従来、病院などでは、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病室内の患者の近辺(例えば、ベッド上など)に設置されたナースコール子機および医療従事者の居る部屋(例えば、スタッフルームなど)に設置されたナースコール親機を有線や無線などにより接続して構成されている。また、ナースコール子機およびナースコール親機は、廊下灯や制御機などを介して接続されている。さらに、医療従事者が携行している複数の携帯通信端末(例えば、PHS(Personal Handyphone System)やコードレス電話など)は、無線を介してナースコール親機に接続されている。そして、患者によりナースコール子機が操作されると、ナースコール親機や携帯通信端末は、自装置に設けられた報知部を動作させて、スピーカから呼び出し音を出力させたり、表示ディスプレイなどに呼び出し表示を行わせたりして、呼び出しを報知している。医療従事者は、呼び出し音を聞いたり、呼び出し表示を見たりして、患者からの呼び出しを把握する。呼び出しを把握した医療従事者は、ナースコール親機に設けられた受話器や携帯通信端末により呼び出しに応答することができる。
ところで、患者は、ナースコール子機をベッド上から落としてしまうことがある。患者によっては、自由に体を動かすことができず、ナースコール子機を自力で拾い上げることができないケースがあった。このような患者は、落としてしまったナースコール子機を誰かに拾ってもらう必要があるため、誰かを呼ぶ必要があった。
ところで、管理対象物品が監視距離から離れたことを知らせるための紛失予防システムが知られている(例えば、特許文献1など)。特許文献1に記載の紛失予防システムでは、財布などの所持品に非接触IC(Integrated Circuit)タグを取り付け、非接触ICタグが一定距離内にある場合に、非接触ICタグを読み取る非接触ICリーダライタを携帯情報端末機器に内蔵し、その携帯情報端末機器が所持品から一定距離以上離れた場合に、携帯情報端末機器が警告音により警報を発生するようにしている。これにより、警告音を聞いた所持品の所有者は、所持品を置き忘れていることを把握することができる。
この特許文献1に記載の紛失予防システムをナースコールシステムに適用し、ベッドサイドの壁面に設置されているウォールユニットに非接触ICリーダライタを内蔵してナースコール子機に非接触ICタグを内蔵すると、ナースコール子機がウォールユニットから一定距離以上離れた場合に、ナースコール子機がベッド上から落ちてしまったことを医療従事者に対して報知することができる。
ところで、ナースコール子機は、必ずしもベッド近傍に設置されているとは限らない。例えば、ナースコール親機との間で無線を介して接続されている無線式のナースコール子機は、ベッド近傍にて使用されるだけでなく、患者により病室から持ち出されて病室以外の場所で使用されることがある。ここで、ベッド上から落ちたナースコール子機を自力で拾い上げることができない患者が無線式のナースコール子機を病室以外の場所で使用するケースとしては、無線式のナースコール子機を持った患者が付添人などにより病室から連れ出されるような場合が考えられる。
また、特許文献1に記載の紛失予防システムを適用したナースコールシステムを無線式にした場合に、ウォールユニットと無線式のナースコール子機とが一定距離以上離れたときに、ナースコール親機は、呼び出しを報知することになる。しかしながら、無線式のナースコール子機を使用した場合、ナースコール子機がベッド上から落ちたときだけでなく、患者とともにナースコール子機が病室から離れたときにも、ナースコール親機が呼び出しを報知してしまう。これにより、特許文献1に記載の紛失予防システムを適用したナースコールシステムを無線式にした場合、患者とともにナースコール子機が病室から離れたときでも、ナースコール子機がベッドから落ちたという誤報が行われてしまうという問題があった。
ところで、特許文献1に記載の紛失予防システムを適用したナースコールシステムを無線式にし、ベッドサイドの壁面に設置されているウォールユニットに非接触ICリーダライタを内蔵して非接触ICタグを患者に携行させると、患者がウォールユニットから一定距離以上離れた場合に、患者がベッドから離れたことを医療従事者に対して報知することができる。しかしながら、このケースでは、無線式のナースコール子機に非接触ICタグが内蔵されていないので、ウォールユニットと無線式のナースコール子機とが一定距離以上離れた場合でも呼び出しが報知されないという問題があった。
また、特許文献1に記載の紛失予防システムを適用したナースコールシステムを無線式にし、無線式のナースコール子機に非接触ICリーダライタを内蔵して非接触ICタグを患者に携行させると、患者が無線式のナースコール子機から一定距離以上離れている場合に、無線式のナースコール子機が患者の手元から離れていることを医療従事者に対して報知することができる。しかしながら、このケースでは、無線式のナースコール子機がベッドに居る患者の手元から離れた場合でも、ベッドから離れた患者が無線式のナースコール子機を置き忘れた場合でも同様の報知が行われてしまうため、呼び出しが報知されても、医療従事者は、報知の理由を把握することができないという問題があった。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図を図1に示す。同図に示すように、本実施形態によるナースコールシステムは、患者用バンド1(特許請求の範囲の無線機に該当する)、ナースコール子機2(特許請求の範囲の無線式のナースコール子機に該当する)、ウォールユニット3、受信機4、ナースコール親機10(特許請求の範囲の制御装置に該当する)を備えて構成されている。
また、ナースコール親機10は、制御部11、インターフェース(以下、I/Fとする)部12、判定部(特許請求の範囲の判定装置に該当する)13、報知部(特許請求の範囲の報知装置に該当する)14を備えて構成されている。
図1において、患者用バンド1は、病院内に居る各患者の移動を検出させるためのものであり、各患者の腕などに装着されている。ここで、患者用バンド1は、患者用ICタグ1aを取り付けて構成されている。また、患者用ICタグ1aは、患者用ICタグ1aとウォールユニット3に設けた非接触ICリーダライタ3a(特許請求の範囲の読取装置に該当する)とが無線通信可能となる距離に近づいた際に無線を介して非接触ICリーダライタ3aに接続される。ここで、患者用ICタグ1aと非接触ICリーダライタ3aとが無線通信可能となる距離は、少なくとも患者がベッドに居る場合に患者用ICタグ1aと非接触ICリーダライタ3aとが無線通信を確実に行うことができる距離であることが好ましい。また、患者用ICタグ1aには、患者用バンド1を携行している患者を識別するための患者情報(例えば、患者番号など)が予め記憶されている。なお、本実施形態では、患者用ICタグ1aは、患者用バンド1に取り付けられているが、これに限定されない。例えば、患者用ICタグ1aは、患者が着る衣服などに取り付けられるようにしても良い。要は、患者用ICタグ1aは、患者により常に携行されている状態であれば良い。
ナースコール子機2は、患者用バンド1を装着している各患者により携行されている無線式のナースコール子機であり、患者が呼出ボタンなどの呼出操作部(図示せず)を操作することにより、医療従事者に対して呼び出しを行うための呼出信号を無線で送信する。ここで、呼出信号は、ナースコール子機2を識別するための子機識別情報(例えば、子機番号など)を含む。
また、ナースコール子機2は、子機用ICタグ2aを備えて構成されている。子機用ICタグ2aは、子機用ICタグ2aとウォールユニット3に設けた非接触ICリーダライタ3aとが無線通信可能となる距離に近づいた際に無線を介して非接触ICリーダライタ3aに接続される。ここで、子機用ICタグ2aと非接触ICリーダライタ3aとが無線通信可能となる距離は、少なくともナースコール子機2がベッドの上に置かれた場合に子機用ICタグ2aと非接触ICリーダライタ3aとが無線通信を確実に行うことができる距離であることが好ましい。また、子機用ICタグ2aには、子機識別情報が予め記憶されている。
ウォールユニット3は、患者の移動およびナースコール子機2の移動を検出するためのものであり、各ベッドの近傍の壁面に設置されている。ここで、ウォールユニット3は、伝送線を介してナースコール親機10に接続されている。また、ウォールユニット3は、非接触ICリーダライタ3aを備えて構成されている。非接触ICリーダライタ3aは、患者用ICタグ1aとの間で所定のタイミングで定期的に通信を試みる。具体的には、非接触ICリーダライタ3aは、患者用ICタグ1aが読み取り可能な距離に近づいた場合に、患者用ICタグ1aを接続して患者用ICタグ1aに記憶されている患者情報を読み取る。そして、ウォールユニット3は、非接触ICリーダライタ3aが読み取った患者情報をナースコール親機10へ出力する。従って、患者がベッドに居る状態では、非接触ICリーダライタ3aは、患者が携行している患者用ICタグ1aと通信して患者情報を読み取り続ける。
また、非接触ICリーダライタ3aは、子機用ICタグ2aとの間で所定のタイミングで定期的に通信を試みる。具体的には、非接触ICリーダライタ3aは、子機用ICタグ2aが読み取り可能な距離に近づいた場合に、子機用ICタグ2aを接続して子機用ICタグ2aに記憶されている子機識別情報を読み取る。そして、ウォールユニット3は、非接触ICリーダライタ3aが読み取った子機識別情報をナースコール親機10へ出力する。従って、ナースコール子機2がベッドの上に置かれている状態では、非接触ICリーダライタ3aは、子機用ICタグ2aと通信して子機識別情報を読み取り続ける。ここで、ウォールユニット3には、各ウォールユニット3に対応するベッドを識別するための病床識別情報(例えば、病床番号など)が割り振られており、図示しない記憶部に記憶されている。また、ウォールユニット3は、患者情報や子機識別情報をナースコール親機10へ出力する際に、各情報とともに病床識別情報を出力する。
受信機4は、ナースコール子機2から送信された呼出信号を受信するためのものである。ナースコール子機2から呼出信号が送信された場合に、受信機4は、その呼出信号を受信してナースコール親機10へ出力する。ここで、受信機4は、病院内のどの場所からでもナースコール子機2からの呼出信号を受信することができるように必要に応じて複数設置されている。また、受信機4には、自装置を識別するための受信機識別情報(例えば、受信機番号など)が割り振られている。また、受信機4は、受信した呼出信号にとともに自装置の受信機識別情報をナースコール親機10へ出力する。
ナースコール親機10は、医療従事者の居る部屋(例えば、スタッフルームなど)に設置されており、患者からの呼び出しに応答するためのものである。ここで、ナースコール親機10は、ナースコール子機2から送信された呼出信号を受信機4を介して入力すると、報知部14により呼び出しを報知する。報知部14により呼び出しが報知されている状態で、医療従事者がナースコール親機10に備えた図示しないハンドセットをオフフックするなどして患者からの呼び出しに応答すると、ナースコール親機10は、報知部14の動作を停止する。そして、ナースコール親機10は、ナースコール子機2との間で無線を介して通話路を形成する。また、ナースコール親機10には、複数のナースコール子機2が受信機4を介して接続されている。また、ナースコール親機10とウォールユニット3との間には、図示しない廊下灯が設置されている。ここで、廊下灯は、自装置に設けた表示灯を点灯または点滅させて、後述の報知を行う。また、ナースコール親機10には、図示しない制御機が接続されている。制御機は、ナースコール子機2とナースコール親機10との間の通信やウォールユニット3とナースコール親機10との間の通信に関する制御を行う。
制御部11は、ナースコール親機10の各構成要素を後述するように制御する。I/F部12は、ナースコール親機10がウォールユニット3との間で通信するために図示しないウォールユニット用I/F部に接続されている。また、I/F部12は、ナースコール親機10が受信機4との間で通信するために、図示しない受信機用I/F部に接続されている。また、I/F部12は、ウォールユニット3から出力された患者情報、子機識別情報および病床識別情報を入力する。また、I/F部12は、受信機4から出力された呼出信号および受信機識別情報を入力する。
判定部13は、I/F部12がウォールユニット3から出力された患者情報および病床識別情報のみを入力したか否か(換言すると、非接触ICリーダライタ3aが患者情報のみを読み取ったか否か)を判定するとともに、I/F部12がウォールユニット3から出力された子機識別情報および病床識別情報のみを入力したか否か(換言すると、非接触ICリーダライタ3aが子機識別情報のみを読み取ったか否か)を判定する。I/F部12がウォールユニット3から出力された患者情報および病床識別情報のみを入力した(換言すると、非接触ICリーダライタ3aが患者情報のみを読み取った)と判定部13にて判定した場合に、制御部11は、ベッド上からナースコール子機2が離れていると判断して報知部14を動作させる。
また、I/F部12がウォールユニット3から出力された子機識別情報および病床識別情報のみを入力した(換言すると、非接触ICリーダライタ3aが子機識別情報のみを読み取った)と判定部13にて判定した場合に、制御部11は、ベッドから離れた患者がナースコール子機2を置き忘れていると判断して報知部14を動作させる。
また、I/F部12がウォールユニット3からの患者情報および病床識別情報と子機識別情報および病床識別情報とを両方とも入力していない(換言すると、非接触ICリーダライタ3aが患者情報と子機識別情報とを両方とも読み取っていない)と判定部13にて判定した場合に、制御部11は、患者がナースコール子機2を携行してベッドから離れたと判断して報知部14を動作させない。
また、I/F部12がウォールユニット3からの患者情報および病床識別情報と子機識別情報および病床識別情報とを両方とも入力した(換言すると、非接触ICリーダライタ3aが患者情報と子機識別情報とを両方とも読み取った)と判定部13にて判定した場合に、制御部11は、患者がベッドに居り、ナースコール子機2がベッド上の所定の位置に置かれていると判断して報知部14を動作させない。
図2は、本実施形態の患者用バンド1、ナースコール子機2およびウォールユニット3の配置例を示す図である。同図(a)は、患者用バンド1を装着した患者がベッドに居り、ナースコール子機2がベッド上の所定の位置(例えば、患者がナースコール子機2を操作しやすい位置など)に置かれている状態を示すものである。また、壁面には、ウォールユニット3が設置されている。ここで、患者用バンド1に取り付けられている患者用ICタグ1aとウォールユニット3に設けられている非接触ICリーダライタ3aとが無線通信可能となる距離の範囲Aは、少なくとも患者がベッド近傍に居る場合に患者用ICタグ1aと非接触ICリーダライタ3aとが無線通信を確実に行うことができる範囲である。また、患者用ICタグ1aと非接触ICリーダライタ3aとが無線通信を確実に行うことができる距離の最大値は距離d1である。また、ナースコール子機2に内蔵されている子機用ICタグ2aとウォールユニット3に設けられている非接触ICリーダライタ3aとが無線通信可能となる距離の範囲Bは、少なくともナースコール子機2がベッドの上に置かれている状態で子機用ICタグ2aと非接触ICリーダライタ3aとが無線通信を確実に行うことができる範囲である。また、子機用ICタグ2aと非接触ICリーダライタ3aとが無線通信を確実に行うことができる距離の最大値は距離d2である。
図2(a)に示すように、患者に装着された患者用バンド1は範囲Aの中に存在している。そのため、患者用バンド1とウォールユニット3との距離d1’が距離d1以下であるので、非接触ICリーダライタ3aは、患者用ICタグ1aと無線通信を確実に行うことができる。また、同図(a)に示すように、ナースコール子機2は範囲Bの中に存在している。そのため、ナースコール子機2とウォールユニット3との距離d2’が距離d2以下であるので、非接触ICリーダライタ3aは、子機用ICタグ2aと無線通信を確実に行うことができる。
図2(b)は、患者用バンド1を装着した患者がベッドに居るものの、ナースコール子機2がベッド上の所定の位置に置かれていない状態(例えば、ナースコール子機2がベッドの下に落ちている状態など)を示すものである。同図(b)に示すように、患者に装着された患者用バンド1は範囲Aの中に存在している。そのため、患者用バンド1とウォールユニット3との距離d1’が距離d1以下であるので、非接触ICリーダライタ3aは、患者用ICタグ1aと無線通信を確実に行うことができる。また、同図(b)に示すように、ナースコール子機2は範囲Bの中に存在していない。そのため、ナースコール子機2とウォールユニット3との距離d2’が距離d2よりも長いので、非接触ICリーダライタ3aは、子機用ICタグ2aと無線通信を行うことができない。
図2(c)は、ナースコール子機2がベッド付近に置かれているものの、患者用バンド1を装着した患者がベッドを離れている状態を示すものである。同図(c)に示すように、患者に装着された患者用バンド1は範囲Aの中に存在していない。そのため、非接触ICリーダライタ3aは、患者用ICタグ1aと無線通信を行うことができない。また、同図(c)に示すように、ナースコール子機2は範囲Bの中に存在している。そのため、ナースコール子機2とウォールユニット3との距離d2’が距離d2以下であるので、非接触ICリーダライタ3aは、子機用ICタグ2aと無線通信を確実に行うことができる。
報知部14は、ナースコール子機2がベッド上から離れていることを報知したり、患者がナースコール子機2を携行せずにベッドを離れたことを報知したり、患者が呼び出しを行ったことを報知したりするためのものである。また、報知部14は、スピーカや表示ディスプレイ、表示灯などにより構成されており、スピーカから呼び出し音や音声を出力させたり、表示ディスプレイに呼び出し表示を行わせたり、表示灯を点灯または点滅させたりして報知を行う。
I/F部12がウォールユニット3から出力された患者情報および病床識別情報のみを入力したと判定部13にて判定した場合に、制御部11は、入力した病床識別情報により報知の対象となっている病床を特定することができるように、報知部14を動作させる。また、I/F部12がウォールユニット3から出力された子機識別情報および病床識別情報のみを入力したと判定部13にて判定した場合に、制御部11は、入力した病床識別情報により報知の対象となっている病床を特定することができるように、報知部14を動作させる。
また、I/F部12が受信機4から出力された呼出信号および受信機識別情報を入力したと制御部11にて判断した場合に、制御部11は、入力した呼出信号に含まれる子機識別情報を取得し、図示しない患者情報記憶部を参照して、入力した受信機識別情報と取得した子機識別情報とから、呼び出しを行った患者と呼び出しが行われた場所とを特定する。そして、制御部11は、呼び出しを行った患者と呼び出しが行われた場所とが明確になるように、報知部14を動作させる。ここで、患者情報記憶部には、子機識別情報および子機識別情報により特定されるナースコール子機2を使用している患者の氏名を示す患者氏名情報と、受信機識別情報および受信機識別情報により特定される受信機4が設置されている場所を示す場所情報とがそれぞれ関連付けて記憶されている。
ここで、ナースコール子機2がベッド上から離れたことを報知する場合に、報知部14は、第一のパターンで呼び出しを報知する。また、ベッドから離れた患者がナースコール子機2を置き忘れたことを報知する場合に、報知部14は、第二のパターンで呼び出しを報知する。また、患者が呼び出しを行ったことを報知する場合に、報知部14は、第三のパターンで呼び出しを報知する。また、報知部14は、異なる呼び出し音や音声を出力したり、異なる呼び出し表示を行ったり、異なる点灯または点滅をしたりして、第一のパターン、第二のパターンおよび第三のパターンを区別させて報知している。これにより、医療従事者などは、それぞれのパターンに区別された報知を確認するだけで、どのような理由により報知部14が呼び出しを報知しているかを容易に把握することができる。
報知部14が呼び出しを報知している際に、制御部11は、医療従事者などにより報知の確認が行われたか否かを判定する。医療従事者などにより報知の確認が行われた場合に、制御部11は、報知部14を制御して報知を停止させる。ここで、報知の確認とは、例えば、医療従事者などが落ちているナースコール子機2をベッド上の所定の位置に戻したり、ベッドから離れている患者の居る場所へナースコール子機2を持って行って渡したり、報知を停止させる操作を行ったりすることを示す。また、報知部14は、医療従事者などにより報知の確認が行われるまで継続して呼び出しを報知する。
次に、本実施形態によるナースコールシステムの動作を説明する。図3は、本実施形態によるナースコールシステムの動作を示すフローチャートである。まず、判定部13は、I/F部12がウォールユニット3から出力された患者情報および病床識別情報と子機識別情報および病床識別情報とを両方とも入力したか否かを判定する(ステップS1)。I/F部12がウォールユニット3から出力された患者情報および病床識別情報と子機識別情報および病床識別情報とを両方とも入力したと判定部13にて判定した場合には(ステップS1にてYES)、ステップS1の処理を繰り返す。一方、I/F部12がウォールユニット3から出力された患者情報および病床識別情報と子機識別情報および病床識別情報とを両方とも入力していないと判定部13にて判定した場合には(ステップS1にてNO)、判定部13は、I/F部12がウォールユニット3から出力された患者情報および病床識別情報のみを入力したか否かを判定する(ステップS2)。I/F部12がウォールユニット3から出力された患者情報および病床識別情報のみを入力したと判定部13にて判定した場合には(ステップS2にてYES)、制御部11は、報知部14を動作させて、第一のパターンで呼び出しを報知し(ステップS3)、ステップS8の処理へ移行する。
一方、I/F部12がウォールユニット3から出力された患者情報および病床識別情報のみを入力したものではないと判定部13にて判定した場合には(ステップS2にてNO)、判定部13は、I/F部12がウォールユニット3から出力された子機識別情報および病床識別情報のみを入力したか否かを判定する(ステップS4)。I/F部12がウォールユニット3から出力された子機識別情報および病床識別情報のみを入力したと判定部13にて判定した場合には(ステップS4にてYES)、制御部11は、報知部14を動作させて、第二のパターンで呼び出しを報知し(ステップS5)、ステップS8の処理へ移行する。
一方、I/F部12がウォールユニット3から出力された子機識別情報および病床識別情報のみを入力したものではないと判定部13にて判定した場合には(ステップS4にてNO)、制御部11は、I/F部12が受信機4から出力された呼出信号および受信機識別情報を入力したか否かを判定する(ステップS6)。I/F部12が受信機4から出力された呼出信号および受信機識別情報を入力していないと制御部11にて判定した場合には(ステップS6にてNO)、ステップS1の処理に戻る。一方、I/F部12が受信機4から出力された呼出信号および受信機識別情報を入力したと制御部11にて判定した場合には(ステップS6にてYES)、制御部11は、報知部14を動作させて、第三のパターンで呼び出しを報知し(ステップS7)、ステップS8の処理へ移行する。
ステップS8では、制御部11は、医療従事者などにより報知の確認が行われたか否かを判定する。医療従事者などにより報知の確認が行われていないと制御部11にて判定した場合には(ステップS8にてNO)、ステップS8の処理を繰り返す。一方、医療従事者などにより報知の確認が行われたと制御部11にて判定した場合には(ステップS8にてYES)、制御部11は、報知部13を制御して報知を停止し(ステップS9)、ステップS1の処理に戻る。
以上、詳しく説明したように、本実施形態のナースコールシステムでは、ナースコール子機2を携行する各患者に患者用バンド1を装着させ、患者用バンド1の患者用ICタグ1aに記憶されている患者情報とナースコール子機2の子機用ICタグ2aに記憶されている子機識別情報とを読み取る非接触ICリーダライタ3aを備えたウォールユニット3を患者のベッド付近に設置する。判定部13は、I/F部12がウォールユニット3から出力された患者情報および病床識別情報のみを入力したか否かを判定するとともに、I/F部12がウォールユニット3から出力された子機識別情報および病床識別情報のみを入力したか否かを判定する。I/F部12がウォールユニット3から出力された患者情報および病床識別情報のみを入力したと判定部13にて判定した場合に、報知部14は、ナースコール子機2がベッド上から離れていることを第一のパターンで報知するようにしている。また、I/F部12がウォールユニット3から出力された子機識別情報および病床識別情報のみを入力したと判定部13にて判定した場合に、報知部14は、ベッドから離れた患者がナースコール子機2を置き忘れたことを第二のパターンで報知するようにしている。これにより、ナースコール子機2がベッドから離れたこと、および、ベッドから離れた患者がナースコール子機2を置き忘れたことを明確に区別して報知することができる。従って、医療従事者などは、報知のパターンを判別するだけで容易に報知を区別することができる。また、ウォールユニット3の非接触ICリーダライタ3aが患者情報および子機識別情報の何れか一方のみを読み取った場合に報知が行われるので、I/F部12がウォールユニット3からの患者情報と子機識別情報とを両方とも入力していないと判定部13にて判断した場合に、報知部14は報知を行わない。これにより、患者とともにナースコール子機2が病室から離れた場合に、誤報が行われなくなる。
なお、前述した実施形態では、報知部14は、ナースコール親機10に設けられているが、これに限定されない。例えば、報知部14がウォールユニット3や図示しない廊下灯、医療従事者が携行している携帯通信端末などに設けられるようにしても良い。これにより、ナースコール親機10以外の場所でも呼び出しが報知されるので、スタッフルームに居る医療従事者以外の人(例えば、報知の対象となっている患者の付添人など)がナースコール子機2がベッドから離れたこと、および、ベッドから離れた患者がナースコール子機2を置き忘れたことを把握することができる。
また、前述した実施形態では、判定部13は、ナースコール親機10に設けられているが、これに限定されない。例えば、判定部13がウォールユニット3や図示しない廊下灯、図示しない制御機などに設けられるようにしても良い。
また、前述した実施形態では、報知部14が第一のパターンにより呼び出しを報知している場合に、制御部11は、医療従事者などにより報知の確認が行われたか否かを判定しているが、これに限定されない。例えば、報知部14が第一のパターンにより呼び出しを報知している場合に、制御部11は、ウォールユニット3から出力された患者情報および病床識別情報を入力しなくなったか否か(換言すると、ウォールユニット3が患者情報を読み取らなくなったか否か)という判定処理を判定部13にて実行させるようにしても良い。この場合、ナースコール子機2が手元から離れている状態の患者がベッドから離れたと判断し、制御部11は、報知部14による報知を停止させずに、継続させるようにする。これにより、ナースコール子機2を携行していない患者がベッドから離れたことが報知されるので、非接触ICリーダライタ3aが患者情報と子機識別情報とを両方とも読み取っていなくても呼び出しが報知されないということがなくなり、患者の安全を確保することができる。
また、前述した実施形態では、ナースコール子機2は、自装置に備えられている子機用ICタグ2aとウォールユニット3に備えられている非接触ICリーダライタ3aとが無線通信可能となる距離に近づいた際に無線を介して非接触ICリーダライタ3aに接続されているが、これに限定されない。例えば、ナースコール子機2は、近距離の無線通信のみを可能とする方式を用いてウォールユニット3に内蔵されている図示しない受信部と接続されるようにしても良い。これにより、ナースコール子機2は、子機用ICタグ2aを備える必要がなくなる。
その他、ナースコールシステムの構成、処理手順、内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の組み合わせにより種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除するようにしても良い。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせるようにしても良い。