しかしながら、特許文献1に記載の空気清浄機では、稼動時間の経過に伴い、吸込み部や、イオン化部と集塵部の上流側の第1筐体部が汚染されると共に、第2筺体部の周辺も少なからず汚染されるため、定期的に清掃するメンテナンスが必要となる。しかしながら、メンテナンスが必要とされる箇所を容易に取外しできる構造となっていないため、非常に労力と工数が掛かるという問題がある。この問題は、天井吊り下げまたは天井埋込で高所に設置される場合には、特に深刻である。
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、天井や壁面などに設置された場合であっても、定期的なメンテナンスが必要な部品を装置本体に対して容易に着脱することのできる電気集塵装置を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するため、本発明の第1の電気集塵装置は、高電圧の印加によって発生するコロナ放電により空気中の粒子を帯電させ捕集する電気集塵装置であって、接地電極として形成される筒状の外筒体と、接地電極として形成され、前記外筒体の内部において該外筒体との間に隙間を介して設けられる筒状の内筒体と、前記外筒体と前記内筒体との間の隙間において該外筒体および該内筒体に電気的に絶縁された状態で設けられる支持部材と、前記支持部材に支持される複数の放電用電極と、前記支持部材を介して前記放電用電極に供給する高電圧を生成する高電圧生成部が設けられるベースと、を備え、前記外筒体は、前記内筒体および前記支持部材と一体的に構成され、前記ベースに対して着脱可能に設けられていることを特徴とする。
本発明の第1の電気集塵装置によれば、稼動時間の経過に伴って定期的なメンテナンスを必要とする電極部品である、外筒体、内筒体、支持部材、および放電用電極をベースから一体的に着脱することができるため、メンテナンスの向上を図ることができる。
本発明の第2の電気集塵装置は、上記した第1の電気集塵装置において、前記外筒体は両端部が開放され、前記内筒体は一端部が閉塞され、一端部側を空気の流通方向の上流側とする空気流路が前記外筒体と前記内筒体との間の隙間に構成され、前記外筒体の他端部側に前記ベースが設けられているのが好ましい。
本発明の第2の電気集塵装置によれば、内筒体の内部を空気が流通しない空間にすることで、必ず空気は外筒体と内筒体の隙間を通過するため、空気に含まれる粒子を確実に帯電させることができる。
本発明の第3の電気集塵装置は、上記した第1または第2の電気集塵装置において、前記外筒体と前記内筒体と前記支持部材は、同心状の円筒形状に形成されているのが好ましい。
本発明の第3の電気集塵装置によれば、空気流路内の流速を均一、かつ安定化させることができる。
本発明の第4の電気集塵装置は、上記した第1~第3のいずれかの電気集塵装置において、前記内筒体は径方向に設けられる複数のスペーサにより前記外筒体に支持され、前記支持部材は径方向に設けられる複数の碍子により前記内筒体に支持されているのが好ましい。
本発明の第4の電気集塵装置によれば、簡素な構成で、外筒体と内筒体と支持部材を一体的にユニット化することができると共に支持部材を電気的に絶縁された状態とすることができる。
本発明の第5の電気集塵装置は、上記した第4の電気集塵装置において、前記ベースは、空気の流通方向から見て、前記スペーサおよび前記碍子とラップするように配置されているのが好ましい。
本発明の第5の電気集塵装置によれば、各部材をラップさせることで空気流路を流通する気流の抵抗を減らし、気流を安定的に流通させることができる。
本発明の第6の電気集塵装置は、上記した第1~第5のいずれかの電気集塵装置において、前記内筒体の内部には、前記放電用電極と電気的に接続される一方の高電圧接点部が設けられ、前記ベースには、前記一方の高電圧接点部に対応する位置に他方の高電圧接点部が設けられ、前記外筒体が前記ベースに対して着脱されるのに伴い、前記内筒体の内部において、前記一方の高電圧接点部が前記他方の高電圧接点部に対して接離状態となるのが好ましい。
本発明の第6の電気集塵装置によれば、内筒体の内部に収納された状態で高電圧接点部同士が接触および離間するため、空気により接点部が汚染されることなく、安定した接離状態を維持することができる。また、デッドスペースである内筒体の内部空間を有効に活用することができる。
本発明の第7の電気集塵装置は、上記した第1~第6のいずれかの電気集塵装置において、前記外筒体が前記ベースに装着されると、前記高電圧生成部は前記内筒体の内部に収納されるのが好ましい。
本発明の第7の電気集塵装置によれば、デッドスペースである内筒体の内部空間に高電圧生成部を収納することができるため、内筒体の内部空間を有効に活用することができる。また、高電圧生成部は、他方の高電圧接点部と同じ内筒体の内部空間に収納されるため、双方を接続する配線作業を容易に行うことができる。
本発明の第8の電気集塵装置は、上記した第6の電気集塵装置において、前記複数の放電用電極を支持する前記支持部材を空気の流通方向に沿って離間して複数配置し、該複数の支持部材を互いに連結する接続部を設け、該接続部は前記一方の高電圧接点部と電気的に接続されるのが好ましい。
本発明の第8の電気集塵装置によれば、1箇所の給電箇所から接続部を経由して、複数の支持部材に高電圧を供給することができるため、経済性を高めることができる。
本発明の第9の電気集塵装置は、上記した第1~第8のいずれかの電気集塵装置において、前記放電用電極は、ステンレス製繊維の線電極を束ねた束状部を有し、前記支持部材から空気の流通方向の上流側と下流側とに向かって延出した状態で設けられているのが好ましい。
本発明の第9の電気集塵装置によれば、放電用電極が線電極を束ねた束状部を有しているため、汚れが付着し難く、例え放電している線電極が汚れにより放電できなくなったとしても、交番作用により別の線電極が放電を開始するので、優れた耐久性を実現するこができる。また、線電極の材質にステンレス繊維を使用しているため、容易に強電界のコロナ放電を発生させることができる。さらに、空気の流通方向の一方側だけに放電用電極を設けた場合に比べて、放電用電極の数を増加させることができ、コロナ放電の発生箇所を増加させることができるため、空気中の粒子を効率良く帯電させることができる。
本発明の第10の電気集塵装置は、上記した第2~第9のいずれかの電気集塵装置において、前記ベースの他端部側に空気を吸引する吸引手段が接続されるのが好ましい。
本発明の第10の電気集塵装置によれば、稼動時間の経過に伴って定期的なメンテナンスを必要としない部品をベースに一括してまとめることで、定期的なメンテナンスを必要とする電極部品(外筒体、内筒体、支持部材、および放電用電極)だけを着脱することができるため、メンテナンスの向上を図ることができる。
本発明の第11の電気集塵装置は、上記した第10の電気集塵装置において、前記電気集塵装置を固定するための固定用部材を備え、該固定用部材の一端は天井または壁面に固定され、該固定用部材の他端は前記ベースまたは前記吸引手段に固定されるのが好ましい。
本発明の第11の電気集塵装置によれば、稼動時間の経過に伴って定期的なメンテナンスを必要としない部品は、固定用部材によって天井または壁面に固定されており、定期的なメンテナンスを必要とする電極部品のみを着脱することができるため、メンテナンス作業を効率よく行うことができる。
本発明の第12の電気集塵装置は、上記した第11の電気集塵装置において、前記固定用部材は、前記外筒体の上方において該外筒体の軸方向に沿って延出するように設けられる支持体を備え、該支持体の空気の流通方向の上流側端部は、前記ベースに設けられるどの部材よりも空気の流通方向の上流側に張り出すように形成されているのが好ましい。
本発明の第12の電気集塵装置によれば、外筒体をベースに装着する際、外筒体は、ベース側の最も長い部材よりも先に支持体に接触することで、正規の装着位置にガイドされるため、ベース側の部材との接触を回避することができ、ベース側の部材の破損を防止することができる。
本発明の第13の電気集塵装置は、上記した第2~第12のいずれかの電気集塵装置において、前記外筒体の空気の流通方向の下流側端部と前記ベースとの間にはキャッチクリップが設けられ、前記外筒体は、該キャッチクリップを介して前記ベースに着脱可能となっているのが好ましい。
本発明の第13の電気集塵装置によれば、市場の流通性に優れて工具を必要としないキャッチクリップを使用することで、外筒体とベースとを確実に固定することができると共に外筒体の着脱作業の簡素化を図ることができる。
本発明の第14の電気集塵装置は、上記した第13の電気集塵装置において、前記キャッチクリップは操作部としてのレバー部を備え、該レバー部は非導電性であり、該キャッチクリップの該レバー部以外の部材は導電性を有しているのが好ましい。
本発明の第14の電気集塵装置によれば、作業者はキャッチクリップのレバー部を持つことで外筒体の着脱作業を安全に行うことができる。また、キャッチクリップの固定操作を行うことで、簡単に外筒体および内筒体を接地状態にすることができる。
本発明の第15の電気集塵装置は、上記した第12の電気集塵装置において、前記外筒体の前記ベース側端部に規制部が設けられ、該規制部は、前記外筒体の前記ベースへの装着時に前記外筒体の周方向の向きが正規位置からずれている場合に、前記支持体に接触するように設けられているのが好ましい。
本発明の第15の電気集塵装置によれば、外筒体の周方向の装着位置が正規位置からずれている場合には、規制部と支持体とが接触して、外筒体の装入を防止することができ、装着作業の簡略化を図ることができる。また、外筒体の装着時に、ベース側の部品と接触して該部品が破損したり、故障したりするのを防止することができる。
本発明によれば、稼動時間の経過に伴って定期的なメンテナンスを必要とする部品をベースから一体的に着脱することができるため、メンテナンスの向上を図ることができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
[電気集塵装置]
図1~図9を参照しつつ、本実施形態に係る電気集塵装置について説明する。なお、以下の説明では、本発明の電気集塵装置が天井から吊り下げられて水平姿勢で設置される形態について説明する。また、以下の説明において、「流通方向」とは、空気が流れる方向を指すものとする。また、「上流」および「下流」並びにこれらに類する用語は、空気の流通方向における「上流」および「下流」を指すものとする。
ここで、図1は本実施形態に係る電気集塵装置を示す斜視図、図2は本実施形態に係る電気集塵装置を示す分解斜視図、図3は本実施形態に係る電気集塵装置を空気の流通方向の上流側から示す側面図、図4は図3のX-X断面図、図5は図3のY-Y断面図、図6は本実施形態に係る電気集塵装置を空気の流通方向の上流側から示す斜視図、図7は本実施形態に係る電気集塵装置を空気の流通方向の上流側から示す斜視図、図8は本実施形態に係る電気集塵装置を空気の流通方向の上流側から示す斜視図、図9は本実施形態に係る電気集塵装置を空気の流通方向の下流側から示す斜視図である。
本実施形態に係る電気集塵装置1は、コロナ放電によって空気中の粒子を帯電させて捕集する装置である。電気集塵装置1は、外筒体10と、外筒体10の内部において外筒体10との間に隙間11を介して設けられる内筒体12と、外筒体10と内筒体12との間の隙間11において外筒体10および内筒体12に電気的に絶縁された状態で設けられる支持部材13と、支持部材13に支持される複数の放電用電極14と、支持部材13を介して放電用電極14に供給する高電圧を生成する高電圧生成部15と、高電圧生成部15を支持するベース16と、空気を吸引する吸引手段17と、プレフィルタ18を有する前処理ユニット19と、脱臭フィルタ20を有する脱臭ユニット21と、を備えている。
外筒体10および内筒体12は、基準電位点(例えば、大地等)に接続された接地電極として形成されている。外筒体10は、内筒体12および支持部材13と同心状且つ一体的に構成され、ベース16の一端側(図2の左側)から軸方向にスライドすることでベース16に対して着脱可能となっている。空気流路は、外筒体10と内筒体12との間の隙間11に構成され、空気の流通方向は、電気集塵装置1の一端側(図1および図2の左側)から他端側(図1および図2の右側)に向かうように構成されている。
<外筒体>
外筒体10は、例えば、不燃性、導電性および耐腐食性に優れるステンレスにより形成されている。外筒体10は、流通方向の上流側端部(一端部)と下流側端部(他端部)が開放された略円筒状に形成されている。外筒体10の両端部側の周壁には、周方向の対向する同一位置に、内筒体12を支持する導電性(金属製)の4本のスペーサ22の外側端部を固定するための穴が、それぞれ2個ずつ(合計で4個)形成されている。
外筒体10の流通方向の上流側端部(一端部)には、互いに対向する2箇所に、カバー取付部23が外側径方向に突出するように形成されている。各カバー取付部23には、プレフィルタ用カバー24を固定するための固定穴25がそれぞれ形成されている。
外筒体10の流通方向の下流側端部(他端部)には、互いに対向する2箇所に、切欠部26がそれぞれ形成されている。外筒体10の周壁には、各切欠部26の流通方向の上流側に、キャッチクリップ(パチン錠)27の受け部28を固定するための台座29がそれぞれ設けられている。
<内筒体>
内筒体12は、例えば、不燃性、導電性および耐腐食性に優れるステンレスにより形成されている。内筒体12は、流通方向の上流側端部(一端部)と下流側の端部(他端部)が開放された略円筒状に形成されている。内筒体12の両端部側の周壁には、外筒体10の穴に対応する位置に、導電性の4本のスペーサ22の内側端部を固定するための穴がそれぞれ2個ずつ(合計で4個)形成されている。これにより、外筒体10の穴と内筒体12の穴を介してそれぞれ4本のスペーサ22の外側端部と内側端部に固定ネジ30を締結することで、内筒体12は外筒体10の内部に固定される。このように、内筒体12は、導電性のスペーサ22を介して外筒体10と接続され、アースに接続されるので安全である。なお、内筒体12の他端部がベース16に接触することで、アースに接続される構造としても良い。
内筒体12の一端部には、内鍔部31(図6参照)が形成され、内鍔部31には、互いに対向する2箇所に、蓋取付部32が内側径方向に突出するように形成されている。各蓋取付部32には、蓋33を着脱可能に固定するための固定穴34がそれぞれ形成され、固定穴34を介して固定用ネジ49を締結して蓋33を固定することで、内筒体12の一端部が閉塞されるようになっている(図2参照)。なお、内筒体12と蓋33は一体に形成されていても良いが、上記したように内筒体12に対して蓋33を着脱可能に構成することにより、スペーサ22などの部品を内筒体12に取り付ける作業を行う場合などに、蓋33を取り外すことで作業の簡素化を図ることができる。
内筒体12の周壁の内部には、2本の固定ネジ48により給電板用碍子35が固定されている。給電板用碍子35は、磁器や陶器の絶縁材により形成されている。給電板用碍子35は、軸方向に長い平板状を有しており、給電板用碍子35の外面は、内筒体12の内面に密着可能な凸曲面状に形成され、給電板用碍子35の内面は平坦状に形成されている。
給電板用碍子35の外面の流通方向の下流側(他端側)には、外側径方向に向かって突出部36が形成され、突出部36は内筒体12の周壁を貫通している。突出部36には通孔が形成され、該通孔に給電ネジ37が貫通可能となっている。給電板用碍子35の内面の流通方向の下流側(他端側)には、突出部36の通孔を貫通する給電ネジ37によって、L字状に屈曲された給電板38が固定されている。この給電板38には、給電板用碍子35の内面から内側に向かって延出して内筒体12の軸方向に直交する姿勢となるように当接部39が形成されている。
<支持部材>
図6に良く示されているように、支持部材13は、給電筒体40と、支持筒体41と、を備えている。給電筒体40および支持筒体41は、外筒体10と内筒体12との間の隙間11の径方向のほぼ中間位置に配置されており、外筒体10および内筒体12と同心状に配置されている。給電筒体40および支持筒体14は、例えば、不燃性、導電性および耐腐食性に優れるステンレスにより形成されており、定期的に洗浄されても錆びない様になっている。
給電筒体40は、帯状の板を円筒状に成形した第1給電筒状部42と、第1給電筒状部42と同一形状を有して第1給電筒状部42から流通方向の下流側に離間して配置される第2給電筒状部43と、第1給電筒状部42と第2給電筒状部43を連結する接続部44と、を備えている。接続部44は、第1給電筒状部42および第2給電筒状部43の周方向に対して120度間隔で3箇所に設けられている。3箇所の接続部44のうち、1箇所の接続部44は、給電板用碍子35の突出部36に給電ネジ37によって固定されている。また、残りの2箇所の接続部44は、それぞれ、内筒体12から外側径方向に向かって設けられる支持用碍子45によって、内筒体12に固定されている。各支持用碍子45は、磁器や陶器の絶縁材により形成されている。内筒体12と給電筒体40との間は、給電板用碍子35および支持用碍子45により電気的に絶縁されている。
支持筒体41は、第1給電筒状部42の外面に固定される第1支持筒状部46と、第2給電通常部43の外面に固定される第2支持筒状部47と、を備えている。第1支持筒状部46および第2支持筒状部47は、いずれも、外側筒体の内側に内側筒体が密着または圧着されることで構成されている。第1支持筒状部46および第2支持筒状部47は、給電筒体40の接続部44において両端部間に隙間が生じるように帯状の板をリング状に湾曲させた形状を有している。第1支持筒状部46および第2支持筒状部47は、第1給電筒状部42の外面および第2給電通常部43の外面にそれぞれ導電性の粘着テープによる接着や圧着などにより固定されている。これにより、給電筒体40と支持筒体41とは電気的に接続される。
なお、第1支持筒状部46および第2支持筒状部47は、接続部44を覆うように連続したリング状(円筒状)に形成されていても良い。また、給電筒体40と支持筒体41とは一体化されて形成されていても良い。
<放電用電極>
各放電用電極14は、ステンレス製繊維の線電極を束ねてブラシ状に形成された束状部を備えている。各放電用電極14を構成する前記線電極は、直径12μmのステンレス製の繊維により形成されているため、経済性に優れ、洗浄時に使用するアルカリ洗剤への耐久性にも優れている。
放電用電極14は、第1支持筒状部46および第2支持筒状部47において、外部支持筒体と内部支持筒体の間に所定間隔で挟持され、圧着や接着などによって固定されている。なお、放電用電極14は、植毛によって第1支持筒状部46および第2支持筒状部47に固定されていても良い。
放電用電極14は、第1支持筒状部46および第2支持筒状部47からそれぞれ流通方向の上流側と下流側とに向かって延出した状態で支持されている。流通方向の上流側の放電用電極14と下流側の放電用電極14のピッチは、1/2ピッチずらして配置されている。これにより、上流側の放電用電極14により生成された帯電エリア間を下流側の放電用電極14により生成された帯電エリアによって補うことができるため、荷電性能(放電性能)を向上させることができる。
なお、放電用電極14の配列パターンは、各種変更が可能である。また、放電用電極14は、第1支持筒状部46および第2支持筒状部47から流通方向の上流側のみ、或いは、流通方向の下流側のみに配置されていても良い。
<高電圧生成部>
高電圧生成部15は、元電源と電源ケーブル(図示省略)で接続されている。電源ケーブルは、外筒体10の切欠部26を介して外筒体10の内部に収納され、ベース16の裏側(下流側)からベース16の閉塞部に設けた配線用グロメット81(図3参照)の内部を通過して、高電圧生成部15に接続される。なお、前記元電源と前記電源ケーブルの間には、電源スイッチが取り付けられていても良い。
高電圧生成部15には、高圧トランスと倍圧部(いずれも図示省略)が収納されている。高電圧生成部15は、各放電用電極14と外筒体10および内筒体12との間に高電圧を印加する。前記高圧トランスは、元電源(交流100V)の交流電圧を昇圧する。前記倍圧部は、前記高圧トランスで昇圧した交流電圧を直流電圧に変換し、且つさらに昇圧することでマイナス数kVの高電圧を生成する。また、前記倍圧部は、放電用電極14に対する高電圧の印加を制御する出力制御部としても機能する。なお、リミットスイッチ(図示省略)を設けて、外筒体10がベース16に確実に装着された時に、投入状態(ON状態)となり、外筒体10がベース16から離脱した時に開放状態(OFF状態)となるようにしても良い。
仮に、集塵方式をプラス荷電方式とすると、荷電に必要な放電電流を確保するために放電距離を近づけなくてはならず異常放電し易くなる。したがって、本実施形態では、同じ空間の間隔(隙間)でも放電電流が多いことと、放電安定性(異常放電しにくい傾向)を考慮してマイナス荷電方式を採用している。なお、前記元電源は、直流の元電源(例えば24V)を使用しても良い。
<ベース>
ベース16は、導電性を有する板材により形成されており、アースに接続されている。図3に良く示されているように、ベース16は、空気流路を遮る径方向に延びるように配置されている。なお、ベース16は、径方向に配置される、スペーサ22、給電板用碍子35の突出部36、支持用碍子45などの部材とラップするように配置されても良い。これにより、空気流路を流通する気流の抵抗を減らすと共に気流の乱れを抑制することができるため、空気流路において気流を安定的に流通させることができる。
ベース16の中央部には、内筒体12の外径より一回り大きな外径を有する円板状の閉塞部50が形成されている。閉塞部50は、ベース16に外筒体10が装着されると、内筒体12の他端部を閉塞し、内筒体12の内部が閉塞されるようになっている。したがって、ベース16に外筒体10が装着された状態において、内筒体12の内部に収納された部材が汚染されることはない。なお、この場合、閉塞部50と内筒体12の他端部との間にパッキンを介装させることで、内筒体12の内部の密閉性を向上させても良い。
閉塞部50には、流通方向の上流側に向かって高電圧生成部固定板51と、給電バネ用碍子固定板52が立設されている。高電圧生成部固定板51には、高電圧生成部15が固定されている。給電バネ用碍子固定板52には、磁器や陶器の絶縁材により形成される給電バネ用碍子53が固定ネジ54によって固定されている。給電バネ用碍子53には、給電バネ55が給電バネ用の固定ネジ82によって支持されている。給電バネ用の固定ネジ82と高電圧生成部15とは、給電ケーブル(高圧ケーブル)84によって接続されている。給電ケーブル(高圧ケーブル)84は、固定ナット83によって固定ネジ82に固定されている。
給電バネ55は、例えば、コイル状バネや板状バネで形成されている。給電バネ55は、ベース16に外筒体10が装着された時に給電バネ55の先端部が給電板38の当接部39に接触可能なように、流通方向の上流側に向かって片持ち状に支持されている。これにより、外筒体10がベース16に対して装着されると、内筒体12の内部において、一方の高電圧接点部である給電バネ55が他方の高電圧接点部である給電板38に接触した状態となる一方、外筒体10がベース16から抜脱されると、給電バネ55が給電板38から離間した状態となる。このように構成することにより、給電バネ55や給電板38などの製作時や装着時の寸法誤差を吸収することができ、高電圧を安定して供給することができる。なお、本実施形態では、一方の高電圧接点部を給電バネ55とし、他方の高電圧接点部を給電板38としたが、それらの構成を逆にしても良い。
また、本実施形態では、高電圧生成部15を収納している内筒体12の内部空間の径方向の寸法の関係で、給電板38と給電バネ55が外筒体10の中心位置に配置されていないが、例えば、内筒体12の内部空間の径方向の大きさをより大きく設定して、給電板38と給電バネ55を外筒体10の中心位置に配置しても良い。給電板38と給電バネ55を外筒体10の中心位置に配置することにより、外筒体10をベースに装着する際に周方向の取り付け方向の規制が緩和されるため、装着作業の手間を簡素化することができる。
ベース16の両端部は流通方向の下流側に直角に折曲され、第1折り曲げ部56が形成されている。第1折り曲げ部56には、キャッチクリップ(パチン錠)27の本体部57が固定されている。キャッチクリップ27の本体部57には、回転操作を行う操作部としてのレバー部58が設けられ、レバー部58は非導電性であり、キャッチクリップ27のレバー部58以外の部材(受け部28、本体部57)は導電性を有している。なお、キャッチクリップ27の代わりに、マグネットキャッチを取り付けても良い。
外筒体10をベース16に装着した後、キャッチクリップ27のレバー部58を受け部28に引っ掛けると、外筒体10とベース16が固定される。この場合、外筒体10は、アースに接地されているベース16に対して、キャッチクリップ27の止めネジ、キャッチクリップ、受け部28、受け部28の止めネジを経由して導通状態となるため、アースに接地された状態となり、安全性を高めることができる。
ベース16の外径寸法は、外筒体10が装着された際に、第1折り曲げ部56に設けられたキャッチクリップ27の本体部57がキャッチクリップ27の受け部28の位置に対応するように、外筒体10の外径よりも長く設定されている。また、ベース16には、閉塞部50と第1折り曲げ部56の間に幅狭の係合部63(図2参照)が形成されている。係合部63の位置は、ベース16の切欠部26に対応しており、外筒体10がベース16に装着されると、係合部63がベース16の切欠部26に係合することで、ベース16と外筒体10の位置合せが行われるようになっている。このようにベース16を構成することで、前記電源ケーブルを、外筒体10の切欠部26から外筒体10の外側に取り出すことができ、前記元電源と高電圧生成部15と接続作業を容易に行うことができる。
また、第1折り曲げ部56の先端部は内側に折曲され、第2折り曲げ部59が形成されている。第2折り曲げ部59には、ファンモータ60を固定するための穴61が形成されている。さらにまた、ベース16の下流側側面には、補強用として補強板62が固定されている。
<吸引手段>
図4および図5に示されているように、吸引手段17は、扁平な略円筒形状のケーシング65内にファン66とモータ67が内蔵されたファンモータであり、ベース16の流通方向の下流側に接続されている。ケーシング65の両端部には、それぞれ、フランジ部68が形成されている。流通方向の上流側のフランジ部68には、第2折り曲げ部59の穴61に対応して穴69が形成されており、吸引手段17は、各穴61,69に挿通される固定ネジ70によりベース16に固定される。また、ケーシング65の胴部71の頂部には、平坦部72が形成されている。
吸引手段17の流通方向の下流側には、脱臭ユニット21が接続されている。脱臭ユニット21は脱臭フィルタ20を収納するカバー73を備えており、カバー73の流通方向の上流側端部には、フランジ部74が形成されている。このフランジ部74には、吸引手段17の流通方向の下流側のフランジ部68の穴69に対応して穴75が形成されており、脱臭ユニット21は、各穴69,75に挿通される固定ネジ76により吸引手段17に固定される。
また、前処理ユニット19は、外筒体10の流通方向の上流側に接続されている。前処理ユニット19はプレフィルタ18を収納するカバー77を備えており、カバー77の流通方向の下流側端部には、外筒体10のカバー取付部23に対応して突片78が形成されている。この突片78には、カバー取付部23の固定穴25に対応して穴79が形成されており、前処理ユニット19は、各穴25,79に挿通される固定ネジ(図示省略)により外筒体10に固定される。
<固定用部材>
電気集塵装置1は固定用部材90により天井から吊り下げられるようになっている。固定用部材90は、上端が天井に固定されて該天井から垂下される支柱91と、支柱91の下端に固定される支持体92と、により構成されている。
支持体92は、下面が開放された断面コの字型の長尺部材により形成され、外筒体10の上方において外筒体10の軸方向に沿って延出している。支持体92の長さは、電気集塵装置1の軸方向の長さと略等しく、且つ、図2に良く示されているように、支持体92の流通方向の下流側端部がベース16に固定される最も長い部材である高電圧生成部固定板51より流通方向の上流側(図2の左側)に張り出すように長く設定されている。
吸引手段17の上方部分の支持体92は切り欠かれており、その両側壁部分に2本の溝部93が形成されている。各溝部93と吸引手段17のケーシング65の胴部71に、2本の固定用バンド94を巻き付けてネジ95で締め付けることで、電気集塵装置1は支持体92に固定される。この時、ケーシング65の平坦部72に支持体92の下端面が密着するため、電気集塵装置1を安定的に固定することができる。また、溝部93に固定用バンド94を通すことで、固定用バンド94をネジ94で締め付ける際に、固定用バンド94の位置がずれるのを防止することができるため、電気集塵装置1を支持体92に確実に締付固定することができる。さらに、固定用バンド94を緩めれば、ベース16およびベース16に固定された部品やファンモータなどを簡単に取り外すことができる。
支持体92に電気集塵装置1が固定された状態において、支持体92と外筒体10とは、お互いに接触しない程度に近接した所定の間隔t(例えば、数mmから数cm程度、図5参照)に保持されるようになっている。
なお、本実施形態では、吸引手段17の胴部71と支持体92とが固定用バンド92で固定されているが、支持体92をベース16に固定しても良い。また、本実施形態では、固定用部材90によって電気集塵装置1が水平姿勢で天井から吊り下げられるように構成されているが、壁面、床面、机上などに支柱やアーム状の部材などによって支持されるように構成されても良く、また、取り付け姿勢も垂直姿勢など水平姿勢以外であっても良い。
<安全装置>
電気集塵装置1には、安全のため、リミットスイッチ(図示省略)がベース16側に取り付けられている。このリミットスイッチは、外筒体10がベース16に装着されると、内筒体12の内部に収納されて接点が閉状態となる一方、外筒体10をベース16から取り外すと接点が開放状態となるように構成されている。
これにより、メンテナンス等で外筒体10を取り外す際に、前記リミットスイッチの接点が開放状態になり、高電圧の供給が遮断されるため、高電圧が印加されている状態で作業員が給電箇所に接触するのを回避することができ、作業の安全性を高めることができる。
[電気集塵装置の作用]
図1、図4および図5に示されているように、例えば調理器で焼かれた食材から発生した油煙等の粒子を含む空気は、吸引手段17による吸引力によって電気集塵装置1の内部に吸い込まれ、前処理ユニット19のプレフィルタ18で空気中の塵埃を除去された後、空気流路(隙間11)内に吸い込まれる。
空気流路では、高電圧生成部15で生成された高電圧が、順次、給電ケーブル84、給電バネ用の固定ネジ82、給電バネ55、給電板38、給電ネジ37、給電筒体40、支持筒体41を経由して各放電用電極14に印加されると、各放電用電極14の先端部と外筒体10および内筒体12(接地電極)との間で、コロナ放電(負極性コロナ)が発生する。
図4および図5に示すように、コロナ放電は、各放電用電極14の先端部と外筒体10および内筒体12との間に略円錐状の帯電エリアEAを形成する。このコロナ放電は、空気流路の帯電エリアEAを通過する空気中の粒子を帯電させる。帯電した粒子は、接地電極である外筒体10の内周面または内筒体12の外周面に引き寄せられて吸着される。すなわち、空気中の粒子は、空気から分離されて外筒体10および内筒体12の表面に捕集される。このように粒子を除去された空気は、吸引手段17および脱臭ユニット21の脱臭フィルタ20を通り、清浄化されて電気集塵装置1の外部に排気される。
[電気集塵装置の着脱作業]
電気集塵装置1が、稼働時間の経過に伴ってメンテナンスが必要となった場合に、キャッチクリップ27のレバー部58を回転操作し、受け部28に対する本体部57の係止状態を解除し、図2に示されている左向き矢印の方向に、外筒体10を内筒体12および支持部材13などと一体にスライドさせて取り外す。これにより、給電バネ55は給電板38から離間した状態となる。なお、図2には前処理ユニット19が省略して示されているが、実際に外筒体10を取り外す際には、前処理ユニット19は外筒体10に装着されたままの状態となっている。
このように外筒体10をベース16から取り外す際、支持体92が外筒体10の上方への位置を規制すると共に高電圧生成部15が外筒体10の下方への位置を規制するため、外筒体10を容易にスライドさせて取り外すことができる。そして、外筒体10や内筒体12の表面に捕集された粒子は、アルカリ洗剤を用いた超音波洗浄などを実施することで除去され、電気集塵装置1の清掃や点検などのメンテナンスが行われる。
その後、メンテナンスが終了して外筒体10を元に戻す場合には、図2に示されている右向き矢印の方向に、外筒体10を内筒体12および支持部材13などと一体にスライドさせて装着し、キャッチクリップ27のレバー部58を回転操作し、受け部28に対して本体部57を係止させる。これにより、高電圧生成部15は内筒体12の内部に収納され、内筒体12の内部において給電バネ55は給電板38に接触した状態となる。なお、図2には前処理ユニット19が省略して示されているが、実際に外筒体10を装着する際には、前処理ユニット19を外筒体10に装着させた状態で行う。
このように外筒体10をベース16に装着する際、支持体92が外筒体10の取り付け位置の目安になるため、外筒体10を容易に装着することができる。また、外筒体10をベース16に装着させた状態では、内筒体12の内部に高電圧接点部38,55と高電圧生成部15が収納される。なお、外筒体10の流通方向の下流側端部に規制部(図示省略)を例えば鍔状に形成し、該規制部が、外筒体10のベース16への装着時に外筒体10の周方向の向きが正規位置からずれている場合に、支持体92に接触するように構成することで、外筒体10のベース16への装着作業をより容易に行うことができるようになる。
なお、上記した各実施形態に係る電気集塵装置1では、外筒体10、内筒体12および支持部材13が、それぞれ、円筒状に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、外筒体10、内筒体12および支持部材13は、それぞれ、楕円形状断面を有する筒状に形成されていてもよいし、三角形や四角形等の多角形状断面を有する角筒状に形成されていてもよい。また、外筒体10、内筒体12および支持部材13は、ステンレス製に限らず、鉄、銅、アルミニウム合金等の金属で形成されていてもよい。
また、上記した各実施形態の説明は、本発明に係る電気集塵装置の一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。