JP2015157238A - 湿式電気集塵装置の放電極、及び放電極用の組み立て架台 - Google Patents
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Abstract
【課題】放電極の組み立て工程を簡素化するとともに組み立て後の放電極の強度を高めた湿式電気集塵装置の放電極、及び放電極用の組み立て架台を提供する。【解決手段】放電針16が取り付けられるとともに横並びに配列された一対の外枠パイプ12と、放電針16が取り付けられるとともに前記外枠パイプ12の間で横並びに配列された複数の内枠パイプ14と、前記外枠パイプ12及び前記内枠パイプ14を並列に接続する横枠パイプ18と、を有し、前記横枠パイプ18と前記外枠パイプ12との接続位置、及び前記横枠パイプ18と前記内枠パイプ14との接続位置には、接続部品20が取り付けられ、前記横枠パイプ18が複数の前記挿通孔に連通して前記外枠パイプ12及び前記内枠パイプ14を並列接続することにより枠型の放電極10を形成してなることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、湿式電気集塵装置の放電極、及び放電極用の組み立て架台に関し、特に放電極の組み立て工程を簡素化するとともに組み立て後の放電極の強度を高める技術に関する。
湿式電気集塵装置の放電極は、排ガス中のミストや塵埃を帯電させるためのコロナ放電を起こしやすいことが要求される一方、排ガスの流れによる放電極の振動等に起因する応力を受けるため機械的な強度も要求される。これを満足する放電極の形状が特許文献1に開示されており、放電極の母材としてパイプ状の放電材等を用い、該パイプ状の放電材において放電極の主面の法線方向に、かつ対向する集塵極に向かって垂直方向に放電針を設けている。
ところで、大風量を処理する平板型の湿式電気集塵装置の放電極の寸法は、幅数m以上、高さも数m前後必要である。放電部材(パイプ)は直径34mm程度が最大で、振動に対する強度維持のためスパン長さPsに限界があり、高さ数mの放電極では高さ方向に複数段必要となる。
また、放電極の放電部材はコロナ放電を多く流すことができるように、取り付けピッチが200mm前後としていることから、放電部材は、1段あたり、幅方向に20〜30本必要となり、放電極を構成する放電部材の接合箇所は極めて多くなる。さらに、従来、放電極の組み立ては、架台の上に放電針の付いた放電部材を並べ、架台の上で放電部材(パイプ)同士を全周溶接することにより行っている。このため、接合箇所の数、及び一つの接合あたりの溶接量が大きくなるので放電極全体を形成するに時間と労力を要することになる。
そこで、本発明は上記問題に着目し、放電極の組み立て工程を簡素化するとともに組み立て後の放電極の強度を高めた湿式電気集塵装置の放電極、及び放電極用の組み立て架台を提供することを目的とする。
そこで、本発明は上記問題に着目し、放電極の組み立て工程を簡素化するとともに組み立て後の放電極の強度を高めた湿式電気集塵装置の放電極、及び放電極用の組み立て架台を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る湿式電気集塵装置の放電極は、放電針が取り付けられるとともに、横並びに配列された一対の外枠パイプと、放電針が取り付けられるとともに、前記外枠パイプの間で横並びに配列された複数の内枠パイプと、前記外枠パイプ及び前記内枠パイプを並列に接続する横枠パイプと、を有し、前記横枠パイプと前記外枠パイプとの接続位置、及び前記横枠パイプと前記内枠パイプとの接続位置には、前記横枠パイプが挿通される挿通孔を備える本体と、前記本体から延出して前記外枠パイプまたは前記内枠パイプの端部にはめ込まれるはめ込み部と、を有する接続部品が取り付けられ、前記横枠パイプが複数の前記挿通孔に連通して前記外枠パイプ及び前記内枠パイプを並列接続することにより枠型の放電極を形成してなることを特徴とする。
上記構成により、横枠パイプを外枠パイプ及び内枠パイプにはめ込まれた接続部品の挿通孔に連通させるだけで、外枠パイプの長手方向において外枠パイプ及び内枠パイプと、横枠パイプと、の配置関係が決まって仮組みされる。これにより、外枠パイプの長手方向の位置決め作業を省略して、外枠パイプ及び内枠パイプと、横枠パイプとを容易に接続することができる。
また接続は、各パイプと接続部品の接触箇所おいて溶接により行うが、その接続箇所は一方の部材が他方の部材に入り込む形態となっているため、全周溶接することなく高い接合強度で接続することができる。特に、内枠パイプと接続部品の接続の場合、接続部品と横枠パイプとの溶接が外れても当該接続部品が横枠パイプに係留したままであるので当該接続部品に接続した内枠パイプの落下を防止することができる。
本発明において、前記接続部品のうち、前記外枠パイプと前記横枠パイプを接続する接続部品は、前記挿通孔に前記外枠パイプが挿通され、前記はめ込み部が前記横枠パイプの端部にはめ込まれた状態で前記外枠パイプと前記横枠パイプを接続していることを特徴とする。
上記構成により、横枠パイプの外枠パイプからの離間を防止して両者の接続をより確実に行うことができる。
上記構成により、横枠パイプの外枠パイプからの離間を防止して両者の接続をより確実に行うことができる。
本発明において、前記外枠パイプには、一定の間隔で少なくとも3つ以上の前記横枠パイプが前記接続部品を介して接続され、前記内枠パイプは、その長手方向の一端が互いに隣接する前記横枠パイプの一方に前記接続部品を介して接続され、他端が互いに隣接する前記横枠パイプの他方に前記接続部品を介して接続されるとともに、前記接続部品の前記本体の幅の分だけ交互にずれた状態で前記外枠パイプの長手方向に並んで配置されていることを特徴とする。
上記構成により、外枠パイプの長さに係らず内枠パイプのスパンを短くすることができるので放電極の振動に対する強度を高めることができる。
上記構成により、外枠パイプの長さに係らず内枠パイプのスパンを短くすることができるので放電極の振動に対する強度を高めることができる。
本発明において、前記内枠パイプは、前記外枠パイプより径が小さいものとし、前記はめ込み部の先端からは、前記はめ込み部の外径よりも小さい外径を備え、前記内枠パイプの端部にはめ込まれる第2のはめ込み部が延出していることを特徴とする。
上記構成により、内枠パイプの径が、外枠パイプの径より小さくなっていても、1種類の接続部品により全ての接続を行うことができるので、部品点数の肥大化を抑制してコストを抑制することができる。
上記構成により、内枠パイプの径が、外枠パイプの径より小さくなっていても、1種類の接続部品により全ての接続を行うことができるので、部品点数の肥大化を抑制してコストを抑制することができる。
本発明において、前記接続部品は、板材により一体的に形成され、前記板材の長手方向の両端を半円形に絞り込み、絞込み部分同士を対向させて前記はめ込み部を形成するように、且つ前記挿通孔を形成するように前記板材を湾曲させたものであることを特徴とする。
上記構成により、接続部品を簡易かつ高い強度で形成することができる。
上記構成により、接続部品を簡易かつ高い強度で形成することができる。
また、本発明に係る放電極用の組み立て架台は、前述の湿式電気集塵装置の放電極を組み立てるための放電極用の組み立て架台であって、平面視で前記放電極を組み立て後の前記外枠パイプの一方及び複数の前記内枠パイプの長手方向の端部に一直線に交差するように複数立設され、前記外枠パイプをその長手方向の互いに異なる複数の位置で支持するとともに各内枠パイプをその長手方向の両端部となる位置で支持する支持板と、前記支持板の端面の平面視で前記放電極組み立て後の前記外枠パイプ及び前記内枠パイプに重なる位置に形成され前記外枠パイプ及び前記内枠パイプが配置される切欠き部と、前記支持板を支持する基台と、を有することを特徴とする。
上記構成により、外枠パイプ及び内枠パイプの横並び方向の位置決めを容易に行うことができる。また上述のように、接続部品がはめ込まれた内枠パイプの長手方向の位置決め作業を省略することができ、放電極の組み立てを容易に行うことが可能な放電極用の組み立て架台となる。
本発明において、前記切欠き部には、前記外枠パイプ及び前記内枠パイプを前記支持板に固定する固定部が配置されていることを特徴とする。
上記構成により、溶接時の各パイプの位置ズレを防止して確実に放電極の組み立てを行うことができる。
上記構成により、溶接時の各パイプの位置ズレを防止して確実に放電極の組み立てを行うことができる。
本発明に係る湿式電気集塵装置の放電極によれば、上記構成により、横枠パイプを外枠パイプ及び内枠パイプにはめ込まれた接続部品の挿通孔に連通させるだけで、外枠パイプの長手方向において外枠パイプ及び内枠パイプと、横枠パイプと、の配置関係が決まって仮組みされる。これにより、外枠パイプの長手方向の位置決め作業を省略して、外枠パイプ及び内枠パイプと、横枠パイプとを容易に接続することができる。
また接続は、各パイプと接続部品の接触箇所おいて溶接により行うが、その接続箇所は一方の部材が他方の部材に入り込む形態となっているため、全周溶接することなく高い接合強度で接続することができる。特に、内枠パイプと接続部品の接続の場合、接続部品と横枠パイプとの溶接が外れても当該接続部品が横枠パイプに係留したままであるので当該接続部品に接続した内枠パイプの落下を防止することができる。
そして、本発明に係る放電極用の組み立て架台によれば、外枠パイプ及び内枠パイプの横並び方向の位置決めを容易に行うことができる。また、接続部品がはめ込まれた内枠パイプの長手方向の位置決め作業を省略することができ、放電極の組み立てを容易に行うことができる。
また接続は、各パイプと接続部品の接触箇所おいて溶接により行うが、その接続箇所は一方の部材が他方の部材に入り込む形態となっているため、全周溶接することなく高い接合強度で接続することができる。特に、内枠パイプと接続部品の接続の場合、接続部品と横枠パイプとの溶接が外れても当該接続部品が横枠パイプに係留したままであるので当該接続部品に接続した内枠パイプの落下を防止することができる。
そして、本発明に係る放電極用の組み立て架台によれば、外枠パイプ及び内枠パイプの横並び方向の位置決めを容易に行うことができる。また、接続部品がはめ込まれた内枠パイプの長手方向の位置決め作業を省略することができ、放電極の組み立てを容易に行うことができる。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図18に、本実施形態の湿式電気集塵装置の放電極の模式図(斜視図)を示す。本実施形態の放電極が用いられる湿式電気集塵装置100は、放電極10と集塵板108を収容する筐体102により全体の外形が形成されている。また、筐体102には、排ガスを導入する導入口104と、ダスト粒子を捕集後の排ガスを排出する排出口106を有する。筐体102内において、放電極10と集塵板108は、その主面が互いに対向するとともに排ガスの流通方向に直交する方向に向けられている。また、放電極10と集塵板108は、排ガスの流通方向に直交する方向に一定の間隔で交互に並べられている。湿式電気集塵装置100では、放電極10に高電圧を印加するともに集塵板108を接地して放電極10と集塵板108の間に電界を発生させ、放電極10(放電針16、図1参照)のコロナ放電により発生させた負イオンを、電界中を流通する排ガス中のダスト粒子に付着させて帯電させ、帯電させたダスト粒子をクーロン力により集塵板108に引き寄せて捕集し、捕集したダスト粒子を洗浄水(不図示)により集塵板108から洗い落している。
図1に、本実施形態の湿式電気集塵装置の放電極の模式図(斜視図)を示す。本実施形態の放電極10は、矩形のフレーム形状を有しており、全てステンレス等の金属で形成される。放電極10は、長尺の放電材であって鉛直方向(排ガスの流通方向に直交する方向)に延びるとともに横並び(排ガスの流通方向)に配置される一対の外枠パイプ12、短尺の放電材であって鉛直方向に延びるとともに外枠パイプ12の間で横並びに配置される多数の内枠パイプ14、横向きに延びる放電材となる複数の横枠パイプ18、パイプ同士を接続する接続部品20から構成される。そして、外枠パイプ12と、最上段及び最下段の横枠パイプ18により放電極10の矩形の外形が形成される。また、本実施形態では、横枠パイプ18が最上段と最下段の間にさらに2本配置され、計4本の横枠パイプ18が用いられるが3本以上あれば何本でもよい。横枠パイプ18はその長手方向の一端が接続部品20を介して外枠パイプ12の一方に接続され、他端が接続部品20を介して外枠パイプ12の他方に接続されている。
内枠パイプ14は、互いに隣接する横枠パイプ18の間に配置され、長手方向の一端が互いに隣接する横枠パイプ18の一方に接続部品20を介して接続され、他端が互いに隣接する横枠パイプ18の他方に接続部品20を介して接続されている。また内枠パイプ14は、外枠パイプ12の長手方向に沿って並ぶように配置されるが接続部品20(後述の本体22)の幅の分だけ互いにずれてジグザグ状に配列(千鳥配置)される。本実施形態では、ジグザグ状に配列された内枠パイプ14の組み合わせが6つあり、それらが横並びに配列されている。
外枠パイプ12と、内枠パイプ14には、コロナ放電を発生させるための放電針16が溶接等により多数取り付けられている。放電針16は放電極10の矩形の両主面となる位置に取り付けられ、その長手方向は放電極10の主面の法線方向(外枠パイプ12の長手方向及び横枠パイプ18の長手方向に直交する方向)となる。そして、放電針16は、放電極10の主面全体(ただし、外枠パイプ12及び内枠パイプ14上となる位置)にわたって取り付けられるが、その配置パターンは、縦横に行列を形成するように配置してもよいし、ハニカム構造の六角形の頂点及び中心に位置するように配置してもよい。また、本実施形態では、外枠パイプ12、内枠パイプ14、横枠パイプ18は全て同じ外径、内径を有するものとする。
図2、図3に、本実施形態の湿式電気集塵装置の放電極を構成する接続部品の模式図(正面図、底面図)、図4に、本実施形態の湿式電気集塵装置の放電極を構成する接続部品の使用状態を示す模式図(斜視図)を示す。接続部品20は、外枠パイプ12と横枠パイプ18、または内枠パイプ14と横枠パイプ18とをT字型(又はL字型)に接続する管継ぎ手である。接続部品20は、各パイプを挿通する挿通孔24を有する本体22と、本体22の側壁から延出し、パイプの端部(開口部)にはめ込まれるはめ込み部26(ボス部)により構成されている。はめ込み部26の長手方向は、挿通孔24の挿通方向に直交している。また、はめ込み部26の先端から挿通孔24に連通する切込み28が形成されているが、後述のように一体的に形成しない場合には不要である。
上記構成により、横枠パイプ18を挿通孔24に挿通し、内枠パイプ14の端部(開口部)にはめ込み部26をはめ込むことにより、横枠パイプ18と内枠パイプ14とがT字型に接続される(図1、図4参照)。また、外枠パイプ12を挿通孔24に挿通し、横枠パイプ18の端部(開口部)にはめ込み部26をはめ込むことにより、外枠パイプ12と横枠パイプ18がT字型またはL字型に接続される(図1、図4参照)。さらに、接続部品20とパイプとの接触位置において溶接を行うことにより、パイプ同士が接続部品20を介して強固に接続される。
本実施形態では、横枠パイプ18に6つの内枠パイプ14が接続部品20を介して並列に接続され、且つその両端が接続部品20を介して外枠パイプ12に接続される。また、横枠パイプ18のうち、最上段及び最下段の横枠パイプ18の間に配置された横枠パイプ18には、当該横枠パイプ18よりも上段となる6つの内枠パイプ14の下端と、当該横枠パイプ18よりも下段となる6つの内枠パイプ14の上端がそれぞれ接続部品20を介して接続されている。そして、前述のように、内枠パイプ14は、接続部品20の本体22の幅の分だけ互いにずれてジグザグ状に一列に外枠パイプ12の長手方向に沿って配置される。このため、横枠パイプ18の長手方向おいて互いに接触する2つの接続部品が一定の間隔で並ぶように配置されるが、互いに接触する接続部品20同士の間に隙間を設けて互いに離間させてもよい。
図5、図6に、本実施形態の湿式電気集塵装置の放電極を構成する接続部品の製造工程を示す模式図(正面図、底面図)を示す。本実施形態の接続部品20は、一枚の板材30からプレス加工により一体的に形成することができる。まず、図5(a)、図6(a)に示すように、接続部品20の材料となる金属の板材30を用意し、図5(b)、図6(b)に示すように、板材30の長辺に接続部品20の本体22を形成するための半長円形の切欠き32を形成する。
そして、図5(c)、図6(c)に示すように、プレス加工により板材30の両端を半円筒形に変形(絞り加工)させて、板材30の両端に切込み28により分割されたはめ込み部26の半割部34をそれぞれ形成する。最後に、図5(d)、図6(d)に示すように、半割部34同士を対向させるために板材30の中央部が半円となるように変形させる。これにより、本体22と挿通孔24が形成され、そして半割部34同士が対向することによりはめ込み部26が形成され、結果的に接続部品20が形成される。図5(d)、図6(d)では、はめ込み部26の半割部34同士が互いに離間しているが、互いに接触するようにしてもよい。
図7に、本実施形態の湿式電気集塵装置の放電極を組み立てるための組み立て架台の模式図を示す。本実施形態の放電極10を組み立てる際には専用の組み立て架台36が必要となる。組み立て架台36は、矩形の枠型の基台38と、基台38に支持されて立設した複数の支持板40を有する。支持板40は、平面視で放電極10形成後の外枠パイプ14の一方及び複数の内枠パイプ14の長手方向の端部に重なる位置に配置され、外枠パイプ12をその長手方向の互いに異なる位置で支持し、各内枠パイプ14をその長手方向の両端部で支持することができる(図11参照)。なお、支持板40は、平面視で放電極10形成後の外枠パイプ12の他方(図11参照)に重なる位置にまで延出することはない。
また、支持板40の端面の平面視で放電極10形成後の外枠パイプ12及び内枠パイプ14に重なる位置には切欠き部42が形成され、外枠パイプ12及び内枠パイプ14は、切欠き部42内に配置される。これにより、外枠パイプ12及び内枠パイプ14の横並び方向の位置決めを容易に行なうことができる。なお切欠き部42の形状は図7のようにV字型であってもよく、また後述の図13に示すように矩形であってもよいが、切欠き部42に放電針16を取り付けたパイプを配置したときに放電針16の先端が基台38よりも低くならないように切欠き部42の深さを設計する必要がある。
図8乃至図11に、本実施形態の湿式電気集塵装置の放電極の組み立て工程を示す模式図を示す。また、図12に、外枠パイプの組み立て工程の変形例を示す模式図である。図8に示すように、外枠パイプ12を組み立てる。外枠パイプ12の材料となる長尺パイプ12aの両端に接続部品20を取り付けて溶接する。このとき、接続部品20の挿通孔24に長尺パイプ12aを挿通し、はめ込み部26の長手方向が同じ方向を向くようにし、長尺パイプ12aの側壁と本体22の挿通孔24の開口部24a(図4参照)との接触部分を溶接する。そして、長尺パイプ12aに取り付けたはめ込み部26の長手方向に直交する向きとなる長尺パイプ12aの側面において、長尺パイプ12aの長手方向に一定の間隔で放電針16を溶接する。また、本体22を半割にして半割後の本体と半割部34とが一体となった接続部品20aを、長尺パイプ12aの最上段及び最下段以外の横枠パイプ18の接続位置に取り付けて溶接する。このとき、長尺パイプ12aに取り付けた全てのはめ込み部26の長手方向の向きが全て等しくなるように取り付ける。上述の作業により外枠パイプ12が形成されるが、外枠パイプ12は一対形成する。
図9、図10に示すように、内枠パイプ14を組み立てる。図9に示すように、内枠パイプ14の材料となる短尺パイプ14aの両端に接続部品20をはめ込んで仮組みする。このとき、2つの接続部品20の挿通孔24の開口部24aの向きが同じになるようにはめ込む。そして、短尺パイプ14aに仮組みされた接続部品20の挿通孔24の向きに直交する向きとなる短尺パイプ14aの側面において、短尺パイプ14aの長手方向に一定の間隔で放電針16を溶接する。図10に示すように、内枠パイプ14を組み立てるための治具44を用意し、治具44の一部である2つの位置決め棒46を挿通孔24に挿通させ、一方の列を形成する複数の放電針16が真上を向き、他方の列を形成する複数の放電針16が真下を向くように短尺パイプ14aを2つの接続部品20に対して回転させる。そして、回転調整した短尺パイプ14aと接続部品20(短尺パイプ14aの側壁と本体22の挿通孔24の開口部24aとの接触部分)とを溶接することにより内枠パイプ14が形成される。
図11に示すように、組み立て架台36の支持板40の切欠き部42に外枠パイプ12の一方と内枠パイプ14を配置し、各パイプにおいて一方の列をなす放電針16を真上に向け、他方の列をなす放電針16を真下に向ける。これにより、接続部品20の挿通孔24と外枠パイプ12に接続されたはめ込み部26が同軸状態で横一直線に並ぶ部分が4か所形成される。そして、横枠パイプ18を横一直線に並んだ挿通孔24に連通するとともに、外枠パイプ12に取り付けられた接続部品20のはめ込み部26にはめ込む。さらに、外枠パイプ12の他方を横枠パイプ18に接続させる。このとき、外枠パイプ12の他方に既に取り付けた接続部品20のはめ込み部26を横枠パイプ18の端部にはめ込む。最後に、接続部品20の本体22と内枠パイプ14との接触部分、接続部品20のはめ込み部26と外枠パイプ12との接触部分を溶接することにより放電極10が組み立てられる。
本実施形態の外枠パイプ12を組み立てる際には、図12に示すように、長尺パイプ12aに放電針16を溶接する前に接続部品20を半割にすることなくそのまま長尺パイプ12aに挿通して溶接し、接続部品20の溶接後に放電針16を溶接してもよい。
本実施形態に係る湿式電気集塵装置の放電極10によれば、横枠パイプ18を内枠パイプ14にはめ込まれた接続部品20の挿通孔24に連通させるだけで、外枠パイプ12の長手方向において内枠パイプ14と、横枠パイプ18と、の配置関係が決まって仮組みされる。これにより、外枠パイプ12の長手方向の位置決め作業を省略して、内枠パイプ14と、横枠パイプ18とを容易に接続することができる。
また、接続は、内枠パイプ14と接続部品20の接触箇所、横枠パイプ18と接続部品20の接続箇所において溶接により行うが、その接続箇所は一方の部材(パイプ)が他方の部材(本体22)に入り込む形態となっているため、全周溶接することなく高い接合強度で接続することができる。特に、横枠パイプ18と接続部品20の接続の場合、接続部品20と横枠パイプ18との溶接が外れても当該接続部品20が横枠パイプ18に係留したままであるので当該接続部品20に接続した内枠パイプ14の落下を防止することができる。
また、接続部品20のうち、外枠パイプ12と横枠パイプ18を接続する接続部品20は、挿通孔24に外枠パイプ12が挿通され、はめ込み部26が横枠パイプ18の端部にはめ込まれた状態で外枠パイプ12と横枠パイプ18を接続している。これにより、横枠パイプ18の外枠パイプ12からの離間を防止して両者の接続をより確実に行うことができる。なお、外枠パイプ12の両端にはめ込み部26をはめ込んで、外枠パイプ12にはめ込んだ接続部品20の挿通孔24に横枠パイプ18を挿通させる態様で外枠パイプ12と横枠パイプ18を接続してもよい。この場合、横枠パイプ18を外枠パイプ12及び内枠パイプ14にはめ込まれた接続部品20の挿通孔24に連通させるだけで、外枠パイプ12の長手方向において外枠パイプ12及び内枠パイプ14と、横枠パイプ18と、の配置関係が決まって仮組みされる。これにより、外枠パイプ12の長手方向の位置決め作業を省略して、外枠パイプ12及び内枠パイプ14と、横枠パイプ18とを容易に接続することができる。
そして、外枠パイプ12には、一定の間隔で複数(本実施形態では4つ)の横枠パイプ18が接続部品20を介して接続され、内枠パイプ14は、その長手方向の一端が互いに隣接する横枠パイプ18の一方に接続部品20を介して接続され、他端が互いに隣接する横枠パイプ18の他方に接続部品20を介して接続されるとともに、接続部品20の本体22の幅の分だけ交互にずれた状態で外枠パイプ12の長手方向に並んで配置されている。これにより、外枠パイプ12の長さに係らず内枠パイプ14のスパンを短くすることができるので放電極10の振動に対する強度を高めることができる。また、接続部品20の本体22の幅の分だけ交互にずれた状態で外枠パイプ12の長手方向に並んで配置するので、接続部品20を新規設計することなく放電極10を組み立てることができるのでコストを抑制することができる。
さらに、接続部品20は、板材30により一体的に形成され、板材30の長手方向の両端を半円形に絞り込み、絞込み部分同士を対向させてはめ込み部26を形成するように、且つ挿通孔24を形成するように板材30を湾曲させたものとなっている。これにより、接続部品20を簡易かつ高い強度で形成することができる。
図13に、組み立て架台に固定部を取り付けた場合の模式図である。図13に示すように、組み立て架台36の支持板40の切欠き部42にはパイプ(外枠パイプ12、内枠パイプ14)を固定する固定部48を取り付けることができる。これにより、各パイプの回転及び各パイプの長手方向のズレを制限されるので、組み立て架台36を放電針16の溶接用の架台として利用することができる。固定部48は、切欠き部42に取り付けられるシリンダ50と、シリンダ50に収容されるとともにシリンダ50内に収容された付勢手段54(バネ)に接続されたピストン52により構成される。なお、復元力を備える付勢手段54の代わりにシリンダ50に圧縮空気を充填してもよい。ピストン52の移動方向は、切欠き部42の一方の側面42bと他方の側面42cとを結ぶ方向であり、付勢手段の付勢方向は、側面42bから側面42cに向かう方向である。
図13(a)に示すように、平衡状態において、ピストン52の先端面52aとこれに対向する切欠き部42の側面42cとの間の距離は、各パイプの直径よりも小さくなるように設計される。また、ピストン52の先端面52aの周囲(上端)は面取り部52bが形成され、各パイプを切欠き部42に容易に導入できるようになっている。
図13(b)に示すように、各パイプをピストン52に向けて押し込むと、各パイプとピストン52の面取り部52bに接触し、各パイプからの力によりピストン52が面取り部52bにおいてパイプとの接触位置を移動させつつシリンダ50側に押しやられ付勢手段54を圧縮する。図13(c)に示すように、各パイプをさらに押し込むと、各パイプは、切欠き部42の側面42cと底面42a、さらにピストン52の先端面52aに当接するとともに、ピストン52を介して付勢手段54からの力を受ける。これにより、各パイプは切欠き部42の側面42cとピストン52の先端面52aに押圧されることになるので、各パイプの回転及び各パイプの長手方向のズレを制限することができる。
なお、ピストン52の先端面52aは垂直であるので、各パイプを切欠き部42から取り出す際は、ピストン52から付勢手段54に起因する力を受けるもののピストン52の形状に起因する干渉を受けることはなく、容易に取り出すことができる。また、固定部48は全ての切欠き部42に配置できるが、切欠き部42の一部であって少なくとも各パイプを一か所で固定できるように配置してもよい。
図14、図15に接続部品の変形例を示す模式図(正面図、底面図)を示す。また、図16、図17に、接続部品の変形例の使用状態を示す模式図(斜視図、その1、その2)を示す。放電極10において、外枠パイプ12及び横枠パイプ18の径に比べて内枠パイプ14の径を小さく設計する場合がある。この場合、内枠パイプ14の内径も小さくなるので、接続部品20においてもこれに対応した設計が必要となる。
よって、変形例の接続部品21は、前述の接続部品20と基本構成は共通するが、はめ込み部26の先端からは、はめ込み部26の外径よりも小さい外径を備え、内枠パイプ14の端部にはめ込まれる第2のはめ込み部26aが延出している。
図16に示すように、接続部品21は外枠パイプ12と、横枠パイプ18とを接続することが可能である。このとき、はめ込み部26、第2のはめ込み部26aが横枠パイプ18内に挿入されるが、はめ込み部26が横枠パイプ18の端部(開口部)にはめ込まれる。また、図17に示すように、接続部品21は横枠パイプ18と、横枠パイプ18よりも径の小さい内枠パイプ14とを接続することが可能である。このとき、第2のはめ込み部26aが内枠パイプ14の端部(開口部)にはめ込まれ、はめ込み部26は内枠パイプ14から露出した状態となる。
上記構成により、内枠パイプ14の径が、横枠パイプ18及び外枠パイプ12の径より小さくなっていても、1種類の接続部品21により全ての接続を行うことができるので、部品点数の肥大化を抑制してコストを抑制することができる。なお、接続部品21の製造工程は、接続部品20の製造工程と同様であるが、はめ込み部26、第2のはめ込み部26aに対応して、半割部34の先端に半割部34よりも縮径した半割部34aを形成する必要がある。
放電極の組み立て工程を簡素化するとともに組み立て後の放電極の強度を高めた湿式電気集塵装置の放電極、及び放電極用の組み立て架台として利用できる。
10………放電極、12………外枠パイプ、12a………長尺パイプ、14………内枠パイプ、14a………短尺パイプ、16………放電針、18………横枠パイプ、20………接続部品、20a………接続部品、21………接続部品、22………本体、24………挿通孔、24a………開口部、26………はめ込み部、26a………第2のはめ込み部、28………切込み、30………板材、32………切欠き、34………半割部、34a………半割部、36………組み立て架台、38………基台、40………支持板、42………切欠き部、42a………底面、42b………側面、42c………側面、44………治具、46………位置決め棒、48………固定部、50………シリンダ、52………ピストン、52a………先端面、52b………面取り部、54………付勢手段、100………湿式電気集塵装置、102………筐体、104………導入口、106………排出口、108………集塵板。
Claims (7)
- 放電針が取り付けられるとともに、横並びに配列された一対の外枠パイプと、
放電針が取り付けられるとともに、前記外枠パイプの間で横並びに配列された複数の内枠パイプと、
前記外枠パイプ及び前記内枠パイプを並列に接続する横枠パイプと、を有し、
前記横枠パイプと前記外枠パイプとの接続位置、及び前記横枠パイプと前記内枠パイプとの接続位置には、
前記横枠パイプが挿通される挿通孔を備える本体と、前記本体から延出して前記外枠パイプまたは前記内枠パイプの端部にはめ込まれるはめ込み部と、を有する接続部品が取り付けられ、
前記横枠パイプが複数の前記挿通孔に連通して前記外枠パイプ及び前記内枠パイプを並列接続することにより枠型の放電極を形成してなることを特徴とする湿式電気集塵装置の放電極。 - 前記接続部品のうち、前記外枠パイプと前記横枠パイプを接続する接続部品は、前記挿通孔に前記外枠パイプが挿通され、前記はめ込み部が前記横枠パイプの端部にはめ込まれた状態で前記外枠パイプと前記横枠パイプを接続していることを特徴とする請求項1に記載の湿式電気集塵装置の放電極。
- 前記外枠パイプには、一定の間隔で少なくとも3つ以上の前記横枠パイプが前記接続部品を介して接続され、
前記内枠パイプは、その長手方向の一端が互いに隣接する前記横枠パイプの一方に前記接続部品を介して接続され、他端が互いに隣接する前記横枠パイプの他方に前記接続部品を介して接続されるとともに、前記接続部品の前記本体の幅の分だけ交互にずれた状態で前記外枠パイプの長手方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項2に記載の湿式電気集塵装置の放電極。 - 前記内枠パイプは、前記外枠パイプより径が小さいものとし、
前記はめ込み部の先端からは、前記はめ込み部の外径よりも小さい外径を備え、前記内枠パイプの端部にはめ込まれる第2のはめ込み部が延出していることを特徴とする請求項3に記載の湿式電気集塵装置の放電極。 - 前記接続部品は、板材により一体的に形成され、
前記板材の長手方向の両端を半円形に絞り込み、
絞込み部分同士を対向させて前記はめ込み部を形成するように、且つ前記挿通孔を形成するように前記板材を湾曲させたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の湿式電気集塵装置の放電極。 - 請求項3乃至5のいずれか1項に記載の湿式電気集塵装置の放電極を組み立てるための放電極用の組み立て架台であって、
平面視で前記放電極を組み立て後の前記外枠パイプの一方及び複数の前記内枠パイプの長手方向の端部に一直線に交差するように複数立設され、前記外枠パイプをその長手方向の互いに異なる複数の位置で支持するとともに各内枠パイプをその長手方向の両端部となる位置で支持する支持板と、
前記支持板の端面の平面視で前記放電極組み立て後の前記外枠パイプ及び前記内枠パイプに重なる位置に形成され前記外枠パイプ及び前記内枠パイプが配置される切欠き部と、
前記支持板を支持する基台と、を有することを特徴とする放電極用の組み立て架台。 - 前記切欠き部には、前記外枠パイプ及び前記内枠パイプを前記支持板に固定する固定部が配置されていることを特徴とする請求項6に記載の放電極用の組み立て架台。
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