JP5383313B2 - 窒化物半導体発光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化物半導体発光装置に関し、特に発光端面に保護膜を設けた窒化物半導体発光装置に関する。
半導体発光装置のうち、半導体レーザ装置は、コンパクトディスク(CD)、デジタル汎用ディスク(DVD)及びブルーレイディスク(Blu−ray Disc)(登録商標)等に代表される光ディスクメディアの再生及び記録用の光源として広く使用されている。特に、高速度の情報記録動作が求められており、短時間で多くの情報を記録するために半導体レーザ装置の高出力化が必要不可欠となっている。
しかしながら、一般に、半導体レーザ装置は、光出力が増大すると、動作電流が徐々に増加する劣化現象や、光学破壊と呼ばれる現象により半導体レーザ装置が発振しなくなる現象が知られている。従って、高出力化を実現するために、このような半導体レーザ装置の劣化を抑制又は防止する研究開発が活発になされている。特に光学破壊を伴う頓死は、レーザ共振器の光出射面であるフロント端面で生じるため、共振器端面を覆う保護膜の堅牢化及び安定化等の取り組みが行われている。一般に、半導体レーザ装置の共振器端面は保護膜により覆われており、該共振器端面における反射率の制御、異物の付着防止及び共振器端面の酸化防止を果たしている。
図16に、特許文献1に記載された従来の窒化物半導体レーザ装置の模式的な断面構成を示す。図16に示すように、従来の窒化物半導体レーザ装置は、活性層(発光層)102と、該活性層102を挟むn型半導体層101及びp型半導体層103とからなるレーザ構造体100を有している。p型半導体層103にはp側電極104が形成され、n型半導体層101にはn側電極105が形成されている。
レーザ構造体100における共振器のミラーとして機能するリア端面には、酸化ケイ素(SiO)又は酸化アルミニウム(Al)等の金属酸化物からなる保護膜106が設けられている。また、共振器のフロント端面には、第1の保護膜107として窒化アルミニウム(AlN)が用いられ、第1の保護膜107の外側には第2の保護膜108として酸化アルミニウム(Al)が用いられている。
ここで、高出力化における半導体レーザ装置の劣化原因の1つは、レーザ構造体100の発熱と光吸収とによって生じる第1の保護膜107等と半導体の端面との固相反応や、各保護膜中の残留酸素又はパッケージ中の酸素がレーザ発振に伴って保護膜中を拡散して共振器端面を酸化する等の、共振器端面の界面反応が原因であると考えられている。
また、レーザ発振時の発熱によって、レーザ構造体100から各保護膜が剥がれたり、レーザ構造体100にクラック等が生じたりして物理的な破壊が生じる。図16に示す従来の第1の保護膜107であるAlNは結晶性薄膜であるため、堅牢であり熱伝導性も良く、端面コート膜として非常に優れた材料である。その上、AlNは窒化物半導体と同様に窒化物であるため、レーザ構造体100との固相反応も抑制される。
しかしながら、AlN膜は膜応力が大きく、レーザ発振動作によってクラックの発生等が生じやすい。また、AlNには波長が400nmの近辺に欠陥等に起因する光吸収帯が存在することが知られており、レーザ発振時の光吸収により、発熱及び酸素の拡散を引き起こすと考えられている。
そこで、特許文献2には、膜応力を小さくするAlN膜の構成と成膜方法とが記載されている。特許文献2においては、互いに異なる結晶配向性を持つAlN膜を積層することによって膜応力を緩和し、発熱によるクラック及び膜剥がれを抑制している。
また、特許文献3には、酸素の拡散を抑制するために、希土類元素を添加したAlNを保護膜として用いる構成が記載されている。希土類をAlNに添加することにより、希土類元素が酸素と結合して、酸素の拡散を抑制することが可能となる。このような希土類元素を添加したAlN膜を用いることにより、通常のAlN膜を用いる場合と比べて共振器端面の酸化及び膜剥がれを防ぎ、光学破壊や端面の劣化を抑制して、長時間のレーザ動作が可能となる。
特開2007−318088号公報 特開2008−182208号公報 特開2008−147363号公報
しかしながら、特許文献2に記載されたAlN膜は、膜剥がれやクラックの発生を抑制できるものの、端面の発熱や光吸収によって生じる端面の酸化等による光学破壊が発生するという問題がある。特許文献2においては、互いに結晶配向性が異なるAlN膜を積層しているため、異なる結晶配向性を持つAlN膜同士の間に界面が生じ、光吸収の起源となる。その上、特許文献1のAlN膜は多結晶質であり、グレイン同士の界面において光吸収が生じる。このようなAlN膜による光吸収は、共振器端面の発熱及びAlN膜中の酸素の拡散を引き起こして光学破壊につながるため、半導体レーザ装置の信頼性を低下させる原因となる。
また、特許文献3に開示されている、イットリウム(Y)等の希土類元素を添加したAlN膜においても、共振器端面の劣化や光学破壊が生じるという問題がある。これは、Yの添加によってAlN膜のグレインが微小化してグレイン界面の面積が増大することにより、AlN膜の光吸収が増大するためと考えられる。このように、AlN膜は結晶性膜であることから、熱及び光による劣化は小さいものの、光吸収による発熱及び酸素の拡散が共振器端面の劣化を引き起こすことから、半導体レーザ装置の寿命及びその信頼性を低下させる原因となる。
本発明は、前記従来の問題を解決し、高出力動作時においても光吸収が少なく、光学破壊を起こさない端面保護膜を得られるようにすることを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明は、窒化物半導体発光装置を、端面保護膜にアルミニウムを含む窒化物からなる結晶性膜を用い、該結晶性膜を所定の大きさで且つ結晶配向面における傾斜角度と回転角度とが互いに同一であるドメインの集合体により形成する構成とする。なお、ドメインの定義は後述する。
具体的に、本発明に係る第1の窒化物半導体発光装置は、III族窒化物半導体からなり
、発光端面を有する半導体積層体と、半導体積層体における発光端面を覆うように形成された第1の保護膜とを備え、第1の保護膜は、アルミニウムを含む窒化物からなる結晶性膜であり、結晶性膜は、複数のドメインの集合体からなり、且つ互いに隣接するドメインは結晶配向面における傾斜角度又は回転角度が異なり、単位面積当たりの各ドメインの境界の長さは、7μm−1以下であることを特徴とする。
第1の窒化物半導体発光装置によると、アルミニウムを含む窒化物からなる結晶性を有する第1の保護膜は、単位面積当たりの各ドメインの境界の長さが7μm−1以下であることから、すなわち単一ドメインの面積が大きい。これにより、単位面積当たりのドメイン同士の間の界面の面積が小さくなって、光吸収が小さくなるので、動作中の発熱及び酸素の拡散を抑制することができる。その結果、高出力で且つ長寿命の窒化物半導体発光装置を実現できる。
本発明に係る第2の窒化物半導体発光装置は、III族窒化物半導体からなり、発光端面を有する半導体積層体と、半導体積層体における発光端面を覆うように形成された第1の保護膜とを備え、第1の保護膜は、アルミニウムを含む窒化物からなる結晶性膜であり、結晶性膜は、複数のドメインの集合体からなり、且つ互いに隣接するドメインは結晶配向面における傾斜角度又は回転角度が異なり、複数のドメインのうち発光端面の光出射領域と対向するドメインの面積は、前記光出射領域の面積よりも大きいことを特徴とする。
第2の窒化物半導体発光装置によると、アルミニウムを含む窒化物からなる結晶性を有する第1の保護膜は、結晶配向面における傾斜角度と回転角度とが互いに同一である複数のドメインの集合体からなり、複数のドメインのうち発光端面の光透過領域と対向するドメインの面積は光透過領域の面積よりも大きい。これにより、発光端面から出射される発光光がドメイン同士の界面によって光吸収又は散乱されることがない。従って、動作中の発熱、酸素の拡散及び散乱による光損失をより確実に抑制できるため、高出力で且つ長寿命の窒化物半導体発光装置を実現できる。
第1又は第2の窒化物半導体発光装置において、第1の保護膜は、結晶配向面における傾斜角度及び回転角度が共に2°以内である単一のドメインを有していることが好ましい。
このようにすると、第1の保護膜における単一のドメインが大きくなって、界面の面積が小さくすることができる。
第1又は第2の窒化物半導体発光装置において、第1の保護膜は、半導体積層体の結晶軸配向と同一の結晶軸配向を持つ結晶構造を有していてもよい。
このようにすると、第1の保護膜が半導体積層体に与える膜応力を低減することができるため、第1の保護膜の膜剥がれ及びクラックの発生を防止することが可能となる。
また、第1又は第2の窒化物半導体発光装置において、第1の保護膜は、半導体積層体の結晶軸配向と異なる結晶軸配向を持つ結晶構造を有していてもよい。
このようにすると、第1の保護膜の光吸収係数をより小さくすることができる。
第1又は第2の窒化物半導体発光装置において、半導体積層体の結晶構造は六方晶であり、発光端面はM面であり、第1の保護膜はC軸配向していてもよい。
このようにすると、第1の保護膜による光吸収係数が小さくなる。
第1又は第2の窒化物半導体発光装置は、第1の保護膜を覆うように形成された第2の保護膜をさらに備え、第2の保護膜は、酸素を含む非晶質膜であってもよい。
このようにすると、非晶質の第2の保護膜によって、発光端面の応力が緩和されるため、第1の保護膜の膜剥がれ及びクラックの発生を抑制できる。
本発明に係る窒化物半導体発光装置は、高出力動作時においても光吸収が少なく、光学破壊を起こさない端面保護膜を得られるため、長寿命で且つ高信頼性を実現することができる。
(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体発光装置の製造方法を示す工程順の模式的な断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体発光装置を示す模式的な断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体発光装置をパッケージした状態を示す模式的な断面図である。 本発明に係るドメイン境界長の測定方法を示す模式的な斜視図である。 (a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係るAlNからなる第1のコート膜(AlN膜)の電子線後方散乱回折像であり、(a)はc軸配向したAlN膜の回折像であり、(b)はm軸配向したAlN膜の回折像である。 本発明の第1の実施形態に係る第1のコート膜におけるドメイン境界長を測定する領域を示す模式的な斜視図である。 (a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係るAlN膜をそれぞれ異なる条件で成膜した場合の2次元EBSPマップを示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るAlN膜の成膜時の窒素流量とドメイン境界長との関係を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係るAlN膜のさらに好ましい2次元EBSPマップを示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るAlN膜における異なる窒素流量で成膜した消衰係数スペクトルを示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係るAlN膜における異なる窒素流量で成膜した消衰係数スペクトルの波長が405nmの場合を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係るAlN膜の波長が405nmの場合の消衰係数とドメイン境界長との関係を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係るAlN膜を保護膜に用いた窒化物半導体発光装置の光学破壊光出力とドメイン境界長との関係を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体発光装置の出射端面における光強度分布を示す図である。 本発明に係るAlN膜のGaN系半導体に与える歪みと共振器端面からの距離との関係を示すグラフである。 従来の窒化物半導体レーザ装置を示す模式的な断面図である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
第1の実施形態に係る窒化物半導体発光装置を、窒化ガリウム(GaN)系青紫色レーザ装置として、その製造方法と共に説明する。
まず、図1(a)に示すように、例えば有機金属気相堆積(MOCVD)法により、n型GaNからなるn型基板11の上に、複数のIII族窒化物半導体からなる半導体積層体50をエピタキシャル成長する。
具体的には、面方位のc面(=(0001)面)を主面とするn型基板11の主面上に、厚さが約1μmでn型ドーパントであるSiの濃度が1×1018cm−3のn型GaN層12、厚さが約1.5μmでSiの濃度が5×1017cm−3のn型Al0.05Ga0.95Nからなるn型クラッド層13、厚さが約0.1μmでSiの濃度が5×1017cm−3のn型GaNからなるn型光ガイド層14、InGaNからなる多重量子井戸活性層15、厚さが約0.1μmでp型ドーパントであるMgの濃度が1×1019cm−3のp型GaNからなるp型光ガイド層16、厚さが約10nmでMgの濃度が1×1019cm−3のp型Al0.2Ga0.8Nからなるp型電子ブロック層17、p型AlGaNからなるp型超格子クラッド層18及び厚さが約20nmでMgの濃度が1×1020cm−3のp型GaNからなるp型コンタクト層19を順次成長する。
ここで、多重量子井戸活性層15は、厚さが約3nmのアンドープのInGaNからなる井戸層と、厚さが7nmのアンドープのIn0.02Ga0.98Nからなる障壁層とにより構成された三重量子井戸構造を有する。井戸層のIn組成は、発振波長が405nmとなるように調整されている。また、p型超格子クラッド層18は、それぞれMgの濃度が1×1019cm−3で且つ厚さが約2nmの、p型Al0.1Ga0.9Nとp型GaNとからなる超格子構造を有し、合計の膜厚は0.5μmである。
次に、図1(b)に示すように、p型コンタクト層19の上に、SiOからなるマスク層20を形成する。続いて、リソグラフィ法及びエッチング法により、マスク層20をn型基板11の結晶軸に対して<1−100>方向に延びるストライプ状にパターニングする。続いて、ストライプ状にパターニングされたマスク層20を用いて、p型コンタクト層19及びp型超格子クラッド層18に対してドライエッチングを行うことにより、p型コンタクト層19及びp型超格子クラッド層18に、結晶軸の<1−100>方向に延びるストライプ状のリッジ導波路50aを形成する。ここで、p型超格子クラッド層18におけるリッジ導波路50aの側方部分の厚さ(残し膜厚)は約0.1μmとしている。また、リッジ導波路50aの下部の幅は約2μmとし、リッジ導波路50aの上部の幅は約1.4μmとしている。
次に、図2に示すように、マスク層20を除去し、その後、リソグラフィ法及び真空蒸着法等により、リッジ導波路50aを構成するp型コンタクト層19の上に、パラジウム(Pd)からなるP側電極21を形成する。続いて、n型基板11をへき開が容易となるように薄膜化(裏面研磨)する。その後、n型基板11の裏面に、チタン(Ti)からなるN側電極22を形成する。
続いて、半導体積層体50におけるリッジ導波路50aの下方に形成される共振器の長さが約600μm又は約800μmとなるように、n型基板11及び半導体積層体50をへき開する。このへき開により、半導体積層体50には、面方位が(1−100)面からなる端面ミラーが形成される。なお、本願明細書において、結晶軸及び面方位の指数に付した負の符号”−”は該符号に続く一の指数の反転を便宜的に表している。その後、共振器の各端面には、半導体積層体50の端面の劣化を防止すると共に端面の反射率を調整するためのコート膜をそれぞれ形成する。
具体的には、図2に示すように、レーザ光が出射するフロント端面には、第1の保護膜として窒化アルミニウム(AlN)からなる第1コート膜23を形成し、該第1コート膜23の上には、第2の保護膜として酸化アルミニウム(Al)からなり、非晶質の第2コート膜24を形成する。また、フロント端面と対向するリア端面には、酸化アルミニウム(Al)/酸化ジルコニウム(ZrO)とを複数対で積層した多層コート膜25を形成する。但し、リア端面は、所望の反射率を得られる構成であれば、AlON/SiO、Al/SiO又はAlN/Alを複数対で積層した構成としてもよい。ここで、リア端面においても、特にリア端面と接する第1の保護膜にはフロント端面と同様に、AlN膜を用いることが望ましい。AlN膜は堅牢で熱伝導性にも優れており、光出射がないリア端面においても、保護膜として適している。本実施形態においては、フロント端面の反射率を約10%とし、リア端面の反射率は約90%としている。なお、フロント端面及びリア端面の各コート膜の膜厚は、所望の反射率を得られるように適宜設計される。
第1の実施形態に係るAlNからなる第1コート膜23は、電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ法を用いて形成している。ECRスパッタ法の他に、高周波(RF)スパッタ法又はマグネトロンスパッタ法を用いることができる。
ECRスパッタ法は、スパッタイオンが半導体積層体50のへき開端面に直接に照射されないため、イオン照射が引き起こす半導体表面の結晶欠陥の密度を低減できる。このため、半導体レーザ装置における端面コートの成膜法として適している。なお、第1コート膜23を構成するAlNは、スパッタのターゲット材として、AlNからなるターゲット材と窒素(N)ガスとの組み合わせ、又はAlからなるターゲット材と窒素ガスとの組み合わせによる反応性スパッタにより成膜が可能である。本実施形態においては、金属精錬により純度を容易に高めることができるAlからなる金属ターゲット材に、基準ガスとしてアルゴン(Ar)と、反応性ガスとして窒素ガスとを組み合わせて用いている。
第1コート膜23の膜厚は、約6nmに設定している。AlN膜は膜応力が大きいことから、AlN膜を半導体積層体50のへき開端面に50nm以上の厚膜で成膜すると膜剥がれが生じる。また、光吸収による発熱を抑えるには、第1コート膜23中の光の光路長を短くすることが望ましく、このことからも第1コート膜23の膜厚は50nm以下でなければならない。一方、AlN膜を3nm以下の薄膜として形成した場合には、AlN膜を酸素等が透過しやすくなるため、半導体積層体50の端面が酸化される要因となる。また、薄膜はプロセスの制御が困難であり、膜厚にばらつきが生じてしまう。以上から、AlNからなる第1コート膜23の膜厚は3nm以上且つ50nm以下が望ましい。
図3に各コート膜23、24、25を形成した後の、パッケージされた状態の半導体レーザ装置51を示す。図3に示すように、半導体レーザ装置51は、例えば、一の面に複数の電極端子52aが形成され、他の面にレーザ保持部52bが形成された金属からなるステム52のレーザ保持部52bの上に固着されている。ステム52には、半導体レーザ装置51及びレーザ保持部52bを覆うと共に、該半導体レーザ装置51のフロント端面と対向する位置に窓部53aを有する金属からなるキャップ53が固着されている。該窓部53aには、内側からガラス板54が固着されて、ステム52とキャップ53とから構成される空間は密閉される。密閉されたキャップ53の内部は、水分を含まない乾燥空気又はアルゴン等の希ガスからなる気体55が充填されている。
上述したように、第1の実施形態に係るAlNからなる第1コート膜23は、Alからなる金属ターゲット材を用いたECRスパッタ法により成膜されており、その成膜条件における各ガスの流量は、それぞれ室温で、アルゴン(Ar)ガスを30ml/minとし、窒素(N)ガスを5.2ml/minとしている。この成膜条件で得られる第1コート膜23は、同一配向で構成されるドメインのサイズが相対的に大きくなるため、物質の光吸収の指数である消衰係数(光吸収係数)が小さい。従って、レーザ動作中の光吸収による発熱、酸素の拡散及び端面の酸化が抑制され、その結果、共振器端面の劣化を防ぐことができる。
以下、第1コート膜23を構成するAlN膜の結晶ドメインについて詳細に述べる。ここで、ドメインとは、同一の結晶構造及び同一の配向(結晶軸配向)を有し、その配向面及び配向角が同一であるグレインの集合体と定義する。本願発明者らは、ECRスパッタの成膜条件によってAlNのドメインサイズが大きく影響を受けることを突き止めている。本実施形態に係る成膜条件は、ドメインサイズが大きいAlN膜を得られるものの、ドメインサイズが大きいAlN膜の成膜条件はこれに限られず、本実施形態は一例である。
本願発明者らは、端面保護膜におけるドメインサイズと光学破壊出力との関係に相関があることを見出した。ここで、ドメインサイズの指標となるパラメータとして、ドメイン境界長を定義する。ドメイン境界長とは、単位面積当たりに存在するドメイン界面の総距離を表すパラメータである。ここで、単一ドメインとは、同一配向を有する結晶体において、配向面の傾斜角度及び回転角度が同一である連続した領域であると定義する。配向面の傾斜角度及び回転角度のうち、いずれか一方でも同一でなければ異なるドメインとし、従って、境界が存在することになる。このドメイン同士の間の境界の単位面積(μm−2)当たりの総距離(μm)がドメイン境界長に相当する。ドメイン境界長の値が大きいということは、ドメイン面積が小さいことを意味しており、言い換えると薄膜が多結晶であり、配向のばらつきが大きいということになる。一方、ドメイン境界長の値が小さいということは、ドメインサイズが大きいことを意味しており、単結晶性が高い薄膜であるといえる。ここで、単一ドメインは、単一グレインとは完全に同義ではない。しかし、ドメイン境界長の値が大きいということはそれだけ多くのドメインが存在することから、成膜における結晶の不均一性が大きいことに相当する。すなわち、ドメイン境界長が長いということは、ドメインサイズが小さく、グレインサイズも小さいことを意味している。
ここで、ドメインが同一でないことの条件、すなわちドメイン境界を区別するための境界条件が必要となる。本実施形態においては、配向面の回転角度及び傾斜角度が2°以内の場合を同一配向ドメインと定義している。ドメイン境界を区別するための境界条件の設定角度が小さければ小さいほど、単一ドメインと単一グレインとは等しくなる。しかしながら、設定角度が小さ過ぎると、実際には連続な単結晶膜であったとしても、少しの歪みやラフネス等によって、異なるドメインと評価されてしまうため、測定誤差の原因となる。従って、設定角度は、ドメインの結晶配向を測定する手法の測定誤差よりも大きくなるような条件が望ましい。逆に、設定角度が大き過ぎると、類似するドメインの区別ができず、ドメイン境界長の指標の正確性が損なわれる。よって、設定角度は、配向性の測定における空間分解能及びばらつきに応じた値とする必要がある。
なお、第1の実施形態においては、ドメイン境界を区別する設定角度を2°としたが、上述した通りこれには限られず、0.5°以上且つ5°未満程度であればよい。
以下に、本実施形態に係る第1コート膜23を構成するAlN膜におけるドメイン境界長の測定方法の詳細を説明する。AlN膜における結晶配向性は、後方電子線散乱回折法(Electron Back Scattering Diffraction Pattern:EBSD又はEBSP)によって測定できる。EBSP法とは、電子線ビームを試料表面に収束して照射し、試料表面により散乱される回折電子線像を撮像することにより、試料(薄膜)の結晶配向性を評価する手法である。
図4にEBSP法による測定方法の概略を示す。図4に示すように、レーザ構造が形成されたウェハを共振器端面が露出するように1次へき開した状態の、いわゆるレーザバー61のフロント端面に、AlNからなる第1コート膜23が成膜されている。ここでは、第1コート膜23の膜厚を20nmとしている。測定用に入射された電子線は結晶の格子面で散乱され、散乱された電子線が互いに干渉して回折線62として強く検出される。
図5(a)及び図5(b)に、互いに異なる配向軸を示す第1コート(AlN)膜23のEBSP回折像を示す。図5(a)はc軸配向したAlNと対応しており、図5(b)はm軸配向したAlNと対応する測定結果をそれぞれ表している。このように、同一の結晶構造であっても配向性の相違から回折パターンが異なるため、結晶の配向性を評価することができる。ここで、電子線は10keV〜30keV程度に加速して照射しており、電子線の収束は20nm〜50nm程度である。この収束された電子線を所望の面積内で走査して、2次元の結晶配向マップを得る。散乱電子線(回折線62)の回折像はCCDカメラによって撮像される。
本実施形態に係るEBSP測定法では、電子線の走査範囲を1μm×1μmとし、電子線の走査間隔を10nmとしている。また、電子線の加速エネルギーは20keVとしている。図4において、入射電子線の入射角度は、試料であるレーザバー61に対して70°傾斜させて測定している。
図6に第1の実施形態に係る半導体レーザ装置に、第1のコート膜23を成膜した状態を模式的に示す。本実施形態に係るEBSPの測定領域は、第1のコート膜23におけるリッジ導波路50aの下側の光出射領域23aである。第1のコート膜23と接触する半導体積層体50において、端面劣化及び端面の光学破壊が起こる領域は光出射領域23aとその周辺部分に限られている。このため、第1のコート膜23の結晶配向性の評価についても、光出射領域23aを中心に行えばよい。但し、第1のコート膜23の結晶配向性の評価のみであれば、光出射領域23aに限る必要はなく、半導体積層体50の端面上であればどこでも構わない。
図7(a)〜図7(d)に、4通りの異なる成膜条件で成膜したAlNからなる第1コート膜23の2次元EBSPマップを示す。ここでは、結晶配向面の傾斜角度又は回転角度が2°以上異なるドメイン境界を実線で示している。前述したように、測定領域は1辺が1μmの正方形領域であり、各マップの下にはそれぞれのドメイン境界長を示している。
ECRスパッタの成膜条件として、基準ガスにはいずれもアルゴン(Ar)を用いており、Arガスの流量は20ml/min(標準状態)としている。一方、反応性ガスとしての窒素(N)ガスの流量は、図7(a)においては、3.5ml/min(標準状態)とし、図7(b)においては、5.5ml/min(標準状態)とし、図7(c)においては、10ml/min(標準状態)とし、図7(d)においては、15ml/min(標準状態)としている。なお、ここでml/min(標準状態)とは、気体の流量を表す単位であり、1ml/min(標準状態)は、ある気体について0℃、1気圧の気体(標準状態の気体)換算で1分間当たり1ml流れることを表す。
図7(a)に示す2次元EBSPマップは、窒素の分圧が最も低い成膜条件であり、単位面積(1μm)当たりのドメイン境界長は6.99μm/μm(=μm−1)と小さい値であるのに対して、図7(d)に示す窒素の分圧が最も高い成膜条件で成膜したAlN膜はグレインが極めて小さく、そのドメイン境界長は138.6μm−1と大きな値を示す。このように、窒素の流量が増加するのに伴ってドメイン境界長が増大する傾向がある。すなわち、窒素流量の増加に伴って、グレインサイズが小さくなる傾向があることが分かる。
図8にArガスの流量を20ml/min(標準状態)とした場合の窒素の流量とドメイン境界長との関係を示す。上述したように、窒素流量の増加に伴ってドメイン境界長が増大している。
本願出願人は、ドメイン境界長がより一層小さくなるような成膜条件を種々検討し、その結果、Arガスの流量を30ml/min(標準状態)とし、窒素ガスの流量を5.2ml(標準状態)とすれば、ドメイン境界長が1μm−1以下の、非常に単結晶性が高いAlN膜を得られることを見出した。
図9はArガスの流量を30ml/min(標準状態)とし、窒素ガスの流量を5.2ml(標準状態)とした場合に得られたAlN膜の2次元EBSPマップである。この場合のドメイン境界長は75nmと非常に小さく、極めて単結晶性が高い膜であることが分かる。しかしながら、このような単結晶性が高いAlN膜を得られる条件は上記に限られない。
次に、図7(a)〜図7(d)に示したAlN膜の消衰係数(光吸収係数)を調べた結果を示す。図10は、AlN膜の透過分光スペクトルから得られた消衰係数スペクトルである。また、図11はブルーレイ(登録商標)で用いられる波長が405nmの光における消衰係数と窒素流量との関係を示している。
図10に示すように、窒素の流量が増加するに従って消衰係数が増大することが分かる。また、図11に示すように、波長が405nmの光における消衰係数も窒素流量が増加するに従って大きくなることが分かる。すなわち、図8と、図10及び図11とを比較すると、ドメイン境界長の値が大きくなると消衰係数も大きくなる傾向があることが分かる。
図12にドメイン境界長と波長が405nmの光における消衰係数との関係を示す。ドメイン境界長が7μm−1よりも大きくなると、消衰係数が急激に増大することが分かる。すなわち、グレイン境界長が長く、従って微小ドメインが多くなるほど、光吸収が大きくなることが分かる。一般に、AlN膜の可視光領域における光吸収の起源は、結晶内部の欠陥、粒界及びドメイン同士の界面由来の中間準位であると考えられている。特に粒界及びドメイン同士の界面には、多数の欠陥及びダングリングボンドが存在し、可視光領域における光吸収の主要因になっていると考えられている。このため、図12に示すように、ドメイン境界長の値が大きくなると、光吸収が大きくなる傾向が現れると考えられる。
次に、ドメイン境界長と半導体レーザ装置の信頼性の関係について説明する。
図13は光出力が160mWで一定の連続動作信頼性試験において、70℃の温度下で600時間動作させた後の光学破壊光出力(COD)レベルとドメイン境界長との関係を表している。図13からは、ドメイン境界長が短くなるのに従って光学破壊光出力の値が大きくなり、高い信頼性を示すことが分かる。このようにドメイン境界長が短く、すなわちドメインサイズが大きいほど信頼性が高くなることが分かる。特にドメイン境界長が46μm−1から7μm−1の領域にかけて、光学破壊光出力の値が急激に上昇しているのが分かる。
上述したように、ドメイン境界長が長くなるとドメインサイズが小さくなり、光吸収が増大する。これはドメイン境界に存在する欠陥又はダングリングボンドに由来する中間準位の影響であると考えられる。一方、電極から注入されたキャリアもこのような中間準位が存在すると、非発光再結合が増加して発光効率が減少する。中間準位による光吸収も中間準位を介した非発光再結合も共に発熱を伴った過程であることから、共振器端面の温度上昇につながって端面破壊を引き起こすと考えられる。
従って、図12に示す関係から、ドメイン境界長が46μm−1以下であれば、消衰係数は0.01以下と非常に小さくなる。すなわち、端面保護膜として求められるAlN膜のドメイン境界長は46μm−1以下である必要がある。
さらに、図13に示す関係から、光学破壊光出力はドメイン境界長が7μm−1以下であれば高いレベルが維持されるため、ドメイン境界長は7μm−1以下が望ましい。ドメイン境界長はAlN膜におけるドメインサイズの平均的な指標ではあるものの、実際の端面破壊は光が出射する光透過領域において起こる。このため、光透過領域にドメイン境界が存在すれば光吸収が起こることになる。ドメイン境界長が7μm−1以下で高い信頼性を維持できるのは、ドメイン同士の界面の密度が減少してレーザ光の透過領域に存在するドメイン界面が少なくなるためであると考えられる。
ここで、図14に示すように、第1の実施形態に係る半導体レーザ装置の第1のコート膜における光の透過領域の面積を測定すると0.4μm程度である。面積が1μmの単位面積に0.4μmのドメインが2.5個存在する場合、そのドメイン境界長はどのような値になるかを以下に計算する。
図14から、レーザ光は水平方向の半値全幅が1.0μm程度であり、垂直方向の半値全幅が0.4μmである。従って、面積が1μmの単位面積中に長辺が1.0μmで、短辺が0.4μmの長方形が2.5個入ることになる。このときのドメイン境界長の最大値は5.0μm−1となる。ドメインサイズがレーザ光のビームサイズよりも大きくなるためには、ドメイン境界長が5μm−1以下でなければならない。先述のように、ドメインサイズは7μm−1以下であれば、高い信頼性を持つレーザ装置を得られるが、さらに高出力なレーザ装置においては、ドメインサイズはさらに大きい、すなわち単結晶性が高いAlN膜が求められる。このとき、ドメインサイズはレーザ光のビームサイズよりも大きくなればよく、本実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置においては、ドメイン境界長は5.0μm−1が望ましい。言い換えると、ドメインサイズは0.4μmよりも大きいAlN膜が望ましい。
なお、第1の実施形態に係るAlN膜のドメイン境界長は、図9に示すように75nmであり、図12に示すようにその消衰係数も0.002以下と透明で単結晶性が高い膜である。これにより、図13に示すように、連続動作光出力が160mWで600時間動作させた後の光学破壊光出力は1200mWと非常に高いレベルを維持している。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
GaN系半導体レーザ装置は、一般に、主面が面方位のc面である六方晶の結晶成長用基板にエピタキシャル成長して作製される。この場合、レーザ構造の共振器端面はへき開によって形成されるため、そのへき開面の面方位はm面となる。
m面を持つ共振器端面の上にAlN膜を成膜する場合は、成膜条件によって共振器端面の結晶構造と同一配向であるm軸成長と、共振器端面の結晶構造とは異なる配向であるc軸成長とを選択することが可能である。
窒化アルミニウム(AlN)は六方晶が最安定構造であり、c軸成長による成長速度が最も大きいことから、アモルファス状態の下地層又はシリコン(Si)からなる基板上には、c軸成長することが知られている。しかしながら、本願発明者らは、下地層が六方晶であり且つm面の場合に、成膜時のイオンエネルギーを増大すると、m軸成長させることが可能であることを突き止めた。
AlNからなる保護膜において、結晶配向軸をc軸とするかm軸とするかは選択可能である。従って、第2の実施形態においては、ドメイン境界長の値が小さいc軸成長又はm軸成長したAlN膜の成膜例を説明する。
窒化物半導体レーザ装置における信頼性は、保護膜を構成する結晶のドメイン境界長と関係があることは第1の実施形態で説明した。このとき、保護膜(第1コート膜23)の配向性がm軸であるかc軸であるかに拘わらず、ドメイン境界長の値が大きいほど消衰係数も大きくなり、光学破壊光出力は動作時間と共に小さくなる。しかしながら、m軸配向の方がc軸配向の場合と比べて半導体積層体50に与えるストレスが小さくなる傾向があることを、以下に示す歪み解析の結果から得ている。
図15にEBSP法によりm軸配向のAlN膜とc軸配向のAlN膜とに対して行った歪み解析の解析結果を示す。図15は、GaN結晶のm面上にm軸配向したAlN膜とc軸配向したAlN膜とをECRスパッタ法によりそれぞれ成膜した場合の該GaN結晶に及ぼすm軸方向への歪みの影響を表している。ここで、実線で示すグラフがm軸配向のAlN膜を表し、破線で示すグラフがc軸配向のAlN膜を表している。ここで、m軸配向のAlN膜を成膜する際のArガスの流量は8ml/min(標準状態)であり、Nガスの流量は5.5ml/min(標準状態)である。この条件は本願発明者が見出したm軸配向のAlN膜の成膜条件の一例であって、m軸配向のAlN膜の成膜条件はこれに限られない。また、c軸配向のAlN膜を成膜する際のArガスの流量は20ml/min(標準状態)であり、Nガスの流量は5.5ml/min(標準状態)である。
図15からは、m軸配向したAlN膜の方がc軸配向したAlN膜よりも歪みが小さいことが分かる。これは、m軸配向したAlN膜には貫通転移が発生し、ストレスがc軸配向したAlN膜と比べて緩和しているためであると推測される。このことから、m軸配向したAlN膜の方がc軸配向したAlN膜よりもGaN結晶に与える応力の影響が小さいといえる。しかしながら、AlN膜に貫通転移が発生するとドメイン境界長の値が大きくなるため、端面保護膜としてはc軸配向したAlN膜が適している。
その上、貫通転移は膜厚が大きくなると発生しやすくなるため、下層膜としてm軸配向で膜厚が薄い第1のAlN膜を成膜し、次いで第1のAlN膜の上に上層膜としてc軸配向した第2のAlN膜を成膜して、2層からなるAlN膜(第1のコート膜)を形成してもよい。
次に、m軸配向又はc軸配向のAlN膜の成膜方法について説明する。
前述したように、AlN膜はc軸方向の成長速度が速いため、下地に依存しない場合は自発的にc軸配向する。m面を主面とする基板上にAlN膜を成長させる場合は、エピタキシャル成長のように下地の結晶構造を踏襲するため、一定のエネルギーが必要となる。そこで、ECRスパッタ法の場合、AlN膜の成膜をアシストするArイオンのイオンエネルギーを増大する方法が有効である。Arイオンのイオンエネルギーを増大するには、プラズマを発生させるためのRFパワー及びマイクロ波の出力を増大させればよい。
第1の実施形態においては、RFパワー及びマイクロ波出力を500Wとして成膜し、c軸配向のAlN膜を得ている。そこで、RFパワーを600Wに設定することにより、m軸配向のAlN膜を得ることがきる。
また、m軸配向のAlN膜を得るには、成膜中のチャンバ内の圧力を下げることも有効である。本願発明者らは、上記のように、イオンの加速エネルギーが大きい方がAlN膜のm軸成長を促すことを明らかにした。例えば、第1の実施形態においては、Arガスの流量を20ml/min(標準状態)又は30ml/min(標準状態)で成膜している。そこで、第2の実施形態においては、Arガスの流量を8〜10ml/min(標準状態)に流量を下げることによりチャンバ内全体の圧力を低下し、よりイオンエネルギーが大きいArイオンを生成する。このArイオンのアシストにより、m軸配向したAlN膜を得ることができる。
このように、成膜条件によってAlN膜の配向性を制御することが可能となり、より単結晶性が高いAlN膜を得られることから、高い信頼性を有する窒化物半導体レーザ装置を実現できる。
なお、第1及び第2の各実施形態においては、III族窒化物、すなわちGaN系半導体を用いた半導体レーザ装置を用いて説明したが、本発明はIII族窒化物半導体を用いた発光ダイオード素子の信頼性の向上にも有効である。発光ダイオード素子においても、素子の発光端面での窒化物半導体の酸化と窒素の外部拡散が動作中に生じるため、発光端面での電流リークが増大して、発光効率の低下を招くからである。
また、本願発明は、III族窒化物半導体に限られず、GaAs又はInPを用いた半導体発光装置に対しても有効である。これらの半導体発光装置においても、動作中における発光端面での半導体の酸化及び半導体構成原子の外部拡散が端面劣化の要因であるからである。
本発明に係る窒化物半導体発光装置は、高出力動作時においても光吸収が少なく、光学破壊を起こさない端面保護膜を有しており、長寿命で且つ高信頼性の窒化物半導体発光装置等に有用である。
11 n型基板
12 n型GaN層
13 n型クラッド層
14 n型光ガイド層
15 多重量子井戸活性層
16 p型光ガイド層
17 p型電子ブロック層
18 p型超格子クラッド層
19 p型コンタクト層
20 マスク層
21 P側電極
22 N側電極
23 第1コート膜
23a 光出射領域
24 第2コート膜
25 多層コート膜
50 半導体積層体
51 半導体レーザ装置
50a リッジ導波路
52 ステム
52a 電極端子
52b レーザ保持部
53 キャップ
53a 窓部
54 ガラス板
55 気体
61 レーザバー
62 回折線

Claims (7)

  1. III族窒化物半導体からなり、発光端面を有する半導体積層体と、
    前記半導体積層体における前記発光端面を覆うように形成された第1の保護膜とを備え、
    前記第1の保護膜は、アルミニウムを含む窒化物からなる結晶性膜であり、
    前記結晶性膜は、複数のドメインの集合体からなり、且つ互いに隣接するドメインは結晶配向面における傾斜角度又は回転角度が異なり、
    単位面積当たりの前記ドメインの境界の長さは、7μm−1以下であることを特徴とする窒化物半導体発光装置。
  2. III族窒化物半導体からなり、発光端面を有する半導体積層体と、
    前記半導体積層体における前記発光端面を覆うように形成された第1の保護膜とを備え、
    前記第1の保護膜は、アルミニウムを含む窒化物からなる結晶性膜であり、
    前記結晶性膜は、複数のドメインの集合体からなり、且つ互いに隣接するドメインは結晶配向面における傾斜角度又は回転角度が異なり、
    前記複数のドメインのうち前記発光端面の光出射領域と対向するドメインの面積は、前記光出射領域の面積よりも大きいことを特徴とする窒化物半導体発光装置。
  3. 前記第1の保護膜は、前記結晶配向面における傾斜角度及び回転角度が共に2°以内である単一のドメインを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化物半導体発光装置。
  4. 前記第1の保護膜は、前記半導体積層体の結晶軸配向と同一の結晶軸配向を持つ結晶構造を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化物半導体発光装置。
  5. 前記第1の保護膜は、前記半導体積層体の結晶軸配向と異なる結晶軸配向を持つ結晶構造を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光装置。
  6. 前記半導体積層体の結晶構造は六方晶であり、
    前記発光端面はm面であり、
    前記第1の保護膜はc軸配向していることを特徴とする請求項1〜3及び5のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光装置。
  7. 前記第1の保護膜を覆うように形成された第2の保護膜をさらに備え、
    前記第2の保護膜は、酸素を含む非晶質膜であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光装置。
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