JP5386596B2 - 荷電粒子線装置 - Google Patents
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Description
本発明は荷電粒子線装置に係り、特に、プローブとなる荷電粒子が試料に照射された際に照射位置から発生した信号荷電粒子をエネルギー弁別して検出する信号検出器を備えた荷電粒子線装置に関する。
荷電粒子をプローブとして試料上に照射し、照射位置から発生した荷電粒子を検出することによって、照射位置に関する試料情報を得る荷電粒子線装置が広く知られている。特に、一般的なものでは、試料上に収束させた電子線プローブを二次元的に走査し、照射位置から発生する二次電子や反射電子を検出し、その量に関する信号をプローブの走査と同期してマッピングすることで走査領域の二次元画像を得る走査電子顕微鏡がある。走査電子顕微鏡においては、凹凸コントラストや組成コントラストなどの所望のコントラストを強調するため、信号電子をエネルギー弁別して検出する手段が複数報告されており、例えば特許文献1〜5があげられる。
走査電子顕微鏡(荷電粒子線装置)において、これまで主に高分解能な画像を得るための技術の開発を行ってきた。このような技術開発の中で、発明者等は、高分解能な画像が得られる条件で二次電子や反射電子の有するエネルギーを複数のエネルギー帯に弁別して検出することにより有用な情報が得られることを見出した。そこで、これに関する先行技術を調べた。
特許文献1には、軸外に検出対象の電子を偏向させてエネルギーを弁別する手段が開示されている。この手法では、信号電子の軌道軸上に電場または磁場を与える手段と、軸外に配置された検出器を持ち、前述の電場または磁場によって検出器の方向に所望のエネルギーを持つ電子のみを偏向させて検出する。
特許文献2や特許文献3には、検出対象の電子の軌道上に電子を減速するための遮蔽電界を設けてエネルギーを弁別する手段が開示されている。これらの手法では、信号電子の軌道上に、メッシュ状の電極を設置する。このメッシュ電極に電圧を印加することによって遮蔽電界を作り、信号電子の軌道上に所望のエネルギー以下のエネルギーを持つ電子を遮蔽する。
また、特許文献5には、検出器と薄膜を用いてエネルギー弁別を行う別の手法が開示されている。この手法では、検出器の感受面に軸対称で段階的に変化する膜厚の薄膜を形成する。これにより、高速電子のハイパス検出が可能となる。段階的に変化する膜厚は、外側に行くほど薄くなっており、信号電子が薄膜から受けるエネルギー減衰量が、その信号電子の仰角に依存しないようになっている。
特許文献4には、検出器の感受面と試料の間に薄膜を設ける方法が開示されている。この文献では、電子検出器であるMCP(マイクロ・チャンネル・プレート)検出器の感受面と試料との間に薄膜を設ける。この目的は、300eV程度の低エネルギーで感度が最大となるMCPにおいても、高エネルギー電子を効率的に検出することである。薄膜により高エネルギー電子はエネルギー減衰されてMCP感受面側から透過する。または高エネルギー電子は薄膜のMCP感受面側で極低エネルギー(<100eV)の副次電子に変換される。これにより、変換後の極低エネルギー電子を高感度で検出することで高エネルギー電子がMCPで効果的に検出できるとされる。
しかしながら、先に示した先行特許文献に開示された技術において、特許文献1は、例えば100eV以下の電子のみを検出するローパスフィルタとして働くと考えられ、一方特許文献2、特許文献3、特許文献4、および特許文献5はハイパスフィルタとして働く。このため、バンドパスフィルタ画像(二次電子や反射電子を複数のエネルギー帯に弁別して検出することにより得られる中エネルギー帯の画像)を実現することができない。
本発明の目的は、複数のエネルギー帯に弁別して荷電粒子信号を検出すると共に、それらを用いてエネルギー帯毎の高解像度画像を得ることのできる荷電粒子線装置を提供することにある。
上記目的を達成するための一実施形態として、プローブとなる荷電粒子線を発生させる荷電粒子源と、前記荷電粒子線の径を制限するアパーチャと、前記荷電粒子線用の光学系と、前記荷電粒子線が照射される試料が搭載される試料台と、前記試料からの二次荷電粒子や反射荷電粒子を検出する荷電粒子検出器と、前記荷電粒子検出器からの出力信号を処理する信号演算処理部を備え、前記荷電粒子検出器は、第1の検出感度を有する第1小検出器と、前記第1の検出感度よりも高い第2の検出感度を有する第2小検出器を備え、かつ、前記荷電粒子線が照射される前記試料上の位置から見た検出立体角が前記第1小検出器と前記第2小検出器とで同じであることを特徴とする荷電粒子線装置とする。
上記構成とすることにより、複数のエネルギー帯に弁別して荷電粒子信号を検出すると共に、それらを用いてエネルギー帯毎の高解像度画像を得ることのできる荷電粒子線装置を提供することができる。
高エネルギーを有する荷電粒子信号は、例えば検出器表面に薄膜を形成し、その薄膜を通過してきた荷電粒子を検出することにより得ることができる。中エネルギーを有する荷電粒子信号は、中エネルギー以上のエネルギーを有する荷電粒子信号から高エネルギーの荷電粒子信号を差し引く。これにより、高分解能な画像が得られる、中エネルギーの荷電粒子信号を得ることができる。この際、単に信号の引き算をしても有効な情報は得られない。高エネルギーの信号荷電粒子や中エネルギー以上の信号荷電粒子をどのように検出するかがキーとなる。
中エネルギー以上の荷電粒子信号から高エネルギーの荷電粒子信号を差し引いて有効な情報を得るためには、(1)高エネルギーおよび中エネルギー以上のエネルギーを有する信号荷電粒子をそれぞれ同時に取得する、(2)荷電粒子信号の測定位置から見たときのそれぞれの検出器の立体角を同じくする、の要件を満たす必要がある。
本実施の形態おいて、上記(1)(2)を満たす一例として、同一平面上に複数の検出器を左右対称となる位置に設けた。これにより、同一と見なせる位置で複数のエネルギー領域の信号を同時に検出することができる。
例えば、荷電粒子線装置において、約200eV以上のエネルギーを持つ信号荷電粒子を検出する検出器を備え、前記検出器は複数の小電子検出器で構成され、前記小検出器のうち単数または複数の検出面には薄膜が約10nmから約100μmの薄膜を設ける。複数の前記小検出器のうち、検出立体角が同一となる一対の小検出器については、薄膜の有無または薄膜の材料の違いなどによってエネルギー感度が異なる。さらに、前記小電子検出器の各々より出力された信号を演算処理するための信号処理系を備える。
上記構成により、検出対象の荷電粒子のエネルギーを弁別して検出でき、さらに所望のエネルギーに関して、ハイパスフィルタ後の画像、バンドパスフィルタ後の画像、ローパスフィルタ後の画像を一度に得ることができる。
一般に、200eV以上のエネルギーを以って試料から放出され、検出器で検出される信号電子は、その発生位置が深いほど低いエネルギーを持つ。すなわち、エネルギー的にバンドパスフィルタをかけた画像から、試料のある深さに関する情報を引き出すことができる。バンドパスするエネルギー帯を選択することで、情報を引き出したい深さを選択できる。
以下、実施例により詳細に説明する。
以下、実施例により詳細に説明する。
第1の実施例を図1〜図12を用いて説明する。
図1は、感受面が同一平面上で同心円状および放射状に分割された小検出器によって構成されるアニュラー型の半導体検出器を示す図である。本実施例では、小検出器は、同種同膜厚の薄膜付きのものと、薄膜なしのものに分けられる。半導体検出器はフォトダイオードと同様の方法で作製が可能であり、一括作製が可能である。そのため、検出器を構成する各々の小検出器は、同一の検出特性を持つ検出器として構成が可能である。
以降では便宜上、典型的には数eVのエネルギーを持つ100eV未満の電子を極低エネルギー電子と呼び、100eV以上かつ一次電子線の照射エネルギー以下の電子のうち、薄膜付き小検出器の感受面に設けられた薄膜を透過できるエネルギーの電子を高エネルギー電子、薄膜を透過できないエネルギーの電子を低エネルギー電子と呼ぶことにする。
図1に示した検出器を試料側から見た感受面の分割形状を図2に示す。検出器2は一次電子線4が通過する中心孔3を備え、光軸について軸対称な形状の中に軸対称に薄膜付き小検出器51(51−1〜51−6)と薄膜なし小検出器52(52−1〜52−6)が配置される。図2において検出立体角が同一となる小検出器の組を説明するために、各小検出器にAからFまでの記号を与える。検出器2を構成する小検出器の中で、最も中心孔3に近い位置に配置された四つの小検出器、すなわち薄膜付き小検出器A 51−1、薄膜付き小検出器B 51−2、薄膜なし小検出器A 52−1、薄膜なし小検出器B 52−2は同一立体角を有する小検出器群である。次に、薄膜付き小検出器C 51−3、薄膜付き小検出器D 51−4、薄膜なし小検出器C 52−3、薄膜なし小検出器D 52−4は同一立体角を有する小検出器群である。最後に、中心孔3から最も遠い位置に配置された四つの小検出器、すなわち薄膜付き小検出器E 51−5、薄膜付き小検出器F 51−6、薄膜なし小検出器E 52−5、薄膜なし小検出器F 52−6は同一立体角を有する小検出器群である。
小検出器は半導体検出器であり、薄膜付き小検出器51の感受面には10nmから100μmの範囲内の膜厚を持つ薄膜1が設置される。この薄膜1の材料はAlやAuなどの導電膜を用いるが、設置した薄膜1の表面から検出感受面まで電子が透過できる膜厚と材料を以って検出面上に均一に成膜できる薄膜であれば、帯電を抑制するために表面に導電膜を設けた半導体や絶縁体も含めて、いかなる薄膜でも構わない。ここで薄膜1の膜厚は、面内分布が±10%以内であれば均一な膜厚と見なすことができる。
検出器2は中心軸が一次電子線の光軸と重なるように検出器を電子光学系に設置する。(図1参照)小検出器は同一平面上に配置される。検出面の分割の仕方によっては、角度弁別も可能である。この時、検出器感受面は弁別したい検出立体角に応じて分割される。例えば、方位角方向に角度弁別を行う場合には図3のように放射状に分割面を区切り、さらに方位角方向に加え仰角方向で角度弁別を行う場合には図2のように同心円状にも分割面を区切る。円の中心に関して軸対称な位置に配置された感受面については一方の感受面には薄膜1を設け、他方の感受面には薄膜1を設けず、同一の立体角でエネルギー感度が異なるように小検出器を配置する。角度弁別検出を上記よりもさらに細かく行う場合は小検出器の配置を軸対称に保ち、感受面をさらに細かく分割する。
検出感受面の形状は円形に限らず、図4から図6に示すような四角形やその他にも図示しない六角形などの形状でも構わない。また、軸対称な配置にある小検出器の検出立体角が同一である限り、分割方法に関しても図2から図6のようなセグメント化された分割面に限らず、図7や図8のようにアレイ状に配列された小検出器の集合でも構わない。ここで、検出立体角が同一とは、試料と検出感受面の面積で決まる立体角を比較した時に、両者のズレが5%以内ないし10%以内であれば同一検出立体角と見なすことができる。
各小電子検出器のエネルギー感度の違いを持たせる方法として例えば以下の二種類がある。
第一の方法として、図9を用いて説明する。図9は、2つの薄膜付き小検出器51について、エネルギー感度の違いを、膜厚の異なる同一組成の膜で実現した場合の例を示した図である。小検出器A 51−1の薄膜1の材料601は小検出器B 51−2の薄膜1の材料601と同一である。より低エネルギー側まで検出できる小検出器A 51−1に設けられる薄膜の膜厚701は、小検出器B 51−2に設けられる薄膜の膜厚702よりも薄く作製する。典型的には小検出器A 51−1に設けられる薄膜の膜厚701は50nm、小検出器B 51−2に設けられる薄膜の膜厚702は1μmである。
第二の方法として、図10を用いて説明する。図10は、2つの薄膜付き小検出器51について、エネルギー感度の違いを、厚みがほぼ同程度で材料または組成の異なる膜で実現した場合の例を示した図である。小検出器A 51−1の薄膜1の膜厚701は小検出器B 51−2の薄膜1の膜厚701と同一である。ここで膜厚が同一とは、膜厚差が±10%以内であれば同一な膜厚と見なすものとする。薄膜の持つ阻止能は薄膜を構成する元素の原子番号、密度および薄膜に入射するエネルギーに依存し、同一のエネルギーを持つ電子で比較した場合は、原子番号および密度が大きい材料ほど透過しにくくなる。小検出器A51−1に設けられる薄膜の材料601は、小検出器B51−2に設けられる薄膜の材料602とは異なる材料で作製する。典型的には小検出器A 51−1に設けられる薄膜の材料601はAl、小検出器B 51−2に設けられる薄膜の材料602はAuであり、Auの方が阻止能が大きい。
これらの薄膜1は、第一、第二いずれの方法で作製した場合も、感受面上で均一であることが望ましいが、本発明においては、薄膜付き小検出器の薄膜部分について、膜厚の面内分布が±10%以内におさまっていれば、均一な薄膜と見なすことができる。
エネルギー弁別方法の原理に関して図1を用いて説明する。試料台21に固定された試料20から放出された信号電子5は高エネルギー電子9、低エネルギー電子8、および、極低エネルギー電子6を含む。なお、矢印の向きは各エネルギーを有する電子の移動方向の一例であり、これに限らず多方向に放出される。
まず、小検出器52、51における検出挙動を、電子9,8,6について、説明する。薄膜なし小検出器52において、高エネルギー電子9および低エネルギー電子8は検出されるが、極低エネルギー電子6に対してはエネルギー感度を持たないため検出されない。薄膜付き小検出器51において、高エネルギー電子9は薄膜1を透過し、薄膜付き小検出器51の有感領域まで到達して検出され、低エネルギー電子8は薄膜1を進行する過程で有感領域に到達する前にエネルギーを失うため検出されず、極低エネルギー電子は薄膜1の極表面でエネルギーを失うため検出されない。
すなわち、高エネルギー電子9は薄膜付き小検出器51と薄膜なし小検出器52で検出される。低エネルギー電子8は薄膜なし小検出器52で検出され、薄膜付き小検出器51では検出されない。極低エネルギー電子6はいずれの小検出器でも検出されない。
ここでは薄膜付き小検出器51と薄膜なし小検出器52の2種類のエネルギー感度を持つ小検出器を含む検出器として説明をしたが、検出器の構成に含まれるエネルギー感度の異なる小検出器の種類は2種類以上あれば、異なるエネルギー感度の種類はいくつであっても構わない。例えば、互いに膜厚の異なる薄膜付き小検出器が2種類と、薄膜なし小検出器で、計3種類の小検出器で構成することによって、3つの別々のエネルギー帯に対応した検出器となる。薄膜なし小検出器は構成に含まず、薄膜の膜厚または材料によってエネルギー感度の異なる複数の薄膜付き小検出器のみで検出器を構成しても良い。
以下では、試料20から放出された信号電子5のうち、検出されるエネルギー帯について、図3と図11を用いて説明する。今、試料20が接地電位になっていると仮定する。一次電子線4が試料20に照射されると、照射位置から高エネルギー電子9と低エネルギー電子8に加え、極低エネルギー電子6が放出される。試料20から放出される信号電子5のエネルギー分布は典型的には図11に示したような傾向となり、低エネルギー側では極低エネルギー電子6がピークを持ち、高エネルギー側では一次電子線4のエネルギーとほぼ同じエネルギー値にピークを持つ。本実施例における検出器を用いた検出において検出される電子のエネルギー範囲は、例えば、図3の薄膜付き小検出器51では図11のEA以上かつE0以下のエネルギー範囲に含まれる高エネルギー電子を、薄膜なし小検出器52では図11のEB以上かつE0以下のエネルギー範囲に含まれる低エネルギー電子および高エネルギー電子に対して感度を持つように設定することができる。この時、薄膜なし小検出器の検出下限閾値エネルギーEBは小検出器自身が持つエネルギー感度の下限閾値に対応する値である。EB以上かつEA以下のエネルギー範囲に含まれる電子は、図3の薄膜付き小検出器51に設けられた薄膜1によって遮蔽される低エネルギー電子8に対応する。
以下では薄膜なし小検出器として半導体検出器を用いた場合について、より詳しく説明する。
半導体検出器は通常pn接合またはpin接合で形成されており、電子が空乏層に到達すると電子正孔対が生成される。発生したキャリアは両電極に流れ、電流信号として検出される。この時、図3における薄膜付き小検出器51で検出されるエネルギー感度の下限閾値は感受面表面に設けられる薄膜1の膜厚または材料によって制御することができるため、薄膜付き小検出器51と薄膜なし小検出器52とでは異なったエネルギー帯に含まれる電子の検出が可能となる。
例えば、エネルギー感度の下限閾値が2keVの半導体検出器を小検出器として用いる場合に、膜付き小検出器51の薄膜1として感受面に50nmのAl薄膜1を設置した場合は、薄膜付き小検出器51は3keV以上にエネルギー感度を持ち、薄膜なし小検出器52は2keV以上にエネルギー感度を持つ。
異なるエネルギー感度を持つ膜付き小検出器の感度の設定方法について説明する。
膜付き小検出器51の薄膜1として、同一の膜厚で異なる組成の薄膜1を設置する場合では、感度の下限閾値が2keVの半導体検出器を小検出器として、一方の膜付き小検出器A 51−1の感受面には50nmのAl薄膜1を設け、もう一方の薄膜付き小検出器B 51−2の感受面には50nmのAu薄膜1を設けることにより、膜付き小検出器A 51−1は2keV以上に、薄膜付き小検出器B 51−2は9keV以上に各々エネルギー感度を持たせることができる。
膜付き小検出器51の薄膜1として、同一の膜厚で異なる組成の薄膜1を設置する場合では、感度の下限閾値が2keVの半導体検出器を小検出器として、一方の膜付き小検出器A 51−1の感受面には50nmのAl薄膜1を設け、もう一方の薄膜付き小検出器B 51−2の感受面には50nmのAu薄膜1を設けることにより、膜付き小検出器A 51−1は2keV以上に、薄膜付き小検出器B 51−2は9keV以上に各々エネルギー感度を持たせることができる。
膜付き小検出器51の薄膜1として、異なる膜厚で同一組成の薄膜1を設置する場合では、感度の下限値が2keVの半導体検出器を小検出器として、一方の膜付き小検出器A 51−1の感受面には50nmのAl薄膜1を設け、もう一方の膜付き小検出器B 51−2の感受面には1μmのAl薄膜1を設けることにより、膜付き小検出器A 51−1は2keV以上に、薄膜付き小検出器B 51−2は13keV以上に各々エネルギー感度を持たせることができる。
ここでは小検出器を半導体検出器として説明したが、本実施例は、構成のうち、検出器が半導体検出器のみには限らず、他の検出器、例えばアバランシェ増倍機構を備えた検出器でも構わない。アバランシェ増倍機構を備えた検出器を用いるメリットは以下の通りである。これは薄膜付き小検出器51の検出感受面に薄膜1を設けることによってエネルギー感度が変わるが、薄膜1を透過する際に失ったエネルギー分と同等のゲインを失うことにより、検出収量は減少してしまうため、アバランシェダイオードのように増倍率の高い検出器を用いることが信号画像のS/Nを確保するために有効だからである。その他の検出器として、走査電子顕微鏡で一般的に用いられている、極低エネルギー電子を検出するための低速電子用検出器でも良い。この低速電子用検出器の構成は、信号電子を光に変換するシンチレータと、光を再び電子に変換してその電子を増幅する光電子増倍管を備える。検出器の感受面に塗布されたシンチレータ膜を持ち、さらに電子が入射する側には、金属薄膜を持つ。
検出器を使用の際には、金属薄膜には10kV程度の電圧を印加する。極低エネルギー電子、低エネルギー電子および高エネルギー電子はいずれも加速されて感受面に到達し、金属薄膜を貫通してシンチレータを光らせる。上記の低速電子用検出器を薄膜付き小検出器51として用いる場合は、検出対象となる信号電子の軌道とエネルギーに影響を与えないようにするために、金属薄膜に電圧を印加せずに、感受面のAl薄膜の膜厚を変更してエネルギー感度を変える。同様の構成はシンチレータ材としてYAGを用いたYAG検出器にも適用できる。
その他の検出器として、MCP(マイクロ・チャンネル・プレート)や蛍光板を小検出器として用いても良い。また、上記の検出器を組み合わせて用いてもよい。
このように検出器を構成することによって、試料から放出される信号電子5に関して、複数のエネルギー帯に含まれる電子を同時に検出し、薄膜1によってエネルギー感度を変えることができるだけでなく、検出感受面形状および分割形状を工夫することによって、方位角方向および仰角方向で角度弁別検出することができる。
図12は、複数のエネルギー帯に含まれる電子を、検出器の構成要素に含まれる別々の小検出器で、同時に検出できる検出器を備えた走査電子顕微鏡の全体構成を示す図である。
図12に示した走査電子顕微鏡は、大まかには、試料に対して電子線を照射するための機構を備えた電子光学鏡筒11と試料20を保持する試料台21と、試料台21を格納する試料室22と、図示しない制御処理、演算処理や各種画像処理、あるいはユーザーインターフェースに関わる情報処理を行う図示しない情報処理部、および走査電子顕微鏡画像を表示する図示しない画像表示端末、画像メモリなどにより構成される。
電子光学鏡筒11は、基本的には電子銃12(12−1)、コンデンサレンズ14、二段の走査偏向器17、対物レンズ19(19−1)などにより構成される。電子銃12は典型的にはショットキー放出電子銃12−1やタングステン熱電子銃が用いられるが、LaB6電子銃、冷陰極電界放出型電子銃など、他のいずれの電子銃を用いても良い。なお、符号13は加速電極である。
図12に示す対物レンズはアウトレンズ型の対物レンズ19−1である。電子銃12−1から放出された、典型的には100eV以上かつ200keV以下のエネルギーを持つ一次電子線4は、コンデンサレンズ14によって収束点15に収束され、アパーチャ16を通過する。この時、アパーチャ16によって、一次電子線4の不要な領域が除去される。アパーチャ16を通過した一次電子線4は対物レンズ19−1によって試料20上に収束される。コンデンサレンズ14と対物レンズ19−1の間には、二段の走査偏光器17が配置されており、一次電子線4の試料20上の収束点位置を所望の視野範囲/倍率に応じて二次元的に走査する。
一次電子線4の照射によって、試料20からは様々なエネルギー信号電子5が発生する。以降では、試料20が接地電位であった場合に、試料20から放出された信号電子5のうち、薄膜付き小検出器の感受面に設けられた薄膜を透過できるエネルギーの電子を高エネルギー電子、薄膜を透過できないエネルギーの電子を低エネルギー電子と呼ぶことにする。
検出器2は小検出器の感受面が同一平面上に存在した形状をしており、図14に示すように試料20と対物レンズ19−1の間隙および対物レンズ19−1とアパーチャ16の間隙に、光軸に対して垂直に設置される。ここで同一平面とは、検出感受面が±1mm以内ないし±5mm以内であれば同一平面内と見なし、光軸に対して垂直とは、角度にして±10°以内であれば垂直と見なすものとする。検出器2は典型的には図2のものであるが、検出器2の構成として検出立体角が同一でエネルギー感度が異なる小検出器を含んでいる限り、図2から図8に示した検出器の他、これに準ずる感受面形状および分割形状を持つ検出器であればいずれの形状でも構わない。以後、試料20と対物レンズ19−1の間隙に設置される検出器2を検出器L 40と呼び、対物レンズ19−1とアパーチャ16間の検出器2を検出器U 42と呼ぶことにする。
試料20からの信号電子5は、試料20表面から電子銃12−1の方向に進行する。ここで、試料20から放出された電子の仰角を3次元球面座標に倣って定義する。すなわち、試料20表面に対して、法線方向を0°、水平方向を90°と定義する。本実施例では試料20表面を光軸に対して垂直に設置した際に、仰角が0°から90°の範囲内に放出された信号電子5を検出対象とする。この時、検出器L 40の検出対象は仰角が大きく、仰角90°方向に近い角度で放出された信号電子5である。一方、検出器U 42の検出対象は仰角が小さく、仰角0°方向に近い角度で放出された信号電子5である。
ここでは、検出器L 40および検出器U 42が薄膜付き小検出器51と薄膜なし小検出器52の2種類のエネルギー感度の小検出器で構成されているものとして説明する。
検出器L 40の構成に含まれる薄膜なし小検出器52では大きい仰角方向に放出された信号電子5のうち、低エネルギー電子と高エネルギー電子の両方を検出する。検出器L 40の構成に含まれる薄膜付き小検出器51では大きい仰角方向に放出された信号電子5のうち、高エネルギー電子のみを検出する。同様にして、検出器U 42の構成に含まれる薄膜なし小検出器52では小さい仰角方向に放出された信号電子5のうち、低エネルギー電子と高エネルギー電子の両方を検出し、検出器L 40の構成に含まれる薄膜付き小検出器51では小さい仰角方向に放出された信号電子5のうち、高エネルギー電子のみを検出する。
ここでは、検出器L 40および検出器U 42が薄膜付き小検出器51と薄膜なし小検出器52の2種類のエネルギー感度の小検出器で構成されている場合について説明したが、本実施例はこのような構成に限定されるものではない。
検出器L 40および検出器U 42の感受面形状と分割形状は、例えば、図3のような分割形状であれば方位角方向での角度弁別検出ができるが、図2のような分割形状であれば図3における方位角方向の弁別検出に加えて、仰角方向で3つの角度範囲で角度弁別検出ができる。したがって、方位角に関する弁別検出は検出器の感受面形状および分割形状に依存し、エネルギーに関する弁別検出は薄膜付き小検出器51の感受面に設けられる薄膜1の設置の仕方に依存し、対応する小検出器が同一の検出立体角を有する条件を満たす限り、検出器L 40および検出器U 42の感受面形状と分割形状は自由に変えることができる。
なお、本実施例では検出器L 40および検出器U 42の2つの検出器を構成に含んでいるが、いずれか片方のみを設置する構成でも良い。
本実施例では対物レンズとしてアウトレンズ型の対物レンズを用いていることから、後述のセミインレンズ型あるいはインレンズ型の対物レンズを用いた場合と比較して、試料20のサイズおよび傾斜角度などの自由度が大きい。さらに、電子銃としてショットキー放出電子銃を用いた場合は、一次電子線の照射量が他の電子源を用いた場合と比較して多くなるため、信号収量の面で他の電子銃を用いた場合と比較して優位である。
なお、本実施例では走査電子顕微鏡を用いて説明したが、イオン顕微鏡にも適用することができる。
本実施例によれば、荷電粒子信号の測定位置から見たときのそれぞれの検出器の立体角を同じくするとともに、高エネルギーおよび中エネルギー以上のエネルギーを有する信号荷電粒子をそれぞれ同時に取得することができるため、複数のエネルギー帯に弁別して荷電粒子信号を検出すると共に、それらを用いてエネルギー帯毎の高解像度画像を得ることのできる荷電粒子線装置を提供することができる。
図13を用いて第2の実施例を説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項は実施例1と同様である。
図13は、複数のエネルギー帯に含まれる電子を、検出器の構成要素に含まれる別々の小検出器で、同時に検出できる走査電子顕微鏡の全体構成を示す図である。
図13に示した走査電子顕微鏡は、大まかには、試料に対して電子線を照射するための機構を備えた電子光学鏡筒11と試料20を保持する試料台21と、試料台21を格納する試料室22と、図示しない制御処理や各種画像処理、あるいはユーザーインターフェースに関わる情報処理を行う図示しない情報処理部、および走査電子顕微鏡画像を表示する図示しない画像表示端末、画像メモリなどにより構成される。
電子光学鏡筒11は、基本的には電子銃12(12−2)、第一コンデンサレンズ14-1、第二コンデンサレンズ14−2、二段の走査偏向器17、対物レンズ19(19−2)などにより構成される。電子銃12は典型的には冷陰極電界放出型電子銃12−2が用いられるが、LaB6電子銃、タングステン熱電子銃、ショットキー放出電子銃などのいずれの電子銃を用いても構わない。なお、符号13は加速電極である。
図13に示す対物レンズは、レンズの下面より下に配置される試料20に意図的に出力磁場を界浸させるセミインレンズ型の対物レンズ19−2である。アウトレンズ型の場合と比較して、セミインレンズ型の場合は界浸磁場中に試料20が設置されるため、より高分解能での観察が可能である。
電子銃12−2から放出された典型的には100eV以上かつ200keV以下のエネルギーを持つ一次電子線4は、第一コンデンサレンズ14−1によって第一収束点15−1に収束され、アパーチャ16を通過する。この時、一次電子線4の不要な領域が除去される。第一コンデンサレンズ14−1を制御することによって、第一収束点15−1の位置を制御する。
第一収束点15−1を通過した一次電子線4は、第二コンデンサレンズ14−2によって第二収束点15−2に収束される。第二コンデンサレンズ14−2を制御して一次電子線4の第二収束点15−2の位置を制御する。
第二収束点15−2を通過した一次電子線4は、対物レンズ19−2によって試料上に収束される。第二コンデンサレンズ14−2と対物レンズ19−2の間隙には二段の走査偏光器17が配置されており、一次電子線4の試料20上の収束点位置を所望の視野範囲/倍率に応じて二次的に走査する。
一次電子線4の照射によって、試料20からは様々なエネルギー信号電子5が発生する。試料20が接地電位であった場合に、試料20から放出された信号電子5のうち、薄膜付き小検出器の感受面に設けられた薄膜を透過できるエネルギーの電子を高エネルギー電子、薄膜を透過できないエネルギーの電子を低エネルギー電子と呼ぶことにする。
検出器2は図13に示すように試料20と対物レンズ19−2の間隙、および、対物レンズ19−2と第二コンデンサレンズ14−2の間隙、および、第二コンデンサレンズ14−2とアパーチャ16の間隙に、光軸に対して垂直に設置される。ここで、光軸に対して垂直とは、角度にして±10°以内であれば垂直と見なすものとする。これらは典型的には図2のものであるが、これに限らず図3から図10に示す検出器の他、これに準ずる感受面形状および分割形状を持つ検出器であればいずれの形状でも構わない。以後、試料20と対物レンズ19−2の間隙に設置される検出器2を検出器L 40と呼び、対物レンズ19−2と第二コンデンサレンズ14−2の間隙に設置される検出器2を検出器M 41、第二コンデンサレンズ14−2とアパーチャ16の間隙に設置される検出器2を検出器U 42と呼ぶことにする。
試料20からの信号電子5は、試料20表面から電子銃12−2の方向に進行する。試料20から放出された電子の仰角の定義は第1の実施例と同様である。本実施例では試料20表面に対して、仰角が0°から90°の範囲で放出された信号電子5を検出対象とする。この時、検出器L 40の検出対象は仰角が大きく、試料20表面に近い角度で放出された信号電子5である。一方、検出器U 42の検出対象は仰角が小さく、試料20表面の法線方向に近い角度で放出された信号電子5である。検出器M 41の検出対象は、仰角で比較した場合に検出器U 42と検出器L 40の間の検出立体角に含まれる信号電子5である。
検出器L 40、検出器M 41、および、検出器U 42の感受面形状と分割形状は、例えば、図3のような分割形状であれば方位角方向での角度弁別検出ができるが、図2のような分割形状であれば図3における方位角方向の弁別検出に加えて、仰角方向で3つの角度範囲で角度弁別検出ができる。
したがって、方位角に関する弁別検出は検出器の感受面形状および分割形状により、エネルギーに関する弁別検出は薄膜付き小検出器51の感受面に設けられる薄膜の設置の仕方により、対応する小検出器が同一の検出立体角を有する条件を満たす限り、自由に変えることができる。
なお、本実施例では検出器L 40、検出器M 41、および、検出器U 42の3つの検出器を構成に含んでいるが、いずれかが欠ける構成でも良い。
本実施例では、対物レンズがセミインレンズ型19−2であるため、第一の実施例のアウトレンズ型の場合と同様に、対物レンズ19−2の下面の検出器L 40よりも下方に配置される試料20のサイズや傾斜角度の自由度を維持しつつ、実施例1で説明したアウトレンズ型の場合よりも高分解能の観察ができる。
本実施例によれば、実施例1と同様、複数のエネルギー帯に弁別して荷電粒子信号を検出すると共に、それらを用いてエネルギー帯毎の高解像度画像を得ることのできる荷電粒子線装置を提供することができる。また、検出器L、M、Uを有することにより、実施例1の構成に比べ、より広範囲の荷電粒子を検出することができる。また、対物レンズをセミインレンズ型とすることにより、実施例1よりも高分解能な観察が可能である。
第3の実施例について図14を用いて説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項はそれと同様である。
図14は、複数のエネルギー帯に含まれる電子を、検出器の構成要素に含まれる別々の小検出器で、同時に検出できる走査電子顕微鏡の全体構成を示す図である。
図14に示した走査電子顕微鏡は第二の実施例と対物レンズのみが異なっている。本実施例の対物レンズはインレンズ型の対物レンズ19−3である。検出器2の構成は基本的には第2の実施例と同様であるが、インレンズ型の対物レンズ19−3の場合、レンズ中に試料20を置くため、試料20と対物レンズ19−3の間隙に設置される検出器L 40は対物レンズ19−3内に収まる大きさに制限される。
検出方法、特に角度およびエネルギーの弁別検出手段については実施例1および実施例2と同様である。
なお、本実施例では、検出器L 40、検出器M 41、および、検出器U 42の3つの検出器を構成に含んでいるが、いずれかが欠ける構成でも良い。
本実施例では、対物レンズがインレンズ型19−3であり、試料20が対物レンズで発生する磁場の中に設置されるため、実施例2におけるセミインレンズ型の対物レンズの場合よりも高分解能観察が可能である。
本実施例によれば、実施例1と同様、複数のエネルギー帯に弁別して荷電粒子信号を検出すると共に、それらを用いてエネルギー帯毎の高解像度画像を得ることのできる荷電粒子線装置を提供することができる。また、実施例2と同様、検出器L、M、Uを有することにより、実施例1の構成に比べ、より広範囲の荷電粒子を検出することができる。更に、対物レンズをインレンズとすることにより、実施例2よりも高分解能な観察が可能である。
第4の実施例について図15を用いて説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項はそれと同様である。
図15は、複数のエネルギー帯に含まれる電子を、検出器の構成要素に含まれる別々の小検出器で、同時に検出できる走査電子顕微鏡の部分構成を示す図である。
走査電子顕微鏡の基本構成は、大まかには第2の実施例と同様であり、図15には試料20と試料20を保持する試料台21と、対物レンズ19−2、検出器U 42を示す。対物レンズは第2の実施例と同じくセミインレンズ型であるが、アウトレンズ型やインレンズ型であっても構わない。
検出器U 42は図1における検出器2を構成する小検出器が各々同一平面上に配置されるが、光軸に対して傾斜して設置される。検出器U 42はエネルギー感度の異なる複数の小検出器の集合からなる検出器2に加えて、検出器2の感受面側にあり、かつ、信号電子5の検出を妨げない位置に低速電子用検出器35が設置される。この低速電子用検出器35は検出器2に含まれる薄膜付き小検出器の検出面に設置された薄膜に、試料から放出された信号電子が衝突した際に発生する、極低エネルギー電子を検出するためのものである。
検出器2で同一平面上に構成された小検出器は、検出面が傾斜されていても各々の検出立体角は同一になるように構成される。ここで同一平面とは、検出感受面が±1mm以内ないし±5mm以内であれば同一平面内と見なし、同一検出立体角とは、検出感受面の面積にしてそのズレが5%以内ないし10%以内であれば同一検出立体角と見なすものとする。
検出器2における検出機構は、実施例1から実施例3と同様である。検出器U 42の検出対象は仰角が小さく、試料20表面の法線方向に近い角度で放出された信号電子5である。
方位角に関する弁別検出は検出器の感受面形状および分割形状に依存し、エネルギーに関する弁別検出は薄膜付き小検出器51の感受面に設けられる薄膜1の設置の仕方に依存し、対応する小検出器が同一の検出立体角を有する条件を満たす限り、検出器U 42の感受面形状と分割形状は自由に変えることができる。
本実施例では、検出器2に含まれる薄膜付き小検出器51の検出面に設置された薄膜に、試料から放出された信号電子のうち、主に低エネルギー電子が衝突した際に発生する、極低エネルギー電子10を検出する。図15では信号収量を増大させる目的で検出器2を傾斜しているが、実施例1から実施例3と同様、検出器2を光軸に対して垂直に設置しても良い。ただし、光軸に対して垂直とは、角度にして±10°以内であれば垂直と見なすものとする。
なお、このような検出器2を含む構成は、ここまでに説明した実施例1から実施例3のいずれについても同様に適用して良い。
本実施例によれば、実施例1と同様、複数のエネルギー帯に弁別して荷電粒子信号を検出すると共に、それらを用いてエネルギー帯毎の高解像度画像を得ることのできる荷電粒子線装置を提供することができる。
第5の実施例について図16及び図17を用いて説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項はそれと同様である。
図16は、複数のエネルギー帯に含まれる電子を、検出器の構成要素に含まれる別々の小検出器で、同時に検出できる走査電子顕微鏡の部分構成を示す図である。
走査電子顕微鏡の基本構成は、大まかには第1の実施例と同様であり、図16には試料20と試料20を保持する試料台21と、対物レンズ19−1、検出器L 40を示す。試料は接地電位とする。対物レンズは第1の実施例と同じくアウトレンズ型であるが、セミインレンズ型やインレンズ型であっても構わない。
本実施例では試料面は光軸に対して傾斜して設置され、検出器L 40は光軸に対して垂直方向に設置される。ただし、光軸に対して垂直とは、角度にして±10°以内であれば垂直と見なすものとする。
試料20から放出された電子の仰角の定義は第1の実施例と同様で、試料面を基準として試料面の法線方向を仰角0°と定義する。本実施例では試料20表面に対して、仰角が0°から90°の範囲で放出された信号電子5を検出対象とする。
検出機構は実施例1から実施例3と同様である。したがって、方位角に関する弁別検出は検出器の感受面形状および分割形状により、エネルギーに関する弁別検出は薄膜付き小検出器の感受面に設けられる薄膜の設置の仕方により、対応する小検出器が同一の検出立体角を有する条件を満たす限り、自由に変えることができる。
なお、このような検出方式は実施例1から実施例4のいずれについても同様に適用しても良い。
このように検出器に対して試料を傾斜することにより、傾斜しない場合に検出できなかった、仰角0°あるいは仰角90°に放出された反射電子を検出することが可能となる。仰角0°付近の反射電子を選択的に検出し、薄膜1によって高エネルギー成分のみをハイパス検出することによって組成情報が得られる。さらに、特定の方向に放出された仰角90°方向に近い反射電子成分のみを選択的に検出し、薄膜1によって高エネルギー成分のみをハイパス検出することによって表面の微細な凹凸情報を強調したコントラストを得ることができる。
なお、本実施例では検出器L 40を光軸に対して垂直に設置した構成で説明したが、検出器L40を光軸に垂直に配置するのではなく、図17のように検出器L 40を光軸に対して傾斜して設置しても良い。
本実施例によれば、実施例1と同様、複数のエネルギー帯に弁別して荷電粒子信号を検出すると共に、それらを用いてエネルギー帯毎の高解像度画像を得ることのできる荷電粒子線装置を提供することができる。また、試料を傾斜することにより、仰角0°あるいは仰角90°に放出された反射電子を検出することが可能である。
第6の実施例について図18を用いて説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項はそれと同様である。
図18は、複数のエネルギー帯に含まれる電子を、検出器の構成要素に含まれる別々の小検出器で、同時に検出できる走査電子顕微鏡の部分構成を示す図である。
走査電子顕微鏡の基本構成は、大まかには第2の実施例と同様であり、図18には試料20と試料20を保持する試料台21と、対物レンズ19−2、検出器L 40、検出器M 41、および、検出器U 42を示す。対物レンズは第2の実施例と同じくセミインレンズ型であるが、アウトレンズ型やインレンズ型であっても構わない。
検出器の構成は第4の実施例と類似の構成を取っており、検出器L 40、検出器M 41、および、検出器U 42に関して、図1の検出器2に相当する検出器は光軸に対して垂直に設置される。ここで、光軸に対して垂直とは、角度にして±10°以内であれば垂直と見なすものとする。低速電子検出器45の役割は第4の実施例の低速電子検出器35と同様であり、検出器2(41,42)に含まれる薄膜付き小検出器の検出面に設置された薄膜に、試料から放出された信号電子が衝突した際に発生する、極低エネルギー電子10を検出するためのものである。
実施例1から実施例5では試料を接地電位として説明したが、本実施例では試料に負電圧(試料印加電圧)23を印加する。印加する電圧は走査電子顕微鏡の装置耐圧の大きさにも依存するが、典型的には1.0kVから2.5kVの負電圧を印加する。負電圧を印加することによって収差を低減することができるため、特に低加速電圧での観察では、負電圧を印加しない場合と比較して分解能の点で優位となる。
試料20から放出された電子の仰角の定義は第1の実施例と同様である。本実施例では試料20表面を水平面と平行に設置した際に、仰角が0°から90°の範囲で放出された信号電子5を検出対象とする。この時、検出器L 40の検出対象は仰角が大きく、試料20表面に近い角度で放出された反射電子7である。一方、検出器U 42の検出対象は仰角が小さく、試料20表面の法線方向に近い角度で放出された信号電子5である。検出器M 41の検出対象は、仰角で比較した場合に検出器U 42と検出器L 40の間の検出立体角に含まれる信号電子5である。
検出機構は実施例1から実施例3と同様である。したがって、方位角に関する弁別検出は検出器の感受面形状および分割形状により、エネルギーに関する弁別検出は薄膜付き小検出器51の感受面に設けられる薄膜の設置の仕方により、対応する小検出器が同一の検出立体角を有する条件を満たす限り、自由に変えることができる。
なお、本実施例では検出器L 40、検出器M 41、および、検出器U 42の3つの検出器を構成に含んでいるが、いずれかが欠ける構成でも良い。
試料が接地電位である場合には、基本的には極低エネルギー電子は、検出器2の構成に含まれる薄膜なし小検出器52では検出されない。しかし本実施例では、試料20に印加された負電圧によって極低エネルギー電子も加速される。この時、薄膜なし小検出器52では極低エネルギー電子6も検出される。このような場合であっても、薄膜付き小検出器51のエネルギー感度を調整することによって、極低エネルギー電子および低エネルギー電子と、高エネルギー電子とを弁別して検出することができる。
例えば、1.5kVの負電圧を印加し、加速電圧は3.0kVに設定し、エネルギー感度の下限閾値が2.0keVの半導体検出器の感受面に30nmのAl薄膜1を設けることによって、薄膜付き小検出器で1.8kV以上にエネルギー感度を持たせることができるため、典型的には1.53keVの極低エネルギー電子および2.0keVの低エネルギー電子は検出されず、2.5keVの高エネルギー電子は検出される。このようにして極低エネルギー電子および低エネルギー電子は検出せず、高エネルギー電子のみを検出できる検出器となる。
本実施例によれば、実施例1と同様、複数のエネルギー帯に弁別して荷電粒子信号を検出すると共に、それらを用いてエネルギー帯毎の高解像度画像を得ることのできる荷電粒子線装置を提供することができる。また、試料に負電圧を印加することにより、収差を低減することができる。
第7の実施例について図19及び図20を用いて説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項はそれと同様である。
図19は、複数のエネルギー帯に含まれる電子を、検出器の構成要素に含まれる別々の小検出器で、同時に検出できる走査電子顕微鏡の部分構成を示す図である。
走査電子顕微鏡の基本構成は、大まかには第2の実施例と同様であり、図19には試料20と試料20を保持する試料台21と、対物レンズ19−2、検出器U 42を示す。対物レンズは第2の実施例と同じくセミインレンズ型であるが、アウトレンズ型やインレンズ型であっても構わない。試料は接地電位または負電位を印加するいずれの場合でも良い。
本実施例では、検出器U 42が薄膜付き小検出器と薄膜なし小検出器の2つの小検出器で構成されているものとして説明する。
図19に示すように薄膜付き小検出器51と薄膜なし小検出器52の感受面を、各々光軸に対して垂直に配置する。ただし、光軸に対して垂直とは、角度にして±10°以内であれば垂直と見なすものとする。この時、2つの小検出器の感受面はほぼ平行になるように配置される。
図20は、図19における薄膜付き小検出器51、薄膜なし小検出器52、試料20、および、試料台21を上斜め方向から見た図である。図20に示すように、薄膜付き小検出器51と薄膜なし小検出器52の検出立体角は同一になるように配置する。ここで、検出立体角が同一とは、試料と検出感受面の面積で決まる立体角を比較した時に、面積の差が5%以内ないし10%以内であれば同一検出立体角と見なすものとする。
検出立体角が同一であるため、実際に検出される信号電子は、実施例1から実施例3の検出器U において検出される信号電子と同等である。ここでは、検出器U 42が薄膜付き小検出器と薄膜なし小検出器の2つのエネルギー感度の小検出器で構成されている場合について説明したが、実際にはこのような構成に限らない。
本実施例は、同一の検出立体角を持ち、かつ、同一平面を共有しない1対以上のエネルギー感度が異なる小検出器が存在することが条件となるため、検出器は単一の平面内にはおさまらず、複数の平面内にセグメント化された小検出器が配置される構成となる。
このように検出器を構成することによって、複数の検出器を配置する場合の自由度を改善することができる。図19に示した低速電子用検出器45は、試料から放出された極低エネルギー電子10を検出するものである。薄膜なし小検出器52と同一平面内に薄膜付き小検出器を配置すると立体障害となってしまうが、同一の検出立体角を維持しつつ、検出器の位置を変化できることによって、このような立体障害を回避できる。
なお、本実施例では1対の小検出器は共に光軸に対して垂直な配置であるものとして説明したが、本発明は同一検出立体角かつ同一平面を共有しないという条件を満たす限り、小検出器の角度は光軸に対して垂直に限定されるものではない。
本実施例によれば、実施例1と同様、複数のエネルギー帯に弁別して荷電粒子信号を検出すると共に、それらを用いてエネルギー帯毎の高解像度画像を得ることのできる荷電粒子線装置を提供することができる。また、小検出器51,52を別体とすることができ、複数の検出器を配置する場合の自由度を改善できる。
第8の実施例について図21を用いて説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項はそれと同様である。
図21は、複数のエネルギー帯に含まれる電子を、検出器の構成要素に含まれる別々の小検出器で、同時に検出できる検出器と、検出器からの出力信号の演算処理系を備え、ハイパス検出信号、ローパス検出信号およびバンドパス検出信号を同時に出力することができる検出器の全体構成を示した図である。
検出器は光軸上に配置されるもので、検出器2の中心部分には一次電子線の通過孔3を備え、薄膜付き小検出器51(51−1、51−2,51−3)と薄膜なし小検出器52
(52−1、52−2、52−3)の2種類のエネルギー感度の小検出器で構成されている場合について説明する。検出感受面は同一平面上に配置され、放射状に6等分されている検出器の感受面を図21に示す。薄膜付き小検出器の感受面に設けられる薄膜は同一材料の同一膜厚であるとする。ここで同一材料とは同一条件で成膜された薄膜であることを指し、同一膜厚とは膜厚の面内分布が全ての薄膜付き小検出器について、±10%以内であることとする。
(52−1、52−2、52−3)の2種類のエネルギー感度の小検出器で構成されている場合について説明する。検出感受面は同一平面上に配置され、放射状に6等分されている検出器の感受面を図21に示す。薄膜付き小検出器の感受面に設けられる薄膜は同一材料の同一膜厚であるとする。ここで同一材料とは同一条件で成膜された薄膜であることを指し、同一膜厚とは膜厚の面内分布が全ての薄膜付き小検出器について、±10%以内であることとする。
本実施例では簡単のため、同心円状には分割されていない分割形状を持つ検出器2の場合について説明する。
説明のため、6つの小検出器を区別する。すなわち、図21の検出器2について、反時計回りに薄膜付き小検出器A 51−1、薄膜なし小検出器A 52−1、薄膜付き小検出器B 51−2、薄膜なし小検出器B 52−2、薄膜付き小検出器C 51−3、薄膜なし小検出器C 52−3が配置されている構成とする。さらに説明の便宜上、対称軸l、m、nを図21の通りに定める。
各小検出器からの出力信号は、各々別々に増幅器80に入力され、各増幅器80からの出力結果は信号演算処理系81に入力され、信号演算の結果として得られる信号は、図示しない画像表示端末に映し出すことができる構成となっている。信号演算処理系81における演算処理内容は、各増幅器からの出力信号の定数倍の演算と、任意の2つの信号の加算および減算を行う能力を有する。なお、増幅器80は特に理由がない限りは、全て同種の増幅器を設置し、各増幅器のゲイン(増倍率)とオフセット(零点)は全て同じ値に設定されている。なお、本実施例では各小検出器がそれぞれ増幅器80を備える構成とした。
本実施例では、簡略化のため、信号電子5が方位角方向に一様に試料から放出するものと考える。
本実施例に示した検出器は、検出器立体角が同一の小検出器からの出力信号に関して、その差分信号を信号処理系81で演算し出力することによってローパス検出信号あるいはバンドパス検出信号を取得するものであるが、本実施例のように対称性の高い感受面形状で小検出器が配置されている場合は、差分信号演算を行う際に、複数の小検出器の組み合わせが考えられる。ただし、検出立体角が同一とは、試料と検出感受面の面積で決まる立体角を比較した時に、面積の差が5%以内ないし10%以内であれば同一検出立体角と見なすものとする。
まず、検出立体角が同一である2つで1対の小検出器について、差分信号を演算しローパス検出信号を取得する方法について述べる。
対称軸lに関して線対称な配置にある、小検出器について差分信号を取得する場合について述べる。すなわち、薄膜付き小検出器A 51−1と薄膜なし小検出器C 52−3が対応し、薄膜なし小検出器A 52−1と薄膜付き小検出器C 51−3が対応し、薄膜付き小検出器B 51−2と薄膜なし小検出器B 52−2が対応する。
上記の組み合わせで、薄膜付き小検出器の出力信号を適切に定数倍した信号を、薄膜なし小検出器の出力信号から減算することによって、薄膜にて遮断された電子の信号に由来する検出信号を得ることができる。ここで、上記の適切な定数倍の乗数は、加速電圧と薄膜の膜厚によって決まる。このような信号演算処理を信号演算処理系81にて演算し、その信号を出力する。
以上の組み合わせで出力された信号を取得すれば、ローパスエネルギー弁別かつ方位角弁別された検出信号を取得できる。なお、各々の組み合わせにおける薄膜付き小検出器からの出力信号はハイパスエネルギー弁別検出信号に対応しており、1つの検出器で同時に、同一立体角におけるローパス検出画像とハイパス検出画像が得られる。
以下、対称軸lの場合と同様にして、検出立体角が対応している小検出器からの出力信号について演算処理を行う。
対称軸mに関して線対称な配置にある、小検出器について差分信号を取得する場合について述べる。すなわち、薄膜なし小検出器A 52−1と薄膜付き小検出器A 51−1が対応し、薄膜付き小検出器B 51−2と薄膜付き小検出器C 52−3が対応し、薄膜なし小検出器B 52−2と薄膜付き小検出器C 51−3が対応する。各々の対応する差分信号を、対称軸がlの場合と同様に信号演算処理系81にて演算し、その結果を出力する。
対称軸nに関して線対称な配置にある、小検出器について差分信号を取得する場合について述べる。すなわち、薄膜付き小検出器B 51−2と薄膜なし小検出器A 52−1が対応し、薄膜なし小検出器B 52−2と薄膜付き小検出器A 51−1が対応し、薄膜付き小検出器C 51−3と薄膜なし小検出器C 52−3が対応する、各々の対応する差分信号を、対称軸がlの場合と同様に信号演算処理系81にて演算し、その結果を出力する。
検出器中心部の通過孔3に関して点対称な配置にある、小検出器について差分信号を取得する場合は、薄膜付き小検出器A 51−1と薄膜なし小検出器B 52−2が対応し、薄膜なし小検出器A 52−1と薄膜付き小検出器C 51−3が対応し、薄膜付き小検出器B 51−2と薄膜なし小検出器C 52−3が対応する。各々の対応する差分信号を、対称軸がlの場合と同様に信号演算処理系81にて演算し、その結果を出力する。
2つで1対の小検出器からの出力信号の差分信号を演算した結果、信号収量が足りない場合には、複数の小検出器の対での出力信号を加算することが可能である。すなわち、検出立体角が対応している小検出器の対について、同一の小検出器を共有しない限りにおいて、上記の組み合わせから2種類以上の小検出器の対を選択する。すなわち、小検出器の組み合わせから2つ以上の薄膜付き小検出器の検出信号を全て加算し、2つ以上の薄膜なし小検出器の検出信号を全て加算する。その上で、上記の1つの薄膜付き小検出器と1つの薄膜なし小検出器で検出する場合と同様にして、加算された薄膜付き小検出器の全出力信号を適切に定数倍した信号を、加算された薄膜なし小検出器の全出力信号から減算することによって、薄膜にて遮断された電子の信号に由来する検出信号を得ることができる。
例えば、加算された薄膜付き小検出器の全出力信号として、3つの薄膜付き小検出器と3つの薄膜なし小検出器で3対の小検出器の対について、信号演算を行う場合について説明する。すなわち、薄膜付き小検出器A 51−1と薄膜付き小検出器C 51−3と薄膜付き小検出器B 51−2の信号を全て加算し、薄膜なし小検出器C 52−3と薄膜なし小検出器A 52−1と薄膜なし小検出器B 52−2の出力信号を全て加算する。加算された薄膜付き小検出器51の全出力信号を適切に定数倍した信号を、加算された薄膜なし小検出器52の全出力信号から減算することによって、薄膜にて遮断された電子の信号に由来する検出信号を得ることができる。
このように検出面が方位角方向に偶数個に等分割されており、かつ、互い違いに薄膜付き小検出器51と薄膜なし小検出器52が配置され、かつ、薄膜付き小検出器のエネルギー感度が全て同一である場合には、薄膜付き小検出器51の全信号を加算したものを適切に定数倍して、薄膜なし小検出器の全信号を加算したものから減算することによって、方位角方向に放出電子の偏りがある場合であっても、検出画像に現れる陰影の影響を抑制できるメリットがある。ただし、このような演算を行った場合には、方位角方向の角度弁別検出はできない。
このように検出面が方位角方向に偶数個に等分割されており、かつ、互い違いに薄膜付き小検出器51と薄膜なし小検出器52が配置され、かつ、薄膜付き小検出器のエネルギー感度が全て同一である場合には、薄膜付き小検出器51の全信号を加算したものを適切に定数倍して、薄膜なし小検出器の全信号を加算したものから減算することによって、方位角方向に放出電子の偏りがある場合であっても、検出画像に現れる陰影の影響を抑制できるメリットがある。ただし、このような演算を行った場合には、方位角方向の角度弁別検出はできない。
なお、本実施例では、円形の検出面を方位角方向に6等分し、中心角が60°の小検出器の集合の場合を例にとって説明したが、同心円状にも分割され、仰角方向にも角度弁別検出機能を備える検出器や、方位角方向の弁別検出を細かく行うために、放射状の分割がより細かい検出器であっても構わない。
なお、このような検出器2を含む構成は、ここまでに説明した実施例1〜実施例6のいずれについても同様に適用して良い。ただし、上記のような信号演算処理を構成に含む検出器で電子を検出する場合には、検出立体角が同一の対応する小検出器に関して、感受面に到達する電子の収量が両者でほぼ同一であることが前提となるため、光軸に対して非対称な場がかかっていない状態であることが条件となる。
本実施例に示す信号演算処理系を持つ検出器を用いることによって、ハイパスフィルタ信号、に加えてローパスフィルタ信号またはバンドパスフィルタ信号を取得することができる。
本実施例によれば、複数のエネルギー帯に弁別して荷電粒子信号を検出すると共に、それらを用いてエネルギー帯毎の高解像度画像を得ることのできる荷電粒子線装置を提供することができる。
第9の実施例について図22を用いて説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項はそれと同様である。
図22は、本実施例に係る走査電子顕微鏡で用いる検出器の、検出エネルギー帯の可変機構を示す。
薄膜なし小検出器を含む、膜厚または材料の異なる様々な薄膜付き小検出器90について、それらのエネルギー感度が異なったものの種類が複数、長方形の板状検出器ホルダ91に固定されている。検出器ホルダ91の下面は一次電子線4に対して垂直に配置される。一次電子線4が中心孔3を通過できる位置に、直線導入器によりリトラクタブル式に抜き差しして各小電子検出器を固定できる機構となっている。
このような構成にすることによって、信号電子5に含まれる低エネルギー電子と高エネルギー電に対するエネルギー感度の閾値を、所望の値に設定することが可能となる。
図22では図2に示した感受面の分割方法が示されているが、図2〜図8またはそれに準ずる感受面形状を持つものであればいずれの形状でも構わない。
なお、このように検出器2を変更する方式は、ここまでの実施例1〜実施例7のいずれについても同様に適用して良い。
本実施例によれば、複数のエネルギー帯に弁別して荷電粒子信号を検出すると共に、それらを用いてエネルギー帯毎の高解像度画像を得ることのできる荷電粒子線装置を提供することができる。また、エネルギー感度の異なる検出器を複数有する検出器ホルダを用いることにより、エネルギー感度の閾値を所望の値に設定することができる。
第10の実施例について図23を用いて説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項はそれと同様である。
図23は本発明の第10の実施例であり、本発明による走査電子顕微鏡における検出器の、検出エネルギー帯の可変機構を示す。
薄膜なし小検出器を含む、膜厚または材料の異なる様々な薄膜付き小検出器90について、それらのエネルギー感度が異なったものの種類が複数、円盤または扇形の検出器ホルダ91に固定されている。検出器ホルダ91の下面は一次電子線に対して垂直に配置される。一次電子線4が中心孔3を通過できる位置に、リボルバー式に切り替えて確証電子検出器を固定できる機構となっている。
このような構成にすることによって、信号電子5に含まれる低エネルギー電子と高エネルギー電に対するエネルギー感度の閾値を、所望の値に設定することが可能となる。
図23では図2に示した感受面の分割方法が示されているが、図2〜図8またはそれに準ずる感受面形状を持つものであればいずれの形状でも構わない。
なお、このように検出器2を変更する方式は、ここまでの実施例1〜実施例7のいずれについても同様に適用して良い。
本実施例によれば、複数のエネルギー帯に弁別して荷電粒子信号を検出すると共に、それらを用いてエネルギー帯毎の高解像度画像を得ることのできる荷電粒子線装置を提供することができる。また、エネルギー感度の異なる検出器を複数有する円盤状又は扇形の検出器ホルダを用いることにより、実施例9に比べて限られたスペースでエネルギー感度の閾値を所望の値に設定することができる。
1…薄膜、
2…電子検出器、
3…中心孔、
4…一次電子線、
5…信号電子、
6…極低エネルギー電子(〜数eV)、
7…反射電子(〜数keV)、
8…低エネルギー反射電子、
9…高エネルギー反射電子、
10…反射電子が薄膜に衝突して発生した極低エネルギー電子、
11…電子光学鏡筒、
12…電子銃、
13…加速電極、
14…コンデンサレンズ、
14−1…第一コンデンサレンズ、
14−2…第二コンデンサレンズ、
15…コンデンサレンズ下の収束点、
15−1…第一コンデンサレンズ下の収束点、
15−2…第二コンデンサレンズ下の収束点、
16…アパーチャ、
17…二段走査偏向器、
19…対物レンズ、
19−1…アウトレンズ型の対物レンズ、
19−2…セミインレンズ型の対物レンズ、
19−3…インレンズ型の対物レンズ、
20…試料、
21…試料台、
22…試料室、
23…試料印加電圧、
35…低速電子用検出器、
40…検出器L、
41…検出器M、
42…検出器U、
51…膜付き小検出器、
51−1…膜付き小検出器A、
51−2…膜付き小検出器B、
51−3…膜付き小検出器C、
51−4…膜付き小検出器D、
51−5…膜付き小検出器E、
51−6…膜付き小検出器F、
52…膜なし小検出器、
52−1…膜なし小検出器A、
52−2…膜なし小検出器B、
52−3…膜なし小検出器C、
52−4…膜なし小検出器D、
52−5…膜なし小検出器E、
52−6…膜なし小検出器F、
601…小検出器Aの薄膜の材料、
602…小検出器Bの薄膜の材料、
701…小検出器Aの薄膜の膜厚、
702…小検出器Bの薄膜の膜厚、
80…増幅器、
81…信号処理系、
90…薄膜なし小検出器を含む、膜厚または材料の異なる様々な薄膜付き小検出器、
91…検出器ホルダ。
2…電子検出器、
3…中心孔、
4…一次電子線、
5…信号電子、
6…極低エネルギー電子(〜数eV)、
7…反射電子(〜数keV)、
8…低エネルギー反射電子、
9…高エネルギー反射電子、
10…反射電子が薄膜に衝突して発生した極低エネルギー電子、
11…電子光学鏡筒、
12…電子銃、
13…加速電極、
14…コンデンサレンズ、
14−1…第一コンデンサレンズ、
14−2…第二コンデンサレンズ、
15…コンデンサレンズ下の収束点、
15−1…第一コンデンサレンズ下の収束点、
15−2…第二コンデンサレンズ下の収束点、
16…アパーチャ、
17…二段走査偏向器、
19…対物レンズ、
19−1…アウトレンズ型の対物レンズ、
19−2…セミインレンズ型の対物レンズ、
19−3…インレンズ型の対物レンズ、
20…試料、
21…試料台、
22…試料室、
23…試料印加電圧、
35…低速電子用検出器、
40…検出器L、
41…検出器M、
42…検出器U、
51…膜付き小検出器、
51−1…膜付き小検出器A、
51−2…膜付き小検出器B、
51−3…膜付き小検出器C、
51−4…膜付き小検出器D、
51−5…膜付き小検出器E、
51−6…膜付き小検出器F、
52…膜なし小検出器、
52−1…膜なし小検出器A、
52−2…膜なし小検出器B、
52−3…膜なし小検出器C、
52−4…膜なし小検出器D、
52−5…膜なし小検出器E、
52−6…膜なし小検出器F、
601…小検出器Aの薄膜の材料、
602…小検出器Bの薄膜の材料、
701…小検出器Aの薄膜の膜厚、
702…小検出器Bの薄膜の膜厚、
80…増幅器、
81…信号処理系、
90…薄膜なし小検出器を含む、膜厚または材料の異なる様々な薄膜付き小検出器、
91…検出器ホルダ。
Claims (17)
- プローブとなる荷電粒子線を発生させる荷電粒子源と、
前記荷電粒子線の径を制限するアパーチャと、
前記荷電粒子線用の光学系と、
前記荷電粒子線が照射される試料が搭載される試料台と、
前記試料からの二次荷電粒子や反射荷電粒子を検出する荷電粒子検出器と、を備え、
前記荷電粒子検出器は、第1の検出感度を有する第1小検出器と、前記第1の検出感度よりも高い第2の検出感度を有する第2小検出器とを備え、かつ、前記荷電粒子線が照射される前記試料上の位置から見た検出立体角が前記第1小検出器と前記第2小検出器とで同じであり、
前記荷電粒子検出器における前記第1小検出器及び前記第2小検出器の出力信号に基づき、前記試料からの二次荷電粒子や反射荷電粒子をエネルギー弁別処理する信号演算処理部と、をさらに有することを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記荷電粒子線検出器は、受光面上に薄膜が設けられていることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記検出立体角が同じとは、誤差が10%以内の場合を含むことを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記第1小検出器及び前記第2小検出器のそれぞれの感受面は、同一平面内に配置されていることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記同一平面内とは、±1mm以内の場合を含むことを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項2記載の荷電粒子線装置において、
前記薄膜の膜厚は、10nm以上100μm以下であることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記荷電粒子線検出器のエネルギー感度の調整は、前記薄膜の膜厚、もしくは材料、もしくはその両者を用いてなされることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記荷電粒子線装置は、走査電子顕微鏡であることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記荷電粒子線検出器は、半導体検出器、アバランシェダイオード、マイクロ・チャンネル・プレート、構成要素としてシンチレータ材料を用いる検出器またはそれらの組み合わせであることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記荷電粒子検出器は、中心に一次荷電粒子線が通過する孔を有し、
前記孔は前記荷電粒子線用の光学系の光軸上に軸対称な配置を有し、
前記第1小検出器及び前記第2小検出器のそれぞれの感受面形状がセグメント化されて軸対称に区切られていることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記第1小検出器及び前記第2小検出器は、アレイ状に配列されていることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記荷電粒子検出器とは別に、第二の荷電粒子検出器を備えており、前記第二の荷電粒子検出器は、前記荷電粒子検出器の感受面に設置された前記薄膜に信号荷電粒子が衝突した際に発生する荷電粒子を検出できる位置に配置されていることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記第1小検出器及び前記第2小検出器はそれぞれ増幅器を備えており、
前記信号演算処理部は、前記増幅器からの出力信号を用いて、加算、減算、乗算を行うものであり、
前記第1小検出器からの出力信号を用いてハイパス検出信号を求め、
検出立体角が同一でエネルギー感度が異なる前記第1小検出器及び前記第2小検出器の出力信号を各々増幅し、差分演算を行うことによってローパス検出信号およびバンドパス検出信号を求めることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 荷電粒子線を発生させる荷電粒子源と、
前記荷電粒子線が照射される試料が搭載される試料台と、
前記荷電粒子線を前記試料上に収束させる対物レンズと、
前記試料からの二次荷電粒子や反射荷電粒子を検出する荷電粒子検出器と、を備え、
前記荷電粒子検出器は、第1の検出感度を有する第1小検出器と、前記第1の検出感度よりも高い第2の検出感度を有する第2小検出器とを備え、かつ、前記荷電粒子線が照射される前記試料上の位置から見た検出立体角が前記第1小検出器と前記第2小検出器とで同じであり、
前記荷電粒子検出器における前記第1検出器及び前記第2検出器の出力信号に基づき、前記試料からの二次荷電粒子や反射荷電粒子をエネルギー弁別処理する信号演算処理部と、をさらに有することを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項14記載の荷電粒子線装置において、
前記対物レンズは、アウトレンズ型であることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項14記載の荷電粒子線装置において、
前記対物レンズは、セミインレンズ型であることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項14記載の荷電粒子線装置において、
前記対物レンズは、インレンズ型であることを特徴とする荷電粒子線装置。
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