JP5385543B2 - 固体リン酸触媒及びオレフィン二量体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体リン酸触媒及びそれを使用するオレフィン二量体の製造方法に関する。
固体リン酸触媒は、無機担体にリン酸を担持した触媒であり、オレフィンの水和反応やオレフィンのオリゴマー化反応等に用いられる。
一方、オレフィンのオリゴマーは各種用途に用いられており、特に軽質オレフィン(例えば、プロピレン、ノルマルブテン、イソブテン、ペンテン類)の二量体は、ガソリンの高オクタン価基材や化学中間原料として重要である。オレフィンの二量化を含むオリゴマー化は、酸触媒を用いて行われ、これまで数多くの研究がなされている。酸触媒としては、硫酸、フッ化水素酸、リン酸、塩化アルミニウム及びフッ化ホウ素や、非晶性又は結晶性アルミノシリケート、粘土、イオン交換樹脂、複合酸化物、担体付き酸などの固体酸が慣用的な例として挙げられ、安価で簡便な製造プロセスが可能である上記固体リン酸触媒についても種々検討されている。
固体リン酸触媒によるオレフィンのオリゴマー化として、例えば、100℃を越えるか焼条件で調製された固体リン酸触媒を用いてプロピレンをオリゴマー化する方法(例えば下記特許文献1を参照。)や、リン酸と珪酸質原料の無定形混合物を250〜450℃、水蒸気濃度3〜50モル%の条件で結晶化して調製した触媒(シリコンオルトホスフェートおよびシリコンピロホスフェートからなる触媒)を用いてプロピレンをオリゴマー化する方法(例えば下記特許文献2を参照。)などが提案されている。また、固体リン酸触媒のリン酸の縮合度がオレフィンのオリゴマー化反応に対する活性に影響を及ぼすことは従来から知られており、例えば、下記特許文献3や非特許文献1には、固体リン酸触媒を水に浸漬して溶出する遊離リン酸成分(オルトリン酸、ピロリン酸などの非縮合または低縮合のリン酸)の触媒に対する重量比が小さい触媒(担持されたリン酸中のオルトリン酸の比率が、リン原子換算で多くても46モル%程度)を用いて、C3およびC4等のオレフィンをオリゴマー化する例が開示されている。
しかしながら、上記の従来の固体リン酸触媒を用いるオレフィンのオリゴマー化は、いずれもオレフィンの二量化を主目的としたものではない上に、従来の固体リン酸触媒ではオレフィンの高重合物の副生が避けられず、オレフィン二量体を選択的に得ることは困難であった。
オレフィンの二量化選択性の向上について検討された例はあり、例えば、下記特許文献4には、担体に担持されたリン酸中のオルトリン酸の比率をリン原子換算で60モル%以上である固体リン酸触媒を用いたオレフィンの二量体化方法が提案されている。
特公平8−29251号公報 特公平7−59301号公報 特開2001−199907号公報 "Applied Catalysis A : General",1993, 97, p.177-196 特開2006−51492号公報
ところで、触媒の機械的強度が低いと、触媒及びイナートボール等の充填物の荷重により担体が崩壊して、運転中徐々に差圧が上昇し運転ができなくなるため、固体リン酸触媒においても機械的強度は重要な要素となってきている。オレフィンの二量体を効率よく生産するためには、固体リン酸触媒の触媒活性及びオレフィンの二量化選択性の向上のみならず触媒の機械的強度を十分確保することが望ましい。しかし、特許文献4には、固体リン酸触媒のリン酸組成と二量化選択性との関係についての記載はあるものの、触媒の機械的特性との関連についてはなんら開示されていない。
そこで、本発明は、機械的強度とオレフィンの二量化選択性とを高水準で両立し得る固体リン酸触媒を提供すること、及びそのような固体リン酸触媒を用いてオレフィン二量体を効率よく生産することを可能とするオレフィン二量体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、特定範囲の平均細孔径及び特定範囲の平均粒子強度を有する無機担体粒子と、この担体粒子上に担持させた特定の組成を有するリン酸とを含む固体リン酸触媒が、高いオレフィンの二量化選択性と十分な機械的強度とを有し得ることを見出した。すなわち、オレフィンの二量化選択性を向上する目的で触媒を構成する無機担体の細孔構造を変化させると、触媒の機械的強度が変化し、その実用性に影響を与えることが懸念されるが、上記特定範囲の平均細孔径及び平均粒子強度を有する無機担体粒子を選択し、これと上記特定のリン酸とを組み合わせることにより、機械的強度とオレフィンの二量化選択性とを高水準で両立できるとの知見を本発明者らは得た。そして、このような知見に基づき、本発明を完成するに至った。
本発明は、平均細孔径が15〜200nmであり且つ平均粒子強度が12〜50Nである無機担体粒子と、該無機担体粒子上に担持されたリン酸とを含有し、リン酸中のオルトリン酸の比率がリン原子換算で60モル%以上であり、リン酸の含有量が、無機担体粒子に対するオルトリン酸換算のリン酸質量の割合として、40〜200質量%であることを特徴とするオレフィン二量体を製造するために用いられる固体リン酸触媒を提供する。
また本発明は、本発明の固体リン酸触媒に、オレフィンを含有する原料を液相にて接触せしめる工程を備え、原料に含まれる水の含有量が、原料全量を基準として10質量ppm以上であり、且つ、原料の飽和水分量以下であることを特徴とするオレフィン二量体の製造方法を提供する。
本発明のオレフィン二量体の製造方法において、オレフィンが炭素数3〜5のモノオレフィンであることが好ましい。
本発明によれば、機械的強度とオレフィンの二量化選択性とを高水準で両立し得る固体リン酸触媒を提供することができ、また、そのような固体リン酸触媒を用いてオレフィン二量体を効率よく生産することを可能とするオレフィン二量体の製造方法を提供することができる。
以下に本発明をさらに詳しく説明する。
<固体リン酸触媒>
本発明の固体リン酸触媒に用いる無機担体粒子としては、平均細孔径が15〜200nmであり且つ平均粒子強度が12〜50Nであるものであってリン酸を担持できるものであれば特に制限はないが、好ましい例として、珪藻土、滴虫土、繊毛虫土、キーゼルグール、カオリン、フラー土、人工多孔質シリカなどの珪酸質担体及びその混合物の成形体粒子を挙げることができる。担体を成形する場合、十分な強度、細孔容積、比表面積を与える目的でいかなる温度条件でもか焼を行うことができる。成形の方法および成形体の形状については特に制限がなく、例えば打錠成形、押出成形、スプレードライ、転動造粒,油中造粒等の方法で、粒状、板状、ペレット状の各種成形体粒子とすることができ、粒径は0.5〜5mm程度とすることができる。
本発明に係る無機担体粒子は、平均細孔径が15〜200nmであり、好ましくは30〜200nm、より好ましくは30〜100nmである。平均細孔径が15nm未満の場合には、細孔内に存在する物質の細孔外への拡散抵抗が大きくなるため、細孔内でリン酸の触媒作用により生成したオレフィン二量体がより長い時間細孔内に留まり、オレフィン二量体がリン酸の触媒作用によりさらに三量体以上の重質物に転換されやすくなる。これにより二量化選択性が低下する傾向にある。また、平均細孔径が200nmを超える場合は、触媒の機械的強度と触媒活性とを両立することが困難となる。例えば、無機担体粒子が二酸化珪素を含んでなるものである場合、平均細孔径が200nmを超える場合であっても、細孔容積を小さくすることで二酸化珪素構造の密度を大きくして圧壊強度を高めることは可能であるが、細孔容積が小さいと、細孔に担持されるリン酸の量が少なくなるので、単位触媒層容積当りの反応率が低下してしまう。なお、細孔容積を確保しようとすると、担体中の二酸化珪素構造の密度が小さくなるため、担体の圧壊強度が低下してしまう。
本発明において、無機担体粒子の平均細孔径は、用いる無機担体粒子の平均細孔径が15nm以上のものであるため、これに適した水銀圧入法を用いて測定される。例えば、島津製作所社製の自動ポロシメータ「Micromeritics AutoporeII」(商品名)を用いて測定することができる。
また、本発明に係る無機担体粒子は、平均粒子強度が12〜50Nであり、好ましくは20〜50N、より好ましくは30〜50Nである。無機担体粒子の平均粒子強度が上記範囲内であると、触媒活性を十分確保しつつ、固体リン酸触媒の機械的強度を十分なものにでき、触媒の充填時及び触媒使用時の触媒粒子の圧壊を有効に防止することができる。平均粒子強度が12N未満である無機担体粒子では、触媒の機械的強度を十分に確保できず、平均粒子強度が50Nを超える無機担体粒子では、例えば、担体粒子が二酸化珪素を含んでなるものであれば、担体中の二酸化珪素構造の密度が高くなるため、結果として細孔容積が低下し、単位触媒層容積当りの反応率が低下してしまう。
本発明において、無機担体粒子の平均粒子強度は、無機担体粒子の圧縮破壊強度の平均値が採用される。圧縮破壊強度の平均値は、木屋式硬度計を用いて、無機担体粒子1個を稜線で接触させ、上方から徐々に荷重を加えて触媒粒子が破壊に至る力を測定し、担体粒子25個の破壊荷重を平均することにより求められる。
次に、本発明の固体リン酸触媒を構成するリン酸について説明する。
本発明に係るリン酸は、リン酸中のオルトリン酸の比率がリン原子換算で60モル%以上である。すなわち、本発明に係る無機担体粒子に担持されるリン酸は、リン酸中に含まれる全リン原子のモル数に対するオルトリン酸中のリン原子の比率が60モル%以上である。この場合に、オレフィンの二量化反応に対して優れた活性及び選択性が発現される。上記比率は、70モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましい。オレフィンの二量化反応において高い活性及び選択性を長期間維持するためには、リン酸中のオルトリン酸と、その他の縮合したポリリン酸等との比率が重要であり、触媒のリン酸中のオルトリン酸の比率が60モル%以上の状態でオレフィンを接触させることが肝要である。
本発明の固体リン酸触媒を調製する際に用いるリン酸としては、オルトリン酸及びその縮合物であるピロリン酸、ポリリン酸が挙げられるが、加水分解によりリン酸となるもの(リン酸前駆体)、例えば、炭素数1〜8のアルコールのリン酸エステル等も使用することができる。また、それらの混合物であってもよい。
リン酸を無機担体粒子に担持する方法としては、無機担体粒子をリン酸水溶液に浸漬した後乾燥する方法や、無機担体とリン酸水溶液を混合して得られたペーストを成形・乾燥する方法が一般的に用いられる。前者の方法は、二量化反応の際に触媒中のリン酸が反応液中に溶け出すことによってリン酸担持量が減少した場合、触媒の再含浸によりリン酸を適宜補充することができるので特に好ましい。後者の方法の場合、成形の方法及び成形品の形状については、無機担体粒子の成形と同様に行うことができる。
固体リン酸触媒中のリン酸の含有量については、特に限定はされないが、無機担体粒子の質量に対するオルトリン酸換算のリン酸質量の割合として、40〜200質量%が好ましい。かかる割合が、40質量%未満である場合、活性が低くなる若しくは必要とする触媒容量が大きくなり、設備コストが大きくなる傾向にある。また、200質量%を超える場合、全リン酸に占めるオルトリン酸の比率を60モル%以上とすることが困難となることから好ましくない。
触媒調製の具体的な態様の例として、無機担体粒子をリン酸水溶液に浸漬した後に乾燥させて担持させる方法について説明する。触媒調製に使用する装置については特に限定は無く、一般的な回分槽を用いることができるが、オレフィンの二量化反応を実施する反応器を用いれば、触媒調製と同時に触媒充填を行うことができる。浸漬に用いるリン酸水溶液の濃度は、通常約10〜85質量%で、所望するリン酸担持量に応じて変化させることが好ましい。浸漬時間は、通常1時間程度あるいはそれ以上であれば特に限定されない。浸漬温度は100℃以下、好ましくは50℃以下である。100℃を超える温度条件では、リン酸中のオルトリン酸の比率が小さくなるおそれがあるので好ましくない。また、温度が低すぎると凝固して含浸できなくなるので、0℃以上、さらには15℃以上が好ましい。
浸漬後、ろ過などの一般的方法でリン酸水溶液の残余分を除去した後に、残留する余剰の水分を蒸発せしめて乾燥させる。乾燥方法としては、大気中に放置してもよいし、気体流を用いてもよい。乾燥に用いる気体は、乾燥条件において気体状態であれば特に限定されないが、空気、窒素ガス、水素ガス、炭素数1〜5の飽和炭化水素ガスが好適である。また、気体中には飽和量以下の水蒸気が含まれていてもよい。例えば、室温において、約2.5体積%以下の水蒸気を含む空気を用いて乾燥を行うことができる。乾燥温度は100℃以下、好ましくは50℃以下である。100℃を越える温度になると、リン酸の縮合が急速に起こり、リン酸中のオルトリン酸の比率が低下するので好ましくない。また、温度が低すぎると乾燥効率が悪くなるので、0℃以上、さらには5℃以上が好ましい。乾燥時間および気体の流速は、乾燥によるリン酸の縮合の進み具合を確認しながら、リン酸中のオルトリン酸の比率がリン原子換算で60モル%未満とならないように適宜調節する。リン酸の縮合が進行した高縮合リン酸触媒は、再含浸処理によって低縮合状態(オルトリン酸の比率が60モル%以上の状態)に戻すことができる。
オレフィンの二量化に際して、固体リン酸触媒中の水分量は、固体リン酸触媒の質量を基準として5質量%以上とすることが好ましい。
本発明のオレフィン二量体の製造方法において使用する原料中に含まれるオレフィンとしては、炭素数3〜5の直鎖状、分岐状および環状のいずれかのモノオレフィンが好適である。また、目的生成物に応じて単一のオレフィンであっても、また2種以上のオレフィンの混合物であってもよい。具体的なオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、イソブチレン、ノルマルペンテン類、イソペンテン類、シクロペンテン類及びこれらの任意の2種以上の組み合わせを挙げることができる。なお、オレフィンの二量化とは、原料オレフィン2モルの反応(オレフィン混合原料の場合には、異なるオレフィン間の反応も含む。)によりオレフィン1モルが生成することを意味する。
また、反応熱を除去する目的で、溶媒を含むオレフィン含有原料を使用することができる。溶媒は、二量化反応条件において液体であって、固体リン酸触媒に対して本質的に不活性であれば特に限定されない。例えば、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ナフテン類、芳香族などの炭化水素を好ましく用いることができる。また、二量化反応工程において反応しなかったオレフィンを含む炭化水素であるラフィネートやC4留分中のブタン類等の飽和炭化水素も溶媒として作用する。オレフィン量と溶媒量の比率としては、オレフィンと溶媒を含むオレフィン含有原料の総質量に占めるオレフィンの割合が、1〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは15〜45質量%となることが望ましい。溶媒の割合が前記上限を超えると生産性が低下し、前記下限を下回ると除熱効率が低くなる。
本発明のオレフィン二量体の製造方法においては、固体リン酸触媒にオレフィン含有原料を液相で接触せしめる。気相での接触においては、コーキングの発生により、オレフィンの二量化反応の活性及び選択性が低下し、触媒寿命が短くなるおそれがあるので好ましくない。
オレフィンの二量化反応に用いる反応器及び反応形式には特に制限はなく、槽型反応器によるバッチ式、セミバッチ式、連続流通式の反応形式、固定床、流動床、移動床等の流通反応器による連続流通式反応などを採用することができる。反応温度は、0〜300℃、好ましくは20〜200℃である。0℃より低温では十分な反応速度が得られず、300℃より高温では副反応が多くなるので好ましくない。反応圧力は、常圧〜20MPaが好ましく、常圧未満においては反応系が液相を維持できなくなるおそれがあり、20MPaを越える場合には設備コストが増大するので好ましくない。LHSVは、0.1〜100hr−1、好ましくは0.3〜30hr−1である。LHSVが0.1hr−1を下回る場合は、生産効率が低下する、あるいは設備が巨大なものとなり、100hr−1を超える場合には反応が進行しにくくなるので好ましくない。
本発明のオレフィン二量体の製造方法においては、原料に含まれる水の含有量を、原料全量を基準として10質量ppm以上且つ原料の飽和水分量以下となるように調整される。これにより、反応の進行と共に徐々に触媒中のリン酸の縮合が進行するのを抑制することができ、オレフィン二量体の収率を十分高めることができる。原料における水分量は、反応系中に水分を共存させることによって調整可能である。水分の供給方法としては特に制限はなく、混合装置によってオレフィン含有原料に所定量の水を溶解させて反応器に供給する方法などが挙げられる。オレフィン含有原料中の水分量は、反応器入口温度における該オレフィン含有原料の飽和水分量以下であることが好ましいが、原料濃度、反応温度等の反応条件に応じて最適な添加量を選択する必要がある。水分の添加量が飽和水分量以上となると、凝縮した水が触媒上のリン酸を流出させるため好ましくない。また、リン酸の縮合を確実抑制する観点から、オレフィン含有原料中の水分量は原料の質量を基準として100質量ppm以上であることが望ましい。なお、触媒中のリン酸が減少した場合は、反応系内(触媒層)にリン酸を逐次添加して適宜補充することも可能である。
以下、実施例、比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<触媒の調製>
(固体リン酸触媒A)
水銀圧入法により測定された平均細孔径が50nmである合成シリカからなる、粒径が1.1〜2.4mmの概球形である造粒品40mlを、容量200mlのビーカーに入った75質量%リン酸水溶液100mlに浸漬した。1時間浸漬後、メッシュフィルター上で水溶液を除去し、固体リン酸触媒Aを調製した。
この触媒Aについてリン(31P)の固体核磁気共鳴分光分析を行ったところ、担持されたリン酸の組成(リン原子換算のモル%、以下同じ。)は、オルトリン酸100%であり、ピロリン酸及びポリリン酸は存在していなかった。また、中和滴定の結果、触媒A中のリン酸量は、オルトリン酸換算で47質量%であり、触媒Aの水洗によるリン酸除去および乾燥の結果、触媒A全質量に対する担体の割合は37質量%であった。
なお、担体である合成シリカ粒子の平均粒子強度を以下の方法で求めた。粒径が2.0mmの粒子25個について、それらの圧壊強度を、木屋式硬度計を用いて測定し、平均した。
表1に、無機担体粒子の平均細孔径、平均粒子強度(N)、及びリン酸の組成を示す。
(固体リン酸触媒B)
水銀圧入法により測定された平均細孔径が200nmである合成シリカを担体として用いた以外は固体リン酸触媒Aの調製と同様にして触媒調製を行い、固体リン酸触媒Bを得た。担持されたリン酸の組成は、オルトリン酸100%であった。また、この触媒B中のリン酸量は、オルトリン酸換算で47質量%であり、担体の割合は37質量%であった。
表1に、無機担体粒子の平均細孔径、平均粒子強度(N)、及びリン酸の組成を示す。
(固体リン酸触媒C)
水銀圧入法により測定された平均細孔径が30nmである合成シリカを担体として用いた以外は固体リン酸触媒Aの調製と同様にして触媒調製を行い、固体リン酸触媒Cを得た。担持されたリン酸の組成は、オルトリン酸100%であった。また、この触媒C中のリン酸量は、オルトリン酸換算で48質量%であり、担体の割合は36質量%であった。
表1に、無機担体粒子の平均細孔径、平均粒子強度(N)、及びリン酸の組成を示す。
(固体リン酸触媒D)
固体リン酸触媒Aの調製と同様にして、造粒品をリン酸水溶液に浸漬し、メッシュフィルター上で水溶液を除去した。その後更に、温度25℃、相対湿度60%の室内にて放置乾燥操作を20時間行い、固体リン酸触媒Dを得た。担持されたリン酸の組成は、オルトリン酸85%、ピロリン酸15%でポリリン酸は存在していなかった。また、触媒D中のリン酸量は、オルトリン酸換算で54質量%であり、担体の割合は42質量%であった。
表1に、無機担体粒子の平均細孔径、平均粒子強度(N)、及びリン酸の組成を示す。
(固体リン酸触媒E)
水銀圧入法により測定された平均細孔径が10nmである合成シリカを担体として用いた以外は固体リン酸触媒Aの調製と同様にして触媒調製を行い、固体リン酸触媒Eを得た。担持されたリン酸の組成は、オルトリン酸100%であった。また、この触媒E中のリン酸量は、オルトリン酸換算で48質量%であり、担体の割合は36質量%であった。
表1に、無機担体粒子の平均細孔径、平均粒子強度(N)、及びリン酸の組成を示す。
(固体リン酸触媒F)
固体リン酸触媒Aの調製と同様にして、造粒品をリン酸水溶液に浸漬し、メッシュフィルター上で水溶液を除去した。その後更に、温度110℃の乾燥オーブン内で10時間乾燥操作を行い、固体リン酸触媒Fを得た。担持されたリン酸の組成は、オルトリン酸56%、ピロリン酸39%、ポリリン酸5%であった。また、触媒F中のリン酸量は、オルトリン酸換算で54質量%であり、担体の割合は42質量%であった。
表1に、無機担体粒子の平均細孔径、平均粒子強度(N)、及びリン酸の組成を示す。
(固体リン酸触媒G)
水銀圧入法により測定された平均細孔径が250nmである合成シリカを担体として用いた以外は固体リン酸触媒Aの調製と同様にして触媒調製を行い、固体リン酸触媒Eを得た。担持されたリン酸の組成は、オルトリン酸100%であった。また、この触媒E中のリン酸量は、オルトリン酸換算で47質量%であり、担体の割合は37質量%であった。
表1に、無機担体粒子の平均細孔径、平均粒子強度(N)、及びリン酸の組成を示す。
Figure 0005385543

<ブテンの二量化反応>
(実施例1)
固体リン酸触媒Aの10mlを管形ステンレス鋼製反応器(内径12mm)に充填した。この反応器の上部より、ブテン混合原料(イソブチレン35質量%、ノルマルブテン類2質量%、ブタン類63質量%)にこの混合原料の質量基準で200質量ppmの水を添加したものを、LHSV20h−1にて供給し、下部より抜き出しながら二量化反応を実施した。圧力は5.0MPa、触媒層入口温度を90℃として液相状態を維持した。ブテン混合原料の供給開始より24時間後の反応結果を表2に示す。
なお、表2中、「全ブテン転化率(%)」、「C8選択率(%)」及び「C8収率(%)」はそれぞれ下記式より算出した値である。
全ブテン転化率(%)=[1−(生成物中の全ブテン質量濃度/原料中の全ブテン質量濃度)]×100
C8選択率(%)=(生成物中のC8質量濃度/(原料中の全ブテン質量濃度−生成物中の全ブテン質量濃度)×100
C8収率(%)=全ブテン転化率×C8選択率/100
(実施例2)
固体リン酸触媒Bを用いた以外は実施例1と同様にして二量化反応を実施した。ブテン混合原料の供給開始より24時間後の反応結果を表2に示す。
(実施例3)
固体リン酸触媒Cを用いた以外は実施例1と同様にして二量化反応を実施した。ブテン混合原料の供給開始より24時間後の反応結果を表2に示す。
(実施例4)
ブテン混合原料中に添加する水の濃度を、ブテン混合原料の質量基準で1200質量ppmとした以外は、実施例1と同様にして二量化反応を実施した。ブテン混合原料の供給開始より24時間後の反応結果を表2に示す。
(実施例5)
ブテン混合原料の組成をイソブチレン11質量%、ノルマルブテン類38質量%、ブタン類51質量%とし、これに添加する水の濃度をブテン混合原料の質量基準で1200質量ppmとし、触媒層入口温度を130℃とした以外は、実施例1と同様にして二量化反応を実施した。ブテン混合原料の供給開始より24時間後の反応結果を表2に示す。なお、実施例5においては、原料のブテンの構成が他の実施例の場合に比べ、反応性の高いイソブチレンに対する反応性の低いノルマルブテン類の比率が高いため、全ブテンの転化率及びC8収率は低い値となっているが、C8選択率は高い値となっている。
(実施例6)
固体リン酸触媒Dを用いた以外は実施例1と同様にして二量化反応を実施した。ブテン混合原料の供給開始より24時間後の反応結果を表2に示す。
(比較例1)
固体リン酸触媒Eを用いた以外は実施例1と同様にして二量化反応を実施した。ブテン混合原料の供給開始より24時間後の反応結果を表2に示す。
(比較例2)
固体リン酸触媒Fを用いた以外は実施例1と同様にして二量化反応を実施した。ブテン混合原料の供給開始より24時間後の反応結果を表2に示す。
(比較例3)
固体リン酸触媒Gを用いた以外は実施例1と同様にして二量化反応を実施した。ブテン混合原料の供給開始より24時間後の反応結果を表2に示す。
(比較例4)
水の含有量が10質量ppm未満であるブテン混合原料を用いた以外は、実施例1と同様にして二量化反応を実施した。ブテン混合原料の供給開始より24時間後の反応結果を表2に示す。
Figure 0005385543

以上の結果から、固体リン酸触媒A〜Dは、十分な機械的強度を有するものでありながら、オレフィンの二量化に対する活性及び選択性に優れることが明らかになった。
本発明によれば、機械的強度とオレフィンの二量化選択性とを高水準で両立し得る固体リン酸触媒を提供することができ、また、そのような固体リン酸触媒を用いてオレフィン二量体を効率よく生産することができる。

Claims (3)

  1. 平均細孔径が15〜200nmであり且つ平均粒子強度が12〜50Nである無機担体粒子と、該無機担体粒子上に担持されたリン酸とを含有し、
    前記リン酸中のオルトリン酸の比率がリン原子換算で60モル%以上であり、
    前記リン酸の含有量が、前記無機担体粒子に対するオルトリン酸換算のリン酸質量の割合として、40〜200質量%であることを特徴とするオレフィン二量体を製造するために用いられる固体リン酸触媒。
  2. 請求項1に記載の固体リン酸触媒に、オレフィンを含有する原料を液相にて接触せしめる工程を備え、
    前記原料に含まれる水の含有量が、原料全量を基準として10質量ppm以上であり、
    且つ、前記原料の飽和水分量以下であることを特徴とするオレフィン二量体の製造方法。
  3. 前記オレフィンが炭素数3〜5のモノオレフィンであることを特徴とする請求項2に記載のオレフィン二量体の製造方法。
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