JP5385534B2 - リモネン含有除草剤組成物、除草剤原液配合物ならびにそれらを製造および使用する方法 - Google Patents

リモネン含有除草剤組成物、除草剤原液配合物ならびにそれらを製造および使用する方法 Download PDF

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Description

本発明は、植物の除草剤処理の分野における改良に関する。本発明は、それが接触する植物を非選択的に枯らすのに極めて有効である配合物を用いて、不要な植物および草を消滅させる植物の除草剤処理の方法を含む。より詳しくは、本発明は、除草効果のあるリモネン成分を含む「ノックダウン」除草剤配合物に関する。
背景として、リモネンは、柑橘類の果実および香辛料中に高濃度で見出される天然産の化学物質である。リモネンは、他にオレンジリモネンまたは1−メチル−4−(1−メチルエテニル)シクロヘキセンもしくは4−イソプロペニル−1−メチルシクロヘキセンとして知られており、さまざまなエーテル油、特にレモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、キャラウェー、ディルおよびベルガモットの油中に天然に存在する。それは、C1015の化学式、136.2の分子量を有しており、重量で88.1%の炭素と11.8%の水素を含有する。リモネンのd体は、摂氏175.5〜176度の沸点を有する液体である。
一部のリモネンは、シソ科の植物からの抽出によって調製され、典型的には80〜90%を占める大量のリモネンは柑橘油から得られ、一部は松根油から得られる。例えば、d−リモネンは、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツおよびベルガモットの柑橘類果皮の蒸気抽出によって得ることができる。抽出物によっては90%もの高濃度のd−リモネンを含有することができるが、高純度のすなわち約95%を越える工業グレードのd−リモネンを製造するにはその油の蒸留が必要である。d−リモネンは、また、化学的に合成することもできる。d−リモネンは、心地よい柑橘類の香りを有しており、それは居住環境で適切に使用することができる。
広範な食品および飲料におけるフレーバー添加物ならびに香料としての用途に加えて、d−リモネンは家庭用および産業用洗浄剤にも使用されてきた。それはFlorida Chemical Company,Inc.,などの商用の供給源から容易に入手でき、3つの異なるグレード、すなわち未処理/工業グレード、食品グレードおよびレモン−ライムグレードのものを入手できる。食品グレードは、約97%のd−リモネンを、未処理/工業グレードは、約95%を、レモン−ライムグレードは、約70%を含み、それぞれの場合の残りはその他のテルペン炭化水素および酸化された化合物である。
リモネンは重要な産業用化学物質となった。それは、(合成松根油の製造における)溶媒および洗浄剤として、去痰薬として、湿潤および分散剤として、さまざまなポリマー樹脂の製造におけるモノマーとして、多くの食品におけるフレーバラント(flavorant)およびフレーバラントカルボンの合成における前駆物質として、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の製造で使用されるテトラフルオロエチレンモノマーを保存する重合防止剤としての用途がある。それはまたそのレモンに似た風味および香りのために多くの石鹸および香水にも使用される。加えて、リモネンは、殺虫剤、防虫剤、ならびにイヌおよびネコの忌避剤として使用される少なくとも15種類の殺虫剤製品中の登録された有効成分である。例えば、リモネンを含有する殺虫剤製品は、ペットに対するノミおよびダニの制御に、殺虫剤スプレー、戸外のイヌおよびネコの忌避剤、ハエよけテーブルクロス、蚊幼虫駆除剤、およびヒトに使用する防虫剤として使用される。
リモネンは、経口摂取したときの急性毒性は比較的低い。米国食品医薬品局(FDA)は、リモネンを、食品添加物または食品香味料としておよび香料添加物として一般に安全と認められる(GRAS)ものとみなしている。米国環境保護庁は、リモネンについて、それが農薬製剤中の不活性成分として使用される場合および虫よけテーブルクロスとして使用される場合は、許容範囲を必要条件から免除することを許可した。
さて、次に除草剤に目を向けて考えてみると、農業においては雑草を制御するために、造園業においては不要な植物を制御するために、広範囲の化学物質が使用される。除草剤の目的は、雑草および不要な植物が、農業で使用する場合は所望の農作物と競争し、または造園業での利用においては好ましい植生と競争することを防止することである。
現在のところ、本発明の主題である陸生植物に関連して使用される除草剤化学物質としては2つの主要な種類が存在する。特に、除草剤は、植物に「接触」作用を有するもの、および植物に「浸透」作用を有するものに一般に分類される。除草剤によっては植物に接触作用と浸透作用の両方を有する。その他のタイプの除草剤は、他の様式、例えば土壌滅菌剤などとして作用する。
除草剤は、選択的または非選択的のいずれかでありうる。選択的除草剤、例えば「トレフラン(Treflan)」(トリフルラリン(trifluralin))は、ある種の草を選択的に破滅させるために利用することができる。「ラウンドアップ(Roundup)」(グリホサート(glyphosate))などの非選択的除草剤は、多くの異なるタイプの植物および草を破滅させまたは制御するための一般的な除草剤として使用することができる。
多数の除草剤および植物ホルモンが、長年かけて開発された。初期の頃は塩素酸ナトリウムおよびヒ酸ナトリウムならびにさまざまなホウ酸塩化合物などの無機化合物類が使用された。N−フェニルカルバメート、「ランドックス(Randox)」、およびその他の塩素化フェノキシ化合物などのその他の有機除草剤も開発された。加えて、産業廃棄物製品がかなり一般的であった。後に、ホルモンタイプの除草薬2,4−D(2,4−ジクロロ−フェノキシ酢酸)および2,4,5−T(2,4,5−トリクロロ−フェノキシ酢酸)が開発され、かなり一般的なものとなった。より複雑な有機除草薬、および登録商標権を有する化学物質、例えば「ネットワーク(Network)」または「ラウンドアップ(Roundup)」(両方共グリホサート)も開発された。
多くの場合除草剤は悪影響を有する。例えば、それらは有益な農作物を汚染し、他の植物または動物に影響を及ぼし、及び/または土壌を汚染する。加えて、現在市場にある多くの除草剤組成物は、ヒトおよび家畜に対して毒性が強い。殆どの化学物質の除草剤は人類に対して危険であり、それ故、ヒトおよび動物の組織に誤って吸入および/または吸収された場合は危険である。最近市販されている除草剤の有害な副作用および他の生命体への吸収および摂取と関連する問題に対する関心が広がっているために、複雑かつ非常に危険な化学物質の長期の使用、特にそれらが食物連鎖に入り込んだときに関して、多くの懸念が存在する。低い毒性を有する除草剤が望ましい。
その主な構成物質として脂肪酸を有する比較的毒性のない除草剤が最近開発された。この除草剤は、植物に対して窒息作用を有するが、その効果、特に多年生雑草の制御には限界がある。さらに不利なのは、脂肪酸は適当な分散媒または溶媒中に容易には分散または乳化されず、従って、その除草剤を植物に送達することの困難に遭遇するためにその全体的な有効性が低下することである。
高濃度でのリモネンをノックダウン除草剤として使用できることが最近提案された。Selgaらの米国特許第5998335号には、ノックダウン除草剤組成物が記載されており、その1つは約95〜96重量%のd−リモネンおよび約4〜5重量%のその他の成分を含む。米国特許第5998335号は、この組成物を微細液滴スプレーとして植生に塗布した場合(植生の60〜80%を覆うことを目標とする)、殆どの植生がその除草剤を塗布して2〜24時間以内に目に見えるストレス(例えば、しおれまたは褐変)の兆候を示したことを報告している。Selgaらは、また、米国特許第5998335号において、60%のd−リモネンを水および市販の乳化剤で乳化した混合物も試験したことを報告している。この配合物を上記のように植生に適用した場合、殆どの植生が2〜36時間以内に目に見えるストレスの兆候を示し始めた。
Selgaらにより記載されている除草剤の1つの不利な点は、上記のような高濃度および大量のリモネンを大きな面積にスプレーすることは、法外な費用がかかり、重荷となることである。これらの配合物には、また、このような油状もしくは高粘度の組成物を効果的に霧化しスプレーすることに付随する実践上の課題が存在する。
上記のことを踏まえて、増大した効率および有効性を有する環境に優しい除草剤に対する必要性が存在し続けている。本発明は、この必要性に対処し、多種多様の利益および利点を提供する。
1つの形において、本発明は、植物の1つまたは複数の葉に、水、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を含有する液体除草剤組成物を吹付けることによって、植物を枯殺、制御または抑制する方法を提供する。通常の技量の当業者には理解されようが、リモネンは酸性であり、水に溶解した場合一般的には約4〜5の範囲の低いpHとなる。
別の形において、本発明の実施形態は、植物の1つまたは複数の葉に、水、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤、5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤、および植物を制御または抑制するための組成物の能力を高める添加油成分を含有する液体除草剤組成物を吹付けることによって、植物を枯殺、制御または抑制する方法を提供する。
別の形において、本発明は、除草剤組成物を製造するための方法を提供し、その方法は、(1)液体除草剤配合物であって、除草作用のあるリモネン成分および乳化剤を含有する当該除草剤配合物を用意すること;(2)その配合物を水で希釈して除草剤組成物を提供すること;及び(3)その除草剤組成物に5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を混合すること;を含む。別の実施形態においては、pH調整剤は、除草作用のあるリモネン成分および乳化剤と共に配合物中に提供することができ、または配合物を希釈する前に、水中に溶解もしくは分散させることができる。
本発明のさらに別の形においては、植物の非選択的なバーンダウン(burn down)をするためのキットが提供される。そのキットは、液体除草剤であって、水、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤、および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を含有する当該除草剤を中に有する容器;及び、予め選択した領域に、その領域内で成長している植物を無差別に枯殺、制御または抑制するためにその除草剤を適用するための、媒体に記録された使用説明書;を含む。
本発明のさらに別の形においては、植物の非選択的なバーンダウンをするためのキットが提供され、そのキットは、液体除草剤配合物であって、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤、および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を含有する当該除草剤配合物を中に有する容器;及び、その配合物を希釈して除草剤組成物を提供するための、媒体に記録された使用説明書;を含む。実施形態によっては、予め選択した領域に、その領域内で成長している植物を無差別に枯殺、制御または抑制するためにその除草剤を適用するための使用説明書もまた、その媒体に記録されている。
別の実施形態において、本発明は、液体除草剤配合物であって、除草作用のあるリモネン成分および乳化剤を含有する当該除草剤配合物を中に有する容器;及び、その配合物を水で希釈し、5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を添加するための、媒体に記録された使用説明書;を含む植物の非選択的なバーンダウンをするためのキットを提供する。実施形態によっては、予め選択した領域に、その領域内で成長している植物を無差別に枯殺、制御または抑制するためにその除草剤を適用するための使用説明書もまた、その媒体に記録されている。
別の形において、本発明は、水、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を含有する、成熟した雑草に対して有効な「ノックダウン」除草剤組成物を提供する。
本発明の別の態様においては、水、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤および湿潤剤を含有する液体除草剤組成物を用意すること;及び、その除草剤組成物を植物の1つまたは複数の葉に吹付けること;を含む植物を枯殺、制御または抑制するための方法が提供される。
本発明は、また、除草剤組成物を製造する方法であって、(1)液体の除草剤配合物であり、除草作用のあるリモネン成分および乳化剤を含有する当該除草剤配合物を用意すること;(2)その配合物を水で希釈して除草剤組成物を提供すること;及び、(3)その除草剤組成物中に湿潤剤を混合すること;を含む方法を提供する。
本発明の別の形においては、植物の非選択的バーンダウンのためのキットであって、水、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤および湿潤剤を含有する液体除草剤を中に有する容器;及び、予め選択した領域に、その領域内で成長している植物を無差別に枯殺、制御または抑制するためにその除草剤を適用するための、媒体に記録された使用説明書;を含むキットが提供される。
本発明の別の実施形態においては、植物の非選択的バーンダウンのためのキットであって、除草作用のあるリモネン成分および乳化剤を含有する液体除草剤配合物を中に有する容器;及び、その配合物を希釈し、湿潤剤を混合して除草剤組成物を提供するための、媒体に記録された使用説明書;を含むキットが提供される。実施形態によっては、予め選択した領域に、その領域内で成長している植物を無差別に枯殺、制御または抑制するためにその除草剤を適用するための使用説明書もまた、その媒体に記録されている。
成熟した雑草に対して有効な「ノックダウン」除草剤組成物もまた提供され、その組成物は、水、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤および湿潤剤を含有する。
本発明の別の態様においては、植物を枯殺、制御または抑制するための方法であって、(1)水、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤、湿潤剤および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を含有する液体除草剤組成物を用意すること;及び、(2)植物の1つまたは複数の葉にその除草剤組成物を吹付けること;を含む方法が提供される。
本発明の別の形においては、除草剤組成物を製造する方法であって、(1)液体除草剤配合物であって、除草作用のあるリモネン成分および乳化剤を含有する当該除草剤配合物を用意すること;(2)その配合物を水で希釈して除草剤組成物を提供すること;及び、(3)その除草剤組成物中に湿潤剤および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を混合すること;を含む方法が提供される。
本発明は、また、除草剤組成物を製造する方法を提供し、その方法は、(1)液体除草剤配合物であって、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を含有する当該除草剤配合物を用意すること;(2)その配合物を水で希釈して除草剤組成物を提供すること;及び、(3)その除草剤組成物中に湿潤剤を混合すること;を含む。
本発明の別の態様においては、植物の非選択的バーンダウンのためのキットであって、水、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤、湿潤剤および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を含有する液体除草剤を中に有する容器;及び、予め選択した領域に、その領域内で成長している植物を無差別に枯殺、制御または抑制するために、その除草剤を適用するための、媒体に記録された使用説明書;を含むキットが提供される。
本発明によって提供される植物の非選択的バーンダウンのための別のキットは、液体除草剤配合物であって、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を含有する当該除草剤配合物を中に有する容器;及び、その配合物を希釈し、湿潤剤を添加して除草剤組成物を提供するための、媒体に記録されている使用説明書;を含む。実施形態によっては、予め選択した領域に、その領域内で成長している植物を無差別に枯殺、制御または抑制するためにその除草剤を適用するための使用説明書もまた、その媒体に記録されている。
本発明により提供される植物の非選択的バーンダウンのためのさらなるもう1つのキットは、液体除草剤配合物であって、除草作用のあるリモネン成分および乳化剤を含有する当該除草剤配合物を中に有する容器;及び、その配合物を水で希釈し、湿潤剤および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を添加するための、媒体に記録されている使用説明書;を含む。実施形態によっては、予め選択した領域に、その領域内で成長している植物を無差別に枯殺、制御または抑制するためにその除草剤を適用するための使用説明書もまた、その媒体に記録されている。
本発明のさらに別の形においては、水、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤、湿潤剤および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を含有する、成熟した雑草に対して有効な「ノックダウン」除草剤組成物が提供される。
上記の方法、キットおよび組成物のいくつかのさらなる実施形態のそれぞれは、また、リモネン成分中に、エトキシル化ヒマシ油等の添加油成分も含有することができる。上記の添加油成分の存在によって、適用された植物または植物の成長の非選択的バーンダウン、あるいはその他の枯殺、制御または抑制のために、これらの実施形態の有効性を増加および拡大することができる。
さらなる目的、特徴、態様、形、長所および利点は、本明細書に含まれている記述および図面から明らかとなるはずである。
本明細書に取り上げられている本発明の本質そのものは、本明細書に添付されている特許請求の範囲との関連でのみ決定されるが、本明細書に開示されている好ましい実施形態の特徴であるいくつかの形および特徴を、以後簡単に説明する。
本発明の本質の理解を促進することを目的として、本明細書に記載されている実施形態についてここで論及し、説明するために特定の専門用語を使用する。そうは言っても、それによって本発明の範囲が限定されることを意味するものでないことは当然である。記載されている流体、方法、装置またはキットにおける何らかの修正およびさらなる修飾、ならびに本明細書に記載されている発明の本質の何らかのさらなる適用は、本発明と関係する技術における当業者には普通に思いつくものと考えられる。
非選択的「バーンダウン」除草剤としてのリモネン組成物の有効性を、その組成物のpHを5を超えるpHまで上げることによって、または湿潤剤をその組成物に含ませることによって、あるいはその両方によって、著しく改良することができることが発見された。したがって、本発明は、一実施形態において、水性エマルジョン中に除草作用のあるリモネン成分および乳化剤を含み、その組成物が5を超えるpHを有する除草剤組成物を植物の表面に投与することによって植物を枯殺、制御または抑制する方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、水性エマルジョン中に除草作用のあるリモネン成分および乳化剤を含み、その組成物が湿潤剤を含有する除草剤組成物を植物の表面に投与することによって植物を枯殺、制御または抑制する方法を提供する。本発明のさらに別の実施形態においては、水性エマルジョン中に除草作用のあるリモネン成分および乳化剤を含み、その組成物が5を超えるpHを有しており、湿潤剤を含有する除草剤組成物を植物の表面に投与することによって植物を枯殺、制御または抑制する方法が提供される。
本発明のこの説明において、用語「除草剤の」または「除草作用のある」とは、少なくとも最小量の除草剤組成物が植物と接したとき、その植物を枯殺、制御または抑制するのに有効である性質を表す。除草剤との関連で、本明細書で使用される用語「枯殺」とは、植物の地上部分が回復できない正常な機能の停止を引き起こし、一般的には植物の正常な緑の組織のしおれおよび褐変ならびに/または壊死をもたらすことを意味する。この意味で枯殺された植物、特に多年生植物が、「再発芽」し、新たな成長を生み出すことはもちろん可能である。除草剤との関連で、本明細書で使用される用語「制御」とは、処理した領域において、植物は少なくとも約90%の枯損率を被ることを意味する。本明細書で使用される用語「枯損率(mortality)」とは、処理した領域における個々の植物の枯殺された百分率、あるいはしおれ、白化、褐変または壊死を被る処理した領域における植生の全質量または全表面積の百分率を表す。除草剤との関連で、本明細書で使用される用語「抑制」とは、処理領域において植物が約40〜約90%の枯損率を被ることを意味する。発明の除草剤組成物の植物への適用によって、接触した植物は、しおれ、白化、または褐変を引き起こし、その植物の葉の壊死(「バーンダウン」)およびしばしば枯死がもたらされる。
本発明の多くの好ましい実施形態と合致する除草剤組成物は、非選択的および非浸透性であり、殆どの植生、特に一年生植物および多年生植物両方の普通の農作物および庭園の雑草に対して効果的である。それらは「接触型除草剤」であり、それらの作用は、植物による摂取ではなく植物表面との接触に起因する。加えて、発明の配合物は、最適なまたは所望の効果を有するように植物の地上部分のかなりの部分に吹付けなければならない「ノックダウン」(すなわち、一般的には数時間以内の速効性)除草剤または「バーンダウン」除草剤である。好都合なことには、これらの除草剤は微細な液滴噴霧として適用される。加えて、発明の除草剤は、比較的暖かい温度および比較的乾燥した条件下で(所与の場所についての平均気温および湿度に対して)、最適なバーンダウン効果を有するものと考えられる。本除草剤組成物の活性成分は、環境に優しい天然物であるという利点を有しており、環境汚染を引き起こしたり、あるいは人または家畜に毒性問題を生じたりすることはない。
理論に束縛されるものではないが、除草剤組成物の薄膜が標的植物の葉およびその他の緑の組織の全部または一部を覆うと、組成物中に存在する条件の下での除草作用のあるリモネン成分が植物のワックス層を破壊または溶解し、それによって植物が環境への水分の損失を防ぐ能力を失うものと考えられる。リモネン含有油は、天然油であるので、本発明の毒性のない水性除草剤組成物は、環境を破壊せず、ヒト、野生生物および目標外の植生に対する悪影響はたとえあったとしてもわずかなものである。
はっきりさせるために記せば、用語「除草剤組成物」とは本明細書においては、本発明に従ってバーンダウンを達成するために噴霧器からなどによって植物と実際に接触させる液体を指して用いられる。本発明の除草剤組成物は、本発明のいくつかの形態においては前もって製造された((pre−made);または「前もって混合した(pre−mixed)」もしくは「すぐに吹付けできる(ready to spray)」)除草剤組成物として製造し、エンドユーザーに提供することができる。本発明の別の形態においては、除草剤組成物は、エンドユーザーが、その除草剤組成物が使用される場所またはその近くで除草剤原液配合物を希釈し、場合によってはその他の成分を添加することによって混合することができる。本明細書で使用される用語「除草剤配合物」および「除草剤原液」および「除草剤原液配合物」は、水で希釈し、場合によってはその他の成分を添加して除草剤組成物を提供することができる、本発明による成分の配合物を表すために互換的に使用される。除草剤原液配合物を提供するこのやり方は、例えば市販のスプレー装置を使用して、例えば大きな面積を覆う植生に吹付けるとき、したがって大量の除草剤組成物が必要となる場合に望ましい。そのような場合、除草剤配合物は、場合によっては、その配合物を水および多分その他の成分と噴霧器中またはその近くで混合して除草剤組成物を提供するための使用説明書を一緒に含むキットとして、エンドユーザーに提供することができる。かかる除草剤配合物および除草剤キットは、本明細書でさらに説明するが、まずは本発明の除草剤組成物に注意を向ける。
本発明によれば、非選択的バーンダウン除草剤組成物は除草効果のあるリモネン成分、乳化剤および親水性溶媒、好ましくは水を含み、そして、湿潤剤を含むかまたは5を超えるpHを有しており、あるいは湿潤剤を含みかつ5を超えるpHを有している。
除草作用のあるリモネン成分は、本発明によって提供される除草剤組成物中にあるとき、その除草剤組成物の十分な量と接触した植物を枯殺、制御または抑制するのに有効である十分な量のリモネンまたはリモネン誘導体を含有する。十分な量とは、植物の十分な表面と接触して所望の結果を達成する量であると考えられる。除草作用のあるリモネン成分は、純粋なもしくは実質的に純粋なリモネンもしくはリモネン抽出物、またはリモネンを含有する複数成分の組成物でありうる。この点で、除草作用のあるリモネン成分は、リモネン(好ましくは少なくとも約8重量%のリモネン)を含有する精油を含むことができる。例えば、リモネンは、柑橘油、松根油、ユーカリ油またはティーツリー油の形で提供することができ、そのいずれもが、本発明による除草作用のあるリモネン成分でありうる。
さらに、除草作用のあるリモネン成分としては、変性リモネンを、その変性リモネンが本発明と合致する除草効果を有する限りは、挙げることができる。例えば、本発明者以外の人によって報告されている研究によれば、酸化リモネンを与えるリモネンの酸化によって未変性リモネンと比較して類似のバーンダウン機能を維持しながら水溶性の特性を改良することができるようである。そのような変性リモネン化合物を、本発明は考えており、これらの化合物は、「除草作用のあるリモネン成分」という用語の意味の中に明確に含まれる。
好ましい一実施形態において除草作用のあるリモネン成分は、柑橘油、例えばオレンジ油を含む。別の好ましい実施形態において除草作用のあるリモネン成分は、柑橘油から誘導されたd−リモネンを含む。d−リモネンを含む柑橘油の留分は、減圧蒸留またはその他の通常の分離プロセスによって分離することができる。d−リモネンは、揮発性であり、蒸留液として分離される。その蒸留液は、d−リモネンを約95〜96重量%および他の成分を約4〜5重量%含む、d−リモネンの高度に濃縮された組成物である。この蒸留液は、本発明の除草剤組成物中に利用することができる。
精製されていない柑橘油を上記の減圧蒸留液の代わりに使用することも可能であるが、減圧蒸留(またはその他の分離プロセス、例えば水蒸気蒸留(共沸)、溶媒抽出、超臨界抽出など)は、除草作用のある成分を柑橘油の香気成分から分離する利点を有する。次いで、この香気成分は、例えば食料品または医薬品組成物中に利用することができる価値ある副産物を形成する。
その他のテルペン類、特に本明細書において提供されるような配合物中のリモネンと類似した除草特性を有するモノテルペンは、本発明の目的に対してリモネンと同等であると考えられる。同様に、高いテルペン含量を有しており、本明細書において提供されるような配合物中の上記のリモネン含有油と類似した除草特性を有するその他の天然油は、本発明の目的に対してリモネン含有油と同等であると考えられる。本明細書で使用される「高いテルペン含量」とは、少なくとも50パーセントのテルペン含量を有するような天然油を意味する。その天然油は、少なくとも90パーセントのテルペンを含有していることが好ましい。かかるテルペン類およびテルペン含有天然油類は、本明細書で使用される用語「除草作用のあるリモネン成分」の意味の中に明確に包含される。
純粋または実質的に純粋なリモネンを発明の除草剤組成物中に使用する場合、その除草剤組成物は、リモネンを、約8重量パーセントから約100重量パーセント、好ましくは約12重量パーセントから約30重量パーセント、より好ましくは約15重量パーセントから約25重量パーセント含有するのが好ましい。通常の技量の当業者には当然のことであるが、より低いリモネンの濃度を有する除草剤組成物を使用して、植物に対してより高容量の除草剤組成物を吹付けることによって同様の効果を得ることができる(容量の増加は植物がさらされるリモネンの量を増加する)。
テルペン含有天然油が使用される場合、除草剤中の天然油の量は、使用される特定の油中のテルペンの量に依存する。一実施形態において、除草剤組成物は、上記の天然油を約8重量パーセントから約100重量パーセント、好ましくは約12重量パーセントから約30重量パーセント、より好ましくは約15重量パーセントから約25重量パーセント含有する。
上記のようにこの実施形態における除草剤組成物の残りは、水(または場合によってその他の親水性溶媒)、1つまたは複数の乳化剤、ならびに湿潤剤およびpH調整剤の片方または両方を含む。
乳化剤は、好ましくは毒性のない乳化剤であり、技術的に公知の界面活性剤またはその他の乳化剤であるか、あるいはそれらの1つまたは複数の混合物でありうる。採用される乳化剤は、水および除草作用のあるリモネン成分と混合したときエマルジョン、好ましくは均質なエマルジョンを形成することができなければならない。
有用な乳化剤としては、ラウリルジメチルアミンオキシド、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンブロックコポリマーアルコールエトキシレートおよびノニルフェノールエトキシレートが挙げられる。別法では乳化剤は、ポリエトキシレート化ヒマシ油でありうる。かかる乳化剤の1つは、最初はローヌ・プーラン社(Rhone Poulenc Co)から入手できたが、今は259 Prospect Plains Road,Cranbury,New Jersey 08512にある、ローディア社(Rhodia,Inc.)が所有するAlkamuls EL620の商標名で市販されている。
それはヒトおよび動物に対して毒性がなく皮膚または目に刺激を引き起こさない。ICIアメリカ社(ICI Americas)またはシグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Company)により供給されるポリオキシエチレンソルビタン類などの毒性のないその他の市販の乳化剤もまた、本発明に適切に使用することができる。好ましい実施形態においてはTween 80などのポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステルを使用することができる。Tweenは、10 Finderne Avenue;Bridgewater,New Jersey 088073300にあるICIアメリカ・インク(ICI Americas Inc.)の登録商標であり、3050 Spruce St.,St.Louis,MO 63103にあるシグマ−アルドリッチ社(Sigma−Aldrich)から入手することができる。
アニオンおよび非イオン界面活性剤は、本発明の除草剤組成物における使用に対して許容できる乳化剤である。好ましいアニオン界面活性剤としては脂肪酸の塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩およびアルキルアリールスルホン酸塩が挙げられる。好ましい非イオン界面活性剤としてはシリコーン系およびエトキシレート化ノニルフェノール界面活性剤が挙げられる。好ましい界面活性剤の例としては、約10パーセントのスルホン酸、約6パーセントから約7パーセントのラウリル硫酸ナトリウム、約8パーセントから約12パーセントのアルコールエトキシレートおよび約1パーセントから約2パーセントのオレフィンスルホン酸塩が挙げられる。
一般に、乳化剤は、除草作用のあるリモネン成分を水またはその他の親水性溶媒に混和性とするために十分な量で存在しなければならない。一般に、除草剤組成物は、1つまたは複数の乳化剤を、約0.05重量パーセントから約10重量パーセント、好ましくは約0.1重量パーセントから約0.5重量パーセント、より好ましくは約0.2重量パーセントから約0.4重量パーセント含有する。
本発明の除草剤組成物は、一般的には除草作用のあるリモネン成分の水とのエマルジョンを含むが、本発明の組成物は水の代わりまたは水に加えて、別の毒性のない親水性溶媒、例えばエタノール、酢酸の希薄溶液などを含むことができる。
前述のように、本発明の一実施形態において、除草剤組成物は、5を超えるpHを有する。別の実施形態において、除草剤組成物は、約5から約10のpHを有する。もともと酸性のリモネンのpHは、除草剤組成物中にpH調整剤を含有させることによって上昇させることができる。本発明と関連して使用するために選択することができるpH調整剤の例としては、非限定に、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。好ましい一実施形態において、組成物のpHは、約6から約8の範囲でありうる。別の好ましい実施形態において、除草剤組成物のpH範囲は、約8から約10である。
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態において、スプレーとして適用するのに適する除草剤組成物は、除草作用のあるリモネン成分を約8重量%から約100重量%、好ましくは約12重量%から約30重量%、より好ましくは約15重量%から約25重量%;乳化剤を約0.05重量%から約10重量%、好ましくは約0.1重量%から約0.5重量%、より好ましくは約0.2重量%から約0.4重量%;組成物の所望のpHを維持するために有効な量のpH調整剤;および残りの水またはその他の選択された親水性溶媒を含有する。好ましい一実施形態においては、少なくとも約8重量%の濃度の除草作用のあるリモネン成分と、その除草作用のあるリモネン成分を水中に溶解または分散させるのに有効な乳化剤の有効量と、5を超えるpHを維持するために有効なpH調整剤と、親水性溶媒、好ましくは水とを含む除草剤組成物が提供される。
本発明の別の実施形態においては、除草剤組成物は、該除草剤組成物の湿潤特性をおよび多分浸透特性をも改善するために有効な湿潤剤を含有する。本発明の除草剤組成物に湿潤剤が含まれている場合、雑草またはその他の植生に吹付けられる組成物は、湿潤剤によって組成物の各液滴が植物のより大きな表面積に広がることが起こるために、低い割合(すなわち1m当たりのml数(1エーカー当たりのガロン数)で測って)で適用しても同等の結果を得ることができる。湿潤剤がない場合、植物に吹付けられる組成物は、同じ結果を得るためには植物の著しく大きな面積を覆わなければならない。
除草剤に使用するのに適した多くの湿潤剤が、通常の技量の当業者には知られており、市販されている。本発明との関連で使用するために選択することができる湿潤剤の例としては、非限定に、ノニルフェノールエトキシレート、およびアニオン性、カチオン性および非イオン性(シリコーン系を含む)界面活性剤ならびにメチル化種油が挙げられる。特に好ましい湿潤剤は、シリコーン界面活性剤である。好ましい一実施形態において、該組成物は約0.02重量%から約1.0重量%の湿潤剤を含有する。別の好ましい実施形態において、該除草剤組成物は約0.05重量%から約0.5重量%、より好ましくは約0.1重量%から約0.2重量%の湿潤剤を含有する。
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態において、スプレーとして適用するのに適する除草剤組成物は、除草作用のあるリモネン成分を約8重量%から約100重量%、より好ましくは約12重量%から約30重量%、より好ましくは約15重量%から約25重量%;乳化剤を約0.05重量%から約10重量%、より好ましくは約0.1重量%から約0.5重量%、より好ましくは約0.2重量%から約0.4重量%;湿潤剤を約0.02重量%から約1.0重量%、より好ましくは約0.05重量%から約0.5重量%、より好ましくは約0.1重量%から約0.2重量%;および残りの水またはその他の選択された親水性溶媒を含有する。好ましい一実施形態においては、少なくとも約8重量%の濃度の除草作用のあるリモネン成分と、その除草作用のあるリモネン成分を水中に溶解または分散させるのに有効な乳化剤の有効量と、少なくとも約0.02重量%の濃度の湿潤剤と、親水性溶媒、好ましくは水とを含む除草剤組成物が提供される。
本発明のさらに別の実施形態においては、除草剤組成物は、その組成物の湿潤特性および浸透特性を改善するのに有効な湿潤剤を含有し、5を超えるpHを有する。別の実施形態において、湿潤剤を含有する除草剤組成物は、約5から約10のpHを有する。さらに別の実施形態においてはそのpHは約6から約8であり、さらに別の実施形態においてはそのpHは約8から約10である。本発明との関連で使用するために選択することができる湿潤剤およびpH調整剤の例としては、非限定な例として上記のものが挙げられる。
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態において、スプレーとして適用するのに適する除草剤組成物は、除草作用のあるリモネン成分を約8重量%から約100重量%、より好ましくは約12重量%から約30重量%、より好ましくは約15重量%から約25重量%;乳化剤を約0.05重量%から約10重量%、より好ましくは約0.1重量%から約0.5重量%、より好ましくは約0.2重量%から約0.4重量%;湿潤剤を約0.02重量%から約1.0重量%、より好ましくは約0.05重量%から約0.5重量%、より好ましくは約0.1重量%から約0.2重量%;5を超えるpHを維持するために有効なpH調整剤、および残りの水またはその他の選択された親水性溶媒を含有する。好ましい一実施形態においては、少なくとも約8重量%の濃度の除草作用のあるリモネン成分と、その除草作用のあるリモネン成分を水中に溶解または分散させるのに有効な乳化剤の有効量と、少なくとも約0.02重量%の濃度の湿潤剤と、5を超えるpHを維持するために有効なpH調整剤と、親水性溶媒、好ましくは水とを含む除草剤組成物が提供される。
上で論じた除草剤への添加油成分の添加により、除草剤の効果、ノックダウン、および長期の枯殺効果をさらに増すことができる。これまでの試験においては、0.05重量%というわずかな添加油成分を含有する配合物が、添加油成分の存在に起因する有益な効果を示している。
したがって、添加油成分を考慮に入れた上で論じるそのようなさらに好ましい実施形態の新規な除草剤組成物は、除草作用のあるリモネン成分を約8重量%から約100重量%、より好ましくは約12重量%から約30重量%、より好ましくは約15重量%から約25重量%;乳化剤を約0.05重量%から約10重量%、より好ましくは約0.1重量%から約8重量%、より好ましくは約0.2重量%から約5重量%;湿潤剤を約0.02重量%から約1.0重量%、より好ましくは約0.05重量%から約0.5重量%、より好ましくは約0.1重量%から約0.2重量%;5を超えるpHを維持するために有効なpH調整剤;除草剤の効果を増し、除草剤の有効期間を長引かせるために十分な量の添加油;および残りの水またはその他の選択された親水性溶媒を含有する。少なくとも約0.05重量%の添加油成分が好ましく、約0.25重量%から約0.5重量%の添加油成分がより好ましい。理論に束縛されるものではないが、これまでの試験により、これらの好ましい実施形態に含有されている添加油成分は植物に適用する前と後の両方においてリモネンが蒸発して損失することを遅らせて葉表面への吸収を促進し、それによって除草剤効果ならびにそのノックダウンおよび長期間の能力を高めかつ拡大するものと考えられる。
本発明の除草剤組成物は、通常の技量の当業者には知られている全く従来の手順によって調製することができる。例えば、その組成物は、水、乳化剤および除草作用のあるリモネン成分の水性混合物を調製することによって製造することができる。得られた混合物は次に分散液またはエマルジョンが形成されるまで撹拌することができる。本発明による除草剤組成物を製造する1つのやり方においては、各非水性成分は、各成分を加えた後次の成分を加える前に好ましくは少なくとも10分間撹拌しながら容器に逐次加えることができる。すべての非水性成分が混合された後、そのバッチをさらに10分間撹拌し、水を混入し、除草剤組成物を提供することができる。それは次に、品質管理のために試験し、濾過し、輸送、貯蔵または即時使用のための適当な容器に充填することができる。
本発明を、これまでは最終の除草剤組成物に関して、および本発明の除草剤はすぐに使用できる溶液として製造、販売および輸送することができることを説明してきた。しかしながら、除草剤組成物をエンドユーザーに提供する優れた方法は、最初に原液配合物を調製し、それを次にエンドユーザーによって水またはその他の親水性溶媒により希釈し、目標の雑草またはその他の植生に適用するための除草剤組成物を用意するものであることが理解される。したがって、本発明による除草剤組成物は、すぐに使用できる除草剤として包装することができ、または除草剤原液配合物として包装することができる。発明の除草剤が家庭使用など比較的少量で使用される場合は、その除草剤は、従来のすぐに使用できる分配システムで包装することができる。逆に、エンドユーザーが大きな面積に除草剤を使用することを意図する農場主または適用の専門業者である場合は、すぐに希釈できる除草剤原液配合物を提供するのがより望ましい。本明細書で使用される用語「配合物」および「除草剤配合物」は、上記の原液を表すことが意図されている。
一実施形態において、その配合物は、乳化剤と混合されている除草作用のあるリモネン成分を含む。この実施形態において、その配合物は、pH調整剤、湿潤剤、またはその両方(別々に得るかキット中の配合物によって提供することができる)と共にエンドユーザーによって例えば市販の噴霧器中で水またはその他の親水性溶媒により混合される。別の実施形態においては、pH緩衝剤、湿潤剤、またはその両方を、除草作用のあるリモネン成分、及び乳化剤とプレミックスして、水またはその他の親水性溶媒と直接混合して除草剤組成物を提供することができる配合物が提供される。また、成分を一緒に混合して除草剤組成物または除草剤配合物を提供することに関する使用説明書を付けて、すべての成分をエンドユーザーに別々に提供することももちろん可能である。
特に好ましい実施形態において、除草剤配合物は、乳化剤と混合された除草作用のあるリモネン成分を含み、pH調整剤または湿潤剤、あるいはその両方とは別々に提供される。通常の技量の当業者には当然のことであるが、乳化剤の機能は除草作用のあるリモネン成分を水と乳化させることであり、除草剤配合物または除草剤組成物中に含ませる乳化剤の量は最終の除草剤組成物においてリモネンがどれだけ希釈されるかとは無関係に配合物中のリモネンの量に関係する。したがって、除草剤配合物が最終的に例えば1:1、3:1またはそれ以上の水対配合物の比で水と混合されているとしても、単位リモネン当たりの乳化剤の量は不変のままでありうる。対照的に、除草剤組成物中に含有させるのが所望のpH調整剤の量は、配合物と混合される水の量および最初のpHに依存し、除草剤組成物中に含有させるのが望ましい湿潤剤の量は、除草剤組成物の全体量に依存しうる。それ故、乳化剤は、除草剤配合物中の除草作用のあるリモネン成分と有利に混合することができ、一方、pH調整剤および湿潤剤は、除草剤配合物が水と混合されて最終の除草剤組成物を提供するときに加えるのが望ましい。
本発明のいくつかの好ましい実施形態においては、少なくとも約8重量%の濃度の除草作用のあるリモネン成分、および約0.5重量%から約10重量%の濃度の乳化剤を含む除草剤配合物が提供される。別の実施形態においては、少なくとも約8重量%の濃度の除草作用のあるリモネン成分、約0.5から約10重量%の濃度の乳化剤、および最終の除草剤組成物のpHを5より上に維持するために有効な量のpH調整剤を含む除草剤配合物が提供される。別の実施形態においては、少なくとも約8重量%の濃度の除草作用のあるリモネン成分、約0.5から約10重量%の濃度の乳化剤、および約0.2重量%から約10重量%の濃度の湿潤剤を含む除草剤配合物が提供される。さらに別の実施形態においては、少なくとも約8重量%の濃度の除草作用のあるリモネン成分、約0.5から約10重量%の濃度の乳化剤、約0.2重量%から約10重量%の濃度の湿潤剤、および最終の除草剤組成物のpHを5より上に維持するために有効な量のpH調整剤を含む除草剤配合物が提供される。
前記配合物は、エンドユーザーがその除草剤組成物を植物に適用しようとする場所またはその近くで、水および場合によって1つまたは複数の成分と有利に混合することができる。したがって、本発明は、1つの態様において、除草剤組成物を製造する方法を提供し、その方法は、液体除草剤配合物であって、除草作用のあるリモネン成分および乳化剤を含有する当該除草剤配合物を用意すること;その配合物を水で希釈して除草剤組成物を用意すること;及び、その除草剤組成物中で5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤をその組成物中に混合すること;を含む。別の態様において本発明は除草剤組成物を製造する方法を提供し、その方法は、液体除草剤配合物であって、除草作用のあるリモネン成分および乳化剤を含有する当該除草剤配合物を用意すること;その配合物を水で希釈して除草剤組成物を用意すること;及び、その除草剤組成物中に湿潤剤を混合すること;を含む。さらに別の態様においては、除草剤組成物を製造する方法が提供され、その方法は、液体除草剤配合物であって、除草作用のあるリモネン成分および乳化剤を含有する当該除草剤配合物を用意すること;その配合物を水で希釈して除草剤組成物を用意すること;及び、その除草剤組成物中に湿潤剤および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を混合すること;を含む。本発明は、また、除草剤組成物を製造する方法を提供し、その方法は、液体除草剤配合物であって、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤および配合物中に5を超えるpHを与えるために有効なpH調整剤を含有する当該除草剤配合物を用意すること;その配合物を水で希釈して除草剤組成物を用意すること;及び、その除草剤組成物中に湿潤剤を混合すること;を含む。
本発明により製造または選択された除草剤配合物は、また、包装またはさもなければさらなる成分と一緒にキット中に入れて提供することができる。本発明の一実施形態においては、植物の非選択的なバーンダウンをするためのキットが提供され、そのキットは、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤、および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を含有する液体除草剤配合物を中に有する容器;及び、その配合物を希釈して除草剤組成物を提供するための、媒体に記録された使用説明書;を含む。別の実施形態においては、予め選択した領域に、その領域内で成長している植物を枯殺、制御または抑制するためにその除草剤を適用するための使用説明書もまた、その媒体に記録されている。
別の実施形態において、植物の非選択的なバーンダウンをするためのキットが提供され、そのキットは、液体除草剤配合物であって、除草作用のあるリモネン成分及び乳化剤を含有する当該除草剤配合物を中に有する容器;及び、その配合物を水で希釈し、5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を添加するための、媒体に記録された使用説明書;を含む。別の実施形態においては、予め選択した領域に、その領域内で成長している植物を無差別に枯殺、制御または抑制するためにその除草剤を適用するための使用説明書もまた、その媒体に記録されている。
本発明の別の形においては、植物を非選択的にバーンダウンするためのキットが提供され、そのキットは、液体除草剤であって、水、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤および湿潤剤を含有する当該除草剤を中に有する容器;及び、その除草剤を予め選択した領域に適用してその領域内の雑草またはその他の植物を枯殺、制御または抑制するための使用説明書;を含む。
本発明により、植物の非選択的バーンダウンのためのキットも提供され、そのキットは、除草作用のあるリモネン成分および乳化剤を含有する液体除草剤配合物を中に有する容器;及び、その配合物を希釈し、湿潤剤を混合して除草剤組成物を提供するための、媒体に記録された使用説明書;を含む。別の実施形態においては、予め選択した領域に、その領域内で成長している植物を枯殺、制御または抑制するためにその除草剤組成物を適用するための使用説明書もまた、その媒体に記録されている。
本発明の別の形においては、植物の非選択的バーンダウンのためのキットが提供され、そのキットは、液体除草剤であって、水、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤、湿潤剤および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を含有する当該除草剤を中に有する容器;及び、その除草剤を予め選択した領域に適用してその領域内で成長している植物を無差別に枯殺するための使用説明書;を含む。植物の非選択的バーンダウンのための別のキットが提供され、そのキットは、液体除草剤配合物であって、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を含有する当該除草剤配合物を中に有する容器;及び、その配合物を希釈し、湿潤剤を添加して除草剤組成物を提供するための、媒体に記録された使用説明書;を含む。本発明のさらに別の実施形態は、植物の非選択的バーンダウンのためキットであり、そのキットは、除草作用のあるリモネン成分および乳化剤を含有する液体除草剤配合物;及び、その配合物を水で希釈し、湿潤剤および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤を添加するための媒体において記録された使用説明書;を含む。
上記のようにキットに除草剤配合物を包含させることに加えて、本発明はキット中に他の成分を含む既製の完全な除草剤組成物を提供することも考慮している。したがって、本発明の別の形においては植物の非選択的バーンダウンのためのキットが提供され、そのキットは、液体除草剤であって、水、除草作用のあるリモネン成分、乳化剤および、湿潤剤および5を超えるpHを与える効果のあるpH調整剤から選択される1つまたは複数の成分を含有する当該除草剤を中に含有する容器;及び、その除草剤を予め選択した領域に適用してその領域内で成長している植物を無差別に枯殺するための、媒体に記録された使用説明書;を含む。
本発明による除草剤組成物または除草剤原液配合物は、上記の成分に加えてさまざまなその他の有益な成分を含有させて調製することができる。「有益な」とは、さらなる成分がいくつかのさらなる機能、有効性、品質またはその他の望ましい特質を除草剤または除草剤原液に提供することを意味する。例えば、除草作用のあるリモネン成分は、効果的な除草剤を形成するために、その他の安価で幾分揮発性の低い油とブレンドすることができる。さまざまな天然油(綿実油、大豆油、菜種油、ヒマワリ油、ベニバナ油、オリーブ油、ココナッツ油、ココナッツミルク、トウモロコシ油、ぶどうの種油およびラッカセイ油など)は顕著な除草効果に欠けることが本発明者以外の人によって報告されているが、それらは本発明の除草作用のあるリモネン成分とブレンドして効果的な除草剤組成物を形成することができる。
前述のように、天然品でもまたは加工品であっても、添加油成分のさらなる添加は、迅速なノックダウン効果及び同様に長期の枯殺能力に関する実施形態の除草有効性を高めて、本明細書に記載されている好ましい方法、キットおよび組成物に対して有益であることが証明されていることもまた見出されている。例えば、これまでに実施した試験により、以下の実施例4〜7で示されているように、ヒマシ油のエトキシル化誘導体などの存在は添加油成分として特に有用であることが証明されている。前記のようにこれまでに実施された試験に基づいて、この添加油成分は、少なくとも約0.05重量%の量で、より好ましくは約0.25重量%から約0.5重量%の量で存在するのが好ましい。
1つまたは複数のその他の成分を、本発明の組成物に美観またはその他の有利な特性をそれに与えるために場合によって含有させてもよい。かかる任意の成分は、例えば、抗菌剤、保存料、脱臭剤、着色剤、香料、さらなる乳化剤、さらなる可溶化剤、腐食防止剤、さらなる溶媒などである。唯一の要件は、どのような特定の組成物に対しても上記の任意の成分が、組成物または配合物中に存在するその他の成分と相容性があることである。
例として、組み込むことができる任意の成分としては以下のもの:例えば、o−フェニルフェノールおよびo−ベンジル[p−クロロフェノール]などのフェノール化合物、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化オクチルデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウムおよびサッカリン化アルキルジメチルベンジルアンモニウムなどの第四級アンモニウム化合物などの抗菌剤;例えば、N−アルキル−N−エチルモルホリニウム硫酸エチルエステルなどの脱臭剤;例えば、モノ−およびトリエタノールアミン、水酸化アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムおよびエチレンジアミンテトラ酢酸テトラナトリウムなどの腐食防止剤;が挙げられる。
採用することができるその他の任意の成分、ならびに任意の成分の量は、当業者によって容易に決定することができる。例えば、フェノール系および第四級アンモニウム系抗菌剤は一般に最終の除草剤組成物中において約0.2重量パーセントの濃度を超えることはない。
適度な保存寿命を除草剤組成物に与えるために、保存料をその組成物に添加するのが好ましい。1つのそのような適切な保存料は、Pfizer Inc.社によって商業的に供給されている安息香酸ナトリウムである。食品を保存するために使用されるその他の市販の保存料も、通常の技量の当業者には知られているように、適切に使用することができる。
上記の有利な薬剤、および通常の技量の当業者によって考えられるような多くのその他のものは、当業者にはよく知られており、市販されている。
さらなる態様において、本発明は、本発明によって提供される除草剤組成物を1種または複数種の不要な植物に適用する、不要な植物の成長を枯殺、制御または抑制するための方法を提供する。次いで、その組成物は、植物、好ましくはその植物の葉と、その植物を枯殺、制御または抑制するのに十分な時間、接触を維持することを可能にする。所与の植物の有効な処理のために必要な時間は、様々な要因に依存し、非限定的には、除草剤溶液の濃度、吹付け範囲、pH、植物の種類、植物の大きさ/年齢/成熟度、葉表面またはその他の緑の表面の利用の可能性および周囲条件を含む要因に依存する。
農業環境においては、標準的な装置によるスプレー塗布は、良好な被覆のためには1m当たり18.7から32.7ml(1エーカー当たり20から35ガロン)を一般的には使用する。市販の静電スプレーは、その割合を9.4ml/m(10ガロン/エーカー)未満に著しく減少し、それでも良好な被覆を達成することができる。本発明を実践する1つのやり方において、その方法は、その領域に除草剤を約4.7ml/m(5ガロン/エーカー)から約37.4ml/m(40ガロン/エーカー)の割合で吹付けることを含む。本発明を実践する別の好ましいやり方において、その方法は、その領域に除草剤を約4.7ml/m(5ガロン/エーカー)から約32.7ml/m(35ガロン/エーカー)の割合で吹付けることを含む。
自宅所有者または専門家の造園の設定においては、雑草に対する吹付け塗布は、一般的に流出の影響を受けやすい。除草剤組成物中の除草作用のあるリモネン成分の濃度ならびに雑草の密度および成熟度/大きさによって、単位面積当たりの対応する吹付け量は、1m当たり10分の数mlから93.5ml(1エーカー当たり2〜3クオートから100ガロン)以上でありうる。
本発明を以下の特定の実施例を参照してさらに説明する。当然のことながら、これらの実施例は説明に役立つことを意図したものであって限定するものでは全くない。
実施例1
除草剤配合物の調製
除草剤配合物(MM−01)を、本発明により、94.0重量%のリモネンを以下の乳化剤:1.3重量%のTergitol(テルギトール;商標)NP−8(ノニルフェノールエトキシレート界面活性剤)、2.0重量%のTergitol(商標)NP−9(ノノキシノール9.5界面活性剤)および2.7重量%のPluracol(プルラコル;登録商標)P−425(ポリプロピレングリコール界面活性剤)、と共に含有するように調製した。得られた配合物は、リモネンを88重量%含有する。この除草剤配合物の378.5リットル(100ガロン)のバッチを製造するために、各成分を1つずつ加え、各添加後および次の成分を添加する前にその混合物を10分間撹拌して成分の完全かつ均一なブレンドを確保した。すべての成分を混合した後、そのバッチをさらに10分間かき混ぜ、品質管理のため試験し、濾過して適当な容器に充填した。
除草剤組成物の調製
前記配合物を、水:除草剤配合物比で表して3:1の容量比となるように水で希釈し、除草剤組成物(リモネン22重量%)を提供した。3:1の比率の組成物のpHは、4.5であったと推測される。最初の試験バッチにおいてはレモンジュースによりpHを4まで下げ、2番目の試験バッチにおいては炭酸カリウムによりpH9に上昇させた。さらに、3番目の試験バッチにおいては、3:1の比率の除草剤組成物を、0.05%のシリコーン系界面活性剤(Silwet;シルウェット)を添加することにより変性した。
除草剤組成物を試験するための手順
この実地試験は、2004年11月中に北カリフォルニアにおいて実施した。上記の除草剤組成物のそれぞれを、背負い式スプレー装置で流出がない良好な被覆を確保するように発芽後の植物に吹付けた。最初に評価した雑草は、ギョウギシバ(Bermuda grass)、ウシノケグサ(fescue)、およびストロベリー・クローバーである。
色およびしおれの評価は、処理後2時間、1日、2日、および7日に行った。試験組成物について集めたデータは、未処理の対照(untreated control;UTC)およびParaquat;パラコート(Gramoxone;グラモキソン(登録商標))で処理した植生の領域と比較した。この試験は、1処理当たり3回の反復を含んだ(単一の細長い土地であったパラコート処理を除く)。処理は、反復の中で無作為に分布させた。色およびしおれの採点は、処理後2時間、1日、2日、および7日に行った。結果を図1〜6に示す。
考察
すべての処理が3:1の比率(水:リモネン配合物)で受けたこの試験においては、植物は非常に速やかに反応した。広葉植物においては変色の後に壊死が続き、葉組織の黒変が2〜4時間以内に起こった。イネ科の草においては反応はもっと緩やかであり、葉は緑から黄色、褐色へと徐々に変化する傾向があった。
すべてのMM−01処理は、2時間以内に目に見えるバーンダウン反応をもたらした。1日後にはすべてのMM−01処理は未処理の対照(UTC)とは著しく異なっていた(P<0.05)。
最良のMM−01処理は、0.05%のシリコーン界面活性剤を含み、pH9のものであった。2日後および7日後では両方とも他の処理より著しく良好であった。2日後および7日後で、界面活性剤とpH9の処理は、パラコートの標準と数値的に同等であった。
すべてのMM−01処理に対して、しおれ反応は時間が経つと増大した。MM−01に対する色の評点は時間が経っても著しい変化はなかった。
pHおよび界面活性剤に起因する差異は非常にはっきりしている。処理後7日において、しおれおよび色に対する界面活性剤の影響を記録したので、その結果を下の表1に示す。
Figure 0005385534
処理後7日において、しおれおよび色に対するpHの影響を記録したので、その結果を下の表2に示す。
Figure 0005385534
非イオン性シリコーン界面活性剤の使用は、しおれの評点を24.7%、色の評点を36.2%増した。
pH9の使用は、しおれの評点を22.3%、色の評点を40.2%増した。
実施例2
フロリダ州Zellwoodにおいて実地試験を行った。実施例1で記載した同じ配合物をフロリダの試験で使用した。すべてのリモネン処理は、22重量%のリモネンの除草剤組成物を提供する、水:除草剤配合物比で表して3:1の容量比で行った。1処理当たり4回の反復を使用し、すべての処理は反復の中で無作為に分布させた。雑草の種類は、アカザ(common lambsquaters;高さが30.5〜61cm(1〜2フィート))であった。適用した処理は、シリコーン界面活性剤Silwetの有りおよび無しでのpH3、7、8および9であり;各処理は流出しきるまで吹付けた。市販のバーンダウン標準品Gramoxone(パラコート)を含めた。読み取りは1および2時間、ならびに1、3および7日に行った。アカザの即時のしおれが始めの1時間からすべてのリモネン処理で観察された。Gramoxone(パラコート)による効果は1日目に最初に観察され3日目まで増大した。最初の2時間が経った後リモネンの効果は安定化した。3日後の結果を図7に示す。
大きなアカザは、リモネンにとっては制御するのは困難な雑草であり、pHおよび界面活性剤によってもたらされる違いを評価するための好都合な候補となる。pHの効果の評価では、界面活性剤があってもなくてもpH7が最良の効果を示した。界面活性剤無しで、それはpH3よりもかなり良好であった。
界面活性剤と並べた比較も行うことができる。統計的には有意ではないが、界面活性剤を増加したリモネンの活性は、ほとんどすべてのpHで、平均して6.1%増加した(表参照)。
Figure 0005385534
実施例3
主要な雑草についてのリモネンの反応を最大限に利用するために、一連の試験を、ミシガン州イーストランシングにあるミシガン州立大学(MSU)において行った。イネ科の草はリモネンに強く反応して、すべての処理が優れた除草剤反応を与えるために、pHおよび界面活性剤の評価に関してのそれらの適合性を損なう。成熟したアカザは、リモネンに十分に反応せず、これらの試験のための良好な候補となる。
MSUの温室試験においては、実施例1で記載したものと同じ配合物を使用した。1つの処理当たり4回の反復を用いた。すべてのリモネン処理は、22重量%のリモネンの除草剤組成物を提供する、水:除草剤配合物比で表して3:1の容量比で行った。除草剤組成物は、農業での応用を模して設計したスプレー・チャンバー中で適用した。散布量は、1m当たり56.1ml(1エーカー当たり60ガロン)であり、スプレー・ノズル圧は、275.8kPa(40psi)であった。雑草の種類は、アカザ(高さが30.5〜61cm(1〜2フィート))であった。適用した処理は、界面活性剤無しでのpH3、5、7、8および9である。4日目に1回だけの読み取りをした。結果を図8に示す。
pHの効果に対する強い傾向があり、pH5が最適のpHであった。pH7および8は、pH3よりも(それぞれ11.4%および7.5%)またはpH4.2の未調整のリモネンよりも(それぞれ14.7%および10.6%)、数値的に良好な効果を有していた。pH9は、他の処理より著しく低かった。
すべての界面活性剤が水中のリモネン配合物の性能を増大させた。シリコーン系製品のSylgard(シルガード)は、比較するとかなり良好であった。
以下の実施例4〜7に記載のさらなる一連の温室の試験的処理も、ミシガン州立大学(MSU)で実施した。典型的には4〜8枚の葉の段階の雑草を、対照および試験配合物と接触させた。用いた散布量は、275.8kPa(40psi)のスプレー圧で、1m当たり56.1ml(1エーカー当たり60ガロン)であった。処理の1日後(実施例4〜5)およびさらに処理の5日後(実施例6〜7)に植物の状態を測定し、百分率で表す制御を評価した。これらの実施例のすべてに対して成分の割合(%)は、特に他に断りのない限り、常に組成物全体の重量百分率(w/w%)で示されている。
実施例4
アカザ(Chenopodium album)を以下のように調合した6個の異なる組成物のそれぞれと接触させた:1)脱イオン水単独(対照);2)21.6%のd−リモネン、5%のアルコールエトキシレート(BIO−SOFT(登録商標)N25−7)、1.3%のヒマシ油エトキシレート(TOXIMUL(登録商標)8242)、および残りが水;3)水中の21.6%のd−リモネン単独;4)水中の10%のBIO−SOFT(登録商標)N25−7;5)水中の5%のTOXIMUL(登録商標)8242および3%の過酸化水素(TOXIMUL(登録商標)8242の水溶性を増すため);および6)水中の5%のTOXIMUL(登録商標)8242単独。BIO−SOFT(登録商標)およびTOXIMUL(登録商標)8242は、22 W Frontage Rd Northfield,IL 60093にあるThe Stepan Companyの登録商標である。これらの試験および観察の結果を下の表4に提供する。
Figure 0005385534
表4において分かるように、処理1、3、5および6における配合物は処理した植物に実質的な効果をもたらさなかった。しかし一方、界面活性剤BIO−SOFT(登録商標)N25−7(処理4)は、ある程度の効果があり、処理2における本発明の好ましい実施形態は、アカザに対して制御する明らかに良好な除草性能をわずか1日の時間内で有した。
実施例5
実施例4で行った検討をアキノエノコログサ(Setaria faberi)で繰り返した。その結果を下の表5に提供する。
Figure 0005385534
再度、表5において分かるように、処理7、11、および12における配合物は処理した植物に実質的な効果をもたらさなかった。しかし一方、界面活性剤BIO−SOFT(登録商標)N25−7(処理10)およびリモネン単独(処理9)は、ある程度の効果があり、処理8における本発明の好ましい実施形態は、アキノエノコログサに対して明らかに良好な除草性能をわずか1日の時間内で有した。
実施例6
アカザ(Chenopodium album)を下の表6に示した9個の異なる配合物とここで接触させた。処理後1日と5日の両方で、植物の状態を調べ、百分率で表した制御(%コントロール)を目視観察により評価した。結果を下の表6に提供する。
Figure 0005385534
表6において分かるように、処理15〜21における配合物は、処理13(対照)および処理14(水性リモネン単独)と比較して、TOXIMUL(登録商標)8242および/またはBIO−SOFT(登録商標)N25−7の量を増加することによって増大した除草効果を示す。1日後、処理19〜21は、アカザに対して明らかに良好な除草性能をわずか1日の時間内で示した。
実施例7
イチビ(Abutilon theoprasti)を下の表7に示す構成の9個のさらなる配合物とここで接触させた。処理後1日と5日の両方で、植物の状態を調べ、百分率で表した制御(%コントロール)を目視観察により評価した。結果を下の表7に提供する。
Figure 0005385534
表7において分かるように、処理25〜30における配合物は、処理22(対照)および処理23(水性リモネン単独)および処理24(水性BIO−SOFT(登録商標)N25−7単独)と比較して、TOXIMUL(登録商標)8242および/またはBIO−SOFT(登録商標)N25−7の量を増加することによって増大した除草効果を示す。処理25〜30は、イチビに対して明らかに良好な除草性能をわずか1日の時間内で示した。
本発明を、図面およびこれまでの記述で詳細に示しかつ説明してきたが、そのことは説明のためであって限定するためではない性格のものと考えるべきであり、好ましい実施形態のみが示され説明されたのであって、当然のことながら、本発明の精神に帰属するすべての変更および修正は保護されることが望まれる。
2004年11月に実施した草地における普通の草および広葉植物の実地調査から、2時間および24時間のしおれ試験の結果を示す棒グラフである。統計分析は、ダンカンのMRTによる(P<0.05)。同じ文字または文字の組合せによる処理で、顕著な違いはない。 2004年11月に実施した草地における普通の草および広葉植物の実地調査から、2日および7日のしおれ試験の結果を示す棒グラフである。統計分析は、ダンカンのMRTによる(P<0.05)。同じ文字または文字の組合せによる処理で、顕著な違いはない。 図1および2において与えられたデータのプロットを示す図である。 2004年11月に実施した草地における普通の草および広葉植物の実地調査から、2時間および24時間の色試験の結果を示す棒グラフである。統計分析は、ダンカンのMRTによる(P<0.05)。同じ文字または文字の組合せによる処理で、顕著な違いはない。 2004年11月に実施した草地における普通の草および広葉植物の実地調査から、2日および7日の色試験の結果を示す棒グラフである。統計分析は、ダンカンのMRTによる(P<0.05)。同じ文字または文字の組合せによる処理で、顕著な違いはない。 図4および5において与えられたデータのプロットを示す図である。 2005年1月フロリダで実施したアカザについての実地調査からの結果を示す棒グラフである。評価は0から10(損傷なしから枯死)に基づいている。統計分析は、ダンカンのMRTによる(P<0.05)。同じ文字または文字の組合せによる処理で、顕著な違いはない。 2005年1月ミシガンで実施したアカザについての温室調査からの結果を示す棒グラフである。評価は0から100%(損傷なしから枯死)に基づいている。統計分析は、ダンカンのMRTによる(P<0.05)。同じ文字または文字の組合せによる処理で、顕著な違いはない。

Claims (16)

  1. 成熟した雑草に対して効果的な除草剤組成物であって、
    水、
    12重量%〜30重量%の、リモネン、リモネン抽出物、リモネンを含有する組成物、及びリモネンを含有する精油から選択される除草作用のあるリモネン成分、
    0.05重量%〜10重量%の、ポリエトキシレート化ヒマシ油乳化剤、および
    0.05重量%〜10重量%の、アルコールエトキシレート界面活性剤
    を含み、5を超えるpHを有する、前記除草剤組成物。
  2. 6から8のpHを有する、請求項1に記載の除草剤組成物。
  3. 前記除草作用のあるリモネン成分を、15重量%から25重量%含む、請求項1に記載の除草剤組成物。
  4. 0.02重量%〜1.0重量%の湿潤剤をさらに含む、請求項1に記載の除草剤組成物。
  5. 前記湿潤剤がシリコーン界面活性剤である、請求項4に記載の除草剤組成物。
  6. 前記湿潤剤が、アニオン性および非イオン性界面活性剤ならびにそれらのいずれか1つまたは複数の混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の除草剤組成物。
  7. 前記除草剤組成物が炭酸カリウム、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムからなる群から選択されるpH調整剤を含有する、請求項1に記載の除草剤組成物。
  8. 植物を枯殺、制御または抑制する方法であって、
    (a)請求項1に記載の液体除草剤組成物を用意すること;及び
    (b)前記除草剤組成物を植物の1つまたは複数の葉に吹付けること;
    を含む、前記方法。
  9. 前記吹付けは、前記除草剤組成物が植物の1つまたは複数の葉の表面積の少なくとも60%と接触するやり方で吹付けることを含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記組成物が6から8のpHを有する、請求項8に記載の方法。
  11. 前記除草剤組成物が炭酸カリウム、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムからなる群から選択されるpH調整剤を含有する、請求項8に記載の方法。
  12. 前記除草剤組成物が湿潤剤をさらに含む、請求項8に記載の方法。
  13. 前記湿潤剤がシリコーン界面活性剤である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記湿潤剤が、前記組成物中に0.02重量%〜1重量%の濃度で存在する、請求項12に記載の方法。
  15. 前記湿潤剤が、アニオン性および非イオン性界面活性剤ならびにそれらのいずれか1つまたは複数の混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
  16. 前記吹付けは、前記除草剤組成物を領域に0.5ガロン/エーカーから100ガロン/エーカー(0.47ml/mから9.35ml/m)の割合で吹付けることを含む、請求項8に記載の方法。
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