以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態の光学ユニットを示している。本実施形態の光学ユニット101aは、レーザ116、ビームエキスパンダ117、λ/2板118、偏光ビームスプリッタ119、ミラー120、121、123、127、129、アクティブ波長板122、128、シャッタ124、対物レンズ126、132、凸レンズ133、及び、光検出器134を有する。記録媒体103は、光の偏光状態を記録可能な記録層を有している。
レーザ116は、光源に相当する。レーザ116には、回折格子を外部共振器として用いた単一モード半導体レーザを用いることができる。レーザ116から出射した光の波長は405nmである。ビームエキスパンダ117は、入射光のビーム径を拡大する。偏光ビームスプリッタ119は、入射光のうちのP偏光成分をほぼ100%透過させ、S偏光成分をほぼ100%反射する。ここで、偏光ビームスプリッタ119は、光分割手段に相当する。
アクティブ波長板122、128は、入射光に対してλ板として働くか、λ/2板として働くかを切り替え可能である。ここで、アクティブ波長板122、128は、偏光状態切替手段に相当する。シャッタ124は、機械的に開閉可能であり、入射光を遮断するか遮断しないかを切り替え可能である。ここで、シャッタ124は、光照射状態切替手段に相当する。
アクティブ波長板122、128は、記録媒体103への情報の記録時には、記録データに応じて、入射光に対してλ板として働くか、λ/2板として働くかが制御される。また、アクティブ波長板128は、記録媒体103からの情報の再生時には、入射光に対してλ板として働くように制御される。シャッタ124は、記録媒体103への情報の記録時には開状態に制御され、記録媒体103からの情報の再生時には閉状態に制御される。
対物レンズ126、132は、入射光を、記録媒体103の記録層内に集光する。ここで、対物レンズ126、132は、集光手段に相当する。光検出器134は、受光部へ入射した光の量に応じた電気信号を出力する。凸レンズ133は、入射光を、光検出器134の受光部上に集光する。
レーザ116から出射した光は、ビームエキスパンダ117を透過してビーム径が拡大され、λ/2板118を透過して、偏光方向が光軸に垂直な面内で紙面に対して45°の直線偏光となる。この光は、約50%が偏光ビームスプリッタ119をP偏光成分として透過し、約50%が偏光ビームスプリッタ119でS偏光成分として反射される。以下では、偏光ビームスプリッタ119を透過した光を第一の光とし、偏光ビームスプリッタ119で反射された光を第二の光として説明する。なお、偏光ビームスプリッタ119で反射された光を第一の光とし、偏光ビームスプリッタ119を透過した光を第二の光としてもよい。
記録媒体103へのビットデータ“1”の記録時には、第一の光は、ミラー127、129で反射され、アクティブ波長板128へ入射する。アクティブ波長板128は、記録媒体103へビットデータ“1”を記録する際には、λ板として働くように制御される。従って、アクティブ波長板128へ入射した光は、偏光状態が変化せずに、アクティブ波長板128を透過する。この光は、対物レンズ132により、記録媒体103の記録層内に集光される。このときの記録層内における第一の光の集光点での偏光状態は、第一の直線偏光に相当する。
一方、第二の光は、ミラー120、121、123で反射され、シャッタ124を通過し、アクティブ波長板122へ入射する。アクティブ波長板122は、記録媒体103へビットデータ“1”を記録する際には、λ板として働くように制御される。従って、アクティブ波長板122へ入射した光は、偏光状態が変化せずに、アクティブ波長板122を透過する。この光は、対物レンズ126により、記録媒体103の記録層内に集光される。このときの記録層内における第二の光の集光点での偏光状態は、第二の直線偏光に相当する。
記録媒体103へのビットデータ“0”の記録時には、第一の光は、ミラー127、129で反射され、アクティブ波長板128へ入射する。アクティブ波長板128は、記録媒体103へビットデータ“0”を記録する際には、λ/2板として働くように制御される。このとき、アクティブ波長板128へ入射した光は、アクティブ波長板128を透過する際に偏光方向が45°回転する。この光は、対物レンズ132により、記録媒体103の記録層内に集光される。このときの記録層内における第一の光の集光点での偏光状態は、第三の直線偏光に相当する。
一方、第二の光は、ミラー120、121、123で反射され、シャッタ124を通過し、アクティブ波長板122へ入射する。アクティブ波長板122は、記録媒体103へビットデータ“0”を記録する際には、λ/2板として働くように制御される。このとき、アクティブ波長板122へ入射した光は、アクティブ波長板122を透過する際に偏光方向が45°回転する。この光は、対物レンズ126により、記録媒体103の記録層内に集光される。このときの記録層内における第二の光の集光点での偏光状態は、第四の直線偏光に相当する。
記録媒体103からの情報の再生時には、第一の光は、ミラー127、129で反射され、アクティブ波長板128へ入射する。アクティブ波長板128へ入射した光は、偏光状態が変化せずに、アクティブ波長板128を透過する。この光は、対物レンズ132により、記録媒体103の記録層内に集光される。なお、第二の光は、シャッタ124で遮断され、記録媒体103へは向かわない。
集光点にビットデータ“1”が記録されている場合、記録媒体103の記録層内に集光された光は、一部が集光点で往路と偏光方向が直交する直線偏光として反射され、対物レンズ132を逆向きに通り、アクティブ波長板128を偏光状態が変化せずに透過する。この透過光は、ミラー129、127で反射され、偏光ビームスプリッタ119でほぼ100%反射され、凸レンズ133により、光検出器134の受光部上に集光される。光検出器134の受光部で光が受光される。この受光により、集光点に記録されている情報が、ビットデータ“1”であると判断される。
一方、集光点にビットデータ“0”が記録されている場合、記録媒体103の記録層内に集光された光は、一部が集光点で往路と偏光方向が同一の直線偏光として反射される。この反射光は、偏光ビームスプリッタ119をほぼ100%透過し、光検出器134へ向かわない。光検出器134の受光部で光が受光されないことで、集光点に記録されている情報が、ビットデータ“0”であると判断される。
なお、上記では、記録媒体103からの情報の再生時にアクティブ波長板128をλ板として働かせることとしたが、アクティブ波長板128をλ/2板として働かせてもよい。このとき、集光点にビットデータ“1”が記録されている場合、光検出器134の受光部で光が受光されない。これに対し、集光点にビットデータ“0”が記録されている場合、光検出器134の受光部で光が受光される。
アクティブ波長板122、128には、電気光学結晶を用いることができる。電気光学結晶を用いたアクティブ波長板は、例えば、「光波工学・栖原敏明著・コロナ社・第189ページ〜第201ページ」に記載されている。アクティブ波長板122、128は、一軸の屈折率異方性を有する電気光学結晶が、入射光の光軸に平行な面状の一対の電極で挟まれた構成である。電気光学結晶の材料としては、例えばニオブ酸リチウムが用いられる。電気光学結晶の光学軸は、一対の電極のそれぞれの面に垂直である。
一対の電極を用いて、電気光学結晶に電圧を印加すると、電気光学効果によって、電気光学結晶の屈折率が変化する。その際、光学軸に平行な偏光成分と光学軸に垂直な偏光成分とでは、屈折率の変化量が異なる。ここで、入射光の光軸方向の電気光学結晶の長さをT、入射光の波長をλとし、電圧を印加することで、光学軸に平行な偏光成分の屈折率と光学軸に垂直な偏光成分の屈折率との差がΔn0からΔn1に変化するものとする。Δn0T=mλ(mは整数)を満たすようにTを定め、Δn1T=mλ+(λ/2)となる電圧をV1とする。このとき、アクティブ波長板122、128は、電圧を印加しない場合にλ板として働き、電圧V1を印加した場合にλ/2板として働く。入射光の偏光方向を光学軸に対して22.5°とすると、アクティブ波長板122、128は、電圧を印加しない場合は、透過する光の偏光状態を変化させず、電圧V1を印加した場合は、透過する光の偏光方向を45°回転させる。
図2に、記録媒体103を示す。記録媒体103は、記録層138を、基板137、139で挟んだ構成である。記録層138の材料は、アゾベンゼンである。記録層138には、光の偏光状態を記録可能である。ビーム135、136は、それぞれ第一の光、第二の光である。ビーム135は、基板139側から記録層138へ入射する。ビーム136は、基板137側から記録層138へ入射する。ここで、基板139は第一の入射面に相当し、基板137は第二の入射面に相当する。記録媒体103は第一の入射面及び第二の入射面を有する光記録媒体に相当する。
記録媒体103への情報の記録について説明する。図3(a)〜3(d)に、ビットデータ“1”の記録メカニズムを示す。図3(a)〜3(d)において、断面A〜断面Iは、記録光であるビーム135及びビーム136の光軸上の1波長分の長さを8等分したときの各位置における光軸に垂直な断面である。
図3(a)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135のある時刻tでの電界ベクトルを示している。ビーム135の断面Aにおける位相を基準にすると、断面Aにおける位相は0、断面Bにおける位相はπ/4、断面Cにおける位相はπ/2、断面Dにおける位相は3π/4、断面Eにおける位相はπ、断面Fにおける位相は5π/4、断面Gにおける位相は3π/2、断面Hにおける位相は7π/4、断面Iにおける位相は2πとなる。電界ベクトルは、断面Aから断面Iに向かって、0°の方向でその大きさが正弦波状に変化している。
図3(b)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム136の時刻tでの電界ベクトルを示している。ビーム136の断面Iにおける位相を基準にすると、断面Aにおける位相は2π、断面Bにおける位相は7π/4、断面Cにおける位相は3π/2、断面Dにおける位相は5π/4、断面Eにおける位相はπ、断面Fにおける位相は3π/4、断面Gにおける位相はπ/2、断面Hにおける位相はπ/4、断面Iにおける位相は0となる。電界ベクトルは、断面Iから断面Aに向かって、90°の方向でその大きさが正弦波状に変化している。
図3(c)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135とビーム136とを合成した光の偏光分布を示している。断面A〜断面Iのそれぞれにおいて、図3(a)に示すビーム135の電界ベクトル、及び、図3(b)に示すビーム136の電界ベクトルは、時間と共に大きさが変化する。他方、両者を合成した光の電界ベクトルは、断面A、断面C、断面E、断面G、及び、断面Iにおいては時間と共に大きさが変化し、断面B、断面D、断面F、及び、断面Hにおいては時間と共に向きが変化する。ビーム135とビーム136とを合成した光は、断面A、断面E、及び、断面Iにおいては偏光方向が45°の直線偏光であり、断面C及び断面Gにおいては偏光方向が135°の直線偏光であり、断面B及び断面Fにおいては断面Aから見て左回りの円偏光であり、断面D及び断面Hにおいては断面Aから見て右回りの円偏光である。
図3(d)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135とビーム136とを合成した光に対して配向したアゾベンゼン分子の配向分布を示している。アゾベンゼン分子は、直線偏光に対しては偏光方向に垂直な方向に配向し、円偏光に対してはランダムな方向に配向する。このため、その配向方向は、断面A、断面E、及び、断面Iにおいては135°方向であり、断面C及び断面Gにおいては45°方向であり、断面B、断面D、断面F、及び、断面Hにおいてはランダムな方向である。
図4(a)〜4(d)に、ビットデータ“0”の記録メカニズムを示す。図4(a)〜4(d)において、断面A〜断面Iは、ビーム135及びビーム136の光軸上の1波長分の長さを8等分したときの各位置における光軸に垂直な断面である。
図4(a)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135のある時刻tでの電界ベクトルを示している。ビーム135の断面Aにおける位相を基準にすると、断面Aにおける位相は0、断面Bにおける位相はπ/4、断面Cにおける位相はπ/2、断面Dにおける位相は3π/4、断面Eにおける位相はπ、断面Fにおける位相は5π/4、断面Gにおける位相は3π/2、断面Hにおける位相は7π/4、断面Iにおける位相は2πとなる。電界ベクトルは、断面Aから断面Iに向かって、45°の方向でその大きさが正弦波状に変化している。
図4(b)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム136の時刻tでの電界ベクトルを示している。ビーム136の断面Iにおける位相を基準にすると、断面Aにおける位相は2π、断面Bにおける位相は7π/4、断面Cにおける位相は3π/2、断面Dにおける位相は5π/4、断面Eにおける位相はπ、断面Fにおける位相は3π/4、断面Gにおける位相はπ/2、断面Hにおける位相はπ/4、断面Iにおける位相は0となる。電界ベクトルは、断面Iから断面Aに向かって、135°の方向でその大きさが正弦波状に変化している。
図4(c)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135とビーム136とを合成した光の偏光分布を示している。断面A〜断面Iのそれぞれにおいて、図4(a)に示すビーム135の電界ベクトル、及び、図4(b)に示すビーム136の電界ベクトルは、時間と共に大きさが変化する。他方、両者を合成した光の電界ベクトルは、断面A、断面C、断面E、断面G、及び、断面Iにおいては時間と共に大きさが変化し、断面B、断面D、断面F、及び、断面Hにおいては時間と共に向きが変化する。ビーム135とビーム136とを合成した光は、断面A、断面E、及び、断面Iにおいては偏光方向が90°の直線偏光であり、断面C及び断面Gにおいては偏光方向が0°の直線偏光であり、断面B及び断面Fにおいては断面Aから見て右回りの円偏光であり、断面D及び断面Hにおいては断面Aから見て左回りの円偏光である。
図4(d)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135とビーム136とを合成した光に対して配向したアゾベンゼン分子の配向分布を示している。アゾベンゼン分子は、直線偏光に対しては偏光方向に垂直な方向に配向し、円偏光に対してはランダムな方向に配向する。このため、その配向方向は、断面A、断面E、及び、断面Iにおいては0°方向であり、断面C及び断面Gにおいては90°方向であり、断面B、断面D、断面F、及び、断面Hにおいてはランダムな方向である。
記録層138内のビットデータ“1”に対応する部分には、図3(d)に示すアゾベンゼン分子の配向分布が記録され、ビットデータ“0”に対応する部分には、図4(d)に示すアゾベンゼン分子の配向分布が記録される。ビットデータ“1”が記録された部分にビットデータ“1”を記録した場合、アゾベンゼン分子の配向分布は図3(d)に示す状態のままである。ビットデータ“1”が記録された部分にビットデータ“0”を記録すると、アゾベンゼン分子の配向分布は、図3(d)に示す状態から図4(d)に示す状態に変化する。
また、ビットデータ“0”が記録された部分にビットデータ“0”を記録した場合、アゾベンゼン分子の配向分布は図4(d)のままである。ビットデータ“0”が記録された部分にビットデータ“1”を記録すると、アゾベンゼン分子の配向分布は図4(d)に示す状態から図3(d)に示す状態に変化する。すなわち、ビットデータ“1”又は“0”が記録された部分に、ビットデータ“0”又は“1”を記録する際に、記録に先立って、アゾベンゼン分子の配向分布を消去する必要がない。
続いて、記録媒体103からの情報の再生について説明する。図5(a)〜5(e)に、ビットデータ“1”の再生メカニズムを示す。図5(a)〜5(e)において、断面A〜断面Iは、再生光であるビーム135の光軸上の1波長分の長さを8等分したときの各位置における光軸に垂直な断面である。図5(a)は、図3(d)と同じであり、記録層138内の集光点の近傍において、ビットデータ“1”に対応する部分に記録されたアゾベンゼン分子の配向分布を示している。
図5(b)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135のある時刻tでの電界ベクトルを示している。図5(c)は、記録層138内の集光点の近傍において、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の時刻tでの電界ベクトルを示している。図5(b)に示す電界ベクトルを有する光が図5(a)に示す配向分布を有するアゾベンゼン分子と相互作用することにで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で別の光が発生する。ここで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の電界ベクトルは、元の光の電界ベクトルを、アゾベンゼン分子の配向方向に関して線対称に折り返したものである。
図5(d)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135の、時刻tからビーム135が1/8波長分だけ進行した時刻(t+Δt)での電界ベクトルを示している。図5(e)は、記録層138内の集光点の近傍において、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の時刻(t+Δt)での電界ベクトルを示している。図5(d)に示す電界ベクトルを有する光が図5(a)に示す配向分布を有するアゾベンゼン分子と相互作用することで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で別の光が発生する。ここで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の電界ベクトルは、元の光の電界ベクトルを、アゾベンゼン分子の配向方向に関して線対称に折り返したものである。
図5(c)及び5(e)から、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光は、偏光方向が90°の直線偏光としてビーム135と逆向きに進行する光になることがわかる。すなわち、記録層138内のビットデータ“1”に対応する部分に偏光方向が0°の直線偏光のビーム135を集光すると、この光は、一部が偏光方向が90°の直線偏光として反射されることがわかる。
図6(a)〜6(e)に、ビットデータ“0”の再生メカニズムを示す。図6(a)〜6(e)において、断面A〜断面Iはビーム135の光軸上の1波長分の長さを8等分したときの各位置における光軸に垂直な断面である。図6(a)は、図4(d)と同じであり、記録層138内の集光点の近傍において、ビットデータ“0”に対応する部分に記録されたアゾベンゼン分子の配向分布を示している。
図6(b)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135のある時刻tでの電界ベクトルを示している。図6(c)は、記録層138内の集光点の近傍において、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の時刻tでの電界ベクトルを示している。図6(b)に示す電界ベクトルを有する光が図6(a)に示す配向分布を有するアゾベンゼン分子と相互作用することで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で別の光が発生する。ここで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の電界ベクトルは、元の光の電界ベクトルを、アゾベンゼン分子の配向方向に関して線対称に折り返したものである。
図6(d)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135の、時刻tからビーム135が1/8波長分だけ進行した時刻(t+Δt)での電界ベクトルを示している。図6(e)は、記録層138内の集光点の近傍において、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の時刻(t+Δt)での電界ベクトルを示している。図6(d)に示す電界ベクトルを有する光が図6(a)に示す配向分布を有するアゾベンゼン分子と相互作用することで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で別の光が発生する。ここで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の電界ベクトルは、元の光の電界ベクトルを、アゾベンゼン分子の配向方向に関して線対称に折り返したものである。
図6(c)及び6(e)から、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光は、偏光方向が0°の直線偏光としてビーム135と逆向きに進行する光になることがわかる。すなわち、記録層138内のビットデータ“0”に対応する部分に偏光方向が0°の直線偏光のビーム135を集光すると、この光は、一部が偏光方向が0°の直線偏光として反射されることがわかる。
図1に示す光学ユニットを含む光学的情報記録再生装置について説明する。図7は、光学的情報記録再生装置を示している。光学的情報記録再生装置は、光学ユニット101、ポジショナ102、スピンドル104、スピンドル駆動回路105、レーザ駆動回路106、シャッタ駆動回路107、増幅回路108、再生信号処理回路109、復調回路110、アクティブ波長板駆動回路111、記録信号生成回路112、変調回路113、ポジショナ駆動回路114、及び、コントローラ115を有する。光学ユニット101としては、図1に示す光学ユニット101aが用いられる。コントローラ115は、光学的情報記録再生装置の各部の制御を行う部分である。
光学ユニット101は、ポジショナ102に搭載される。記録媒体103は円盤状であり、スピンドル104に搭載される。ポジショナ駆動回路114は、図示しないモータを用いて、光学ユニット101が搭載されているポジショナ102を記録媒体103の半径方向及び記録媒体103の厚さ方向へ移動させる。スピンドル駆動回路105は、図示しないモータを用いて、記録媒体103が搭載されているスピンドル104を回転させる。
レーザ駆動回路106は、レーザ116を駆動する。レーザ駆動回路106は、記録媒体103への情報の記録時、及び、記録媒体103からの情報の再生時に、レーザ116からの出射光のパワーが所定の値となるように、レーザ116に電流を供給する。
シャッタ駆動回路107は、図示しないモータを用いて、シャッタ124を駆動する。シャッタ駆動回路107は、記録媒体103への情報の記録時にはシャッタ124が開状態となり、記録媒体103からの情報の再生時にはシャッタ124が閉状態となるように、シャッタ124を駆動する。ここで、シャッタ駆動回路107は、光照射状態切替手段駆動回路に相当する。
変調回路113は、記録媒体103への情報の記録時に、記録データとして外部から入力された信号を、所定の変調規則に従って変調する。記録信号生成回路112は、変調回路113で変調された信号に基づいて、アクティブ波長板122、128を駆動するための記録信号を生成する。
アクティブ波長板駆動回路111は、記録媒体103への情報の記録時には、記録信号生成回路112で生成された記録信号に基づいて、アクティブ波長板122、128が含む電気光学結晶に電圧を印加しないか、電圧V1を印加する。具体的には、アクティブ波長板駆動回路111は、記録信号がビットデータ“1”である場合は、電気光学結晶に電圧を印加せず、記録信号がビットデータ“0”である場合は、電気光学結晶に電圧V1を印加する。ここで、アクティブ波長板駆動回路111は、偏光状態切替手段駆動回路に相当する。また、アクティブ波長板駆動回路111は、記録媒体103からの情報の再生時には、アクティブ波長板128が含む電気光学結晶に電圧を印加しない。
増幅回路108は、記録媒体103からの情報の再生時に、光検出器134から出力される電気信号を増幅する。再生信号処理回路109は、増幅回路108で増幅された電気信号に基づいて、再生信号の生成、波形等化、2値化を行う。復調回路110は、再生信号処理回路109で2値化された信号を所定の復調規則に従って復調し、再生データとして外部に出力する。
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。図8は、本発明の第2実施形態の光学ユニットを示している。本実施形態の光学ユニット101bは、図1に示す光学ユニット101aに、ビームスプリッタ130、λ/4板125、131を追加し、アクティブ波長板122、128、凸レンズ133、光検出器134の位置を変更したものである。ビームスプリッタ130は、入射光の偏光状態に依存せずに、入射光のうちの約50%を透過させ、約50%を反射する。
レーザ116から出射した光は、ビームエキスパンダ117を透過してビーム径が拡大され、λ/2板118を透過して、偏光方向が光軸に垂直な面内で紙面に対して35°の直線偏光となる。この光は、約67%が偏光ビームスプリッタ119をP偏光成分として透過し、約33%が偏光ビームスプリッタ119でS偏光成分として反射される。以下では、偏光ビームスプリッタ119を透過した光を第一の光とし、偏光ビームスプリッタ119で反射された光を第二の光として説明する。なお、偏光ビームスプリッタ119で反射された光を第一の光とし、偏光ビームスプリッタ119を透過した光を第二の光としてもよい。
記録媒体103へのビットデータ“1”の記録時には、第一の光は、ミラー127で反射され、アクティブ波長板128へ入射する。アクティブ波長板128は、記録媒体103へビットデータ“1”を記録する際には、λ板として働くように制御される。従って、アクティブ波長板128へ入射した光は、偏光状態が変化せずに、アクティブ波長板128を透過する。この光は、ミラー129で反射され、約50%がビームスプリッタ130を透過し、λ/4板131で直線偏光から右回り円偏光に変換され、対物レンズ132により、記録媒体103の記録層内に集光される。
一方、第二の光は、ミラー120、121で反射され、アクティブ波長板122へ入射する。アクティブ波長板122は、記録媒体103へビットデータ“1”を記録する際には、λ板として働くように制御される。従って、アクティブ波長板122へ入射した光は、偏光状態が変化せずに、アクティブ波長板122を透過する。この光は、ミラー123で反射され、シャッタ124を通過し、λ/4板125で直線偏光から右回り円偏光に変換され、対物レンズ126により、記録媒体103の記録層内に集光される。
記録媒体103へのビットデータ“0”の記録時には、第一の光は、ミラー127で反射され、アクティブ波長板128へ入射する。アクティブ波長板128は、記録媒体103へビットデータ“0”を記録する際には、λ/2板として働くように制御される。このとき、アクティブ波長板128へ入射した光は、アクティブ波長板128を透過する際に偏光方向が90°回転する。この光は、ミラー129で反射され、約50%がビームスプリッタ130を透過し、λ/4板131で直線偏光から左回り円偏光に変換され、対物レンズ132により、記録媒体103の記録層内に集光される。
一方、第二の光は、ミラー120、121で反射され、アクティブ波長板122へ入射する。アクティブ波長板122は、記録媒体103へビットデータ“0”を記録する際には、λ/2板として働くように制御される。このとき、アクティブ波長板122へ入射した光は、アクティブ波長板122を透過する際に偏光方向が90°回転する。この光は、ミラー123で反射され、シャッタ124を通過し、λ/4板125で直線偏光から左回り円偏光に変換され、対物レンズ126により、記録媒体103の記録層内に集光される。
記録媒体103からの情報の再生時には、第一の光は、ミラー127で反射され、アクティブ波長板128へ入射する。アクティブ波長板128へ入射した光は、偏光状態が変化せずに、アクティブ波長板128を透過する。この光は、ミラー129で反射され、約50%がビームスプリッタ130を透過し、λ/4板131で直線偏光から右回り円偏光に変換され、対物レンズ132により、記録媒体103の記録層内に集光される。なお、第二の光は、シャッタ124で遮断され、記録媒体103へは向かわない。
集光点にビットデータ“1”が記録されている場合、記録媒体103の記録層内に集光された光は、一部が集光点で右回り円偏光として反射され、対物レンズ132を逆向きに通り、λ/4板131を透過して右回り円偏光から往路と偏光方向が同一の直線偏光に変換される。この直線偏光は、約50%がビームスプリッタ130で反射され、凸レンズ133により、光検出器134の受光部上に集光される。光検出器134の受光部で光が受光されることで、集光点に記録されている情報が、ビットデータ“1”であると判断される。これに対し、集光点にビットデータ“0”が記録されている場合、記録媒体103の記録層内に集光された光は、集光点で反射されない。光検出器134の受光部で光が受光されないことで、集光点に記録されている情報が、ビットデータ“0”であると判断される。
なお、上記では、記録媒体103からの情報の再生時にアクティブ波長板128をλ板として働かせることとしたが、アクティブ波長板128をλ/2板として働かせてもよい。このとき、集光点にビットデータ“1”が記録されている場合、光検出器134の受光部で光が受光されない。これに対し、集光点にビットデータ“0”が記録されている場合、光検出器134の受光部で光が受光される。
アクティブ波長板122、128の構成は、第1実施形態において説明したものと同様である。ここで、入射光の光軸方向の電気光学結晶の長さをT、入射光の波長をλとし、電圧を印加することで、光学軸に平行な偏光成分の屈折率と光学軸に垂直な偏光成分の屈折率との差がΔn0からΔn1に変化するものとする。Δn0T=mλ(mは整数)を満たすようにTを定め、Δn1T=mλ+(λ/2)となる電圧をV1とする。このとき、アクティブ波長板122、128は、電圧を印加しない場合にλ板として働き、電圧V1を印加した場合にλ/2板として働く。入射光の偏光方向を光学軸に対して45°とすると、アクティブ波長板122、128は、電圧を印加しない場合は、透過する光の偏光状態を変化させず、電圧V1を印加した場合は、透過する光の偏光方向を90°回転させる。
記録媒体103への情報の記録について説明する。図9(a)〜9(d)に、ビットデータ“1”の記録メカニズムを示す。図9(a)〜9(d)において、断面A〜断面Iは、記録光であるビーム135及びビーム136の光軸上の1波長分の長さを8等分したときの各位置における光軸に垂直な断面である。
図9(a)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135のある時刻tでの電界ベクトルを示している。ビーム135の断面Aにおける位相を基準にすると、断面Aにおける位相は0、断面Bにおける位相はλ/4、断面Cにおける位相はπ/2、断面Dにおける位相は3π/4、断面Eにおける位相はπ、断面Fにおける位相は5π/4、断面Gにおける位相は3π/2、断面Hにおける位相は7π/4、断面Iにおける位相は2πとなる。電界ベクトルは、断面Aから断面Iに向かって、ビーム135が進行する向きとは逆から見て、右回りに回転している。
図9(b)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム136の時刻tでの電界ベクトルを示している。ビーム136の断面Iにおける位相を基準にすると、断面Aにおける位相は2π、断面Bにおける位相は7π/4、断面Cにおける位相は3π/2、断面Dにおける位相は5π/4、断面Eにおける位相はπ、断面Fにおける位相は3π/4、断面Gにおける位相はπ/2、断面Hにおける位相はπ/4、断面Iにおける位相は0となる。電界ベクトルは、断面Iから断面Aに向かって、ビーム136が進行する向きとは逆から見て、右回りに回転している。
図9(c)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135とビーム136とを合成した光の偏光分布を示している。断面A〜断面Iのそれぞれにおいて、図9(a)に示すビーム135の電界ベクトル、及び、図9(b)に示すビーム136の電界ベクトルは、時間と共に向きが変化するのに対し、両者を合成した光の電界ベクトルは、時間と共に大きさが変化する。すなわち、断面A〜断面Iのそれぞれにおいて、ビーム135とビーム136とを合成した光は直線偏光である。その偏光方向は、断面Aから断面Iに向かって、ビーム135が進行する向きとは逆から見て右回りに回転している。
図9(d)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135とビーム136とを合成した光に対して配向したアゾベンゼン分子の配向分布を示している。アゾベンゼン分子は、直線偏光に対しては偏光方向に垂直な方向に配向する。このため、その配向方向は、断面Aから断面Iに向かって、ビーム135が進行する向きとは逆から見て右回りに回転している。
図10(a)〜10(d)に、ビットデータ“0”の記録メカニズムを示す。図10(a)〜10(d)において、断面A〜断面Iは、ビーム135及びビーム136の光軸上の1波長分の長さを8等分したときの各位置における光軸に垂直な断面である。
図10(a)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135のある時刻tでの電界ベクトルを示している。ビーム135の断面Aにおける位相を基準にすると、断面Aにおける位相は0、断面Bにおける位相はπ/4、断面Cにおける位相はπ/2、断面Dにおける位相は3π/4、断面Eにおける位相はπ、断面Fにおける位相は5π/4、断面Gにおける位相は3π/2、断面Hにおける位相は7π/4、断面Iにおける位相は2πとなる。電界ベクトルは、断面Aから断面Iに向かって、ビーム135が進行する向きとは逆から見て左回りに回転している。
図10(b)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム136の時刻tでの電界ベクトルを示している。ビーム136の断面Iにおける位相を基準にすると、断面Aにおける位相は2π、断面Bにおける位相は7π/4、断面Cにおける位相は3π/2、断面Dにおける位相は5π/4、断面Eにおける位相はπ、断面Fにおける位相は3π/4、断面Gにおける位相はπ/2、断面Hにおける位相はπ/4、断面Iにおける位相は0となる。電界ベクトルは、断面Iから断面Aに向かって、ビーム136が進行する向きとは逆から見て左回りに回転している。
図10(c)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135とビーム136とを合成した光の偏光分布を示している。断面A〜断面Iのそれぞれにおいて、図10(a)に示すビーム135の電界ベクトル、及び、図10(b)に示すビーム136の電界ベクトルは、時間と共に向きが変化するのに対し、両者を合成した光の電界ベクトルは、時間と共に大きさが変化する。すなわち、断面A〜断面Iのそれぞれにおいて、ビーム135とビーム136とを合成した光は直線偏光である。その偏光方向は、断面Aから断面Iに向かって、ビーム135が進行する向きとは逆から見て左回りに回転している。
図10(d)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135とビーム136とを合成した光に対して配向したアゾベンゼン分子の配向分布を示している。アゾベンゼン分子は、直線偏光に対しては偏光方向に垂直な方向に配向する。このため、その配向方向は、断面Aから断面Iへ向かって、ビーム135が進行する向きとは逆から見て左回りに回転している。
記録層138内のビットデータ“1”に対応する部分には、図9(d)に示すアゾベンゼン分子の配向分布が記録され、ビットデータ“0”に対応する部分には、図10(d)に示すアゾベンゼン分子の配向分布が記録される。ビットデータ“1”が記録された部分にビットデータ“1”を記録した場合、アゾベンゼン分子の配向分布は図9(d)に示す状態のままである。ビットデータ“1”が記録された部分にビットデータ“0”を記録すると、アゾベンゼン分子の配向分布は、図9(d)に示す状態から図10(d)に示す状態に変化する。
また、ビットデータ“0”が記録された部分にビットデータ“0”を記録した場合、アゾベンゼン分子の配向分布は図10(d)のままである。ビットデータ“0”が記録された部分にビットデータ“1”を記録すると、アゾベンゼン分子の配向分布は、図10(d)に示す状態から図9(d)に示す状態に変化する。すなわち、ビットデータ“1”又は“0”が記録された部分に、ビットデータ“0”又は“1”を記録する際に、記録に先立って、アゾベンゼン分子の配向分布を消去する必要がない。
続いて、記録媒体103からの情報の再生について説明する。図11(a)〜11(e)に、ビットデータ“1”の再生メカニズムを示す。図11(a)〜11(e)において、断面A〜断面Iは、再生光であるビーム135の光軸上の1波長分の長さを8等分したときの各位置における光軸に垂直な断面である。図11(a)は、図9(d)と同じであり、記録層138内の集光点の近傍において、ビットデータ“1”に対応する部分に記録されたアゾベンゼン分子の配向分布を示している。
図11(b)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135のある時刻tでの電界ベクトルを示している。図11(c)は、記録層138内の集光点の近傍において、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の時刻tでの電界ベクトルを示している。図11(b)に示す電界ベクトルを有する光が図11(a)に示す配向分布を有するアゾベンゼン分子と相互作用することで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で別の光が発生する。ここで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の電界ベクトルは、元の光の電界ベクトルを、アゾベンゼン分子の配向方向に関して線対称に折り返したものである。
図11(d)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135の、時刻tからビーム135が1/8波長分だけ進行した時刻(t+Δt)での電界ベクトルを示している。図11(e)は、記録層138内の集光点の近傍において、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の時刻(t+Δt)での電界ベクトルを示している。図11(d)に示す電界ベクトルを有する光が図11(a)に示す配向分布を有するアゾベンゼン分子と相互作用することで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で別の光が発生する。ここで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の電界ベクトルは、元の光の電界ベクトルをアゾベンゼン分子の配向方向に関して線対称に折り返したものである。
図11(c)及び11(e)から、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光は、右回り円偏光としてビーム135と逆向きに進行する光になることがわかる。すなわち、記録層138内のビットデータ“1”に対応する部分に右回り円偏光のビーム135を集光すると、この光は、一部が右回り円偏光として反射されることがわかる。
図12(a)〜12(e)に、ビットデータ“0”の再生メカニズムを示す。図12(a)〜12(e)において、断面A〜断面Iは、ビーム135の光軸上の1波長分の長さを8等分したときの各位置における光軸に垂直な断面である。図12(a)は、図10(d)と同じであり、記録層138内の集光点の近傍において、ビットデータ“0”に対応する部分に記録されたアゾベンゼン分子の配向分布を示している。
図12(b)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135のある時刻tでの電界ベクトルを示している。図12(c)は、記録層138内の集光点の近傍において、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の時刻tでの電界ベクトルを示している。図12(b)に示す電界ベクトルを有する光が図12(a)に示す配向分布を有するアゾベンゼン分子と相互作用することで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で別の光が発生する。ここで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の電界ベクトルは、元の光の電界ベクトルを、アゾベンゼン分子の配向方向に関して線対称に折り返したものである。
図12(d)は、記録層138内の集光点の近傍におけるビーム135の、時刻tからビーム135が1/8波長分だけ進行した時刻(t+Δt)での電界ベクトルを示している。図12(e)は、記録層138内の集光点の近傍において、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の時刻(t+Δt)での電界ベクトルを示している。図12(d)に示す電界ベクトルを有する光が図12(a)に示す配向分布を有するアゾベンゼン分子と相互作用することで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で別の光が発生する。ここで、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光の電界ベクトルは、元の光の電界ベクトルを、アゾベンゼン分子の配向方向に関して線対称に折り返したものである。
図12(c)及び12(e)から、断面A〜断面Iのそれぞれの位置で発生する光は、特定の偏光状態で特定の方向へ進行する光とならないことがわかる。すなわち、記録層138内のビットデータ“0”に対応する部分に右回り円偏光のビーム135を集光しても、この光は反射されないことがわかる。
図8に示す光学ユニットを含む光学的情報記録再生装置について説明する。光学的情報記録再生装置は図7に示すものと同様である。光学ユニット101としては、図8に示す光学ユニット101bが用いられる。
アクティブ波長板駆動回路111は、記録媒体103への情報の記録時には、記録信号生成回路112で生成された記録信号に基づいて、アクティブ波長板122、128が含む電気光学結晶に電圧を印加しないか、電圧V1を印加する。具体的には、記録信号がビットデータ“1”である場合は、電気光学結晶に電圧を印加せず、記録信号がビットデータ“0”である場合は、電気光学結晶に電圧V1を印加する。また、アクティブ波長板駆動回路111は、記録媒体103からの情報の再生時には、アクティブ波長板128が含む電気光学結晶に電圧を印加しない。
本発明の第3実施形態について説明する。図13は、本発明の第3実施形態の光学ユニットを示している。本実施形態の光学ユニット101cは、図8に示す光学ユニット101bに、偏光ビームスプリッタ140、凸レンズ141、及び、検出器142を追加したものである。偏光ビームスプリッタ140は、入射光のうちのP偏光成分をほぼ100%透過させ、S偏光成分をほぼ100%反射する。ここで、偏光ビームスプリッタ140は、偏光分離手段に相当する。
アクティブ波長板128は、入射光に対してλ板として働くか、λ/2板として働くか、λ/4板として働くかを切り換え可能である。アクティブ波長板128は、記録媒体103からの情報の再生時には、入射光に対してλ/4板として働くように制御される。検出器142は、光検出器134と同様に、受光部へ入射した光の量に応じた電気信号を出力する。ここで、検出器142は、光検出器134と同様に、光検出器に相当する。凸レンズ141は、入射光を、検出器142の受光部上に集光する。
記録媒体103への情報の記録時における光学ユニット101cの動作は、光学ユニット101bの動作と同様である。記録媒体103からの情報の再生時には、第一の光は、ミラー127で反射され、アクティブ波長板128へ入射する。このとき、アクティブ波長板128へ入射した光は、アクティブ波長板128を透過する際に、直線偏光から右回り円偏光に変換される。この光は、ミラー129で反射され、約50%がビームスプリッタ130を透過し、λ/4板131で右回り円偏光から直線偏光に変換され、対物レンズ132により、記録媒体103の記録層内に集光される。この光は、右回り円偏光成分と左回り円偏光成分との双方を含んでいる。なお、第二の光は、シャッタ124で遮断され、記録媒体103へ向かわない。
集光点にビットデータ“1”が記録されている場合、記録媒体103の記録層内に集光された光のうち、右回り円偏光成分は、一部が集光点で右回り円偏光として反射され、左回り円偏光成分は、集光点で反射されない。集光点で反射された光は、対物レンズ132を逆向きに通り、λ/4板131を透過して右回り円偏光から直線偏光に変換され、約50%がビームスプリッタ130で反射され、偏光ビームスプリッタ140にP偏光として入射してほぼ100%透過し、凸レンズ133により、光検出器134の受光部上に集光される。光検出器134の受光部で光が受光され、検出器142の受光部で光が受光されないことで、集光点に記録されている情報が、ビットデータ“1”であると判断される。
一方、集光点にビットデータ“0”が記録されている場合、記録媒体103の記録層内に集光された光のうち、左回り円偏光成分は、一部が集光点で左回り円偏光として反射され、右回り円偏光成分は、集光点で反射されない。集光点で反射された光は、対物レンズ132を逆向きに通り、λ/4板131を透過して左回り円偏光から直線偏光に変換され、約50%がビームスプリッタ130で反射され、偏光ビームスプリッタ140にS偏光として入射してほぼ100%反射され、凸レンズ141により、検出器142の受光部上に集光される。検出器142の受光部で光が受光され、光検出器134の受光部で光が受光されないことで、集光点に記録されている情報が、ビットデータ“0”であると判断される。
ここで、光検出器134から出力される電気信号から、検出器142から出力される電気信号を引いたものを再生信号とすると、集光点にビットデータ“1”、ビットデータ“0”が記録されている場合の再生信号の符号は、それぞれ「正」、「負」となる。つまり、再生信号の符号により、ビットデータを判別可能である。このとき、記録媒体103からの情報の再生時に、レーザ116からの出射光のパワーが変動すると、光検出器134から出力される電気信号、及び、検出器142から出力される電気信号には、パワー変動に起因する雑音が重畳する。しかし、両者の差分を取ることにより、その雑音は相殺されるため、信号対雑音比が高い再生信号を得ることができる。
アクティブ波長板128の構成は、第2実施形態において説明したものと同様である。ここで、入射光の光軸方向の電気光学結晶の長さをT、入射光の波長をλとし、電圧の印加によって、光学軸に平行な偏光成分の屈折率と光学軸に垂直な偏光成分の屈折率との差がΔn0からΔn1に変化するとする。Δn0T=mλ(mは整数)を満たすようにTを定め、Δn1T=mλ+(λ/2)となる電圧をV1とし、Δn1T=mλ+(λ/4)となる電圧をV2とする。このとき、アクティブ波長板128は、電圧を印加しない場合にλ板として働き、電圧V1を印加した場合にλ/2板として働き、電圧V2を印加した場合にλ/4板として働く。入射光の偏光方向を光学軸に対して45°とすると、アクティブ波長板128は、電圧を印加しない場合は、透過する光の偏光状態を変化させず、電圧V1を印加した場合は、透過する光の偏光方向を90°回転させ、電圧V2を印加した場合は、透過する光を直線偏光から右回り円偏光に変換する。
図13に示す光学ユニットを含む光学的情報記録再生装置について説明する。光学的情報記録再生装置は図7に示すものと同様である。光学ユニット101としては、図13に示す光学ユニット101cが用いられる。アクティブ波長板駆動回路111は、記録媒体103からの情報の再生時には、アクティブ波長板128が含む電気光学結晶に電圧V2を印加する。増幅回路108は、記録媒体103からの情報の再生時に、光検出器134、142から出力される電気信号を差動増幅する。
本発明の第4実施形態について説明する。図14は、本発明の第4実施形態の光学ユニットを示している。本実施形態の光学ユニット101dは、レーザ116、ビームエキスパンダ117、λ/2板118、偏光ビームスプリッタ119、リレーレンズ163、165、ビームスプリッタ164、シャッタ124、ミラー120、121、アクティブ波長板122、対物レンズ132、凸レンズ133、及び、光検出器134を有する。記録媒体161は、光の偏光状態を記録可能な記録層と反射層とを有している。
アクティブ波長板122は、入射光に対してλ板として働くか、λ/2板として働くかを切り替え可能である。アクティブ波長板122は、記録媒体161への情報の記録時には、記録データに応じて、入射光に対してλ板として働くか、λ/2板として働くかが制御される。また、アクティブ波長板122は、記録媒体161からの情報の再生時には、入射光に対してλ板として働くように制御される。
リレーレンズ163、165は、透過光の平行度を変化可能である。ビームスプリッタ164は、入射光の偏光状態に依存せずに、入射光のうちの約50%を透過させ、約50%を反射する。
レーザ116から出射した光は、ビームエキスパンダ117を透過してビーム径が拡大され、λ/2板118を透過して、偏光方向が光軸に垂直な面内で紙面に対して45°の直線偏光となる。この光は、約50%が偏光ビームスプリッタ119をP偏光成分として透過し、約50%が偏光ビームスプリッタ119でS偏光成分として反射される。以下では、偏光ビームスプリッタ119を透過した光を第一の光とし、偏光ビームスプリッタ119で反射された光を第二の光として説明する。なお、偏光ビームスプリッタ119で反射された光を第一の光とし、偏光ビームスプリッタ119を透過した光を第二の光としてもよい。
記録媒体161へのビットデータ“1”の記録時には、第一の光は、リレーレンズ163を透過して弱い収束光となり、約50%がビームスプリッタ164を透過し、アクティブ波長板122へ入射する。アクティブ波長板122は、記録媒体161へビットデータ“1”を記録する際には、λ板として働くように制御される。従って、アクティブ波長板122へ入射した光は、偏光状態が変化せずに、アクティブ波長板122を透過する。この光は、対物レンズ132により、記録媒体161の記録層内で反射層側へ向かう途中で集光される。このときの記録層内における第一の光の集光点での偏光状態は、第一の直線偏光に相当する。
一方、第二の光は、シャッタ124を通過し、ミラー120で反射され、リレーレンズ165を透過して弱い発散光となり、ミラー121で反射され、約50%がビームスプリッタ164で反射され、アクティブ波長板122へ入射する。アクティブ波長板122へ入射した光は、偏光状態が変化せずに、アクティブ波長板122を透過する。この光は、対物レンズ132により、記録媒体161の記録層を透過し、反射層で反射され、記録層内で反射層と反対側へ向かう途中で集光される。このときの記録層内における第二の光の集光点での偏光状態は、第二の直線偏光に相当する。
記録媒体161へのビットデータ“0”の記録時には、第一の光は、リレーレンズ163を透過して弱い収束光となり、約50%がビームスプリッタ164を透過し、アクティブ波長板122へ入射する。アクティブ波長板122は、記録媒体161へビットデータ“0”を記録する際には、λ/2板として働くように制御される。このとき、アクティブ波長板122へ入射した光は、アクティブ波長板122を透過する際に偏光方向が45°回転する。この光は、対物レンズ132により、記録媒体161の記録層内で反射層側へ向かう途中で集光される。このときの記録層内における第一の光の集光点での偏光状態は、第三の直線偏光に相当する。
一方、第二の光は、シャッタ124を通過し、ミラー120で反射され、リレーレンズ165を透過して弱い発散光となり、ミラー121で反射され、約50%がビームスプリッタ164で反射され、アクティブ波長板122へ入射する。アクティブ波長板122へ入射した光は、アクティブ波長板122を透過する際に偏光方向が45°回転する。この光は、対物レンズ132により、記録媒体161の記録層を透過し、反射層で反射され、記録層内で反射層と反対側へ向かう途中で集光される。このときの記録層内における第二の光の集光点での偏光状態は、第四の直線偏光に相当する。
記録媒体161からの情報の再生時には、第一の光は、リレーレンズ163を透過して弱い収束光となり、約50%がビームスプリッタ164を透過し、アクティブ波長板122へ入射する。アクティブ波長板122へ入射した光は、偏光状態が変化せずに、アクティブ波長板122を透過する。この光は、対物レンズ132により、記録媒体161の記録層内で反射層側へ向かう途中で集光される。なお、第二の光は、シャッタ124で遮断され、記録媒体161へは向かわない。
集光点にビットデータ“1”が記録されている場合、記録媒体161の記録層内に集光された光は、一部が集光点で往路と偏光方向が直交する直線偏光として反射され、対物レンズ132を逆向きに通り、アクティブ波長板122を偏光状態が変化せずに透過し、リレーレンズ163を透過して平行光となり、偏光ビームスプリッタ119でほぼ100%反射され、凸レンズ133により、光検出器134の受光部上に集光される。光検出器134の受光部で光が受光されることで、集光点に記録されている情報が、ビットデータ“1”であると判断される。
一方、集光点にビットデータ“0”が記録されている場合、記録媒体161の記録層内に集光された光は、一部が集光点で往路と偏光方向が同一の直線偏光として反射される。この反射光は、偏光ビームスプリッタ119をほぼ100%透過し、光検出器134へ向かわない。光検出器134の受光部で光が受光されないことで、集光点に記録されている情報が、ビットデータ“0”であると判断される。
なお、上記では、記録媒体161からの情報の再生時にアクティブ波長板122をλ板として働かせることとしたが、アクティブ波長板122をλ/2板として働かせてもよい。このとき、集光点にビットデータ“1”が記録されている場合、光検出器134の受光部で光が受光されない。これに対し、集光点にビットデータ“0”が記録されている場合、光検出器134の受光部で光が受光される。
図15に、記録媒体161を示す。記録媒体161は、記録層168、反射層167を、基板169、166で挟んだ構成である。記録層168の材料は、アゾベンゼンである。記録層168には、光の偏光状態を記録可能である。ビーム170、171は、それぞれ第一の光、第二の光である。ビーム170は、基板169側から記録層168へ入射し、記録層168内で反射層167側へ向かう途中で集光される。ビーム171は、基板169側から記録層168へ入射し、記録層168を透過し、反射層167で反射され、記録層168内で反射層167と反対側へ向かう途中で集光される。ここで、基板169は入射面に相当する。記録媒体161は入射面と反射層とを有する光記録媒体に相当する。
記録媒体161への情報の記録メカニズム及び記録媒体161からの情報の再生メカニズムは第1実施形態において説明したものと同様である。
図14に示す光学ユニットを含む光学的情報記録再生装置について説明する。図16は、光学的情報記録再生装置を示している。光学的情報記録再生装置は、光学ユニット101、ポジショナ102、スピンドル104、スピンドル駆動回路105、レーザ駆動回路106、シャッタ駆動回路107、増幅回路108、再生信号処理回路109、復調回路110、アクティブ波長板駆動回路111、記録信号生成回路112、変調回路113、ポジショナ駆動回路114、リレーレンズ駆動回路162、及び、コントローラ115を有する。光学ユニット101としては、図14に示す光学ユニット101dが用いられる。コントローラ115は、光学的情報記録再生装置の各部の制御を行う部分である。
光学ユニット101は、ポジショナ102に搭載される。記録媒体161は円盤状であり、スピンドル104に搭載される。ポジショナ駆動回路114は、図示しないモータを用いて、光学ユニット101が搭載されているポジショナ102を記録媒体161の半径方向へ移動させる。スピンドル駆動回路105は、図示しないモータを用いて、記録媒体161が搭載されているスピンドル104を回転させる。リレーレンズ駆動回路162は、図示しないモータを用いて、記録媒体161への情報の記録時には、リレーレンズ163、165の間隔を変化させて、第一の光及び第二の光の集光点の位置を記録媒体161の厚さ方向へ移動させる。リレーレンズ駆動回路162は、記録媒体161からの情報の再生時には、リレーレンズ163の間隔を変化させて、第一の光の集光点の位置を記録媒体161の厚さ方向へ移動させる。
レーザ駆動回路106は、レーザ116を駆動する。レーザ駆動回路106は、記録媒体161への情報の記録時、及び、記録媒体161からの情報の再生時に、レーザ116からの出射光のパワーが所定の値となるように、レーザ116に電流を供給する。
シャッタ駆動回路107は、図示しないモータを用いて、シャッタ124を駆動する。シャッタ駆動回路107は、記録媒体161への情報の記録時にはシャッタ124が開状態となり、記録媒体161からの情報の再生時にはシャッタ124が閉状態となるように、シャッタ124を駆動する。
変調回路113は、記録媒体161への情報の記録時に、記録データとして外部から入力された信号を、所定の変調規則に従って変調する。記録信号生成回路112は、変調回路113で変調された信号に基づいて、アクティブ波長板122を駆動するための記録信号を生成する。アクティブ波長板駆動回路111は、記録媒体161への情報の記録時には、記録信号生成回路112で生成された記録信号に基づいて、アクティブ波長板122が含む電気光学結晶に電圧を印加しないか、電圧V1を印加する。具体的には、アクティブ波長板駆動回路111は、記録信号がビットデータ“1”である場合は、電気光学結晶に電圧を印加せず、記録信号がビットデータ“0”である場合は、電気光学結晶に電圧V1を印加する。また、アクティブ波長板駆動回路111は、記録媒体161からの情報の再生時には、アクティブ波長板122が含む電気光学結晶に電圧を印加しない。
増幅回路108は、記録媒体161からの情報の再生時に、光検出器134から出力される電気信号を増幅する。再生信号処理回路109は、増幅回路108で増幅された電気信号に基づいて、再生信号の生成、波形等化、2値化を行う。復調回路110は、再生信号処理回路109で2値化された信号を所定の復調規則に従って復調し、再生データとして外部に出力する。
本発明の第5実施形態について説明する。図17は、本発明の第5実施形態の光学ユニットを示している。本実施形態の光学ユニット101eは、図14に示す光学ユニット101dに、ビームスプリッタ130、λ/4板131、リレーレンズ173を追加し、ビームスプリッタ164を偏光ビームスプリッタ172で置き換えたものである。リレーレンズ173は、透過光の平行度を変化可能である。偏光ビームスプリッタ172は、入射光のうちのP偏光成分をほぼ100%透過させ、S偏光成分をほぼ100%反射する。
レーザ116から出射した光は、ビームエキスパンダ117を透過してビーム径が拡大され、λ/2板118を透過して、偏光方向が光軸に垂直な面内で紙面に対して45°の直線偏光となる。この光は、約50%が偏光ビームスプリッタ119をP偏光成分として透過し、約50%が偏光ビームスプリッタ119でS偏光成分として反射される。以下では、偏光ビームスプリッタ119を透過した光を第一の光とし、偏光ビームスプリッタ119で反射された光を第二の光として説明する。なお、偏光ビームスプリッタ119で反射された光を第一の光とし、偏光ビームスプリッタ119を透過した光を第二の光としてもよい。
記録媒体161へのビットデータ“1”の記録時には、第一の光は、リレーレンズ163を透過して弱い収束光となり、偏光ビームスプリッタ172へP偏光として入射してほぼ100%透過し、アクティブ波長板122へ入射する。アクティブ波長板122は、記録媒体161へビットデータ“1”を記録する際には、λ板として働くように制御される。従って、アクティブ波長板122へ入射した光は、偏光状態が変化せずに、アクティブ波長板122を透過する。この光は、約50%がビームスプリッタ130を透過し、λ/4板131で直線偏光から右回り円偏光に変換され、対物レンズ132により、記録媒体161の記録層内で反射層側へ向かう途中で集光される。
一方、第二の光は、シャッタ124を通過し、ミラー120で反射され、リレーレンズ165を透過して弱い発散光となり、ミラー121で反射され、偏光ビームスプリッタ172へS偏光として入射してほぼ100%反射され、アクティブ波長板122へ入射する。アクティブ波長板122へ入射した光は、偏光状態が変化せずに、アクティブ波長板122を透過する。この光は、約50%がビームスプリッタ130を透過し、λ/4板131で直線偏光から左回り円偏光に変換され、対物レンズ132により、記録媒体161の記録層を透過し、反射層で反射されて左回り円偏光から右回り円偏光に変換され、記録層内で反射層と反対側へ向かう途中で集光される。
記録媒体161へのビットデータ“0”の記録時には、第一の光は、リレーレンズ163を透過して弱い収束光となり、偏光ビームスプリッタ172へP偏光として入射してほぼ100%透過し、アクティブ波長板122へ入射する。アクティブ波長板122は、記録媒体161へビットデータ“0”を記録する際には、λ/2板として働くように制御される。このとき、アクティブ波長板122へ入射した光は、アクティブ波長板122を透過する際に偏光方向が90°回転する。この光は、約50%がビームスプリッタ130を透過し、λ/4板131で直線偏光から左回り円偏光に変換され、対物レンズ132により、記録媒体161の記録層内で反射層側へ向かう途中で集光される。
一方、第二の光は、シャッタ124を通過し、ミラー120で反射され、リレーレンズ165を透過して弱い発散光となり、ミラー121で反射され、偏光ビームスプリッタ172へS偏光として入射してほぼ100%反射され、アクティブ波長板122へ入射する。アクティブ波長板122へ入射した光は、アクティブ波長板122を透過する際に偏光方向が90°回転する。この光は、約50%がビームスプリッタ130を透過し、λ/4板131で直線偏光から右回り円偏光に変換され、対物レンズ132により、記録媒体161の記録層を透過し、反射層で反射されて右回り円偏光から左回り円偏光に変換され、記録層内で反射層と反対側へ向かう途中で集光される。
記録媒体161からの情報の再生時には、第一の光は、リレーレンズ163を透過して弱い収束光となり、偏光ビームスプリッタ172へP偏光として入射してほぼ100%透過し、アクティブ波長板122へ入射する。アクティブ波長板122へ入射した光は、偏光状態が変化せずに、アクティブ波長板122を透過する。この光は、約50%がビームスプリッタ130を透過し、λ/4板131で直線偏光から右回り円偏光に変換され、対物レンズ132により、記録媒体161の記録層内で反射層側へ向かう途中で集光される。なお、第二の光は、シャッタ124で遮断され、記録媒体161へは向かわない。
集光点にビットデータ“1”が記録されている場合、記録媒体161の記録層内に集光された光は、一部が集光点で右回り円偏光として反射され、対物レンズ132を逆向きに通り、λ/4板131を透過して右回り円偏光から往路と偏光方向が同一の直線偏光に変換される。この直線偏光は、約50%がビームスプリッタ130で反射され、リレーレンズ173を透過して平行光となり、凸レンズ133により、光検出器134の受光部上に集光される。光検出器134の受光部で光が受光されることで、集光点に記録されている情報が、ビットデータ“1”であると判断される。これに対し、集光点にビットデータ“0”が記録されている場合、記録媒体161の記録層内に集光された光は、集光点で反射されない。光検出器134の受光部で光が受光されないことで、集光点に記録されている情報が、ビットデータ“0”であると判断される。
なお、上記では、記録媒体161からの情報の再生時にアクティブ波長板122をλ板として働かせることとしたが、アクティブ波長板122をλ/2板として働かせてもよい。このとき、集光点にビットデータ“1”が記録されている場合、光検出器134の受光部で光が受光されない。これに対し、集光点にビットデータ“0”が記録されている場合、光検出器134の受光部で光が受光される。
記録媒体161への情報の記録メカニズム及び記録媒体161からの情報の再生メカニズムは第2実施形態において説明したものと同様である。
図17に示す光学ユニットを含む光学的情報記録再生装置について説明する。光学的情報記録再生装置は図16に示すものと同様である。光学ユニット101としては、図17に示す光学ユニット101eが用いられる。
リレーレンズ駆動回路162は、図示しないモータを用いて、記録媒体161からの情報の再生時には、リレーレンズ163の間隔を変化させて、第一の光の集光点の位置を記録媒体161の厚さ方向へ移動させる。また、リレーレンズ駆動回路162は、リレーレンズ173の間隔を変化させて、記録媒体161からの第一の光の反射光が常に光検出器134の受光部上に集光されるようにする。
アクティブ波長板駆動回路111は、記録媒体161への情報の記録時には、記録信号生成回路112で生成された記録信号に基づいて、アクティブ波長板122が含む電気光学結晶に電圧を印加しないか、電圧V1を印加する。具体的には、アクティブ波長板駆動回路111は、記録信号がビットデータ“1”である場合は、電気光学結晶に電圧を印加せず、記録信号がビットデータ“0”である場合は、電気光学結晶に電圧V1を印加する。また、アクティブ波長板駆動回路111は、記録媒体161からの情報の再生時には、アクティブ波長板122が含む電気光学結晶に電圧を印加しない。
本発明の第6実施形態について説明する。図18は、本発明の第6実施形態の光学ユニットを示している。本実施形態の光学ユニット101fは、図17に示す光学ユニット101eに、偏光ビームスプリッタ140、凸レンズ141、及び、検出器142を追加したものである。
アクティブ波長板122は、入射光に対してλ板として働くか、λ/2板として働くか、λ/4板として働くかを切り替え可能である。アクティブ波長板122は、記録媒体161からの情報の再生時には、入射光に対してλ/4板として働くように制御される。
記録媒体161への情報の記録時における光学ユニット101fの動作は、光学ユニット101eの動作と同様である。
記録媒体161からの情報の再生時には、第一の光は、リレーレンズ163を透過して弱い収束光となり、偏光ビームスプリッタ172へP偏光として入射してほぼ100%が透過し、アクティブ波長板122へ入射する。このとき、アクティブ波長板122へ入射した光は、アクティブ波長板122を透過する際に、直線偏光から右回り円偏光に変換される。この光は、約50%がビームスプリッタ130を透過し、λ/4板131で右回り円偏光から直線偏光に変換され、対物レンズ132により、記録媒体161の記録層内で反射層側へ向かう途中で集光される。この光は、右回り円偏光成分と左回り円偏光成分との双方を含んでいる。なお、第二の光は、シャッタ124で遮断され、記録媒体161へは向かわない。
集光点にビットデータ“1”が記録されている場合、記録媒体161の記録層内に集光された光のうち、右回り円偏光成分は、一部が集光点で右回り円偏光として反射され、左回り円偏光成分は、集光点で反射されない。集光点で反射された光は、対物レンズ132を逆向きに通り、λ/4板131を透過して右回り円偏光から直線偏光に変換される。この直線偏光は、約50%がビームスプリッタ130で反射され、リレーレンズ173を透過して平行光となり、偏光ビームスプリッタ140にP偏光として入射してほぼ100%が透過し、凸レンズ133により、光検出器134の受光部上に集光される。光検出器134の受光部で光が受光され、検出器142の受光部で光が受光されないことにより、集光点に記録されている情報が、ビットデータ“1”であると判断される。
一方、集光点にビットデータ“0”が記録されている場合、記録媒体161の記録層内に集光された光のうち、左回り円偏光成分は、一部が集光点で左回り円偏光として反射され、右回り円偏光成分は、集光点で反射されない。集光点で反射された光は、対物レンズ132を逆向きに通り、λ/4板131を透過して左回り円偏光から直線偏光に変換され、約50%がビームスプリッタ130で反射され、リレーレンズ173を透過して平行光となる。この平行光は、偏光ビームスプリッタ140にS偏光として入射してほぼ100%が反射され、凸レンズ141により、検出器142の受光部上に集光される。検出器142の受光部で光が受光され、光検出器134の受光部で光が受光されないことにより、集光点に記録されている情報が、ビットデータ“0”であると判断される。
図18に示す光学ユニットを含む光学的情報記録再生装置について説明する。光学的情報記録再生装置は図16に示すものと同様である。光学ユニット101としては、図18に示す光学ユニット101fが用いられる。
アクティブ波長板駆動回路111は、記録媒体161からの情報の再生時には、アクティブ波長板122が含む電気光学結晶に電圧V2を印加する。増幅回路108は、記録媒体161からの情報の再生時に、光検出器134、142から出力される電気信号を差動増幅する。
なお、上記第1実施形態乃至第6実施形態においては、光照射状態切替手段にシャッタ124を用いているが、光照射状態切替手段にアクティブ波長板を用いることも可能である。その場合、光学ユニット101a(図1)、光学ユニット101b(図8)、光学ユニット101c(図13)、光学ユニット101d(図14)、光学ユニット101e(図17)、又は、光学ユニット101f(図18)からシャッタ124を削除し、λ/2板118に代えてアクティブ波長板を配置すればよい。光照射状態切替手段に用いるアクティブ波長板の構成は、アクティブ波長板122、128と同様である。
レーザ116から出射した光は、偏光方向が図1、図8、図13、図14、図17、又は、図18の紙面に平行な直線偏光として、アクティブ波長板へ入射する。図1、図14、図17、又は、図18においては、記録媒体103、又は、記録媒体161への情報の記録時には、アクティブ波長板は、λ/2板として働くように制御される。このとき、アクティブ波長板へ入射した光は、アクティブ波長板を透過する際に偏光方向が45°回転する。この光は、約50%が偏光ビームスプリッタ119をP偏光成分として透過し、約50%が偏光ビームスプリッタ119でS偏光成分として反射される。一方、記録媒体103、又は、記録媒体161からの情報の再生時には、アクティブ波長板は、λ板として働くように制御される。従って、アクティブ波長板へ入射した光は、偏光状態が変化せずに、アクティブ波長板を透過する。この光は、偏光ビームスプリッタ119へP偏光として入射してほぼ100%透過する。
図8又は図13においては、記録媒体103への情報の記録時には、アクティブ波長板は、λ/2板として働くように制御される。このとき、アクティブ波長板へ入射した光は、アクティブ波長板を透過する際に偏光方向が35°回転する。この光は、約67%が偏光ビームスプリッタ119をP偏光成分として透過し、約33%が偏光ビームスプリッタ119でS偏光成分として反射される。一方、記録媒体103からの情報の再生時には、アクティブ波長板は、λ板として働くように制御される。従って、アクティブ波長板へ入射した光は、偏光状態が変化せずに、アクティブ波長板を透過する。この光は、偏光ビームスプリッタ119へP偏光として入射してほぼ100%透過する。
光照射状態切替手段にアクティブ波長板を用いた光学的情報記録再生装置においては、光照射状態切替手段駆動回路にアクティブ波長板駆動回路が用いられる。その場合、シャッタ駆動回路107に代えてアクティブ波長板駆動回路を配置すればよい。アクティブ波長板駆動回路は、記録媒体103又は記録媒体161への情報の記録時には、アクティブ波長板が含む電気光学結晶に電圧V1を印加し、記録媒体103又は記録媒体161からの情報の再生時には、アクティブ波長板が含む電気光学結晶に電圧を印加しない。
最後に、本発明の最小構成と、その最小構成の作用について説明する。本発明の光学ユニットは、最小構成として、光源と、光源から出射した光を第一の光と第二の光とに分割する光分割手段と、第一の光及び第二の光を、光記録媒体の記録層内で互いに対向させて同一位置に集光する集光手段と、記録層内における第一の光及び第二の光の集光点での偏光状態を切り替え可能な偏光状態切替手段と、光記録媒体へ、第一の光及び第二の光の双方が照射されるか、第一の光及び第二の光のうちの何れか一方が照射されるかを切り替え可能な光照射状態切替手段とを備える。
本発明の光学的情報記録再生装置は、最小構成として、光源と、光源から出射した光を第一の光と第二の光とに分割する光分割手段と、第一の光及び第二の光を、光記録媒体の記録層内で互いに対向させて同一位置に集光する集光手段と、記録層内における第一の光及び第二の光の集光点での偏光状態を切り替え可能な偏光状態切替手段と、光記録媒体への情報の記録時に、記録データに応じて、偏光状態切替手段を駆動する偏光状態切替手段駆動回路と、光記録媒体へ、第一の光及び第二の光の双方が照射されるか、第一の光及び第二の光のうちの何れか一方が照射されるかを切り替え可能な光照射状態切替手段と、光記録媒体への情報の記録時には、光照射状態切替手段を、第一の光及び第二の光の双方が記録光として光記録媒体へ照射されるように駆動し、光記録媒体からの情報の再生時には、光照射状態切替手段を、第一の光及び第二の光のうちの何れか一方が再生光として光記録媒体へ照射されるように駆動する光照射状態切替手段駆動回路とを備える。
本発明の光学的情報記録方法の最小構成は、光源から出射した光を第一の光と第二の光とに分割し、第一の光及び第二の光を、光記録媒体が有する、光の偏光状態を記録可能な記録層内で互いに対向させて同一位置に集光し、記録データに応じて、前記記録層内における前記第一の光及び前記第二の光の集光点での偏光状態を切り替え、前記第一の光と前記第二の光との集光点に、偏光分布を記録するという構成である。
本発明では、記録時に、第一の光と第二の光とを記録層内の同一位置に集光し、記録層にホログラムを形成する。その際、第一及び第二の光の集光点での偏光状態を、記録データに応じて切り替える。本発明では、記録データに応じて集光点での偏光状態を切り替えることで、記録層に、偏光分布をホログラムとして記録する。記録データの判別は、ホログラムの偏光分布で判定できる。本発明では、何れの記録データについても、記録層にホログラムを形成するので、既に記録層に何れかのデータに対応した偏光分布のホログラムが記録されていたとしても、そのホログラムを消去することなく、記録済みのデータと異なるデータに対応した偏光分布のホログラムを記録できる。すなわち、本発明では、情報のオーバーライトが可能である。
本発明を特別に示し且つ例示的な実施形態を参照して説明したが、本発明は、その実施形態及びその変形に限定されるものではない。当業者に明らかなように、本発明は、添付の請求の範囲に規定される本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の変更が可能である。
本出願は、2008年4月21日出願に係る日本特許出願2008−109874号を基礎とし且つその優先権を主張するものであり、引用によってその開示の内容の全てを本出願の明細書中に加入する。