JP5176649B2 - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステルの製造方法、特に脂肪族ポリエステルの安定な連続製造方法に関する。
近年環境問題が重視されてきており、プラスチックの原料となる化石燃料原料の枯渇問題、大気中の二酸化炭素増加という地球規模での環境負荷の問題に対する対策が必要となっている。
こうした背景のもと、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールからなる脂肪族ポリエステルは、原料の脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸は植物由来のグルコースから発酵法を用いて製造でき、また脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオールなども植物由来原料から製造できるので、原料供給が化石燃料原料の枯渇とは無関係になるとともに、植物の育成により二酸化炭素が吸収されるため二酸化炭素排出削減に大きく貢献することができ、又、生分解性プラスチックとしても期待されているポリマーである。
脂肪族ポリエステルは、通常、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとを、エステル化反応と溶融重縮合反応を行って得られる。これらの反応は通常、回分法、連続法、或いは回分法と連続法とを組み合わせた方法で行われる。これらの中で工業的に大量生産する場合は、生産性、品質安定性、経済性などの面から連続法が有利であり、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど大量生産されているポリエステルは連続方法によるものが圧倒的に多い。
一般に、脂肪族ポリエステルは芳香族ポリエステルに比べ、同じ重合度で比較すると溶融粘度が低く、良好な成形性に必要な溶融粘度を得にくく、多価カルボン酸、多価ヒドロキシカルボン酸、多価アルコールなどの多官能化合物を加えて、溶融粘度を上げる試みがなされている。(特許文献1参照)
脂肪族ポリエステル製造においては、溶融重縮合後に環状2量体などの副生物を除去するため押出機による脱揮を行うことがある。然しながら、リンゴ酸などの多価ヒドロキシカルボン酸などを使用して製造した場合、溶融重縮合後に高温で長時間にわたり溶融状態で保持すると、ゲルが生成し異物化しフィルムなど成形品の品質を低下させるという問題がある。
一方、脂肪族ポリエステルを成形体に成形する時に酸化防止剤を使用することは知られている。特許文献2の段落0024には「本発明に係る射出中空成形体を得るため上記の脂肪族ポリエステルを使用するに際しては、必要に応じて酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤などを併用できる」なる記載があるが、溶融重縮合から連続して押出すときのゲル生成についてはなんら記載が無い。
更に特許文献3には、乳酸系ポリエステル中の残留ラクタイド等が少なく、脱揮工程、成形加工工程等において、乳酸系ポリエステルの分解が抑制され、しかも、残留ラクタイドの昇華による装置、成形加工品等への付着が少ない方法が記載され、特許文献3の段落0088には、「酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、ワックス類、結晶化促進剤等を、重合の前、中、後の工程、重合後の脱揮工程、押出工程等に添加しても良い。」なる記載がある。該発明は乳酸系脂肪族ポリエステルより低分子量成分のラクタイドを除去する際に、残存触媒の影響によりラクタイドが再生することを抑制するために、残存触媒を有機キレート剤で失活させるものであり、重合後に有機キレート剤を添加後にラクタイドを押出機で減圧脱揮する手法が開示されている。しかしながら、多官能化合物を使用した際のゲル化の現象や、ゲル化の抑制手段を示唆する記載はまったくない。
特開2005−2331号公報 特開平6−246820号公報 特開平9−77863号公報
本発明は、ポリエステルの連続製造において、ポリエステルをフィルムに成形したとき、異物の原因となりやすい、ゲルの生成を抑制する方法を提供することを課題とする。
上記課題に対して検討した結果、ジカルボン酸とジオールとからエステル化反応工程、溶融重縮合反応工程に引き続いて脱揮などのための押出し工程を経る脂肪族ポリエステルの製造方法においてラジカルトラップ剤を特定条件下で使用することが有効であることを見出し本発明に到達した。即ち本発明の要旨は以下である。
即ち、本発明の要旨は、連続した複数の反応槽を用い、エステル化反応工程、溶融重縮合反応工程応及び押出し工程を経て、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールを主成分とし、3官能以上の多官能化合物を共重合成分とする脂肪族ポリエステルを得る連続製造方法であって、該溶融重縮合反応工程における最後の反応槽の出口から押出し工程における最後の反応槽の出口までの間の重縮合反応物にラジカルトラップ剤を添加することを特徴とする脂肪族ポリエステルの連続製造方法に存する。
本発明により、フィッシュアイの少ないフィルムの原料となるポリエステル、特に脂肪族ポリエステルを効率的に得ることができる。
以下に、本発明の構成要件等について詳細に説明するが、これらは本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
本発明は、連続した複数の反応槽を用い、エステル化反応工程、溶融重縮合反応工程応及び押出し工程を経てジカルボン酸及びジオールを主成分とするポリエステルを得る連続製造方法であって、該溶融重縮合反応工程における最後の反応槽の出口から押出し工程における最後の反応槽の出口までの間の重縮合反応物にラジカルトラップ剤を添加することを特徴とする。
本発明のポリエステルは主成分としてジカルボン酸成分とジオール成分からなるポリエステルである。ジカルボン酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、及び、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、等があげられる。ジオール成分としてはトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環式ジオール、及び、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール、並びに、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物等があげられる。
本発明は、上記成分の組み合わせたポリエステルの中でも、得られるポリエステルの融点が比較的低い脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールを主成分とする脂肪族ポリエステルが、ゲルの生成の抑制効果がより良く発揮されるのでより好ましい。
本発明において、脂肪族ポリエステルは、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールを主成分とし、連続した複数の反応槽を用いエステル化反応、溶融重縮合反応を経て得られるポリエステルである。ここで脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオールを主成分とするとは、本発明のポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分の85モル%以上が脂肪族ジカルボン酸であること及び、本発明のポリエステルを構成する全ジオール成分の85モル%以上が脂肪族ジオールであることが好ましい。
<脂肪族ジカルボン酸成分>
脂肪族ジカルボン酸成分としては、具体的には、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸、ダイマー酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、などがあげられ、これらの中で、得られるポリエステルの物性の面から、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましく、特にはコハク酸が好ましい。又、これら脂肪族ジカルボン酸は酸無水物の形態で使用することもできる。尚、これらは2種以上が併用されていてもよい。コハク酸又はコハク酸無水物は得られる脂肪族ポリエステルの融点(耐熱性)、生分解性、力学特性の観点から全脂肪族ジカルボン酸に対して50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上がより好ましく、特に好ましくは90モル%以上である。
又、脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸を併用してもよい。芳香族ジカルボン酸の具体的な例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸及びジフェニルジカルボン酸等があげられる。これらは、単独でも2種以上の混合物として上記脂肪族ジカルボン酸に加えて使用してもよい。
<脂肪族ジオール成分>
脂肪族ジオール成分としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等があげられ、これらの中で得られるポリエステルの物性の面から、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が好ましい。尚、これらは2種以上が併用されていてもよい。1,4−ブタンジオールは得られる脂肪族ポリエステルの融点(耐熱性)、生分解性、力学特性の観点から全脂肪族ジオールに対して50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上がより好ましく、特に好ましくは90モル%以上である。
<その他の共重合成分>
本発明のポリエステルのその他の構成成分となる共重合成分としては、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、フマル酸等のオキシカルボン酸、及びこれらオキシカルボン酸のエステルやラクトン、オキシカルボン酸重合体等、或いはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコール、或いは、プロパントリカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸ベンゾフェノンテトラカルボン酸及びこれらの無水物などの3官能以上の多価カルボン酸又はその無水物等があげられる。
特に溶融粘度の高い脂肪族ポリエステルを得るためには、多官能化合物を少量共重合させることが好ましい。多官能化合物としては3官能以上のオキシカルボン酸、3官能以上のアルコール、3官能以上のカルボン酸などを用いることができ、中でも、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸などのオキシカルボン酸が好ましく、特にはリンゴ酸が好ましく用いられる。
3官能以上の多官能化合物は全ジカルボン酸成分に対して、0.001〜5モル%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.5モル%である。この範囲の上限超過ではゲル(未溶融物)が生成しやすく、下限未満では粘度上昇の効果が得にくい。
<ポリエステルの連続製造方法>
本発明におけるポリエステルの連続製造方法として脂肪族ポリエステルを例にとり説明するがこれに限定されるものではない。
本発明の脂肪族ポリエステルの連続製造方法は、溶融重縮合反応後の脂肪族ポリエステル(本明細書では重縮合反応物ともいう)を、溶融状態のまま押出機(本明細書では押出し工程における反応槽ともいう)に供給するとともにラジカルトラップ剤を添加する処理を行うことを特徴とするものであり、エステル化反応工程、溶融重縮合反応工程において使用する反応装置としては、公知のポリエステルの連続製造に用いられるものを採用することができる。また、押出し工程において使用する反応装置としては、押出機が挙げられ、具体的には、単軸押出機、2軸押出機など公知の押出機を使用することができるが、添加剤の配合や低分子量成分の脱揮などを行う場合は、混練分散性が良く、表面更新性に優れ、運転条件幅の広い2軸押出機が好ましい。
以下に、脂肪族ジカルボン酸としてコハク酸、脂肪族ジオールとして1,4−ブタンジオール、多官能化合物としてリンゴ酸を原料とした、本発明に係る脂肪族ポリエステルの製造方法の好ましい実施態様について、添付図面の参照符号を付記しつつ説明するが、本発明は図示の形態に限定されるものではない。なお、図1は、本発明におけるエステル化反応工程の一実施形態を示す概略図、図2は、本発明における重縮合工程の一実施形態を示す概略図、図3は押出し工程であり、ラジカルトラップ剤添加口、脱揮用ベント、液体注入口を備えた脱揮用2軸押出機の一実施形態を示す概略図である。
<エステル化反応工程>
図1において、原料のコハク酸、リンゴ酸は、通常、原料混合槽(図示せず)で1,4−ブタンジオールと混合され、原料供給ライン1からスラリー又は液体の形態でエステル化反応槽Aに供給される。また、エステル化反応時に触媒添加する場合は、触媒調整槽(図示せず)で1,4−ブタンジオールの溶液とした後、エステル化槽触媒供給ライン3から供給される。
ここで、コハク酸に対する1,4−ブタンジオールの仕込みモル比は通常0.95〜2.0、好ましくは1.0〜1.7、より好ましくは1.05〜1.40である。また、コハク酸に対するリンゴ酸の仕込みモル%は0.05〜0.50モル%が好ましい。エステル化反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下である。反応圧力は通常、10kPa〜150kPaであるが、常圧が好ましい。反応時間は、通常1時間以上であり、上限が通常10時間以下、好ましくは、4時間以下であり、エステル化率を、通常80%以上、好ましくは88%以上とした後、次工程の溶融重縮合反応工程に送られる。
本発明に用いるエステル化反応槽Aとしては、公知のものが使用でき、縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、塔型連続反応槽等の型式のいずれであってもよく、又、単数槽としても、同種又は異種の槽を直列させた複数槽としてもよい。中でも攪拌装置を有する反応槽が好ましく、攪拌装置としては、動力部及び軸受、軸、攪拌翼からなる通常のタイプの他、タービンステーター型高速回転式攪拌機、ディスクミル型攪拌機、ローターミル型攪拌機等の高速回転するタイプも用いることができる。
攪拌の形態にも制限はなく、反応槽中の反応液を反応槽の上部、下部、横部等から直接攪拌する通常の攪拌方法の他、反応液の一部を反応槽の外部に配管等で持ち出してラインミキサ−等で攪拌し、反応液を循環させる方法もとることができる。また、攪拌翼の種類も公知のものが選択でき、具体的にはプロペラ翼、スクリュー翼、タービン翼、ファンタービン翼、デイスクタービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼等があげられる。
エステル化反応槽Aから留出するガスは、留出ライン5を経て精留塔Cで高沸成分と低沸成分とに分離される。通常、高沸成分の主成分は1,4−ブタンジオールであり、低沸成分の主成分は、水及びテトラヒドロフランである。
精留塔Cで分離された高沸成分は、抜出ライン6から抜き出され、ポンプDを経て、一部は再循環ライン2から反応槽Aに循環され、一部は循環ライン7から精留塔Cに戻される。また、余剰分は抜出ライン8から外部に抜き出される。一方、精留塔Cで分離された軽沸成分はガス抜出ライン9から抜き出され、コンデンサGで凝縮され、凝縮液ライン10を経てタンクFに一時溜められる。タンクFに集められた軽沸成分の一部は、抜出ライン11、ポンプE及び循環ライン12を経て精留塔Cに戻され、残部は、抜出ライン13を経て外部に抜き出される。コンデンサGはベントライン14を経て排気装置(図示せず)に接続されている。反応槽A内で生成したエステル化反応物は、抜出ポンプB及びエステル化反応物の抜出ライン4を経て溶融重縮合反応工程に供給される。
図1に示す工程においては、再循環1,4−ブタンジオールの再循環ライン2にエステル化槽触媒供給ライン3を連結し、両者を混合した後、反応槽Aの液相部に供給する態様が示されているが、両者は独立していてもよい。また、原料供給ライン1は反応槽Aの液相部に接続されていてもよい。また、重縮合前のエステル化反応物に触媒を添加する場合は、調製槽(図示せず)で所定濃度に調製した後、図2における触媒供給ラインL7を経て、エステル化反応物の抜出ライン4に供給される。
<溶融重縮合反応工程>
抜出ライン4から図2に示される溶融重縮合反応工程の第1重縮合反応槽aに供給されたエステル化反応物は、減圧下に重縮合されてポリエステル低重合体となり、その後、抜出用ギヤポンプc及び抜出ラインL1を経て第2重縮合反応槽dに供給される。第2重縮合反応槽dでは、通常、第1重縮合反応槽aよりも低い圧力で更に重縮合反応が進められる。得られた重縮合物は、引き続き抜出用ギヤポンプe及び抜出ラインL3を経て、第3重縮合反応槽kに供給され、更に重縮合反応が進められる。符号L2、L4、L6は、それぞれ、第1重縮合反応槽a、第2重縮合反応槽d、第3重縮合反応槽kのベントラインである。本明細書では、重縮合反応槽を溶融重縮合反応工程における反応槽ともいう。
本発明に用いる重縮合反応槽の型式に特に制限はなく、例えば、縦型攪拌重合槽、横型攪拌重合槽、薄膜蒸発式重合槽などをあげることができる。重縮合反応槽は、1基とすることも、図示のように同種又は異種の複数基の槽を直列させた複数槽とすることもできるが、複数槽とすることが好ましく、反応液の粘度が上昇する重縮合の後期は界面更新性とプラグフロー性、セルフクリーニング性に優れた薄膜蒸発機能を有した横型攪拌重合機を選定することが好ましい。例えば本実施態様において、第3重縮合反応槽kは、複数個の攪拌翼ブロックで構成され、2軸のセルフクリーニングタイプの攪拌翼を具備した横型の反応槽である。
重縮合反応は、通常、減圧下で行われる。重縮合反応槽の反応圧力は、下限が通常0.01kPa以上、好ましくは0.03kPa以上であり、上限が通常1.4kPa以下、好ましくは0.4kPa以下である。重縮合反応時の圧力が高すぎると、重縮合時間が長くなり、それに伴いポリエステルの熱分解による分子量低下や着色が引き起こされ、実用上充分な特性を示すポリエステルの製造が難しくなる傾向がある。一方、超高真空重縮合設備を用いて製造する手法は重縮合反応速度を向上させる観点からは好ましい態様であるが、極めて高額な設備投資が必要となるため、経済的には不利である。反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上であり、上限が通常270℃以下、好ましくは260℃以下の範囲である。この温度が低すぎると、重縮合反応速度が遅く、高重合度のポリエステル製造に長時間を要するばかりでなく、高動力の撹拌機も必要となるため、経済的に不利である。一方、反応温度が高すぎると製造時のポリマーの熱分解が引き起こされ、高重合度のポリエステルの製造が難しくなる傾向がある。反応時間は、下限が通常1時間以上であり、上限が通常15時間以下、好ましくは8時間以下、より好ましくは6時間以下である。反応時間が短すぎると反応が不充分で高重合度のポリエステルが得にくく、その成形品の機械物性が劣る傾向となる。一方、反応時間が長すぎると、ポリエステルの熱分解による分子量低下が顕著となり、その成形品の機械物性が劣る傾向となるばかりでなく、ポリエステルの耐久性に悪影響を与えるカルボキシル基末端量が熱分解により増加する場合がある。
<反応触媒>
本発明の製造方法においては、反応の促進のために、エステル化反応や重縮合反応で反応触媒を添加することもできる。エステル化反応においては無触媒でも十分な反応速度を得ることができるが、重縮合反応においては無触媒では反応が進みにくいため、触媒を用いることが好ましい。
エステル化反応触媒としては後述する重縮合触媒と同様のものを使用することができ、中でも、チタン化合物、ジルコニウム化合物、ゲルマニウム化合物が好ましい。
重縮合反応触媒としては、一般には、周期表1〜14族の金属元素のうち少なくとも1種を含む化合物が用いられる。金属元素としては、具体的には、スカンジウム、イットリウム、サマリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウム及びカリウム等があげられる。その中では、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、タングステン、亜鉛、鉄、ゲルマニウムが好ましく、特に、チタン、ジルコニウム、タングステン、鉄、ゲルマニウムが好ましい。更に、ポリエステルの熱安定性や耐加水分解性に影響を与える末端濃度を低減させるためには、上記金属の中では、ルイス酸性を示す周期表3〜6族の金属元素が好ましい。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、タングステンであり、特に、入手のし易さからチタン、ジルコニウムが好ましい。
本発明においては、触媒として、これらの金属元素を含むカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩又はβ―ジケトナート塩等の有機基を含む化合物、更には前記した金属の酸化物、ハロゲン化物等の無機化合物及びそれらの混合物が好ましく用いられる。
本発明においては、触媒は、重縮合時に溶融或いは溶解した状態であると重合速度が高くなる理由から、重縮合時に液状であるか、エステル低重合体やポリエステルに溶解する化合物が好ましい。また、重縮合は無溶媒で行うことが好ましいが、これとは別に、触媒を溶解させるために少量の溶媒を使用してもよい。この触媒溶解用の溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオールなどの前述のジオール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ヘプタン、トルエン等の炭化水素化合物、水並びにそれらの混合物等があげられ、その使用量は、触媒濃度が、通常0.0001重量%以上、99重量%以下となるように使用する。
チタン化合物としては、テトラアルキルチタネート及びその加水分解物が好ましく、具体的には、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジルチタネート及びこれらの混合チタネート、及びこれらの加水分解物があげられる。また、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタン(ジイソプロキシド)アセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテイト)ジヒドロキシド、チタンビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシド、チタン(トリエタノールアミネート)イソプロポキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ブチルチタネートダイマー等も好んで用いられる。また、アルコール、アルカリ土類金属化合物、リン酸エステル化合物、及びチタン化合物を混合することにより得られる液状物も用いられる。これらの中では、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート及びテトラ−n−ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテイト)ジヒドロキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、ブチルチタネートダイマー及び、アルコール、アルカリ土類金属化合物、リン酸エステル化合物、及びチタン化合物を混合することにより得られる液状物、が好ましく、テトラ−n−ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、ブチルチタネートダイマー及び、アルコール、アルカリ土類金属化合物、リン酸エステル化合物、及びチタン化合物を混合することにより得られる液状物がより好ましく、特に、テトラ−n−ブチルチタネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート及び、アルコール、アルカリ土類金属化合物、リン酸エステル化合物、及びチタン化合物を混合することにより得られる液状物が好ましい。
ジルコニウム化合物としては、具体的には、ジルコニウムテトラアセテイト、ジルコニウムアセテイトヒドロキシド、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、ジルコニルジアセテイト、シュウ酸ジルコニウム、シュウ酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニウムカリウム、ポリヒドロキシジルコニウムステアレート、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−t−ブトキシド、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート並びにそれらの混合物が例示される。これらの中では、ジルコニルジアセテイト、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、ジルコニウムテトラアセテイト、ジルコニウムアセテイトヒドロキシド、シュウ酸ジルコニウムアンモニウム、シュウ酸ジルコニウムカリウム、ポリヒドロキシジルコニウムステアレート、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−t−ブトキシドが好ましく、ジルコニルジアセテイト、ジルコニウムテトラアセテイト、ジルコニウムアセテイトヒドロキシド、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、シュウ酸ジルコニウムアンモニウム、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシドがより好ましく、特にジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレートが着色のない高重合度のポリエステルが容易に得られることから好ましい。
ゲルマニウム化合物としては、具体的には、酸化ゲルマニウムや塩化ゲルマニウム等の無機ゲルマニウム化合物、テトラアルコキシゲルマニウムなどの有機ゲルマニウム化合物があげられる。価格や入手の容易さなどから、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム及びテトラブトキシゲルマニウムなどが好ましく、特に、酸化ゲルマニウムが好ましい。
その他の金属含有化合物としては、炭酸スカンジウム、スカンジウムアセテート、スカンジウムクロリド、スカンジウムアセチルアセトネート等のスカンジウム化合物、炭酸イットリウム、イットリウムクロリド、イットリウムアセテート、イットリウムアセチルアセトネート等のイットリウム化合物、バナジウムクロリド、三塩化バナジウムオキシド、バナジウムアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネートオキシド等のバナジウム化合物、モリブデンクロリド、モリブデンアセテート等のモリブデン化合物、タングステンクロリド、タングステンアセテート、タングステン酸等のタングステン化合物、セリウムクロリド、サマリウムクロリド、イッテルビウムクロリド等のランタノイド化合物等があげられる。
又、重縮合時には、前記重縮合触媒と共に、正燐酸、トリス( トリエチレングリコー
ル) ホスフェート、エチルジエチルホスホノアセテート、エチルアシッドホスフェート
、トリエチレングリコールアシッドホスフェート、亜燐酸等の燐化合物を安定剤として共存させてもよい。
前記エステル化反応工程中、又は溶融重縮合工程中又押出し工程中には、ポリエステルの特性が損なわれない範囲において各種の添加剤、例えば熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤及び紫外線吸収剤等を添加してもよい。
重縮合触媒として金属化合物を用いる場合の触媒添加量は、生成するポリエステルに対する金属量として、下限値が通常、0.1ppm以上、好ましくは0.5ppm以上、より好ましくは1ppm以上であり、上限値が通常、3000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは250ppm以下、特に好ましくは130ppm以下である。使用する触媒量が多すぎると、経済的に不利であるばかりでなく、理由は未だ詳らかではないが、ポリエステル中のカルボキシル基末端濃度が多くなる場合があるため、カルボキシル基末端量並びに残留触媒濃度の増大によりポリエステルの熱安定性や耐加水分解性が低下する場合がある。逆に少なすぎると重合活性が低くなり、それに伴いポリエステル製造中にポリエステルの熱分解が誘発され、実用上有用な物性を示すポリエステルが得られにくくなる。
触媒の反応系への添加位置は、溶融重縮合反応工程以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよいが、水が多く存在、もしくは発生している状況下で触媒が共存すると触媒が失活し、異物が析出する原因となり製品の品質を損なう場合があるため、エステル化反応工程以後に添加するのが好ましい。
第3重縮合反応槽kで重縮合反応を終えた脂肪族ポリエステルは、溶融状態のままで、抜き出しラインL5、抜出用ギヤポンプn及び押出機原料樹脂供給ラインL9を経て押出し工程に導入され脱揮される。
<押出し工程>
本発明において、押出し工程とは溶融重縮合反応工程における最後の反応槽の出口から重縮合反応物(ポリエステル)の出口配管(例として図2、3における反応物抜き出しラインL5)、必要に応じてギヤポンプ、フィルターなどを経て、押出機入り口配管(例として図2、3における押出機樹脂供給ラインL9)、押出機、必要に応じてギヤポンプ、フィルターを経て、押出機の出口までをいうが、より具体的には、押出機の出口とはポリエステルが押出しされ、カッティング等によりペレット化されるまでを云う。
ここで、溶融重縮合反応工程における最後の反応槽の出口から押出し工程の最初の反応槽の入り口までの間における重縮合反応物の温度は上限270℃が好ましくより好ましくは260℃である。下限は通常ポリエステルの融点であるが、脂肪族ポリエステルの場合は融点プラス30℃が好ましくより好ましくは融点プラス60℃、更には融点プラス80℃特には融点プラス100℃が好ましい。上限以上では配管内などで急激な粘度上昇が起こり輸送が困難になることがある。
下限以下であると、溶融粘度が高く安定な押出しができにくい又配管内の輸送が困難となる。溶融重縮合反応工程における最後の反応槽の出口から押出し工程の最初の反応槽の入り口までの間における重縮合反応物の温度は例えば図3の樹脂温度計sで測定できる。
本発明において、溶融重縮合反応工程における最後の反応槽(重縮合反応槽)の出口から押出し工程の最初の反応槽(押出機)の入り口までの間(例として、図3におけるL5,n、L9)における重縮合反応物の平均滞留時間は上限は60分が好ましく、より好ましくは40分、更には20分が好ましい。上限以上では配管内などや押出機内で急激な粘度上昇が起こり押出が不安定で、運転が困難になることがある。またポリエステルの熱分解が起こり異物の原因となることがある。
下限は、ポリエステルの熱劣化の観点からは短いほど良いが配管取り回し上、ギヤポンプとフィルターを備える場合通常5分程度以上となる。
図3は押出し工程の一例であり、本発明において好ましく用いられる脱揮用ベント付、液体注入口付2軸押出機の一実施形態を示す概略図である。図3において、2軸押出機20は、押出機シリンダ21に添加剤添加口27、液体注入ラインL10、L12とそれぞれ繋がる液体注入口22、24と、ベントラインL11、L13とそれぞれ繋がるベント23、25とを有しており、一端にモーター26を有する。押出機処理後の溶融ポリエステルはギヤポンプpによりポリマーフィルターqへ供給し、フィルター通過後の溶融ポリエステルはダイrより抜き出して、冷却後に回転式カッターuでカッティングし、ポリエステルペレットを得る。
更に具体的には、図2第3重縮合反応槽kより抜き出された溶融ポリエステル(本明細書では、重縮合物ともいう)は、原料樹脂供給ラインL9を通じて2軸押出機20内に供給される。更にラジカルトラップ剤が添加口27よりサイドフィーダー等により供給され、溶融ポリエステルに分散・混合される。ラジカルトラップ剤の添加方法は、ラジカルトラップ剤をそのまま添加しても良いし、脂肪族ポリエステルに予め高濃度で配合したマスターバッチペレットを添加してもよい。
本発明において、ラジカルトラップ剤の添加場所は溶融重縮合反応工程における最後の反応槽の出口から押出し工程における最後の反応槽の出口までであり、押出し工程内の上流側が好ましく、図3では添加口27として例示してある。添加口27は酸素混入を防ぐため窒素などの不活性ガス雰囲気下にすることが好ましい。添加場所が溶融重縮合反応工程における最後の反応槽の出口より前であると、ポリエステルの溶融粘度が上昇しにくいことがあり、また押出し工程における最後の反応槽の出口より後、つまり重縮合物(ポリエステル)をペレット化した後に添加すると、ゲル生成の抑制効果が発揮されない。
<ラジカルトラップ剤>
本発明において、ラジカルトラップ剤とは、ポリエステルの熱分解などによって発生する活性ラジカルをトラップする機能を有するものであり、これにより、ポリエステル中にゲルが発生するのを抑制できる。
ラジカルトラップ剤として、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物が好ましく用いられる。
ヒンダードフェノール系化合物の具体的な例としては、テトラキス−[メチレン−3−(3‘,5’−ジ−t−ブチル−4‘−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N‘−ビス−3−(3’、5‘−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル、ヘキサメチレンジアミン、
3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4‘−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等があげられる。
ヒンダードアミン系化合物の具体的な例としては、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノル]、ビス−[1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル]2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重縮合物等があげられる。
ラジカルトラップ剤の融点は100℃以上が好ましい。100℃未満では押出脱揮工程でラジカルトラップ剤自身が揮発するため、多量に添加する必要があり、製造コストが高くなり好ましくない。
脱揮効果を高める観点から、2軸押出機20では液体注入口22、24を通じて水などの液体が注入されてもよい。ベント23、25を通じて減圧されることにより、ポリエステル樹脂の脱揮が効果的になされ、ポリエステル中の環状2量体が低減される。
押出機に注入される水の量は、脂肪族ポリエステル樹脂100質量部当り0.2〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部であり、少なくとも一箇所の押出機用液体注入口から注入添加する。
ベント部の圧力は40kPa以下が好ましく、より好ましくは10kPa以下、最も好ましくは5kPa以下である。下限は低圧である方がよいが、通常0.05kPaである。
図示の形態は液体注入口及びベントがそれぞれ2個ずつの例であるが、これらは1個又は3個以上であってもよい。
押出機のなかではスクリュー回転による剪断発熱でポリエステル温度が上昇することがあるが押出機出口温度で上限300℃とすることが好ましくより好ましくは280℃である。下限は通常200℃好ましくは220℃である。 上限以上では押出機内で急激な粘度上昇が起こり押出が不安定で、困難になることがある。またポリエステルの熱分解が起こり異物の原因となることがある。下限は、低いと脱揮効果が少ない。
押出機出口配管からダイまでの溶融ポリエステルの滞留時間は上限は30分が好ましくより好ましくは20分更には15分である。上限以上では配管内などや押出機内で急激な粘度上昇が起こり押出が不安定で、困難になることがある。またポリエステルの熱分解が起こり異物の原因となることがある。
下限は、ポリエステルの熱劣化の観点からは短いほど良いが配管取り回し上、ギヤポンプとフィルターを備える場合通常5分程度以上となる。
2軸押出機20で脱揮されたポリエステルは、ギヤポンプpを経てダイqより抜き出され冷却された後、回転式カッターrを通ってペレット化され、公知の方法で射出成形や押出成形されるか、或いは、溶融状態のまま成形機に供給されフィルム、繊維などに押出成形される。ダイと回転式カッターの代わりに水中カッターを使用することもできる。
また、本発明の脂肪族ポリエステルの成形時に上に示した各種の添加剤の他に、ガラス繊維、炭素繊維、チタンウィスカー、マイカ、タルク、CaCO3 、TiO2、シリカ等
の強化剤及び増量剤、さらに酸化防止剤、光安定剤など公知の安定剤、滑剤などの加工助剤を添加して成形することもできる。
本発明の製造方法により得られる脂肪族ポリエステルは、ゲルなど異物が少なく、各種の押出成形品や射出成形品の用途に適している。具体的な用途としては、射出成形法、中空成形法、及び押出成形法等の汎用プラスチック成形法等により、フィルム、ラミネートフィルム、シート、板、延伸シート、モノフィラメント、マルチフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、発泡体等の成形品に利用可能である。
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下で行う物性及び評価項目の測定方法は次の通りである。
<触媒中の金属元素分析>
試料0.1gをケルダールフラスコ中で硫酸存在下、過酸化水素で湿式分解の後、蒸留水にて定容したものについて、プラズマ発光分光分析装置(JOBIN YVON社製ICP−AES ULtrace JY−138U型)を用いて定量分析し、触媒中の金属含量(質量%)に換算した。
<触媒溶液のpH分析>
東亜DKK社製自動滴定装置(AUT−301型)を用い、大気下でpH電極を液状触媒に浸して測定した。
<エステル化率>
以下の計算式(1)によって酸価及びケン化価から算出した。酸価は、ベンジルアルコールに試料を溶解させ、0.1NのKOH/メタノール溶液を使用して滴定により求めた。ケン化価は0.5NのKOH/エタノール溶液でオリゴマーを加水分解し、0.5Nの塩酸で滴定し求めた。
エステル化率=((ケン化価−酸価)/ケン化価)×100・・・(1)
<固有粘度(IV)>
ウベローデ型粘度計を使用し次の要領で求めた。すなわち、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において、濃度0.5g/dLのポリマー溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式(2)より求めた。
IV=((1+4KηSP0.5−1)/(2KC) ・・・(2)
(但し、ηSP=η/η−1であり、ηはポリマー溶液落下秒数、ηは溶媒の落下秒数、Cはポリマー溶液濃度(g/dL)、Kはハギンズの定数である。Kは0.33を採用した。)
<環状2量体含有量>
ポリエステルの環状2量体含有量の測定は、高速液体クロマトグラフ分析を用いて下記条件で行った。
使用機種: GLサイエンス社製高速液体クロマトグラフィー
移動相: アセトニトリル/水(容量比4/6)
カラム: 資生堂社製「SHISEIDO CAPCELL PAK C−18 TYPE
MG」
カラムオーブン温度: 40℃
流速: 1.0mL/分
検出器:UV検出器(検出波長:210nm)
ポリエステル試料0.5gをクロロホルム10mLに室温で溶解させ、エタノール/水(容量比8/2)混合溶媒30mLを加えてポリマー部分を沈殿させた。2mLの上澄み液を採取し、室温で溶媒を留去後、得られた固体を2mLのアセトニトリルに再溶解させた。アセトニトリル溶液中の環状2量体含有量(質量%)はUV検出器を用い、環状2量体純粋品を用いた絶対検量線法で決定した。
環状2量体純粋品は下記のようにして得られた。すなわち、コハク酸と1,4−ブタンジオールを重合して得られたポリマーペレットをアセトン中50℃で12時間撹拌して、オリゴマー成分を抽出した。抽出終了後、ペレットを濾別し、オリゴマー成分を抽出したアセトン溶液から、アセトンを揮発させて固形物を得た。この固形物をアセトン中50℃で飽和溶液となるように溶解した後、徐冷し、上澄みを捨て、針状の析出物を取り出し、更に数回この再結晶操作を繰り返して精製した。この針状析出物は、1H−NMR分析及び高速液体クロマトグラフ分析にて環状2量体であることが確認された。
<ペレット色調YI>
ペレットを内径30mm、深さ12mmの円柱状の粉体測定セルに充填し、測色色差計Z300A(日本電色工業社製)を使用してJIS K7103の方法に準拠して測定した。
<フィルムフィッシュアイ>
ポリエステルペレットをイナートオーブン中で窒素雰囲気下80℃10時間乾燥した後、Film Quality Testing System(オプティカルコントロールシステムズ社 形式FS−5)を使用し、厚さ30μmで幅110mmのフィルムを成形温度190℃、冷却ロール温度30℃でTダイ成形し、成形が安定してからフィッシュアイ数をインライン測定し、フィルム面積1m当たりの大きさ200μm以上のフィッシュアイ数を求めた。
尚フィルムフィッシュアイを透過型光学顕微鏡で観察するとフィッシュアイの核は不定形であり、この核をFT−IRなどで分析すると正常部とほとんど同じ組成であることから、この核はポリエステルのゲル化物であると推定された。従ってフィッシュアイ数が多いことは、ポリエステルのゲル化物が多いことを意味している。
尚、本実施例及び比較例で添加するラジカルトラップ剤は以下の4種である。
ラジカルトラップ剤1:ヒンダードフェノール系化合物
テトラキス−[メチレン−3−(3‘,5’−ジ−t−ブチル−4‘−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製 Irganox1010)
融点115〜125℃
ラジカルトラップ剤2:ヒンダードフェノール系化合物
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製 Irganox1330)
融点240℃
ラジカルトラップ剤3:ヒンダードアミン系化合物
ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノル]
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製 Tinuvin944LD)
軟化点100〜135℃
ラジカルトラップ剤4:
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製 IRGAFOS168)
これらのラジカルトラップ剤は、実施例1の溶融重縮合工程と同様にして得られる脂肪族ポリエステルをペレット化した後に 該ペレットに1質量%混合し、押出機にて押出し、ペレット化しラジカルトラップ剤マスターバッチペレットとして実験に供した。
(実施例1)
<触媒溶液の調製>
撹拌装置付き500mlのガラス製ナス型フラスコに酢酸マグネシウム・4水和物を62.0g入れ、更に250gの無水エタノール(純度99%以上)を加えた。更にエチルアシッドホスフェート(モノエステル体とジエステル体の混合質量比は45:55)を35.8g加え、23℃で撹拌を行った。15分後に酢酸マグネシウムが完全に溶解したことを確認後、テトラ−n−ブチルチタネートを75.0g添加した。更に10分間撹拌を継続し、均一混合溶液を得た。この混合溶液を、1Lのナス型フラスコに移し、60℃のオイルバス中でエバポレーターによって減圧下で濃縮を行った。約1時間後に殆どのエタノールが留去され、半透明の粘稠な液体が残った。オイルバスの温度を更に80℃まで上昇させ、665Paの減圧下で更に濃縮を行った。粘稠な液体は表面から粉体状へと徐々に変化し、約2時間後には完全に粉体化した。その後、窒素を用いて常圧に戻し、室温まで冷却し、淡黄色粉体108gを得た。得られた触媒の金属元素分析値は、チタン原子含有量が10.3質量%、マグネシウム原子含有量が6.8質量%、リン原子含有量が7.8質量%であり、各原子のモル比としては、チタン/リン=0.78、マグネシウム/リン=1.0であった。また、エタノール溶媒を除く原料総質量に対して37%の製造時質量減少率が認められた。尚、この粉体においては、エチルアシッドホスフェート由来のエタノールやテトラ−n−ブチルチタネート由来のブタノール、1,4−ブタンジオールのアルコキシド基由来の吸収がNMR上で観測されず、本触媒のチタン金属には有機アルコキシド基が結合していないことが判明した。
更に、粉体状の触媒を1,4−ブタンジオールに溶解させ、チタン原子として3.4質量%となるように調製した。1,4−ブタンジオール中における保存安定性は良好であり、窒素雰囲気下40℃で保存した触媒溶液は少なくとも40日間析出物の生成は認められなかった。また、この触媒溶液のpHは6.1であった。
<エステル化反応工程及び重縮合反応工程>
図1に示すエステル化反応工程と図2に示す重縮合反応工程を通し、次の要領で脂肪族ポリエステルの製造を行った。まず、コハク酸1.00モルに対して、1,4−ブタンジオール1.30モル及びリンゴ酸0.0033モルの割合で混合した60℃のスラリーをスラリー調製槽から原料供給ライン(1)を通じ、予め、エステル化率99%の脂肪族ポリエステル低重合体を溶融充填したスクリュー型攪拌機を有するエステル化反応槽(A)に、42kg/hとなるように連続的に供給した。同時に、再循環ライン(2)から100℃の精留塔(C)の塔底成分(98質量%以上が1,4−ブタンジオール)を3.0kg/hで供給した。
反応槽(A)の内温は230℃、圧力は101kPaとし、生成する水とテトラヒドロフラン及び余剰の1,4−ブタンジオールを、留出ライン(5)から留出させ、精留塔(C)で高沸成分と低沸成分とに分離した。系が安定した後の塔底の高沸成分は、98質量%以上が1,4−ブタンジオールであり、精留塔(C)の液面が一定になるように、抜出ライン(8)を通じてその一部を外部に抜き出した。一方、水とテトラヒドロフランを主体とする低沸成分は塔頂よりガスの形態で抜き出し、コンデンサ(G)で凝縮させ、タンク(F)の液面が一定になるように、抜出ライン(13)より外部に抜き出した。
反応槽(A)で生成したエステル化反応物を、ポンプ(B)を使用し、連続的にエステル化反応物の抜出ライン(4)から抜き出し、反応槽(A)内の反応物のコハク酸ユニット換算での平均滞留時間が3時間になるように液面を制御した。抜出ライン(4)から抜き出したエステル化反応物は、第1重縮合反応槽(a)に連続的に供給した。系が安定した後、反応槽(A)の出口で採取したエステル化生成物のエステル化率は90.6%であった。
実施例1にて調製した触媒溶液を更に1,4−ブタンジオールで希釈して、チタン原子としての濃度を0.17質量%とした液を供給ライン図2(L7)を通じてエステル化反応物の抜出ライン(4)に1.0kg/hで供給した。
第1重縮合反応槽(a)の内温は250℃、圧力2.7kPaとし、滞留時間が120分になるように液面制御を行った。減圧機(図示せず)に接続されたベントライン(L2)から、水、テトラヒドロフラン、1,4−ブタンジオールを抜き出しながら、初期重縮合反応を行った。抜き出した反応液は第2重縮合反応槽(d)に連続的に供給した。
第2重縮合反応槽(d)の内温は250℃、圧力400Paとし、滞留時間が60分になるように液面制御を行い、減圧機(図示せず)に接続されたベントライン(L4)から、水、テトラヒドロフラン、1,4−ブタンジオールを抜き出しながら、更に重縮合反応を進めた。得られたポリエステルは、抜出用ギヤポンプ(e)により抜出ライン(L3)を経由し、第3重縮合反応槽(k)に連続的に供給した。第3重縮合反応槽(k)の内温は250℃、圧力は130Pa、滞留時間は60分とし、更に、重縮合反応を進めた。重縮合反応後の反応物は、第3重縮合反応槽(k)よりライン(L5)にて抜き出し、ギヤポンプ(n)、次いでライン(L9)を経て、2軸押出機に供給された。ライン(L5)とギヤポンプ(n)及びライン(L9)での滞留時間の合計は10分であり、ギヤポンプ(n)出口で樹脂温度計sにより計測した反応物温度は250℃であった。
<押出し工程>
2軸押出機は(図3の21)口径30mm、L/D=45.5の同方向回転の2軸押出機である。この押出機で脱揮処理を行った。押出機シリンダの設定温度は190℃、スクリュー回転数を250rpmに設定した。重縮合反応後の反応物を33kg/hで連続的に供給し、その後でラジカルトラップ剤1を含有するマスターバッチペレットを、ラジカルトラップ剤濃度が脂肪族ポリエステル中に0.1質量%となるように、窒素シールされたラジカルトラップ剤添加口(図3の27)から供給した。ラジカルトラップ剤を分散混合した後で、脂肪族ポリエステルに対して1質量%のイオン交換水を液添ポンプにて液体注入口(図3の22)から連続供給し、引き続きベント口(図3の23)よりベントラインL11を介して真空ポンプにて脱揮した。同様にして液体注入口24よりイオン交換水を供給し、ベント口25より脱揮し、更にL13より下流の液体注入口(図示していない)より、イオン交換水を供給し、ベント口(図示していない)より脱揮した。尚注水部位のスクリューにはニーディングエレメントを使用し、ニーディング部の後にはシールリングを装着し、注水部分で水を分散させるようにした。ギヤポンプpにて押出機より脱揮処理後の脂肪族ポリエステルを抜き出してポリマーフィルターqへ移送し、次いでダイrへ移送し、ダイから出たストランドを水槽で冷却した後、回転式カッターuでカッティングし、脱揮処理後の脂肪族ポリエステルペレットを得た。各ベント口の圧力は3kPaで、押出機出口におけるポリエステルの温度を樹脂温度計tで計測すると260℃であり、押出機内での滞留時間は3分であった。溶融ポリエステルが押出機出口からギヤポンプを経てダイより出るまでの平均滞留時間は10分であった。溶融重縮合工程出口のポリエステルサンプルの固有粘度、環状2量体含有量、及び得られた脂肪族ポリエステルの環状2量体量含有量、固有粘度、色調、フィルムフィッシュアイを評価し、まとめて表1に示した。フィッシュアイは少なく良好であった。また得られた脂肪族ポリエステルの融点は120℃であった。
なお、重縮合工程出口から押出機入口までの平均滞留時間は、ラインL5の配管内体積とラインL9の配管内体積とギヤポンプn内の液充満部体積を足し合わせた反応液体積の合計と、樹脂温度計sで測定される反応液温度における反応液密度と単位時間当たりの液流量から計算して求めた。
(実施例2)
ラジカルトラップ剤の添加量を0.01質量%にした以外は実施例1と同様に実施した。フィルムのフィッシュアイは良好でペレット色調は良好であった。結果を表1に示す。
(実施例3、4、8)
ラジカルトラップ剤の種類をラジカルトラップ剤2、3、4にそれぞれ変えた以外は実施例1と同様に実施した。フィルムフィッシュアイは良好であった。結果を表1に示す。
(実施例5)
押出機シリンダの設定温度を250℃に上げた以外は実施例1と同様に実施した。環状2量体量は更に減少したが、IVはやや上昇し、フィルムフィッシュアイはやや多かった。結果を表1に示す。
(実施例6)
ライン(L5)とライン(L9)の長さを長く取り回しして配管滞留時間を80分にした以外は実施例1と同様に実施した。実施例5よりも更にIVが高くなり、フィルムフィッシュアイも増加した。結果を表1に示す。
(実施例7)
ライン(L5)とギヤポンプ(n)とライン(L9)の熱媒温度を高くし、配管中の反応物温度を300℃にした以外は実施例1と同様に実施した。実施例6と同じくIVが高くなり、色調は悪くなり、フィルムフィッシュアイも増加した。結果を表1に示す。
(比較例1)
ラジカルトラップ剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に実施した。IVの上昇が著しく、フィルムフィッシュアイも非常に多く外観の悪いフィルムとなった。結果を表1に示す。
(比較例2)
ラジカルトラップ剤を2軸押出機で添加せずにペレットを得た後に、フィルム成形時にラジカルトラップ剤マスターバッチをペレットブレンドして、フィルム成形を行った以外は実施例1と同様に実施した。比較例1と同じくフィルムフィッシュアイが非常に多く外観の悪いフィルムとなった。結果を表1に示す。
Figure 0005176649
本発明により得られるポリエステルはゲル等の異物が少なく優れた各種フィルムや成形品の原料とすることができる。
本発明に係る脂肪族ポリエステルの製造方法におけるエステル化反応工程の一実施形態を示す概略図である。 本発明に係る脂肪族ポリエステルの製造方法における溶融重縮合反応工程の一実施形態を示す概略図である。 本発明に係る脂肪族ポリエステルの製造方法における押出し工程の一実施形態を示す概略図である。
符号の説明
1:原料供給ライン
2:再循環ライン
4:エステル化反応物の抜出ライン
5:留出ライン
6:抜出ライン
7:循環ライン
8:抜出ライン
9:ガス抜出ライン
10:凝縮液ライン
11:抜出ライン
12:循環ライン
13:抜出ライン
14:ベントライン
A:エステル化反応槽
B:抜出ポンプ
C:精留塔
D、E:ポンプ
F:タンク
G:コンデンサ
L1、L3、L5:反応物抜出ライン
L2、L4、L6:減圧ライン
L7:触媒供給ライン
a:第1重縮合反応槽
d:第2重縮合反応槽
k:第3重縮合反応槽
c、e、n:抜出用ギヤポンプ
s:樹脂温度計
20:2軸押出機
L9:押出機原料樹脂供給ライン
L10、L12:液体注入ライン
L11、L13:脱揮用ベントライン
21:押出機シリンダ
22、24:液体注入口
23、25:ベント
27:ラジカルトラップ剤添加口
26:モーター
p:ギヤポンプ
q:ポリマーフィルター
r:ダイ
s、t:樹脂温度計
u:回転式カッター

Claims (7)

  1. 連続した複数の反応槽を用い、エステル化反応工程、溶融重縮合反応工程及び押出し工程を経て、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールを主成分とし、3官能以上の多官能化合物を共重合成分とする脂肪族ポリエステルを得る連続製造方法であって、該溶融重縮合反応工程における最後の反応槽の出口から押出し工程における最後の反応槽の出口までの間の重縮合反応物にラジカルトラップ剤を添加することを特徴とする脂肪族ポリエステルの連続製造方法。
  2. 該溶融重縮合反応工程における最後の反応槽の出口から押出し工程の最初の反応槽の入り口までの間における重縮合反応物の温度が270℃以下であり、且つ平均滞留時間が60分以内である請求項記載の脂肪族ポリエステルの連続製造方法。
  3. 押出し工程の最後の反応槽の出口におけるポリエステルの温度が300℃以下である請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステルの連続製造方法。
  4. 肪族ジカルボン酸の50モル%以上がコハク酸であり、脂肪族ジオールの50モル%以上が1,4−ブタンジオールである請求項乃至のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステルの連続製造方法。
  5. 3官能以上の多官能化合物がオキシカルボン酸であり、その含有割合が全ジカルボン酸成分に対して0.001〜5モル%である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリエステルの連続製造方法。
  6. ラジカルトラップ剤をマスターバッチペレットとして添加することを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のポリエステルの連続製造方法。
  7. ラジカルトラップ剤が少なくとも、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物のいずれかを含む請求項1乃至のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステルの連続製造方法。
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