JP5381894B2 - ポリ乳酸の製造方法 - Google Patents
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Description
また、ラクチドを主原料として、触媒を用いたラクチドの開環重合によりポリ乳酸を製造する方法において、重量平均分子量が1万以下の段階で、下記一般式1で表される有機リン化合物を添加することが好ましい。
R1がアルキル基である場合は、炭素数1〜20であることが好ましく、炭素数1〜10であることがより好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R2のアルキル基は、炭素数1〜20であることが好ましく、炭素数1〜10であることがより好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R3は一価の有機基ならどのような種類でも良いが、好ましくは、アルキル基、芳香族基により置換されたアルキル基、アリール基、オルガニルオキシ基(アルコキシ基、アリールオキシ基)、オルガニルオキシカルボニルアルキル基(アルコキシカルボニルアルキル基、アリールオキシカルボニルアルキル基)、ヒドロキシ基等が挙げられる。その中で残留ラクチド低減の観点からR3が、アルキル基、アルコキシ基、またはアルコキシカルボニルアルキル基であることが最も望ましい。ここで記したアルキル基、アルコキシ基は、炭素数1〜20であることが好ましく、炭素数1〜10であることがより好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。芳香族基により置換されたアルキル基は、炭素数7〜30であることが好ましく、炭素数7〜20であることがより好ましく、炭素数7〜15であることがさらに好ましい。アリール基、アリールオキシ基は、炭素数6〜30であることが好ましく、炭素数6〜20であることがより好ましく、炭素数6〜15であることがさらに好ましい。
特にリン原子に直結している水酸基を2つ有する一般式1で表される有機リン化合物の添加量は、特に注意を要する。0.5倍モルより少ないと触媒を失活できない傾向が強く、また20倍モルより多く添加すると重合反応中に触媒を失活させてしまい、目標とする分子量のポリ乳酸を得ることが困難となる可能性があるからである。リン原子に直結している水酸基を2つ有する有機リン化合物は、添加量をより厳密に調整する必要があるということを考慮すると、有機リン化合物は、リン原子に直結している水酸基が1つ以下であることが好ましい。
テトラヒドロフランを移動相とした島津製作所製島津液クロマトグラフProminenceを用いて、カラム温度30℃、流量1mL/分にてGPC測定をおこなった結果から計算して、ポリスチレン換算した値を用いた。カラムは昭和電工(株)Shodex KF−802、804、806を用いた。
(2)残留ラクチド量 (wt%)
試料をクロロホルムDに溶解し、400MHzの核磁気共鳴スペクトル(NMR)装置を用い、ポリ乳酸に由来するプロトンの積分値と残留ラクチドに由来するプロトンの積分値の比から算出した。
(3)腐食性の有無
重合後のポリマー0.2gに硝酸3mLを添加し、密閉性高圧湿式分解法により測定液を調整した。測定液をICP発光法により定量化し、Cr原子が0.1ppm以上観測された場合、腐食性ありと判断した。
(4)貯蔵安定性
合成したポリ乳酸を酢酸エチルに溶解した。その溶液を二軸延伸ポリプロピレンフィルムに塗布後、減圧乾燥して剥がすことにより50μmのポリ乳酸薄膜を得た。得られたポリ乳酸薄膜を40℃、85%RHの条件下に放置し、30日後の分子量保持率が50%以上である場合、貯蔵安定性良好と判断した。30日後の分子量保持率が50%より小さい場合、不良と判断した。
攪拌機、温度計、窒素吹き込み口、湿式コンデンサーを備えた2LのSUS304製反応釜にL−ラクチド400g、D−ラクチド100gを入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら温度120℃でラクチドを溶融した後、オクチル酸スズ0.14g、開始剤としてのエチレングリコール0.5g、トリメチルホスフェート0.29gを添加した。添加時のラクチドの重量平均分子量は500以下であった。その後180℃まで昇温し、重合を1.5時間行い、0.1Torrで0.5時間減圧してポリ乳酸を合成した。このときの重合工程中の湿式コンデンサー内の循環液は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを使用した。重合工程中、コンデンサー内の詰まりは無かった。
樹脂の還元粘度、残留ラクチド量、腐食性の有無を測定した結果を表1に示す。表1より本発明の方法によれば腐食性なく、残留ラクチドが少なく、かつ高分子量のポリ乳酸が得られることが分かる。
攪拌機、温度計、窒素吹き込み口、湿式コンデンサーを備えた2LのSUS304製反応釜にL−ラクチド400g、D−ラクチド100gを入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら温度120℃でラクチドを溶融した後、オクチル酸スズ0.14g、開始剤としてのエチレングリコール0.5gを添加し、180℃まで昇温した。重合を0.3時間おこない、重量平均分子量が8270になった段階で、トリメチルホスフェート0.29gを添加した。その後、重合を1.2時間おこない、0.1Torrで0.5時間減圧してポリ乳酸を合成した。このときの重合工程中の湿式コンデンサー内の循環液は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを使用した。重合工程中、コンデンサー内の詰まりは無かった。
樹脂の還元粘度、残留ラクチド量、腐食性の有無を測定した結果を表1に示す。実施例1に比べ、トリメチルホスフェートの熱履歴が少ないため、残留ラクチド量は、やや多くなったが、貯蔵安定性は充分に満足できる樹脂を得ることができた。本発明の方法によれば腐食性なく、残留ラクチドが少なく、かつ高分子量のポリ乳酸が得られることが分かる。
トリメチルホスフェート0.29gをホスホノ酢酸トリエチル0.47gに変更した以外は実施例1と同様の方法でポリ乳酸を合成した。重合工程中、コンデンサー内の詰まりは無かった。
樹脂の還元粘度、残留ラクチド量、腐食性の有無を測定した結果を表1に示す。表1より本発明の方法によれば腐食性なく、残留ラクチドが少なく、かつ高分子量のポリ乳酸が得られることが分かる。
重合工程中の湿式コンデンサー内の循環液をδ―バレロラクトンに変更した以外は実施例1と同様の方法でポリ乳酸を合成した。重合工程中、コンデンサー内の詰まりは無かった。
樹脂の還元粘度、残留ラクチド量、腐食性の有無を測定した結果を表1に示す。表1より本発明の方法によれば腐食性なく、残留ラクチドが少なく、かつ高分子量のポリ乳酸が得られることが分かる。
重合工程中の湿式コンデンサー内の循環液をε―カプロラクトンに変更した以外は実施例1と同様の方法でポリ乳酸を合成した。重合工程中、コンデンサー内の詰まりは無かった。
樹脂の還元粘度、残留ラクチド量、腐食性の有無を測定した結果を表1に示す。表1より本発明の方法によれば腐食性なく、残留ラクチドが少なく、かつ高分子量のポリ乳酸が得られることが分かる。
重合工程中の湿式コンデンサー内の循環液を1−オクタノールに変更した以外は実施例1と同様の方法でポリ乳酸を合成した。重合工程中、コンデンサー内の詰まりは無かった。
樹脂の還元粘度、残留ラクチド量、腐食性の有無を測定した結果を表1に示す。表1より本発明の方法によれば腐食性なく、残留ラクチドが少なく、かつ高分子量のポリ乳酸が得られることが分かる。
重合工程中の湿式コンデンサー内の循環液を2−エチル−1−ヘキサノールに変更し、1Torrで0.5時間減圧してポリ乳酸を合成した以外は実施例1と同様の方法でポリ乳酸を合成した。重合工程中、コンデンサー内の詰まりは無かった。
樹脂の還元粘度、残留ラクチド量、腐食性の有無を測定した結果を表1に示す。表1より本発明の方法によれば腐食性なく、残留ラクチドが少なく、かつ高分子量のポリ乳酸が得られることが分かる。
重合工程中の湿式コンデンサー内の循環液として、エチレングリコールを使用した以外は、実施例1と同様の方法でポリ乳酸を合成した。しかし、コンデンサー内部にラクチド及びポリ乳酸オリゴマー成分が付着し閉塞し、重合テストが継続できなかった。
重合工程中の湿式コンデンサー内の循環液として、ジエチレングリコールを使用した以外は、実施例1と同様の方法でポリ乳酸を合成した。しかし、コンデンサー内部にラクチド及びポリ乳酸オリゴマー成分が付着し閉塞し、重合テストが継続できなかった。
重合工程中の湿式コンデンサー内の循環液として、トルエンを使用した以外は、実施例1と同様の方法でポリ乳酸を合成した。しかし、コンデンサー内部にラクチド及びポリ乳酸オリゴマー成分が付着し閉塞し、重合テストが継続できなかった。循環液が低沸点であり、トルエンの系外留出が顕著であった。
2 重縮合反応器からの反応ガス入口
3 非凝縮性ガスの排気管
4 循環液の入口
5 循環液の排液管
Claims (4)
- ラクチドを主原料として開環重合によりポリ乳酸を製造する方法において、重合反応装置に湿式コンデンサーを設置し、該湿式コンデンサーの本体内に該ラクチドと溶解度パラメーターの差が3J1/2/cm3/2以下であり、沸点が150℃以上の循環液を循環させることを特徴とするポリ乳酸の製造方法。
- 前記一般式1で表される有機リン化合物の添加量が、重合に用いる触媒量に対し0.5〜20倍モルである請求項2に記載のポリ乳酸の製造方法。
- 前記一般式1で表される有機リン化合物と重合触媒を同時に添加することを特徴とする請求項2または3に記載のポリ乳酸の製造方法。
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