JP5387484B2 - チップ部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミック部品などのチップ部品の製造方法に関する。
特に小型のチップ型電子部品では、端子電極間の距離が短いので、その間に位置する素子本体の表面にガラスコートなどの絶縁膜を形成したいという要請が高い。絶縁膜を形成することで、その後に行うメッキ工程で、素子本体の表面にメッキが施されてしまうことを防止している。
たとえば、磁器ポット内に、素子本体をガラス粉末と共に収容し、加熱処理することにより、素子本体にガラスコートを形成する技術が知られている(特許文献1)。
しかしながら、従来のガラスコート形成手法では、ガラスコートの膜厚が不均一に形成されやすく、膜厚が厚すぎる場合に、メッキ膜を含む外部電極と内部電極との電気的接続が困難になる虞があった。
特開平5−47513号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、均一で薄膜の絶縁膜を形成することが可能なチップ部品の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係るチップ部品の製造方法は、
内部電極が形成された素子本体を用意する工程と、
前記素子本体の表面に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜が形成された前記素子本体の端面に端子電極を形成する工程とを有するチップ型電子部品の製造方法であって、
前記絶縁膜を形成する際に、低圧力容器内に配置されたバレルに前記素子本体を投入し、前記バレルの回転軸を中心に前記バレルを回転させながら、前記バレルを揺動させることを特徴とする。
本発明に係るチップ部品の製造方法では、素子本体の端面に端子電極を形成する前に、素子本体の表面に絶縁膜を形成する。まず、バレル内に多数の素子本体を投入する。次に、低圧力容器を真空状態(大気圧より低い圧力の状態)にし、低圧力容器内に配置されたバレルを、バレルの回転軸を中心に回転させる。しかもこの際に、回転軸が揺れるように、バレル全体を揺動させることで、バレルの内側底面付近に集中している素子本体が均一に撹拌される。この状態で、バレルの内側底面付近の素子本体に向けて絶縁性物質をスパッタリングすることで、素子本体の表面に絶縁膜を成膜する。成膜中には、素子本体が均一に撹拌され続けているので、成膜時間を短くすることができ、均一な膜厚で薄膜の絶縁膜を素子本体の表面に形成することが可能になる。
好ましくは、前記バレルの内面の表面粗さをRaと表した場合に、前記表面粗さRaは、5≦Ra≦1000nmの範囲である。
表面粗さRaを5≦Ra≦1000nmとすることにより、成膜途中の絶縁膜が脱落せず、脱落した絶縁膜が素子本体に再付着することを防止でき、より均一な膜厚で絶縁膜を形成することができる。
好ましくは、前記素子本体は、半導体セラミックで構成される。素子本体が半導体セラミックで構成される場合には、端子電極の表面にメッキ膜を形成する際にメッキ伸びが発生し、素子本体の表面にメッキ膜が形成される場合がある。本発明の方法では、半導体セラミックを均一な厚みの絶縁膜で覆うので、メッキ伸びなど、素子本体の表面にメッキ膜が形成されるのを良好に防止することができる。さらに、絶縁膜の厚みを薄く形成できるので、素子本体の端面に端子電極を形成し、焼成する際に、端子電極と内部電極との電気的接続が確実に行われ、素子本体の品質を均一にすることができる。
前記チップ部品のサイズは、1005サイズ(縦寸法が1.0mmで、横寸法が0.5mm)以下でも、本発明の方法の適用が可能である。
チップ部品のサイズが1005サイズ以下と小さい場合には、従来の塗布方法では、全てのチップ部品に均一な膜厚で絶縁膜を形成することが困難であるが、本発明では、成膜途中に絶縁膜が脱落することもなく、脱落した絶縁膜が素子本体の表面に再付着することもない。したがって、均一な膜厚で薄膜の絶縁膜を素子本体の表面に形成することが可能になる。なお、チップ部品のサイズが小さい場合には、バレルを回転・揺動させた時に素子本体同士が接触する衝撃が小さく済む。
好ましくは、前記絶縁膜の厚みは、0.01〜0.2μmである。本発明の方法では、素子本体の表面に、上記のように薄い絶縁膜を形成することが可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る方法により製造されるチップ部品の断面図である。 図2は、図1に示すチップ型電子部品を製造する工程を示す概略断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る方法を実現するためのスパッタ装置の概略側面図である。 図4は、図3のIV−IV断面図である。 図5は、図4のV−V断面図である。 図6は、本発明の他の実施形態に係るスパッタ装置の断面図である。 図7は、ガラスコートの膜厚を示すグラフである。 図8(A)は、実施例1における方法により製造されたチップ部品の側面説明図、図8(B)は、比較例における方法により製造されたチップ部品の側面説明図である。 図9(A)は、実施例1における方法により製造されたチップ部品の断面説明図、図9(B)は、参考例における方法により製造されたチップ部品の断面説明図である。
第1実施形態
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。まず、本発明の一実施形態に係る方法により製造されるチップ部品としての図1に示す積層チップバリスタ2について説明する。図1に示すように、積層チップバリスタ2は、内部電極層4,6と抵抗体層8とが交互に積層してある素子本体10を有する。
抵抗体層8は、バリスタ特性を有する材料であれば特に限定されないが、たとえば酸化亜鉛系バリスタ材料層で構成される。この酸化亜鉛系バリスタ材料層は、例えばZnOを主成分とし、副成分として希土類元素、Co、IIIb族元素(B、Al、Ga及びIn)、Si、Cr、アルカリ金属元素(K、Rb及びCs)及びアルカリ土類金属元素(Mg、Ca、Sr及びBa)等を含む材料で構成される。または、ZnOを主成分とし、副成分としてBi、Co、Mn、Sb、Al等を含む材料で構成されていても良い。
内部電極層4,6は、導電材を含んで構成される。内部電極層4,6に含まれる導電材としては、特に限定されないが、PdまたはAg−Pd合金からなることが好ましい。内部電極層4,6の厚さは、用途に応じて適宜決定すればよいが、通常0.5〜5μm程度である。
素子本体10の寸法は、特に制限はなく、用途に応じて決定されるが、特に、1005形状(縦1.0mm×横0.5mm)サイズ以下、たとえば、小さく軽い上に電極間距離が短い0603形状(縦0.6mm×横0.3mm)サイズ以下である場合に本実施形態の方法の効果が大きい。
素子本体10において、内部電極層4,6および抵抗体層8の積層方向の両外側端部には、外側抵抗体層18が配置してあり、素子本体10の内部を保護している。外側抵抗体層18の材質は、抵抗体層8の材質と同じであっても異なっていても良いが、通常、抵抗体層8の材質とほぼ同じであり、半導体材料で構成されている。
素子本体10の4つの側面および2つの端面は、絶縁膜16で覆われている。絶縁膜16は、例えばシリコン酸化物膜、アルミニウム酸化物膜、ジルコニウム酸化物膜、チタン酸化物膜、マグネシウム酸化物膜などで構成される。絶縁膜16は、本実施形態では、後述するスパッタリング法により、素子本体10の外周面全体に形成される。
絶縁膜16の厚みは、素子本体10の4つの側面および2つの端面で、好ましくは0.01〜0.2μmであり、より好ましくは、0.01〜0.09μmである。絶縁膜16の厚みは、素子本体10の4つの側面と2つの端面とで同じであってもよく異なっていても良い。素子本体10の2つの端面では、絶縁膜16の厚みは0であっても良いが、0でなくとも、後述するカーケンドール効果により内部電極層4,6の端部は絶縁膜16を貫通して端子電極15a,15bに接続される。
素子本体10のX軸方向の両端には、それぞれ一対の端子電極15a,15bが形成してあり、内部電極層4,6の露出端面にそれぞれ接続されて、バリスタ回路を構成している。各端子電極15aは、本実施形態では、それぞれ二層の外部電極膜12a,14a,および12b,14bで構成してある。
第1外部電極膜12a,12bはそれぞれ、素子本体10の端面に位置する端面部分と、端面部分に連続して形成され、素子本体10の端面近傍の4側面にまで延びる側面部分を有している。また、第2外部電極膜14a,14bが、第1外部電極膜12a,12bの表面を覆うように形成してある。
端子電極15a,15bにおける第1外部電極膜12a,12bの材質も特に限定されず、内部電極を構成する導電材と同様の材料を用いることができる。ただし、第1外部電極膜12a,12bは、焼き付け処理により形成される電極膜であり、後述するカーケンドール効果による内部電極層4,6との接合性向上効果を促進するためには、面心立方の結晶構造を有する異種の金属により構成されるとより好ましい。このような観点から、第1外部電極膜12a,12bは、AgまたはAg−Pd合金からなることが好ましい。
すなわち、このような場合には、第1外部電極膜12a,12bを素子本体10の端面に焼き付け処理する時の高温により、絶縁膜16を貫通して、これらの金属が拡散する、いわゆるカーケンドール効果が生じるようになる。このカーケンドール効果が生じると、内部電極層4,6に含まれる金属が、第1外部電極膜12a,12b側に拡散し、この拡散に伴って内部電極層4,6の一端部が第1外部電極12a,12b側に突出し、両者は密接に接合される。
第1外部電極膜12a,12bの外側には、第2外部電極膜14a,14bが形成されることが好ましく、第2外部電極膜14a,14bは、NiめっきおよびSnめっきの多層膜で構成される。めっき膜から成る第2外部電極膜14a,14bを形成することで、積層チップバリスタ2の端子電極15a,15bを、回路基板にハンダで接合する際に、ハンダ食われを有効に防止できる。
本実施形態では、第1外部電極膜12a,12bの各厚みは、好ましくは5〜50μmであり、第2外部電極膜14a,14bの各厚みは、好ましくは3〜10μmである。
次に、図1に示す積層チップバリスタ2の製造方法について説明する。
まず、図2(A)に示すように、素子本体10を製造する。素子本体10を製造するために、印刷工法またはシート工法等により、内部電極層4,6が互い違いに両端部に露出するように、抵抗体層8(バリスタ層)と内部電極層4,6をZ軸方向に交互に積層し、積層体を形成する。
次に、この積層体を切断し、グリーンチップを得る。次に、必要に応じて脱バインダー処理を行い、グリーンチップを焼成し、図2(A)に示す素子本体10を得る。次に、図2(B)に示すように、素子本体10の外周面(4つの側面および2つの端面)に、後述するスパッタリング法により絶縁膜16を形成する。
次に、図2(C)に示すように、素子本体10のX軸方向の両端に、それぞれ一対の端子電極15a,15bを形成する。まず、電極ペースト(図1に示す第1外部電極膜12a,12b)を焼き付け処理して下地電極層とする。次に、第1外部電極膜12a,12bに、メッキ膜(図1に示す第2外部電極膜14a,14b)を各下地電極層の表面に電気メッキ法により形成する。このようにして図1に示す積層チップバリスタ2が製造される。
次に、スパッタリング法による絶縁膜の成膜法について説明するが、まず、スパッタリング法に用いるスパッタ装置について説明する。
図3に示すように、スパッタ装置20は、円筒形状の真空チャンバ22(低圧力容器)を有している。真空チャンバ22の一方の端部にはフランジ22aが形成されており、密閉蓋24がフランジ22aに対して取り外し可能に密接している。
図5に示すように、真空チャンバ22の他方の端部の外側には、バレル回転モータ35が配置され、バレル回転モータ35は、アウターバレル37と一体に構成してある回転軸36を、軸芯Pを中心に回転可能に取り付けられている。
密閉蓋24には連結部33が固定され、真空チャンバ22の外側に配置される交流高周波電源32と真空チャンバ22の内側に配置されるRFカソード電極34(図5に示す)とを連結している。RFカソード電極34のターゲット面34aには、ターゲット16tが形成されている。本実施形態では、ターゲット16tを構成する材料は、SiO,Al,ZrO,TiO,MgOなどの絶縁性物質である。ターゲット面34aの向きは、図4に示すように、軸芯Pを中心にRFカソード電極34を回転させることで微調整が可能である。
図3に示すように、真空チャンバ22の外周面には、リンク機構25が接続されている。リンク機構25は、第1リンク26と第2リンク27と回転板28とを有しており、図示省略してある揺動用回転モータにより、回転板28を矢印R方向に回転させることで、真空チャンバ22を揺動可能になっている。なお、本実施形態では、回転板28の回転運動と、第1リンク26と第2リンク27とのリンク作用により、回転軸36の軸芯Pが支点P1を中心に揺れるように、真空チャンバ22を矢印Sで示すように揺動させる。
図4および図5に示すように、バレル39は、アウターバレル37とインナーバレル38とで構成されている。インナーバレル38は、内壁面38bを有する6角柱形状をしており、それぞれの角部38cがアウターバレル37の内壁面に接触し、アウターバレル37と一体的に、軸芯Pを中心に回転可能になっている。なお、インナーバレル38は、必ずしも6角柱形状でなくても良い。密閉蓋24と対向するインナーバレル37の面には、スパッタ対象物である素子本体群10aの出入れ用孔38aが形成されている。
インナーバレル38は、特に限定されないが、ステンレス、チタン、Ni合金、SiO、フッ素樹脂などで構成され、好ましくはステンレスで構成してある。
図4に示すインナーバレル38の内壁面38bの表面粗さRaは、好ましくは、5≦Ra≦1000nmの範囲である。なお、粗さは、サーフコム(登録商標)表面粗さ測定器により測定した算術平均粗さである。
本実施形態では、図3〜5に示すスパッタ装置20のバレル39を、軸芯Pを中心に回転させると共に、バレル39が収容された真空チャンバ22を揺動させる。
まず、図2(A)に示す焼成後の素子本体10を、密閉蓋24が開いた状態で、インナーバレル38の内部に多数投入する。投入される素子本体10の個数は、特に限定されず、例えば1万個〜50万個投入される。これらの素子本体10は、インナーバレル38の内側底面付近で、素子本体群10aを形成している。
次に、図5に示すように、密閉蓋24を真空チャンバ22のフランジ22aに密接させる。次に、不図示の真空ポンプを用いて、真空チャンバ22内から気体を排出し、真空状態にすると共に、不図示のArガス導入パイプから不活性ガスを導入する。不活性ガスとして、Arガスを用いることができるが、Arガスと共に微量のOなどのガスを導入しても良い。
本実施形態では、次に述べるスパッタリング中に、図3〜5に示すスパッタ装置20のバレル39を、軸芯Pを中心に回転させると共に、バレル39が収容された真空チャンバ22を揺動させる。バレル39の回転数は、0.5〜10回転/分であることが好ましく、真空チャンバ22の揺動の周期は、0.1〜5(cycle/分)であることが好ましい。真空チャンバ22の揺動傾斜角度は、4〜10度であることが好ましい。
このようなバレル39の回転により、図4に示すように、素子本体群10aが、インナーバレル38の内壁面38bの鉛直方向下端部よりもやや回転方向に偏った位置に集合しながら、素子本体群10aが内壁面38bに沿ってばらける。しかも、この状態で真空チャンバ22を揺動させることにより、素子本体群10aが均一に撹拌される。図4に示すように、ターゲット面34aは、ばらけた素子本体群10aと略平行になるように調整されることが好ましい。
上記のようなバレル39の回転および真空チャンバ22の揺動中における素子本体群10aのスパッタリングの条件としては、特に限定されないが、到達真空度は、好ましくは1.0×10−3Pa以下である。なお、真空チャンバ22内の上記真空度を維持するように、Arガスが導入される。スパッタリング条件は、膜厚目標などに応じて適宜調整すれば良い。
上記のスパッタリングが終了した後で、バレル39の回転および真空チャンバ22の揺動を止めて、徐々に真空チャンバ22中の圧力を上げ、大気圧と略等しい状態にする。次に、密閉蓋24を空けて、インナーバレル38の出入れ用孔38aから絶縁膜16が形成された素子本体群10aを取り出す。スパッタリング法により形成される絶縁膜16の組成は、ターゲット16tを構成する材料と同じ組成になる。
本実施形態に係るチップ部品の製造方法では、真空チャンバ22に配置されたバレル39を、バレル39の軸芯Pを中心に回転させる。しかもこの際に、軸芯Pが揺れるように、バレル39全体を揺動させる。この状態で、素子本体群10aに向けて絶縁性物質をスパッタリングすることで、素子本体10の表面に絶縁膜16を成膜する。このため、成膜時間を短くすることができ、均一な膜厚で薄膜の絶縁膜16を素子本体10の表面に形成することが可能になる。
本実施形態の方法では、インナーバレル38の内壁面38bの表面粗さRaを5nm以上で1000nm以下にしたので、成膜途中の絶縁膜が脱落せず、脱落した絶縁膜が素子本体10に再付着することを防止でき、より均一な膜厚で絶縁膜16を形成することができる。
本実施形態の方法では、半導体セラミックから成る素子本体10を均一な厚みの絶縁膜16で覆うので、メッキ伸びなど、素子本体10の表面にメッキ膜が形成されるのを良好に防止することができる。さらに、絶縁膜の厚みを薄く形成できるので、素子本体10の端面に端子電極15a,15bを形成して、焼成する際に、端子電極15a,15bと内部電極層4,6との電気的接続が確実に行われ、素子本体10の品質を均一にすることができる。
また、素子本体10のサイズが1005サイズ以下と小さい場合でも、本実施形態では、成膜途中に絶縁膜16が脱落することもなく、脱落した絶縁膜が素子本体10の表面に再付着することもない。したがって、均一な膜厚で薄膜の絶縁膜16を素子本体の表面に形成することが可能になる。なお、素子本体10のサイズが小さい場合には、バレル39を回転させ、真空チャンバ22を揺動させた時に素子本体10同士が接触する衝撃が小さく済む。
本実施形態の方法では、素子本体10の表面に、上記のように薄い絶縁膜を形成することが可能である。
第2実施形態
本実施形態の方法は、以下に示す以外は、上述した第1実施形態と同様であり、重複する説明を省略する。
本実施形態の方法では、図6に示すように、インナーバレル38dが円筒形をしている。さらに、頂部38fを有する撹拌突起38eが、インナーバレル38dの内壁面38bに、周方向に沿って等間隔に6個配置されている。
図6に示すインナーバレル38dの内壁面38bの表面粗さRaは、好ましくは、上述した実施形態と同様に、5≦Ra≦1000nmの範囲である。撹拌突起38eを構成する面38gの粗さも、5≦Ra≦1000nmの範囲であることが好ましく、内壁面38bの表面粗さRaと等しくても良いが、異なっていても良い。
なお、撹拌突起38eの配置個数は、特に限定されない。また、撹拌突起38eを構成する面38gは平面であっても良いが、曲面であっても良い。撹拌突起38eの形状は、断面が凸形状であれば特に限定されない。
本実施形態の方法では、インナーバレル38dの内側に投入された素子本体群10aの軸芯P方向における撹拌を、より良好に行うことができ、スパッタリング時間を短くすることができる。
なお、上述した各実施形態では、絶縁膜16形成手法としてスパッタリング法を用いたが、スパッタリング法以外に、真空蒸着法、化学蒸着法(CVD)にも、本発明の方法を適用することが可能である。
また、上述した各実施形態の方法では、素子本体10を構成する抵抗体層8として、酸化亜鉛系バリスタ材料層を例に説明を行ったが、これに限定されない。酸化亜鉛系バリスタ材料層以外に、コンデンサ材料層、インダクタ材料層、NTCサーミスタ材料層、PTCサーミスタ材料層などで構成されてもよい。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
抵抗体層8および外側抵抗体層18を構成する抵抗体磁器組成物の材料を作製するために、主成分原料としてZnO、副成分原料としてPr、Co、Ca、Alを用意した。また、内部電極層4,6を形成するためのペーストとして、Pdを含む導電性ペーストを用意した。次に、内部電極層、抵抗体層8および外側抵抗体層18を積層して積層体を形成した。その後、積層体を切断し、グリーンチップを得た。その後、脱バインダー処理を行い、グリーンチップを焼成し、素子本体10を多数準備した。
図3に示すスパッタ装置20のインナーバレル38はステンレス製とし、インナーバレル38の内壁面38bの表面粗さRa=5〜1000nmとした。次に、上述した素子本体10を多数、スパッタ装置20に投入し、以下の条件でスパッタリングを行い、素子本体10の表面にガラスコート膜で構成された絶縁膜16を形成した。
まずスパッタ装置20において、SiOターゲットをRFカソード電極34のターゲット面34aに配置し、真空チャンバ22内を以下の条件下に調整した。真空チャンバ22の圧力を5.0×10−1Paとし、高周波電力を600Wとした。
次に、スパッタ装置20のバレル39を、所定の回転速度で回転させると共に、真空チャンバ22を揺動させて、スパッタを行った。このようにして素子本体10の表面にスパッタ膜(SiO層)16を形成した。
次に、素子本体10のX軸方向における両端面に、Agを含む電極ペーストを塗布し、焼き付けして、下地電極層12a,12bを形成した。電気めっきにより、下地電極層12a,12bの表面にNiメッキ層およびSnメッキ層を形成し、図1に示す積層チップバリスタ2を製造した。積層チップバリスタ2の素子本体10のサイズは、縦0.4mm、横0.2mm、厚み0.2mmであった。
次に、製造した積層チップバリスタ2の中から、ランダムに10個サンプリングし、島津製作所製の微小部蛍光X線分析装置(μEDX−1300)を用いて、素子本体10の側面の中央部におけるSiO層の膜厚を測定した。結果を図7および表1に示す。
Figure 0005387484
次に、製造した積層チップバリスタ2の中から10個サンプリングし、素子本体10の端子電極15a,15bが形成されていない側面部分を、光学顕微鏡を用いて外観検査を行った。代表的な結果を図8(A)に示す。図8(A)に示すように、積層チップバリスタ2は、通常は外部端子電極15a,15bの長さL1が所定距離で決められており、外部端子電極15a,15b間の距離L2も所定範囲の基準を有している。
次に、サンプリングした素子本体10の側面の中央部を、図1に示すY−Z平面に沿って切断し、透過型電子顕微鏡を用いて、スパッタ膜16が形成された部分の断面観察を行った。結果を図9(A)に示す。
比較例1
スパッタ装置20の真空チャンバ22を揺動させず、バレル39のみ回転させた以外は、上述した実施例1と同様の条件で、積層チップバリスタ2bを製造した。素子本体10の側面の中央部におけるSiO層の膜厚を測定した結果を、図7および表1に示す。
評価1
図7および表1に示す実験結果から、比較例1よりも、実施例1の方が、絶縁膜の平均膜厚が薄く、膜厚のバラツキも小さいことが判明した。
比較例2
スパッタリングを行わず、素子本体の表面にSiO層を形成しなかった以外は、上述した実施例1と同様の条件で、積層チップバリスタ2cを製造した。素子本体10cの側面の観察結果を図8(B)に示す。
評価2
図8(A)に示す実験結果から、実施例1では素子本体10の表面にめっき伸びが発生していないが、比較例2では、端子電極15a,15bを形成する際に、図8(B)に示すように、めっき伸びが発生してしまうことが判明した。
参考例1
図3に示すスパッタ装置20のインナーバレル38の内壁面38bの表面粗さRa=4.7μmとした以外は、上述した実施例1と同様の条件で、積層チップバリスタ2dを製造した。素子本体10dの断面観察を行った結果を図9(B)に示す。
評価3
図9(A)に示す観察結果から、実施例1では、薄膜で均一の絶縁膜16が形成されているのに対し、参考例1では、図9(B)に示すように、素子本体10dに成膜した絶縁膜16dの表面に、粉状の絶縁成分が形成されてしまうことが判明した。
2…積層チップバリスタ
4,6…内部電極層
10…素子本体
15a,15b…端子電極
16…絶縁膜
22…真空チャンバ
39…バレル
37…アウターバレル
38…インナーバレル

Claims (5)

  1. 内部電極が形成された素子本体を用意する工程と、
    前記素子本体の表面にスパッタリング法による絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜が形成された前記素子本体の端面に端子電極を形成する工程とを有するチップ型電子部品の製造方法であって、
    前記絶縁膜を形成する際に、低圧力容器内に配置されたバレルに前記素子本体を投入し、前記バレルの回転軸を中心に前記バレルを回転させながら、前記バレルを、前記バレルの回転軸の軸芯が支点を中心に揺れるように揺動させ
    前記スパッタリング法に用いられるターゲット面は、前記バレルの回転により前記バレルの内壁面に沿ってばらけた前記素子本体群と略平行になるように調整されることを特徴とするチップ部品の製造方法。
  2. 前記素子本体は、半導体セラミックで構成されることを特徴とする請求項1に記載のチップ部品の製造方法。
  3. 前記バレルの内面の表面粗さをRaと表した場合に、前記表面粗さRaは、5≦Ra≦1000nmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ部品の製造方法。
  4. 前記チップ部品のサイズは、縦寸法が1.0mm以下で、横寸法が0.5mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のチップ部品の製造方法。
  5. 前記絶縁膜の厚みは、0.01〜0.2μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のチップ部品の製造方法。
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