以下、本発明の一実施形態に係る用紙残量検出装置及び画像形成装置を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示した概略断面図である。尚、図1に示す画像形成装置には、本発明の一実施形態に係る用紙残量検出装置が含まれている。
図1に示すように、画像形成装置Aは、略直方体に形成された筐体2と、筐体2の内部空間下部に配設されるとともに用紙SHが蓄えられる貯留部3と、貯留部3から用紙SHを取り出すとともに搬送する搬送部4と、搬送途中の用紙SHの面にトナー画像を形成する画像形成部5と、用紙上に形成されたトナー画像を用紙SHの面上に定着させる定着部6と、トナー画像が定着された用紙SHを筐体2外に排出する排出部7とを備える。筐体2の上部には、原稿の画像を読み取るための原稿読取部8が配設される。原稿読取部8は、原稿の画像を読み取り、電子データ化する。
貯留部3は、少量の用紙SHの束を収容する第1カートリッジ31及び第2カートリッジ32を含む。第2カートリッジ32は、第1カートリッジ31の上方に配設される。貯留部3は、第1カートリッジ31及び第2カートリッジ32が収容可能な枚数以上の用紙SHを収容するためのストッカ(用紙収容部)33をさらに含む。ストッカ33は、第2カートリッジ32の上方に配設される。
ストッカ33は、略矩形板状の底部331と、底部331の周縁から上方に向かって延出する周壁部332とを含む。周壁部332の上縁は、ストッカ33の開口部を形成する。底部331と周壁部332とで定められるストッカ33の内部空間に収容された用紙SHは、ストッカ33の上部に形成される開口部を通じて、搬送部4により取り出され、画像形成部5に向けて搬送される。第1カートリッジ31、第2カートリッジ32及びストッカ33は、筐体2内部から引き出し可能に設けられている。
ストッカ33は、当該ストッカ33の内部空間を横切って配設される仕切板333を含む。仕切板333は、底部331から上方に延出し、図1中において、ストッカ33の内部空間を左右に互いに隣接する小空間に仕切る。左方に形成される小空間は第1収容部33Aを形成しており、右方に形成される小空間は第2収容部33Bを形成している。
第1収容部33Aには、第1トレイ334が配設され、第2収容部33Bには第2トレイ335が配設されている。第1トレイ334は、用紙SHの束を載置するための上面を備える。また、第2トレイ335も、用紙SHの束を載置するための上面を備える。
第1トレイ334及び第2トレイ335は、ストッカ33の内部において、最下位置P0と最上部の基準位置P10との間で上下方向に移動可能に構成されている。
また、ストッカ33では、最下位置P0及び最上部の基準位置P10の他に、基準位置P1〜P9が設定されている。基準位置P1〜P10は、後述する残量検出部11が、第1トレイ334及び第2トレイ335に載置されている用紙の残量を複数の段階で判断して検出するために設定されている。基準位置P1〜P10は、後述するように、ストッカ33の内部で最下位置P0を起点として順次予め設定された間隔を設けながら設定されている。
搬送部4は、貯留部3の右側で上下方向に延びる搬送路43を含む。用紙取りだしローラ413A及び414Aによりストッカ33から取り出されたシートSは、ベルト装置412により搬送路43に搬送され、搬送路43を通じて画像形成部5に向かう。
用紙取りだしローラ413Aは第1ローラ装置413に設けられており、用紙取りだしローラ414Aは第2ローラ装置414に設けられている。第1ローラ装置413及び第2ローラ装置414は、筐体2に対して回動可能に取り付けられており、ストッカ33に載置されている用紙SHに上方向に押されることにより水平面との間の角度が変動する。
そして、第1ローラ装置413及び第2ローラ装置414の水平面との間の角度が予め設定された角度となったときに、第1ローラ装置413及び第2ローラ装置414を上方向に押す力を発生させるモータの駆動が停止する。
搬送部4は更に、第1カートリッジ31及び第2カートリッジ32の右上部角隅部近傍に配設されるピックアップローラ44及びピックアップローラ44の近傍下流に配設される分離・給紙ローラ45を含む。ピックアップローラ44及び分離・給紙ローラ45は、第1カートリッジ31及び第2カートリッジ32から1枚ずつ用紙SHを取り出し、搬送路43へ搬送する。搬送部4は更に、搬送路43に沿って配設される複数の搬送ローラ46を含む。搬送ローラ46は、ストッカ33、第1カートリッジ31又は第2カートリッジ32から送り出された用紙SHを、搬送路43を通じて、画像形成部5へ搬送する。
画像形成部5は、筐体2に回転可能に支持される略円筒形状の感光体ドラム51と、感光体ドラム51の上方に配設される帯電器52とを含む。感光体ドラム51は、図1中、時計回りに回転する。帯電器52は、感光体ドラム51に電荷を付与し、感光体ドラム51周面を一様に帯電させる。画像形成部5は更に、露光装置53を備える。露光装置53は、原稿読取部8が原稿の画像を読み取ることにより得られた画像データに基づき、レーザ光を感光体ドラム51の帯電された周面に照射する。この結果、レーザ光は感光体ドラム51上の電荷を消失させるため、感光体ドラム51上には画像データに一致する静電潜像が形成されることとなる。画像形成部5は更に、現像装置54を備える。現像装置54は、トナーを収容するトナーコンテナ55を備え、トナーコンテナ55から静電潜像が形成された感光体ドラム51の周面にトナーを供給する。この結果、感光体ドラム51の周面に、静電潜像に一致するトナー像が形成されることになる。
画像形成部5は更に、感光体ドラム51の下方に配設される転写ベルト56を含む。搬送路43を通じて、用紙SHは、感光体ドラム51と転写ベルト56との間に送り込まれる。感光体ドラム51と転写ベルト56との間を用紙SHが通過するとき、感光体ドラム51の周面に形成されたトナー像は、トナーの帯電と逆の極性の逆バイアスの印加により用紙SHに転写されることとなる。
画像形成部5は更に、用紙SHへトナー像を転写した後の感光体ドラム51の周面上に残留するトナーを除去するクリーニング装置57と、残留トナーの除去がなされた感光体ドラム51の周面から残留電荷を除去する除電装置58とを含む。
画像形成部5にて、トナー像の転写がなされた用紙SHは、定着部6へ送られる。定着部6は、定着ローラ61と、定着ローラ61に圧接される加圧ローラ62とを含む。定着ローラ61の内部には熱源63が配設され、定着ローラ61と加圧ローラ62との間を通過する用紙SH上のトナーが溶融されるとともに、加圧ローラ62からの圧力により用紙SH上にトナーが定着される。これにより、用紙SH上へのトナー像の定着がなされることとなる。
排出機構7は、定着部6の下流に配設されるとともに筐体2の内壁面近傍に取り付けられる排出ローラ71と、排出ローラ71から筐体2外に排出された用紙SHを受け止める排出トレイ72とを含む。
図1に示されるデジタル複写機1は、ストッカ33と画像形成部5/定着部6との間に両面印刷用の搬送路47を備える。排出ローラ71は、スイッチバック方式で搬送路47へ用紙SHを送り出すことも可能である。搬送路47は、搬送路43途中部に配設されたレジストローラ48の直前で合流する。搬送路47を通過した用紙SHは、レジストローラ48により画像形成部5へ送り出され、画像形成部5内でトナー像が定着されていない面にトナー像の転写がなされる。その後、定着ユニット6により新たに転写されたトナー像の用紙SHへの定着がなされる。最後に、用紙SHは排出ローラ71により排紙トレイ72上に排紙されることとなる。
図2は、ストッカ33の外観の一例を概念的に示した図である。尚、図1と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
このストッカ33では、第1トレイ334及び第2トレイ335は、当該第1トレイ334及び第2トレイ335の上面に、予め設定された最大枚数の用紙SHが載置されたときには、ストッカ33の底部331に当接する。このときの第1トレイ334及び第2トレイ335の上面の位置が、先述した最下位置P0として設定されている。
このように第1トレイ334及び第2トレイ335の上面が最下位置P0に位置しているときには、第1トレイ334及び第2トレイ335の上面に載置された用紙SHのうち最上位置の用紙SHが、最上部の基準位置P10に位置する。最上位置の用紙SHが最上部の基準位置P10に位置するときには、当該最上位置の用紙SHが、用紙取りだしローラ413及び414と当接する。
そして、第1トレイ334及び第2トレイ335上の最上位置の用紙SHが順次取り出されると、第1トレイ334及び第2トレイ335上の用紙SHの枚数が減少する。すると、第1トレイ334及び第2トレイ335上の用紙SHのうち最上位置の用紙SHが用紙取りだしローラ413及び414と当接しなくなる。
したがって、第1トレイ334及び第2トレイ335上の用紙SHの枚数が減少するにつれて、第1トレイ334及び第2トレイ335は、後述するモータの駆動力を受けて上方向に移動する。すると、第1トレイ334及び第2トレイ335上の用紙SHのうち最上位置の用紙SHが用紙取りだしローラ413及び414と当接する。これにより、第1トレイ334及び第2トレイ335の用紙SHの枚数が減少しても、最上位置にある用紙SHを順次取り出すことができる。
また、ストッカ33では、第1トレイ334に載置されている用紙SHの残量を検出するために、第1トレイ334の上面と対向する位置であって、最上部の基準位置P10よりも上の位置に、第1トレイ334に載置されている用紙SHの残量を検出するための測距センサS1が配置されている。
また、第2トレイ335に載置されている用紙SHの残量を検出するために、第2トレイ335の上面と対向する位置であって、最上部の基準位置P10よりも上の位置には、第2トレイ335に載置されている用紙SHの残量を検出するための測距センサS2が配置されている。
測距センサS1は、いわゆる三角測距法により、当該測距センサS1と第1トレイ334の上面との間の距離を測定し、測定した距離を電圧値(レベル値)で表す電圧信号(測定信号)を出力する。また、測距センサS2は、三角測距法により、当該測距センサS2と第2トレイ335の上面との間の距離を測定し、測定した距離を電圧値(レベル値)で表す電圧信号(測定信号)を出力する。
尚、測距センサS1及びS2は、測定した距離に応じたレベル値の測定信号を出力するものであればよく、三角測距法により距離を測定するセンサには限られない。また、測定信号は電圧信号に限られず、電流信号やデジタル信号であってもよい。つまり、第1トレイ334及び第2トレイ335の上面と、自身との間の距離がレベル値として得られるのであれば、どの構成要素を用いても良い。
図3は、ストッカ33の内部で設定されている基準位置P1〜P10について説明するための図である。尚、ストッカ33において、最下位置P0から最上部の基準位置P10までの距離をdとする。
最下位置P0は、第1トレイ334及び第2トレイ335を最も下げたとき、つまり、ストッカ33の底部331に当接しているときに当該第1トレイ334及び第2トレイ335の上面が位置する位置である。
また、最上部の基準位置P10は、第1トレイ334及び第2トレイ335を最も上げたときに、当該第1トレイ334及び第2トレイ335の上面が位置する位置である。
基準位置P1〜P10は、最下位置P0を起点として順次予め設定された距離(d/10)を設けながら設定されている。すなわち、基準位置P1〜P10は、最下位置P0から基準位置P10までの間の距離dを10等分するように設定されている。
図4は、第1トレイ334及び第2トレイ335が最下位置P0及び基準位置P1〜P10に位置するときに測距センサS1及びS2から出力される電圧信号の電圧値について説明するための図である。尚、第1トレイ334及び第2トレイ335が各基準位置に位置するとは、第1トレイ334及び第2トレイ335の上面が各基準位置に位置することをいう。
図4に示すように、第1トレイ334及び第2トレイ335の上面が最下位置P0から最上部の基準位置P10に移動するにつれて、第1トレイ334の上面と測距センサS1との間の距離、及び、第2トレイ335の上面と測距センサS2との間の距離が小さくなるため、測距センサS1及びS2から出力される電圧信号の電圧値Voutが大きくなる。
すなわち、第1トレイ335及び第2トレイ335の上面が最下位置P0に位置するときには、測距センサS1及びS2から出力される電圧信号の電圧値VoutはV1である。そして、第1トレイ335及び第2トレイ335の上面が最上部の基準位置P10に向けて移動するにつれて、測距センサS1及びS2から出力される電圧信号の電圧値Voutは、V1からV10に向けて順次大きくなる。
図5は、本発明の一実施形態に係る用紙残量検出装置の機能モジュールの一例を示したブロック図である。尚、図5において、測距センサS1及びS2と、第1トレイ334及び第2トレイ335については、図2で例示したので、同一の符号を付して説明を省略する。
用紙残量検出装置1は、CPUやA/Dコンバータなどで構成されており用紙残量検出装置1を統括的に制御する制御部10を備える。また、用紙残量検出装置1は、第1トレイ334及び第2トレイ335を移動させるための駆動力を発生させるモータ(移動部)20、及び、ストッカ33を備える。さらに、用紙残量検出装置1は、EEPROMなどの不揮発性メモリで構成された記憶部40を備える。
記憶部40は、第1トレイ334及び第2トレイ335に載置されている用紙の残量を検出する残量検出処理を行うための電圧値範囲−残量対応テーブル40Aと、電圧値範囲−残量対応テーブル40Aに記憶されている電圧値を較正する電圧値較正処理を行うための電圧値較正用テーブル40Bとを、ルックアップテーブルとして記憶する。
モータ20は、制御部10により制御される。後述する電圧値較正処理が行われるときのように第1トレイ334及び第2トレイ335に用紙が載置されていない状態では、制御部10は、モータ20により、第1トレイ334及び第2トレイ335の上面が最上部の基準位置P10に位置するように、第1トレイ334及び第2トレイ335を移動させる。
また、制御部10は、第1トレイ334及び第2トレイ335に載置されている用紙を給紙するときには、モータ20により、第1トレイ334及び第2トレイ335に載置されている用紙のうち最上位置の用紙が最上部の基準位置P10に位置するように、第1トレイ334及び第2トレイ335を移動させる。
制御部10は、残量検出部11、全体時間取得部12、分割時間取得部13、電圧値取得処理部(レベル値取得処理部)14、及び、記憶処理部15を備える。
残量検出部11は、用紙残量を大雑把な複数段階、例えば、10%、20%、30%、・・・、100%というように、10%きざみの10段階で検出する。そして、各段階の境界に対応するトレイの位置が基準位置P1〜P9として設定されている。また、最大の残量(残量100%)が得られるトレイの位置が最下位置P0として設定されており、最小の残量(0%)が得られるトレイの位置が最上部の基準位置P10として設定されている。
尚、基準位置P1〜P9は、各段階の境界として設定される例に限られず、例えば、各段階の中央位置に基準位置P1〜P9が設定されていてもよい。
尚、本実施形態においては、残量検出部11が用紙残量を検出する段階は10段階とされているが、この例には限られず、10段階以外の段階であってもよい。このような段階の数が多いほど残量検出の精度は向上する。
残量検出部11は、測距センサS1及びS2から出力される電圧信号を受け付けたときに、記憶部40内の電圧値範囲−残量対応テーブル40Aを参照して、第1トレイ334及び第2トレイ335に載置されている用紙の残量を検出する。このような処理を、本明細書では残量検出処理と呼び、その詳細については後述する。
全体時間取得部12は、モータ20により第1トレイ334及び第2トレイ335の上面を一定の速度で最下位置P0から基準位置P10まで移動させ、第1トレイ334及び第2トレイ335の上面が最下位置P0から基準位置P10に到達するのに要する時間を全体時間として取得する。
分割時間取得部13は、全体時間取得部12により取得された全体時間を、残量検出の段階の数、つまり、10で除することにより分割時間を取得する。例えば、全体時間取得部12により取得された全体時間が時間Tであり、用紙残量を検出する段階の数が10である場合には、分割時間取得部13は、全体時間Tを10等分することにより、分割時間(T/10)を取得する。
尚、本実施形態では、分割時間は分割時間取得部13により取得されているが、この例には限られず、記憶部40が予め分割時間を記憶しておいてもよい。
電圧値取得処理部14は、電圧値取得処理(レベル値取得処理)を行う。すなわち、電圧値取得処理部14は、モータ20により第1トレイ334及び第2トレイ335の上面を一定の速度で最下位置P0から基準位置P10まで移動させる。電圧値取得処理部14は、当該移動の過程で分割時間(T/10)が経過するごとに、測距センサS1及びS2により出力された電圧信号の電圧値(レベル値)を取得する。
記憶処理部15は、電圧値取得処理部14により分割時間(T/10)が経過するごとに取得されたレベル値を、基準位置P1〜P10に対応するレベル値として用いて、後述する電圧値範囲データを設定して記憶部40に記憶させる。
ここにおいて、全体時間取得部12、分割時間取得部13、電圧値取得処理部14、及び記憶処理部15による処理は、本明細書において、電圧値較正処理と呼び、その詳細については後述する。
以下、残量検出部11による残量検出処理について、図6及び図7を用いて説明する。図6は、電圧値範囲−残量対応テーブル40Aの一例を示した図である。図7は、残量検出処理の概要の一例を示したフローチャートである。
図6に示すように、電圧値範囲−残量対応テーブル40Aには、複数の電圧値範囲データ(閾値データ)が記憶されている。各電圧値範囲データには、番号が付されており、当該電圧値範囲データを設定するための電圧値が対応する位置範囲は、番号に応じて予め定められている。
本実施形態では、番号(1)の電圧値範囲データを設定するための電圧値が対応する位置範囲は、最下位置P0〜基準位置P1であると定められている。番号(2)の電圧値範囲データを設定するための電圧値が対応する位置範囲は、基準位置P1〜基準位置P2であると定められている。番号(3)の電圧値範囲データを設定するための電圧値が対応する位置範囲は、基準位置P2〜基準位置P3であると定められている。
また、番号(4)の電圧値範囲データを設定するための電圧値が対応する位置範囲は、基準位置P3〜基準位置P4であると定められている。番号(5)の電圧値範囲データを設定するための電圧値が対応する位置範囲は、基準位置P4〜基準位置P5であると定められている。番号(6)の電圧値範囲データを設定するための電圧値が対応する位置範囲は、基準位置P5〜基準位置P6であると定められている。
さらに、番号(7)の電圧値範囲データを設定するための電圧値が対応する位置範囲は、基準位置P6〜基準位置P7であると定められている。番号(8)の電圧値範囲データを設定するための電圧値が対応する位置範囲は、基準位置P7〜基準位置P8であると定められている。番号(9)の電圧値範囲データを設定するための電圧値が対応する位置範囲は、基準位置P8〜基準位置P9であると定められている。番号(10)の電圧値範囲データを設定するための電圧値が対応する位置範囲は、基準位置P9〜基準位置P10であると定められている。
そして、電圧値範囲−残量対応テーブル40Aには、各電圧値範囲データに対応して、残量10%、20%、30%、・・・、100%のうちいずれかの残量を示す残量データが記憶されている。
残量検出部11は、図7に示すように、測距センサS1から電圧信号を受け付けたときには(ステップS1のYES)、受け付けた電圧信号の電圧値Voutが、電圧値範囲−残量対応テーブル40Aにおいていずれの電圧値範囲データに含まれているかを判断する(ステップS2)。
例えば、残量検出部11が受け付けた電圧信号の電圧値Voutが電圧値V2を超え電圧値V3以下である場合には、残量検出部11は、電圧値Voutが、電圧値V2を超え電圧値V3以下の範囲を示す電圧値範囲データに含まれていると判断する。
そして、残量検出部11は、受け付けた電圧信号の電圧値Voutが含まれる電圧値範囲データに対応して電圧値範囲−残量対応テーブル40Aに記憶されている残量データを判断して、当該残量データで示される残量を検出する(ステップS3)。
例えば、ステップS2において、電圧値Voutが、電圧値V2を超え電圧値V3以下の範囲を示す電圧値範囲データに含まれていると判断された場合には、残量80%を検出する。
そして、残量検出部11は、検出された残量を、例えば回路の表示器に表示することにより通知する(ステップS4)。
尚、図7では、測距センサS1からの電圧信号を受け付けて用紙残量を検出する処理を例示しているが、残量検出部11は、測距センサS2について用紙残量を検出する際にも同様の処理を行う。
以下に、電圧値較正処理について、図8及び図9を用いて説明する。図8は、電圧値較正用テーブル40Bの一例を示した図である。図9は、電圧値較正処理の概要の一例を示したフローチャートである。
図8に示すように、電圧値較正用テーブル40Bには、最下位置P0及び基準位置P1〜P10に対応して、第1トレイ334及び第2トレイ335が各位置に位置するときに測距センサS1及びS2から出力された電圧信号の電圧値Voutが記憶されるように構成されている。
以下に示す電圧値較正処理は、ストッカ33が筐体2内部にセットされたとき、電圧値較正処理の実行を指示するための操作ボタン(不図示)がユーザにより操作されたとき、予め設定された時間が到来したとき、などにおいて、例えば、制御部10が、図示しない表示回路により、「ストッカから用紙を除去してください」といったメッセージを表示させ、その後、ストッカ33の中が空であることが確認できたときに実行される。
図9は、電圧値較正処理の概要の一例を示したフローチャートである。まず、全体時間取得部12は、第1トレイ334の上面をストッカ33の最下位置P0から基準位置P10に向かって、一定の速度vで上方向に移動させ(ステップS10)、時間計測を開始する(ステップS11)。
ついで、全体時間取得部12は、第1トレイ334の上面が基準位置P10に到達したときには(ステップS12のYES)、時間計測を終了する(ステップS13)。これにより、全体時間取得部12は、第1トレイ334が最下位置P0から最上部の基準位置P10に移動するのに要する時間を全体時間として取得する。
尚、図示はされていないが、第1トレイ334が基準位置P10に到達したことを検出するセンサが配置されている。全体時間取得部12及び電圧値取得処理部14は、当該センサから出力された信号を受け付けることにより、トレイが基準位置P10に到達したことを検出する。
以下、全体時間取得部12により取得された全体時間が時間Tであるとする。分割時間取得部13は、全体時間取得部12により取得された全体時間Tを、用紙残量を検出する段階の数で除して、分割時間(T/10)を取得する(ステップS14)。
次に、電圧値取得処理部14により、電圧値取得処理が行われる。電圧値取得処理部14による電圧値取得処理は、以下の点に着目して行われるものである。
つまり、全体時間取得部12により取得された全体時間が時間Tであれば、第1トレイ334が、一定の速度vでストッカ33の最下位置P0から基準位置P10までの間の距離dを移動するのに、時間Tかかることが判る。したがって、第1トレイ334が一定の速度vでT/10の間移動したときには、当該第1トレイ334は距離(d/10)だけ移動することが判る。
このように、第1トレイ334は、(T/10)時間あれば、距離(d/10)だけ移動するため、第1トレイ334を、最下位置P0を起点として移動させ初めてから(T/10)時間経過するごとに、当該第1トレイ334は、各基準位置に位置することとなる。
したがって、第1トレイ334を、最下位置P0を起点として移動させ初めてから(T/10)時間経過するごとに、当該時間が経過した時点で測距センサS1から出力された電圧信号の電圧値を取得すれば、第1トレイ334が各基準位置に位置するときに測距センサS1から出力される電圧信号の電圧値を取得することができる。
電圧値取得処理部14は、第1トレイ334を最下位置P0から基準位置P10に向けて上方向に前記一定の速度vで移動させる(ステップS15)。ここにおいて、電圧値取得部14は、第1トレイ334の移動を開始する前に、まず、第1トレイ334の上面が最下位置P0に位置するときに測距センサS1により得られる電圧値V0を取得する。
そして、電圧値取得処理部14は、第1トレイ334の移動を開始させてから分割時間(T/10)が経過するごとに、測距センサS1から出力された電圧信号の電圧値を取得する(ステップS16)。
電圧値取得処理部14は、ステップS15及びS16の処理を、第1トレイ334が基準位置P10に到達するまでの間行う。そして、電圧値取得処理部14は、第1トレイ334が基準位置P10に到達したときには(ステップS17のYES)、電圧値取得処理の実行を終了する。
そして、記憶処理部15は、電圧値取得処理部14により、トレイを移動させる前に取得した電圧値V0と、分割時間が経過するごとに取得された電圧値V1〜V10とを、記憶部40に電圧値較正用テーブル40Bとして、各位置に対応させて記憶させる(ステップS18)。ここにおいて、記憶処理部15は、電圧値較正用テーブル40Bにおいて、位置P0〜P10に対応する電圧値の順が、電圧値取得処理部14により取得された順となるように、電圧値V0〜V10を記憶させる。
そして、記憶処理部15は、電圧値較正用テーブル40Bに各基準位置に対応して記憶されている電圧値V0〜V10を、電圧値範囲−残量対応テーブル40Aにおける新たな電圧値V0〜V10として記憶させる(ステップS19)。
また、用紙残量検出装置1は、第2トレイ335についても第1トレイ334と同様に、図9に示すステップS10〜S19の処理を実行することにより、第2トレイ335に対応する、電圧値範囲−残量対応テーブル40A及び電圧値較正用テーブル40Bを生成する。
本実施形態に係る用紙残量検出装置1は、以上のように、ストッカ33が筐体2内部にセットされたとき、電圧値較正処理の実行を指示するための操作ボタン(不図示)がユーザにより操作されたとき、予め設定された時間が到来したとき、などにおいて、経年劣化や測距センサの汚れなどにより生じた測定誤差を較正することができる。その結果、用紙残量の検出精度が低下するおそれを低減することができる。
尚、本発明においては、全体時間取得部12及び分割時間取得部13は必ずしも配置されている必要はなく、用紙残量検出装置1は、これらを用いたステップS10〜S14に示す分割時間取得処理を実行しなくてもよい。
例えば、用紙残量検出装置1は、予め測定された分割時間を記憶部40に記憶させておき、この分割時間をステップS16に示す電圧値取得処理に用いてもよい。
次に、図10を用いて、測距センサS1及びS2の出力特性を説明する。
一般に、測距センサS1及びS2は、図10に示すように、測距センサとトレー上面との間の距離が0から一定の距離(図10では2cm)にまで大きくなる間は、測距センサからの電圧信号の電圧値は急激に上昇する。そして、測距センサとトレー上面との間の距離が当該一定の距離(図10では2cm)を超えると、測距センサとトレー正面との距離が大きくなるにつれて、測距センサからの電圧信号の電圧値が徐々に下降する。
このように、測距センサからの電圧信号の電圧値が下降するにつれて、当該電圧信号のS/N比が低下する。その場合、当該電圧信号に混入したノイズの影響を受けやすくなり、測距センサによる距離の測定精度が低下する。
図11に示す用紙残量検出装置1Aは、ノイズにより測距センサによる距離の測定精度が低下しても、用紙残量の検出精度が低下することを抑制することができる装置である。
図11は、本実施形態に係る用紙残量検出装置の機能モジュールの他の例を示した図である。図12は、電圧値較正処理の概要の他の例を示したフローチャートである。図13は、平均値テーブル40Cの一例を示した説明図である。尚、図11に示す用紙残量検出装置1Aは、電圧値取得処理部14の処理と、記憶処理部15の処理と、平均値取得部16を備える点と、平均値テーブル40Cを備える点とが、図5に示す用紙残量検出装置1とは異なる。
その他の構成については、図5に示す用紙残量検出装置1と同じであるため、同一の符号を付し、説明を省略する。
また、図13に示す平均値テーブル40Cは、電圧値取得処理部14による電圧値取得処理が3回繰り返して行われた結果得られたものである。
図11に示す用紙残量検出装置1Aにおいて、電圧値取得処理部14は、第1トレイ334及び第2トレイ335をストッカ33の最下位置P0から基準位置P10に向けて移動させ、当該移動の過程で分割時間(T/10)が経過するごとに測距センサS1及びS2から出力された電圧信号の電圧値を、各基準位置に対応付けて取得する処理を、複数回数行う。
平均値取得部16は、電圧値取得処理部14により取得された複数の電圧値を基準位置ごとに取得する。
記憶処理部15は、平均値取得部16により取得された各平均値を、各基準位置に対応するレベル値として用いて電圧値範囲データを設定して、当該電圧値範囲データを記憶部40に記憶させる。
用紙残量検出装置1Aは、電圧値較正処理を行うに際し、まず、図12に示すように、図9に示すステップS10〜S14の処理を行う。
その後、電圧値取得処理部14は、まず、第1トレイ334が最下位置P0に位置するときに測距センサS1により得られる電圧値を取得して、平均値テーブル40Cに、最下位置P0に対応する電圧値V0(1)として記憶させる(ステップS20)。
そして、電圧値取得処理部14は、第1トレイ334を最下位置P0から最上部の基準位置P10に向けて移動させ(ステップS21)、当該移動の過程で分割時間が経過するごとに測距センサS1により得られる電圧値V1(1)〜V10(1)を取得して、取得した各電圧値を各基準位置に対応する電圧値として、平均値テーブル40Cに記憶させる(以上、ステップS22)。
ここにおいて、電圧値取得処理部14は、平均値テーブル40Cにおいて、位置P0〜P10に対応する電圧値の順が、当該電圧値取得処理部14により取得された順となるように、電圧値V0〜V10を記憶させる。
そして、第1トレイ334が最上部の基準位置P10に到達したときには(ステップS23のYES)、図示しないカウンタがカウント値を1だけ加算する(ステップS24)。
電圧値取得処理部14は、カウンタによるカウント値が予め設定された値N(但し、Nは2以上の整数)となるまでの間、ステップS20〜S24の処理を繰り返す。そして、カウント値がNとなったときには(ステップS25のYES)、平均値取得部16は、図13の平均値欄に記載されているように、最下位置P0に対応して記憶されている各電圧値の平均値を取得するとともに、基準位置毎に複数の電圧値の平均値を取得して、取得した各平均値を各位置に対応付けて平均値テーブル40Cに記憶させる(ステップS26)。
そして、記憶処理部15は、各位置に対応付けて平均値テーブル40Cに記憶されている各平均値を用いて、電圧値範囲データを設定して、当該電圧値範囲データを電圧値範囲−残量対応テーブル40Aに記憶させる(ステップS27)。
例えば、記憶処理部15は、平均値テーブル40Cにおいて、基準位置P9に対応する平均値[{V9(1)+V9(2)+V9(3)}/3]を、電圧値V9の代わりに用いて、電圧値範囲データを設定する。
これにより、残量検出部11は、平均値取得部16により取得された平均値を用いて設定された電圧値範囲データを用いて用紙の残量を検出することができるため、測定信号にノイズが混入した場合でも、用紙残量の検出精度が低下するおそれを低減することができる。
尚、図12では、第1トレイ334を移動させながら測距センサS1からの電圧信号を受け付けて電圧値を較正する処理を例示しているが、残量検出部11は、第2トレイ335を移動させながら測距センサS2からの電圧信号を受け付けて電圧値を較正する処理を行う際にも同様の処理を行う。