JP5387544B2 - ナビゲーション装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載され、道路データを利用して所定のナビゲーション処理を実行するナビゲーション装置に関する。
車両の走行に伴ってGPS等により現在位置を検出し、その現在位置をディスプレイ上に道路地図と共に表示したり、現在位置から目的地までの適切な経路を設定し、案内として利用したりするナビゲーション装置が知られ、より円滑なドライブに寄与している。なお、走行案内に際しては、車両の走行中に、地図画像上に案内経路を他の道路とは色を変えて太く描画して画面表示したり、次に自車が進入する交差点の拡大図表示や案内音声出力を行ったりすることにより、利用者を目的地まで案内するようになっている。
そして、この経路設定に際しては、一般にダイクストラ法あるいはそれに準じた手法が用いられる。具体的には、ノード間のリンクに対するリンク情報を用いて現在地から各ノードに至るまでの経路計算コスト(経路に対する評価値)を算出し、目的地までの全てのコスト計算が終了した段階で、総コストが最小となるリンクを接続して目的地までの経路を設定している。但し、目的地までのつながった経路を設定するため、例えば一方通行あるいは歩行者専用道路のように、その道路へ進入できない場合には経路として採用できない。したがって、リンク間接続情報よりそのような通行規制があることが判れば、該当するリンクを除いて経路設定することとなる。
ところで、通行規制といっても、上述した歩行者専用道路や一方通行などのように、全ての車両の通行が一律に規制されるものばかりではない。その一例として、主に米国の大都市の高速道路(フリーウェイ)で見かけられる道路システムの一つにカープールレーン(Carpool Lane)がある。このカープールレーンは、車両走行台数の減少を目的とし、相乗り推奨のために設けられたものである。具体的には、乗員が複数の場合にのみ走行可能で、乗員が単独の場合には走行が規制される。米国では、運転者以外の搭乗者がいない車両の割合が高いため、このカープールレーンは一般レーンに比べて空いており、2人以上の搭乗者がいる車両は、このカープールレーンを走行することにより走行時間の大幅な短縮を図ることができる。また、カープールレーンはHOVレーン(High-Occupancy Vehicles Lane)と呼ばれることもある(図6ではHOVと表記)。
このカープールレーンは、そのような規制のない一般的な道路とは別の道路として存在する場合もあるが、同一道路内の同一進行方向の二つのレーンが単に区画線(レーンマーク)で区切られたり、あるいはガードレールにて仕切られたりしているものもある。例えば区画線のみで区切られている場合であっても、一般レーンとカープールレーンとの間での相互に進入(つまり一方から離脱して他方へ進入すること)が、所定の進入許可ポイントのみにおいて許可されている。
一方、高速道路から他の道路への出口は一般レーンにしか接続されていない。このため、ナビゲーション装置の画面上に自車位置周辺の地図画像を表示させたり、経路案内機能を用いたりしてカープールレーンを走行中の車両の運転者が高速道路出口に近づいたことを知った場合であっても、カープールレーンから一般レーンへの進入(つまりカープールレーンからの離脱)ポイントがないために一般レーンへ戻ることができず、結果として、高速道路出口を通り過ぎてしまうことがある。特に、一般レーンの車線数が多い大都市周辺の高速道路ではこのような不都合が起こりやすい。
このような不都合を回避するためには、カープールレーンを走行中に早めに一般レーンに戻るようにすればよいが、高速道路出口までにいくつもの離脱ポイントがある状態で一般レーンに戻ってしまうと、カープールレーンの走行距離が短くなってしまい、効率よい走行ができなくなるという問題があった。また、このような問題は、カープールレーンを走行する場合だけでなく、相互の行き来が制限される一般レーン同士でも生じるおそれがある。
そのような問題に着目した技術としては、例えば特許文献1に開示されるものが挙げられる。この特許文献1に開示された技術は、図6に例示するように、地図データとしてカープールレーンについての専用のリンク情報およびノード情報を保持し、そのような地図データを用いて所定のナビゲーション処理を実行する。これにより、一般レーンとの間の相互の進入(離脱)に関する制限事項が考慮されたナビゲーション動作が行われるため、カープールレーンを効率よく走行することができるというものである。
特開2001−183159号公報(第4頁、図2,3)
しかしながら、引用文献1に記載された技術では、既存の地図データに加えて、カープールレーンのための専用のリンク情報及びノード情報を保持する必要があるため、地図データ量が増加すると共に、該カープールレーンのための情報を追加するための煩雑な作業が発生するという問題が生じる。
以上はカープールレーンという具体例について考えたが、「同一進行方向の複数のレーンが、別の道路への出口を有さない特別レーンと、別の道路への出口を有する一般レーンで構成され、さらに特別レーンと一般レーンとは、所定の許可ポイントのみにおいて相互の進入が許可される」という道路構造の場合には、同様の問題が生じる。例えば米国東部などに存在するエクスプレスレーン(Express Lane)とローカルレーン(Local Lane )が挙げられる。
そこで本発明は、同一進行方向の複数のレーンが、別の道路への出口を有さない特別レーンと、別の道路への出口を有する一般レーンで構成され、さらに特別レーンと一般レーンとは、所定の許可ポイントのみにおいて相互の進入が許可されるような道路を車両が走行する際に、適切な案内を実現することのできるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1に係るナビゲーション装置は、道路のある交差点と隣接する他の交差点とを結ぶリンクに関するリンク情報および2本以上のリンクを結ぶノードに関するノード情報を含む地図データを記憶するとともに、ノードの車両進行方向に存在する所定の進入許可ポイントに関する情報を記憶する情報記憶手段を備える。
なお、進入許可ポイントとは、同一進行方向の複数のレーンが別の道路への出口を有さない特別レーンと別の道路への出口を有する一般レーンで構成され、さらに特別レーンと一般レーンとが所定の許可ポイントのみにおいて相互の進入が許可される場合に特別レーンと一般レーンとの間で相互の進入が許可されるポイントである。また、進入許可ポイントに関する情報には、進入許可ポイントの個数および各進入許可ポイントと当該ノードとの相対的な位置関係を示す相対位置情報が含まれる。
また、当該ナビゲーション装置は、車両の現在位置を特定する現在位置特定手段と、ユーザに対して案内するための案内手段と、所定のナビゲーション処理を実行する制御手段と、を備える。
そして、制御手段は、所定のナビゲーション処理として、情報記憶手段が記憶する進入許可ポイントに関する情報および現在位置特定手段によって特定された現在位置に基づき、現在位置から車両進行方向に存在する直近のノードから分岐路までのノード間に進入許可ポイントが複数存在するか否かを判断する。複数存在すると判断される場合には、制御手段は、現在位置と直近のノードから分岐路までのノード間に存在する複数の進入許可ポイントのうち現在位置に最も近い進入許可ポイントとの距離を当該進入許可ポイントに対応する相対位置情報を用いて算出し、その算出した距離が所定範囲内であるか否かを判断する。その算出した距離が所定範囲内であると判断された場合には、制御手段は、当該進入許可ポイントに関する情報を、案内手段を介して案内する。
このように、本発明のナビゲーション装置によれば、特別の条件を満たしていないと車両が走行できない特別レーンと、そのような制限のない一般レーンとが所定の許可ポイントのみにおいて相互の進入が許可されるような道路を車両が走行する際に、適切な案内を実現することができる。
また、このような本発明のナビゲーション装置によれば、既存のノード情報に進入許可ポイントとの相対位置情報を追加するだけで済み、言い換えれば、新たなノードあるいはリンクの追加設定をせず、既存のノードのデータの中に補足的に含まれる態様で進入許可ポイントの情報が付加される。特別レーンあるいは進入許可ポイントについての道路情報を地図データ上に新たな独立ノードとして設定する場合に比べて、追加すべきデータ量が少なくて済むとともに、地図データの整備に要する手間も少なくて済む。
なお、相対位置情報については、上述のように現在位置と直近のノードから分岐路までのノード間に存在する複数の進入許可ポイントのうち現在位置に最も近い進入許可ポイントとの距離を算出するために、(イ)車両が当該ノードから進入許可ポイントまでの道路を走行した場合の走行距離に関する情報が含まれることや(請求項)、(ロ)当該ノードと進入許可ポイントとの間の直線距離に関する情報が含まれること(請求項)、(ハ)車両が当該ノードから進入許可ポイントまでの道路を制限速度で走行した場合に要する所要時間に関する情報が含まれること(請求項)、などが考えられる。
なお、特別レーンは、特別の条件を満たしていないと車両が走行できないレーンであり、一般レーンは、そのような制限のないレーンである(請求項)。
また、特別レーンの具体例としては、例えば米国の大都市の高速道路(フリーウェイ)で見かけられ、他国にも普及し始めている道路システムであるカープールレーンや米国東部などに存在するエクスプレスレーンが挙げられる。これらの何れも、別の道路への出口を有さないレーンである。そして、別の道路への出口を有する一般レーン(特別レーンがエクスプレスレーンの場合には、一般レーンはローカルレーンとなる。)との間では、所定の許可ポイントのみにおいて相互の進入が許可されている。
なお、カープールレーンは、複数人が乗車している場合に走行が許可される特別レーンであり(請求項)、例えば他の呼び名として「Carpool」、「Vanpool」といったものも存在する。カープールレーンの場合にはこのような走行時の特別な条件が存在するのであるが、道路構造的に見ると、エクスプレスレーンと同様である。もちろん特別レーンはカープールレーンやエクスプレスレーンに限られるものではなく、これらと同様の道路構造を持ったレーンであればよい。
また、進入許可ポイントに関する情報は、地図データにおいて、ノードおよびリンク数の変更なしに追加されることが好ましい(請求項
また、上記課題を解決するためになされた請求項に係るナビゲーション装置は、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、ノード情報とリンク情報とを含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、地図データ記憶手段に記憶された地図データに基づいて、現在地から目的地までの誘導経路を探索し、探索された誘導経路に沿って所定の案内を行う経路案内手段とを備えたナビゲーション装置である。
そして、地図データ記憶手段に記憶されているノード情報には、道路を構成する複数の車線の中の一部の車線について、所定の許可区間のみにおいて他の車線との間の相互の進入、離脱が許容される場合に、自ノードに対する直近の前記所定の許可区間までの相対位置を示す相対位置情報が含まれている。
さらに、経路案内手段は、現在位置検出手段により検出される現在位置とノード情報中の相対位置情報とに基づいて、所定の許可区間への案内を実施する。
このように、本発明のナビゲーション装置によれば、特別の条件を満たしていないと車両が走行できない特別レーンと、そのような制限のない一般レーンとが所定の許可ポイントのみにおいて相互の進入が許可されるような道路を車両が走行する際に、適切な案内を実現することができる。
なお、上述のように経路案内手段が所定の許可区間への案内を実施する条件として、現在位置と相対位置情報とから算出される現在位置から所定の許可区間までの距離が予め設定された所定の距離範囲内に存在する場合とすることが考えられる(請求項)。
このことにより、適切に案内をできる区間にて実行することができる。
さらに、現在位置と相対位置情報とから算出される前記現在位置から所定の許可区間までの距離が予め設定された所定距離より小さい場合には、経路案内手段が、所定の許可区間への案内を実施しないことを示す画像を表示するようにするとよい(請求項10)。
このことにより、特別レーンへの案内が困難である場合にその旨を明確にする効果がある。ユーザは案内許可区間が目前に見えても案内が実施されない理由が分かるため、安心感を得ることができる。
た、上述のような処理を高速道路を走行する場合にのみ実行するようにしてもよい。具体的には、請求項11のように、車両が高速道路を走行しているか否かを判断する道路判断手段を備え、道路判断手段により高速道路を走行していると判断された場合に、経路案内手段は所定の許可区間への案内を実施することが考えられる。
このように道路走行中の全てについて処理を実行するのではなく、通常HOVレーンなどの特別レーンが存在する高速道路において処理を実行することで、処理負荷を軽減することができる。
ナビゲーション装置の概略構成図である。 本発明の案内制御処理を説明する説明図(1)である。 本発明の案内制御処理を説明する説明図(2)である。 本発明の案内制御処理を示すフローチャートである。 本発明のノードデータ、リンクデータのデータ構成を説明する図である。 従来の技術を説明する説明図である。
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[実施形態]
図1は、本実施形態のナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。また、図2は、本発明の案内制御処理を説明する説明図(1)である。
[1.ナビゲーション装置1の構成説明]
ナビゲーション装置1は車両に搭載され、図1に示すように、車両の現在位置を検出する位置検出器21と、利用者からの各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、操作スイッチ群22と同様に各種指示を入力可能であってナビゲーション装置1とは別体となったリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)23aと、リモコン23aからの信号を入力するリモコンセンサ23bと、パケット通信網等に接続して外部と通信を行う外部通信機24と、地図データや音声データ等が記録された地図記憶媒体からデータを入力する地図データ入力器25と、地図や各種情報の表示を行うための表示部26と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部27と、利用者が発話した音声に基づく電気信号を出力するマイクロフォン28と、上述した位置検出器21,操作スイッチ群22,リモコンセンサ23b,外部通信機24,地図データ入力器25,マイクロフォン28からの入力に応じて各種処理を実行し、外部通信機24,表示部26,音声出力部27を制御する制御部29と、を備えている。
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を
図示しないGPSアンテナを介して受信してその受信信号を出力するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ21bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ21cとを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21cからの出力信号に基づいて制御部29が、車両の位置,方位,速度等を算出する。なお、GPS受信機21aからの出力信号に基づいて現在地を求める方式は様々な方式があるが、単独測位方式、相対測位方式の何れであってもよい。
なお、位置検出器21は現在位置特定手段に該当する。
操作スイッチ群22は、表示部26の表示面と一体に構成されたタッチパネル及び表示部26の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成される。なお、タッチパ
ネルと表示部26とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式等各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。
外部通信機24は、路側に設置された光ビーコンや電波ビーコン等を介してVICSの情報センタから事故情報や渋滞情報等を取得する。
地図データ入力器25は、図示しない地図データ記憶媒体(例えばハードディスクやDVD−ROM等)に記憶された各種データを入力するための装置である。
なお、地図データ記憶媒体は地図データ記憶手段に該当する。
表示部26は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,有機ELディスプレイ,CRT等があるが、その何れを用いてもよい。表示部26の表示画面には、位置検出器21にて検出した車両の現在地と地図データ入力器25より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの案内経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、施設のガイド等も表示できる。
音声出力部27は、地図データ入力器25より入力した施設のガイドや各種案内の音声を出力することができる。
なお、表示部26および音声出力部27は案内手段に該当する。
マイクロフォン28は、利用者が音声を入力(発話)するとその入力した音声に基づく電気信号(音声信号)を制御部29に出力するものである。利用者はこのマイクロフォン28に様々な音声を入力することにより、ナビゲーション装置1を操作することができる。
制御部29は、CPU,ROM,RAM,SRAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。
例えば、位置検出器21からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在地を算出し、地図データ入力器25を介して読み込んだ現在地付近の地図等を表示部26に表示する処理や、地図データ入力器25に格納された地図データと、操作スイッチ群22やリモコン23a等の操作にしたがって設定された目的地とに基づいて現在地から目的地までの最適な経路を算出する経路算出処理や、その算出した経路を表示部26に表示させたり音声出力部27に音声として出力させることにより経路を案内する経路案内処理等を実行する。
経路案内処理においては、上述した経路算出の結果と地図データ内に格納されている道路の形状データや、交差点の位置情報、踏切の位置情報等から、案内に必要なポイントを算出したり、どのような案内(右に曲がるか左に曲がるかの指示等、すなわち、いわゆるナビゲーション)が必要なのかを決定する。
なお、制御部29は制御手段に該当する。
[2.地図データの説明]
上述したように、地図データ入力器25は、図示しない地図データ記憶媒体に記憶された各種データを入力するための装置である。地図データ記憶媒体には、地図データ(ノード番号、リンク番号、道路の形状データ、道路の幅員データ、道路種別データ、道路番号、道路の規制データ、地形データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)、案内用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。
地図データは、所定の経度および緯度で区切られた矩形形状の図葉を単位としており、各図葉の地図データは、図葉番号を指定することにより特定され、読み出すことが可能となる。各図葉毎の地図データには、地図表示に必要な各種のデータからなる「描画ユニット」と、マップマッチングや経路探索、経路誘導等の各種の処理に必要なデータからなる「道路ユニット」と、交差点等の詳細データからなる「交差点ユニット」が含まれている。また、上述した描画ユニットには、建物あるいは河川等を表示するために必要な背景レイヤのデータと、市町村名や道路名等を表示するために必要な文字レイヤのデータが含まれている。
また、上述した道路ユニットにおいて、道路のある交差点と隣接する他の交差点とを結ぶ線をリンクといい、2本以上のリンクを結ぶ交差点をノードという。また、道路ユニットには、道路ユニットであることを識別するための「ユニットヘッダ」と、全ノードの詳細データを納めた「接続ノードテーブル」と、接続ノードテーブルの格納位置を示す「ノードテーブル」と、隣接する2つのノードによって特定されるリンクの詳細データを納めた「リンクテーブル」とが含まれている。さらに、個別のノード毎に、ノードデータが生成され、さらに、その中に複数のデータエレメントが設定されるデータ構成となっている。例えば、ノード識別番号、経度緯度情報、交差点の種類、接続するすべてのリンクの識別番号等を含む。また、同様に、個別のリンク毎に、リンクデータが生成され、さらに、その中に所定の複数のデータエレメントが設定されるデータ構成となっている。例えば、リンク識別番号、両端の接続ノードの識別番号、道路の番号、道路の種類、車線数、道路の規制データ等を含む。さらに、本実施形態でのノードデータには、おのおの、ひとつのデータエレメントして、後述のHOVの相対情報が含まれる(図5参照)。なお、接続ノードテーブルおよびノードテーブルがノード情報に該当し、リンクテーブルがリンク情報に該当する。
なお、リンクに対応した実際の道路の中には、(A)カープールレーンを含む道路や、(B)カープールレーンと一般レーンとの間で相互の進入が許可される所定の進入許可ポイント(許可区間)に対応する道路が存在する。なお、前述の通り、カープールレーンはHOVレーン(High-Occupancy Vehicles Lane)と呼ばれることもあるため、図2〜4では便宜上HOVと表記している。そして、カープールレーンと一般レーンとの間では、相互の進入が許可される進入許可ポイントが予め決められている。より具体的には、進入許可ポイントとは、同一進行方向の複数のレーンが別の道路への出口を有さないカープールレーン(特別レーン)と別の道路への出口を有する一般レーンで構成されている場合に、両レーンの間で相互に進入退出が可能な区間を表すポイントをいう。即ち、その進入許可ポイントでのみ、車両はカープールレーンと一般レーンとの間を行き来することができ、そのポイント以外では相互の進入が禁止される。そして、この進入許可ポイントではカープールレーンと一般レーンとの境界線(車線を区分する線)が他の境界線とは異なる色で示されている。なお、所定条件(例えば、搭乗人数が2人以上)を満たす車両は、一般レーンからカープールレーンへ進入することができる。
本実施形態は、従来より整備されているノード情報の一部に、HOVの相対情報を付加していることを特徴とする。このHOV相対情報とは、車両進行方向に存在する直近の進入許可ポイントに関する情報をいう。具体的には、図3に例示するように、ノードN1は、直近の進入許可ポイントS1に関するHOVの相対情報を有しており、ノードN2、N3は、直近の進入許可ポイントS2に関するHOVの相対情報を有している。このHOVの相対情報には、進入許可ポイントの個数および直近の進入許可ポイントと当該ノードとの相対的な位置関係を示す相対位置情報が含まれる。ここで、進入許可ポイントの個数とは、自ノードと次のノードとの間に含まれる進入許可ポイントの個数をいう。例えば、図3において、ノードN1とノードN2との間には、進入許可ポイントS1が一つ存在するため、ノードN1のノード情報の中には、進入許可ポイントの個数1が記憶されている。また、相対位置情報とは、車両が当該ノードから直近の進入許可ポイントまでの道路を道なりに走行した場合の走行距離に関する情報をいう。
[3.案内制御の概要]
次に、ナビゲーション装置1の制御部29が実行するカープールレーンへの進入及び退出案内を示す制御処理について図4のフローチャート及び図3を参照して説明する。なお、図3は、本発明の案内制御処理を説明する説明図(2)である。
本処理は、図示しない車両のアクセサリ電源がオンとなりナビゲーション装置1に電源供給された場合に他の処理からは独立して実行される。
まず、最初のステップS105では、対象車両が高速道路に位置するか否かを判断する。なお、対象車両が一般道路に位置する場合であっても、カープールレーンが設定されている場所付近に位置する場合には、本発明は有効に作用するが、ここでは、高速道路に位置する場合に限定して説明する。
対象車両が高速道路に位置しない場合には(S105:NO)、本処理を終了する。一方、対象車両が高速道路に位置する場合には(S105:YES)、S110に移行する。
S110では、ノード情報からHOVの相対情報を取得する。具体的には、地図データ入力器25が地図データ記憶媒体から入力した地図データおよび位置検出器21によって特定された現在位置に基づき、車両進行方向に存在する直近のノードから車両が退出する分岐路を構成するノードまでの各ノード情報に記憶されたHOVの相対情報を地図データから取得する。
続くS120では、取得したHOVの相対情報から進入許可ポイントの総個数を算出する。具体的には、S110で取得したHOVの相対情報に含まれる進入許可ポイントの個数を総和して、進入許可ポイントの総個数を算出する。
続くS130では、HOV案内が可能か否かを判断する。具体的には、S120で算出した進入許可ポイントの総個数に基づき、カープールレーンに関する案内であるHOV案内を行うことの可否を判断する。なお、進入許可ポイントの総個数が一つである場合には、この進入許可ポイントからカープールレーンに進入した後に、次のノードで一般レーンに接続する分岐路へ入ることができなくなるため、カープールレーンに関する案内を行わないようにすることが望ましい。そこで、本実施形態では、進入許可ポイントの総個数が一つである場合には、カープールレーンに関する案内を行うことはできないと判断し、進入許可ポイントの総個数が複数存在する場合には、HOV案内を行うことができると判断する。
HOV案内が可能であると判断された場合には(S130:YES)、S140に移行する。一方、HOV案内が可能ではないと判断された場合には(S130:NO)、本処理を終了する。
S140では、現在位置から直近の進入許可ポイントまでの距離を取得する。具体的には、現在位置から直近のノードまでの距離と、該直近のノードに記憶された相対位置情報、即ち、該ノードと進入許可ポイントまでの相対距離とを足すことで算出する。図3の例でいえば、車両Pは直近のノードN1までの距離を、現在位置情報とノードN1の位置情報とから算出し、算出された距離とノードN1に記憶された進入許可ポイントS1までの相対距離とを足しあわすことで求める。
続くS150では、現在位置から直近の進入許可ポイントまでの距離がカープールレーンへの進入案内に適切な距離範囲内であるか否かを判断する。具体的には、S140で算出した現在位置と現在位置に最も近い進入許可ポイントとの距離(DS)が予め設定された第一の所定範囲内(D1<DS<D2)であるか否かを判断する。なお、所定範囲については、進入に可能な距離(D1)を下限値とし、進入案内を開始するのに適当な距離(D2)を上限値として設定される。
現在位置から直近の進入許可ポイントまでの距離がカープールレーンへの進入案内に適切な距離範囲内ではないと判断された場合には(S150:NO)、カープールレーンへの進入案内を行わずにS155に移行する。
一方、現在位置から直近の進入許可ポイントまでの距離がカープールレーンへの進入案内に適切な距離範囲内であると判断された場合には(S150:YES)、S160に移行してカープールレーンへの進入案内を実施する(図3(b)参照)。本実施形態では、車両走行方向に沿って手前側のマージンを考慮した位置でHOV案内専用の画像を読み出して表示部26に表示する。このことにより、自車両が分岐路に進入しても実際の道路との差異が無く、正確な案内が可能となる。そして、S165に移行する。
S155では、現在位置から直近の進入許可ポイントまでの距離がカープールレーンへの進入案内に適切な距離範囲外にあるとのS150の判断を受けて、現在位置から直近の進入許可ポイントまでの距離がカープールレーンへの進入案内に適切な距離範囲よりも大きいか小さいかの何れであるのかを判断する。
現在位置から直近の進入許可ポイントまでの距離がカープールレーンへの進入案内に適切な距離範囲よりも大きい場合には(S155:大きい)、カープールレーンへの進入案内を行うには時期尚早であると判断し、カープールレーンへの進入案内を行わずにS130に戻る。
一方、現在位置から直近の進入許可ポイントまでの距離がカープールレーンへの進入案内に適切な距離範囲よりも小さい場合には(S155:小さい)、直近の進入許可ポイントに進入できない可能性が大きく、カープールレーンへの進入案内を行うタイミングを逸していると判断し、カープールレーンへの進入案内を行わずに、代わりにHOVを案内しない内容の画像(HOV非案内画像)を読み出して表示部26に表示して、S105に戻る。
S165では、現在位置から退出許可ポイントまでの距離を取得する。ここでいう退出許可ポイントとは、車両が退出する分岐路の手前の進入許可ポイントで、分岐路に一番近い進入許可ポイントをいう。この退出許可ポイントまでの距離は、現在位置から分岐路の手前であって分岐路に一番近いノードまでの距離と、該ノードに記憶された進入許可ポイントまでの相対距離とを足すことで求める。図3の例でいえば、車両Pが進入許可ポイントS1を介してカープールレーンに進入した後に、該車両Pと分岐路の手前で分岐路に最も近いノードN3までの距離と、該ノードN3に記憶された進入許可ポイントS2までの相対距離との和により求める。
続くS170では、現在位置から退出許可ポイントまでの距離が一般レーンへの退出案内に適切な距離範囲内であるか否かを判断する。
現在位置からの退出許可ポイントまでの距離が一般レーンへの退出案内に適切な距離範囲内ではないと判断された場合には(S170:NO)、一般レーンへの退出案内を行わず、一般レーンへの退出案内可能な距離になるまで待機するためにS165に移行する。
一方、現在位置からの退出許可ポイントまでの距離が一般レーンへの退出案内に適切な距離範囲内であると判断された場合には(S170:YES)、退出許可ポイントまでの距離が十分にあると考えられるため(図3(b)参照)、S175に移行して一般レーンへの退出案内を実施する。本実施形態では、車両進行方向に沿って手前側のマージンを考慮した位置でHOV案内専用の画像を読み出して表示部26に表示する。そして、本処理を終了する。
[4.実施形態の効果]
(1)このように本実施形態のナビゲーション装置1によれば、次のような作用効果を奏する。すなわち、当該ナビゲーション装置1においては、従来より整備されているノード情報の一部にHOVの相対情報を付加しており、自車両の走行時においては、上述の案内制御処理を実行することにより、ノード情報からHOVの相対情報を取得し(S110)、取得したHOVの相対情報からHOV乗降地点の総個数を算出し(S120)、算出したHOV乗降地点の総個数に基づきHOV案内が可能か否かを判断する(S130)。HOV案内が可能であると判断された場合には(S130:YES)、現在位置から直近の進入許可ポイントまでの距離を取得し(S140)、取得した現在位置から直近の進入許可ポイントまでの距離がカープールレーンへの進入案内に適切な距離範囲内であるか否かを判断する(S150)。肯定判断である場合には(S150:YES)、現在位置から直近の進入許可ポイントまでの距離が十分にあると考えられるため、カープールレーンへの進入案内を実施する(S160)。
このことにより、特別の条件を満たしていないと車両が走行できないカープールレーンなどの特別レーンと、そのような制限のない一般レーンとが所定の許可ポイントのみにおいて相互の進入が許可されるような道路を車両が走行する際に、その特別レーンへの適切な進入案内を実現することができる。
(2)また、本実施形態のナビゲーション装置1によれば、従来より整備されているノード情報の一部にHOVの相対情報を付加するだけで済むため、カープールレーンについての道路情報を地図データ上に新たなノードおよびリンクとして追加する場合に比べて、追加すべきデータ量が少なくて済むとともに、地図データの整備に要する手間も少なくて済む。
[5.他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
(1)上記実施形態では、HOVレーン(カープールレーン)という具体例について考えたが、「同一進行方向の複数のレーンが、別の道路への出口を有さない特別レーンと、別の道路への出口を有する一般レーンで構成され、さらに特別レーンと一般レーンとは、所定の許可ポイントのみにおいて相互の進入が許可される」という道路構造の場合には、同様の問題が生じるため、本発明を適用可能である。例えば米国東部などに存在するエクスプレスレーン(Express Lane)とローカルレーン(Local Lane )が挙げられる。
(2)上記実施形態では、相対位置情報とは、車両がノードから進入許可ポイントまでの道路を走行した場合の走行距離に関する情報であるが、これには限られない。例えば、ノードと進入許可ポイントとの間の直線距離に関する情報を相対位置情報としてもよいし、車両が当該ノードから進入許可ポイントまでの道路を制限速度で走行した場合に要する所要時間に関する情報を相対位置情報としてもよい。また、これら複数を含むようにしてもよい。
(3)また、上記実施形態のナビゲーション装置1においては、従来より整備されている地図データのノード情報の一部にHOVの相対情報を付加しているが、これには限られず、HOVの相対情報を地図データからは独立して整備して利用するようにしてもよい。また、リンク情報の一部としてHOVの相対情報を付加してもよい。
1…ナビゲーション装置、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…距離センサ、22…操作スイッチ群、23a…リモコン、23b…リモコンセンサ、24…外部通信機、25…地図データ入力器、26…表示部、27…音声出力部、28…マイクロフォン、29…制御部

Claims (11)

  1. 道路のある交差点と隣接する他の交差点とを結ぶリンクに関するリンク情報および2本以上のリンクを結ぶノードに関するノード情報を含む地図データを記憶するとともに、ノードの車両進行方向に存在し、同一進行方向の複数のレーンが別の道路への出口を有さない特別レーンと別の道路への出口を有する一般レーンで構成され、さらに特別レーンと一般レーンとが所定の許可区間のみにおいて相互の進入が許可される場合に前記特別レーンと一般レーンとの間で相互の進入が許可される所定の進入許可ポイントの個数および各進入許可ポイントと当該ノードとの相対的な位置関係を示す相対位置情報からなる進入許可ポイントに関する情報を前記ノード情報の一部として記憶する情報記憶手段と、
    車両の現在位置を特定する現在位置特定手段と、
    ユーザに対して案内するための案内手段と、
    所定のナビゲーション処理として、前記情報記憶手段が記憶する進入許可ポイントに関する情報および前記現在位置特定手段によって特定された現在位置に基づき、現在位置から車両進行方向に存在する直近のノードから分岐路までのノード間に進入許可ポイントが複数存在するか否かを判断し、複数存在すると判断される場合には、現在位置と直近のノードから分岐路までのノード間に存在する複数の進入許可ポイントのうち現在位置に最も近い進入許可ポイントとの距離を当該進入許可ポイントに対応する相対位置情報を用いて算出し、その算出した距離が所定範囲内であるか否かを判断し、その算出した距離が所定範囲内であると判断された場合には、当該進入許可ポイントに関する情報を、前記案内手段を介して案内する制御手段と、
    を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
  2. 請求項1に記載のナビゲーション装置において、
    前記相対位置情報には、車両が当該ノードから進入許可ポイントまでの道路を走行した場合の走行距離に関する情報が含まれることを特徴とするナビゲーション装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置において、
    前記相対位置情報には、当該ノードと進入許可ポイントとの間の直線距離に関する情報が含まれることを特徴とするナビゲーション装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
    前記相対位置情報には、車両が当該ノードから進入許可ポイントまでの道路を制限速度で走行した場合に要する所要時間に関する情報が含まれることを特徴とするナビゲーション装置。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
    前記特別レーンは、特別の条件を満たしていないと車両が走行できないレーンであり、前記一般レーンは、そのような制限のないレーンであること
    を特徴とするナビゲーション装置。
  6. 請求項5に記載のナビゲーション装置において、
    前記特別レーンは、複数人が乗車している場合に走行が許可されるカープールレーンであること
    を特徴とするナビゲーション装置。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
    前記進入許可ポイントに関する情報は、前記地図データにおいて、ノードおよびリンク数の変更なしに追加されること
    を特徴とするナビゲーション装置。
  8. 車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
    ノード情報とリンク情報とを含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
    前記地図データ記憶手段に記憶された地図データに基づいて、現在地から目的地までの誘導経路を探索し、探索された誘導経路に沿って所定の案内を行う経路案内手段とを備えたナビゲーション装置において、
    前記地図データ記憶手段に記憶されているノード情報には、道路を構成する複数の車線の中の一部の車線について、所定の許可区間のみにおいて他の車線との間の相互の進入、離脱が許容される場合に、自ノードに対する直近の前記所定の許可区間までの相対位置を示す相対位置情報が含まれており、
    前記経路案内手段は、前記現在位置検出手段により検出される現在位置と相対位置情報とに基づいて、前記所定の許可区間への案内を実施することを特徴とするナビゲーション装置。
  9. 請求項8に記載のナビゲーション装置において、
    前記経路案内手段は、前記現在位置と前記相対位置情報とから算出される前記現在位置から前記所定の許可区間までの距離が、予め設定された所定の距離範囲内に存在する場合に、前記所定の許可区間への案内を実施することを特徴とするナビゲーション装置。
  10. 請求項9に記載のナビゲーション装置において、
    前記経路案内手段は、前記現在位置と相対位置情報とから算出される前記現在位置から前記所定の許可区間までの距離が、予め設定された所定距離より小さい場合には、前記所定の許可区間への案内を実施しないことを示す画像を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
  11. 請求項8〜請求項10の何れか1項に記載のナビゲーション装置において、
    前記車両が高速道路を走行しているか否かを判断する道路判断手段を備え、
    該道路判断手段により高速道路を走行していると判断された場合に、前記経路案内手段は前記所定の許可区間への案内を実施することを特徴とするナビゲーション装置。
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