以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。まず、図1乃至図4を参照して実施形態に係る遊技島台1について説明する。図1は、遊技島台1を示す表面側からの斜視図である。図2は、遊技島台1を示す裏面側からの斜視図である。図3は、遊技島台1の中央に設けられる上部タンク4、オーバーフロー通路9、及び玉抜き通路15の内部構造を示す側面図である。図4は、遊技島台1の中央に設けられる上部タンク4、オーバーフロー通路9、及び玉抜き通路15を示す側面図である。
図1及び図2に示すように、パチンコ島台1は、周知のように、横長の直方体状に枠組み構成され、その長手方向側面中央に遊技機2を背向列設するようになっている。なお、本実施形態における遊技島台1に設置される遊技機2は、パチンコ玉を使用して遊技を行う遊技機であれば、どのような種類の遊技機が設置されるものであってもよい。パチンコ島台1の中央内部には、揚送装置収納部3が形成され、該揚送装置収納部3内に図示しない玉揚送装置が収納設置される。玉揚送装置は、帯状の搬送ベルトによってパチンコ玉を揚送するものであり、その上端部分は、直方体状に形成された遊技島台1の上壁を貫通して配置される。そして、遊技島台1の上壁を貫通した玉揚送装置の上端部分の外周を覆うようにして、当該玉揚送装置によって揚送されたパチンコ玉を一時的に貯留する上部タンク4が設けられている。
上部タンク4から遊技島台1の長手方向に沿った左右方向には、補給樋5が傾斜状に設けられており、上部タンク4からパチンコ玉を流下させるようになっている。補給樋5には、各遊技機2に対応して図示しない分配シュートが設けられ、補給樋5を流下するパチンコ玉を取り込むようになっている。分配シュートによって取り込まれたパチンコ玉は、下部に設けられる図示しない計数装置によって計数された後、遊技機2の背面上部に設けられる図示しない賞球タンクに供給され、遊技によって遊技者に払い出される賞球として使用される。また、各遊技機2で使用されたパチンコ玉は、遊技島台1の裏面下部に取り付けられる図示しないアウト玉箱に放出された後、回収樋6(図3参照)によって回収され、該回収樋6の下流側に接続された後述の下部貯留タンク7に送り込まれる。
一方、遊技島台1内部の下側部分には、図3に示すように、各遊技機2から排出されるパチンコ玉を受け入れ且つ当該遊技島台1で営業中に必要とされ得る玉量を貯留する下部貯留タンク7が設けられており、該下部貯留タンク7に貯留されたパチンコ玉は、導入樋8を介して玉揚送装置に送り込まれるようになっている。また、下部貯留タンク7には、玉揚送装置で揚送されたパチンコ玉であって上部タンク4から溢れたパチンコ玉がオーバーフロー通路9を介して送り込まれるようになっている。オーバーフロー通路9の詳細な構成については後述する。また、遊技機2の下部には、遊技島台1に対してほぼ直交するように外側に向かってカウンタ27が突設されており、該カウンタ27には、遊技機2から払い出される賞球を受け入れるための玉箱や後で詳述する玉抜き作業時にパチンコ玉を回収するための収納箱が載置されるようになっている。
ところで、遊技島台1における一側面(以下、これを表面という)の中央部分、言い換えれば、揚送装置収納部3の表面側には、図1に示すように、当該揚送装置収納部3に収納される玉揚送装置を点検する際に開閉するための点検用上扉10と点検用中扉11と点検用下扉12とが設けられている。なお、点検用上扉10は、遊技島台1の上壁を貫通した玉揚送装置の上端部分の外周を覆うようにして設けられた上部タンク4の側壁面に設けられており、点検用上扉10を開放することで、玉揚送装置の上端部分の点検と共に上部タンク4内部の点検を可能にしている。
一方、遊技島台1における他側面(以下、これを裏面という)の中央部分、言い換えれば、揚送装置収納部3の裏面側には、図2に示すように、上部タンク4から溢れたパチンコ玉を下部貯留タンク7に送り込む前述のオーバーフロー通路9の設置部分を開閉することで、オーバーフロー通路9に隣接して設けられる玉抜き通路15(図3及び図4参照)からパチンコ玉を抜き取るための玉抜き作業用上扉13と玉抜き作業用下扉14とが設けられている。
次に、上記したオーバーフロー通路9及び該オーバーフロー通路9に隣接して設けられる玉抜き通路15について、図5乃至図13を参照して説明する。図5は、上部タンク4、オーバーフロー通路9、及び玉抜き通路15を示す斜視図である。図6は、上部タンク4、オーバーフロー通路9、及び玉抜き通路15の内部構造を示す斜視図である。図7は、上部タンク4、オーバーフロー通路9、及び玉抜き通路15の内部構造を示す正面図である。図8は、上部タンク4、オーバーフロー通路9、及び玉抜き通路15を示す裏面側からの斜視図である。図9は、上部タンク4及び玉抜き通路15とオーバーフロー通路9の内部構造とを示す裏面側からの斜視図である。図10は、パチンコ玉の流路がオーバーフロー通路9側に切り換えられた状態での上部タンク4、オーバーフロー通路9、及び玉抜き通路15の内部構造を示す正面図である。図11は、パチンコ玉の流路がオーバーフロー通路9側に切り換えられた状態での上部タンク4、オーバーフロー通路9、及び玉抜き通路15の内部構造を示す斜視図である。図12は、パチンコ玉の流路が玉抜き通路15側に切り換えられた状態での上部タンク4、オーバーフロー通路9、及び玉抜き通路15の内部構造を示す正面図である。図13は、パチンコ玉の流路が玉抜き通路15側に切り換えられた状態での上部タンク4、オーバーフロー通路9、及び玉抜き通路15の内部構造を示す斜視図である。
図5乃至図7に示すように、上部タンク4の下端には、当該上部タンク4から溢れたパチンコ玉を下部貯留タンク7に誘導するためのオーバーフロー通路9と、上部タンク4から溢れたパチンコ玉を遊技島台1の外部に抜き取るための玉抜き通路15と、が相互に隣接して接続されている。オーバーフロー通路9及び玉抜き通路15は、それぞれ揚送装置収納部3の裏面側内部に直線状に固定されるものであり(図3及び図4参照)、所定の肉厚(例えば、1〜2cm)を有するベニア板等の木材で角筒状(金属板で角筒状に形成してもよい)に形成されている。オーバーフロー通路9及び玉抜き通路15の上流端部分は、それぞれ上部タンク4の下端に形成されて当該上部タンク4内で溢れたパチンコ玉を外部に排出するオーバーフロー排出口20に接続されている。なお、オーバーフロー通路9及び玉抜き通路15の上流端部分の構造について後で詳述する。
また、上部タンク4の内部には、玉揚送装置によって上部タンク4内に揚送されたパチンコ玉を左右の補給樋5に振り分けるための振分部21と、該振分部21によって振り分けられたパチンコ玉を遊技島台1の裏面側から見て右側の補給樋5に導入する右導入部22と、振分部21によって振り分けられたパチンコ玉を遊技島台1の裏面側から見て左側の補給樋5側へ誘導する誘導部23と、該誘導部23によって誘導されたパチンコ玉を左側の補給樋5に導入する左導入部24と、振分部21から溢れたパチンコ玉を前述したオーバーフロー排出口20に誘導するオーバーフロー通路部25と、が形成されている。
オーバーフロー通路9の下流端部分には、オーバーフロー通路9内を流下したパチンコ玉を下部貯留タンク7に誘導するための誘導樋16が接続されている。また、オーバーフロー通路9の下流端側の裏面(遊技島台1の表面側に対向する面)には、図8及び図9に示すように、遊技島台1の保守点検時や玉抜き作業時等に従業員が遊技島台1の外部で集めた若干のパチンコ玉(例えば、玉抜き作業時に遊技島台1の外部にこぼれたパチンコ玉等)を下部貯留タンク7に送り込むための投入口17が設けられている。投入口17は、オーバーフロー通路9の下流端裏面に穿設された連通口9c(図6及び図7参照)と連通して設けられている。これにより、投入口17から投入されたパチンコ玉は、オーバーフロー通路9の下流端に誘導された後、オーバーフロー通路9を流下したパチンコ玉と同様に誘導樋16を介して下部貯留タンク7に誘導されるようになっている。また、投入口17には、通常の営業状態で当該投入口17内にパチンコ玉が入り込まないようにするための開閉蓋18が設けられている。なお、投入口17から投入されたパチンコ玉を、オーバーフロー通路9を流下するパチンコ玉に対して上方向から合流させることで、投入口17から投入されたパチンコ玉を、オーバーフロー通路9を流下するパチンコ玉よりも優先的に流下させることができるため、このようなパチンコ玉の合流部において投入口17から投入されたパチンコ玉が滞留することを防ぐことができる。
一方、玉抜き通路15の下流端側の表面(遊技島台1裏面側の玉抜き作業用下扉14と対向する面)には、玉抜き通路15を流下したパチンコ玉を抜き取るための抜取口15c(図10及び図12参照)が穿設されている。抜取口15cには、通常の営業状態で当該抜取口15cからパチンコ玉が排出されないようにするための開閉部材としてのスライド蓋19(図5参照)が上下方向にスライド移動可能に設けられている。そして、玉抜き作業時に従業員が玉抜き作業用下扉14を開放してスライド蓋19を上方へスライド操作することで、抜取口15cを開放して当該抜取口15cからパチンコ玉を抜き取るようになっている。また、抜取口15cを開閉するスライド蓋19は、図示しないスライド規制部材(例えば、板バネや磁石等)によって上下方向のスライド移動が複数段階に区切られるようになっており、これにより、抜取口15cの開口量を複数段階に調整でき、ひいては、抜取口15cから排出されるパチンコ玉の玉量調整を可能にしている。なお、本実施形態では、開閉部材としてスライド蓋19を用いたが、抜取口15cからパチンコ玉が排出されないように抜取口15cを閉鎖できる部材であればよく、脱着式の開閉部材でもよい。また、本実施形態では、垂直方向にパチンコ玉を流下させる玉抜き通路15の側面に抜取口15cを設け、該抜取口15cに対してスライド蓋19が上下方向(垂直方向)にスライド移動可能に設けられている。このため、スライド蓋19に対して玉抜き通路15内を流下する全てのパチンコ玉の圧力が掛かることがないので、スライド蓋19のスライド操作をスムーズに行うことができる。
なお、玉抜き通路15の下流端部分の位置、言い換えれば、パチンコ玉を抜き取るための抜取口15cの位置は、従業員が玉抜き作業用下扉14を開放して玉抜き作業をする際に、抜取口15cから排出されるパチンコ玉を収納箱に受け入れることが可能な高さ位置となっている。このため、オーバーフロー通路9の高さ寸法は、上部タンク4の下端から下部貯留タンク7の上端までの寸法とほぼ同一に設定されているのに対して、玉抜き通路15の高さ寸法は、上部タンク4の下端から遊技島台1のほぼ真ん中の高さ位置までの寸法に設定されている。また、玉抜き通路15の抜取口15cの左側方には、玉揚送装置の駆動・停止(ON/OFF)を操作するための操作スイッチ26が配置されている(図4参照)。
次に、上部タンク4の下端に接続されるオーバーフロー通路9と玉抜き通路15の上流端部分の構造、及び各通路9,15の内部構造について、図10乃至図13を参照して説明する。オーバーフロー通路9及び玉抜き通路15は、前述したように相互に隣接して設けられるものであり、その上流端部分には、図10乃至図13に示すように、隣接された各通路9,15の横幅寸法と同一幅の流路切換部30が設けられている。流路切換部30は、その右側半分の領域、言い換えれば、オーバーフロー通路9の上端と連通する領域(以下、これをオーバーフロー連通領域31という)がオーバーフロー排出口20の下方に配置されている。一方、流路切換部30の左側半分の領域は、玉抜き通路15の上端と連通する領域(以下、これを玉抜き連通領域32という)となっている。また、流路切換部30内には、オーバーフロー連通領域31と玉抜き連通領域32との間でスライド移動可能に流路切換手段としての流路切換部材33が設けられている。流路切換部材33は、その横幅寸法が流路切換部30の横幅寸法のほぼ半分の値、言い換えれば、オーバーフロー連通領域31及び玉抜き連通領域32の横幅寸法とほぼ同一の値で形成され、その上面部分には、オーバーフロー連通領域31側から玉抜き連通領域32側へ向かって下り傾斜した玉転動面34が形成されている。なお、この玉転動面34は、後述するように流路切換部材33をオーバーフロー連通領域31側へスライド移動させた状態、即ち、パチンコ玉の流路を玉抜き連通領域32側に切り換えた状態で、オーバーフロー排出口20から排出されるパチンコ玉を転動して玉抜き連通領域32に誘導するものである。また、流路切換部材33の一側面の下端部分には、流路切換部材33を流路切換部30内で左右方向(オーバーフロー連通領域31と玉抜き連通領域32との間)にスライド操作するための操作部35が突設されている。
しかして、上記した流路切換部材33は、従業員の操作によって玉抜き連通領域32側へスライド移動された状態(図10及び図11に示す状態)では、玉抜き連通領域32を閉鎖し且つオーバーフロー連通領域31を開放することにより、上部タンク4のオーバーフロー排出口20とオーバーフロー通路9とを連通して、オーバーフロー排出口20から排出されるパチンコ玉の流路をオーバーフロー通路9側に切り換えるようになっている。一方、オーバーフロー連通領域31側へスライド移動された状態(図12及び図13に示す状態)では、オーバーフロー連通領域31を閉鎖し且つ玉抜き連通領域32を開放することにより、上部タンク4のオーバーフロー排出口20と玉抜き通路15とを連通して、オーバーフロー排出口20から排出されるパチンコ玉の流路を玉抜き通路15側に切り換えるようになっている。なお、図10及び図11に示すように、パチンコ玉の流路をオーバーフロー通路9側に切り換えた状態では、オーバーフロー排出口20の内壁面20a、その下方に位置する流路切換部材33の側端面36、その下方に位置するオーバーフロー通路9の側壁9a、がパチンコ玉の玉流れを妨げるような段差状にならないように構成されており、これによって、流路切換部材33等の各種部材の破損やパチンコ玉の停滞を回避するようになっている。
次に、オーバーフロー通路9及び玉抜き通路15の内部構造について説明する。オーバーフロー通路9及び玉抜き通路15は、それぞれ左右の側壁(オーバーフロー通路9の左右の側壁9a,9b、玉抜き通路15の左右の側壁15a,15b)を有し、オーバーフロー通路9の左側壁9aと玉抜き通路15の右側壁15bとが当接して配置されることで、オーバーフロー通路9と玉抜き通路15とが相互に隣接して設けられている。オーバーフロー通路9の側壁9a,9b内面には、それぞれオーバーフロー通路9を流下するパチンコ玉の勢いを弱めるための第一規制部材としての流下規制板40が交互に多数突設されている。また、同様に、玉抜き通路15の側壁15a,15b内面には、それぞれ玉抜き通路15を流下するパチンコ玉の勢いを弱めるための第二規制部材としての流下規制板41が交互に多数突設されている。なお、流下規制板40,41の上面及び各通路9,15の内周面には、それぞれパチンコ玉の衝突によって発生する騒音を抑制するための緩衝部材42(例えば、ゴム板や合成樹脂板等)が貼付されている。
ところで、上記したオーバーフロー通路9及び玉抜き通路15が相互に隣接する各側壁9a,15bには、それぞれ各通路9,15を連通する連通口43が複数(実施形態中では、上・中・下の3つ)穿設されている。連通口43は、オーバーフロー排出口20から排出されるパチンコ玉の流路を玉抜き通路15側に切り換えた状態(流路切換部材33をオーバーフロー連通領域31側へスライド移動させた状態)で、後述するように玉抜き通路15内にパチンコ玉が充満するような場合、玉抜き通路15内のパチンコ玉をオーバーフロー通路9側へ送り込むことで、玉抜き通路15内のパチンコ玉が満杯となって抜取口15cからパチンコ玉をスムーズに抜き取れなくなるような不具合を回避するようになっている。
なお、連通口43は、上記したような抜取口15cからのパチンコ玉のスムーズな抜き取りを可能にするために、以下に示す4つの条件A〜Dをクリアする必要がある。1つ目の条件Aは、玉抜き通路15内に充満するパチンコ玉は、連通口43を通ってオーバーフロー通路9へ送り込まれる。2つ目の条件Bは、玉抜き通路15内を流下するパチンコ玉は、直接、連通口43を通ってオーバーフロー通路9へ送り込まれることがない。3つ目の条件Cは、オーバーフロー通路9内に充満するパチンコ玉は、連通口43を通って玉抜き通路15へ送り込まれることがない。4つ目の条件Dは、オーバーフロー通路9内を流下するパチンコ玉も同様に、連通口43を通って玉抜き通路15へ送り込まれることがない。
具体的に、上記した4つの条件A〜Dをクリアするために、本実施形態では、オーバーフロー通路9と玉抜き通路15とを連通する連通口43に対して、各通路9,15内に突設される流下規制板40,41を所定の位置に配置している。玉抜き通路15内の流下規制板41において、オーバーフロー通路9と隣接する側壁15bと対向する側壁15aに設けられる流下規制板41は、連通口43の直上位置を避けるように連通口43とほぼ同一の高さ位置に配置されており、オーバーフロー通路9と隣接する側壁15bに設けられる流下規制板41は、側壁15aに上下方向で並設される2つの流下規制板41のほぼ中間位置に配置されている。これにより、オーバーフロー通路9と隣接する側壁15aの流下規制板41の直下位置となるデッドスペースに口43を位置させることなく、然も、連通口43と対向する側壁15bの流下規制板41に衝突したパチンコ玉が跳ね返りによって連通口43に入ることを回避することができるので、玉抜き通路15内を流下するパチンコ玉をそのまま抜取口15cへ送り込み、玉抜き通路15内に充満したパチンコ玉だけを連通口43からオーバーフロー通路9へ送り込むことができる。即ち、玉抜き通路15内の流下規制板41の配置設定によって条件A,Bをクリアしている。
一方、オーバーフロー通路9内の流下規制板40において、玉抜き通路15と隣接する側壁9aに設けられる流下規制板40は、連通口43の直上位置に配置されており、玉抜き通路15と隣接する側壁9aと対向する側壁9bに設けられる流下規制板40は、連通口43の直上位置を避けるように側壁9aに上下方向で並設される2つの流下規制板40のほぼ中間位置に配置されている。これにより、側壁9a側の流下規制板40の直下位置となるデッドスペースに連通口43が位置することになり、然も、連通口43と対向する側の側壁9bの流下規制板40に衝突したパチンコ玉が跳ね返りによって連通口43に入ることを回避することができるので、オーバーフロー通路9から玉抜き通路15へパチンコ玉が送り込まれることを回避することができる。即ち、オーバーフロー通路9内の流下規制板40の配置設定によって条件C,Dをクリアしている。
ここで、下部貯留タンク7に貯留されているパチンコ玉を遊技島台1の外部に抜き取る作業手順について説明する。なお、下部貯留タンク7からパチンコ玉を抜き取る作業は、下部貯留タンク7内の清掃やメンテナンスを目的として非営業中に行われるものである。先ず、玉抜き作業用の上扉13及び下扉14を開放して、玉揚送装置の駆動・停止用の操作スイッチ26を操作することで、玉揚送装置の駆動を停止させてオーバーフロー通路9内でのパチンコ玉の玉流れをなくす。これにより、流路切換部30での流路切換部材33のスライド操作がスムーズに行えるようになる。そして、操作部35を操作して流路切換部材33をオーバーフロー連通領域31側へスライド移動させることにより、上部タンク4のオーバーフロー排出口20から排出されるパチンコ玉の流路を玉抜き通路15側に切り換える。
次に、玉抜き通路15の下流端に設けられたスライド蓋19を開放操作することで抜取口15cを開放状態にして、玉抜き作業用下扉14と対応するカウンタ27の上に収納箱を載置する。その後、操作スイッチ26を操作して玉揚送装置の駆動を再開してパチンコ玉を上部タンク4に揚送し、上部タンク4内で溢れたパチンコ玉をオーバーフロー排出口20から玉抜き通路15に送り込む。これにより、玉抜き通路15下流の抜取口15cからパチンコ玉を排出させて、該排出させたパチンコ玉を収納箱で回収する。このとき、収納箱が小さい場合は、スライド蓋19のスライド移動を調整することで抜取口15cの開口量を小さくして、抜取口15cからのパチンコ玉の排出量を減らすようにし、また、収納箱がパチンコ玉で満杯になった場合は、スライド蓋19で抜取口15cを閉鎖して抜取口15cからパチンコ玉が排出されないようにする。
なお、この場合、上部タンク4から玉抜き通路15に送り込まれるパチンコ玉の玉量よりも、玉抜き通路15の抜取口15cから抜き取られるパチンコ玉の玉量の方が少ないため、玉抜き通路15内にはパチンコ玉が充満していく。そして、玉抜き通路15内に充満されたパチンコ玉は、下方の連通口43から順にオーバーフロー通路9へと流れ込み、玉抜き通路15からオーバーフロー通路9内に流れ込んだパチンコ玉は、下部貯留タンク7から玉揚送装置へと流れ、再び上部タンク4から玉抜き通路15内に入り込む。また、オーバーフロー排出口20から玉抜き通路15に送り込まれるパチンコ玉の玉量を「10」とすると、1つの連通口43からオーバーフロー通路9に送り込まれるパチンコ玉の玉量は「4」程度に設定されている。このため、パチンコ玉の流路を玉抜き通路15側に切り換えた状態で抜取口15cを閉鎖しても、3つの連通口43からオーバーフロー通路9に送り込まれるパチンコ玉の許容量は「12」であるため、上部タンク4に多量のパチンコ玉が貯留されてパンクするようなことはない。なお、本実施形態では、上述した条件A〜Dをクリアする連通口43を設けるために、小さな連通口43を3つ設けているが、上述した条件A〜Dをクリアし、且つオーバーフロー排出口20から玉抜き通路15に送り込まれるパチンコ玉の玉量以上のパチンコ玉をオーバーフロー通路9に送り込むことができればよい。
ところで、上記したような玉抜き作業において、作業者は、遊技島台1における遊技機2の非設置空間(遊技島台1中央の玉抜き作業用上扉13及び玉抜き作業用下扉14を開放した空間)であり、且つ、玉揚送装置の裏面側空間(揚送装置収納部3内の玉揚送装置の設置空間とは反対側の空間)で作業を行うことになる。言い換えれば、玉抜き作業用の抜取口15cのスライド蓋19及び流路切換部材33の操作部35、さらには玉揚送装置の駆動・停止用の操作スイッチ26は、それぞれ玉抜き作業用下扉14で閉鎖される揚送装置収納部3の裏面側空間に配置されている。このため、玉抜き作業用上扉13及び玉抜き作業用下扉14が施錠閉鎖される通常の営業時には、玉抜き作業用の操作手段(スライド蓋19、操作部35、及び操作スイッチ26)を遊技者が操作できないように収納するることができる。また、このような構成とすることで、作業者は、遊技機2を開放することなく、然も、作業中は玉揚送装置に触れる虞がないので、容易且つ安全に玉抜き作業を行うことができる。
また、オーバーフロー通路9及び玉抜き通路15を連通する連通口43の構成としては、図10乃至図13に示すように、オーバーフロー通路9と玉抜き通路15とを真横に繋ぐ形状となっているが、この構成に限定するものではない。例えば、図14(A)に示す変形例1の連通口44のように、玉抜き通路15側からオーバーフロー通路9側に向かって下った段差形状に形成したり、図14(B)に示す変形例2の連通口45のように、玉抜き通路15側からオーバーフロー通路9側に向かって下り傾斜した形状に形成してもよい。このような変形例1の連通口44及び変形例2の連通口45の構成によれば、共に玉抜き通路15側からオーバーフロー通路9側に向かって下った通路形状とすることで、通常の営業状態においてオーバーフロー通路9内を流下するパチンコ玉及びオーバーフロー通路9内に充満したパチンコ玉を、より確実に玉抜き通路15側へ送り込まないようにすることができる。
以上のように、本実施形態の構成によれば、下部貯留タンク7に貯留されているパチンコ玉を遊技島台1の外部に抜き取る玉抜き作業を行う場合、流路切換部材33によってパチンコ玉の流路を通常営業時のオーバーフロー通路9側から玉抜き通路15側に切り換える。これにより、下部貯留タンク7内のパチンコ玉は、玉揚送装置によって上部タンク4に揚送された後に補給樋5に送り込まれることなく上部タンク4から溢れると、下部貯留タンク7に送り戻すためのオーバーフロー通路9を通ることなく玉抜き通路15側へ流れ込む。そして、玉抜き通路15の下流端の抜取口15cに設けられたスライド蓋19を開放して、抜取口15cから排出されるパチンコ玉を玉箱等で回収していき、下部貯留タンク7に貯留されているパチンコ玉を遊技島台1の外部に抜き取る。
また、このとき、抜取口15cから排出されるパチンコ玉の時間当りの玉量が多く、一旦、スライド蓋19を閉鎖して玉抜き作業を中断することで玉抜き通路15内にパチンコ玉が充満するような場合、玉抜き通路15内に充満したパチンコ玉は、連通口43からオーバーフロー通路9へと流れ込んだ後に再度下部貯留タンク7に送り込まれる。このため、玉抜き通路15内あるいは上部タンク4内でパチンコ玉が満杯になって玉詰まりが発生して玉抜き作業がスムーズに行えなくなるような不具合を回避することができるので、従業員に対して忙しない玉抜き作業を強いることがなく、結果として、下部貯留タンク7に貯留されているパチンコ玉を遊技島台1の外部に抜き取る玉抜き作業の作業性を高めることができる。
また、玉抜き通路15とオーバーフロー通路9とを相互に隣接して設けると共に、玉抜き通路15及びオーバーフロー通路9の隣接側の側壁15b,9aに上下方向に複数の連通口43を並設する。そして、玉抜き通路15と隣接する側壁9aの流下規制板40を連通口43の直上位置に配置する一方、側壁9aと対向する側壁9bの流下規制板40を、連通口43の直上位置を避けるように側壁9aに上下方向で並設される2つの流下規制板40のほぼ中間位置に配置する。これにより、玉抜き通路15と隣接する側壁9aの流下規制板40の直下位置となるデッドスペースに連通口43が位置することになり、然も、連通口43と対向する側の側壁9bの流下規制板40に衝突したパチンコ玉が跳ね返りによって連通口43に入ることを回避することができるので、オーバーフロー通路9から玉抜き通路15へパチンコ玉が送り込まれることを回避することができる。従って、玉抜き通路15内にパチンコ玉が充満した場合でも、オーバーフロー通路9から連通口43を介した玉抜き通路15へのパチンコ玉の玉流れがないので、玉抜き通路15内のパチンコ玉を連通口43からスムーズにオーバーフロー通路9へ送り込むことができる。
また、オーバーフロー通路9と隣接する側壁15bと対向する側壁15aの流下規制板41を、連通口43とほぼ同一の高さ位置に配置する一方、側壁15bの流下規制板41を、側壁15aに上下方向で並設される2つの流下規制板41のほぼ中間位置に配置する。これにより、オーバーフロー通路9と隣接する側壁15bの流下規制板41の直下位置となるデッドスペースに連通口43を位置させることなく、然も、連通口43と対向する側の側壁15aの流下規制板41に衝突したパチンコ玉が跳ね返りによって連通口43に入ることを回避することができるので、玉抜き通路15内を流下するパチンコ玉をそのまま抜取口15cへ送り込み、玉抜き通路15内に充満したパチンコ玉だけを連通口43からオーバーフロー通路9へ送り込むことができる。
なお、本実施形態の構成において、玉揚送装置の駆動・停止用の操作スイッチ26は、遊技島台1の表面側の扉(点検用上扉10、点検用中扉11、及び点検用下扉12)のいずれかが開放状態にある場合、これに基づいて玉揚送装置の保守点検中であると判断して、自動的に操作不能に切り換えるようにしてもよい。また、本実施形態では、遊技島台1中央に設置される玉揚送装置の近傍位置にオーバーフロー通路9及び玉抜き通路15を設けているが、これに限定するものではない。例えば、オーバーフロー通路及び玉抜き通路の下流端を遊技島台の長手方向の両端部分に配置するようにしてもよい。この場合、遊技島台の島端に位置する妻板部を開閉可能な構成とすることで、本実施形態と同様に、遊技機を開放することなく玉抜き作業が行えるようになる。
また、本実施形態では、本発明に係る流路切換手段としての流路切換部材33の操作に基づいて、上部タンク4から溢れたパチンコ玉の流れを玉抜き通路15又はオーバーフロー通路9のいずれか一方に完全に切り換える構成としているが、この構成に限定するものではない。例えば、遊技島台1の内部でパチンコ玉を循環させる場合は、上部タンク4から溢れたパチンコ玉を優先的にオーバーフロー通路9に導き、オーバーフロー通路9内でパチンコ玉が満杯になると玉抜き通路15に導くようにする一方、遊技島台1の外部にパチンコ玉を抜き取る場合は、上部タンク4から溢れたパチンコ玉を優先的に玉抜き通路15に導き、玉抜き通路15内でパチンコ玉が満杯になるとオーバーフロー通路9に導くようにする構成であってもよい。即ち、流路切換手段は、玉流れの優先順位を切り換えるようなものであってもよい。但し、本実施形態の流路切換部材33のように、パチンコ玉の流れを完全に切り換える構成とした場合には、遊技島台1内にパチンコ玉を循環させている最中にパチンコ玉が玉抜き通路15に侵入してしまうことを確実に防ぐことができる。
また、本実施形態では、流路切換手段を手動で操作するもの(流路切換部材33)を示したが、これに限らず、流路切換手段は、玉抜きスイッチ等の操作部材を操作することで電気的に流路が切り換わるようなものでもよい。また、流路切換手段の流路切換動作と玉揚送装置によるパチンコ玉の揚送動作とを一連の制御として実行してもよい。例えば、玉抜きスイッチを押圧操作して、玉揚送装置による玉の揚送を停止させ、オーバーフロー通路をパチンコ玉が流下しない状態とする。その状態で、流路切換手段を作動させて上部タンクから溢れたパチンコ玉が玉抜き通路を流下する状態にして、パチンコ玉の揚送を再開させるように制御してもよい。