JP5387443B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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本発明は,用紙供給部から供給された用紙に画像形成部で画像を形成して用紙排出部に排出する画像形成装置に関する。さらに詳細には,用紙供給部から用紙排出部への用紙搬送経路上に設けられたローラ対の上流側の部分にジャム処理のための開閉扉が設けられている画像形成装置に関するものである。
従来から画像形成装置では,用紙搬送経路の随所にローラ対を設けている。ローラ対を含めた用紙搬送経路は装置の外板で覆われているが,ジャム発生時には,ジャム紙を取り除くために開放される必要がある。このために装置の外板の一部に開閉扉が設けられる。このようなものの一例として,特許文献1に記載されている画像形成装置が挙げられる。同文献の画像形成装置では,定着ローラ対の入り側でのジャム処理のための開閉扉を設けている。同文献の開閉扉は,水平な軸回りの回転移動により扉の上部(用紙搬送方向の下流側)が外側へ倒れて開くものであるが,このようなもの以外にも,扉が水平に移動して開くものなどもあった。
特開2008−111909号公報
しかしながら前記した従来の技術には,次のような問題点があった。特許文献1の画像形成装置では,開閉扉を開いた状態でも,ローラ対の入り側の用紙ガイド部材がそのままの位置に残っている。このため,ジャム処理に当たり,用紙ガイド部材が邪魔となってローラ対のニップ部の視認性が悪かった。また,開閉扉の下端部(用紙搬送方向の上流側)が本体から離れないことも,ニップ部を上流側から見ることの妨げとなっていた。用紙ガイド部材はさらに,視認性の問題ばかりでなく,用紙をニップ部から引き抜くための作業性という観点からも邪魔であった。
このため,開閉扉を開いたときには用紙ガイド部材も開閉扉とともに元の場所から待避することが望ましい。また,ニップ部の視認性のためには,開閉扉の下端部も本体から離れることが望ましい。これより,開閉扉は水平方向(用紙搬送方向と直交する方向)に移動して開くとともに,用紙ガイド部材も開閉扉とともに移動することが望ましい。ただし単純にそうするだけでは,扉の開閉時に用紙ガイド部材がローラと接触してしまうので,何らかの対策が必要である。
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,開閉扉を開いたときにローラ対の入り側の用紙ガイド部材も開閉扉とともに退去するとともに,その際に用紙ガイド部材がローラと接触することのない画像形成装置を提供することにある。
この課題の解決を目的としてなされた本発明の画像形成装置は,用紙供給部と,画像形成部と,用紙排出部とを有し,用紙供給部から供給された用紙に画像形成部で画像を形成して前記用紙排出部に排出する装置であって,用紙供給部から用紙排出部への用紙搬送経路上に設けられ,用紙を搬送するローラ対と,ローラ対の上流側部分を覆う閉状態と,ローラ対の上流側部分を覆わない開状態とを取り,閉状態と開状態との間の移動が回転軸回りの回転移動であり,その回転軸がローラ対による用紙の搬送方向に沿った方向であるとともに搬送される用紙の幅が占める範囲の外側に位置する開閉扉と,開閉扉に対し閉状態にて前記ローラ対の軸方向と平行な軸回りの回転移動が可能に設けられ,開閉扉が閉状態にあるときには,用紙の先頭をローラ対の上流側からローラ対のニップへ導くガイド位置に配置され,開閉扉が開状態にあるときには,軸回りの回転移動により,ローラ対から遠ざかる向きにガイド位置から待避するとともに,ガイド位置から待避する向きに付勢されている用紙ガイド部材と,装置本体に設けられ,開閉扉を閉状態にすると用紙ガイド部材を付勢に抗してガイド位置にさせるストッパ部とを有し,用紙ガイド部材の先端は,ガイド位置にある状態では,その状態のまま開閉扉を回転移動させたとするとローラ対のローラに接触する位置にあり,開閉扉が開状態にあるときには実際にはガイド位置から待避することによりローラに接触しない位置となるものである。
この画像形成装置では,開閉扉が閉状態にされているときには,用紙ガイド部材がガイド位置にある。この状態ではストッパ部の作用により,用紙ガイド部材の先端が,そのまま開閉扉を回転移動させたとするとローラ対のローラに接触する位置,すなわち,ローラ対のニップにごく近接した位置にある。このため用紙のガイド性が良好である。開閉扉を開状態にすると,実際にはストッパ部の作用が解除され,用紙ガイド部材が付勢によりガイド位置から待避する。よって用紙ガイド部材の先端がローラ対のローラに接触することはない。こうして,ローラ対のニップの上流側に用紙ガイド部材が残らない状態が得られる。このため,用紙ガイド部材とローラとの干渉なくして,用紙ガイド性とジャム処理作業の容易性とが両立されている。
この画像形成装置においては,用紙ガイド部材が,開閉扉の回転軸に近い方の奥側ガイド部材と開閉扉の回転軸から遠い方の手前側ガイド部材とに分割されているとよりよい。この場合にはストッパ部としても,奥側ガイド部材をガイド位置にさせる奥側ストッパ部と,手前側ガイド部材をガイド位置にさせる手前側ストッパ部とを有することとなる。そして奥側ストッパ部および手前側ストッパ部は,開閉扉を開状態から閉状態にするときに,奥側ストッパ部が奥側ガイド部材をガイド位置にさせることが,手前側ストッパ部が手前側ガイドをガイド位置にさせることより先に起こるように配置されるのである。このようにすることで,開閉扉が回転移動するタイプのものであっても,奥側と手前側とでそれぞれ適切に用紙ガイド部材を移動させることができる。
ここで,奥側ガイド部材と手前側ガイド部材との間に隙間があるとさらによい。奥側ガイド部材および手前側ガイド部材の個々の幅方向長さが小さいこととなるからである。開閉扉が回転移動するタイプのものでは,開閉移動時に用紙ガイド部材が上方から見てローラ対のローラに対して斜めとなる。しかし用紙ガイド部材の個々の幅方向長さが小さいので,用紙ガイド部材の先端とローラ対のローラとの接触が起こることはない。
本発明ではさらに,開閉扉に取り付けられ,用紙ガイド部材をガイド位置から待避させる向きに付勢する付勢部材を有することが望ましい。用紙ガイド部材をガイド位置から待避させる向きの付勢は,ローラ対と用紙ガイド部材との位置関係によっては,用紙ガイド部材またはその保持部材の自重のみで実現することも可能である。しかし,圧縮バネ等の付勢部材を備えた方がより確実である。
また,ストッパ部は,搬送される用紙の最大幅が占める範囲の外側に設けられていることが望ましい。最大幅の用紙を使用する場合でもストッパ部がその搬送を邪魔しないためである。また,ストッパ部は,ローラ対の少なくとも一部を保持する部材上に設けられていることが望ましい。その方が位置精度が高いからである。
また,本発明の画像形成装置の一態様として,用紙供給部が装置内の下部に位置し,用紙排出部が装置内の上部に位置し,用紙供給部における装置の右または左の側方部から用紙が取り出されてそこから上方へ用紙が搬送される構成のものが挙げられる。開閉扉の位置は,装置における前記側方部の面が考えられる。開閉扉の回転移動の回転軸は,装置の奥行き方向における搬送される用紙の最大幅が占める範囲よりも奥側に配置されることが考えられる。
本発明によれば,開閉扉を開いたときにローラ対の入り側の用紙ガイド部材も開閉扉とともに退去するとともに,その際に用紙ガイド部材がローラと接触することのない画像形成装置が提供されている。
実施の形態に係る画像形成装置を,開閉扉を閉じた状態で示す外観斜視図である。 画像形成装置を,開閉扉を開いた状態で示す外観斜視図である。 画像形成装置から取り外した状態の開閉扉の正面図である。 画像形成部の内部の要素を示す概念図である。 画像形成装置における開閉扉と本体との合わせ目付近の断面図である。 図5に示したものを,開閉扉を開いた状態で示す断面図である。 開閉扉の裏面図である。 開閉扉を開いた状態におけるその裏面と,画像形成装置の本体におけるその対向箇所とを示す斜視図である。 開閉扉を閉じた状態における可動ガイドの周辺を示す斜視図である。 開閉扉の下端付近を示す斜視図である。 開閉扉を閉じた状態での可動ガイドとレジストローラとの位置関係を示す断面図である。 (比較例)ガイドを開閉扉に固定して設けた例を示す断面図である。 (比較例)ガイドを装置本体に固定して設けた例を示す断面図である。 (比較例)ガイドを短くした例を示す断面図である。 開閉扉を開いた状態での可動ガイドとレジストローラとの位置関係を示す断面図である。 開閉扉の開閉動作の途中における可動ガイドの周辺を示す断面斜視図である。
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,図1に示すような画像形成装置において本発明を具体化したものである。図1の画像形成装置100は,給紙部1と,画像形成部2と,排紙部3と,読取部4とを有している。給紙部1は,画像形成部2に提供する用紙を収納する部分である。画像形成部2は,後述する感光体ドラム等を内蔵しており,用紙にトナーにより画像を形成する部分である。排紙部3は,画像形成部2で画像形成がなされた用紙が排出される場所である。読取部4は,原稿の画像を読み取る部分である。
画像形成装置100は,用紙を供給する給紙部1が装置内の下部に位置し,用紙の排出を受ける排紙部3が装置内の上部に位置し,給紙部1における画像形成装置100の右の側方部から用紙が取り出されてそこから上方へ用紙が搬送される構成のものである。画像形成装置100は主として,読取部4で読み取った原稿の画像を画像形成部2で用紙上に複写する装置である。画像形成装置100はこの他,外部の機器や記憶媒体,通信回線から取得した画像データに基づく画像形成をも行うことができる。
画像形成装置100における図1中の右側面5には,開閉扉6が設けられている。図1は,開閉扉6を閉じた状態,すなわち画像形成を行うことができる状態を示している。開閉扉6を開いた状態を図2に示す。図1と図2とから明らかなように,開閉扉6の開閉動作は,水平面内での回転移動である。すなわち開閉扉6は開閉動作の際に,垂直な回転軸の回りに回転するものである。言い替えると開閉扉6の開閉移動は,水平面内での回転移動である。なお図2では,理解の便宜のため,画像形成装置100の内部機構の一部を省略している。開閉扉6が設けられている理由は,ジャム発生時のジャム紙の除去作業のためである。その詳細は後述する。
画像形成装置100から取り外した状態の開閉扉6を図3に示す。図3に示されるように,開閉扉6における図3中右端には,ヒンジ7と下軸8とが設けられている。ヒンジ7のヒンジ軸71と下軸8とは同軸をなすように配置されている。画像形成装置100に取り付けられた状態での開閉扉6では,下軸8が画像形成装置100の本体側の軸受けに受け止められており,ヒンジ7が画像形成装置100の本体側に取り付けられている。これにより,開閉扉6は,ヒンジ軸71と下軸8とがなす回転軸(以下,単にヒンジ軸71という)の回りに回転できるのである。
ヒンジ軸71は,開閉扉6における,画像形成装置100の奥行き方向の奥側に位置している。したがって,開閉扉6を開状態(図2)にすると,画像形成装置100の奥行き方向の手前側において,画像形成装置100の本体と開閉扉6との間が大きく開くことになる。なお開閉扉6には,指掛け部61が形成されている。ユーザが手動で開閉扉6の開閉動作を行うためである。
画像形成装置100の画像形成部2には,図4に示すような,画像形成に必要な各種の要素が内蔵されている。画像形成部2の内部には,感光体ドラム10,帯電器20,露光器30,現像器40,転写ローラ50,クリーナ60,定着器70が配置されている。なお図4は,画像形成装置100における画像形成の基本原理を模式的に示すにすぎないものであり,これら各要素の正確な位置関係を示すものではない。
次に,画像形成装置100における,開閉扉6と本体との合わせ目付近の詳細な構造を,図5により説明する。図5は,開閉扉6を閉じた状態での画像形成装置100の,正面側から見た断面の要部を示している。図5に示すように,開閉扉6と本体との合わせ目付近には,図4に示した各要素が配置されており,用紙が下から上へと向かうように用紙搬送経路Pが縦向きに構成されている。図5中,感光体ドラム10および転写ローラ50の下方には,コロ80とレジストローラ81とが配置されている。コロ80とレジストローラ81とは,互いに接触してニップをなしている。それらの下方には,可動物である用紙センサ83が設けられている。さらにその下方には,給紙ローラ82が配置されている。
図6に示すのは,図5に示したものを,開閉扉6を少し開いた状態で示す図である。図6では図5と比較して,開閉扉6の全体が少し右向きに移動している。すなわち,用紙の搬送方向である縦方向に対して交差する方向に,開閉扉6が画像形成装置100の本体から待避している。ただし,実際には開閉扉6の動きは前述のように,縦方向のヒンジ軸71を中心とする回転移動である。よって,画像形成装置100の本体と開閉扉6との間の隙間は,画像形成装置100の奥行き方向の手前側において大きく,奥側では小さい。
図6から分かるように画像形成装置100では,転写ローラ50は開閉扉6に載っている。一方,感光体ドラム10やレジストローラ81は,画像形成装置100の本体側に設けられている。また,開閉扉6を開いた状態では,コロ80とレジストローラ81とのニップの上流側(図6中下側)や,感光体ドラム10から定着器70の入り口にかけての範囲が露出している。このため,開閉扉6を大きく開けば,これらの箇所でのジャム紙が外部に露出するので,その除去を容易に行うことができる。
言い替えると,開閉扉6が,用紙搬送経路の外面側を形成しているのである。開閉扉6における上ガイド85が,感光体ドラム10から定着器70にかけての位置でその役割を果たしている。また開閉扉6には,後述する可動ガイドが設けられており,コロ80とレジストローラ81とのニップの上流側の位置でその役割を果たすようになっている。
開閉扉6の裏面を図7に示す。裏面とは,開閉扉6を閉じた状態で画像形成装置100の内部に隠れる面のことである。開閉扉6の裏面には前述のように転写ローラ50が取り付けられているが,図7では転写ローラ50を取り除いた状態を示している。転写ローラ50は,図7中の矢印Xに示される辺りの位置に取り付けられる。
図7中の開閉扉6の下端付近には,可動ガイド91,92が設けられている。可動ガイド91は,画像形成装置100における,最大幅の用紙の通紙範囲Wのうち,奥行き方向の奥側寄り(図7中左寄り)に位置している。可動ガイド92は,通紙範囲Wのうち,奥行き方向の手前側寄り(図7中右寄り)に位置している。そして,可動ガイド91,92の間には,可動ガイドのない隙間範囲Vが存在している。図5中の用紙センサ83は隙間範囲Vの中にある。なお,図7から明らかなように,ヒンジ軸71(開閉扉6の回転中心軸)は,通紙範囲Wの外側に位置している。ヒンジ軸71から見れば,可動ガイド91,92のうち,可動ガイド91がより近く可動ガイド92はより遠い。
開閉扉6を開いた状態における,開閉扉6の裏面と,画像形成装置100の本体におけるその対向箇所との斜視図を図8に示す。図8に見るように,開閉扉6の裏面側の下端には,可動部材93,94が設けられている。可動部材93,94はいずれも,ガイド軸95に対して回転可能に取り付けられている。ガイド軸95は,図3に示したヒンジ軸71に対して垂直であり,開閉扉6を閉じた状態では画像形成装置100の奥行き方向と平行な方向となる回転軸である。可動部材93,94は,ガイド軸95に対して独立に回転可能である。可動ガイド91は可動部材93に,可動ガイド92は可動部材94に,それぞれ取り付けられている。可動ガイド91,92はいずれも,フィルム状の部材である。その素材は例えば合成樹脂である。
なお,図5および図6には可動ガイド91,92が現れていない。その理由は,図5および図6は,図7で言えば隙間範囲V内の矢印Aの位置での断面図であるからである。図8に戻って,画像形成装置100の本体側には,レジストローラ81の上流側に用紙ガイド99が設けられている。用紙ガイド99は,画像形成装置100の本体側に固定して設けられた部材である。
可動ガイド91,92は,図5に示したコロ80およびレジストローラ81の上流側にて,用紙の搬送をガイドする部材である。このことを図9により説明する。図9は,開閉扉6を閉じた状態における可動ガイド91,92の周辺の斜視図である。
図9に示されるように,コロ80およびレジストローラ81の上流側では,用紙ガイド99と可動ガイド91,92とが,コロ80およびレジストローラ81の上流側における用紙搬送経路Pを区画している。すなわち用紙は,用紙ガイド99と可動ガイド91との間,または,用紙ガイド99と可動ガイド92との間を通って,コロ80とレジストローラ81とのニップに進入するのである。なお図8において,レジストローラ81の端部は,軸保持部材84に保持されている。図8中では省略しているがレジストローラ81の奥側の端部も同様である。
また,開閉扉6においては,そのボディ62と可動部材94との間に,圧縮バネ98が設けられている。図9には現れていないが,可動部材93とボディ62との間にも圧縮バネが設けられている。図9中の圧縮バネ98は縮んだ状態である。自然状態での圧縮バネ98は,図9中に破線で示される部分まで含めた長さのものである。また,可動部材94には当接部96が設けられている。当接部96は,可動部材94に固定されている。図9には現れていないが,奥側の可動部材93にも同様に当接部が設けられている。
図9中の可動部材94および可動ガイド92は,図8中に示された状態と比較して,図中時計回りに少し回転して上昇した状態にある。当接部96が用紙ガイド99の端部のストッパ部97に当接しているからである。言い替えると,図8の開状態での可動部材94および可動ガイド92は,圧縮バネ98の付勢により,図中反時計回りに回転して下降した状態にあるのである。開閉扉6を閉じると,当接部96とストッパ部97との当接により,可動部材94および可動ガイド92は,圧縮バネ98の付勢に抗して,図9中の状態となるのである。同様に奥側でも当接部とストッパ部との当接が起こり,可動部材93および可動ガイド91が図9中の状態となる。この状態での開閉扉6の下部のみを図10に示す。
当接部96は,図7で言えば,通紙範囲Wの右端より外側の矢印Yの辺りに位置する。同様に,奥側の可動部材93の当接部も,通紙範囲Wの左端より外側の矢印Zの辺りに位置する。このため,開閉扉6を閉じて当接部96等をストッパ部97に当接させた状態でも,用紙の搬送に対しては障害とならない。なお,用紙ガイド99やストッパ部97は,レジストローラ81を保持する軸保持部材84と一体であり一部品をなしている。あるいは,コロ80の保持部材もしくはコロ80とレジストローラ81との両者の保持部材と一体であってもよい。これにより,開閉扉6を閉じた状態での可動ガイド91,92の先端位置の位置精度が高い。少ない部品点数でその位置決めがなされているからである。
続いて,上記のようにして可動ガイド91,92が可動となっていることの意義を説明する。開閉扉6を閉じた状態での可動ガイド91,92は概ね,コロ80およびレジストローラ81に対して,図11に示される位置関係にある。図11は,図7で言えば矢印Bまたは矢印Cの位置での断面図である。図11の状態では,可動ガイド91,92の上端が,コロ80とレジストローラ81とのニップに対してごく近接して位置している。このため,用紙のガイド性が非常に良好である。すなわち,搬送される用紙が少々カールしていたとしても,ジャムが起こりにくい。
その一方で図11の状態では,可動ガイド91,92の上端レベルHが,レジストローラ81の下端レベルLより高い位置にある。このため,仮にこの状態のまま開閉扉6を開いて可動ガイド91,92をこの位置から待避させたとすると,可動ガイド91,92がレジストローラ81に接触してしまうことになる。レジストローラ81は本体側に取り付けられており固定である一方,開閉扉6の動きは水平面内の移動だからである。このように可動ガイド91,92がレジストローラ81に接触するようなことは好ましくない。
もし,図12の比較例に示すようにガイド91,92を開閉扉6に対して固定的に設けると,このような不具合が現実に起こってしまうことになる。これに対し図13の比較例に示すように,ガイド91,92を装置本体側に固定的に設けることが考えられる。こうすれば,扉の開閉時にもガイド91,92とレジストローラ81との接触は起こらない。しかしそれでは,開閉扉6を開いても,コロ80とレジストローラ81とのニップの入り側にガイド91,92が残ってしまう。これではジャム紙除去の作業性や視認性がよくない。
あるいは図14の比較例に示すように,ガイド91,92を短くしてしまうことも考えられる。このような方法でもガイド91,92とレジストローラ81との接触を回避することはできる。しかしそれでは,用紙のガイド性が不十分である。ガイド91,92の先端が,コロ80とレジストローラ81とのニップから遠いからである。このため,特に用紙Sの先端がレジストローラ81側にカールしている場合にジャムが起こりやすい。
しかしながら画像形成装置100では,実際には前述のように,開閉扉6を開くと可動ガイド91,92および可動部材93,94が開閉扉6に対して移動する。移動した状態での位置関係は図15のようになる。この状態では可動ガイド91,92の上端レベルHが図11の状態に比して下がっている。このため,可動ガイド91,92がレジストローラ81に接触することはない。これにより,可動ガイド91,92による良好なガイド性と,扉開閉時の部材の干渉の回避とを両立させている。さらに,開閉扉6を開いた状態ではコロ80とレジストローラ81とのニップの入り側には可動ガイド91,92が残らない。このためジャム紙除去の作業性や視認性もよい。
画像形成装置100で開閉扉6が閉じている状態(図1,図5,図9,図11)から開閉扉6を開き始めると,まず奥行き方向の手前側にて,当接部96がストッパ部97から離間する。これにより手前側の可動ガイド92が下がる。ただしこの時点では,奥側の当接部はストッパ部からまだ離間しない。このため奥側の可動ガイド91はまだ下がらない。このときの状態を図16に示す。
開閉扉6をさらに開いていくと,既に下がっている手前側の可動ガイド92は,レジストローラ81に接触することなく装置本体から離れていく。それとともに,奥側の当接部もストッパ部から離間し,奥側の可動ガイド91も下がる。このため,開閉扉6をさらに開いていくと奥側の可動ガイド91も,レジストローラ81に接触することなく装置本体から離れていく。このようにして,可動ガイド91,92のいずれもがレジストローラ81に接触することなく,開閉扉6を開くことができる。このように当接部の離間のタイミングが手前側と奥側とで違うのは,図7から明らかなようにヒンジ軸71からの距離の違いによる。すなわち,ヒンジ軸71から遠い手前側では動きが大きいのに対し,ヒンジ軸71から近い奥側では動きが小さいからである。
一方,開閉扉6が完全に開いている状態(図2,図8)から開閉扉6を閉じる方向に操作していく場面を考える。この場面で最初のうちは,可動ガイド91,92がともに下がっており,レジストローラ81に接触することなく装置本体に近づいていく。ここで可動ガイド91,92のうち,レジストローラ81の真下を先に通過するのは,奥側の可動ガイド91である。そして奥側の当接部がストッパ部に当接し,奥側の可動ガイド91が上がる。このときにも図16の状態となる。続いて手前側の可動ガイド92もレジストローラ81の真下を通過し,当接部96とストッパ部97との当接により上がる。このようにして,可動ガイド91,92のいずれもがレジストローラ81に接触することなく,開閉扉6を閉じる操作が完了する。
以上詳細に説明したように本実施の形態では,コロ80とレジストローラ81とのニップの入り側における装置外側寄りの用紙ガイド(可動ガイド91,92)を,装置本体でなく開閉扉6に設けている。このため開閉扉6を開くと可動ガイド91,92が当該ニップの入り側に残らず,ジャム処理の作業性や視認性がよい。それでいて,可動ガイド91,92を可動とすることにより,閉状態での用紙の良好なガイド性と,開閉動作時の可動ガイド91,92とレジストローラ81との干渉防止とを両立させている。
さらに,可動ガイド91,92を幅方向に2分割とし,奥側の可動ガイド91と,手前側の可動ガイド92とにそれぞれ,上下動のための当接部およびストッパ部を設けている。これにより,奥側と手前側とで異なるタイミングで可動ガイドの移動が起こるようにしている。このため,可動ガイド91,92のいずれもがレジストローラ81と接触することなく,開閉扉6の開閉動作が行われるようになっている。すなわち,開閉扉6の開閉動作自体は水平面内での回転移動であるため,開閉扉6が完全に閉じているときを除き,可動ガイド91,92は上方から見てレジストローラ81に対して斜めとなる。それでも,両方の可動ガイド91,92がそれぞれ適切なタイミングで移動するのである。
また,可動ガイド91,92の間に隙間範囲Vが設けられていることも,このことに貢献している。隙間範囲Vがある分,可動ガイド91,92の幅方向長さが短いので,上方から見てレジストローラ81に対して斜めとなっていても,レジストローラ81と可動ガイド91,92との干渉が起こりにくいのである。隙間範囲Vは,画像形成装置100で取り扱う用紙における最小の幅方向サイズ以下であればよい。これより大きいと,画像形成時に可動ガイド91,92の本来の役割である用紙のガイドが不十分となるおそれがあるからである。
なお,可動ガイド91,92を2分割とすることは必須なわけではない。1つの可動ガイドを通紙範囲Wの中央付近に設ける構成も考えられる。その場合,可動ガイドの幅方向の両端のいずれもがレジストローラ81と干渉しないように,当該可動ガイドの幅方向サイズを適宜設定することになる。また,用紙センサ83を図5中の場所ではなくどこか別の場所に設ける必要がある。ただし,用紙の幅方向両端を適切にガイドできるという点で,2分割方式の方が優れている。また,1つの可動ガイドを用いる構成であっても,当接部とストッパ部との当接箇所は,通紙範囲Wの外側に設ける必要がある。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,圧縮バネ98を省略することが考えられる。可動ガイド91(92)および可動部材93(94)の重心とガイド軸95との位置関係等によっては,可動ガイド91(92)および可動部材93(94)の自重による付勢だけで十分なこともあるからである。
また,図1等では開閉扉6を画像形成装置100の右側面に設けているが,これも必須なわけではない。左側面や背面に開閉扉6を設ける構成も考えられる。また,右側面や左側面に開閉扉を設ける場合,そのヒンジ軸71を奥行き方向の奥側でなく手前側に設けることも,できないわけではない。また,画像形成装置100では,可動ガイド91,92の対象箇所を,コロ80とレジストローラ81とのニップの入り側としている。しかしこれも必須ではない。感光体ドラム10と転写ローラ50とのペアであるとか,定着器70等の他のローラ対を対象とすることもできる。また,読取部4を有しない画像形成装置にも適用可能である。
1 給紙部
2 画像形成部
3 排紙部
5 右側面
6 開閉扉
71 ヒンジ軸
80 コロ
81 レジストローラ
91,92 可動ガイド
97 ストッパ部
98 圧縮バネ
99 用紙ガイド
100 画像形成装置
V 隙間範囲
W 通紙範囲

Claims (7)

  1. 用紙供給部と,画像形成部と,用紙排出部とを有し,前記用紙供給部から供給された用紙に前記画像形成部で画像を形成して前記用紙排出部に排出する画像形成装置において,
    前記用紙供給部から前記用紙排出部への用紙搬送経路上に設けられ,用紙を搬送するローラ対と,
    前記ローラ対の上流側部分を覆う閉状態と,前記ローラ対の上流側部分を覆わない開状態とを取り,閉状態と開状態との間の移動が回転軸回りの回転移動であり,その回転軸が前記ローラ対による用紙の搬送方向に沿った方向であるとともに搬送される用紙の幅が占める範囲の外側に位置する開閉扉と,
    前記開閉扉に対し閉状態にて前記ローラ対の軸方向と平行な軸回りの回転移動が可能に設けられ,前記開閉扉が閉状態にあるときには,用紙の先頭を前記ローラ対の上流側から前記ローラ対のニップへ導くガイド位置に配置され,前記開閉扉が開状態にあるときには,前記軸回りの回転移動により,前記ローラ対から遠ざかる向きにガイド位置から待避するとともに,ガイド位置から待避する向きに付勢されている用紙ガイド部材と,
    装置本体に設けられ,前記開閉扉を閉状態にすると前記用紙ガイド部材を付勢に抗してガイド位置にさせるストッパ部とを有し,
    前記用紙ガイド部材の先端は,
    ガイド位置にある状態では,その状態のまま前記開閉扉を回転移動させたとすると前記ローラ対のローラに接触する位置にあり,
    前記開閉扉が開状態にあるときには実際にはガイド位置から待避することにより前記ローラに接触しない位置となるものであることを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において,
    前記用紙ガイド部材は,前記開閉扉の回転軸に近い方の奥側ガイド部材と前記開閉扉の回転軸から遠い方の手前側ガイド部材とに分割されており,
    前記ストッパ部として,前記奥側ガイド部材をガイド位置にさせる奥側ストッパ部と,前記手前側ガイド部材をガイド位置にさせる手前側ストッパ部とを有し,
    前記奥側ストッパ部および前記手前側ストッパ部は,前記開閉扉を開状態から閉状態にするときに,前記奥側ストッパ部が前記奥側ガイド部材をガイド位置にさせることが,前記手前側ストッパ部が前記手前側ガイドをガイド位置にさせることより先に起こるように配置されていることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項2に記載の画像形成装置において,
    前記奥側ガイド部材と前記手前側ガイド部材との間に隙間があることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載の画像形成装置において,
    前記開閉扉に取り付けられ,前記用紙ガイド部材をガイド位置から待避させる向きに付勢する付勢部材を有することを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の画像形成装置において,
    前記ストッパ部は,搬送される用紙の最大幅が占める範囲の外側に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1つに記載の画像形成装置において,
    前記ストッパ部が,前記ローラ対の少なくとも一部を保持する部材上に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1つに記載の画像形成装置において,
    前記用紙供給部が装置内の下部に位置し,
    前記用紙排出部が装置内の上部に位置し,
    前記用紙供給部における装置の右または左の側方部から用紙が取り出されてそこから上方へ用紙が搬送される構成のものであり,
    前記開閉扉は,装置における前記側方部の面に配置されており,
    前記開閉扉の回転移動の回転軸は,装置の奥行き方向における搬送される用紙の最大幅が占める範囲よりも奥側に位置していることを特徴とする画像形成装置。
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