JP5386285B2 - 自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物に関する。
特許文献1、特許文献2には、低分子キレート剤とアクリル酸/マレイン酸共重合体を含有する自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物の技術が開示されている。また、増粘剤を含有する自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、特許文献3、特許文献4に開示されている。また、特許文献5には、低分子キレート剤とアクリル酸/マレイン酸共重合体を高濃度に含有する液体洗浄剤が開示されている。
特開2008−163079号公報 特開2008−133340号公報 特開2008−184500号公報 特開2008−163292号公報 特開2006−152287号公報
近年、自動食器洗浄機は急速に普及しており、使い勝手の点から自動食器洗浄機用に用いられる洗浄剤として、粘度が高めの液体洗浄剤タイプのものが提案されている。また省エネルギーや省資源の観点から、一般の液体洗浄剤は有効成分を高濃度に含有する濃縮タイプの開発が進められている。
このような状況の下、本発明者は自動食器洗浄機用液体洗浄剤の濃縮タイプの開発に着手した。該液体洗浄剤の有効成分は低分子キレート化剤、カルボン酸系高分子化合物、アルカリ剤、及び界面活性剤であるが、使い勝手の点から粘度が高められた組成物にこれら有効成分を高濃度に配合しても、前記の使い勝手の良い粘度を維持できないか、前記粘度を維持できた場合でも、貯蔵安定性が良好でないという新たな課題が生じた。
特許文献1〜4には、低分子キレート剤とアクリル酸/マレイン酸共重合体、増粘剤、アルカリ剤等を含有する自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物の技術が開示されているが、有効成分を高濃度に含有した場合に発生する新たな課題と、それらを解決する手段については記載されていない。特許文献5には、低分子キレート剤とアクリル酸/マレイン酸共重合体を高濃度に含有する組成物が開示されているが、使い勝手の点から粘度を上げ、且つアルカリ剤を併用した場合の貯蔵安定性が劣るという課題や解決手段を示すものではない。
従って本願発明は、有効成分を高濃度に配合しても貯蔵安定性に問題がなく、しかも好ましい粘度を呈する濃縮タイプの自動食器洗浄機用液体洗浄剤を提供することを課題とする。
本発明(以下、「第1発明」とも言う)は、
(a)低分子キレート剤を1〜20質量%、
(b)アクリル酸(塩)由来のモノマー構成単位とマレイン酸(塩)及び/又は無水マレイン酸由来のモノマー構成単位が、9/1〜4/6のモル比で含有されてなる、重量平均分子量1,000〜40,000の高分子化合物を1〜20質量%、
(c)アルカリ剤を0.1〜20質量%、
(d)(d1)下記一般式(1)の化合物、又は(d1)下記一般式(1)の化合物及び(d2)ポリプロピレングリコールを0.05〜10質量%、
(e)下記一般式(2)の化合物を0.005〜2質量%、
(f)増粘剤、並びに水を含有し、
(a)成分/(b)成分の質量比が0.1〜20であり、
(a)成分及び(b)成分の合計が10〜30質量%であり、
(d)成分/(e)成分の質量比が1〜300であり、
さらに20℃における粘度が500〜5,000mPa・sであり、且つ25℃におけるpHが8〜11である自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を提供する。
1(OC24l/(OC36mOH (1)
〔式中;R1は炭素数8〜18の炭化水素基であり、l、mは平均付加モル数であり、lは0〜10の数であり、mは0〜100の数であり、lとmが同時に0になることはない。“/”はオキシエチレン基及びオキシプロピレン基が、順序に関係なく、ランダム又はブロックのいずれに付加したものであってもよいことを示す。〕
2−(G)n (2)
〔式中;R2は炭素数6〜18の炭化水素基であり、Gは還元糖に由来する残基である。nは平均縮合度で、1〜5の数である〕。
また、本発明(以下、第2発明とも言う)は、
(a)低分子キレート剤を1〜20質量%、
(b)アクリル酸(塩)由来のモノマー構成単位とマレイン酸(塩)及び/又は無水マレイン酸由来のモノマー構成単位が、9/1〜4/6のモル比で含有されてなる、重量平均分子量1,000〜40,000の高分子化合物を1〜20質量%、
(c)アルカリ剤を0.1〜20質量%、
(d)(d1)下記一般式(1)の化合物及び(d2)ポリプロピレングリコールを含有し、(d1)成分の含有割合が0.01〜2質量%(d2)成分の含有割合が1〜5質量%、
(e)下記一般式(2)の化合物を0.005〜2質量%、
(f)(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、並びに水を含有し、
(a)成分/(b)成分の質量比が0.1〜20であり、
(a)成分及び(b)成分の合計が10〜30質量%であり、
(d2)成分/(e)成分の質量比が0.1〜10であり、
さらに20℃における粘度が500〜5,000mPa・sであり、且つ25℃におけるpHが8〜11である自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を提供する。
1(OC24l/(OC36mOH (1)
〔式中;R1は炭素数8〜18の炭化水素基であり、l、mは平均付加モル数であり、lは0〜10の数であり、mは0〜100の数であり、lとmが同時に0になることはない。“/”はオキシエチレン基及びオキシプロピレン基が、順序に関係なく、ランダム又はブロックのいずれに付加したものであってもよいことを示す。〕
2−(G)n (2)
〔式中;R2は炭素数6〜18の炭化水素基であり、Gは還元糖に由来する残基である。nは平均縮合度で、1〜5の数である〕。
本発明の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、自動食器洗浄機用として使い勝手の良い粘度であるが、貯蔵安定性も良く、使用時には、泡立ちも少なく高い洗浄性能を有している。
<(a)成分>
(a)成分の低分子キレート剤としては、特に限定されるものではないが、分子量が40〜400である水溶性有機酸を挙げることができる。好ましくは分子量90〜360、より好ましくは100〜300の水溶性有機酸、特に分子中に2つ以上、好ましくは2〜6個のカルボン酸基を有する多価カルボン酸を挙げることができる。(a)成分は、本発明で用いるアルカリ剤との塩として組成物中に存在することが好ましい。
具体的には、ギ酸、酢酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸から選ばれるカルボン酸、エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、メチルグリシン2酢酸、グルタミン酸2酢酸、セリン2酢酸、アスパラギン酸2酢酸から選ばれるアミノカルボン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸から選ばれるホスホン酸が好適であり、特にクエン酸、メチルグリシン2酢酸、エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸が好ましい。中でもクエン酸が特に好ましい。
<(b)成分>
(b)成分は、アクリル酸(塩)(アクリル酸又はその塩を意味する)由来のモノマー構成単位とマレイン酸(塩)(マレイン酸又はその塩を意味する)及び/又は無水マレイン酸由来のモノマー構成単位とを含有する高分子化合物とは、アクリル酸(塩)とマレイン酸(塩)及び/又は無水マレイン酸とを必須モノマーとして重合してなる共重合体のことであり、無水マレイン酸は、重合中又は重合後に加水分解され、共重合体を構成している無水マレイン酸由来のモノマー構成単位の一部又は全部がマレイン酸のモノマー構成単位と同じ構造になっていてもよい。(b)成分は、本発明で用いるアルカリ剤との塩として組成物中に存在することが好ましい。
(b)成分の高分子化合物は、重合に用いるモノマーとして、アクリル酸(塩)/〔マレイン酸(塩)及び/又は無水マレイン酸〕のモノマー構成単位のモル比が9/1〜4/6であり、好ましくは8/2〜5/5、より好ましくは8/2〜6/4、特に好ましくは7.5/2.5〜6.5/3.5のものである。
(b)成分の共重合体を構成している、アクリル酸(塩)、マレイン酸(塩)及び無水マレイン酸以外のモノマー構成単位としては、非イオン系のモノマーに由来するモノマー構成単位が好ましく、そのために用いる具体的なモノマーとしては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアクリル(又はメタクリル)アミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリル酸アルキル(炭素数1〜5)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−N,N−ジメチルアミノアルキル(炭素数1〜5)、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、N−ブチレン、イソブチレン、N−ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、N−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、スチレン、ビニルトルエン、及びα−メチルスチレンを挙げることができる。
(b)成分の共重合体を構成している全モノマー構成単位のうち、アクリル酸(塩)、マレイン酸(塩)及び無水マレイン酸由来のモノマー構成単位が、80〜100モル%を占めることが好ましく、90〜100モル%を占めることがより好ましく、95〜100モル%を占めることが更に好ましく、特にはアクリル酸(塩)と、マレイン酸(塩)及び/又は無水マレイン酸由来のモノマー構成単位とから構成されていることが好ましい。なお、構成単位の比率は、共重合に用いたモノマー比率(モノマーの使用量)であってもよい。
(b)成分の共重合体の重量平均分子量は、1,000〜40,000であり、好ましくは5,000〜40,000、より好ましくは10,000〜40,000、更に好ましくは20,000〜40,000であることが、洗浄性能及び/又は貯蔵安定性を高めるために有効である。この重量平均分子量は、アセトニトリルと水の混合溶媒(リン酸緩衝液)を展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリエチレングリコールを標準物質として求めたものである。
<(c)成分>
(c)成分のアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムから選ばれる無機アルカリ剤、アミン化合物から選ばれる有機アルカリ剤を挙げることができる。アミン化合物としては下記一般式(1)〜(4)で表されるアミン化合物が好適である。
Figure 0005386285
(式中、R4、R6、R8、R10、R12、R13は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R1、R2、R3、R5、R7、R9、R11は、それぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を示す)。
一般式(1)で表される化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等を挙げることができ、
一般式(2)で表される化合物としては、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン等を挙げることができ、
一般式(3)で表される化合物としては、ジエチレントリアミン等を挙げることができ、
一般式(4)で表される化合物としては、モルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。
これらの中でもモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モルホリンが好ましく、特にモノエタノールアミンが好ましい。
無機アルカリ剤としては、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のカリウム化合物、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム等のナトリウム化合物を挙げることができる。好ましくは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化物である。特に好ましくは、水酸化カリウムである。
本発明では(c)成分としてモノエタノールアミンと水酸化カリウムを併用することが好ましく、洗浄性能及び高pH域での増粘の点から、モノエタノールアミン/水酸化カリウムの質量比は、好ましくは90/10〜10/80、より好ましくは80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70が好適である。
<(d)成分>
本発明の組成物は、(d)成分として(d1)下記一般式(1)の化合物、又は(d1)下記一般式(1)の化合物及び(d2)ポリプロピレングリコールを含有する。
1(OC24l/(OC36mOH (1)
〔式中;R1は炭素数8〜18の炭化水素基、好ましくはアルキル基であり、l、mは平均付加モル数であり、lは0〜10の数であり、mは0〜100の数であり、lとmが同時に0になることはない。“/”はオキシエチレン基及びオキシプロピレン基が、順序に関係なく、ランダム又はブロックのいずれに付加したものであってもよいことを示す。〕
具体的には下記(I)〜(III)の化合物が好適である。
(I)重量平均分子量が600〜20,000、好ましくは2,000〜10,000のポリプロピレングリコール。なお、ポリプロピレングリコールの重量平均分子量は光散乱法を用いて決定することができ、ダイナミック光散乱光度計(DLS−8000シリーズ、大塚電子株式会社製等)により測定することができる。なお、ポリプロピレングリコールには、多価アルコールにプロピレンオキサイドを付加させたものも本発明の範囲に含むものとする。
(II)一般式(1)において、R1が炭素数8〜18、好ましくは10〜14の炭化水素基、好ましくはアルキル基、lが1〜10、好ましくは1〜7のポリオキシエチレンアルキルエーテル(m=0)。
(III)一般式(1)において、R1が炭素数8〜18、好ましくは10〜14の炭化水素基、好ましくはアルキル基、lが1〜10、好ましくは1〜7、mが1〜10、好ましくは1〜7のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(オキシエチレン基及びオキシプロピレン基はランダムであってもブロックであっても差し支えない)。
本発明では特に(I)又は(II)の化合物が好ましく、特に(I)及び(II)の化合物の併用が好ましい。第1発明においては、(I)及び(II)の化合物を併用するときの配合比(質量比)は、分散安定性及び低泡性の点から、(II)/(I)が、好ましくは90/10〜10/90、より好ましくは85/15〜25/75、特に好ましくは80/20〜50/50である。
<(e)成分>
本発明の組成物は、(e)成分として下記一般式(2)の化合物を含有する。
2−(G)n (2)
〔式中;R2は炭素数6〜18、好ましくは8〜16、より好ましくは10〜14の炭化水素基、好ましくはアルキル基であり、Gは還元糖に由来する残基である。nは平均縮合度であり、1〜5の数である〕。
一般式(2)の化合物において、Gは還元糖に由来する残基であり、原料の還元糖としては、アルドースとケトースの何れであっても良く、また、炭素数が3〜6個のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースを挙げることができる。アルドースとして具体的にはアピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができ、ケトースとしてはフラクトースを挙げることができる。本発明では、これらの中でも特に炭素数5又は6のアルドペントースあるいはアルドヘキソースが好ましく、中でもグルコースが最も好ましい。Gの還元糖としては上記単糖類が好ましいが、これら単糖が2〜5個、好ましくは2又は3個縮合したオリゴ糖を用いても差し支えない。さらには単糖とオリゴ糖が混合したものでもよい。また、平均縮合度は1〜5、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2が好適であり、1〜1.5が最も好ましい。
<(f)成分>
本発明の組成物は、(f)成分として増粘剤を含有する。(f)成分としては、例えばペクチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、トラガントガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、デキストリン、デキストリン脂肪酸エステル、ポリアクリル酸系増粘剤、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、デンプン等の水溶性高分子や、スメクタイトのような水膨潤性粘土鉱物が好ましい。
スメクタイトとしては天然及び合成のいずれも使用し得るが、ガラス質、長石、石英、雲母、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン等の含有率が5質量%以下であるものが好ましい。好ましいスメクタイトとしては、ジオクタヘドラル群のモンモリロナイト、バイデライト、ノントロイト等又はトリオクタヘドラル群のサポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等の天然又は合成のコロイド性ケイ酸塩を挙げることができる。その中でも好ましくはヘクトライトであり、ラポルテ社製ラポナイトシリーズ、クニミネ工業社製クニピア、コープケミカル社製スメクトン等を挙げることができる。
増粘性、保存安定性の点からポリアクリル酸系増粘剤が好ましい。好ましいポリアクリル酸系増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー(以下(i)成分という)又は(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(以下(ii)成分という)から選ばれる1種以上を用いることができる。これらの中でも、(ii)成分が好ましい。
(i)成分のカルボキシビニルポリマーは、カルボキシル基を持つ酸性高分子化合物で、主たる構成モノマーがアクリル酸であるポリマーであり、アクリル酸100質量部に対して、0.01質量部以上のエチレン性不飽和基を少なくとも2個有する化合物を架橋剤として使用して得られる架橋型ポリアクリル酸であってもよい。
ここで、エチレン性不飽和基を少なくとも2個有する化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、リン酸トリアリル及びポリアリルサッカロースの少なくとも1種が好ましい。
架橋剤は、アクリル酸との合計量中、好ましくは0.05質量%以上で、3質量%以下である。
(i)成分のカルボキシビニルポリマーは、(i)成分を0.2質量%含有し、水酸化ナトリウムでpH7.0に調整した水溶液を、20℃にてブルックフィールド型粘度計(ローターNo.4、回転数12r/m)で測定した粘度が500mPa・s以上が好ましく、より好ましくは1,000〜70,000mPa・s、特には1500〜40,000mPa・sであることが好ましい。
(i)成分は、構成単量体がアクリル酸99.9モル%以上のものが好ましく、特にアクリル酸のみのものや架橋型ポリアクリル酸が好ましい。
このようなカルボキシビニルポリマーとしては、例えば、ノベオン社(NoveonInc.)製のカーボポール980、カーボポール981、住友精化株式会社製のアクペックHV501E、HV505E等の市販品を用いることができる。これらは、2種以上を併用することもできる。
(ii)成分を構成する(メタ)アクリル酸エステルは、エステルを構成する炭化水素基はアルキル基が好ましく、その炭素数は8〜30、更に10〜30、特に10〜22が好ましい。
また、(ii)成分は、炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(以下、AOという)に由来する構成単位を含んでいてもよく、AOとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、好ましくはエチレンオキサイドを挙げることができる。AOの平均付加モル数は5〜20が好ましい。
また、(ii)成分の単量体の比率は、モル比で(メタ)アクリル酸100に対して(メタ)アクリル酸エステルを0.2〜10が好ましく、特に0.5〜5が好ましく、AO由来の構成単位を導入する場合は、(メタ)アクリル酸エステルのAO付加物及び/又は(メタ)アクリル酸AO付加物を、モル比で(メタ)アクリル酸100に対して0〜10用いることが好ましい。
(ii)成分の(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体は、(ii)成分を0.2質量%含有し、水酸化ナトリウムでpH7.0に調整した水溶液を、20℃にてブルックフィールド型粘度計(ローターNo.4、回転数12r/m)で測定した粘度が500mPa・s以上が好ましく、より好ましくは1000〜70,000mPa・s、特には1500〜40,000mPa・sであることが好ましい。
(ii)成分は、構成単量体がアクリル酸とアクリル酸アルキルであるものが好ましく、特にアクリル酸100質量部に対して、0.01質量部以上のエチレン性不飽和基を少なくとも2個有する化合物を架橋剤として使用して得られる架橋型ポリアクリル酸/アクリル酸アルキル共重合体が好ましい。
(ii)成分としては、例えば、ノベオン社(Noveon Inc.)製のカーボポールETD2020、住友精化株式会社製アクペックHV501ER、アクペックHV701EDR等の市販品を用いることができる。これらは、2種以上を併用することもできる。
(i)成分及び(ii)成分は、上述のアルカリ剤との塩として洗浄剤組成物中に存在することが好ましい。
<その他の成分>
本発明の組成物は、任意ではあるが、洗浄力をさらに向上させる目的から酵素〔以下(g)成分という〕を含有することが好ましい。好適な(g)成分としては、セルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼおよびペルオキシダーゼを挙げることができ、特にプロテアーゼ、アミラーゼが好適である。
本発明ではプロテアーゼとアミラーゼを併用することが好ましく、酵素タンパク質の量としてアミラーゼ/プロテアーゼの質量比は、好ましくは1/99〜94/6、より好ましくは2/98〜90/10、特に好ましくは20/80〜80/20である。
本発明の組成物が酵素を含有する場合、アルカリ剤を含有する中性〜弱アルカリ性水溶液中での酵素失活を抑制するため、酵素安定化剤〔以下(h)成分という〕を配合することが好ましい。
酵素安定化剤としては、ホウ酸又はホウ酸を形成することが可能なホウ素化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、水溶性カルシウム塩から選ばれる1種以上を配合することが好ましい。(h)成分としてはプロピレングリコール及び/又はグリセリンと水溶性カルシウム塩を併用することが最も好ましい。
本発明の組成物は、その他、上記を除く他の界面活性剤、色素、香料、消泡剤、エタノールを任意の成分として含有することができる。
<自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物>
本発明の第1発明の組成物における各成分の含有割合、各成分の比率は、以下のとおりである。
(a)成分の含有割合は、1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは5〜15質量%、特に好ましくは9〜15質量%であり、
(b)成分の含有割合は、1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜12質量%、特に好ましくは3〜9質量%であり、
(c)成分の含有割合は、0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは3〜15質量%、特に好ましくは7〜15質量%であり、
(d)成分の含有割合は、0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜7質量%、より好ましくは1〜5質量%、特に好ましくは2〜3.5質量%であり、
(e)成分の含有割合は、0.005〜2質量%、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.05〜1質量%、特に好ましくは0.1〜0.7質量%であり、
(f)成分の含有割合は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜4質量%、特に好ましくは0.7〜2.5質量%である。
(d)成分として(d1)成分の一般式(1)の化合物と(d2)成分のポリプロピレングリコールを併用するとき、(d2)成分のポリプロピレングリコールの含有割合は、貯蔵安定性の観点から、含有割合は1質量%未満であり、好ましくは0.8質量%以下である。
(a)成分/(b)成分の質量比は、洗浄性能を高めるため、0.1〜20であり、好ましくは0.5〜10、より好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜2であり、(a)成分及び(b)成分の合計は、洗浄性能を高めるため、10〜30質量%であり、好ましくは10〜25質量%、より好ましくは12〜20質量%、特に好ましくは14〜18質量%である。
(d)成分/(e)成分の質量比は、特に低泡性にすることと、貯蔵安定性を高めることから、1〜300であり、好ましくは3〜100、より好ましくは3〜60、特に好ましくは7〜30である。
任意成分として(g)成分、(h)成分を含有するときは、(g)成分の含有割合は、酵素タンパク質の量として0.005〜1質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%、特に好ましくは0.03〜0.3質量%である。(g)成分を含有する場合には、(h)成分を0.001〜50質量%、1〜40質量%含有することが好ましい。
本発明の第2発明の組成物における各成分の含有割合は、(d)成分を除いて第1発明の組成物と同じであり、各成分の比率は、以下のとおりである。
(d)成分中、(d1)成分の一般式(1)の化合物の含有割合は、粘度低下抑制の観点から0.01〜2質量%であり、好ましくは0.1〜1質量%であり、(d2)成分のポリプロピレングリコールの含有割合は、泡立ち抑制及び洗浄性能の観点から、1〜5質量%であり、好ましくは1.5〜3質量%、より好ましくは1.8〜2.5質量%である。
(a)成分/(b)成分の質量比は、洗浄性能と貯蔵安定性を高めるため、0.1〜20であり、好ましくは0.5〜10、より好ましくは1〜5、特に好ましくは3〜5である。(a)及び(b)成分の合計量は、第1発明の組成物と同じである。
(d2)成分/(e)成分の質量比は、増粘性、貯蔵安定性及び泡立ち抑制の観点から、0.1〜10であり、好ましくは1〜7、特に好ましくは2〜4である。
本発明の組成物の残部は水であり、貯蔵安定性の上でイオン交換水等が好ましい。
また、本発明の組成物は、20℃における粘度が500〜5,000mPa・s、好ましくは1000〜4,000mPa・s、特に好ましくは2,000〜3,000mPa・sであり、このような粘度は(f)成分の含有量で適宜調整される。粘度の測定方法はブルックフィールド型粘度計(粘度が4000mPa・s以下の場合はローターNo.3、回転数30r/m、粘度が4,000mPa・sを超え、20,000mPa・s以下の場合はローターNo.4、回転数30r/m)を用いて行った。
また、本発明の組成物は、25℃におけるpHが8〜11、好ましくは8.5〜10.5、特に好ましくは9〜10であり、このようなpHは(a)成分〜(c)成分、又は(f)成分で適宜調整される(pHの測定は、JIS Z 8802の7.2(測定方法)により行う)。
表1及び表2に示す配合組成で、自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を調製し、以下の評価を行った。
<低泡性>
使用洗浄機:松下電器産業株式会社製自動食器洗い機(機種NP−C10)を用い、表1及び表2の液体洗浄剤組成物を入れて標準コースで運転した。この洗浄機は、2.2Lの水を20℃から60℃まで徐々に昇温して洗浄し、その後すすぎを3回(昇温しない)行い、最終すすぎ(20℃から70℃まで徐々に昇温してのすすぎ)後、乾燥する形式のものである。運転開始1分、4分、9分、14分、19分後に洗浄機上部より光をあてながら噴射ノズルの回転数を数え、最も回転数の少なくなる時間の回転数を表1及び表2に示した。この場合、回転数が多いほど洗浄剤組成物が低泡性であることの指標となり、24回転/分以上であれば問題ないレベルである。
<茶渋汚れ洗浄性能>
使用洗浄機:松下電器産業株式会社製自動食器洗い機(機種NP−60SS6)を用い、下記食器、 表1及び表2の液体洗浄剤組成物を入れて標準コースで運転した。この洗浄機は、2.2Lの水を20℃から60℃まで徐々に昇温して洗浄し、その後すすぎを3回(昇温しない)行い、最終すすぎ(20℃から70℃まで徐々に昇温して、すすぎ)後、乾燥する形式のものである。
汚染湯呑み :3個(下記方法で調製されたもの)
使用水 :7°dHの水
洗浄剤組成物添加量:6g
<汚染湯呑みの調製及び評価方法>
紅茶(日東紅茶)3パックをお湯1L(3.2°dH硬水)に10分間浸けた後、紅茶をメラミン製の湯呑み(上径:約95mm、高さ:約50mm)に100g注ぎ、60分後に捨て、更に1昼夜自然乾燥させたものを評価に用いた。洗浄後の湯呑み3個の茶渋の付着状態を30歳代の男性及び女性4人(各2人ずつ)のパネルに観察してもらい、下記判定基準で評価し、4人の平均値を表1及び表2に示した。
4:茶渋が残っていない
3:やや茶渋が残っているが、使用上問題ないレベル
2:茶渋が残っており、洗い直しが必要なレベル
1:茶渋がほとんど除去されていないレベル
<貯蔵安定性>
表1及び表2の液体洗浄剤組成物200gをプラスティック製透明容器(花王株式会社製ファミリーフレッシュ容器)に入れ、室温(20℃)で3日間保存し、保存後の組成物の様子を観察し、保存前と変化ない場合を○、やや油分が浮いている場合を×、分離が見られるものを××として評価し、表1及び表2に示した。
<経時増粘性>
表2の液体洗浄剤組成物200gをプラスティック製透明容器(花王株式会社製ファミリーフレッシュ容器)に入れ、50℃で20日間保存し、保存後の粘度上昇を測定した。その結果、粘度上昇が1000mPa・s未満である場合を○、1000mPa・s以上である場合を×として評価し、表2に示した。
Figure 0005386285
Figure 0005386285
<(b)成分>
アクリル酸/マレイン酸共重合体の塩:重量平均分子量約3万、アクリル酸/マレイン酸のモル比=7/3
(b)成分の比較成分:アクリル酸/マレイン酸共重合体の塩:重量平均分子量約7万、アクリル酸/マレイン酸のモル比=7/3
<(d)成分>
(d1-1)界面活性剤1:一般式(1)中、アルキル基の炭素数が12〜14の第2級高級アルコールにオキシエチレン基が平均3モル付加した、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
(d1-2)界面活性剤2:一般式(1)中、アルキル基の炭素数が12の直鎖第1級高級アルコールにオキシエチレン基が平均4モル付加した、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
(d1-3)界面活性剤3:一般式(1)中、アルキル基の炭素数が12〜14の第2級高級アルコールにオキシエチレン基が平均7モル、オキシプロピレン基が平均8.5モル付加した、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル
(d2)PPG:ポリプロピレングリコール,重量平均分子量約3,000、平均縮合度約50(ジオールタイプ、和光純薬工業株式会社)
<(e)成分>
界面活性剤(AG):一般式(2)中、アルキル基の炭素数が12、グルコースの平均縮合度は1.3のアルキルグリコシド
<(f)成分>
増粘剤1:アクペック501E(架橋型ポリアクリル酸,住友精化(株)製)(20℃の粘度:前記アクペック501Eを0.2質量%含有し、水酸化ナトリウムでpH7.0に調整した水溶液を、20℃にてブルックフィールド型粘度計<ローターNo.4、回転数12r/m>で測定した粘度が4,000mPa・s)
増粘剤2:アクペックHV701EDR(架橋型ポリアクリル酸/アクリル酸アルキル(炭素数10〜30)共重合体,住友精化(株)製)(20℃の粘度:前記アクペックHV701EDRを0.2質量%含有し、水酸化ナトリウムでpH7.0に調整した水溶液を、20℃にてブルックフィールド型粘度計<ローターNo.4、回転数12r/m>で測定した粘度が13,000mPa・s)
<(g)成分>
α−アミラーゼ:デュラミル300L(ノボザイムズジャパン株式会社)
プロテアーゼ:エバラーゼ16L(ノボザイムズジャパン株式会社)
<(h)成分>
グリセリン(酵素安定化剤)
塩化カルシウム(酵素安定化剤)

Claims (4)

  1. (a)低分子キレート剤を1〜20質量%、
    (b)アクリル酸(塩)由来のモノマー構成単位とマレイン酸(塩)及び/又は無水マレイン酸由来のモノマー構成単位が、9/1〜4/6のモル比で含有されてなる、重量平均分子量1,000〜40,000の高分子化合物を1〜20質量%、
    (c)アルカリ剤を0.1〜20質量%、
    (d)(d1)下記一般式(1)の化合物、又は(d1)下記一般式(1)の化合物及び(d2)ポリプロピレングリコールを0.05〜10質量%、
    (e)下記一般式(2)の化合物を0.005〜2質量%、
    (f)増粘剤、並びに水を含有し、
    (a)成分/(b)成分の質量比が0.1〜20であり、
    (a)成分及び(b)成分の合計が10〜30質量%であり、
    (d)成分/(e)成分の質量比が1〜300であり、
    さらに20℃における粘度が500〜5,000mPa・sであり、且つ25℃におけるpHが8〜11である自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
    1(OC24l/(OC36mOH (1)
    〔式中;R1は炭素数8〜18の炭化水素基であり、l、mは平均付加モル数であり、lは0〜10の数であり、mは0〜100の数であり、lとmが同時に0になることはない。“/”はオキシエチレン基及びオキシプロピレン基が、順序に関係なく、ランダム又はブロックのいずれに付加したものであってもよいことを示す。〕
    2−(G)n (2)
    〔式中;R2は炭素数6〜18の炭化水素基であり、Gは還元糖に由来する残基である。nは平均縮合度で、1〜5の数である。〕
  2. (d2)ポリプロピレングリコールの含有量が1質量%未満である、請求項1記載の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
  3. (a)低分子キレート剤を1〜20質量%、
    (b)アクリル酸(塩)由来のモノマー構成単位とマレイン酸(塩)及び/又は無水マレイン酸由来のモノマー構成単位が、9/1〜4/6のモル比で含有されてなる、重量平均分子量1,000〜40,000の高分子化合物を1〜20質量%、
    (c)アルカリ剤を0.1〜20質量%、
    (d)(d1)下記一般式(1)の化合物及び(d2)ポリプロピレングリコールを含有し、(d1)成分の含有割合が0.01〜2質量%(d2)成分の含有割合が1〜5質量%、
    (e)下記一般式(2)の化合物を0.005〜2質量%、
    (f)(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、並びに水を含有し、
    (a)成分/(b)成分の質量比が0.1〜20であり、
    (a)成分及び(b)成分の合計が10〜30質量%であり、
    (d2)成分/(e)成分の質量比が0.1〜10であり、
    さらに20℃における粘度が500〜5,000mPa・sであり、且つ25℃におけるpHが8〜11である自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
    1(OC24l/(OC36mOH (1)
    〔式中;R1は炭素数8〜18の炭化水素基であり、l、mは平均付加モル数であり、lは0〜10の数であり、mは0〜100の数であり、lとmが同時に0になることはない。“/”はオキシエチレン基及びオキシプロピレン基が、順序に関係なく、ランダム又はブロックのいずれに付加したものであってもよいことを示す。〕
    2−(G)n (2)
    〔式中;R2は炭素数6〜18のアルキル基であり、Gは還元糖に由来する残基である。nは平均縮合度で、1〜5の数である。〕
  4. (a)成分が、分子量が40〜400である水溶性有機酸である、請求項1〜3の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
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