JP5386707B2 - 再処理装置用超高純度鉄合金 - Google Patents

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本発明は、使用済核燃料の再処理装置などに用いられる耐硝酸腐食性に優れるフェライト系の超高純度鉄合金に関するものである。ここで、本発明の上記高純度鉄合金には、極微量のC,N,SおよびOを含有する高純度鉄(純Fe)も含むものとする。
使用済核燃料からウランとプルトニウムを回収する再処理は、わが国のほかフランス、英国でも行われているが、そのプロセスにはいずれも湿式のピューレックス法(Purex法)が採用されている。このピューレックス法では、軽水炉等で使用した燃料を細かく刻んで硝酸溶液中に入れ、熱して溶かし、その後、核燃料と廃棄物に分離し、さらに、核燃料は濃縮して再使用し、廃棄物は濃縮して廃棄している。したがって、この工程で使用される装置の材料には、耐硝酸腐食性に優れることが要求される。
ピューレックス法で使用される装置用材料としては、SUS304系あるいはそれにMoを添加して耐食性を高めたSUS316系のオーステナイト系ステンレス鋼が汎用されている。これらの鋼は、HNO溶液中で不働態化し、非晶質の水和オキシ水酸化クロム(CrO(OH)3−2x・nHO)を主成分とした酸化皮膜を材料表面に形成することで良好な耐食性を示すことが知られている。しかし、ステンレス鋼の腐食電位が過不働態域またはその近傍に維持される強酸化環境下で使用される場合や、あるいは、核燃料中の超ウラン元素や核分裂生成物が溶け込むことにより腐食性が一段と強くなった場合には、粒界腐食を伴って、全面的に腐食が促進されるようになる。
上記粒界腐食は、一般に、溶接による熱影響によって鋼中の炭素が粒界上にクロム炭化物(Cr23)として析出し、それに伴い生成するCr欠乏域に起因したいわゆる鋭敏化現象によって生ずるとされてきた。そこで、この対策として、結晶粒を粗大化させて耐硝酸腐食性を高めたステンレス鋼や、CrやNiの含有量を高めた25Cr−20Ni系ステンレス鋼、炭素含有量を0.03mass%以下とした上で、Cとの親和力の強いTi,Nbを添加してTiC,NbCとして炭素を固定して安定化した極低炭素ステンレス鋼(例えば、特許文献1参照)、Nを高めてσ相の生成を抑制し粒界腐食を抑制した鋼(例えば、特許文献2参照)、等が開発されている。
また、粒界腐食には、鋼中に含まれるPやSi等の不純物が強く影響していることから、これらの含有量を適正範囲に制御したステンレス鋼が開発されている(例えば、特許文献3,4参照)。
特公平03−080864号公報 特公昭57−028740号公報 特開平03−197619号公報 特開平04−036400号公報
しかしながら、上記鋼の開発によって、硝酸に対する耐食性は改善されたとはいうものの、まだ実用上十分なレベルではなく、さらなる耐硝酸腐食性の改善が望まれている。一方、さらに厳しい腐食環境においても優れた耐食性を示す材料としては、チタンやチタン−5%タンタル合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金が知られているが、それらはいずれも高価であり、また、ジルコニウムは希少金属であり、入手が困難になりつつある。
そこで、本発明の目的は、安価でかつ従来のオーステナイト系ステンレス鋼よりも耐硝酸腐食性に優れる再処理装置用材料(高純度鉄合金)を提供することにある。
発明者らは、かねてから、フェライト系の純FeおよびFe−Cr系合金を高純度化したときの合金が有する各種特性の変化に着目し、研究を重ねてきた。その結果、純FeやFe−Cr系合金を、従来の不純物混入レベルを超えてさらに低減し、C,N,SおよびOの合計を100massppm以下に高純度化することにより、加工性や溶接性、耐食性等に優れるだけでなく、耐硝酸腐食性にも優れる材料を得ることができることを知見し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、C:15massppm以下、N:15massppm以下、S:12massppm以下、C,N,SおよびOの合計量が100massppm、さらに、Cr:20.05〜50mass%、Al:0.037mass%以下、Ni:0.60mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成からなる耐硝酸腐食性に優れる再処理装置用高純度鉄合金である。
本発明の高純度鉄合金は、上記成分組成に加えて、Mo:10mass%以下およびW:10mass%以下のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする。
本発明によれば、従来のオーステナイト系ステンレス鋼(SUS316L)と比較して、耐硝酸腐食性に優れる材料(鉄合金)を提供することができる。したがって、本発明の鉄合金は、硝酸腐食環境下で使用される材料、特に、核燃料再処理装置に用いて好適である。
本発明に係る高純度鉄合金の成分組成を限定する理由について説明する。
(C+N+S+O):100massppm以下
C,N,SおよびOは、鋼中に不純物として不可避的に混入してくる元素である。これらの元素は、他の元素と炭窒化物や硫化物、酸化物等を形成し、粒界や粒内に析出して、耐硝酸腐食性を劣化させるだけでなく、加工性や溶接性、耐食性等の低下を引き起こす。特に、これらの元素の合計量が100massppmを超えると耐硝酸腐食性の低下が顕著となるため、C,N,SおよびOは、合計で100massppm以下に制限する。好ましくは、50massppm以下、より好ましくは、30massppm以下である。
なお、C,N,SおよびOは、合計で100massppm以下であることが必須であるが、個々の成分については、C:20massppm以下、N:20massppm以下、S:10massppm以下およびO:50massppm以下であることが好ましく、さらには、C:10massppm以下、N:10massppm以下、S:5massppm以下およびO:30massppm以下であることがより好ましい。
本発明の高純度鉄合金は、上記成分以外に、Cr,WおよびMoのうちから選ばれる1種または2種以上
を下記範囲で含有することができる。
Cr:15〜50mass%
Crは、本発明の高純度鉄合金においては、強度と耐食性を向上するために添加することができる元素である。Cr含有量が15mass%未満では、強度や耐食性の向上効果が十分に得られない。一方、Crの含有量が50mass%を超えると、上記効果が飽和すると共に、靭性も低下するようになる。より好ましくは、20〜40mass%の範囲である。
W:10mass%以下
Wは、合金強度を高めるのに有効な元素であり、必要に応じて添加することができる。しかし、10mass%を超えて添加した場合には、靭性の低下を招く。よって、Wは、10mass%以下添加するのが好ましい。より好ましくは、1〜6mass%の範囲である。
Mo:10mass%以下
Moは、耐粒界腐食性を改善し、合金強度を高めるのに有効な元素であり、必要に応じて添加することができる。しかし、10mass%を超えて添加した場合には、靭性の低下を招く。よって、Moは、10mass%以下添加するのが好ましい。より好ましくは2〜6mass%の範囲である。
本発明の高純度鉄合金は、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。しかし、上記以外の成分は、本発明の作用効果を害さない範囲であれば含有することができ、例えば、Si:0.015mass%以下、Mn:0.01mass%以下、P:0.01mass%以下、Al:0.05mass%以下、Ni:0.60mass%以下の範囲で含有してもよい。
また、NbおよびTiは、C,Nと炭窒化物を形成したり、Sと硫化物等を形成したりして析出し、高温強度を高める元素であり、Nb:1mass%以下、Ti:1mass%以下の範囲で必要に応じて添加することができる。なお、これらの元素を同時添加する場合には、合計で1.5mass%以下に制限するのが好ましい。
また、Bは、粒界の強度を高める元素であり、必要に応じて0.0050mass%以下の範囲で含有することができる。
その他の不可避的不純物としては、Cu,Pb,As,Sn,Zn,Zr等があるが、これらの元素は合計で0.01mass%以下に制限することが好ましい。
上記成分組成を満たす本発明の高純度鉄合金は、耐硝酸性部材として汎用的に使用されているSUS316Lの2倍以上の耐硝酸腐食性を有するものとなる。特に、C,N,SおよびOの合計含有量をさらに低減し、C,N,SおよびOの合計含有量を30massppm以下の超高純度にした場合には、SUS316Lの6倍以上という極めて優れた耐硝酸腐食性を有するものとなる。
表1に示した、C,N,SおよびOの含有量が異なる35mass%Cr−Fe合金および20mass%Cr−3mass%Mo−2mass%W−Fe合金を溶製し、鍛造あるいは熱間圧延して板厚:10mmの板材とし、その後、大気雰囲気中で950℃×30minの溶体化処理を施した後、これらの板材から機械加工により幅:15mm×長さ:15mm×板厚:3mmの大きさの試験片を切り出し、この表面を#800のエメリー紙で湿式研磨し、腐食試験片とした。
これらの試験片を、67%硝酸溶液中に200massppmのCr6+を添加し、120℃に保持した沸騰溶液中に、48hr浸漬する腐食試験を行い、試験前後の質量差から、腐食速度(g/m・hr)を求めた。
その後、この腐食試験後の試験片を、板厚方向に切断して樹脂に埋め込み、試料表面の腐食状態を光学顕微鏡で調査した。
Figure 0005386707
上記腐食試験による腐食速度の測定結果を図1に示した。また、図2は、本発明の超高純度鉄合金の代表としてNo.5の合金と、比較例であるNo.8のSUS316Lの試験片表面における腐食状態を比較した顕微鏡写真を示したものである。これらの結果から、本発明の超高純度鉄合金は、SUS316Lと比較して、2倍以上の耐硝酸腐食性を有していることがわかる。
本発明の超高純度鉄合金は、耐硝酸腐食性に優れるため、核燃料再処理装置の他、硝酸製造設備や尿素製造設備等の材料として好適に用いることができる。
本発明合金とSUS316Lの耐硝酸腐食性を示すグラフである。 本発明合金とSUS316Lの硝酸腐食試験後の表面近傍断面を比較した写真である。

Claims (2)

  1. C:15massppm以下、N:15massppm以下、S:12massppm以下、C,N,SおよびOの合計量が100massppm以下、さらに、Cr:20.05〜50mass%、Al:0.037mass%以下、Ni:0.60mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成からなる耐硝酸腐食性に優れる再処理装置用高純度鉄合金。
  2. 上記成分組成に加えてさらに、Mo:10mass%以下およびW:10mass%以下のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の再処理装置用高純度鉄合金。
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