JP5384133B2 - Bf3を添加した希土類元素ドープファイバおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コアにBFを添加した希土類元素ドープファイバおよびその製造方法に関する。
希土類元素をドープしたファイバレーザおよびファイバ増幅器は高い変換効率や高いビーム品質が得られることから、レーザ加工技術分野で多くの関心を集めている。希土類元素をドープした母材の製造方法としては、VAD(Vapor phase Axial Deposition)法、OVD(Outside Vapor Deposition)法、MCVD(Modified Chemical Vapor Deposition)法、気相CVD(Chemical Vapor Deposition)法等が挙げられ、MCVD法に液浸法を適用した希土類元素ドープコアを有する光ファイバ用母材の製造方法等が知られている(特許文献1)。
希土類元素ドープファイバから高品質レーザを得るために、広い利得スペクトル、低い再吸収、レーザの安定性、特に高い変換効率等の物性が要求される。とりわけ、エネルギー利用効率や装置の軽量化の観点から高い変換効率を有する希土類元素ドープファイバを製造する必要がある。
例えば、高い変換効率のYbドープファイバを製造するためには、Ybドーピング濃度を上げ、吸収係数を上げる必要があるが、Ybドーピング濃度を上げるとYbクラスタリングの影響により消光が起こり、変換効率や信頼性が低下する問題が指摘される。当該問題を解決するためにAlをco−ドーピングする方法等が提案されているが(特許文献2および非特許文献1)、Alを入れることによりコアの屈折率が上がり、NAが高くなってしまい、レーザビームの品質改善に必要な低NAファイバを製造することが難しくなる。
そこで屈折率を低下することができるF、B等の元素をコア内にドーピングする方法が考えられるが、MCVD法ではBFドープのスス付けとYbのドープを個別に行うためにBFドープ層とYbドープ層が分離されてしまうことがある。かかる分離が起きると均一な屈折率プロファイルを有するコア作製は困難であることは勿論、BF層とYbドープ層の熱膨張係数が異なるために中実化する際コア扁平の問題が生じる。
特開2003−277098号公報 特開平8−46278号公報
Optics Express Vol.16(no.20), pp.15540−15545 (2008)
コアにBFを添加した希土類元素ドープファイバおよびその製造方法を提供することを課題とする。
そこで本発明者等は、上記の課題を解消するべく鋭意研究した結果、無水石英パイプ内面にガラス微粒子を1層または複数層堆積させてガラス微粒子層を形成するに際して、加工温度を1200〜1500℃とし、かつ、該堆積の後に、さらにBFをドープしたガラス微粒子層を形成する堆積工程を1000〜1190℃の温度で行うことにより、上記のようなBFドープ層とYbドープ層が分離されてしまう問題を生じず、コアにBFを添加した希土類元素ドープファイバが製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
〔1〕パイプ内面にガラス微粒子を1層または複数層堆積させてガラス微粒子層を形成する堆積工程、該ガラス微粒子層に希土類元素を含む溶液中に含浸する液浸工程、該液浸工程後にガラス微粒子層を乾燥する乾燥工程、該乾燥工程後にガラス微粒子層を透明ガラス化する透明化工程および無水石英パイプをコラップスするコラップス工程を有する製造方法であって、
堆積工程時の温度が1000〜1190℃であることを特徴とする、希土類元素ドープファイバの製造方法。
〔2〕前記堆積工程時にさらにBFをドープすることを特徴とする、前記〔1〕記載の製造方法。
〔3〕前記堆積工程時の温度が1200〜1500℃であること、および該堆積工程後に、さらにBFをドープしたガラス微粒子層を形成する堆積工程を1000〜1190℃の温度で行うことを特徴とする、前記〔1〕記載の製造方法。
〔4〕前記〔3〕記載の製造方法により製造される希土類元素ドープファイバ。
〔5〕当該希土類元素ドープファイバが、コア、クラッドで構成されたファイバであって、
前記コアに、希土類元素が連続的にコア全体にドープされ、BFは不連続的にコアにドープされ、クラッドとコアとの界面の近傍のBFドープ濃度がコア中心の濃度に比べ小さいことを特徴とする、前記〔4〕記載の希土類元素ドープファイバ。
コアにBFを添加した希土類等ドープファイバおよびその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施態様を工程順に示した説明図。 本発明の一実施態様を工程順に示した説明図。 実施例1の屈折率プロファイルの模式図。 実施例2の屈折率プロファイルの模式図。
本明細書中、クラッドとはコア周囲の石英層を指す。また、連続的なドープとは、希土類元素等の添加すべき物質が局所的にドープされるのではなく、切れ目なく全体的に含まれていて、該添加すべき物質が含まれない層が存在しない状態をいう。一方、これに対して不連続的なドープとは、希土類元素等の添加すべき物質が含まれる層と含まれない層とが存在する場合をいう。
以下、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。図1は本発明の一実施態様を工程順に示した説明図であって、後述する実施例1がこの工程からなる。
無水石英パイプ 1の内面に一端から他端にむけてOを供給し、バーナー 2により1200〜1500℃で無水石英パイプ 1の内壁面の空焼きを行う(図1(a)参照)。Oの流量は0.5〜2.5SLMが望ましい。なお、無水石英パイプ 1とはOH基を含む量が赤外線分光器による測定の限界である1ppm以下の石英パイプを意味する。MCVD法では有機金属原料中に含まれるOH基やコア作製中に混入されるOH基によって伝送損失が増え、レーザ特性を悪化させるためにOH基の混入を防げることが望ましいからである。
次に、Clを供給し、バーナー 2により1000〜1300℃で無水石英パイプ 1の内壁面の脱水を行う(図1(b)参照)。
次に、無水石英パイプ 1の内面にSiC1等のガラス原料ガス、HeおよびOのガスを供給し、バーナー 2により1000〜1200℃で加熱することにより、ガラス微粒子層 3を形成する。従来のMCVDの堆積工程では、堆積工程を1100〜1700℃で加熱することが一般的であるが、本発明では、1000〜1200℃と比較的低温で加熱する(図1(c)参照)。これは、後述する液浸工程において、高温で堆積するとガラス微粒子の大きさが細かくなる或いは直接ガラス化されることを理由にガラス微粒子層 3中に染み込む希土類元素のドーピング濃度に影響するため、従来の高温でガラス微粒子層 3を堆積することは望ましくないからであり、1000℃未満ではガラス微粒子と石英パイプ内面との密着性が弱くなるからである。ガラス粒子層 3は使用するパイプ及び作製の目的によって異なり、1層または複数層堆積させてもよいが、屈折プロファイルの観点から4回連続して、0.1mm〜0.5mm膜厚にするのが望ましい。なお、このときの各ガスの流量は使用パイプ及び作製目的によって異なるが、例えば希土類ドープコア母財を作製する場合、SiC1は0.4〜0.6SLM、Heは0.3〜0.6SLM、Oは0.4〜0.6SLMが望ましい。さらに、ガラス微粒子層 3を堆積する際には、ガラスパイプの内圧はパイプ内部のガスの流れに影響されるために無水石英パイプの内圧と大気圧との差圧を−4〜−10Paになるようにガラス内圧を圧力制御器により制御することが望ましい。
また、上記の堆積工程においてHeおよびOだけではなくBFのガスについても供給してもよい(図1(c)参照)。BFの流量は20〜100SCCMが望ましい。BF添加ガラスは石英より屈折率が低いためにYb添加コアの屈折率を低減することができる。BFの代わりにB、F、SiF4、BCl、BBrなど等を代替することもできるが、結合効率や扱い易さの観点からBFが望ましい。BFによるデルタ(Δ、屈折率の差)の低減効果[(BF添加コアのデルタ−無BFコアのデルタ)/無BFコアのデルタ×100)](%)は、BF流量が9SCCMの場合は−15.7%、25SCCMの場合は−63%、40SCCMの場合は−136%となり、BFの流量を増やすことにより、仕込み効率が高くなる。これは、BFを増やすことによりコア屈折率が下がることに起因する。Yb/Alの仕込み量(Yb=0.075g、Al=0.25g)をドープし、9SCCMBFドープコア母材とBFを添加しないコア母材を比較した場合、BFを添加することにより明らかにコア△は下がり、△の変化は−15.7%となる。
堆積が終了した後、希土類元素含有溶液 4にガラス微粒子層 3を浸漬する(図1(d)参照)。溶液をガラス微粒子層へ浸透させるには、例えば該パイプ内に注ぎ込む方法が挙げられる。また、充分に浸透させるために、速度5〜20回転/分で旋盤チャックを回転させることが望ましい。本発明においてコアに添加する添加物としては、例えばEr(ErCl等)、Nd(NdCl等)、Yb(YbCl等)、Tm(TmCl等)、Pr(PrCl等)、La(LaCl等)、Al(Al(NO)等)、P(P、HPO等)等の希土類元素やその他の元素の化合物またはこれらの水和物等が挙げられる。扱い易さの観点からYbCl、AlClの6水和物が望ましく単一の添加であっても複数を組み合わせて添加してもよい。希土類元素添加のファイバは、溶液濃度によって大きく影響される。YbとAlを共添加する場合、各々の溶液濃度(wt%)は、Ybが0.05〜1.5、Alは0.05〜2程度が望ましい。例えば、エタノールに溶かす場合、30ccのエタノールに対し、YbCl・6HOが0.06〜0.09g、AlCl・6HOは0.2〜0.25gになる。また、Ybのクラスタリングはガラスのフォトダークニングに影響され、ファイバレーザ特性に悪影響を及ぼすためにAlとYbのモル比もYb添加ファイバ特性に重要なパラメータである。つまり、Ybのクラスタリングを抑制するためにはAlとYbのモル比R(=Al/Yb)を3〜15にすることが望ましい。この範囲の比率にすることで、NAが0.05〜0.2の光ファイバ母材を提供することができる。添加物を加える溶媒としては、例えば水、エタノール等のアルコールが塩化物、塩等の化合物を十分に溶解でき、しかも自然乾燥により殆ど揮散するのに加え、Cl等の反応性ガスにより容易かつ十分に除去できるので簡便である。好ましくはエタノールである。液浸工程の条件として、例えば温度20〜60℃、30分〜2時間等の条件が挙げられる。
次に、Oを供給し、1〜2時間、自然乾燥を行い、その後、バーナーの温度を50〜1400℃に上げ、液透されたガラス微粒子層を加熱乾燥する。
残留水分を充分に除去した後、内圧と大気圧との差圧−4Paを維持し、残留する微量の水分や異物を除去すべく、He、OおよびC1のガスを供給し、無水石英パイプ 1の温度を1500〜1600℃まで上げ、希土類元素含有ガラス微粒子層 5を透明化ガラス化し、希土類元素含有ガラス層 6を形成する(図1(e)参照))。なお、このときの各ガスの流量は、Heは0.1〜1.0SLM、Oは0.1〜5SLM、C1は0.12〜0.02SLMが望ましい。
透明化の後に、さらに無水石英パイプを1500〜1800℃で加熱してコラップスする。コラップスとは、透明化されたガラス微粒子層を空間なしの中実化することである。この工程により希土類元素ドープコアが得られ、これをコアとする光ファイバ母材 8が得られる(図1(f)参照)。
ここで、MCVD法を用いたBFガスの反応はSiC1より低い温度で起こるためにガラス微粒子の堆積条件は異なる。そうすると上記のように低温でBFとSiC1を共に供給し、ガラス微粒子を堆積させると、堆積されたガラス微粒子がガラス表面から落ち、一方、高温でガラス微粒子を堆積させるとススの密度が高くなり、希土類元素含有溶液が奥まで浸透し難くなりコラプスされたコア母材は低屈折率層と高屈折率層に分離されてしまうことがある。そこで必要に応じて図2に示す工程で製造することもできる。
図2は本発明の一実施態様を工程順に示した説明図であって、後述する実施例2がこの工程からなる。
高温でBFをドープしたYbドープ母材のプリフォームアナライザプロファイル、によると、コア部分はBF添加層とYbドープ層に分離しW型コアとなる。従って、低温で生じるスートの密着性の問題やBF添加層とYbドープ層が分離される問題を解決するために最初はBFを流させずに高温度でガラス微粒子付けを行った後、BFを供給しながらスート堆積を行うことが望ましい。また、スートとガラス界面で密着性を強化させるためにバーナーの送り速度を650mm/minから325mm/minに落とす必要がある。このような観点から以下の工程が有利である。
空焼き工程(図2(a))、脱水工程(図2(b))の詳細は図1(a)および(b)と同様である。
次に、無水石英パイプ 1の内面にSiC1等のガラス原料ガス、HeおよびOのガスを供給し、BFがドープされてない0.005mm〜0.05mm膜厚のガラス微粒子堆積を行うべく、バーナー 2により1200〜1500 ℃で加熱することにより、ガラス微粒子層 3を形成する(図2(c)参照)。なお、このときの各ガスの流量は、SiC1は0.2〜0.4SLM、Heは0.4〜0.6SLM、Oは0.4〜0.6SLMが望ましい。さらに、ガラス微粒子層 3を堆積する際には、ガラスパイプの内圧はパイプ内部のガスの流れに影響されるために石英パイプの内圧と大気圧との差圧を−10〜−4Paになるようにガラス内圧を圧力制御器により制御することが望ましい。
次に、無水石英パイプ 1の内面にSiC1等のガラス原料ガス、He、OおよびBFのガスを供給し、バーナー 2により1000〜1200℃で加熱することにより、ガラス微粒子層 3をさらに形成する(図2(d)参照)。ガラス粒子層 3は1層または複数層堆積させてもよいが膜質の観点から4回連続して0.1〜0.5mm膜厚の複数層とするのが望ましい。なお、このときの各ガスの流量は、SiC1は0.4〜0.6SLM、Heは0.4〜0.6SLM、Oは0.4〜0.6SLM、BFは20〜100SCCMが望ましい。さらに、ガラス微粒子層 3を堆積する際には、ガラスパイプの内圧はパイプ内部のガスの流れに影響されるために石英パイプの内圧と大気圧との差圧を−10〜−4Paになるようにガラス内圧を圧力制御器により制御することが望ましい。
以降の液浸工程(図2(e))、乾燥工程、透明化工程(図2(f))およびコラップス工程(図2(g))の詳細は図1の(d)、(e)および(f)と同様である。なお、ガラス内壁面に形成するガラス微粒子の最適膜厚は使用石英パイプの内径やコア構造に影響されるために正確な規定することは難しいが、0.01mm〜1mmが望ましい。
以下、本発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
外径28 mm、厚さ1.5 mm、長さ400 mmの無水石英パイプを旋盤に取付け、無水石英パイプ内面に一端から他端にむけて1.4SLMでOを供給し、バーナーにより1200〜1400℃で無水石英パイプの内壁面の空焼きを行った後、50SCCMでC1を供給しながらバーナーにより1130℃で無水石英パイプの内壁面の脱水を行った。その後、0.56SLMでSiC1、0.4SLMでHe、0.5SLMでOおよび45SCCMでBFのガスを供給し1180℃で4回連続して0.2mm膜厚のガラス微粒子の堆積を行った。ガラス微粒子を堆積する際には石英パイプの内圧と大気圧との差圧を4Paになるようにガラス内圧を制御した。その後、0.06gのYbC1・6HOおよび0.2gのAlCl・6HOを溶媒として30ccのエタノールに溶かし(Al:Ybモル比=5.7:1)、ガラス微粒子を堆積したガラスパイプ中に流し込み、充分になじむまで速度5回転/分、温度20℃で1時間、旋盤チャックを回転させ液浸した。次に、Oを供給し、1時間、自然乾燥を行った後、バーナーの温度を50〜1400℃に上げ、石英パイプを加熱乾燥した。その後、内圧と大気圧との差圧を−4Paの差圧になるように維持し、0.7SLMでHe、0.3SLMでOおよび20SCCMでC1のガスを供給しながら無水石英パイプの温度を1500〜1750℃まで上げ、透明化およびガラスパイプのコラップスを行い、コアを作製した。プリアナ評価の結果、コア径は約2mmであった。
図3は、実施例1で作製したドープファイバの屈折率プロファイルの模式図であって、ファイバの胴体最外面から、直径に沿って該ファイバの中心軸を通過し、反対側の胴体最外面に至るまでの、屈折率の変化(縦軸)を示している。図4も同様である。
同図に示すとおり、コアとクラッドとの界面領域では、屈折率がコアの中心領域に比べて局所的に低くなっており、石英ガラス屈折率よりも低いことがわかる。これは、コアとクラッドとの界面において、ガラス微粒子層をBFドープしながら堆積したためにガラス微粒子が小さくなり、YbおよびAlがコア界面まで浸透し難くなったためである。
外径28mm、厚さ1.5mm、長さ400mmの無水石英パイプを旋盤に取付け、無水石英パイプ内面に一端から他端にむけて1.4SLMでOを供給し、バーナーにより1200〜1400℃で無水石英パイプの内壁面の空焼きを行った後、50SCCMでC1を供給し1130℃で無水石英パイプの内壁面の脱水を行った。その後、0.3SLMでSiCl、0.4SLMでHeおよび0.5SLMでOのガスを供給し、1240℃でBFがドープされてない0.05mm膜厚のガラス微粒子堆積を行った。ガラス微粒子を堆積する際には無水石英パイプの内圧と大気圧との差圧を−4Paになるようにガラス内圧を制御した。その後、0.56SLMでSiCl、0.4SLMでHe、0.5SLMでOおよび75SCCMでBFのガスを供給し1180℃で石英パイプの温度で4回連続して0.2mm膜厚のガラス微粒子の堆積を行った。ガラス微粒子を堆積する際には無水石英パイプの内圧と大気圧との差圧を−4Paになるようにガラス内圧を制御した。ガラス微粒子を堆積した後、ガラス微粒子の密着性をガムテープで確認したところ、BFドープなしのガラス微粒子層とほぼ同じ密着性を持つことが判った。
以降の液浸工程、乾燥工程、透明化工程およびコラップス工程は実施例1と同様である。プリアナー評価の結果、コア径は約1.9mmであった。
図4は実施例2で作製したドープファイバの屈折率プロファイルの模式図である。模式図によると、コア全体に単一屈折率分布を示しており、YbおよびAlがコア界面まで充分に浸透され、コア全体に均一に拡散されていることがわかる。BFドープによる屈折率の低減効果は△=−60%であった。
実施例2の方法により製造した希土類元素ドープファイバのドープ濃度について、EPMA(Electron Probe Micro−Analyzer)により確認したところ、希土類元素が連続的にコア全体にドープされ、一方、BFは不連続的にコアにドープされており、コア中心のFドープ濃度は0.6mol%であったが、Bは検出されなかった。一方、クラッドとコアとの界面の近傍のBとFは検出されなかった。なお、BFの添加に関わらずEPMAの評価でBが検出されなかったのはBの取り込み効率がFより少ないためである。また、プリアナ評価でも、界面近傍の屈折率は石英ガラス屈折率とほぼ同じであることからコア界面ではBFがドープされていないことがわかる。
また、BF添加のYbドープファイバの有効性を確認するためにレーザ特性評価を行った。コア母材の作製は10SCCMのBF(CYW−150)、25SCCM(CYW−151)のBFを供給した条件でスート堆積を行った。BF流量を増やすことにより、コア屈折率が下がることがわかった。さらに、BF流量を増やしてもBF添加層とYbドープ層は分離せず、単一コア構造を示していることがわかった。レーザ評価は外部共振器の構成により行った。CYW−151のファイバ全長は9m、CYW−152は5.8mであった。ポンプ光吸収に対するファイバレーザのスロープ効率はそれぞれ59%、63%であり、良好な特性を示している。このことからBFを添加しても、特にレーザ特性には影響されないことから本発明の有効性が確認された。
本発明にかかる光ファイバはファイバレーザや光増幅器等に使用される。
1 無水石英パイプ
2 バーナー
3 ガラス微粒子層
4 希土類元素含有溶液
5 希土類元素含有ガラス微粒子層
6 希土類元素含有ガラス層
7 希土類元素ドープコア
8 光ファイバ母材

Claims (2)

  1. 無水石英パイプ内面に、1200〜1500℃にて、ガラス原料ガスとしてのSiCl と、Heガスと、O ガスとを供給し、ガラス微粒子を堆積させて、BF がドープされていないガラス微粒子層を形成する第1の堆積工程
    該第1の堆積工程後に、1000〜1200℃にて、ガラス原料ガスとしてのSiCl ガスと、Heガスと、O ガスと、BF ガスとを供給し、BF がドープされたガラス微粒子を堆積させる操作を1回または複数回行い、BF がドープされたガラス微粒子層を1層または複数層形成する第2の堆積工程と
    該第2の堆積工程後に、希土類元素を含む溶液中に該ガラス微粒子層を含浸する液浸工程
    該液浸工程後にガラス微粒子層を乾燥させる乾燥工程
    該乾燥工程後にガラス微粒子層を透明ガラス化する透明化工程と、
    該透明化工程後に、無水石英パイプをコラップスするコラップス工程
    有することを特徴とする、希土類元素ドープファイバの製造方法。
  2. 請求項記載の製造方法により製造される希土類元素ドープファイバであって、
    当該希土類元素ドープファイバは、コアとクラッドとを有してなり、
    前記コアには、希土類元素が連続的にコア全体にドープされ、BF が不連続的にコアにドープされ、請求項1記載の製造方法における第1および第2の堆積工程に起因して、クラッドとコアとの界面の近傍におけるコアのBF ドープ濃度が、コア中心のBF ドープ濃度に比べて小さいことを特徴とする、
    前記希土類元素ドープファイバ。
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