JP5033310B2 - 検査装置 - Google Patents

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Description

本発明は,半導体装置や液晶等,微細な回路パターンを有する基板製造方法及び装置に係わり,特に,半導体装置やフォトマスクのパターン検査技術に係わる。更に詳細には,半導体装置の製造過程での未完成な半導体ウエハ上の任意の部分における光学式,電子ビーム式の欠陥検査後,その欠陥座標を元に,高分解能で欠陥レビューを行うレビューSEMに関するものである。
半導体デバイスは,ウエハ上にフォトマスクで形成されたパターンをリソグラフィー処理およびエッチング処理により転写する工程を繰り返すことにより製造される。このような製造プロセスにおいて,歩留まりの早期立ち上げ,及び,製造プロセスの安定稼働を実現するためには,インラインウエハ検査によって発見した欠陥を迅速に解析し,対策に活用することが必須である。検査結果を迅速に不良対策に結び付けるためには,多数の検出欠陥を高速にレビューし,発生原因別に分類する自動欠陥レビュー・分類技術が鍵となる。製造プロセスの微細化に伴い半導体の製造歩留まりに影響を及ぼす欠陥サイズも微細化してきており,光学式のレビュー装置では高い分解能によるレビューが困難になってきている。このため,高速,高分解能でレビューが可能なSEM (Scanning Electron Microscope) 式のレビュー装置が製品化されている。この装置では,微小異物や,スクラッチ等の凹凸を検出するために,横から光を当てたときに生ずる陰影と等価なSEM像による陰影像の取得が重要となっている。
このような陰影像を取得する為の基本原理を,図2を用いて説明する。膜中に異物のあることにより生した凹凸101を電子ビーム37で41のように走査し,電子ビーム37が凹凸101の右側を照射している場合,二次電子38が放出される。このとき,仰角の低角成分に着目すると,左側に放出される二次電子の一部は凹凸101に遮蔽される。そのため,左右の検出器11, 12での二次電子検出数が異なることとなる。このようにして検出器11, 12で得られる像は,それぞれ図2(b), (c)となり,陰影の強調された像となる。
このような原理を元に,微小な凹凸を検出するために高分解能化を図った例は,特開平8-273569に記載されている。高分解能を達成する為に,電磁重畳型対物レンズを用いて高分解能化を行っている。この場合,試料から発生する二次電子は回転し,またその二次電子はエネルギー分布があり,エネルギーに依存して回転角が異なる。その為,ある方位角で放出した二次電子であっても,対物レンズを通過した後では方向情報が失われることとなる。そこで,ウエハ近傍に二次電子を加速させる為の電場を生じさせ,高速に対物レンズで発生する磁場内を通過させることで,回転角のエネルギー分布を低減させ,方向情報を保存している。さらに二次電子と後方散乱電子の軌道を制御することで,電子源と対物レンズの間にある環状検出器で,内側環状帯で後方散乱電子を,外側環状帯で二次電子を検出する。外側環状帯は扇形に四分割しており,二次電子放出の方位角の選別が行える為,陰影像の取得が可能となっている。
仰角成分を選別する例は特開2000-30654に記載されている。二つの検知器を光軸の方向へ相互にずらして配設し,双方の検知器の間隔を,試料側の検知器と対物レンズの焦面との間隔の少なくとも25%に構成している。これにより,放出電子の放出角度に基づく検出された電子の選択が可能になる。
特開平8-273569号公報
特開2000-30654号公報
浅い凹凸、微細異物等を高感度で検出するためには、検出方位角,仰角の選別を行うことで陰影コントラストの強調を行い,さらに輝度斑の無い,高品質な画像取得を行うことが重要である。
しかし特開平8-273569では、放出する二次電子で全ての仰角成分(0〜90°)を検出する構成となっているため,陰影コントラストが弱くなってしまい、コントラストを強調することができなかった。浅い凹凸の場合,陰影のコントラストが小さく欠陥検出に失敗することがあった。また、環状検出器は,二次電子の方位角選別を行う必要がある為,一次電子ビームの通過する光軸に対して軸対称に配置される必要がある。しかし,機械的精度の問題で,軸対称からずれた場合,陰影コントラスト像に輝度斑(シェーディング)が発生する問題があった。
特開2000-30654では、仰角の選別を行っているが方位角の分別が不可能であり,陰影像の取得ができないという問題があった。
上記のような問題があることから、従来の技術では浅い凹凸等の検出が困難であった。
高分解能を達成する為に対物レンズに電磁重畳型対物レンズを用いる。その対物レンズを用いて電子ビームを細く絞り,その電子ビームを試料に照射する。電子ビームの照射によって試料より発生する二次電子の回転の二次電子エネルギー依存性を抑制するために,ウエハ近傍に二次電子を加速させる電場を加える。さらに電子源と対物レンズの間に環状検出器を設け,発生した二次電子の内,二次電子の発生箇所における仰角の低角成分と,高角成分を選別し,方位角成分も選別して検出する。環状検出器の設置上問題となる機械精度の問題は,検出器を移動可能とするか,二次電子軌道上に電場と磁場を直交させたEXB(ウインフィルター)を設置することで二次電子の軌道を制御することにより解決する。
本発明によれば,回路パターンを有する半導体装置等の検査において,陰影コントラストの強調された像を取得することが可能となり、浅い凹凸,微細異物等を高感度に検出することが出来る。また、欠陥を高感度で検出し、レビュー,分類することが可能となり、欠陥の原因特定が容易にできるようになる。
図3を例にとり説明する。これは,電子源8,対物レンズ10,試料20,試料に対置させた電極32,電子源と対物レンズ10の間に設置された検出系102からなる装置である。検出系102は,上下反射板13,15,検出器11,12,14等により構成される。
ここで、電子源8から放出された電子ビーム37をウエハ20に照射した際に発生する二次電子38のエネルギー分布を、例えば 0〜20eV程度とする。発生した二次電子38は,対物レンズ10により発生する磁場により回転しながら反射板13,15に向かう。このときに,磁場中を二次電子38が低速で通過すると,二次電子38の回転角が二次電子38のエネルギーに依存するため,発生当初の方向情報は失われてしまう。例えば図4(a)のように試料から二次電子を仰角0〜90°,y-z面内で放出させた場合,反射板15の位置での二次電子到達位置は図4(b)のようになり,方向情報が失われてしまっている。そこで,二次電子の回転角の二次電子エネルギー依存性を抑制するために,ウエハに対向した電極32にウエハに対して十分大きな正電位を印加することで,磁場中で二次電子38を高速に通過させる。その結果,図4(c)のように,二次電子は二次電子エネルギーに依存することなく、即ち発生当初の方向が失われないまま検出器位置に辿り着くことができ、方向情報が保たれ、分布は直線分布となる。このように方向情報が保たれる為に必要な電場は10の5乗V/m以上であった。また,ウエハの放電破壊を防止する為には電場を10の6乗V/m以下にする必要がある。
一次電子の光軸(z軸)と垂直に交わる平面(x-y平面)において,その平面と
二次電子の放出方向との挟む角を仰角としたとき、仰角の大きな二次電子39は中心に近く,仰角の小さな二次電子40は中心から離れた位置に到達することとなる。上記電場条件10の5乗V/m〜10の6乗V/mで,検出器での二次電子到達位置は,図4(d)の斜線領域となる。
ここで,反射板を図5(a)の反射板15のように,中心部に穴を開けた形状にすれば穴の形状によって反射板15に当たる仰角成分を制限することが出来る。反射板15に当たる二次電子39は方向を持っている為,反射板15の右側,もしくは左側に当たり,その結果発生する二次電子をメッシュ103に50Vの電位を与えることによって,検出器12,13にそれぞれに引き込む事ができる。このとき左右で発生した二次電子が混在しないように,図5(b)の仕切板104を設置しても良い。なお,反射板15を通過した二次電子は反射板13に衝突することで二次電子を発生させ,その二次電子をメッシュ103に50Vの電位を与えることにより,検出器14に引き込む事ができる。ここで得られる画像は,陰影に寄与しない,二次電子放出効率の違いによる物質コントラスト像が得られる。
陰影コントラストを強調させる為には,反射板15に開けた穴径の最適化を行う必要がある。穴径を変化させて,反射板に衝突する二次電子の最低仰角(検出電子の最低仰角)を変化させたところ,図4(e)の結果が得られた。好適には仰角で45°以下の二次電子を検出すれば最も高いコントラストを得ることができる。このようなことから,図4(d)に着目すると,反射板15に開ける穴径は仰角45°の場合の検出器での到達位置1〜10mm程度(斜線部)が最適となる。
なお,この反射板をマルチチャンネルプレート,シンチレータで形成させて,ウエハで発生した二次電子を直接検出しても同様の効果を得ることができる。そのときの構造の例を図5(c), (d)に示す。図5(c), (d)は,それぞれ仰角の大きな成分を2,もしくは4分割した検出器105で,仰角の小さな成分を検出器106で取得するものである。
環状検出器を設置した場合,光軸に対して対称に設置する必要がある。実際には機械精度上,ずれが生ずる。この問題を解決するために,図7の反射板の可動機構42を設ける。これにより反射板15もしくは,反射板の代わりに用いる検出器105,106を動かすことが可能になる。別の方法は,二次電子軌道上にEXB(ウインフィルター)を設置することで二次電子の軌道を制御することにより解決する。
本実施例では,レビューSEMを用いて,欠陥分類をおこなった例について説明する。
図1に,レビューSEMの構成の一例を示す。本装置は,電子光学系1,ステージ機構系2,ウエハ搬送系3,真空排気系4,光学顕微鏡5,制御系6,操作部7より構成されている。
電子光学系1は,電子源8,コンデンサレンズ9,対物レンズ10,第一の検出器11,第二の検出器12,第一の反射板13,第三の検出器14,第二の反射板15,偏向器16,ウエハ高さ検出器17,ステージに対向して設置した電極32,電極電源33,電極電源制御部34,から構成されている。
ステージ機構系2は,XYステージ18,および試料としてのウエハを載置するためのホルダ19,ホルダ19およびウエハ20に負の電圧を印加するためのリターディング電源21より構成されている。XYステージ18には,レーザ測長による位置検出器が取り付けられている。
ウエハ搬送系3はカセット載置部22とウエハローダ23より構成されており,ホルダ19はウエハ20を載置した状態でウエハローダ23とXYステージ18を行き来するようになっている。
制御系6は,信号検出系制御部24,ビーム偏向補正制御部25,電子光学系制御部26,ウエハ高さセンサ検出系27,機構およびステージ制御部28より構成されている。操作部7は,操作画面および操作部29,画像処理部30,画像・検査データ保存部31より構成されている。
次に,図1の各部の動作について説明する。まず,ウエハ20が任意の棚に設置されたウエハカセットを,ウエハ搬送系3におけるカセット載置部22に置く。次に,操作画面29より,レビューすべきウエハ20を指定するために,該ウエハ20がセットされたカセット内棚番号を指定する。また,レビューにおいては,他の検査装置により検査を実施され,欠陥等の位置情報(欠陥座標データ)を含む検査結果情報をもとに電子線画像による観察を実行するため,操作画面および操作部7より検査結果ファイルを選択する。選択においては,ネットワーク等による通信で検査結果ファイルを読み込む場合や,フレキシブルディスクのような媒体より検査結果ファイルを読み込むことが可能である。いずれの場合も,検査結果ファイル名を指定することにより,該検査結果の各種データをデータ入力部35に読み込み,データ変換部36によりレビューSEMで用いているデータ形式および座標系に変換することがある。さらに,操作画面および操作部29より,レビュー条件ファイル名を入力する。このレビュー条件ファイルは,レビューの内容を決めるための各種パラメータを組み合わせて構成されたものである。レビューを実行するために必要な条件の入力を完了し,自動レビューのシーケンスをスタートする。
レビューをスタートすると,まず,設定されたウエハ20をレビュー装置内に搬送する。ウエハ搬送系3においては,被検査ウエハの直径が異なる場合にも,ウエハ形状がオリエンテーションフラット型あるいはノッチ型のように異なる場合にも,ウエハ20を載置するホルダ19をウエハの大きさや形状にあわせて交換することにより対応できるようになっている。該被検査ウエハは,カセットからアーム,予備真空室等を含むウエハローダ23によりホルダ19上に載置され,保持固定されてホルダとともに検査室に搬送される。
ウエハ20がロードされたら,上記入力されたレビュー条件に基づき,電子光学系制御部26より各部に電子線照射条件が設定される。そして,ウエハ20の所定箇所の電子線画像を取得し,該画像より焦点・非点を合わせる。また,同時にウエハ10高さをウエハ高さ検出器27より求め,高さ情報と電子ビームの合焦点条件の相関を求め,この後の電子線画像取得時には毎回焦点合わせを実行することなく,ウエハ高さ検出の結果より合焦点条件に自動的に調整する。これにより,高速連続電子線画像取得が可能になった。
電子線照射条件および焦点・非点調整が完了したら,ウエハ上の2点によりアライメントを実施する。
アライメント結果に基づき回転や座標値を補正し,既に読み込んだ検査結果ファイルの各種情報に基づき,レビューすべき欠陥の位置に移動する。
欠陥位置に移動したら,ビーム照射を行う。反射板13,15は図5(a)の構造になっているので,二次電子の放出仰角で,低角成分のものを反射板15に当て,高角成分を反射板15に空けた穴を通過させた後に反射板13に当てることが可能になっている。仰角が低角成分の二次電子は,方位角成分に依存して,左右に分かれて反射板15に当たることとなる。そのため,二次電子が反射板に当たることによって,反射板から新たに発生する二次電子は,検出器11に近いものは検出器11へ,検出器12に近いものは検出器12へ,それぞれ向かうこととなる。反射板13に当たったものは,そこで二次電子が発生し,その二次電子を検出器14で検出する。この様にして,検出器11,12では,コントラストの強調された陰影像が,検出器14では物質像が得られた。別の反射板形状の例としては,図5(b)に示すような仕切板104を有するものや,図6(a), (b)に示すような円錐(ロート)型,ドリップコーヒーフィルター(DRIP COFFEE FILTER)型でも良い。これにより,図2(b), (c)のような陰影像を取得できる。なお,反射板13,15の代わりに,マルチチャンネルプレートや,半導体検出器,もしくはシンチレータを設置しても良い。
取得された画像は,必要に応じて画像・データ保存部31に保存される。予め保存する,保存しないをレビュー条件ファイルで設定しておことや,必要に応じて,複数の検出器による複数種類の画像を,設定に応じて同時に保存することが可能である。
画像を保存すると同時に,画像処理部30では画像情報より欠陥の特徴を抽出して,欠陥の内容を自動的に分類する。分類された結果を,例えば0〜255の数値にコード化し,該コード番号を検査結果ファイルのなかの欠陥分類コードに対応する箇所に書き込む。上記,欠陥レビュー操作を繰り返す。
1枚のウエハにおいて,レビュー実施を指定された欠陥全部について上記一連の動作が完了したら,該ウエハの検査結果ファイル(分類結果を書き込まれたファイル)を自動的に保存し,指定された先に該検査結果ファイルを出力する。その後,ウエハをアンロードし,レビューを終了する。
本方法を用いることにより,二次電子放出角の仰角で低角成分と高角成分を,さらに方位角も分別して検出することが可能になった為,光学式検査で検出した欠陥を高感度に検出し,レビュー,分類することが可能になった。
次に,第二の実施例について説明する。第二の実施例の構成を図8に示す。本実施例では,二次電子偏向用のいわゆるExB偏向器201を一次電子ビームの光路上に設置している。それ以外の構成は第一の実施例と同様である。ここでいうExB偏向器とは,電界と磁界を重畳させた偏向器であり,一次電子ビームに対しては電界と磁界による偏向量が互いに反対方向に同じ大きさとなるように設定されて偏向作用を互いにキャンセルさせ,二次電子に対しては電界と磁界の偏向量が同じ方向になるよう作用して二次電子のみを独立に偏向することを可能とした偏向器である。
第二の実施例における動作状態を図9に示した。ExB偏向器201を動作させることにより,二次電子の中心軌道202を角度θ偏向させる。それにより,二次電子38が下側反射板15に衝突するときの方向成分のバランスが変化する。
本実施例が必要となる背景を説明する。本発明のような電子光学装置においては,一般的に,装置の機械的な制約や調整具合に応じて,一次電子ビームと二次電子の光軸が試料表面の法線方向に対して微小な角度傾いている。一次電子ビームに対しては光軸を調整して傾きの影響が最小になるような状態で使用することが一般的である。一方,通常,二次電子は検出器で効率よく検出できればよく,二次電子の光軸の傾きを調整する必要はない。
しかし,本発明のように二次電子を二方向以上の角度成分に分離する検出系を持つ構成では,二次電子の中心軌道が反射板の穴の中心から傾いている場合,二次電子の分離方向の精度が低下してしまう。そこで,二次電子の光軸を,一次電子ビームの光軸37に対して独立に偏向させて反射板15における衝突時の方向成分のバランスを所望の方向に調整するようにしたのが本実施例である。
反射板15で左右の方向に二次電子を分離する際,二次電子の中心軌道202が反射板15の穴の中心を通過するときには試料の水平面から発生した二次電子は左右に均等に分離され,左右の検出器で得られる信号量SRとSLはSR=SLの関係となる。一方,二次電子の中心軌道202が反射板の穴の中心と一致していない場合は,水平面からの信号が左右均等に分離されず,SR≠SLとなる。本発明のように,試料の凹凸部の陰影をそのまま反映するように信号を精度よく分離するには,まず試料の水平面からの信号が均等に左右に分離される状態となっていることが重要である。
そこで,例えば図10に示すように,球状のサンプルに対して電子ビーム37を走査しながら照射し,得られる画像においてちょうど球形の半分が陰になるようにExB偏向器201による偏向角θを調整する。このように調整して,左右の信号量SRとSLが均等になるように調整しておいてから,観察対象となるサンプルの陰影像を取得することにより,試料の凹凸部の陰影をそのまま精度よく陰影コントラストとして画像化することが可能になった。
このような調整は,例えば,二次電子が試料から発生してから試料上の電界によって加速されるような電子光学系の条件で動作するような場合には,二次電子の広がりが相対的に小さくなることから,二次電子の軸の微妙な傾きで左右の二次電子信号量のバランスが大きく崩れるため,陰影像を精度よく取得するには本質的に必要不可欠の調整になる。
また,ExB偏向器201の設置位置は光軸上で反射板15より下であればどこでもよいが,反射板15に対して低い位置であればあるほど,小さい偏向角度θで大きな調整範囲を持つことができ,ExBによる一次電子ビームに対する分解能劣化の影響を低減させることができる。
次に,第三の実施例について説明する。全体の装置構成は第二の実施例の構成である図8と同様である。この構成において,ExB偏向器201を四極の電極,および磁極で構成し,二次電子をあらゆる方位角に偏向可能となるように構成する。その結果,図9に示した反射板15の分離方向(図中のx方向)のみでなく,紙面に垂直な方向(y方向)にも二次電子をアライメントすることが可能になる。これにより,反射板15の穴に対する二次電子の中心方向のy方向へのずれを補正できるようになる。また,反射板15に対して,二次電子が所望の当たり方をするように調整することが可能になる。
次に,第四の実施例について説明する。本実施例では,他の装置構成は第三の実施例と同様にし,反射板13と15を試料側から見て図11のようになるように構成した。すなわち,反射板15による二次電子分離の方向をx方向,それに垂直な方向をy方向,一次電子ビームの光軸をZ方向として,反射板15のビーム通過孔215をx方向よりy方向に長い楕円,反射板13のビーム通過孔213を215の短軸方向より小さい径の円にした。もちろん,通過孔215は長方形やそれに類する形状にしても効果は同じであり,本発明に含まれる。これと第三の実施例の四極ExB偏向器を組み合わせて動作させる。
x方向には実施例2と同様に左右に信号を分離する際の分離精度を上げるための二次電子アライメントが可能であり,y方向には反射板15において二次電子が通過孔213から上方へ通過せず板13に当たるように偏向することが可能となった。この二次電子偏向により,左右の分離精度が向上するとともに,反射板15を通過した電子が上方へ抜けて損失することなく反射板13に当たるように調整でき,検出器14において信号の損失のない電子信号画像を取得することが可能になった。
本実施例によれば以下に記すような効果がある。走査偏向器16より上方で二次電子38を検出する場合,二次電子38も走査偏向電場または磁場を通過して偏向されてしまう。特に,二次電子40が反射板13の高さで細く収束している場合には,試料からの出射位置と走査偏向信号に応じて、画像に通過孔の影が現れてしまうという現象が考えられたが、本実施例では、ビーム通過孔213から上方へ抜けることがないように二次電子40をy方向へ偏向できるので,通過孔の影がない均一な画像を得ることができる。
また、二次電子をy方向へ偏向することにより通過孔での損失がなくなるので,反射板13のビーム通過孔213を他の実施例よりも大きくすることが可能になった。その結果,一次電子ビームを反射板13の上方で偏向したい場合にも一次ビームが反射板13に衝突することなく下方へ通過することが可能になり,電子光学系の調整範囲,制御性が向上する。
レビューSEMの装置構成。 SEMによる陰影像形成原理。 本発明による陰影像取得方法を示す図。 二次電子軌道計算結果。 二次電子検出器。 反射板形状例。 本発明による可動検出器を示す図。 第2の実施例の装置構成。 第2の実施例における動作状態を示す図。 第2の実施例における調整手法を示す図。 第4の実施例における反射板形状の下面図。
符号の説明
1:電子光学系,2:ステージ機構系,3:ウエハ搬送系,4:真空排気系,5:光学顕微鏡,6:制御系,7:操作部,8:電子源,9:コンデンサレンズ,10:対物レンズ,11:第一の検出器,12:第二の検出器,13:第一の反射板,14:第三の検出器,15:第二の反射板,16:偏向器,17:ウエハ高さ検出器,18:XYステージ,19:ホルダ,20:ウエハ,21:リターディング電源,22:カセット載置部,23:ウエハローダ,24:信号検出系制御部,25:ビーム偏向補正制御部,26:電子光学系制御部,27:ウエハ高さセンサ検出系,28:機構およびステージ制御部,29:操作画面および操作部,30:画像処理部,31:データ保存部,32:電極,33:電極電源,34:電極電源制御部,35:データ入力部,36:データ変換部,37:電子ビーム,38:二次電子,39:二次電子の低角成分(仰角),40:二次電子の高角成分(仰角),41:電子ビームの走査経路,42:反射板の可動機構,101:凹凸欠陥,102:検出系,103:メッシュ,104:仕切板,105:検出器,106:検出器,201:ExB偏向器,202:偏向された二次電子の中心軸,213:反射板13のビーム通過孔,215:反射板15のビーム通過孔。

Claims (4)

  1. 試料を載置する試料台と、
    一次荷電粒子ビームを発生させる荷電粒子源と、
    前記一次荷電粒子ビームを前記試料上に走査する走査偏向器と、
    前記一次荷電粒子ビームを前記試料台上の試料に照射するための対物レンズと、
    正電位を加して、前記試料から二次的に発生する荷電粒子を検出系に通過させる、前記試料台に対向して、前記対物レンズと前記試料との間に設けられた電極と、
    前記走査偏向器と前記荷電粒子源との間に、前記一次荷電粒子ビームが通過する穴を備え、前記試料から二次的に発生する荷電粒子の放出仰角の低角成分が衝突し、高角成分が前記穴を通過する第2の反射板と、
    前記第2の反射板へ衝突により発生する二次電子を検出し、前記第2の反射板の近傍で、かつ前記一次荷電粒子ビームの光軸を挟んで対向して配置する第1の検出器、第2の検出器と、
    前記第2の反射板と前記荷電粒子源との間に、前記二次的に発生する荷電粒子の放出仰角の高角成分が衝突する第1の反射板と、
    前記第1の反射板への衝突により発生する二次電子を検出し、前記第1の反射板の近傍に配置する第3の検出器と、
    前記対物レンズと前記第2の反射板との間にE×B偏向器を備え、
    前記第2の反射板は、楕円形のビーム通過孔を有し、前記第1の反射板は、前記第の反射板と荷電粒子源との間に前記楕円形のビーム通過孔の短軸より小さい径の円形孔を有することを特徴とする検査装置。
  2. 請求項1に記載の検査装置において、前記第2の反射板は、円錐型であることを特徴とする検査装置。
  3. 請求項1に記載の検査装置において、前記第2の反射板は、ドリップコーヒーフィルター型であることを特徴とする検査装置。
  4. 請求項1に記載の検査装置において、前記穴は半径1mm以上10mm以下の穴であることを特徴とする検査装置。
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