JP5380213B2 - 電極板のスペーサ構造 - Google Patents

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本発明は、電気集塵機に用いられる複数の電極板を所定間隔で設置するために使用するスペーサの構造に関する。
排ガス中に含まれる塵埃を捕集して清浄化ガスを排出するために用いる電気集塵機は、平板形状をなす複数枚の高圧電極、及びこの高圧電極と絶縁された接地電極を交互に且つ等間隔で平行に配置し、高圧電極と接地電極との間に電界を発生させて、排ガス中に含まれる塵埃を捕集する。このような電気集塵機では、複数枚の高圧電極を所定の間隔で支持するために、各高圧電極間にアルミニウム等で形成されたスペーサを配置している。例えば、特許文献1では楕円形状のスペーサを用いて各高圧電極を所定の間隔で支持していることが開示されている。以下、この構成を図6を参照して説明する。
図6は、従来における電気集塵機内に設けられる高圧電極、接地電極、及びスペーサのの配置状態を示す説明図である。図示のように、2枚の高圧電極101間には、これらの間隔が所定距離となるように、円筒形状のスペーサ102が設けられている。また、2枚の高圧電極101の間に設けられる接地電極103は、スペーサ102との干渉を避けるために、この部分に開口部が形成されている。従って、図6に示すように、スペーサ102と接地電極103とは、距離t1だけ間隔があけられている。
しかし、電気集塵機内に流入する空気中に水溶性オイルミスト等のオイル成分が含まれる場合には、このオイルミストがスペーサ102に付着し、更に、付着量が増えるとスペーサ102のほぼ中央でオイルミストによる油滴(図中、符号pで示す)が落下する。この場合、水溶性オイルミストが導電性であることから、スペーサ102の下方に存在する接地電極103と接触或いは接近することにより、スペーサ102と接地電極103を干渉させないために設けられた距離t1が短くなり、スペーサ102と接地電極103の絶縁特性が失われる。その結果、高圧電極101から油滴pを通じて接地電極103へ急激に電流が流れてスパークが発生するという問題が発生する。
特開2009−178626号公報
上述したように、従来は円筒形状をなすスペーサ102を用いて2枚の高圧電極101間の間隔が所定距離となるように設定しているので、スペーサ102の表面にオイルミストが付着し油滴が形成されると、この油滴が下方に落下した場合に、符号pに示すようにこの油滴が接地電極103と接触或いは接近する場合があり、このような場合には、スパークが発生し、これに起因して不快な雑音が発生し、電極の劣化や電極間電圧の不安定化等の問題が発生する原因となっていた。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、油滴が下方に落下した場合であってもスパークの発生を回避できる電極板のスペーサ構造を提供することにある。
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、平板形状をなす複数の電極板を、当該複数の電極板と略直交する方向から固定軸を貫通させて支持すると共に、各電極板間の前記固定軸にスペーサを配置して各電極板どうしの間隔を所定距離に保持するようにした電極板のスペーサ構造において、前記スペーサは、中央部に前記固定軸が挿通される孔部が形成され、前記固定軸の挿通方向に直交する平面で切断したときの周面の断面形状が円形状をなし、前記固定軸の挿通方向に平行な平面で切断したときの周面の断面形状は、該スペーサの幅方向の中心に近づくほど、該スペーサの軸中心からの距離が短くなり、前記幅方向の中心部に軸中心からの距離が最短となる頂点を有する形状とされたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、前記幅方向の中心部に頂点を有する形状は、2つの直線が前記頂点で接合するV字形状であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記固定軸の挿通方向と、前記V字形状をなす直線とのなす角度は、15°〜60°の範囲であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記幅方向の中心部に頂点を有する形状は、2つの円弧形状が頂点で接合する形状であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、平板形状をなす複数の電極板を、当該複数の電極板と略直交する方向から固定軸を貫通させて支持すると共に、各電極板間の前記固定軸にスペーサを配置して各電極板どうしの間隔を所定距離に保持するようにした電極板のスペーサ構造において、前記スペーサは、中央部に前記固定軸が挿通される孔部が形成され、前記固定軸の挿通方向に直交する平面で切断したときの周面の断面形状が円形状をなし、前記固定軸の挿通方向に平行な平面で切断したときの周面の断面形状は、該スペーサの幅方向の中心部近傍の所定位置に近づくほど、該スペーサの軸中心からの距離が短くなり、前記所定位置に軸中心からの距離が最短となる頂点を有する形状とされたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記所定位置に頂点を有する形状は、2つの直線が前記頂点で接合するオフセットしたV字形状であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、平板形状をなす複数の電極板を、当該複数の電極板と略直交する方向から固定軸を貫通させて支持すると共に、各電極板間の前記固定軸にスペーサを配置して各電極板どうしの間隔を所定距離に保持するようにした電極板のスペーサ構造において、前記スペーサは、中央部に前記固定軸が挿通される孔部が形成され、前記固定軸の挿通方向に直交する平面で切断したときの周面の断面形状が円形状をなし、前記固定軸の挿通方向に平行な平面で切断したときの周面の断面形状は、該スペーサの幅方向の一端から他端に向かうに連れて、該スペーサの軸中心からの距離が徐々に短くなる形状とされたことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、前記固定軸の挿通方向に平行な平面で切断したときの周面の断面形状は、該スペーサの幅方向の一端から他端に向かうに連れて、直線的に前記スペーサの軸中心からの距離が短くなるテーパ形状とされたことを特徴とする。
請求項1〜4の発明に係る電極板のスペーサ構造では、固定軸の挿通方向(スペーサの軸方向)に平行な平面で切断したときのスペーサ周面の断面形状が、該スペーサの幅方向の中心に近づくほど、該スペーサの軸中心からの距離が短くなり、幅方向の中心部に軸中心からの距離が最短となる頂点を有するので、スペーサの表面に付着した液体は、この表面に沿ってスペーサの端部方向へ移動し、その後油滴となって下方に落下することになる。従って、落下した油滴がスペーサの下方に存在する接地電極に接触することを防止でき、落下した油滴が接地電極と接触してスパークが発生するというトラブルを回避することができる。
また、固定軸の挿通方向(スペーサの軸方向)に平行な平面で切断したときのスペーサ周面の断面形状をV字形状(図2(a)〜(c)に示す形状)とすることや、2つの円弧形状が頂点で接合する形状(図2(d)に示す形状)とすることにより、上記の効果を達成することができる。
更に、スペーサ周面の断面形状をV字形状とした場合に、固定軸の挿通方向とV字形状をなす直線とのなす角度を15°以上とすることにより、スペーサ表面に付着し得る各種の液体に対処して油滴がスペーサの中央部分から落下することを防止できる。また、固定軸の挿通方向とV字形状をなす直線とのなす角度が60°を超えると、液体をスペーサの端部方向へ移動させる効果を備えるものの、スペーサ端部の面積が大きくなり、且つ、端部に強い力が加えられた場合に損傷し易いという欠点が生じる。従って、固定軸の挿通方向とV字形状をなす直線とのなす角度を60°以下とすることにより、上記の問題を解決できる。
請求項5、6の発明では、固定軸の挿通方向(スペーサの軸方向)に平行な平面で切断したときのスペーサ周面の断面形状が、該スペーサの幅方向の中心部近傍の所定位置に近づくほど、該スペーサの軸中心からの距離が短くなり、上記所定位置に軸中心からの距離が最短となる頂点を有するので、スペーサの表面に付着した液体は、この表面に沿ってスペーサの端部方向へ移動し、その後油滴となって下方に落下することになる。従って、落下した油滴がスペーサの下方に存在する接地電極に接触することを防止でき、落下した油滴が接地電極と接触してスパークが発生するというトラブルを回避することができる。
また、固定軸の挿通方向(スペーサの軸方向)に平行な平面で切断したときのスペーサ周面の断面形状をオフセットしたV字形状(図2(e)に示す形状)とすることにより、上記の効果を達成することができる。
請求項7、8の発明では、固定軸の挿通方向(スペーサの軸方向)に平行な平面で切断したときのスペーサ周面の断面形状が、該スペーサの幅方向の一端から他端に向かうに連れて、該スペーサの軸中心からの距離が徐々に短くなる形状とされるので、スペーサの表面に付着した液体は、この表面に沿ってスペーサの一方の端部方向へ移動し、その後油滴となって下方に落下することになる。従って、落下した油滴がスペーサの下方に存在する接地電極に接触することを防止でき、落下した油滴が接地電極と接触してスパークが発生するというトラブルを回避することができる。
また、固定軸の挿通方向(スペーサの軸方向)に平行な平面で切断したときのスペーサ周面の断面形状をテーパ形状(図2(f)に示す形状)とすることにより、上記の効果を達成することができる。
本発明の一実施形態に係るスペーサ構造が適用される電気集塵機の分解斜視図である。 本発明の実施形態に係るスペーサの断面形状を示す説明図である。 金属板に液体を付着させた場合に、付着した液体が油滴となって下方に落下する位置を測定する実験の説明図である。 各種の液体を用いて図3に示した実験を行った場合の実験結果を示す図である。 本発明の実施形態に係るスペーサに付着した液体が油滴となって下方に落下する様子を模式的に示す説明図である。 従来のスペーサを用いた場合に、該スペーサに付着した液体が油滴となって下方に落下してスパークが発生する様子を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るスペーサ構造を備えたスペーサが採用される電気集塵機の構成を示す分解斜視図である。図示のように、この電気集塵機16は、空気の流入方向に対して左側、右側の双方に側面プレート21、22が設けられ、各側面プレート21、22の間には、平板形状の接地電極23、及び高圧電極24が交互に、且つ所定間隔を持って略平行に配置されている。つまり、右側の側面プレート22に隣接して高圧電極24が設けられ、これに隣接して接地電極23が設けられ、更に、高圧電極24、接地電極23が交互に設けられている。
高圧電極24は、4つの隅部がテーパ形状に切り欠かれた八角形状をなし、更に各隅部にはそれぞれ後述する固定軸30を挿通するための小孔34が穿設されている。また、中央には後述する固定軸31を非接触で挿通するための、円形状の開口部32が形成されている。
接地電極23は、平板の矩形状をなし、4つの隅部には後述する固定軸30を非接触で挿通するための開口部27が形成され、更に、中央部には固定軸31を挿通するための小孔35が穿設されている。
2つの側面プレート21、22の各中心部間には、各接地電極23を支持するための固定軸31が設けられ、該固定軸31は、各接地電極23の中央に穿設された小孔35、及び各高圧電極24の中央に形成された開口部32を貫通して、左側の側面プレート21から右側の側面プレート22まで連結されている。この際、各高圧電極24に形成される開口部32は、固定軸31の直径に対して十分大きいので該固定軸31は、高圧電極24と接触しない。
また、各高圧電極24の4つの隅部に形成された小孔34を貫通する固定軸30が設けられ、該固定軸30は、各接地電極23の4つの隅部及び側面プレート22の4つの隅部に形成された開口部27を貫通して、側面プレート22の外部に突出している。この際、各接地電極23及び側面プレート22に形成された開口部27は固定軸30の直径に対して十分大きいので、固定軸30は各接地電極23とは接触しない。
更に、互いに隣接する高圧電極24の間の固定軸30には、中心に固定軸30が貫通可能な孔部26aを備えたスペーサ26が設けられ、このスペーサ26の幅により、2枚の高圧電極24間の距離が規定される。即ち、2枚の高圧電極24間の4つの隅部にそれぞれスペーサ26が介置されるので、各高圧電極24が等間隔で、且つ平行に配置されることになる。
側面プレート22の外面には、その4辺にプレート面に対して外方向に略直角に曲がる側板22aがそれぞれ設けられ、このうち、前面側、及び背面側の側板22aにはそれぞれ2本で、合計4本の碍子28が設けられ、この4本の碍子28により高圧電極24に所定の直流電圧を印加するための給電板25が固定されている。
また、該給電板25に形成されたブラケット29には、固定軸30の先端部が挿通され、ナット29aにより固定される。このため、給電板25と、固定軸30、及び各高圧電極24が電気的に接続され、且つ、碍子28を介して側面プレート22、側面プレート21、及び各接地電極23と電気的に絶縁されている。従って、各側面プレート21、22をグランドに接地し、給電板25に所定の直流電圧を印加することにより、高圧電極24に所定の電圧を印加することができ、電極23,24間に電界を発生させることができる。
そして、高圧電極24に電圧が印加された状態で、図中矢印で示す空気流入方向からプラス電荷を帯びた塵埃を含む含塵ガスが流入すると、プラス電荷を帯びた塵埃は接地電極23側に引き寄せられて捕集される。
次に、図2を参照して、本発明の特徴部分であるスペーサ26の構造について説明する。図2(a)〜(f)は、本実施形態に係るスペーサ26の、軸方向(図1に示す固定軸30が挿通される方向)に平行な平面で切断したときの断面形状(A−A断面)を示す説明図であり、以下、図2(a)〜(f)に示す各スペーサ26を区別して示す場合には、それぞれサフィックス「-1」〜「-6」を付することにする。
まず、図2(a)〜(c)について説明すると、各スペーサ26-1〜26-3は、断面がV字形状をなしており、幅方向の中心部がV字形状の頂点とされている。即ち、各スペーサ26-1〜26-3は、軸方向に平行な平面で切断したときの周面の断面形状は、該スペーサ26-1〜26-3の幅方向の中心に近づくほど、該スペーサ26-1〜26-3の軸中心(図中、中央の一点鎖線)からの距離が短くなり、幅方向の中心部に軸中心からの距離が最短となる頂点を有する形状とされている。更に、幅方向の中心部に頂点を有する形状は、2つの直線が頂点で接合するV字形状とされている。
図2(a)〜(c)に示す各スペーサ26-1〜26-3のうち、図2(a)に示すスペーサ26-1は、軸方向に対する周面r1の傾斜角度が45°とされ、図2(b)に示すスペーサ26-2は、軸方向に対する周面r2の傾斜角度が15°とされ、図2(c)に示すスペーサ26-3は、軸方向に対する周面r3の傾斜角度が60°とされている。
以下、軸方向に対する周面の傾斜角度について説明する。図3は、スペーサ26と同一の材料で形成した板材51を傾斜させ、更に液体を付着させた場合に、この付着した液体がどの位置で落下するかを求めるための実験手順を示す説明図である。
図3(a)に示すように、スプレー52を用いて板材51の下辺部のほぼ中央付近に液体qを噴霧して付着させる。
そして、図3(b)に示すように板材51を角度θ1だけ傾斜させた状態で、液体qを付着させた場合に、油滴q1が板材51の下辺の隅部まで移動せずに下方に落下した場合には、これは失敗(NG)であると判定する。
他方、図3(c)に示すように板材51を角度θ2だけ傾斜させた状態で、液体qを付着させた場合に、油滴q1が板材51の下辺の隅部まで移動して下方に落下した場合には、これは成功(OK)であると判定する。
図4は、発明者らが上記の実験を行った結果を示す対応表であり、液体qとして水(水道水)を用いた場合には、傾斜角度が3°以上となった場合に成功となった。換言すれば、傾斜角度が3°以上であれば、水滴は隅部から下方に落下することになる。また、液体qとして不水溶性切削油を用いた場合には、傾斜角度が14°以上となった場合に成功となった。
更に、水溶性の切削油を希釈率を変更して上記の実験を行った結果、希釈率が1倍の場合には傾斜角度が25°以上となった場合に成功となり、希釈率が10倍の場合には傾斜角度が5°以上となった場合に成功となり、希釈率が50倍の場合には傾斜角度が3°以上となった場合に成功となるという結果が得られた。ここで、通常用いる水溶性切削油は希釈率を10倍以上とすることが多いので、傾斜角度が5°以上であれば油液は隅部に移動した後、油滴となって下方に落下すると言える。
上記のことから、切削油が含まれる含塵ガスの塵埃を除去する場合の集塵機では、断面V字形状のスペーサ26の傾斜角度を15°以上とすることにより、スペーサ26の表面に付着した液体がその場で下方に落下することを防止できることが理解される。なお、実験結果では、14°以上であるが若干の余裕を考慮して15°としている。
図5は、本実施形態に係るスペーサ26と、高圧電極24、接地電極23との配置関係を模式的に示す説明図であり、図示のように、断面V字形状のスペーサ26を用いた場合には、スペーサ26の表面に付着した液体(切削油等)は、スペーサ26端部に移動した後、油滴となってほぼ高圧電極24の表面に沿って下方に落下することになる(図中、符号pで示す)。従って、スペーサ26から落下した液体が接地電極23と接触或いは接近することを防止でき、スパークの発生を回避できる。
次に、図2(d)〜(f)に示したスペーサ26-4〜26-6について説明する。図2(d)に示すスペーサ26-4は、周面の断面形状が中央部で接続される2つの円弧形状とされている。即ち、軸方向(固定軸30の挿通方向)に平行な平面で切断したときの周面の断面形状は、該スペーサ26-4の幅方向の中心に近づくほど、該スペーサ26-4の軸中心(図中、一点鎖線で示す)からの距離が短くなり、幅方向の中心部に軸中心からの距離が最短となる頂点s1を有する形状とされている。このように、周面の断面形状が直線でなく円弧形状であっても、上述したV字形状の場合と同様に、スペーサ26-4の隅部に液体を移動させた後に、油滴を下方に落下させることができる。
図2(e)に示すスペーサ26-5は、周面の断面形状がオフセットしたV字形状を有している。即ち、このスペーサ26-5は、軸方向(固定軸30の挿通方向)に平行な平面で切断したときの周面の断面形状が、該スペーサ26-5の幅方向の中心部近傍の所定位置(V字の頂点)に近づくほど、該スペーサ26-5の軸中心(図中、一点鎖線で示す)からの距離が短くなり、幅方向の中心部近傍の所定位置に軸中心からの距離が最短となる頂点を有する形状とされている。このような構成においても、図2(a)〜(c)に示したスペーサ26-1〜26-3と同様に、スペーサ26-5の隅部に液体を移動させた後に、油滴を下方に落下させることができる。
図2(f)に示すスペーサ26-6は、周面の断面形状がテーパ形状を有している。即ち、このスペーサ26-6は、軸方向(固定軸30の挿通方向)に平行な平面で切断したときの周面の断面形状が、該スペーサ26-6の幅方向の一端から他端に向かうに連れて、該スペーサ26-6の軸中心(図中、一点鎖線で示す)からの距離が徐々に短くなる形状とされている。このような構成においても、図2(a)〜(c)に示したスペーサ26-1〜26-3と同様に、スペーサ26-6の図中左側の隅部に液体を移動させた後に、油滴を下方に落下させることができる。
このようにして、本実施形態に係る電極板のスペーサ構造では、スペーサ26の断面形状をV字形状、オフセットしたV字形状、円弧を頂点で連結した形状、或いはテーパ形状等のように、スペーサ26の幅方向の距離に応じて周面の半径が変化する形状とし、更に、周面の半径が最大となる点が幅方向の中央位置以外の点(スペーサ26の幅方向の隅部)となるようにしている。従って、スペーサ26に付着したオイル等の液体は、該スペーサの隅部側に移動した後、油滴となって下方に落下することになり、落下した油滴が接地電極23に接触、或いは近接してスパークを発生するというトラブルの発生を回避することができる。
また、スペーサ26の断面をV字形状とする場合に、周面の傾斜角度が15°以上となるように設定されるので、該スペーサ26の表面に不水溶性切削油、或いは希釈率が10倍以上の水溶性切削油が付着した場合であっても、確実にこの液体がスペーサ26の端部に移動した後に油滴となって下方に落下するので、スパークの発生を防止できる。これに加えて、周面の傾斜角度が60°以下となるように設定される(例えば、図2(c)参照)ので、スペーサの端部の面積が必要以上に大きくならず、また、強度的に弱くなることを防止できる。
以上、本発明の電極板のスペーサ構造を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
本発明は、電気集塵機に用いられるスペーサから落下する油滴に起因するスパークの発生を防止する上で極めて有用である。
16 電気集塵機
21,22 側面プレート
23 接地電極
24 高圧電極
25 給電板
26(26-1〜26-6) スペーサ
27 開口部
28 碍子
29 ブラケット
29a ナット
30,31 固定軸
32 開口部
34、35 小孔

Claims (8)

  1. 平板形状をなす複数の電極板を、当該複数の電極板と略直交する方向から固定軸を貫通させて支持すると共に、各電極板間の前記固定軸にスペーサを配置して各電極板どうしの間隔を所定距離に保持するようにした電極板のスペーサ構造において、
    前記スペーサは、
    中央部に前記固定軸が挿通される孔部が形成され、前記固定軸の挿通方向に直交する平面で切断したときの周面の断面形状が円形状をなし、
    前記固定軸の挿通方向に平行な平面で切断したときの周面の断面形状は、該スペーサの幅方向の中心に近づくほど、該スペーサの軸中心からの距離が短くなり、前記幅方向の中心部に軸中心からの距離が最短となる頂点を有する形状とされたことを特徴とする電極板のスペーサ構造。
  2. 前記幅方向の中心部に頂点を有する形状は、2つの直線が前記頂点で接合するV字形状であることを特徴とする請求項1に記載の電極板のスペーサ構造。
  3. 前記固定軸の挿通方向と、前記V字形状をなす直線とのなす角度は、15°〜60°の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の電極板のスペーサ構造。
  4. 前記幅方向の中心部に頂点を有する形状は、2つの円弧形状が頂点で接合する形状であることを特徴とする請求項1に記載の電極板のスペーサ構造。
  5. 平板形状をなす複数の電極板を、当該複数の電極板と略直交する方向から固定軸を貫通させて支持すると共に、各電極板間の前記固定軸にスペーサを配置して各電極板どうしの間隔を所定距離に保持するようにした電極板のスペーサ構造において、
    前記スペーサは、
    中央部に前記固定軸が挿通される孔部が形成され、前記固定軸の挿通方向に直交する平面で切断したときの周面の断面形状が円形状をなし、
    前記固定軸の挿通方向に平行な平面で切断したときの周面の断面形状は、該スペーサの幅方向の中心部近傍の所定位置に近づくほど、該スペーサの軸中心からの距離が短くなり、前記所定位置に軸中心からの距離が最短となる頂点を有する形状とされたことを特徴とする電極板のスペーサ構造。
  6. 前記所定位置に頂点を有する形状は、2つの直線が前記頂点で接合するオフセットしたV字形状であることを特徴とする請求項1に記載の電極板のスペーサ構造。
  7. 平板形状をなす複数の電極板を、当該複数の電極板と略直交する方向から固定軸を貫通させて支持すると共に、各電極板間の前記固定軸にスペーサを配置して各電極板どうしの間隔を所定距離に保持するようにした電極板のスペーサ構造において、
    前記スペーサは、
    中央部に前記固定軸が挿通される孔部が形成され、前記固定軸の挿通方向に直交する平面で切断したときの周面の断面形状が円形状をなし、
    前記固定軸の挿通方向に平行な平面で切断したときの周面の断面形状は、該スペーサの幅方向の一端から他端に向かうに連れて、該スペーサの軸中心からの距離が徐々に短くなる形状とされたことを特徴とする電極板のスペーサ構造。
  8. 前記固定軸の挿通方向に平行な平面で切断したときの周面の断面形状は、該スペーサの幅方向の一端から他端に向かうに連れて、直線的に前記スペーサの軸中心からの距離が短くなるテーパ形状とされたことを特徴とする請求項7に記載の電極板のスペーサ構造。
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