JP7107713B2 - 電気集塵装置 - Google Patents

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Description

本発明は、高電圧の印加によって発生するコロナ放電により、含塵空気中の塵埃や油煙中のミスト等の粒子を帯電させて捕集する電気集塵装置に関する。
従来、調理時に発生する油煙などに含まれる粒子を捕集するために電気集塵装置が使用されている。
例えば、特許文献1には、細線をブラシ状に束ねた束状電極と、相互に離隔して設けられた複数の対向電極とからなる電気集塵構造を備えた電気集塵ユニットおよび空気清浄機が開示されている。
また、特許文献2には、炭素繊維を用いたブラシ状電極を対向電極と対向させて配置したコロナ放電ユニットを備えた電気集塵装置が開示されている。
特開2012-81423号公報 特開平8-112549号公報
しかしながら、特許文献1では、束状電極が対向電極から一端側に外れた位置に配置されているため、十分な帯電領域を確保することができず、安定した帯電領域を生成することができないという問題がある。さらに、束状電極のこのような配置では、低電圧での放電を発生することさえ難しいので、強電界のコロナ放電を発生させることは極めて困難である。
また、特許文献2の炭素繊維を用いたブラシ状電極について、本発明者が実験で検証したところ、早期に集塵性能が低下してしまう結果となり、長期間に亘って安定的に集塵することができないことが判明した。さらに、カーボンは素材の電気抵抗が大きいので、先端に汚れや湿気や酸化等が発生すると、電圧降下が生じて放電が弱くなり、結果的に、早期に集塵性能が低下してしまうことも判明した。
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、優れた耐久性を実現すると共に、安定した帯電領域を生成・確保し、低電圧で強電界のコロナ放電を発生させることで高い荷電性能(放電性能)を発揮することのできる電気集塵装置を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するため、本発明の第1の電気集塵装置は、高電圧の印加によって発生するコロナ放電により空気中の粒子を帯電させ捕集する電気集塵装置であって、ステンレス製繊維の線電極を束ねた束状部を有する放電用電極と、前記放電用電極を支持する支持体と、前記放電用電極および前記支持体から一定の間隔を介して対向するように配置される接地電極と、を備え、前記放電用電極および前記支持体は、前記接地電極にラップされるように配置されていることを特徴とする。
本発明の第1の電気集塵装置によれば、放電用電極と支持体が接地電極にラップされるように配置されているため、低電圧で強電界のコロナ放電を発生させることができると共に、安定した帯電領域を生成・確保することができる。また、放電用電極が繊維を束ねた束状部を有する線電極を使用しているため、汚れが付着し難く、例え放電している線電極が汚れにより放電できなくなったとしても、交番作用により別の線電極が放電を開始するので、優れた耐久性を実現するこができる。さらに、線電極の材質にステンレス繊維を使用したため、容易に強電界のコロナ放電を発生させることができる。
本発明の第2の電気集塵装置は、上記した第1の電気集塵装置において、前記接地電極は、前記放電用電極および前記支持体の両側に平行に配置され、前記放電用電極は、前記接地電極間の中心位置に配置されているのが好ましい。
本発明の第2の電気集塵装置によれば、電界(電気力線)が相反し干渉しないので、電界強度を高めることができる。また、強電界の生成により、低電圧での放電が可能となる。
本発明の第3の電気集塵装置は、上記した第1または第2の電気集塵装置において、前記放電用電極は、空気の流通方向に沿うように配置されているのが好ましい。
本発明の第3の電気集塵装置によれば、空気流路を流れる粒子に対して、効率よく粒子を帯電させることができる。
本発明の第4の電気集塵装置は、上記した第1~第3のいずれかの電気集塵装置において、前記支持体および前記接地電極は筒状に形成されているのが好ましい。
本発明の第4の電気集塵装置によれば、集塵対象の粒子が流通する流路は筒状に形成されているものが多いため、接続が容易となり、使い勝手を向上させることができる。
本発明の第5の電気集塵装置は、上記した第1~第4のいずれかの電気集塵装置において、前記放電用電極は、前記支持体から空気の流通方向の上流側と下流側とに向かって延びた状態で設けられているのが好ましい。
本発明の第5の電気集塵装置によれば、支持体の流通方向片側に放電用電極を設けた場合に比べて、放電用電極の数を増加させることができ、コロナ放電の発生箇所を増加させることができるため、空気中の粒子を効率良く帯電させることができる。
本発明の第6の電気集塵装置は、上記した第5の電気集塵装置において、前記上流側の放電用電極は、前記下流側の放電用電極と比べて、前記線電極の線径が細くおよび/または長さが長く、隣接する放電用電極間のピッチが広いのが好ましい。
本発明の第6の電気集塵装置によれば、上流側の放電用電極において、できる限りの粒子を帯電集塵し、上流側で帯電および集塵できなかった粒子を下流側の放電用電極で帯電集塵することができるので、全体としての集塵効率を向上させることができる。
本発明の第7の電気集塵装置は、上記した第5または第6の電気集塵装置において、前記上流側の放電用電極と前記下流側の放電用電極とは、空気の流通方向に直交する方向に1/2ピッチ分ずれて配置されているのが好ましい。
本発明の第7の電気集塵装置によれば、荷電力の最も弱い上流側の放電用電極間の中心位置に、下流側の放電用電極を配置することで、荷電効率を向上させることができる。
本発明の第8の電気集塵装置は、上記した第1~第4のいずれかの電気集塵装置において、前記放電用電極は、前記支持体から空気の流通方向の上流側のみに向かって延びた状態で設けられているのが好ましい。
本発明の第8の電気集塵装置によれば、線電極同士の反発に加えて、気流が線電極に直接的に作用するで、離間する作用が高まり、強電界のコロナ放電を発生させることができる。
本発明の第9の電気集塵装置は、上記した第1~第8のいずれかの電気集塵装置において、前記放電用電極に直流でマイナスの高電圧が印加されるのが好ましい。
本発明の第9の電気集塵装置によれば、直流方式を採用することで、他の方式(交流、パルス)に比べて、比較的簡単な構成とすることができる。また、マイナス荷電方式を採用することで、プラス荷電方式に比べて、同じ空間(隙間)でも放電用電極に放電電流を多く流すことができる。さらに、プラス荷電方式に比べて、放電安定性(異常放電しにくい特性)を向上させることができる。
本発明の第10の電気集塵装置は、上記した第1~第9のいずれかの電気集塵装置において、前記放電用電極の線電極は、非磁性のステンレスにより形成されているのが好ましい。
本発明の第10の電気集塵装置によれば、線電極が束状部から離間しやすく、放電性能を高めるこができる。例えば、磁性を備えたフェライト系では、線電極が束状部より離間し難いため、束状部との電界干渉による影響が大きく、強電界のコロナ放電を発生させることが難しい。
本発明の第11の電気集塵装置は、上記した第1~第10のいずれかの電気集塵装置において、前記放電用電極と前記接地電極との距離(mm)は、前記放電用電極に印加される電圧(kV)×安全係数+前記放電用電極の長さ(mm)により決定され、前記安全係数は、1~2の範囲であるのが好ましい。
本発明の第11の電気集塵装置によれば、放電用電極の劣化などにより、放電用電極が接地電極側に倒れたとしても、異常放電が発生しない距離を維持することができると共に、放電を安定的に継続することができ、安全性と耐久性の向上を図ることができる。
本発明の第12の電気集塵装置は、上記した第1~第11のいずれかの電気集塵装置において、前記放電用電極に印加される電圧は、4~6kVの範囲であり、前記放電用電極の長さは、3~7mmの範囲であるのが好ましい。
本発明の第12の電気集塵装置によれば、安定して放電することができる。
本発明の第13の電気集塵装置は、上記した第1~第12のいずれかの電気集塵装置において、隣接する前記放電用電極間のピッチは、5~45mmの範囲であるのが好ましい。
本発明の第13の電気集塵装置によれば、装置の小型化(高密度配置)を実現することができると共に、集塵性能(捕集性能)を向上させることができる。
本発明の第14の電気集塵装置は、上記した第1~第11のいずれかの電気集塵装置において、長さの長い放電用電極と長さの短い放電用電極とが、空気の流通方向に直交する方向に所定ピッチで交互に配置されているのが好ましい。
本発明の第15の電気集塵装置は、上記した第14の電気集塵装置において、前記短い放電用電極の長さは、前記長い放電用電極の長さの1/2~1/3の範囲であるのが好ましい。
本発明の第16の電気集塵装置は、上記した第14または第15の電気集塵装置において、前記放電用電極に印加される電圧は4~6kVの範囲であり、前記長い放電用電極の長さは5~7mmの範囲であり、隣接する前記放電用電極間のピッチは、3~10mmの範囲であるのが好ましい。
本発明の第14~第16の電気集塵装置によれば、長い放電用電極の隣に短い放電用電極を配置することで、隣の放電用電極との電界干渉による影響を抑制して、高密度の配置を実現し、高い放電性能(荷電性能)を発揮することができる。
本発明の第17の電気集塵装置は、上記した第1~第16のいずれかの電気集塵装置において、前記放電用電極の束状部は、直径5~25μmの前記線電極を10~200本束ねて構成されているのが好ましい。
本発明の第17の電気集塵装置によれば、流通性と経済性を高めることができると共に、耐久性(錆び難い)と放電性能(荷電性能)の向上を図ることができる。
本発明の第18の電気集塵装置は、上記した第1~第17のいずれかの電気集塵装置において、調理時に発生する油煙中の粒子を帯電させて捕集するのが好ましい。
本発明の第18の電気集塵装置によれば、フィルタ方式では集塵することができない例えば直径1μm以下の細かい粒子を含む油煙を集塵することができる。
本発明によれば、優れた耐久性を実現すると共に、安定した帯電領域を生成・確保し、低電圧で強電界のコロナ放電を発生させることで高い荷電性能(放電性能)を発揮することができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る電気集塵装置を斜め上方から示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る電気集塵装置の内部を斜め上方から示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る電気集塵装置を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る電気集塵装置の放電部を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る電気集塵装置の放電部を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る電気集塵装置の放電部を示す平面図である。 本発明の一実施形態の電気集塵装置の放電用電極の突出長さや配列のパターンを示す側面図である。 本発明の一実施形態の電気集塵装置の放電用電極の突出長さや配列の別のパターンを示す側面図である。 本発明の一実施形態の電気集塵装置の放電用電極の突出長さや配列のさらに別のパターンを示す側面図である。 本発明の一実施形態の電気集塵装置の放電用電極の突出長さや配列のさらに別のパターンを示す側面図である。 本発明の一実施形態の電気集塵装置の放電用電極の突出長さや配列のさらに別のパターンを示す側面図である。 放電用電極と接地電極板の3つの配置パターンについて、放電用電極に流れる電流値を測定して隣接する放電用電極による電界干渉の影響を比較検証した実験結果を示す図である。 放電用電極間のピッチ(間隔)を変えて捕集効率を測定した実験結果を示す図である。 4種類の長短比率の異なる放電用電極について捕集効率を測定した実験結果を示す図である。
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図中に示す「U」は「上」を示し、「D」は「下」を示している。
[電気集塵装置]
図面を参照しつつ、本実施形態に係る電気集塵装置1について説明する。まず、図1~図3を参照して、電気集塵装置1の全体構成について説明する。図1は電気集塵装置1を斜め上方から示す斜視図、図2は電気集塵装置1の内部を斜め上方から示す斜視図、図3は電気集塵装置1を示す断面図である。
電気集塵装置1は、コロナ放電によって空気中の粒子を帯電させて捕集する装置である。図示は省略するが、例えば、電気集塵装置1は、調理器で焼かれた食材等から発生する水分、煙(油煙)、オイルミスト等の粒子を空気と共に吸引して排気する無煙ロースターに組み込まれている。調理器は、テーブルに埋め込まれたバスタブ状の収容フレーム60(図3参照)の内部に固定されている。収容フレーム60の底部には、外部(室外)と連通する排気ダクト61(図3参照)の上流端部が突き出すように設けられている。電気集塵装置1は、調理器の側方に隣接して収容フレーム60内に設けられ、排気ダクト61の上流端部に接続されている。排気ダクト61の下流側には、排気ダクト61を介して電気集塵装置1内および収容フレーム60内等に吸引力を働かせる吸引ファン(図示せず)が設けられている。また、排気ダクト61には、粒径分布計測装置62が取り付けられている。
電気集塵装置1は、外筒体10と、内筒体11と、放電部12と、給電用碍子13と、2つの支持用碍子14と、高電圧電源部15と、を備えている。外筒体10および内筒体11は、基準電位点(例えば、大地等)に接続された接地電極となっている。放電部12は、外筒体10と内筒体11との間でコロナ放電を発生させる放電用電極30を含んでいる。給電用碍子13および各支持用碍子14は、外筒体10と放電部12との間を電気的に絶縁する。なお、以下の説明において、「流通方向」とは、空気が流れる方向を指す。また、「上流」および「下流」並びにこれらに類する用語は、空気の流通方向における「上流」および「下流」並びにこれらに類する概念を指す。
<外筒体>
外筒体10は、上部外筒体16と下部外筒体17とで構成され、例えば、不燃性、導電性および耐腐食性に優れるステンレスで形成されている。上部外筒体16は、上端(一端)を端面部16Aで閉塞し、且つ下端(他端)を開放した有天略円筒状に形成されている。上部外筒体16の端面部16Aには、主に強度を向上させる目的で、中央部に凹部18が形成されている。上部外筒体16の周壁16Bの上下方向やや下側には、1つの給電用穴19(図3参照)と2つの支持用穴20とが開口している。合計3つの穴19,20は、上部外筒体16の周方向に略等間隔(略120度間隔)で形成されている。給電用穴19の直径は、各支持用穴20よりも大きく設定されている。なお、詳細は後述するが、3つの穴19,20に対応して給電用碍子13と2つの支持用碍子14とが配置されている。また、上部外筒体16の周壁16Bには、給電用穴19と各支持用穴20の下方に3つの係合穴21が形成されている。3つの係合穴21は、上部外筒体16の周方向に略等間隔(略120度間隔)で形成されている。
下部外筒体17は、円環状に形成されており、外周部に形成される底面部17Aと、底面部17Aの外周部から立ち上がる外周壁17Bと、底面部17Aの内周部から立ち上がる内周壁17Cと、で構成されている。下部外筒体17の底面部17Aには、複数の吸込口22が開口されている。各吸込口22は、メンテナンス時に指が吸込口22を通って放電部12に接触するのを防止するため、所定の大きさに仕切られている。下部外筒体17の外周壁17Bには、上部外筒体16の各係合穴21に対応する位置に凸部23が形成されている。各凸部23は、内向きに突出して形成され、上部外筒体16の各係合穴21に係合可能となっている。これにより、上部外筒体16と下部外筒体17は着脱可能となっている。
<内筒体>
内筒体11は、上下方向両端を開放した略円筒状に形成され、外筒体10と同様に、ステンレスで形成されている。内筒体11は、円筒形状の本体部24と、本体部24の下方に形成される拡幅部25と、により構成されている。本体部24は、直径(外径)が外筒体10よりも小さく設定され、上部外筒体16の周壁16Bとの間に隙間が形成されるように設けられている。また、本体部24は、外筒体10より上下方向に短く設定され、上部外筒体16の端面部16Aとの間に隙間が形成されるように設けられている。
拡幅部25は、本体部24の下端から外側下方に向かって延出して形成されており、下方に排気ダクト61が接続されるようになっている。拡幅部25は、本体部24との間に水平に形成される段差部26と、段差部26から外側下方に延出する傾斜部27と、傾斜部27の下端から外側水平に延出する外鍔部28と、により構成されている。段差部26は下部外筒体17の内周角部を支持するように形成されている。これにより、下部外筒体17が内筒体11に嵌合することで、外筒体10と内筒体11との間の距離は、下部外筒体17により設定される。また、外筒体10は、内筒体11に対して上方向から装着可能、且つ、上方向に取り外し可能となっている。
作業員は、メンテナンス等で排気ダクト61に対して内筒体11の着脱作業を行う場合、外鍔部28を把持するので、この時に作業員の手を傷つけない様に、外鍔部28の先端部はカール状に丸められて形成されている。また、外鍔部28は、放電用電極30に付着した後落下する油滴や、外筒体10や内筒体11に集塵された後に落下する油滴や、含塵空気中の塵埃等を貯留することもできる。なお、図3において、外鍔部28の径方向の寸法は、外筒体10の外径と略同一寸法に示されているが、外筒体10の外径より大きく設定されていてもよい。
<給電用碍子>
給電用碍子13は、例えば、磁器または陶器もしくは電気絶縁性に優れる樹脂で形成されており、上部外筒体16によって支持される。給電用碍子13は、外筒体10の外側に配置される板状部43と、給電用穴19を貫通して外筒体10と後述する支持体31の間に配置される胴部44と、を備え、板状部43および胴部44には径方向に給電ネジ38が螺合可能なネジ穴45が形成されている。なお、ネジ穴45は、ネジ山が形成されていない貫通穴で形成しても良い。給電ネジ38は、内側からリング体34の給電ネジ用穴37を介してネジ穴45に挿入され、給電ネジ38の先端部38Bは板状部43の外面から突出するようになっている。板状部43は、外筒体10の接線方向に延出する横長形状を有しており、その左右両端部にはフランジ部46が形成されている。板状部43の外面には、給電板47の位置決め用凸部40が突設され、給電板47は給電ネジ38の先端部38Bにナット48が螺合することで給電用碍子13に固定される。給電板47は、高電圧電源部15と電気的に接触する。
胴部44は、円筒形状を有しており、その外周面44Aは凹凸に形成されている。胴部44の外周には、胴部44を囲うように保護用碍子49が設けられている。保護用碍子49は、例えば、磁器または陶器もしくは電気絶縁性に優れる樹脂で形成されている。保護用碍子49は、内外両端部に鍔部49A、49Bを有する円筒状に形成されており、鍔部49A、49Bにより、外筒体10と放電部12との間を所定間隔に安定的に維持することができる。このように給電用碍子13を構成することで、高電圧電源部15から、給電板47、給電ネジ38、リング体34、内側挟持体32を経由して、各放電用電極30に高電圧が印加されるようになっている。この時、保護用碍子49により給電ネジ38と外筒体10の給電用穴19との沿面距離を長くすることができるため、給電ネジ38と給電用穴19との間での沿面リーク(沿面放電)を防止し、安定的に高電圧を印加することができる。なお、保護用碍子49は必ずしも設けなくてもよい。
<支持用碍子>
2つの支持用碍子14は、それぞれ、例えば、磁器または陶器もしくは電気絶縁性に優れる樹脂で形成されており、上部外筒体16によって支持される。各支持用碍子14は、内外両端部に鍔部14A、14Bを有する円柱状に形成されており、鍔部14A、14Bにより、外筒体10と放電部12との間を所定間隔に安定的に維持することができる。各支持用碍子14の外側鍔部14Bの外側には上部外筒体16の支持用穴20(図1参照)と係合可能な溝部55が形成されている。この溝部55に各支持用穴20を係合することで各支持用碍子14が上部外筒体16に固定される。この時、各支持用穴20は各支持用碍子の外側鍔部14Bによって塞がれる。
<高電圧電源部>
図1に示すように、高電圧電源部15は、高圧トランス15Aと、倍圧部15Bと、リミットスイッチ15Cと、を含んでいる。高電圧電源部15は、各放電用電極30と各筒体10,11との間に高電圧を印加する。高圧トランス15Aは、元電源P(交流100V)の交流電圧を昇圧する。倍圧部15Bは、高圧トランス15Aで昇圧した交流電圧を直流電圧に変換し、且つ更に昇圧することでマイナス約5kVの高電圧を生成する。また、倍圧部15Bは、放電用電極30に対する高電圧の印加を制御する出力制御部としても機能する。リミットスイッチ15Cは、電気集塵装置1を収容フレーム60に装着した時に投入状態(ON状態)となり、電気集塵装置1を収容フレーム60から離脱した時に開放状態(OFF状態)となる。
仮に、集塵方式をプラス荷電方式とすると、荷電に必要な放電電流を確保するために放電距離を近づけなくてはならず異常放電し易くなる。したがって、上記した本実施形態では、同じ空間の間隔(隙間)でも放電電流が多いことと、放電安定性(異常放電しにくい傾向)を考慮してマイナス荷電方式を採用している。なお、直流の元電源(例えば24V)を使用しても良い。
<放電部>
次に、図2および図3に加えて、図4~図7A,B,C,D,Eを参照して、放電部12について説明する。図4は放電部12を示す斜視図、図5は放電部12を示す側面図、図6は放電部12を示す平面図、図7A~Eは放電用電極の突出長さや配列の異なるパターンを示す側面図である。なお、外筒体10、内筒体11、放電部12は、必ずしも図2および図3のように円筒状に形成されていなくても良く、例えば、図4~図6に示すように平板状に形成されていてもよい。
放電部12は、複数の放電用電極30と、各放電用電極30を支持する支持体31と、を含んでいる。放電用電極30および支持体31は、接地電極である外筒体10および内筒体11にラップされるように配置されている。なお、ここで「ラップ」とは、側方から見て隠れて見えない状態のことを言う。すなわち、放電用電極30および支持体31は、上端が外筒体10および内筒体11の上端より低く、且つ、下端が外筒体10および内筒体11の下端より高くなるように配置されている。放電用電極30および支持体31の両側に外筒体10および内筒体11が平行に配置され、放電用電極30および支持体は、外筒体10と内筒体11間の中心位置に配置されているのが好ましい。
各放電用電極30は、繊維状の線電極32を束ねてブラシ状に形成された束状部33を備えている。線電極32は、直径12μmの非磁性のステンレス繊維で形成されており、ステンレスは、流通性と経済性と耐食性に優れた、18%のCrと8%のNiを含むSUS304を使用している。なお、線電極32は、非磁性のステンレスであれば、例えば、18%のCrと12%のNiにモリブデン(Mo)を添加したSUS316等、他の材質を使用しても良い。支持体31は、ステンレスで形成されており、ステンレスは、SUS304であり、線電極32と同じ材質を使用している。支持体31に固定されている線電極32と支持体31は、同じ材質(ステンレス)を使用していることで、異種金属の接触による電解腐食(電食)を防止している。
1つの放電用電極30は、例えば、約100本の線電極32が束ねられることで形成されている。なお、放電用電極30は、直径5~25μmの線電極32を10~200本束ねて形成されていても良い。
複数の放電用電極30は、支持体31から上下両側(流通方向の上流側と下流側)に向かって延びた状態で設けられている。なお、放電用電極30は、図4および図5に示されているように支持体31から流通方向の上流側のみに配置されても良いし、或いは、支持体31から流通方向の下流側のみに配置されても良い。放電用電極30が上流側のみに配置された場合には、線電極32同士の反発に加えて、流通する空気が線電極32の先端に直接的に当たるので、線電極32が束状部33から離間する作用が高まり、強電界にコロナ放電を発生させることができる。一方、放電用電極30が下流側のみに配置された場合には、支持体31により線電極32の先端に流通する空気が接触し難く、放電用電極30が汚れ難いため、耐久性の向上を図ることができる。したがって、特に調理時に発生する油煙等の粘着性の粒子を含む空気の場合に有効である。
複数の放電用電極30は全て略同じ全長に形成され、複数の放電用電極30の先端は略揃えられている。各放電用電極30の突出長さ(支持体31の上端(下端)から各放電用電極30の先端までの長さ)は、約5mmに設定されている。なお、放電用電極30は、離間可能な長さが3mm以上であり、自立可能な長さが7mm以下であるから、3~7mmの範囲に設定されるのが好ましい。
複数の放電用電極30は、支持体31の周方向に沿って所定のピッチPで間欠的に設けられている。図7Aに示されているように、複数の放電用電極30は、支持体31の上側と下側とで同位相となるように並べられている。すなわち、支持体31を挟んで上下に対向する一対の放電用電極30は、上下方向に延ばした直線上に設けられている。
なお、放電用電極30の突出長さLや配列のパターンは、例えば、図7B~7Eに示されているように各種変更が可能である。図7Bは、放電用電極30の突出長さLが全て同じで、支持体31の上側(上流側)の放電用電極30と支持体31の下側(下流側)の放電用電極30とが周方向に1/2ピッチ位相がずれるように配列したパターンを示している。図7Cは、長い突出長さL1の放電用電極30Aと短い突出長さL2の放電用電極30Bとを所定ピッチPで交互に並べると共に、支持体31の上側(上流側)と下側(下流側)とで長い突出長さL1の放電用電極30Aと短い突出長さL2の放電用電極30Bとが同位相となるように配列したパターンを示している。図7Dは、長い突出長さL1の放電用電極30Aと短い突出長さL2の放電用電極30Bとを所定ピッチPで交互に並べると共に、支持体31の上側(上流側)と下側(下流側)とで長い突出長さL1の放電用電極30Aと短い突出長さL2の放電用電極30Bとが1ピッチずれるように配列したパターンを示している。図7Eは、長い突出長さL1の放電用電極30Aと短い突出長さL2の放電用電極30Bとを所定ピッチPで交互に並べると共に、支持体31の上側(上流側)の放電用電極30A,30Bと支持体31の下側(下流側)の放電用電極30A,30Bとが周方向に1/2ピッチ位相がずれるように配列したパターンを示している。上記した図7A~図7Eに示されている各種パターンのうち、放電性能が最も優れているのは、図7Eに示されているパターンであり、製造し易いのは、図7Aまたは図7Bに示されているパターンである。
このように配列を変更することにより、中心的な役割の上流側(上側)の放電用電極30に対して下流側(下側)の放電用電極30が補助的な役割を果たすことにより、荷電性能(放電性能)を向上させることができる。
<空気流路>
図3に示すように、電気集塵装置1の外側および内側には、空気流路71が形成されている。空気流路71は、第1流路71Aと、第2流路71Bと、第3流路71Cと、を含んでいる。
第1流路71Aは、外筒体10の外周面と収容フレーム60の側面との間に形成されている。第1流路71Aは、外筒体10の外周面に沿って上下方向に延びている。第1流路71Aでは、上方から下方に向かって空気が流れるようになっている。第2流路71Bは、外筒体10の内周面と内筒体11の外周面との間で上下方向に延びた状態に形成されている。第2流路71Bでは、第1流路71Aの下端(下流端)で反転した空気が下方から上方に向かって流れるようになっている。第3流路71Cは、内筒体11の内部で上下方向に延びた状態に形成されている。第3流路71Cでは、第2流路71Bの上端(下流端)で反転した空気が上方から下方に向かって流れるようになっている。第3流路71Cの下流端部は、排気ダクト61の上流端部に接続されている。
以上のように、空気流路71は、第1流路71Aの下流端と第2流路71Bの下流端とで空気の流通方向を2回反転させているため、全体として略S字状に形成されている。
[電気集塵装置の作用]
次に、電気集塵装置1の作用について説明する。
調理器で焼かれた食材から発生した油煙等の粒子を含む空気は、吸引ファンによる吸引力によって調理器の吸引口から収容フレーム60内に吸い込まれ、電気集塵装置1に向かって流れる。図3に示すように、粒子を含む空気は、流通方向の上流側に設けられた端面部16Aに衝突して僅かに減速されつつ、端面部16Aや第1流路71Aに沿って上方から下方に向かって流れる。この時、比較的大きな粒子の一部は、空気から分離されて、凹部18に貯留される。なお、上部外筒体16の端面部16Aは、空気が衝突して分離された粒子が凹部18に向かい易いように、凹部18の方に向かって傾斜するように形成させてもよい。
粒子を含む空気は、第1流路71Aの下流端まで流れた後、その流通方向を反転(Uターン)されて、第2流路71Bに流入する。このとき、粒子を含む空気が第1流路71Aから第2流路71Bに向かって急激に進路変更されるため、空気中の粒子のうち比較的粒径が大きく重い粒子(例えば、液滴や火の粉等)が遠心力等によって空気から分離される。その際、分離された粒子の一部は、外鍔部28に貯留され、その他の分離された粒子は、収容フレーム60の下部(排気ダクト61の周囲)に形成された回収部72に落下し、捕集される。
次に、粒子を含む空気は、第2流路71Bに沿って下方から上方に向かって流れる。放電部12と各筒体10,11との間に高電圧が印加されていない状態では、放電用電極30の束状部33は先端が外側に拡がっていないが、高電圧電源部15により放電部12と各筒体10,11との間に高電圧を印加されると、束状部33の外周部分に配置されている数本の線電極32の先端部は、図4~図6に示されているように、束状部33とのクーロン力(F=qE q:粒子がもつ電荷、E:電界)により反発してクーロン力が線電極32の剛性に勝ることで、束状部33から離間して各筒体10,11(接地電極)側に曲がる。そして、束状部33から離間した線電極32は強電界となり、線電極32の先端部と各筒体10,11(接地電極)との間で、コロナ放電(負極性コロナ)が発生する。なお、この時、束状部33から離間した線電極32の先端部が汚れると、その代わりに新たな線電極32が束状部33から離間して放電を開始するため、継続して放電を行うことができる。また、線電極32同士の反発によるクーロン力と、線電極32の先端部からのイオン風の影響により、線電極32が振動して汚れ難いので、放電用電極30の耐久性を高く維持することができる。
図3、図5、および図6に示すように、コロナ放電は、各放電用電極40の先端部と外筒体10および内筒体11との間に略円錐状の帯電エリアEAを形成する。このコロナ放電は、第2流路71B(帯電エリアEA)を流れる空気中の粒子を帯電させる。帯電した粒子は、接地電極である外筒体10の内周面または内筒体11の外周面に引き寄せられて吸着される。すなわち、空気中の粒子は、空気から分離されて各筒体10,11の表面に捕集される。
図3に示すように、第2流路71Bに流入した空気は、外筒体10と支持体31との間を流れる空気と、内筒体11と支持体31との間を流れる空気に分流される。内筒体11と支持体31との間を通過した空気は、下流側(上側)の放電用電極30で発生した帯電エリアEAを通過した後、外筒体10と支持体31との間を通過した空気と合流する。合流した空気は、外筒体10の上部隅部分から端面部16Aに沿って流れる。このため、帯電した粒子は、外筒体10の上部隅部分付近や端面部16Aの内面(下面)に捕集される。
次に、粒子が分離された空気は、第2流路71Bの下流端まで流れた後、その流通方向を反転(Uターン)されて、第3流路71Cに流入する。空気は、第3流路71Cに沿って上方から下方に向かって流れ、排気ダクト61に流入する。なお、帯電した粒子は、内筒体11の外周面にも吸着することがある(図3参照)。
以上によって、粒子を除去された空気が排気ダクト61を通って外部に排気される。なお、外鍔部28や回収部72に捕集された粒子は、定期的に回収され、除去される。また、各筒体10,11に捕集された粒子は、電気集塵装置1の定期メンテナンス時に除去される。具体的には、各筒体10,11に捕集された粒子は、収容フレーム60から取り出された電気集塵装置1に対し、アルカリ洗剤を用いた超音波洗浄等を実施することで除去される。
[実験による検証]
<実験1>
実験1では、以下の(A)~(C)の3つの放電用電極30と接地電極板10,11の配置パターンについて、後述する実験条件の下、放電用電極30に流れる電流値を測定し、隣接する放電用電極30による電界干渉の影響について、比較検証した。
(A)放電用電極30の配列方向に沿って、放電用電極30および支持体31の片側のみに平行に接地電極板10を離間して配置した片側平行配置のパターン
(B)放電用電極30の配列方向に沿って、放電用電極30の両側に平行に接地電極板10,11を離間して配置した両側平行配置のパターン
(C)放電用電極30の先端部と垂直を成すように接地電極板を離間して配置した垂直配置のパターン
実験1の実験条件は以下の通りとした。
・空気の流通方向は、(A)および(B)の配置パターンの場合、図4の矢印方向(垂直方向)とする。また、(C)の配置パターンは、図4において両側2枚の接地電極板10,11を外して放電用電極30の先端部と対向するように1枚の接地電極板を離間して配置したパターンであり、空気の流通方向は、図4の矢印方向に直交する水平方向とする。
・直径12μmのステンレス繊維(SUS304)を100本束ねて1束の放電用電極30を形成する。
・放電用電極30の束数を3束とする。
・印加電圧は、-5kVとする。
・放電用電極30は、支持体31の上側(流通方向の上流側)にのみ設置し、支持体31からの突出長さは、5mmとする。
・放電用電極30のピッチは、5mmとする。
・放電用電極30と接地電極板10,11との距離(放電ギャップ)は15mmとする。
図8に示すように、実験1から以下の結果を得た。
・配置パターン(A)の場合、図8中において○印で示すように、隣接する放電用電極30間の電流値の差が小さく電界干渉の影響は少ないが、電流値が小さい(コロナ放電が弱い)。
・配置パターン(B)の場合、図8中において□印で示すように、隣接する放電用電極30間の電流値の差が小さく電界干渉の影響は少なく、電流値も大きい(コロナ放電が強く強電界を生成する)。
・配置パターン(C)の場合、図8中において△印で示すように、隣接する放電用電極30間の電流値の差が大きく中央の放電用電極30(横軸0mmの放電用電極)に電界干渉の影響が大きく、電流値も小さい(コロナ放電が弱い)。
この結果から、(B)の両側平行配置のパターンの特性が最も優れていることが判明した。
また、配置パターン(A)または(B)の場合、放電用電極30と接地電極板10,11との距離L(mm)は、実験の結果、以下の式により決定されるのが良いことが判明した。
距離L(mm)=放電用電極30に印加される電圧(kV)×安全係数+放電用電極30の長さ(mm)
なお、上記式中の安全係数は、1~2の範囲とする。
上記式を満たすように放電用電極30と接地電極板10,11との距離L(mm)を決定することにより、放電用電極30の劣化などで放電用電極が接地電極側に倒れたとしても、異常放電が発生しない距離を維持することができる。また、放電用電極30と接地電極板10,11との距離Lが必要以上に離れることによる放電性能(荷電性能)の低下を防止することができるため、高い放電性能(荷電性能)を発揮することができる。
<実験2>
実験2では、以下の実験方法および実験条件に基づき、隣接する放電用電極30間のピッチ(間隔)を変えて捕集効率を測定した。
実験2は以下の手順で行った。
1.市販のたれを漬けた肉をロースターで焼いて、油煙を発生させる。
2.ロースターの下流側に、電気集塵装置1、粒径分布計測装置(パーティクルカウンター)62(図3参照)、吸引ファンの順番で配置した。
3.電気集塵装置1をONした時とOFFした時に発生する油煙の粒子径と個数を、粒径分布計測装置62で計測した。
4.放電用電極30間のピッチ(間隔)を変化させて捕集効率を測定した。
また、実験2の実験条件は以下の通りとした。
・放電用電極30の支持体31からの突出長さは、5mmで一定とする。
・印加電圧は、-5kVとする。
・筒状の支持体31を使用する。
・放電用電極30は、支持体31の上流側と下流側の両方に設置し、支持体31からの突出長さは、5mmとする。
・放電用電極30の配列パターンは、図7Aに示す通りとする。
・捕集効率は、粒径分布計測装置62のデータを基に算出する(算出式は後述する)。
・放電用電極30間のピッチ(間隔)は、0.8mm、5mm、7mm、10mm、20mm、25mm、30mm、40mm、45mm、50mmの10通りとする。したがって、例えば、放電用電極30間のピッチ(間隔)が5mmの場合には、支持体31に支持される放電用電極30の中心径を170mmとすると、170×π/5=約107束の放電用電極30が配置される。また、放電用電極30間のピッチ(間隔)が50mmの場合には、170×π/50=約10束の放電用電極30が配置される。
図9に示すように、実験2から、放電用電極30間のピッチ(間隔)が5mm~45mmの範囲において、捕集効率が、閾値の85%を満たす結果となった(図9では、捕集効率の閾値をThと示している)。したがって、電気集塵装置1において、隣接する放電用電極30間のピッチ(間隔)は、5~45mmの範囲に設定するのが好ましい。
<実験3>
実験3では、以下の4種類の長短比率(長さが長い放電用電極30Aと長さの短い放電用電極30Bとの長さの比率)の異なる放電用電極30について、以下の実験方法および実験条件に基づき、捕集効率を測定した。
実験3は以下の手順で行った。
1.市販のたれを漬けた肉をロースターで焼いて、油煙を発生させる。
2.ロースターの下流側に、放電用電極30を備えた電気集塵装置1、粒径分布計測装置(パーティクルカウンター)62(図3参照)、吸引ファンの順番で配置する。
3.電気集塵装置をONした時とOFFした時に発生する油煙の粒子径と個数を、4種類の長短比率の放電用電極30ついて、粒径分布計測装置62で計測する。
4.粒子径と個数を測定したデータより捕集効率を算出する(算出式は後述する)。
5.長短比率が1:1の放電用電極30A,30Bの捕集効率よりも良い捕集効率の場合に、効果ありと判断する。
また、実験3の実験条件は以下の通りとした。
・4種類の長短比率の異なる放電用電極30A,30Bを使用する。
・長い放電用電極30Aの長さは5mm(固定)とし、短い放電用電極30Bの長さは可変とする。
・放電用電極30A,30Bの長短比率が1:1の場合、短い放電用電極30Bの長さは5mmとする。
・放電用電極30A,30Bの長短比率が1:2/3の場合、短い放電用電極30Bの長さは3.3mmとする。
・放電用電極30の長短比率が1:1/2の場合、短い放電用電極30Bの長さは2.5mmとする。
・放電用電極30の長短比率が1:1/3の場合、短い放電用電極30Bの長さは1.7mmとする。
・印加電圧は、-5kVとする。
・筒状の支持体31を使用する。
・放電用電極30は、支持体31の上流側と下流側の両方に設置する。
・放電用電極30の配列パターンは、図7Dに示す通りとする。
・放電用電極30間のピッチ(間隔)は、3mm、5mm、7mm、10mm、20mmで測定する。したがって、例えば、放電用電極30間のピッチ(間隔)が5mmの場合には、支持体31に支持される放電用電極30の中心径を170mmとすると、170×π/5=約107束の放電用電極30が配置される。また、放電用電極30間のピッチが20mmの場合には、170×π/20=約26束の放電用電極30が配置される。
・捕集効率の算出式は、捕集効率={1-(電圧ON時の粒子総体積/電圧OFF時の粒子総体積)}×100(%)であり、粒子総体積=1個の粒子の体積×粒径分布計測装置62(図3参照)でカウントされた個数の総和であり、粒子範囲は、5.6nm~560nmである。
・発生する油煙の粒子径の範囲は、20nm~300nm程度と想定されるため、その範囲を粒径分布計測装置62で測定する。
・粒径分布計測装置62は、東京ダイレック株式会社のModel3091で5.6nm~560nmの範囲の粒子径を32分解能で測定する。
図10に示すように、実験3から以下の結果を得た。
放電用電極30間のピッチが3~10mmにおいて、長短比率1:1/2および1:1/3の放電用電極30A,30Bの捕集効率は、長短比率1:1の放電用電極30A,30Bの捕集効率よりも良好な結果となった。また、長い放電用電極30Aの間に短い放電用電極30Bを配置する千鳥配置により、隣接する放電用電極30からの電界干渉の影響を軽減しながら、捕集効率を向上させることができた。さらに、長短比率1:1/2および1:1/3の放電用電極30A,30Bは、ピッチ(間隔)が10mmを超えると、長短比率1:1の放電用電極30A,30Bよりも捕集効率が低下する結果となり、千鳥配列の短い放電用電極30Bによる捕集効率の向上効果が見られなかった。
なお、長短比率1:2/3の放電用電極30A,30Bは、ピッチ5mmおよび7mmにおいて、長短比率1:1の放電用電極30A,30Bよりも捕集効率が低下する結果となったため、効果なしと判断し、途中で実験を打ち切った。
[線電極の材質の違いによる比較(SUS304と炭素繊維(カーボン)]
次に、本実施形態において使用する線電極32の材質であるステンレス(SUS304)と従来の線電極の材質である炭素繊維(カーボン)の放電性能について比較検討する。
例えば、直径が0.012mmで長さが5mmのSUS304の線電極32が高電圧の印加により、先端部で2mm撓んだと仮定すると、撓み量δ=2mmに相当する力Fは、F=9.43×10-6(N)となる。
次に、直径が0.012mmで長さが5mmの炭素繊維の線電極が高電圧の印加により、SUS304の線電極32と同等の力F=9.43×10-6(N)の力を受けたと仮定して、撓み量δを求めると、δ=1.06mmとなる。したがって、SUS304の線電極32と炭素繊維の線電極に作用するクーロン力が同等とみなした場合、SUS304の線電極32の撓み量(2mm)は、炭素繊維の線電極の撓み量(1.06mm)に比べて、約2倍大きい。すなわち、同一条件の下では、従来の炭素繊維の線電極に比べてSUS304の線電極32の方が撓み量が大きいので、束状部33から離間する距離が大きくなり、電界が強くなる。よって、本実施形態において使用するSUS304の線電極32の方が従来の炭素繊維の線電極よりも、放電が強くなることが分かる。
このように線電極32の材質であるステンレス繊維は、炭素繊維に比べて、ヤング率が小さく、剛性が弱いため、炭素繊維よりも束状部33から外側(接地電極側)に離間する距離(たわみ量)が大きい。そのため、ステンレス繊維の線電極32は束状部33との電界干渉による影響が少なくなり、容易に強電界のコロナ放電を発生させることができる。
なお、線電極を片持ち梁として先端に力Fが作用した際のI、F、δは以下の式により算出される。(d:線電極の直径、L:線電極の長さ、E:ヤング率)
慣性モーメントIの算出式:I=πd/64
力Fの算出式:F=3EIδ/L
撓みδの算出式:δ=WL/3EI
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る電気集塵装置の一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。
本発明の技術は、調理時に発生する油煙を吸引して捕集する無煙ロースター等に利用することができる。また、室内において空気中の花粉や煙草の煙等の粒子を集塵する空気清浄器等に利用することもできる。さらに、室外の空気から塵埃(粒子)を除去した空気を室内に取り込む給気ダクト装置や、室内の空気から塵埃(粒子)を除去した空気を室外に排気する排気ダクト装置等に利用することもできる。
1 電気集塵装置
10 外筒体(接地電極)
11 内筒体(接地電極)
30 放電用電極
31 支持体
32 線電極
33 束状部

Claims (18)

  1. 高電圧の印加によって発生するコロナ放電により空気中の粒子を帯電させ捕集する電気集塵装置であって、
    ステンレス製繊維の線電極を束ねた束状部を有する放電用電極と、
    前記放電用電極を支持する支持体と、
    前記放電用電極および前記支持体から一定の間隔を介して対向するように配置される接地電極と、
    を備え、
    前記放電用電極および前記支持体は、前記接地電極にラップされるように配置されていることを特徴とする電気集塵装置。
  2. 前記接地電極は、前記放電用電極および前記支持体の両側に平行に配置され、前記放電用電極は、前記接地電極間の中心位置に配置されている請求項1に記載の電気集塵装置。
  3. 前記放電用電極は、空気の流通方向に沿うように配置されている請求項1または2に記載の電気集塵装置。
  4. 前記支持体および前記接地電極は筒状に形成されている請求項1~3のいずれかの請求項に記載の電気集塵装置。
  5. 前記放電用電極は、前記支持体から空気の流通方向の上流側と下流側とに向かって延びた状態で設けられている請求項1~4のいずれかの請求項に記載の電気集塵装置。
  6. 前記上流側の放電用電極は、前記下流側の放電用電極と比べて、前記線電極の線径が細くおよび/または長さが長く、隣接する放電用電極間のピッチが広い請求項5に記載の電気集塵装置。
  7. 前記上流側の放電用電極と前記下流側の放電用電極とは、空気の流通方向に直交する方向に1/2ピッチ分ずれて配置されている請求項5または6に記載の電気集塵装置。
  8. 前記放電用電極は、前記支持体から空気の流通方向の上流側のみに向かって延びた状態で設けられている請求項1~4のいずれかの請求項に記載の電気集塵装置。
  9. 前記放電用電極に直流でマイナスの高電圧が印加される請求項1~8のいずれかの請求項に記載の電気集塵装置。
  10. 前記放電用電極の線電極は、非磁性のステンレスにより形成されている請求項1~9のいずれかの請求項に記載の電気集塵装置。
  11. 前記放電用電極と前記接地電極との距離(mm)は、前記放電用電極に印加される電圧(kV)×安全係数+前記放電用電極の長さ(mm)により決定され、前記安全係数は、1~2の範囲である請求項1~10のいずれかの請求項に記載の電気集塵装置。
  12. 前記放電用電極に印加される電圧は、4~6kVの範囲であり、前記放電用電極の長さは、3~7mmの範囲である請求項1~11のいずれかの請求項に記載の電気集塵装置。
  13. 隣接する前記放電用電極間のピッチは、5~45mmの範囲である請求項1~12のいずれかの請求項に記載の電気集塵装置。
  14. 長さの長い放電用電極と長さの短い放電用電極とが、空気の流通方向に直交する方向に所定ピッチで交互に配置されている請求項1~11のいずれかの請求項に記載の電気集塵装置。
  15. 前記短い放電用電極の長さは、前記長い放電用電極の長さの1/2~1/3の範囲である請求項14に記載の電気集塵装置。
  16. 前記放電用電極に印加される電圧は4~6kVの範囲であり、前記長い放電用電極の長さは5~7mmの範囲であり、隣接する前記放電用電極間のピッチは、3~10mmの範囲である請求項14または15に記載の電気集塵装置。
  17. 前記放電用電極の束状部は、直径5~25μmの前記線電極を10~200本束ねて構成されている請求項1~16のいずれかの請求項に記載の電気集塵装置。
  18. 調理時に発生する油煙中の粒子を帯電させて捕集する請求項1~17のいずれかの請求項に記載の電気集塵装置。
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