JP3935343B2 - 絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ及びその製造方法 - Google Patents

絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、以下「IGBT」という。)及びその製造方法に関する。さらに詳細には、オン抵抗を低く保ちながらさらに高速スイッチング特性が改善されたIGBT及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
IGBTは、パワーMOSFETの高速スイッチング特性とバイポーラトランジスタの低いオン抵抗特性を併せもつパワートランジスタである。図20は、このIGBTのうち、いわゆるPN接合型のIGBTの部分断面図である。図20に示されるように、このIGBT810は、上部にMOSFET構造、下部にバイポーラトランジスタ構造を備えている。
【0003】
図20を参照しながらこのIGBTの構造及び動作を説明する。このIGBT810は、P+コレクタ層812上に、N+バッファ層814A及びN-ドリフト層814Bが形成されている(これらを総称して「Nベース層」814という。)。そして、このN-ドリフト層814Bの表面にはDSA(Double Diffusion Self Align)法により、その表面が露出するようにPウェル領域816が形成されている。さらに、このPウェル領域816中にはその表面が露出するようにN+エミッタ領域818が形成されている。そして、Pウェル領域816の表面にはSiO2などの薄いゲート絶縁膜822を介して、ポリシリコンなどからなるゲート電極824が形成されている。このゲート電極824は、Pウェル領域816をまたぎ、N+エミッタ領域818からN-ドリフト層814Bに達するように配置されている。このゲート電極824直下のPウェル領域表面をチャネル形成領域820という。N+エミッタ領域818とPウェル領域816とを表面で短絡するようにエミッタ電極828が形成され、このエミッタ電極828はエミッタ端子Eに接続されている。このエミッタ電極828はゲート電極824とは層間絶縁膜826で絶縁されている。ゲート電極824はゲート端子Gに接続されている。P+コレクタ層812の表面にはコレクタ電極830が形成され、このコレクタ電極830はコレクタ端子Cに接続されている。
【0004】
このIGBT810は、エミッタ電極Eに対してコレクタ端子Cに正電圧を印加した状態で、エミッタ端子Eに対してゲート端子Gに閾値以上の正電圧を印加することにより、ターンオンする。すなわち、ゲート端子Gに閾値以上の正電圧が印加されると、MOSFET同様に、Pウェル領域816のチャネル形成領域820の表面に反転チャネルが形成され、N+エミッタ領域818から反転チャネルを通ってN-ベース層814内に電子が流入する。すると、これに対応して、P+コレクタ層812からNベース層814内にホールの注入が起こり、P+コレクタ層812とN+バッファ層814A(N-ベース層814)のPN接合は順バイアス状態となり、N-ベース層814が伝導度変調を起こす。このため、IGBT810は、本来は高抵抗に設定されているN-ドリフト層814Bが伝導度変調により低抵抗化するため、高耐圧素子であってもオン抵抗が低くなっている。
【0005】
一方、このIGBT810は、エミッタ端子Eに対してゲート端子Gに印加される電圧を閾値以下の電圧とすることによりターンオフする。すなわち、ゲート端子Gに印加される電圧が閾値以下となると、チャネル形成領域820において反転チャネルは消滅し、N+エミッタ領域818からの電子の流入が止まる。しかし、N-ベース層814内には依然として電子が存在する。N-ベース層814内に蓄積したホールの大部分はPウェル領域816を通り、エミッタ電極826へ流入するが、一部はN-ベース層814内に存在する電子と再結合して消滅する。N-ベース層814内に蓄積したホールがすべて消滅した時点で素子は阻止状態となり、ターンオフが完了する。
【0006】
しかしながら、ホールは少数キャリアであるため、消滅させるのに時間がかかり、ターンオフ時間を短縮するのは容易ではない。すなわち、このPN接合型のIGBTは、ターンオン時には伝導度変調が起こるためオン電圧が低いという優れた特性を示す反面、ターンオフ時にはホールを消滅させるのに時間がかかるため、ターンオフ時間が長くなり高速スイッチング特性が劣るという欠点があるのである。
【0007】
ターンオフ時間を短縮化させる方法として、半導体基体に金などのライフタイムキラーをドープしたり、電子線や中性子を照射するなどして、キャリアのライフタイムを短くする方法が提案されている。しかしながら、これらの方法は、ターンオン時の伝導度変調の度合を大きく低下させたり、導通時の電圧降下が大きくなったり、高温時にライフタイムが長くなったりして好ましくない。
【0008】
そこで、IGBTのもつ上述した欠点を解消するために、上述したPN接合型のIGBTとは異なる構造をもつ、いわゆるショットキー接合型のIGBTが提案されている(特開昭61−150280号)。図21はこのショットキー接合型のIGBTの部分断面図である。図21に示されるように、このショットキー接合型のIGBT910もPN接合型のIGBT810と同様に、上部にMOSFET構造、下部にバイポーラトランジスタ構造を備えている。
【0009】
図22は、ショットキー接合型のIGBT910の一方の表面(以下、「素子面」ということもある。)の構造を示す図である。図22に示されるように、このIGBT910の素子面には、能動領域ARと、この能動領域を取り囲むように配置された固定電位拡散領域DRと、チップ周囲に形成され、やはり能動領域を取り囲むように配置されたガードリング領域GRと、外部との接続に用いられるゲートパッド領域GPとが形成されている。
【0010】
図23及び図24は、図22の能動領域ARにおけるC部分の部分拡大図である。図23では島状に形成された多数のIGBTのユニットセル(ウェル領域916及びソース領域918)が縦横に多数配列した例が示されており、図24ではストライプ状に形成された多数のIGBTのユニットセル(ウェル領域916及びソース領域918)が横方向に多数配列した例子が示されている。なお、図23及び図24においては、ゲート電極などの他の表面構造は省略してある。
【0011】
図21を参照しながらショットキー接合型のIGBTの構造及び動作を説明する。ショットキー接合型のIGBT910は、N-層914の表面にDSA法により、その表面が露出するようにPウェル領域916が形成されている。さらに、このPウェル領域916中にはその表面が露出するようにN+ソース領域(N+エミッタ領域ということもある。)918が形成されている。そして、Pウェル領域916の表面にはSiO2などの薄いゲート絶縁膜922を介して、ポリシリコンなどからなるゲート電極924が形成されている。このゲート電極924は、Pウェル領域916をまたぎ、N+ソース領域918からN-層914に達するように配置されている。このゲート電極924直下のPウェル領域表面をチャネル形成領域920という。N+ソース領域918とPウェル領域916とを表面で短絡するようにソース電極(エミッタ電極ということもある。)928が形成され、このソース電極928はソース端子Sに接続されている。このソース電極928はゲート電極924とは層間絶縁膜926で絶縁されている。ゲート電極924はゲート端子Gに接続されている。N-層914の他方の表面には、「N-層914と接触することによりショットキー接合を形成する金属」の膜からなるドレイン電極(コレクタ電極ということもある。)930が形成され、このドレイン電極930はドレイン端子Dに接続されている。
【0012】
このショットキー接合型のIGBT910の動作は、上述したPN接合型のIGBT810の動作と基本的に同じであるが、上述したPN接合型のIGBT810ではPN接合を介してホールが注入されているのに対して、このショットキー接合型のIGBT910では、ショットキー接合を介してホールが注入されるところが異なっている。このため、上述したPN接合型のIGBT810と比較してホール注入量が低レベルとなっており、ターンオフ時に残留しているホールを少なくすることができる。その結果、従来のPN接合型のIGBT810よりもさらにターンオフ時間が短縮され、高速スイッチングが特性が改善されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このショットキー接合型のIGBTにおいても、IGBTの応用製品のインバーター特性を向上させるため、さらなる高速スイッチング特性の改善が求められている。そこで、本発明の目的は、オン抵抗を低く保ちながらさらに高速スイッチング特性の改善されたIGBTを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタは、N-型の半導体基体の一方の表面に、この半導体基体の厚さ方向に流れる電流のスイッチングを行う絶縁ゲートトランジスタを有し、前記半導体基体の他方の表面に、前記絶縁ゲートトランジスタのオン時に前記半導体基体中にホールを注入して伝導度変調を起こさせるためのショットキー接合を有する絶縁ゲート型バイポーラトランジスタであって、
前記半導体基体の他方の表面には部分的に開口された絶縁膜が形成されるとともに、この絶縁膜の表面側にさらにドレイン電極が形成されることにより、前記絶縁膜が開口された領域において前記半導体基体と前記ドレイン電極とによるショットキー接合が形成されてなることを特徴とする。
【0015】
PN接合型のIGBTは、図20に示されるように、P+コレクタ層812とNベース層814とPウェル領域816とから構成されるPNPバイポーラトランジスタを有しているため、このPNPバイポーラトランジスタにおけるエミッタであるP+コレクタ層812からNベース層814中にホールが注入される。これに対して、ショットキー接合型のIGBTは、図21に示されるように、ドレイン電極930とN-型半導体基体914とPウェル領域916とから構成されるバイポーラトランジスタを有しているため、このバイポーラトランジスタのエミッタに相当するドレイン電極930からN-型半導体基体914中にホールが注入される。
【0016】
図1は、本発明のIGBTの部分断面図を示す図である。図1に示されるように、本発明のIGBT110は、いわゆるショットキー接合型のIGBTであるため、従来のショットキー接合型のIGBT910の場合と同様に、ドレイン電極130とN-型半導体基体114とPウェル領域116とから構成されるバイポーラトランジスタを有しているため、このバイポーラトランジスタのエミッタに相当するドレイン電極130からN-型半導体基体114中にホールが注入される。
【0017】
ここで、本発明のIGBT110が、従来のショットキー接合型のIGBTと異なるのは、半導体基体の他方の表面の構造である。すなわち、従来のショットキー接合型のIGBT910ではその他方の表面が全面に渡ってドレイン電極で覆われている構造を有しているのに対して、本発明のIGBT110ではその他方の表面には部分的に開口された絶縁膜が形成されるとともに、この絶縁膜の表面側にさらにドレイン電極が形成された構造を有している。
【0018】
このため、従来のショットキー接合型のIGBT910ではドレイン電極全面からホールが注入されるのに対して、本発明のIGBT110では絶縁膜が開口された領域からのみホールが注入されることになる。このため、本発明のIGBT110におけるバイポーラトランジスタは、従来のショットキー接合型のIGBT910におけるバイポーラトランジスタより小さいバイポーラトランジスタとなる。このため、本発明のIGBT110に従来のショットキー接合型のIGBT910の場合と同じだけのコレクタ電流ICを流した場合、電流密度が高くなる。すると、電流増幅率hFEが低くなるため、従来よりもテール電流が小さなものとなる。このため、ターンオフ時におけるホールの残存量が基準値以下になるまでの時間が短縮される結果、ターンオフ時間が短縮されることになる。一方、ターンオン時には、ショットキー接合からのホール注入によって伝導度変調が起こるので、オン抵抗は低く保たれている。このため、本発明のIGBTは、オン抵抗を低く保ちながら高速スイッチング特性が改善されている優れたIGBTとなる。
【0019】
(2)本発明の絶縁ゲートバイポーラトランジスタは、N-型の半導体基体の一方の表面に、この半導体基体の厚さ方向に流れる電流のスイッチングを行う多数の絶縁ゲートトランジスタが形成された能動領域を有し、前記半導体基体の他方の表面に、前記絶縁ゲートトランジスタのオン時に前記半導体基体中にホールを注入して伝導度変調を起こさせるためのショットキー接合を有する絶縁ゲート型バイポーラトランジスタであって、
前記半導体基体の他方の表面のうち少なくとも前記能動領域に対応する領域においては、部分的に開口された絶縁膜が形成されるとともに、この絶縁膜の表面側にさらにドレイン電極が形成されることにより、前記絶縁膜が開口された領域において前記半導体基体と前記ドレイン電極とによるショットキー接合が形成されてなることを特徴とする。
【0020】
本発明のIGBTは、少なくとも能動領域においては、部分的に開口された絶縁膜が形成されるとともに、この絶縁膜の表面側にさらにドレイン電極が形成されることにより、前記絶縁膜が開口された領域において半導体基体とドレイン電極とによるショットキー接合が形成されてなる。このため、本発明のIGBTは、少なくとも能動領域に対応する領域においては、上記(1)に記載のIGBTが有する効果と同様の効果を有する。
【0021】
(3)上記(1)又は(2)に記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタにおいては、前記半導体基体の他方の表面の外周部には、前記ドレイン電極の半導体基体側に、前記絶縁膜と同一工程で形成された第2の絶縁膜が形成されてなるとともに、前記ドレイン電極は前記外周部の外側端部にまで延在しないように構成されてなることが好ましい。
【0022】
このように構成すれば、ドレイン電極が外周部の外側端部にまで延在していないため、ウエハをダイシングしてチップ化する際に、ドレイン電極を構成する金属がチップ側面(ダイシング面)にまわり込んでしまうことを確実に防止することができる。その結果、極めてショットキー接合面のリークの少ないIGBTとなる。
さらに、第2の絶縁膜は絶縁膜と同一工程で形成できるため、プロセスを複雑にすることもない。
【0023】
(4)上記(3)に記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタにおいては、
前記第2の絶縁膜が形成された領域においては、前記半導体基体に、前記ドレイン電極と接触しないように、かつ、前記半導体基体の側面に露出するように、N+領域が形成されてなるとともに、
前記第2の絶縁膜が形成された領域においては、前記半導体基体に、前記ドレイン電極と接触しないように、かつ、前記半導体基体の側面に露出しないように、P領域が形成されてなることが好ましい。
【0024】
このように構成すれば、第2の絶縁膜が形成された領域においては、半導体基体に、半導体基体の側面に露出するように、N+領域が形成されてなることにより、半導体基体の表面の反転層がこのN+領域で止められるため、チャネル電流を低減することができる。
【0025】
また、このように構成すれば、第2の絶縁膜が形成された領域においては、半導体基体に、半導体基体の側面に露出しないように、P領域が形成されてなることにより、ショットキー接合の空乏層が広がってP領域まで到達し、さらにP領域の空乏層と一体となってP領域を覆うように広がるので、第2の絶縁膜端部における電界強度は弱められる。このため、誤ってソース端子とドレイン端子の間に逆極性の電圧を印加してしまったときにも耐圧を確保することができ素子の破壊を防止することができる。いわゆる逆接保護機能に優れたIGBTとなる。そのうえ、P領域とドレイン電極とは接触していないので、通常のPN接合型のIGBTを構成する部分がない。このため、ターンオフ時間が長くなることによるスイッチング損失の増大もない。
【0026】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタにおいては、前記半導体基体がシリコンからなり、前記ドレイン電極を構成する金属のうち少なくとも前記半導体基体と接触する部分が、白金、金、バナジウム、アルミニウム又はモリブデンであることが好ましい。
【0027】
このように構成すれば、N-型のシリコンからなる半導体基体とこれらの金属と接触することになるから確実にショットキー接合が形成される。
【0028】
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタにおいては、前記絶縁膜及び前記第2の絶縁膜として、無機絶縁膜又は有機絶縁膜を用いることができる。無機絶縁膜としては、絶縁性、化学的安定性、耐熱性などの観点から、SiO2膜やSi34膜などを好ましく用いることができ、有機絶縁膜としては同様の観点からポリイミドを好ましく用いることができる。これらのなかでも、ガスの放出の少ないSiO2膜を特に好ましく用いることができる。
【0029】
(7)本発明の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタは、上記(1)又は(2)に記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法であって、
(a)N-型の半導体基板を準備する半導体基板準備工程と、
(b)この半導体基板の一方の表面に絶縁ゲートトランジスタを形成する絶縁ゲートトランジスタ形成工程と、
(c)前記半導体基板の他方の表面側を表面加工することによって前記半導体基板を薄くして、N-型の半導体基体を形成する半導体基体形成工程と、
(d)前記半導体基体の他方の表面に、部分的に開口された絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
(e)前記半導体基体の他方の表面に、ドレイン電極を構成する金属膜を形成する金属膜形成工程と、を有することを特徴とする。
【0030】
このため、本発明のIGBTの製造方法は、通常のショットキー接合型のIGBTの製造工程における金属膜形成工程の前に、半導体基体の他方の表面に、部分的に開口された絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程を追加するだけの簡単な方法である。このように簡単な方法でありながら、オン抵抗を低く保ちながらさらにターンオフ時間を短縮して高速スイッチング特性の改善されたIGBTを製造することができる。
【0031】
(8)本発明の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法は、上記(3)に記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法であって、
(a)N-型の半導体基板を準備する半導体基板準備工程と、
(b)この半導体基板の一方の表面に絶縁ゲートトランジスタを形成する絶縁ゲートトランジスタ形成工程と、
(c)前記半導体基板の他方の表面側を表面加工することによって前記半導体基板を薄くして、N-型の半導体基体を形成する半導体基体形成工程と、
(d)前記半導体基体の他方の表面に、部分的に開口された絶縁膜と第2の絶縁膜とを形成する絶縁膜形成工程と、
(e)前記半導体基体の他方の表面に、ドレイン電極を構成する金属膜を形成する金属膜形成工程と、
(f)前記半導体基体の他方の表面の外周部において、前記ドレイン電極を構成する金属膜を除去する金属膜除去工程と、を有することを特徴とする。
【0032】
このため、本発明のIGBTの製造方法は、上記(7)に記載のIGBTの製造工程において、その絶縁膜形成工程で第2の絶縁膜も同時に形成するとともに、その金属膜形成工程の後に、半導体基体の他方の表面の外周部においてドレイン電極を構成する金属膜を除去する金属膜除去工程を追加するだけの簡単な方法である。このように簡単な方法でありながら、上記(7)に記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法が有しているの効果に加えて、以下の効果を有する。
【0033】
すなわち、ウエハをダイシングしてチップ化する際に、ドレイン電極を構成する金属がチップ側面(ダイシング面)にまわり込んでしまうことを確実に防止することができるため、極めてショットキー接合面のリークの少ないIGBTを製造することができる。
【0034】
(9)本発明の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法は、上記(4)に記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法であって、
(a)N-型の半導体基板を準備する半導体基板準備工程と、
(b)この半導体基板の一方の表面に絶縁ゲートトランジスタを形成する絶縁ゲートトランジスタ形成工程と、
(c)前記半導体基板の他方の表面側を表面加工することによって前記半導体基板を薄くして、N-型の半導体基体を形成する半導体基体形成工程と、
化学的安定性や耐熱性の観点から、
(d)前記半導体基体の他方の表面の所定位置にP領域を形成するP領域形成工程と、
(e)前記半導体基体の他方の表面の所定位置にN+領域を形成するN+領域形成工程と、
(f)前記半導体基体の他方の表面に、部分的に開口された絶縁膜と第2の絶縁膜とを形成する絶縁膜形成工程と、
(g)前記半導体基体の他方の表面に、ドレイン電極を構成する金属膜を形成する金属膜形成工程と、
(h)前記半導体基体の他方の表面の外周部において、前記ドレイン電極を構成する金属膜を除去する金属膜除去工程と、を有することを特徴とする。
【0035】
このため、本発明のIGBTの製造方法は、上記(8)に記載のIGBTの製造工程において、その絶縁膜形成工程の前に半導体基体の他方の表面の所定位置にP領域を形成するP領域形成工程と、半導体基体の他方の表面の所定位置にN+領域を形成するN+領域形成工程とを追加するだけの簡単な方法である。このように簡単な方法でありながら、上記(8)に記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法が有する効果に加えて、以下の効果を有する。
【0036】
すなわち、半導体基体に形成されたN+領域の作用により、半導体基体の表面の反転層がこのN+領域で止められるため、チャネル電流を低減することができる。また、半導体基体に形成されたP領域の作用により、誤ってソース端子とドレイン端子の間に逆極性の電圧を印加してしまったときにも耐圧を確保することができ素子の破壊を防止することができる。いわゆる逆接保護機能に優れたIGBTとなる。そのうえ、このP領域とドレイン電極とは接触していないので、通常のPN接合型のIGBTを構成する部分がない。このため、ターンオフ時間が長くなることによるスイッチング損失の増大もない。
【0037】
なお、上記(7)乃至(9)のいずれかに記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法においては、半導体基体形成工程における表面加工の方法としては、研削及び研磨、研削及びCMP、研削及びエッチング、並びにエッチングの方法などを好ましく用いることができる。
【0038】
また、上記(7)乃至(9)のいずれかに記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法においては、(a)〜(e)(又は(a)〜(f)若しくは(a)〜(h))の順序で工程を実施するのが好ましいが、必ずしもこの順序で工程を実施する必要はない。例えば、(b)の絶縁ゲートトランジスタ形成工程のうちの一工程(例:ソース電極形成工程)又は二工程以上を(c)工程以降に実施することもできる。また、(9)に記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法においては、(d)と(e)を入れ替えることもできる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0040】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るIGBTの部分断面図を示す図である。図1は、従来のIGBT910の断面図である図21に対応している。また、図2は、実施形態1に係るIGBT110の他方の表面(以下、「裏面」ということもある。)の構造を示す図である。また、図3は、図2におけるD部分の部分拡大図であって、実施形態1に係るIGBTの裏面の第1の構造例を示す部分拡大図である。図1、図2及び図3を参照しながら、実施形態1に係るIGBT110を説明する。
【0041】
図1に示されるように、実施形態1に係るIGBT110は、ショットキー接合型のIGBTであるため、基本的には、従来のショットキー接合型のIGBT910と場合と同様の構造を有している。このため、本発明のIGBT110は、ドレイン電極130とN-型半導体基体114とPウェル領域116とから構成されるバイポーラトランジスタを有しており、このバイポーラトランジスタのエミッタに相当するドレイン電極130からN-型半導体基体114中にホールが注入される。
【0042】
ここで、実施形態1に係るIGBT110が、従来のショットキー接合型のIGBT910と異なるのは、半導体基体114の他方の表面の構造である。すなわち、従来のショットキー接合型のIGBT910ではその他方の表面が全面に渡ってドレイン電極930で覆われている構造を有しているのに対して、実施形態1に係るIGBT110ではその他方の表面には部分的に開口された絶縁膜132が形成されるとともに、この絶縁膜132の表面側にさらにドレイン電極130が形成された構造を有している。
【0043】
実施形態1に係るIGBT110において、絶縁膜132は、能動領域全体に渡って形成されているが、拡大して見れば、図3に示されるように、島状に(互いに離散した状態で)形成されており、部分的に開口された絶縁膜となっている。
【0044】
このため、従来のショットキー接合型のIGBT910ではドレイン電極全面からホールが注入されるのに対して、実施形態1に係るIGBT110では絶縁膜132が開口された領域からのみホールが注入されることになる。このため、実施形態1に係るIGBT110におけるバイポーラトランジスタは、従来のショットキー接合型のIGBT910におけるバイポーラトランジスタと比較してより小さいバイポーラトランジスタとなる。このため、図4に示されるように、実施形態1に係るIGBT110に従来のショットキー接合型のIGBT910の場合と同じだけのコレクタ電流(例えば5A(アンペア))を流した場合、より電流密度が高くなるため、電流増幅率(hFE)が低くなる。このため、図5に示されるように、従来よりもテール電流が小さなものとなる。このため、ターンオフ時におけるホールの残存量が基準値以下になるまでの時間が短縮される結果、ターンオフ時間が短縮されることになる。一方、ターンオン時には、ショットキー接合からのホール注入によって伝導度変調が起こるので、オン抵抗は低く保たれている。このため、実施形態1に係るIGBTは、オン抵抗を低く保ちながら高速スイッチング特性が改善されている優れたIGBTとなる。
【0045】
図6及び図7は、実施形態1に係るIGBT110の製造工程を示す図である。図6及び図7を参照しながら、実施形態1に係るIGBTの製造方法を説明する。
【0046】
実施形態1に係るIGBT110の製造方法は、以下の工程(a)〜(e)を有している。
(a)半導体基板準備工程
まず、N-型の半導体基板108を準備する。
(b)絶縁ゲートトランジスタ形成工程
次に、DSA法などを用いて、半導体基板108の素子面の能動領域ARに絶縁ゲートトランジスタを形成する。
(c)半導体基体形成工程
次に、半導体基板108の裏面側を研削及び研磨することによって半導体基板を薄くしてN-型の半導体基体114を形成する。
(d)絶縁膜形成工程
次に、半導体基体108の裏面に、部分的に開口された絶縁膜132を形成する。
(e)金属膜形成工程
次に、半導体基体108の裏面に、白金、モリブデン、チタン、ニッケル、銀の薄膜を順次積層させてドレイン電極130を形成する。
【0047】
上記製造工程を経て、図1に示したような実施形態1に係るIGBT110が得られた。このように、この製造方法は、通常のショットキー接合型のIGBTの製造工程における金属膜形成工程の前に、半導体基体の裏面に、部分的に開口された絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程を追加するだけの簡単な方法である。このように簡単な方法でありながら、オン抵抗を低く保ちながらさらにターンオフ時間を短縮して高速スイッチング特性の改善されたIGBTを製造することができる。
【0048】
図8は、実施形態1に係るIGBT110の他方の表面の第2の構造例を示す部分拡大図である。図8中、破線は、第2の構造例に係るIGBT110の素子面におけるユニットセルを示している。図8に示されるように、この第2の構造例では、島状の絶縁膜が各ユニットセルの間に形成されている。
この第2の構造例に係るIGBTの特性を評価したところ、第1の構造例の場合と同様に、オン抵抗も低く、ターンオフ時間も短く、高速スイッチング特性も改善されていることがわかった。
【0049】
図9は、実施形態1に係るIGBT110の他方の表面の第3の構造例を示す部分拡大図である。図9中、破線は、第3の構造例に係るIGBT110の素子面におけるユニットセルを示している。図9に示されるように、この第3の構造例は第1の構造例とは逆のパターン構造を有していて、この構造例の絶縁膜では、開口部が島状に配置されるように、形成されている。
第3の構造例に係るIGBTの特性を評価したところ、第1の構造例や第2の構造例の場合と同様に、オン抵抗も低く、ターンオフ時間も短く、高速スイッチング特性も改善されていることがわかった。
【0050】
図10は、実施形態1に係るIGBT110の他方の表面の第4の構造例を示す図である。図9中、破線は、第4の構造例に係るIGBT110の素子面におけるユニットセルを示している。図9に示されるように、この第4の構造例では、ストライプ状の絶縁膜がストライプ状に形成された各ユニットセルに対応して互いに離隔して設けられている。
第4の構造例に係るIGBTの特性を評価したところ、第1の構造例〜第3の構造例の場合と同様に、オン抵抗も低く、ターンオフ時間も短く、高速スイッチング特性も改善されていることがわかった。
【0051】
(実施形態2)
図11は、本発明の実施形態2に係るIGBTの裏面構造を説明するための図であり、図12は、図11のA−A線における、実施形態2に係るIGBTの断面図である。図13は、図11のB−B線における、実施形態2に係るIGBTの断面図である。図11、図12及び図13を参照しながら、実施形態2に係るIGBT210を説明する。
【0052】
図11に示されるように、実施形態2のIGBT210は、N-型の半導体基体214の素子面に、能動領域ARと、この能動領域ARの両側に形成された固定電位拡散領域DRと、チップ周囲に配置されたガードリングGRと、中央部に配置されたゲートパッド領域GPが形成されており、従来のショットキー接合型のIGBT910と同じである。なお、図11においては、素子面上に形成されている構造も参考のために一部表されている。また、実施形態2に係るIGBT210は、裏面の能動領域に対応する領域には部分的に開口された絶縁膜132が形成されるとともに、この絶縁膜132の表面側にさらにドレイン電極130が形成された構造を有しており、この点については実施形態1に係るIGBT110と同じである。
【0053】
しかしながら、実施形態2に係るIGBT210は、半導体基体214の裏面の外周部には、ドレイン電極230の半導体基体側に、絶縁膜232と同一工程で形成された第2の絶縁膜233が形成されてなるとともに、ドレイン電極230は外周部の外側端部にまで延在しないように構成されてなることを特徴としている。このため、ウエハをダイシングしてチップ化する際に、ドレイン電極230を構成する金属がチップ側面260(ダイシング面)にまわり込んでしまうことを確実に防止することができる。その結果、極めてショットキー接合面のリークの少ないIGBTとなる。なお、実施形態2においては、第2の絶縁膜233は絶縁膜232と同一工程で形成できるため、プロセスを複雑にすることもない。
【0054】
このように、実施形態2に係るIGBT210は、実施形態1に係るIGBT110と同様に、オン抵抗を低く保ちながら高速スイッチング特性が改善されている優れたIGBTとなるはもちろん、極めてショットキー接合面のリークの少ないさらに優れたIGBTとなる。
【0055】
図14及び図15は、実施形態2に係るIGBT210の製造工程を示す図である。図14及び図15を参照しながら、実施形態2に係るIGBT210の製造方法を説明する。
【0056】
実施形態2に係るIGBT210の製造方法は、以下の工程(a)〜(f)を有している。
(a)半導体基板準備工程
まず、N-型の半導体基板208を準備する。
(b)絶縁ゲートトランジスタ形成工程
次に、DSA法などを用いて、半導体基板208の素子面の能動領域ARに絶縁ゲートトランジスタを形成する。
(c)半導体基体形成工程
次に、半導体基板208の裏面側を研削及び研磨することによって半導体基板を薄くしてN-型の半導体基体214を形成する。
(d)絶縁膜形成工程
次に、半導体基体214の裏面に、部分的に開口された絶縁膜232と第2の絶縁膜233とを形成する。
(e)金属膜形成工程
次に、半導体基体214の裏面に、ドレイン電極230を構成する金属膜を形成する。
(f)金属膜除去工程
次に、半導体基体214の裏面外周部において、ドレイン電極230を構成する金属膜を除去する。
【0057】
上記製造工程を経て、図12及び図13に示したような、実施形態2に係るIGBT110が得られた。このように、この製造方法は、実施形態1に係るIGBTの製造工程において、その絶縁膜形成工程で第2の絶縁膜233も同時に形成するとともに、その金属膜形成工程の後に、半導体基体214の裏面の外周部においてドレイン電極130を構成する金属膜を除去する金属膜除去工程を追加するだけの簡単な方法である。このように簡単な方法でありながら、実施形態1に係るIGBTの製造方法が有しているの効果に加えて、以下の効果を有する。
【0058】
すなわち、ウエハをダイシングしてチップ化する際に、ドレイン電極を構成する金属がチップ側面(ダイシング面)にまわり込んでしまうことを確実に防止することができるため、極めてショットキー接合面のリークの少ないIGBTを製造することができる。
【0059】
(実施形態3)
図16及び図17は、実施形態3に係るIGBTの断面図である。図16は、実施形態2に係るIGBT210の断面図である図12に対応する図であり、図17は、実施形態2に係るIGBT210の断面図である図13に対応する図である。図16及び図17を参照しながら、実施形態3に係るIGBT310を説明する。
【0060】
図16及び図17に示されるように、実施形態3に係るIGBT310は、実施形態2に係るIGBT210とよく似た構造を有している。すなわち、実施形態3に係るIGBT310は、裏面の能動領域に対応する領域には部分的に開口された絶縁膜332が形成されるとともに、この絶縁膜332の表面側にさらにドレイン電極330が形成された構造を有している。また、実施形態3に係るIGBT310は、半導体基体314の裏面の外周部には、ドレイン電極330の半導体基体側に、絶縁膜332と同一工程で形成された第2の絶縁膜333が形成されてなるとともに、ドレイン電極330は外周部の外側端部にまで延在しないように構成されてなることを特徴としている。
【0061】
しかしながら、実施形態3に係るIGBT310は、第2の絶縁膜333が形成された領域においては、半導体基体314に、ドレイン電極330と接触しないように、かつ、半導体基体314の側面360に露出するように、N+領域336が形成されている。
また、第2の絶縁膜333が形成された領域においては、半導体基体314に、ドレイン電極330と接触しないように、かつ、半導体基体314の側面360に露出しないように、P領域334が形成されている。
【0062】
このため、半導体基体314に形成されたN+領域336の作用により、半導体基体314の表面の反転層がこのN+領域336で止められるため、チャネル電流を低減することができる。
【0063】
また、半導体基体314に形成されたP領域334の作用により、ショットキー接合の空乏層が広がってP領域まで到達し、さらにP領域の空乏層と一体となってP領域を覆うように広がるので、第2の絶縁膜333の端部における電界強度は弱められる。このため、誤ってソース端子とドレイン端子の間に逆極性の電圧を印加してしまったときにも耐圧を確保することができ素子の破壊を防止することができる。いわゆる逆接保護機能に優れたIGBTとなる。そのうえ、P領域334とドレイン電極330とは接触していないので、通常のPN接合型のIGBTを構成する部分がない。このため、ターンオフ時間が長くなることによるスイッチング損失の増大もない。
【0064】
このように、実施形態3に係るIGBT310は、実施形態2に係るIGBT210と同様に、オン抵抗を低く保ちながらさらに高速スイッチング特性が改善された、極めてショットキー接合面のリークの少ない優れたIGBTであるのはもちろん、チャネル電流が低減された逆接保護機能に優れた、さらに優れたIGBTである。
【0065】
図18及び図19は、実施形態3に係るIGBT310の製造工程を示す図である。図18及び図19を参照しながら、実施形態3に係るIGBT310の製造方法を説明する。
【0066】
実施形態3に係るIGBT310の製造方法は、以下の工程(a)〜(h)を有している。
(a)半導体基板準備工程
まず、N-型の半導体基板308を準備する。
(b)絶縁ゲートトランジスタ形成工程
次に、DSA法などを用いて、半導体基板308の素子面の能動領域ARに絶縁ゲートトランジスタを形成する。
(c)半導体基体形成工程
次に、半導体基板308の裏面側を研削及び研磨することによって半導体基板を薄くしてN-型の半導体基体314を形成する。
(d)P領域形成工程
次に、半導体基体308の裏面の所定位置にP領域334を形成する。
(e)N+領域形成工程
次に、半導体基体308の裏面の所定位置にN+領域336を形成する。
(f)絶縁膜形成工程
次に、半導体基体314の裏面に、部分的に開口された絶縁膜332と第2の絶縁膜333とを形成する。
(g)金属膜形成工程
次に、半導体基体314の裏面に、ドレイン電極330を構成する金属膜を形成する。
(h)金属膜除去工程
次に、半導体基体314の裏面外周部において、ドレイン電極330を構成する金属膜を除去する。
【0067】
上記工程を経て、図16及び図17に示したような実施形態3に係るIGBT310が得られた。このように、この製造方法は、実施形態2に係るIGBTの製造工程おける絶縁膜形成工程の前に、半導体基体の裏面の所定位置にP領域を形成するP領域形成工程と、半導体基体の裏面の所定位置にN+領域を形成するN+領域形成工程とを追加するだけの簡単な方法である。このように簡単な方法でありながら、実施形態2に係るIGBTの製造方法が有する効果に加えて、以下の効果を有する。
【0068】
すなわち、半導体基体に形成されたN+領域の作用により、半導体基体の表面の反転層がこのN+領域で止められるため、チャネル電流を低減することができる。また、半導体基体に形成されたP領域の作用により、誤ってソース端子とドレイン端子の間に逆極性の電圧を印加してしまったときにも耐圧を確保することができ素子の破壊を防止することができる。いわゆる逆接保護機能に優れたIGBTとなる。そのうえ、このP領域とドレイン電極とは接触していないので、通常のPN接合型のIGBTを構成する部分がない。このため、ターンオフ時間が長くなることによるスイッチング損失の増大もない。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のIGBTは、半導体基体の他方の表面には部分的に開口された絶縁膜が形成されるとともに、この絶縁膜の表面側にさらにドレイン電極が形成されることにより、前記絶縁膜が開口された領域において半導体基体と前記ドレイン電極とによるショットキー接合が形成されてなるため、オン抵抗を低く保ちながらさらに高速スイッチング特性の改善された優れたIGBTとなっている。また、本発明のIGBTは、半導体基体の他方の表面のうち少なくとも能動領域においては、部分的に開口された絶縁膜が形成されるとともに、この絶縁膜の表面側にさらにドレイン電極が形成されることにより、前記絶縁膜が開口された領域において前記半導体基体と前記ドレイン電極とによるショットキー接合が形成されてなるため、オン抵抗を低く保ちながらさらに高速スイッチング特性の改善された優れたIGBTとなっている。さらにまた、本発明のIGBTの製造方法によれば、以上のように優れたIGBTを簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係るIGBTの断面図である。
【図2】実施形態1に係るIGBTの裏面構造を示す図である。
【図3】実施形態1に係るIGBTの裏面の第1の構造例を示す部分拡大図である。
【図4】実施形態1に係るIGBTの電流増幅率を示す図である。
【図5】実施形態1に係るIGBTのターンオフ時における電流波形図である。
【図6】実施形態1に係るIGBTの製造工程を示す図である。
【図7】実施形態1に係るIGBTの製造工程を示す図である。
【図8】実施形態1に係るIGBTの裏面の第2の構造例を示す部分拡大図である。
【図9】実施形態1に係るIGBTの裏面の第3の構造例を示す部分拡大図である。
【図10】実施形態1に係るIGBTの裏面の第4の構造例を示す部分拡大図である。
【図11】実施形態2に係るIGBTの裏面構造を説明するための図である。
【図12】実施形態2に係るIGBTの断面図である。
【図13】実施形態2に係るIGBTの断面図である。
【図14】実施形態2に係るIGBTの製造工程を示す図である。
【図15】実施形態2に係るIGBTの製造工程を示す図である。
【図16】実施形態3に係るIGBTの断面図である。
【図17】実施形態3に係るIGBTの断面図である。
【図18】実施形態3に係るIGBTの製造工程を示す図である。
【図19】実施形態3に係るIGBTの製造工程を示す図である。
【図20】従来のPN接合型のIGBTの部分断面図である。
【図21】従来のショットキー接合型のIGBTの部分断面図である。
【図22】従来のショットキー接合型のIGBTの素子面構造を示す図である。
【図23】図22のCの部分の部分拡大図である。
【図24】図22のCの部分の部分拡大図である。
【符号の説明】
108 N-型半導体基板
110、210、310 IGBT
114、214、314 N-基体
130、230、330 ドレイン電極
231、331 SiO2
132、232,332 SiO2
233、333 SiO2
334 P領域
336 N+領域
260、360 ダイシング面
AR 能動領域
GR ガードリング領域
GP ゲートパッド領域
DR 固定電位拡散領域

Claims (9)

  1. -型の半導体基体の一方の表面に、この半導体基体の厚さ方向に流れる電流のスイッチングを行う絶縁ゲートトランジスタを有し、前記半導体基体の他方の表面に、前記絶縁ゲートトランジスタのオン時に前記半導体基体中にホールを注入して伝導度変調を起こさせるためのショットキー接合を有する絶縁ゲート型バイポーラトランジスタであって、
    前記半導体基体の他方の表面には部分的に開口された絶縁膜が形成されるとともに、この絶縁膜の表面側にさらにドレイン電極が形成されることにより、前記絶縁膜が開口された領域において前記半導体基体と前記ドレイン電極とによるショットキー接合が形成されてなることを特徴とする絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ。
  2. -型の半導体基体の一方の表面に、この半導体基体の厚さ方向に流れる電流のスイッチングを行う多数の絶縁ゲートトランジスタが形成された能動領域を有し、前記半導体基体の他方の表面に、前記絶縁ゲートトランジスタのオン時に前記半導体基体中にホールを注入して伝導度変調を起こさせるためのショットキー接合を有する絶縁ゲート型バイポーラトランジスタであって、
    前記半導体基体の他方の表面のうち少なくとも前記能動領域に対応する領域においては、部分的に開口された絶縁膜が形成されるとともに、この絶縁膜の表面側にさらにドレイン電極が形成されることにより、前記絶縁膜が開口された領域において前記半導体基体と前記ドレイン電極とによるショットキー接合が形成されてなることを特徴とする絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ。
  3. 請求項1又は2に記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタにおいて、前記半導体基体の他方の表面の外周部には、前記ドレイン電極の半導体基体側に、前記絶縁膜と同一工程で形成された第2の絶縁膜が形成されてなるとともに、前記ドレイン電極は前記外周部の外側端部にまで延在しないように構成されてなることを特徴とする絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ。
  4. 請求項3に記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタにおいて、
    前記第2の絶縁膜が形成された領域においては、前記半導体基体に、前記ドレイン電極と接触しないように、かつ、前記半導体基体の側面に露出するように、N+領域が形成されてなるとともに、
    前記第2の絶縁膜が形成された領域においては、前記半導体基体に、前記ドレイン電極と接触しないように、かつ、前記半導体基体の側面に露出しないように、P領域が形成されてなることを特徴とする絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタにおいて、前記半導体基体がシリコンからなり、前記ドレイン電極を構成する金属のうち少なくとも前記半導体基体と接触する部分が、白金、金、バナジウム、アルミニウム又はモリブデンであることを特徴とする絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタにおいて、前記絶縁膜及び前記第2の絶縁膜が、無機絶縁膜又は有機絶縁膜であることを特徴とする絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ。
  7. 請求項1又は2に記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法であって、
    (a)N-型の半導体基板を準備する半導体基板準備工程と、
    (b)この半導体基板の一方の表面に絶縁ゲートトランジスタを形成する絶縁ゲートトランジスタ形成工程と、
    (c)前記半導体基板の他方の表面側を表面加工することによって前記半導体基板を薄くして、N-型の半導体基体を形成する半導体基体形成工程と、
    (d)前記半導体基体の他方の表面に、部分的に開口された絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
    (e)前記半導体基体の他方の表面に、ドレイン電極を構成する金属膜を形成する金属膜形成工程と、を有することを特徴とする絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法。
  8. 請求項3に記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法であって、
    (a)N-型の半導体基板を準備する半導体基板準備工程と、
    (b)この半導体基板の一方の表面に絶縁ゲートトランジスタを形成する絶縁ゲートトランジスタ形成工程と、
    (c)前記半導体基板の他方の表面側を表面加工することによって前記半導体基板を薄くして、N-型の半導体基体を形成する半導体基体形成工程と、
    (d)前記半導体基体の他方の表面に、部分的に開口された絶縁膜と第2の絶縁膜とを形成する絶縁膜形成工程と、
    (e)前記半導体基体の他方の表面に、ドレイン電極を構成する金属膜を形成する金属膜形成工程と、
    (f)前記半導体基体の他方の表面の外周部において、前記ドレイン電極を構成する金属膜を除去する金属膜除去工程と、を有することを特徴とする絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法。
  9. 請求項4に記載の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法であって、
    (a)N-型の半導体基板を準備する半導体基板準備工程と、
    (b)この半導体基板の一方の表面に絶縁ゲートトランジスタを形成する絶縁ゲートトランジスタ形成工程と、
    (c)前記半導体基板の他方の表面側を表面加工することによって前記半導体基板を薄くして、N-型の半導体基体を形成する半導体基体形成工程と、
    (d)前記半導体基体の他方の表面の所定位置にP領域を形成するP領域形成工程と、
    (e)前記半導体基体の他方の表面の所定位置にN+領域を形成するN+領域形成工程と、
    (f)前記半導体基体の他方の表面に、部分的に開口された絶縁膜と第2の絶縁膜とを形成する絶縁膜形成工程と、
    (g)前記半導体基体の他方の表面に、ドレイン電極を構成する金属膜を形成する金属膜形成工程と、
    (h)前記半導体基体の他方の表面の外周部において、前記ドレイン電極を構成する金属膜を除去する金属膜除去工程と、を有することを特徴とする絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの製造方法。
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