圧に至ると空乏層内の最も電界強度が高い部分でなだれ降伏を起こす。この時の降伏電圧が順方向耐圧である。
測定温度を120℃の高温にした場合でも、ナノテクレジンの高耐熱性も寄与し、順逆両方向の電圧印加時のリーク電流は8kVでほとんどのSi−IGBTが8x10−4A/cm2以下であり、耐圧は約0.4kV程度ではあるがむしろ増加傾向にあった。
本実施例の場合、Vce=5V、ゲート電圧=20V印加時における単位面積当たりの微分オン抵抗は室温で約76ミリオーム・cm2である。微分オン抵抗とは、印加電圧がビルトイン電圧以上の電圧であり且つオン電流が流れている状態で、(オン電圧―ビルトイン電圧)をそのオン電圧で流れているオン電流で割り算して求めた抵抗である。このようにSi−IGBTの単位面積当たりの微分オン抵抗は8kV級のSi−MOSFETの単位面積当たりの微分オン抵抗の理論値に比べてかなり低く、バイポーラデバイスに特有の伝導度変調が十分なされていることが判るし、電力損失が十分少なくできている。
また、逆バイアス試験や稼働試験でも、印加電圧に依存しないほぼ一定の飽和したリーク電流であるチャネル性のリーク電流は発生しなかった。これは、第1凹部が深いのでその底部と半田との距離を離すことができたことにより、半田を介する電界効果による第1凹部の底部におけるチャネルの発生を抑制できたことに依ると推定される。
第1の凹部116の保護用絶縁膜120の表面に汚れが付着している場合は、このチャネルの発生がより顕著であり、初期段階では良好でも稼働中にリーク電流の増大をまねいて耐圧が低下し信頼性の低下を招いた。
本実施例において、pコレクタ層202は不純物濃度が約1x1019cm−3で厚さが約30μm、nドリフト層203は不純物濃度が約1.5x1013cm−3で厚さが960μm、第1の凹部216は深さが50μmで底部の幅が約1900μm、第2のチャネルストッパ222は、不純物濃度が約1x1018cm−3であってもよい。
本逆阻止IGBT半導体素子は、上記のように形状が正方形であることと以下の相違点とを除けば、実施例2と断面構造すなわち各層の不純物濃度や厚さおよび幅等がほぼ同じである。相違点は一方の主表面において、凸部を形成しないで2ゾーン構成の第1のJTE262を設け、接合端pボディ層276との間を第1のp連結層265で電気的に連結することにより、主接合をプレーナ構造にした点である。なお、本実施例の逆阻止IGBT半導体装置の断面構成は図3の実施例1とほぼ同様である。
本実施例になる半導体素子および半導体装置では実施例1の典型的な半導体装置の特性に比べて、リーク電流はほぼ同等であった。すなわち、室温で8kVの逆方向電圧印加時のリーク電流はほとんど5x10−5A/cm2以下であった。その他のオン特性も実施例1とほぼ同等であった。また、逆バイアス試験や設備に組み込んだ稼働試験中に、逆バイアス時のリーク電流が異常に大きくなったり、逆方向耐圧が低減してしまったりするSi−IGBT半導体装置も実施例1に比べてほぼ同等に低減できた。
nバッファー層322は実施例2の製作プロセスにおいて、nチャネルストッパ222(本実施例では324に該当)の形成に先立って、n基板の他方の表面全面に燐をイオン打込みした後に拡散処理を施すことによって形成できる。
また、本実施例の2段構成のp半導体支持体319は、実施例2の製作プロセスにおいて第1の凹部216を形成する前に第1の凹部形成と同様のプロセスを用いて第2の凹部324を形成し、その後に第1の凹部316を形成することによって形成できる。
本半導体装置においてはpコレクタ電極301をコレクタ配線部のメサ状接続部に半田付けした後には、コレクタ配線部はpコレクタ電極301と同電位になる。このため高い逆方向耐圧を実現するためには、このコレクタ配線部と半導体素子のダイシング面330におけるnドリフト層露出部間の絶縁距離を大きくしこの間の絶縁破壊電圧を大きくすることが肝要である。本実施例の2段構成のp半導体支持体319は、IGBTセルのドリフト層303を耐圧に見合う所定の厚さに維持したまま、1段構成の実施例2および3に比べて第2の凹部324の深さ分だけこの絶縁距離を更に大きくできる。この結果、素子特性を犠牲にすることなく絶縁破壊電圧を更に大きくできる。
このように本実施例の構造により、実施例1の効果に加えて、nバッファー層322により損失の大幅な低減ができるとともに、第2のチャネルストッパ323および324と2段構成の半導体支持体319および中間金属電極とにより高い逆方向耐圧の実現や信頼性の向上が達成できる。
n電荷蓄積層404は実施例3の製作プロセスにおいて、pボディ層405の形成に先立ち、形成後のpボディ層を内蔵するように選択的に燐をイオン打込みし拡散処理を施すことにより形成できる。
また、無機絶縁物429は、ゲート酸化膜上のポリシリコンのゲート電極311形成後に低融点ガラス等を第1の凹部内に充填し溶融させることにより形成できる。この場合は、その後のエミッタ電極やコレクタ電極などの金属電極形成時の熱処理などで溶融しない融点の材料を用いることが肝要である。
本実施例において、pコレクタ層402は不純物濃度が約1x1019cm−3で厚さが約30μm、nバッファー層422は不純物濃度が約1x1016cm−3、厚さが25μm、nドリフト層403は不純物濃度が約1.5x1013cm−3で厚さが1220μm、第1の凹部216は深さが65μm、第2のチャネルストッパ424は、不純物濃度が約1x1018cm−3で、n電荷蓄積層404は不純物濃度が約7x1015cm−3、厚さが約6μmであってもよい。
低融点ガラス等の無機絶縁物429は比較的深い第1の凹部416内に充填しパッシベーション膜420よりも厚く形成できるので、第1の凹部底面に及ぼされる電界を低下できるため、このような電界効果による信頼性の低下を抑制できる。
Vce=5V、ゲート電圧=20V印加時における単位面積当たりの微分オン抵抗は室温で約88ミリオーム・cm2であり、8kV級のSi−MOSFETの単位面積当たりのオン抵抗の理論値に比べてもかなり低く、十分な伝導度変調がなされていることがあきらかであり、オン電力損失も十分少なくできている。また、ターンオン時間は6.2μs、ターンオフ時間は9.6μsであり十分な高速動作も実現できており、スイッチング損失も十分小さい。
なお図示していないが、電界効果型ターミネーションがより効果的に機能するように、第1のパッシベーション膜は少なくとも電流拡大層504とドリフト層503の凸部斜面露出面上では局部的に薄くして絶縁膜524を構成しており、第2のパッシベーション膜520も少なくともバッファー層とドリフト層の第1の凹部斜面露出面上では局部的に薄くせしめて絶縁膜525を構成している。これらの絶縁膜524と525は多層構成にしたパッシベーション膜中の酸化膜で構成してもよい。
また、本実施例の半導体素子はコレクタ電極501とその縁部との間に第2のパッシベーション絶縁膜520の厚さ相当の高さの差があるが、パッケージにダイボンディングして逆阻止IGBT半導体装置を構成する際に、半田の量を若干多目にすることにより半田溶融時に解消できる。この点を除けば本実施例の半導体装置の断面構成は実施例1とほぼ同様である。
n電流拡大層504は、順バイアス時にpコレクタ層502からnドリフト層503に注入される正孔がpボディ層505に流入するのを抑制することにより、n電流拡大層504の周辺のnドリフト層503内に正孔を蓄積し正孔濃度を高くする機能をもつものである。これにより、オン時にn電流拡大層504周辺のnドリフト層503内で伝導度変調が一段と進行し、内部抵抗が低くなりオン電圧を低減できる。
また本実施例の半導体素子ではパンチスルー型構造を採用している。すなわち、ノンパンチスルー構造に比べてnドリフト層503の厚さを大幅に薄くして、オン時のオン電圧を低減するとともにターンオフ時の残留キャリアも低減しIGBTの損失の大幅な低減を図っている。一方、順方向耐圧に相当する高電圧印加時には、IGBTセル部においては、n電流拡大層504のpボディ周辺とnドリフト層503とをほぼ完全に空乏化させ、更に延びた空乏層がnバッファー層522内でストップするようにして高耐圧を実現している。また、逆方向耐圧に相当する高電圧印加時には、nバッファー層522とnドリフト層503とをほぼ完全に空乏化させ、空乏層がn電流拡大層504内でストップするようにし高耐圧を実現している。
なお当然ながら、前記の実施例と同様に本実施例の半導体装置においても、コレクタ配線部の溝とp半導体支持体519によりダイシング面530とその周辺のコレクタ配線部との距離は十分確保されており、この間の絶縁破壊耐圧が半導体素子の逆方向耐圧以上にできている。
本実施例においては例えば、pコレクタ層502は不純物濃度が約2x1018cm−3で厚さが約25μm、nバッファー層522は約1.5x1016cm−3で厚さが約15μm、ドリフト層503は不純物濃度が約7x1012cm−3で厚さが615μm、n電流拡大層504は不純物濃度が約1.2x1016cm−3でもよい。コンタクト層やnエミッタ層507、pボディ層505、チャネル部506の構造は実施例1とほぼ同じである。またセルの幅は約105μmでもよく、ゲート酸化膜510の厚さは約500オングストロームでもよい。また、場合によってはn電流拡大層504およびnバッファー層522の凸部斜面および第1の凹部斜面への露出面が、電界効果により確実にp反転しp連結層を形成しやすくするために、低濃度のアルミニュームを打込んでこれらの露出面の不純物濃度を調整しキャリア濃度を適正化してもよい。
更に、ターミネーション部Bの他方の主表面の第1凹部516は深さ45μmでもよく、第2JTE517の構造は第1JTE512とほぼ同じである。コレクタ主電極501と第1凹部斜面の間の絶縁膜525の厚さも約750nmでもよく、端部を除いた第2JTE517およびp半導体支持体519の上のパッシべーション膜520の厚さは約4.0μmでもよい。なお、第1および第2のJTE上の接合端pボディ電極527および接合端pコレクタ電極の端は、この端部での電界集中を緩和するために厚いパッシべーション膜上で終端するのが好ましい。
更に、室温で6kVの逆方向電圧印加時のリーク電流はほとんど6x10−5A/cm2以下であり、順方向電圧印加時の場合とほぼ同等の低い値であり良好な逆阻止構造が実現できていることが判る。
また、Vce=5V、ゲート電圧=20V印加時における単位面積当たりの微分オン抵抗は室温で約46ミリオーム・cm2であり、6kV級のSi−MOSFETの単位面積当たりの微分オン抵抗の理論値に比べてかなり低く、バイポーラデバイスに特有の伝導度変調が十分なされていることが判るし、電力損失が十分少なくできている。
また、ターンオン時間は4.3μs、ターンオフ時間は5.8μsであり十分な高速動作も実現できており、スイッチング損失も十分小さい。
本実施例の動作機構と特性を説明する。まず、耐圧について説明する。アノード電極601の電位がカソード電極607の電位よりも高い、いわゆる順バイアスにすると、pベース層605および接合端pベース層626とnドリフト層603で形成する主接合および第1JTE612とn-ドリフト層603とで形成する接合が逆バイアスされる。そして、これらの接合から空乏層がnドリフト層603側に拡がる一方、第1JTE612が上記主接合の端部の電界を緩和する。本実施例の場合は、耐圧に該当する順電圧が印加されても、空乏層が第2JTE617およびnバッファー層604に達しないようにn-ドリフト層603を十分厚くしたいわゆるノンパンチスルー構造にしてあるので高い順方向耐圧が達成される。またアノード電極601の電位がカソード電極607の電位よりも低い、いわゆる逆バイアスにすると、p+エミッタ層602および接合端p+エミッタ層728とnバッファー層604とで形成する主接合および第2JTE617とn-ドリフト層603とで形成する接合とが逆バイアスされ、これらの接合から空乏層がn-ドリフト層603側に拡がる。pエミッタ602および接合端p+エミッタ層628と主接合を形成するnバッファー層604は薄いので比較的低い逆バイアスで完全に空乏化してしまうため、空乏層はnドリフト層603内に侵入して拡がる一方、第2JTE617がこの主接合端の電界を緩和する。耐圧に該当する逆電圧が印加されても、上記のようにドリフト層603は十分厚くしており、空乏層が第1JTE612およびpベース層605に達することはなく高い逆方向耐圧が達成される。
本実施例の場合、Vce=5Vにおける単位面積当たりのオン電流密度は55A/cm2である。市販の6kV耐圧のGCTの場合は、耐圧が低く逆阻止能力がないにもかかわらずVce=5Vにおけるオン電流密度は40〜45A/cm2と低い。また、単位面積当たりの微分オン抵抗は約32ミリオーム・cm2であり、同耐圧のSi-IGBTよりも低く、伝導度変調が更に十分なされていることが判る。
本実施例の場合、ターンオン時間は8μs、ターンオフ時間は12μsであり十分な高速動作も実現できており、スイッチング損失も十分小さい。
半導体素子をパッケージにダイボンディングする際の機械ストレスでp+エミッタ層602および接合端p+エミッタ層628にクラックや各種欠陥が発生することが懸念されたが、前記のようにオン抵抗やリーク電流の顕著な増大はなく良好であった。
以上のように、本実施例の構造により、逆阻止Si−GCTの高い逆方向耐圧と低損失、高量産性、高信頼性を達成できる。
本逆阻止SiC−IGBT半導体素子の断面形状は、半導体材料としてSiの代わりにSiCを用いている点とn電流拡大層704を設けている点、およびp半導体支持体719が1段構成である点を除けば実施例4とほぼ同じ構成である。
セルAはダイボンディングされる他方の主表面側から、コレクタ電極701、pコレクタ層702、nバッファー層722、nドリフト層703、n電流拡大層704、pボディ層705、チャネル層706およびnエミッタ層707の順で構成され、pコンタクト層708とnエミッタ層707上にはエミッタ電極709が設けられている。更にnエミッタ層707とチャネル層706およびpボディ層705間のn電流拡大層704の上にはゲート酸化膜710が設けられ、このゲート酸化膜を介してゲート電極711が設けられている。例えば、pコレクタ層702は不純物濃度が約1x1019cm−3で厚さが約30μm、nバッファー層722は不純物濃度が約1x1016cm−3で厚さが約10μm、nドリフト層703は不純物濃度が約3x1014cm−3で厚さが約208μm、n電流拡大層704は不純物濃度が約1x1016cm−3で厚さが約2μmであってもよい。また、コンタクト層708は不純物濃度が約1x1019cm−3で巾が6μm、nエミッタ層707は不純物濃度が約4x1019cm−3で巾が3μm、pボディ層705は不純物濃度が約1x1018cm−3で巾が14μm、チャネル部706は不純物濃度が約2x1016cm−3で巾が約1μmであってもよく、n電流拡大層704の主表面への露出部の幅すなわちpボディ705間の幅は約6μmであってもよい。この場合はセルの幅は約20μmである。なお、ゲート酸化膜の厚さは約500オングストロームであってもよい。なお、n電流拡大層704の機能は実施例6と同じなので説明を割愛する。
例えば、第1の凹部716は深さが約45μmで底部の幅が約750μm、JTE717の活性領域に近いゾーン717aは不純物濃度が約3x1017cm−3で巾が約350μm、活性領域から遠いゾーン717bは不純物濃度が約1.5x1017cm−3で巾が約300μm、第2のp連結層718は不純物濃度が約3x1017cm−3であってもよい。
分断されたnバッファー層723とチャネルストッパ724で構成する第2のチャネルストッパの機能は、実施例4の第2のnチャネルストッパと基本的に同じであるので説明は省略するが、より大きなチャネル阻止能力があり、逆耐圧の低下も抑制できるので、品質が安定化し量産性が向上できるとともに信頼性の改良にも効果的であった。このチャネルストッパ724は、概略的には例えば次のようなプロセスフローで形成する。一方の面にn電流拡大層704を設けたドリフト層703の他方の面にエピタキシャル成長で形成したnバッファー層722に窒素を局所的にイオン打込みし、その後pコレクタ層702をエピタキシャル成長した後に第1の凹部716をエッチングしてメサ状の半導体支持体719を形成することにより形成する。このチャネルストッパ724の不純物濃度は、例えば約1x1018cm−3、であってもよい。
この断面構成は、本実施例のように半導体素子750のサイズが小さい場合に好適である。高い耐圧に対応してコレクタ配線部753のメサ状接続部763の高さを高くしてある。これはダイシング面730とコレクタ配線部753との最短距離を十分確保し、この間の絶縁破壊耐圧が半導体素子の逆方向耐圧以上になるようにするためである。本実施例の場合は耐圧が15kVであるので、例えばこの間のレジンの絶縁破壊電界が約60kV/cmの場合はこのメサ状接続部763の高さは約2.5mm以上にすればよい。
メサ状接続部763の上面も素子サイズに対応して小さくしてあるが、コレクタ電極よりも過度に小さくするとダイボンディング部の抵抗が増えて発熱が増大したり、半導体素子の熱の放散が損ねられたり、ダイボンディング強度が損ねられてしまう。一方、真空中でレジンを滴下塗布する際に、メサ状接続部63と半導体素子の第1の凹部の間にガスが残留するのを避けるとともに、レジンが充満できるようにするためには、p半導体支持体719よりも内側に存在するような大きさにする必要がある。
また逆阻止半導体素子として、逆阻止IGBTと逆阻止GCTについて言及したが、逆阻止MGBTや逆阻止SIAFETH(Static Induction Accumulated Thyrisitor),逆阻止SIサイリスタ(Static Induction Thyristor), 逆阻止MOSサイリスタ等の他のバイポーラ半導体素子を適用できることも当然である。
更に、1個の逆阻止半導体素子のみを内蔵した半導体装置について言及したが、複数個のしかも構造の異なる本発明になる逆阻止半導体素子同士を内蔵した逆阻止半導体装置や1個以上の本発明になる逆阻止半導体素子とその他の半導体素子とを内蔵した逆阻止半導体装置、更には半導体素子の制御回路までをも内蔵した逆阻止半導体装置にも当然応用展開できるものである。
また、本発明の半導体装置のパッケージ構造としては、一般的なIGBTモジュールを想定したパッケージ構造について言及したが、TO3型やデュアルインライン型等の片面半田接着型のパッケージ構造や、他の片面および両面圧接型のパッケージ構造に適用できることも当然である。
20,80:一方の主表面の凸部の底部
30、230、330、430、530、630,730:ダイシング面
50,750:半導体素子
51751:銅板
52,752:窒化シリコン
53,753:コレクタ配線部
54,754:エミッタ配線部
55,755:ゲート配線部
56,756:エミッタ電極
57,757:ゲート電極
58758:ダイボンディング用半田
59、60,759,760:ワイヤ
61,761:保護用高耐熱レジン
62,762:モールド用高耐熱レジン
63,763:メサ状接続部
101、201、251、301、401、501、601:コレクタ電極
102、202、252、302、402、502、602:コレクタ層
103、203、253、303、403、503、603,703:ドリフト層
104、404、504、604:電流拡大層
105、205、505,605:ボディ層
106、206、606: チャネル層
107、207、257、307、407、507、607 :エミッタ層
108、208、608:コンタクト層
109、209、259、309、409、509、609:エミッタ電極
110:ゲート酸化膜
111,211、261、311、411、511、611、708:ゲート電極
112a、b、212、262、312、412、512、612、712:第1のJTE
113、263、313、413、513、613,713:第1のチャネルストッパ層
114: 凸部斜面
115、215、265、315、415、615 :第1連結層
116,216、316、416、 :第1の凹部
117a,b、217、267、317、417、617、717:第2JTE
118,218、268、318、418、618:第2連結層
119、219、269、319、419、619:半導体支持体
126、226、276、326、426、526、626、726:接合端ボディ層
127、227、327、427、527、627、:接合端ボディ層電極
128、228,328、428、528、628、728:接合端コレクタ層
150,250,280,450:ドリフト層が露出するSiC界面部分
220、270、320、420、620:パッシベーション膜
221、271、321、421、621:ダイシング部を含むメサ底面
222、272、323、324、423、424、523、531、
623,624、723、724:第2のチャネルストッパ又はその一部
322、422、522、622、704:バッファー層
324:第2の凹部
404: 電荷蓄積層
524:525:斜面の絶縁膜もしくは酸化膜
701:アノード電極
702:p+エミッタ層
705:pベース層
706:n+エミッタ層
707:カソード電極
Claims (8)
- 一つ以上のセルを並列接続して内蔵した活性領域とターミネーション領域とから構成され、ターミネーション領域が活性領域に接してその周囲を取り囲んでいる構成をもつ一対の主表面を有する半導体素子であり、
両領域は主表面間に両領域の表面が主表面を構成するように設けられ、且つ半導体装置を横断する共通の第1の導電型の第1半導体層を有しており、活性領域の各セルは各々の他方の主表面への露出面に第1の主電極が設けられ且つ各々の一方の主表面への露出面に第2の主電極が設けられている半導体素子において、
ターミネーション領域の一方の主表面には、少なくとも第1の導電型の第1半導体層内に設けられた第1のターミネーションと第1の導電型の第5半導体層とが活性領域側から順次露出しており、その間には第1の導電型の第1半導体層が露出しており、且つこれらの露出面は第1のパッシベーション膜で被覆されており、更に第1のターミネーションは第2の主電極と電気的に接続されており、
ターミネーション領域の他方の主表面には、活性領域の周囲を取り囲む第1の凹部が、底面が前記第1の導電型の第1半導体層内に含まれるように設けられ、第1の凹部の底面には第2のターミネーションが露出して設けられ且つ第1の主電極と電気的に接続されており、
第1の凹部をはさんで活性領域と反対側の他方の主表面には、第1の導電型の第1半導体層と接する第10の半導体層が他方の主表面に露出して設けられており、第1の主電極と接する部分以外の他方の主表面は全て第2のパッシベーション膜で被覆されていることを特徴とする半導体素子。 - 前記の一方の主表面には、凸部が設けられており、凸部には少なくとも前記活性領域とターミネーション領域の第2の導電型の第3半導体層が設けられ、第2の導電型の第3半導体層の一部は凸部の表面と側面に露出しており、その厚さは凸部の高さより小さく、更に前記第1のパッシベーション膜は第2の導電型の第3半導体層の凸部側面への露出面も被覆しており、
前記の他方の主表面には、活性領域に接してその周囲を取り囲む第2の導電型の第4半導体層が前記第1の導電型の第1半導体層の他方の表面に接して設けられ、更に前記第1の凹部はこの第2の導電型の第4半導体層に接してその周囲を取り囲んで設けられ、第2の導電型の第4半導体層は厚さが第1の凹部の深さよりも小さく且つその側面が第1の凹部の斜面に露出しており、
前記の各セルは、他方の主表面に露出し且つ前記第1の導電型の第1半導体層と接する第2の導電型の第1半導体層と 前記第1の導電型の第1半導体層内に設けられ且つ一方の主表面に露出する第2の導電型の第2半導体層と、第2の導電型の第2半導体層内に設けられ且つ一方の主表面に露出する複数の第1の導電型の第2半導体層とを有し、
第2の導電型の第1半導体層の主表面露出面と第2の導電型の第4半導体層の表面で且つ第2のパッシベーション膜で被覆されていない部分には第1の主電極が設けられ、
複数の第1の導電型の第2半導体層の一方の主表面に露出する面の一部とその間の第2の導電型の第2半導体層の一方の主表面に露出する面には第2の主電極が設けられ、
第1の導電型の第2半導体層と第2の導電型の第2半導体層との第2の主電極が設けられていない主表面露出面および第1の導電型の第1半導体層の一方の主表面露出面にはゲート酸化膜が設けられ、その上にはゲート電極が設けられ、各セルの第1の主電極どうし、第の2主電極どうし、ゲート電極どうしは各々電気的に接続されており、
第2の導電型の第3半導体層は前記第1のターミネーションと第2の導電型の第5半導体層で連結され、セルの第2の導電型の第2半導体層とも電気的に接続されており、第2の導電型の第4半導体層は前記第2のターミネーションと第2の導電型の第6半導体層で連結され、第2の導電型の第1半導体層とも電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。 - 第1の凹部に接し且つ表面が第2のパッシベーション膜で被覆されている前記第10の半導体層は、第2の導電型を有しており、且つ形状が1段以上の複数段を有する凸状であり、接している第1の導電型の第1半導体層から1段目までの高さは第2の導電型の第1半導体層の厚さおよび第2の導電型の第4半導体層の厚さと等しく、第1の凹部の深さよりも小さく、
前記第10の半導体層と第1の導電型の第1半導体層との間に、第1の導電型の第1半導体層よりも高い不純物濃度を有する第1の導電型の第6半導体層が設けられていることを特徴とする請求項1および2に記載の半導体素子。 - 前記の凸部には、一方の主表面と第1の導電型の第1半導体層との間に第1の導電型の第3半導体層が側面が凸部の斜面に露出するように設けられており、且つ前記第2の導電型の第2半導体層と第2の導電型の第3半導体層を各々が一方の主表面に露出するように内蔵しており、更に第1の導電型の第1半導体層よりも高い不純物濃度を有しており、前記ゲート酸化膜はこの第1の導電型の第3半導体層と前記第2の導電型の第2半導体層の表面には少なくとも設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体素子。
- 第1の導電型の第1半導体層と第2の導電型の第1半導体層、第2の導電型の第4半導体層および第2の導電型の第10半導体層との間に、第1の導電型の第4半導体層が設けられており、その不純物濃度は第1の導電型の第1半導体層の不純物濃度よりも高く、第1の導電型の第6半導体層および第2の導電型の第1半導体層の不純物濃度よりも低いことを特徴とする請求項2または3または4に記載の半導体素子。
- 請求項1において、一方の主表面には、凸部が設けられており、凸部には少なくとも前記活性領域とターミネーション領域の第2の導電型の第3半導体層が設けられ、第2の導電型の第3半導体層の一部は凸部の表面と側面に露出しており、その厚さは凸部の厚さより小さく、更に前記第1のパッシベーション膜は第2の導電型の第3半導体層の凸部側面への露出面も被覆しており、
前記の他方の主表面には、活性領域に接してその周囲を取り囲む第2の導電型の第4半導体層が設けられ、更に前記第1の凹部はこの第2の導電型の第4半導体層に接してその側面が第1の凹部の斜面に露出するようにその周囲を取り囲んで設けられており、
前記の各セルは、他方の主表面に露出し且つ前記第1の導電型の第1半導体層と接する第2の導電型の第1半導体層と 前記第1の導電型の第1半導体層内に設けられ且つ一方の主表面に露出する第2の導電型の第2半導体層と、第2の導電型の第2半導体層内に設けられ且つ一方の主表面に露出する複数の第1の導電型の第2半導体層とを有し、第2の導電型の第1半導体層の主表面露出面と第2の導電型の第4半導体層の表面で且つ第2のパッシベーション膜で被覆されていない部分には第1の主電極が設けられ、複数の第1の導電型の第2半導体層の一方の主表面に露出する面の一部とその間の第2の導電型の第2半導体層の一方の主表面に露出する面には第2の主電極が設けられ、
第1の導電型の第2半導体層と第2の導電型の第2半導体層との第2の主電極が設けられていない主表面露出面および第1の導電型の第1半導体層の一方の主表面露出面にはゲート酸化膜が設けられ、その上にはゲート電極が設けられ、各セルの第1の主電極どうし、第の2主電極どうし、ゲート電極どうしは各々電気的に接続されており、
第2の導電型の第3半導体層はセルの第2の導電型の第2半導体層とも電気的に接続されており、第2の主電極と電気的に接続された電極が前記凸部の斜面と底面に第1のパッシベーション膜を介して、第2の導電型の第3半導体層から前記第1のターミネーションに至るように設けられており、
第2の導電型の第4半導体層は第2の導電型の第1半導体層とも電気的に接続されており、第1の主電極と電気的に接続された電極が前記第1の凹部の斜面と底面に第2のパッシベーション膜を介して、第2の導電型の第4半導体層から第2のターミネーションに至るように設けられており、
前記第1の導電型の第1半導体層と第2の導電型の第1半導体層および第2の導電型の第4半導体層との間に、第1の導電型の第1半導体層よりも高い不純物濃度を有する第1の導電型の第4半導体層を、その側面および第1の導電型の第1半導体層が第1の凹部の斜面に露出するように設け、
第1の導電型の第1半導体層と前記一方の主表面との間に、前記複数の第1の導電型の第2半導体層を内蔵した前記第2の導電型の第2半導体層および第2の導電型の第3半導体層を内蔵した第1の導電型の第3半導体層を、その側面が前記凸部の斜面に露出するように設け、その厚さを凸部の厚さよりも小さくし且つその不純物濃度を第1の導電型の第1半導体層よりも高くせしめたことを特徴とする半導体素子。 - 前記の活性領域内の各セルは、他方の主表面に露出し且つ第1の導電型の第1半導体層の他方の表面と接する第2の導電型の第7半導体層と第1の導電型の第1半導体層の一方の表面と接する第2の導電型の第8半導体層と、第2の導電型の第8半導体層の中央部で接している第1の導電型の第9半導体層を有し、
第2の導電型の第7半導体層の他方の主表面に露出する面には第4の主電極が設けられ、第1の導電型の第9半導体層の一方の主表面に露出する面には第5の主電極が設けられ、第2の導電型の第8半導体層の一方の主表面に露出する面には、両端にゲート電極が設けられ且つ第5の主電極とゲート電極の間に第3のパッシベーション膜が設けられており、
各セルの第4の主電極どうし、第5の主電極どうし、ゲート電極どうしは各々電気的に接続されており、
前記第2の導電型の第8半導体層は第1のターミネーションと第2の導電型の第5半導体層で連結され、第2の導電型の第7半導体層は第2のターミネーションと第2の導電型の第6半導体層で連結されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。 - 少なくとも、1個以上の請求項1から7に記載の半導体素子とパッケージとを含む半導体装置であり、
パッケージは半導体素子の前記第1の主電極および前記第2の主電極と半導体素子のゲート電極とに各々電気的に接続した第1の主配線および第2の主配線とゲート配線とを有しており、各配線は外部配線と接続するための第1の主端子および第2の主端子とゲート端子とを有しており、
第1の主配線において、少なくとも半導体素子の前記第1の主電極が接続する部分はメサ状に盛り上がっており、その表面のメサ状接続部は半導体素子の他方の主表面の前記第10の半導体層に対向する位置よりも内側に存在しており、
少なくとも半導体素子とその周辺部および各配線の一部はレジンで被覆されており、前記第1の主配線と半導体素子の端面間の絶縁破壊電圧が半導体素子の逆方向耐圧よりも高くなるように前記第1の主配線と半導体素子の端面間の最短距離を設定したことを特徴とする半導体装置。
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