JP7235632B2 - 電気集塵機のスペーサ及び集塵部 - Google Patents
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Description
特許文献1には、電気集塵機の集塵部において、並設された高圧板間に円環状のスペーサを配置し、高圧板の並設間隔を所定の距離で維持する構造が記載されている。
そのため、洗浄作業においてスペーサの貫通孔と固定軸との間のわずかな隙間に浸入した洗浄液は乾きにくく、乾燥に長時間を要する。また、乾燥後、スペーサの貫通孔と固定軸との間の隙間に、洗浄液に含まれていた洗剤或いは塵埃の残渣が生じ得る。
1) 電気集塵機の集塵部において、支持シャフトにより並設支持された複数の電極板の間で前記支持シャフトに保持されるスペーサであって、
環状又はC字状の基体と、前記基体から隣接する前記電極板それぞれに向かい周方向に離隔して突出する複数の軸方向突出部と、
前記基体から前記支持シャフトの外周面に向かい周方向に離隔して突出する複数の径方向突出部と、
を有することを特徴とする電気集塵機のスペーサである。
2) 絶縁材料で形成され、
前記径方向突出部は、前記基体の周方向における前記軸方向突出部が形成されていない部分に対応して形成されていることを特徴とする1)に記載の電気集塵機のスペーサである。
3) 貫通孔を有する複数の電極板と、
前記複数の電極板それぞれの前記貫通孔に通された支持シャフトと、
隣接する前記電極板の間において前記支持シャフトに保持され、前記隣接する前記電極板の間隔を決めるスペーサと、
を備え、
前記スペーサは、環状又はC字状の基体と、前記基体から前記隣接する電極板それぞれに向かい周方向に離隔して突出する複数の軸方向突出部と、
前記基体から前記支持シャフトの外周面に向かい周方向に離隔して突出する複数の径方向突出部と、
を有する電気集塵機の集塵部である。
4) 前記スペーサは、
絶縁材料で形成されると共に、前記径方向突出部は、前記基体の周方向における前記軸方向突出部が形成されていない部分に対応して形成されており、
前記電極板は、高電圧が印加される高圧電極板であることを特徴とする3)に記載の電気集塵機の集塵部である。
電気集塵機93は、図8に示されるように、気流DRw中に配置されたアイオナイザとも称される荷電部92と、荷電部92よりも気流DRwの下流側に配置されたコレクタとも称される集塵部91とを有する。集塵部91の外観形状は直方体状である。電気集塵機93は、さらに給電装置93a及びスパーク検出部93bを有する。
右パネル3Pは、前後上下に延在する矩形平板上のパネルプレート3aと、パネルプレート3aの前後縁からそれぞれ右方に直角に折り曲げられたフランジ3b,3bとを有する。
パネルプレート3aは、上部に形成された上下に長い逃げ孔356と、中央部及び下部に形成された丸孔の逃げ孔35,35とを有する。
ホットサポートユニット7は、上下に長い短冊状のサポートパネル7a1と、サポートパネル7a1の前後縁からそれぞれ右方に直角に折り曲げられた側板7a2,7a2とを有する。
前側の側板7a2には上下に離隔し前方に突出する碍子7b2,7b4が取り付けられ、後側の側板7a2には上下に離隔し後方に突出する碍子7b1,7b2が取り付けられている。
これにより、ホットサポートユニット7は、右パネル3Pにおいて碍子7b1~7b4を介して絶縁状態で支持されている。
支持シャフト5は、この例において支持シャフト51~53の3本である。給電シャフト6は、最上の支持シャフト51の上方に近接配置されている。
詳しくは、左右最両端の板は高圧板11とされ、その内側に隣接してホールドプレート13,14が配置されている。そしてホールドプレート13とホールドプレート14との間に、高圧板11とアース板12とが交互に配設されている。ホールドプレート13,14は、アース電極として機能する。
貫通孔115は、支持シャフト51~53それぞれに対応した位置にそれぞれの外径よりわずかに大きい内径で形成されている。給電用貫通孔116は、給電シャフト6の外径よりわずかに大きい内径で形成されている。
隣接する高圧板11の間には、スペーサ9が支持シャフト51~53それぞれに対し移動可能に外挿されている。図2及び図3に示されるように、スペーサ9は例えば環状部材であって絶縁性を有する樹脂で形成されている。
複数のアース板12は、前縁及び後縁が、ステー15(15a~15d)のスリット15sに係合して前後左右上下の各方向の位置が決められ保持されている。
各ステー15は、左右方向に延びる姿勢で両端が右パネル3Pのフランジ3bと左パネル2Pのフランジ2bとにねじ固定されている。
各ステー15には、左右方向に所定の間隔でスリット15sが形成されている。スリット15sは、アース板12がほぼ隙間なく進入する幅で形成されている。複数のステー15のスリット15sのうち、最上のスリット15s1とアース板12との係合でアース板12の上下方向の位置が決められている。
切込み部9a,9bの底部位置を基体9Kの側縁位置とすれば、隣接する切込み部9a,9bの間の部分は、基体9Kから軸方向に突出した軸方向突出部9e,9fとなる。
径方向突出部9cは、基体9Kにおいて切込み部9a,9bに対応した位置に形成された3つの径方向突出部9c1~9c3である。すなわち、切込み部9a,9bは、軸方向突出部9e,9fが形成されていない部分に対応した位置に形成されている。この例において、径方向突出部9cは、切込み部9a,9bの周方向範囲の中央に対応した位置に形成されている。
3つの径方向突出部9cは、先端が直径φaの円に外接するように形成されている。直径φaは、支持シャフト5の外径よりもわずかに大きく設定されている。スペーサ9は、支持シャフト5に外挿した際に、径方向の隙間がほとんどなく手で軸方向に移動可能とされている。
3本の支持シャフト51~53は同じものであり代表として支持シャフト51を説明する。
シャフト部51aはステンレスなどの金属棒材で形成され、絶縁パイプ部51bは硬質のポリ塩化ビニル樹脂などの絶縁材料で形成されている。ここで絶縁材料は、電気抵抗率が1014~1016Ω・cm程度或いはそれ以上の材料を意味する。
シャフト部6aはステンレスなどの金属棒材で形成され、給電パイプ部6bはフェノール樹脂などの半絶縁材料で形成されている。ここで半絶縁材料は、電気抵抗率が109~1013Ω・cm程度の材料を意味する。
高圧板11は、自重によって給電用貫通孔116の端部が半絶縁材料で形成された給電パイプ部6bに接触し、サポートパネル7a1と同等の直流電圧が印加される。一方、アース板12は、支持シャフト5及び給電シャフト6と接触しないように切込み部12a及び逃げ孔125(図1参照)が形成されると共にステー15(図1)を介して右パネル3P及び左パネル2Pと導通することでアース電位が維持されている。
洗浄工程では、高圧板11に対する洗浄液の噴射、或いは集塵部91自体の洗浄液中への浸漬・水によるすすぎなどが行われ、洗浄工程後、乾燥工程で乾燥される。乾燥工程において集塵部91は、高圧板11が概ね鉛直方向に起立する姿勢で維持される。
また、スペーサ9は、電極板である高圧板11に対し、軸方向突出部9e,9fの部分で当接し切込み部9a,9bの部分で離隔している。これにより、基体9Kと高圧板11との間に切込み部9a,9bに対応した空隙V9a(図4参照)が形成されている。
すなわち、空隙V9に浸入した洗浄液は、切込み部9a,9bの空隙V9aから自重で下方に滴下或いは流下するなどして良好に排出される。十分な高さHaは、例えば1.5mm以上であり、この例では既述のように高さHaは3mmとされている。
そのため、集塵部91は、洗浄工程後にスペーサ9と支持シャフト5との間に洗浄液はほとんど残らない。そのため、集塵部91は乾燥時間が短く、洗剤の残渣が生じにくい。すなわち、集塵部91は洗浄にともなう不具合が生じにくい。
図6に示されるように、従来のスペーサ191を用いた場合、支持シャフト51が挿通する貫通孔191aと支持シャフト51の外周面51b1との間のわずかな隙間に浸入した洗浄剤は排出されにくく乾きににくい。そのため、集塵部の乾燥時間が長く、乾燥後、貫通孔191aと支持シャフト51との間の隙間に洗剤の残渣192が生じ易い。
そのため、高圧板11とアース板12との間にスパークが発生したときに、絶縁抵抗Rの値が低くなっている残渣192を通る経路で高圧板11とサポートパネル7a1との間で電荷移動が生じ、スパーク検出部93bが異常と判定して電気集塵機93の動作が停止する不具合が生じる場合があった。
そのため、集塵部91の稼働効率は高く、稼働中において、高圧板11とアース板12との間にスパークが発生しても電荷移動が生じにくいので、スパーク検出部93bが異常と判定する可能性も少なくなっている。
リーク経路Rt1,Rt2は、高圧板11が接触する端面9d1,9d2における切込み部9a,9bの形成開始端部Pt2,Pt4と、支持シャフト5に接触又は近接する径方向突出部9cの先端縁部Pt1,Pt3と、の間を、沿面距離が最小となるように結ぶ経路になる。従って、径方向突出部9cを、基体9Kの内面における、切込み部9a,9bに対応した周方向位置に形成することでリーク経路Rt1,Rt2を長くすることができ、リーク電流の発生を抑制できる。すなわち、スパーク検出部93bによる異常判定を抑制できる。
スペーサ9Aは、切込み部として2つの切込み部9Aa,9Abを有する。換言するならば、スペーサ9Aは、2つの軸方向突出部9Ae,9Afを有する。切込み部9Aaと切込み部9Abの幅D9Aは、基体9AKの内径とほぼ同じとされる。
図10は、変形例2のスペーサ9Bにおける突出部9Bcを示す縦断面図である。スペーサ9Bは、基体9BKにおける切込み部9Ba,9Bbに対応した位置に、概ね円錐形状で突出した突出部9Bcを有する。
変形例2は、支持シャフト5に対し、突出部9Bcが実質的に点に近い狭い範囲で接触又は近接するようになっている。そのため、洗浄後、スペーサ9Bと支持シャフト5との間に洗浄液がより溜まりにくく、残渣がより生じにくくなる。
スペーサ9は、支持シャフト5に対し外挿せず、凹凸係合などによって支持シャフト5に保持されるものであってもよい。
集塵部91において、高圧板11の間に介在したスペーサ9は、高圧板11を鉛直方向に起立させた姿勢で高圧板11と基体9Kとの間に洗浄液が自重で排出可能な空隙V9aを形成する切込み部9a,9b、或いは軸方向突出部9e,9fを有する。また、スペーサ9は、基体9Kの内面から支持シャフト5の外周面5b1に向け突出し、基体9Kの内面と外周面5b1との間に空隙V9を形成する突出部9cを有する。
また、スペーサ9は、高圧板11の間隔を決めるため用いられることに限定されない。アース板12を、ステーを用いることなく軸で支持する構造としてスペーサ9を用いて隣接するアース板12の間隔を決める構造にしてもよい。すなわち、スペーサ9は、軸で支持された複数の電極板の間隔を決めるために用いられる介在部材として機能する。
2P 左パネル
2a パネルプレート、 2b フランジ
3P 右パネル
3a パネルプレート、 3b フランジ、 35,356 逃げ孔
4P 天パネル
5,51,52,53 支持シャフト
51a シャフト部、 51b 絶縁パイプ部
6 給電シャフト
6a シャフト部、 6b 給電パイプ部
7,8 ホットサポートユニット
7a1,8a1 サポートパネル、 7a2 側板
7b1~7b4,8b1~8b4 碍子
9 スペーサ
9a,9a1~9a3,9b,9b1~9b3 切込み部
9c,9c1~9c3 突出部、 9d1,9d2 端面
9e,9f 軸方向突出部、 9K,9AK,9BK 基体
10 プレートスペーサ
11 高圧板(電極板)
115 貫通孔、 116 給電用貫通孔
12 アース板(電極板)
12a 切込み部、 125 逃げ孔
13,14 ホールドプレート
15,15a,15b,15c ステー
15s,15s1 スリット
191 スペーサ、 191a 貫通孔
192 残渣
91 集塵部(コレクタ)、 92 荷電部(アイオナイザ)
93 電気集塵機
93a 給電装置、 93b スパーク検出部
D9 厚さ、 Ha 高さ、 N5,N6 ナット
Pt1,Pt3 先端縁部、 Pt2,Pt4 形成開始端部
R 絶縁抵抗、 Rt1,Rt2 リーク経路
V9,V9a 空隙、 θa 角度、 φa 直径
Claims (4)
- 電気集塵機の集塵部において、支持シャフトにより並設支持された複数の電極板の間で前記支持シャフトに保持される電気集塵機のスペーサであって、
環状又はC字状の基体と、前記基体から隣接する前記電極板それぞれに向かい周方向に離隔して突出する複数の軸方向突出部と、
前記基体から前記支持シャフトの外周面に向かい周方向に離隔して突出する複数の径方向突出部と、
を有することを特徴とする電気集塵機のスペーサ。 - 絶縁材料で形成され、
前記径方向突出部は、前記基体の周方向における前記軸方向突出部が形成されていない部分に対応して形成されていることを特徴とする請求項1記載の電気集塵機のスペーサ。 - 貫通孔を有する複数の電極板と、
前記複数の電極板それぞれの前記貫通孔に通された支持シャフトと、
隣接する前記電極板の間において前記支持シャフトに保持され、前記隣接する前記電極板の間隔を決めるスペーサと、
を備え、
前記スペーサは、環状又はC字状の基体と、前記基体から前記隣接する電極板それぞれに向かい周方向に離隔して突出する複数の軸方向突出部と、
前記基体から前記支持シャフトの外周面に向かい周方向に離隔して突出する複数の径方向突出部と、
を有する電気集塵機の集塵部。 - 前記スペーサは、
絶縁材料で形成されると共に、前記径方向突出部は、前記基体の周方向における前記軸方向突出部が形成されていない部分に対応して形成されており、
前記電極板は、高電圧が印加される高圧電極板であることを特徴とする請求項3記載の電気集塵機の集塵部。
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