JP5381858B2 - タンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法及びこれを用いた熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

タンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法及びこれを用いた熱延鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、タンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法及びこれを用いた熱延鋼板の製造方法に関する。本発明は、例えば、熱間圧延ラインのタンデム仕上圧延機を構成する各スタンドの出側板厚を決定するタンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法及びこれを用いた熱延鋼板の製造方法に関する。
熱間圧延ラインにおける仕上圧延機等、複数の圧延機(スタンド)を備えるタンデム圧延機によって被圧延材を圧延する際、各スタンドの動作は、最終スタンド出側における被圧延材の板厚や板幅等が目標の条件を満たすように決定される。この各スタンドの動作条件は、ドラフトスケジュール(パススケジュール)と呼ばれ、製品の品質や生産性等に大きな影響を与える。そのため、製品に応じて適切なドラフトスケジュールを決定することが求められている。
熱間圧延ラインにおけるタンデム仕上圧延機のドラフトスケジュールは、通常、最終製品に近い後段(被圧延材の移動方向下流側)のスタンドほど、ワークロール表面の肌荒れを低減して製品の表面性状を良好に保ち、また、ロールの弾性変形を抑制して製品の形状を良好にするために、圧延荷重が軽くなるように決定している。ここで、前段(被圧延材の移動方向上流側)スタンド及び後段スタンドの圧下率を同一に設定しても、板厚が薄い被圧延材を圧延する後段スタンドは、大きな圧延荷重が必要になるという圧延上の特性がある。そのため、通常のドラフトスケジュールでは、後段スタンドほど、圧下率が小さくなっている。
一方、自動車用や構造材用等として用いられる鋼材は、強度、加工性、靭性といった機械的特性に優れることが求められ、これらの機械的特性を総合的に高めるには、熱延鋼板の結晶粒を微細化することが有効である。また、結晶粒を微細化すれば、合金元素の添加量を削減しても優れた機械的性質を具備した高強度熱延鋼板を製造することが可能になる。
熱延鋼板の結晶粒の微細化方法としては、熱間仕上圧延の特に後段において、高圧下圧延(後段スタンドの圧下率を高めた仕上圧延)を行ってオーステナイト粒を微細化するとともに粒内に圧延歪を蓄積させ、仕上圧延直後に急冷することにより、得られるフェライト粒の微細化を図る方法が知られている。この方法で微細結晶粒を有する熱延鋼板(以下において、「微細粒鋼」という。)を製造するには、熱間圧延ラインにおけるタンデム仕上圧延機の後段スタンドの圧下率を、従来よりも高める必要があるため、従来とは異なるドラフトスケジュールを決定することが必要になる。
圧延機のドラフトスケジュール決定方法に関する技術は、これまでにいくつか開示されてきている。例えば特許文献1には、圧延の動作条件に関する複数の限界値について何れかのスタンドがその限界値を超えた場合は、そのスタンドの限界値に関する値をその限界値に至らないような値に修正すると共にそれ以外のスタンドでは基本圧延スケジュールの圧延条件に関するスタンド間のバランスを維持することを可能とする連続圧延機の圧延スケジュール決定方法が開示されている。また、特許文献2には、相前後するスタンド間でのロールギャップ差を演算し、各スタンドのロールギャップと出側板厚との関係に基づいてロールギャップ差と出側板厚との関係を表す感度行列を推定し、演算されたロールギャップ差のパターンを予めメモリに記憶された目標パターンに近づけるように、推定された感度行列を用いて出側板厚を繰り返し修正する連続圧延機のパススケジュール設定方法が開示されている。また、特許文献3には、ホットストリップミルにおける仕上スタンド等のロールギャップ及びロール速度を設定する圧延機のパススケジュールの設定方法が開示されている。
特許第2650564号公報 特許第3288546号公報 特開平3−99710号公報
しかしながら、特許文献1〜特許文献3に開示されている技術は、微細粒鋼の製造を目的とした技術ではない。それゆえ、これらの技術をそのまま適用しても、熱間仕上圧延の後段スタンドの圧下率を従来よりも高めたドラフトスケジュールを決定できない。そのため、これらの技術を適用しても微細粒鋼の製造が困難になりやすく、特に、超微細結晶粒(例えば、平均粒径が2μm以下の結晶粒をいう。以下において同じ。)を有する熱延鋼板(以下において、「超微細粒鋼」ということがある。)の製造が困難になるという問題があった。
そこで、本発明は、超微細粒鋼を製造することが可能なタンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法、及び、これを用いた熱延鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするため、添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の第1の態様は、N個(Nは4以上の整数)のスタンド(1、2、…、7)を備えるタンデム圧延機(10)のドラフトスケジュールを決定する方法であって、第Nスタンド(7)から第N−m+1スタンド(mは2以上N−2以下の整数)(5)までの各後段スタンドの圧下率をそれぞれ指定する後段スタンド圧下率指定工程(S1)と、該後段スタンド圧下率指定工程後に、第1スタンド(1)から第N−mスタンド(4)までの各スタンドの圧下率を決定する前段スタンド条件決定工程(S3)と、を有することを特徴とする、タンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法である。
ここに、「第Nスタンド(7)」とは、タンデム圧延機(10)の最終スタンド、すなわち、タンデム圧延機(10)によって圧延される被圧延材(8)の移動方向の下流端に配置されたタンデム圧延機のスタンド(7)をいう。また、「第1スタンド(1)」とは、タンデム圧延機(10)によって圧延される被圧延材(8)の移動方向の上流端に配置されたタンデム圧延機のスタンド(1)をいう。また、「圧下率」は、各スタンドにおいて「圧下率=1−出側板厚/入側板厚」で定義され、タンデム圧延機の第1スタンド以外の場合、入側板厚は一つ上流の圧延スタンドの出側板厚である。
また、上記本発明の第1の態様において、さらに、後段スタンド圧下率指定工程で指定された圧下率と、第Nスタンドの出側板厚とに基づいて、第N−mスタンド(4)から第N−1スタンド(6)までの各スタンドの出側板厚を決定する出側板厚決定工程(S2)を有し、該出側板厚決定工程で決定された第N−mスタンドの出側板厚と、第1スタンド(1)の入側板厚とに基づき、前段スタンド条件決定工程(S3)で、第1スタンドから第N−mスタンドまでの各スタンドの圧下率、及び、第1スタンドから第N−m−1スタンド(3)までの各スタンドの出側板厚がそれぞれ決定されることが好ましい。
また、上記本発明の第1の態様において、さらに、前段スタンド条件決定工程(S3)の後に、第Nスタンド(7)から第N−m+1スタンド(5)までの各後段スタンドの圧延荷重及び/又は圧延トルクが、各後段スタンドの仕様から決定される上限値を超えた場合に、圧延荷重及び圧延トルクが何れも上記上限値以下となる条件下で、後段スタンド圧下率指定工程(S1)で指定した圧下率からの偏差で表される評価値が最小となるように第1スタンド(1)から第N−1スタンド(6)までの各スタンドの出側板厚を修正する修正工程(S5)、を有することが好ましい。
本発明の第2の態様は、上記本発明の第1の態様にかかるタンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法によって決定されたドラフトスケジュールに基づいて動作する熱間仕上圧延機列(20)を用いて鋼板(8)を圧延する工程を有することを特徴とする、熱延鋼板の製造方法である。
本発明の第1の態様では、後段スタンド(5、6、7)の圧下率を指定した後に、第1スタンド(1)から第N−m(4)スタンドまでの各スタンドの圧下率が決定されるので、後段スタンド(5、6、7)の圧下率を従来よりも高く設定したドラフトスケジュール(超微細粒鋼の製造を想定したドラフトスケジュール)を容易に決定することができる。後段スタンド(5、6、7)の圧下率を従来よりも高く設定したドラフトスケジュールを熱間仕上圧延機列(20)へと適用することにより、超微細粒鋼の製造が可能になるので、本発明の第1の態様によれば、超微細粒鋼を製造することが可能なタンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法を提供することができる。また、本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様にかかるタンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法によって決定されたドラフトスケジュールに基づいて動作する熱間仕上圧延機列(20)を用いて鋼板(8)を圧延する工程を有している。そのため、本発明の第2の態様によれば、超微細粒鋼を製造することが可能な、熱延鋼板の製造方法を提供することができる。
本発明にかかるタンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法の形態例を示すフローチャートである。 本発明にかかるタンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法によってドラフトスケジュールが決定されるタンデム圧延機10の形態例を示す図である。 本発明にかかるタンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法によってドラフトスケジュールが決定される仕上圧延機列20を備えた熱延鋼板の製造ライン100の形態例を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明は以下に示す形態に限定されるものではない。
図1は、本発明にかかるタンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法(以下において、「本発明の決定方法」ということがある。)の形態例を示すフローチャートである。図1に示す本発明の決定方法は、後段スタンド圧下率指定工程(S1)と、出側板厚決定工程(S2)と、前段スタンド条件決定工程(S3)と、判断工程(S4)と、修正工程(S5)と、を有し、S1〜S5を経て、タンデム圧延機のドラフトスケジュールが決定される。
図2は、本発明の決定方法によってドラフトスケジュールが決定されるタンデム圧延機10の形態例を示す図である。図2では、タンデム圧延機10の形態を簡略化して示している。図2に示すように、タンデム圧延機10は、第1スタンド1、第2スタンド2、…、及び、第7スタンド7の7つのスタンドを有しており、第1スタンド1から第7スタンド7までの7つのスタンドによって、被圧延材8(以下において、「鋼板8」ということがある。)を連続圧延可能なように構成されている。これら7つのスタンド1、2、…、7は、それぞれ、一対のワークロール及び一対のバックアップロールを備えており、これらの動作は制御装置によって制御されている。すなわち、例えば第1スタンド1は、一対のワークロール1a、1a、及び、一対のバックアップロール1b、1bを備え、ワークロール1a、1a、及び、バックアップロール1b、1bの動作は、制御装置1cによって制御されている。同様に、例えば第7スタンド7は、一対のワークロール7a、7a、及び、一対のバックアップロール7b、7bを備え、ワークロール7a、7a、及び、バックアップロール7b、7bの動作は、制御装置7cによって制御されている。以下、図1及び図2を参照しつつ、本発明の一実施形態であるN=7及びm=3の場合について、本発明の決定方法における各工程を具体的に説明する。
<後段スタンド圧下率指定工程S1>
後段スタンド圧下率指定工程S1(以下において、「S1」という。)は、第Nスタンドから第N−m+1スタンドまで(Nは4以上の整数、mは2以上N−2以下の整数)の各後段スタンドの圧下率をそれぞれ指定する工程である。すなわち、N=7及びm=3である場合、S1は、第7スタンド7から第5スタンド5までの後段の3スタンドの圧下率をそれぞれ指定する工程である。m=3である場合、後段の3スタンドの圧下率をそれぞれ指定できれば、S1の形態は特に限定されるものではない。ただし、超微細粒鋼を容易に製造可能な形態にする等の観点からは、後段の3スタンドによって鋼板8へと蓄積すべき累積歪みを考慮して、第5スタンド5、第6スタンド6、及び、第7スタンド7の圧下率を指定することが好ましい。具体的には、平均粒径が2μm以下である超微細粒鋼を製造する場合、最終3パスの圧下率の粒径に対する影響を評価した実験結果より、第5スタンド5から第7スタンド7までの後段3スタンドの圧下率は、後述する表1に示される値に設定することができる。
<出側板厚決定工程S2>
出側板厚決定工程S2(以下において、「S2」という。)は、上記S1で指定した圧下率と、第Nスタンドの出側板厚とに基づいて、第N−mスタンドから第N−1スタンドまでの各スタンドの出側板厚を決定する工程である。すなわち、N=7及びm=3である場合、S2は、上記S1で指定した圧下率と、製品のスペック等に基づいて決定される第7スタンド7の出側板厚とに基づいて、第4スタンド4から第6スタンド6までの各スタンドの出側板厚を決定する工程である。具体的には、第7スタンド7の出側板厚が2.000mmであり、且つ、後述する表1に記載されているように第7スタンド7の圧下率が0.300である場合、第6スタンド6の出側板厚は2.857mmと決定することができる。以下同様にして、第5スタンド5の出側板厚は4.082mmと決定することができ、第4スタンド4の出側板厚は5.831mmと決定することができる。
<前段スタンド条件決定工程S3>
前段スタンド条件決定工程S3(以下において、「S3」という。)は、上記S2で決定された第N−mスタンドの出側板厚と、第1スタンドの入側板厚とに基づいて、第1スタンドから第N−mスタンドまでの各スタンドの圧下率、及び、第1スタンドから第N−m−1スタンドまでの各スタンドの出側板厚をそれぞれ決定する工程である。すなわち、N=7及びm=3である場合、S3は、上記S2で決定された第4スタンド4の出側板厚と、第1スタンド1の入側板厚とに基づいて、第1スタンド1から第4スタンド4までの各スタンドの圧下率、及び、第1スタンド1から第3スタンド3までの各スタンドの出側板厚をそれぞれ決定する工程である。第1スタンド1から第4スタンド4までの各スタンドの圧下率、及び、第1スタンド1から第3スタンド3までの各スタンドの出側板厚の決定方法は、特に限定されるものではなく、第1スタンド1の入側板厚及び第4スタンド4の出側板厚が特定された4スタンドのタンデム圧延とみなし、公知の方法によって、各スタンドの圧延荷重や圧延トルク等が上限値を超えないように決定することができる。第1スタンド1の入側板厚が32mmであり、且つ、板幅が1000mmである場合、第1スタンド1から第4スタンド4までの各スタンドの圧下率、及び、第1スタンド1から第3スタンド3までの各スタンドの出側板厚は、後述する表1に示される値に設定することができる。
上記S1〜S3によって決定した各スタンドの圧下率及び出側板厚[mm]、並びに、各スタンドの変形抵抗[MPa]、摩擦係数、圧延荷重[MN]、及び、圧延トルク[kN・m]を表1に示す。また、本発明の決定方法とは異なる従来の方法によって決定した各スタンドの圧下率、出側板厚[mm]、変形抵抗[MPa]、摩擦係数、圧延荷重[MN]、及び、圧延トルク[kN・m]を表2に示す。表1及び表2において、F1〜F7は、それぞれ、第1スタンド1〜第7スタンド7と対応している。なお、表1及び表2は、粗厚(第1スタンド1の入側板厚)が32mm、板幅が1000mmの鋼板を被圧延材8とし、仕上厚(第7スタンド7の出側板厚)を2.000mmとする場合のデータである。
Figure 0005381858
Figure 0005381858
表1及び表2を比べるとわかるように、超微細粒鋼を製造する表1の場合、後段スタンドの圧下率が高いために、後段スタンドの圧延荷重、圧延トルクとも非常に大きくなり、各後段スタンドの仕様(装置上の上限値の他に、ワークロール表面の肌荒れ防止等の品質上の観点から決められる上限値も含む)から決定される上限値を超える場合が起こり得る。この場合には、以下の工程により各スタンドの出側板厚を修正することが好ましい。
<判断工程S4>
判断工程S4(以下において、「S4」という。)は、第Nスタンドから第N−m+1スタンドまでの各後段スタンドの圧延荷重及び/又は圧延トルクが、各後段スタンドの仕様から決定される上限値を超えたか否かを決定する工程である。すなわち、N=7及びm=3である場合、S4は、第7スタンド7から第5スタンド5までの各後段スタンドの圧延荷重及び/又は圧延トルクが、各後段スタンドの仕様から決定される上限値を超えたか否かを決定する工程である。S4で上限値を超えていないと判断された場合(否定判断がなされた場合)には、下記修正工程S5を経ることなく、上記S1〜S3によって決定されたドラフトスケジュールに基づいて、タンデム圧延機10が駆動される。これに対し、S4で上限値を超えたと判断された場合(肯定判断がなされた場合)には、下記修正工程S5が行われる。
<修正工程S5>
修正工程S5(以下において、「S5」という。)は、上記S4で上限値を超えたと判断された場合に、第Nスタンドから第N−m+1スタンドまでの各後段スタンドの圧延荷重及び圧延トルクが何れもそれぞれの上限値以下になる条件の下で、上記S1で指定した圧下率からの偏差で表される評価値が最小となるように、第1スタンドから第N−1スタンドまでの各スタンドの出側板厚を修正する工程である。すなわち、N=7及びm=3である場合、S5は、上記S4で上限値を超えたと判断された場合に、第7スタンド7から第5スタンド5までの各後段スタンドの圧延荷重及び圧延トルクが何れもそれぞれの上限値以下になる条件の下で、上記S1で指定した圧下率からの偏差で表される評価値が最小となるように、第1スタンド1から第6スタンド6までの各スタンドの出側板厚を修正する工程である。第1スタンドから第N−1スタンドまでの出側板厚を修正することは、ドラフトスケジュールを修正することに相当するため、S5は、換言すると、上記S1〜S3によって決定されたドラフトスケジュールを修正する工程である。
S5で考慮される評価値は、例えば下記式(1)で表されるEを用いることができる。
Figure 0005381858
上記式(1)において、rは出側板厚修正前の第iスタンドの圧下率、hは第jスタンドの出側板厚、Δhは第jスタンドの出側板厚の修正量、raim,iは上記S1で指定した後段スタンドの圧下率である。また、上記式(1)のかっこ内における第2項は、出側板厚がΔh修正されたときの圧下率の変化量である。
出側板厚修正前の第iスタンドの圧延荷重をP、第iスタンドの圧延荷重の上限値をPl,iとするとき、各スタンドにおける圧延荷重の上限制約条件は、下記式(2)で表すことができる。また、出側板厚修正前の第iスタンドの圧延トルクをG、第iスタンドの圧延トルクの上限値をGl,iとするとき、各スタンドにおける圧延トルクの上限制約条件は、下記式(3)で表すことができる。式(2)及び式(3)において、i=N−m+1〜Nである。
式(2)及び式(3)の制約条件下で、式(1)で表される評価値を最小にする出側板厚修正量Δh(j=1〜N−1)を求める問題は、2次計画問題であり、公知の方法によって出側板厚修正量Δhを計算することができ、得られたΔhだけ出側板厚を修正することにより、圧延荷重及び圧延トルクが上限値以下になる条件下で、後段スタンドの圧下率が上記S1で指定された値に近いドラフトスケジュールを得ることができる。
Figure 0005381858
上記式(2)において、左辺第2項は、出側板厚がΔh修正されたときの圧延荷重の変化量である。
Figure 0005381858
上記式(3)において、左辺第2項は、出側板厚がΔh修正されたときの圧延トルクの変化量である。
上記S1〜S5によってタンデム圧延機10のドラフトスケジュールを決定する本発明の決定方法では、後段スタンド5、6、7の圧下率を指定した後に、残りのスタンド1、2、3、4の圧下率を決定する。そのため、最終スタンドを含めた後段の複数スタンドの圧下率を従来よりも高く設定したドラフトスケジュールを容易に決定することができる。最終スタンドを含めた後段の複数スタンドの圧下率を従来よりも高めることにより、超微細粒鋼の製造が可能になるので、本発明によれば、超微細粒鋼を製造することが可能な、タンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法を提供することができる。
また、S1とS3との間にS2を有する形態とすることにより、第N−mスタンドから第N−1スタンドまでの各スタンドの出側板厚が決定され、鋼板の粒径に影響を与える後段スタンドの圧下率をS1にて指定した値に一致させることが可能になる。また、ドラフトスケジュール決定の主たる目的である第1スタンドから第N−1スタンドまでの各スタンドの出側板厚の決定を、第1スタンドから第N−m−1スタンドまでの各スタンドの出側板厚の決定であるS3に縮小して考えることができ、S3には公知の方法が適用できる。したがって、本発明の決定方法は、S1とS3との間にS2を有する形態とし、且つ、上記態様のS3を有することが好ましい。
本発明の決定方法に関する上記説明では、S1〜S3の後に、S4及びS5を有する形態を例示したが、本発明の決定方法は当該形態に限定されるものではなく、S4及びS5を有しない形態とすることも可能である。ただし、後段スタンドの圧下率を高めたドラフトスケジュールを作成した場合であっても、後段スタンドの圧延荷重及び圧延トルクが上限値を超えないようにドラフトスケジュールを修正することにより、タンデム圧延機の破損を抑制し、かつ、ワークロール表面の肌荒れを防止しながら超微細粒鋼を製造しやすい形態にする等の観点からは、S1〜S3の後に、S4及びS5を有する形態とすることが好ましい。なお、S4及びS5を有する形態とする場合、タンデム圧延機を構成するすべてのスタンドに圧下率を設定し、各スタンドにおける加工発熱を導出しないと、各スタンドにおける被圧延材の温度を導出できない。そして、温度が導出されていなければ変形抵抗を導出できず、各スタンドに必要な負荷を導出できない。そのため、S4及びS5を有する形態とする場合、これらの工程は、S3の後に行われる。
図3は、本発明の決定方法によってドラフトスケジュールが決定される仕上圧延機列20を備えた熱延鋼板の製造ライン100の形態例を示す図である。図3では、熱延鋼板の製造ライン100の一部のみを抽出し、仕上圧延機列20に備えられる制御装置等の記載を省略している。図3に示すように、熱延鋼板の製造ライン100は、粗圧延機30a、30b、…、30fを備える粗圧延機列30と、仕上圧延機20a、20b、…、20gを備える仕上圧延機列20と、冷却装置40と、を有し、冷却装置40は、仕上圧延機列20の最終スタンド20gで圧延された鋼板8を急冷可能なように(具体的には、最終スタンド20gによる圧延終了から0.2秒以内に600℃/s以上の冷却速度で鋼板8を急冷可能なように)配置されている。仕上圧延機列20は、第1スタンド20aから第7スタンド20gまでの7つのスタンドを有しており、仕上圧延機列20のドラフトスケジュールは、上記S1〜S5によって決定される。そのため、仕上圧延機列20は、例えば、後段の3スタンド(第5スタンド20e、第6スタンド20f、及び、第7スタンド20g)の圧下率を、超微細粒鋼以外の鋼板を製造する際の圧下率よりも高めた形態で動作させることができ、これによって、鋼板8のオーステナイト粒を微細化するとともに粒内に圧延歪を蓄積させることが可能になる。そして、冷却装置40は、仕上圧延機列20の最終スタンド20gで圧延された鋼板8を急冷可能なように配置されているので、熱延鋼板の製造ライン100によれば、仕上圧延直後に鋼板8を急冷することにより、超微細粒鋼を製造することが可能になる。このように、熱延鋼板の製造ライン100における仕上圧延機列20のドラフトスケジュールを、本発明の決定方法によって決定することにより、超微細粒鋼を製造することが可能になる。
以上より、本発明によれば、超微細粒鋼を製造することが可能なタンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法、及び、超微細粒鋼を製造することが可能な熱延鋼板の製造方法を提供することができる。
鋼板を表1のドラフトスケジュールで圧延した場合と、表2のドラフトスケジュールで圧延した場合について、フェライト粒径を比較した。いずれの場合も、仕上圧延の0.2秒後に、鋼板を830℃から1000℃/sの冷却速度で680℃まで冷却する急冷条件を適用した。本発明方法で決定した表1のドラフトスケジュールによって圧延した場合の平均粒径は2μm、従来方法で決定した表2のドラフトスケジュールの場合の平均粒径は2.8μmであり、本発明によれば後段スタンドの圧下率を超微細粒鋼の製造条件に容易に合わせることができるため、超微細粒鋼を製造することが可能になる。
本発明のタンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法、及び、熱延鋼板の製造方法は、超微細結晶粒を有する熱延鋼板の製造に用いることができる。また、超微細結晶粒を有する熱延鋼板は、自動車用、家電用、機械構造用、建築用等の用途に使用される素材として用いることができる。
1…第1スタンド
2…第2スタンド
3…第3スタンド
4…第4スタンド
5…第5スタンド
6…第6スタンド
7…第7スタンド
8…被圧延材(鋼板)
10…タンデム圧延機
20…仕上圧延機列
30…粗圧延機列
40…冷却装置
100…熱延鋼板の製造ライン

Claims (4)

  1. N個(Nは4以上の整数)のスタンドを備えるタンデム圧延機のドラフトスケジュールを決定する方法であって、
    第Nスタンドから第N−m+1スタンド(mは2以上N−2以下の整数)までの各後段スタンドの圧下率をそれぞれ指定する後段スタンド圧下率指定工程と、
    前記後段スタンド圧下率指定工程後に、第1スタンドから第N−mスタンドまでの各スタンドの圧下率を決定する前段スタンド条件決定工程と、
    を有することを特徴とする、タンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法。
  2. さらに、前記後段スタンド圧下率指定工程で指定された前記圧下率と、前記第Nスタンドの出側板厚とに基づいて、前記第N−mスタンドから第N−1スタンドまでの各スタンドの出側板厚を決定する出側板厚決定工程を有し、
    前記出側板厚決定工程で決定された前記第N−mスタンドの出側板厚と、第1スタンドの入側板厚とに基づき、前記前段スタンド条件決定工程で、第1スタンドから第N−mスタンドまでの各スタンドの圧下率、及び、第1スタンドから第N−m−1スタンドまでの各スタンドの出側板厚がそれぞれ決定されることを特徴とする、請求項1に記載のタンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法。
  3. さらに、前記前段スタンド条件決定工程の後に、前記第Nスタンドから前記第N−m+1スタンドまでの各後段スタンドの圧延荷重及び/又は圧延トルクが、前記各後段スタンドの仕様から決定される上限値を超えた場合に、前記圧延荷重及び前記圧延トルクが何れも前記上限値以下となる条件下で、前記後段スタンド圧下率指定工程で指定した前記圧下率からの偏差で表される評価値が最小となるように前記第1スタンドから前記第N−1スタンドまでの各スタンドの出側板厚を修正する修正工程、
    を有することを特徴とする、請求項2に記載のタンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンデム圧延機のドラフトスケジュール決定方法によって決定されたドラフトスケジュールに基づいて動作する熱間仕上圧延機列を用いて鋼板を圧延する工程を有することを特徴とする、熱延鋼板の製造方法。
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