以下、本発明をプラグインハイブリッド車に具体化した給電プラグのロック装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、ハイブリッド式の車両1には、駆動輪2の車両用駆動源としてエンジンとモータとの駆動力を組み合わせて使用するハイブリッドシステム3が備えられている。このハイブリッドシステム3には、バッテリ4が接続されている。
ハイブリッドシステム3は、エンジンの動力のみを機械的に駆動輪2に伝えて走行するモード、エンジン及びモータの双方で駆動輪2を直接駆動するモード、及びエンジンを使用せずにモータのみで走行するモードを有し、車両の走行状態等に応じて各種走行モードを切り替える。また、ハイブリッドシステム3は、エンジンの動力によってバッテリ4に充電するモード、駆動輪2の制動力をモータによって電力に変換してバッテリ4に充電するモードを有し、車両の走行状態等に応じて各種充電モードを切り替える。車両1は、ハイブリッドシステム3によって切り替わる各種走行モードに応じて走行したり、各種充電モードに応じてバッテリ4へ充電したりする。
バッテリ4には、インレット部5がコンバータ6を介して接続されている。このインレット部5は、車両1の外部電源(交流電源)61と充電装置62を介して接続された給電プラグ10を挿し込むコネクタ部品であって、例えば車両1の前部側面にガソリン車の給油口と同様の態様で搭載されている。充電装置62は、給電プラグ10がインレット部5に挿入された場合に、その旨示す接続信号を車両1へ発信する。コンバータ6は、給電プラグ10からインレット部5を介して送り込まれた交流電圧を直流電圧に変換し、この変換した直流電圧をバッテリ4に送る。こうして、外部電源61からバッテリ4に充電される。
車両1には、例えばユーザが実際に車両キーを操作しなくてもドアの施錠及び解錠等の車両制御が実行される電子キーシステム70が搭載されている。この電子キーシステム70では、車両1とユーザに携帯される車両キーとしての電子キー80との間の無線通信を通じて車両制御が実行される。
電子キーシステム70を以下に詳細に説明する。車両1に搭載される照合ECU71には、車両1の各ドアに埋設されて車外にLF(Low Frequency)帯の信号を発信する車外LF発信機72と、車内床下に埋設されて車内にLF帯の無線信号を発信する車内LF発信機73と、車内後部の車体に埋設されてUHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号を受信するUHF受信機74とが接続されている。なお、照合ECU71は、電子キー80に対応する固有のIDコードが記憶されたメモリ71aを備えている。
一方、電子キー80に搭載される通信制御部81には、LF帯の信号を受信するLF受信部82と、通信制御部81の指令に従いUHF帯の信号を発信するUHF発信部83とが接続されている。通信制御部81は、電子キー80固有のIDコードが記憶されたメモリ81aを備えている。
照合ECU71は、車外LF発信機72からリクエスト信号Srqを間欠的に発信させて、車両1の周辺に通信エリアを形成する。電子キー80を携帯したユーザがこの通信エリアに入り込む等してリクエスト信号SrqをLF受信部82が受信すると、通信制御部81はリクエスト信号Srqに応答する形でUHF発信部83から自身のメモリ81aに登録されたIDコードを含ませたIDコード信号Sidを返信する。照合ECU71は、UHF受信機74でIDコード信号Sidを受信すると、自身のメモリ71aに登録されたIDコードと電子キー80のIDコードとのID照合(車外照合)を行う。そして、照合ECU71は、車外照合が成立すると、図示しないドアロック装置によるドアの解錠を許可又は実行する。
照合ECU71は、車外照合が成立してドアが解錠された後に、車内LF発信機73からリクエスト信号Srqを発信して車内全域に車内通信エリアを形成する。電子キー80を携帯したユーザがこの車内通信エリアに入り込む等してリクエスト信号SrqをLF受信部82が受信すると、通信制御部81は、UHF発信部83から自身のメモリ81aに登録されたIDコードを含ませたIDコード信号Sidを返信する。照合ECU71は、UHF受信機74でIDコード信号Sidを受信すると、自身のメモリ71aに登録されたIDコードと電子キー80のIDコードとのID照合(車内照合)を行う。照合ECU71は、車内照合が成立すると、ハイブリッドシステム3の始動を許可する。
本実施形態では、車両1に外部電源61から充電する際にも電子キーシステム70によるIDコードの照合が行われる。車両1には、充電に関わる制御を行う充電ECU75が設けられている。充電ECU75は、図示しない車内LAN(Local Area Network)を介して照合ECU71と通信可能であるとともに、この通信を利用して照合ECU71におけるID照合の成立結果を確認することができる。また、充電ECU75は、車両1に設けられた取り外しスイッチ76と電気的に接続されている。さらに、充電ECU75は、バッテリ4及びインレット部5に設けられたロック装置20と電気的に接続されている。充電ECU75は、タイマ75aを内蔵し、ロック装置20の作動時間を計測する。この充電ECU75が計測する作動時間とは、ロック装置20がロック状態からアンロック状態に切り替わる時間である。ロック装置20は、インレット部5と給電プラグ10との接続又は接続解除を許容するアンロック状態と、両者の接続又は接続解除を規制するロック状態の2つの状態をとる。通常、ロック装置20はロック状態に維持される。充電ECU75は、ロック装置20のロック/アンロックを車外照合の成立結果によって切り替える。充電ECU75は、照合ECU71における車外照合が成立したことを確認して、ロック装置20をアンロック状態に切り替えてバッテリ4への充電を許可する。このとき、充電ECU75は、インレット部5と給電プラグ10とが接続されて、充電装置62からの接続信号を受信すると、コンバータ6の制御を通じて、外部電源61からバッテリ4への充電を開始する。従って、電子キー80を携帯しない第3者には、ロック装置20のロックを解除できない。なお、車外通信エリアは、車両周囲の全域に亘り形成されるので、車両1の前部側面に設けられたインレット部5の前にユーザが電子キー80を携帯して立つことにより、車外照合は問題なく実行される。
図2に示すように、給電プラグ10のプラグ本体11の基端11aには、外部電源61(図1参照)と接続されるケーブル12が接続されている。プラグ本体11には、ユーザが把持するグリップ部13が形成されている。プラグ本体11の先端11bには、インレット部5に嵌着される円筒状の嵌着部14が形成されている。嵌着部14の内部には、複数の接続端子15が設けられている。接続端子15は、電力の伝送経路となるパワー端子や、各種制御指令の通信経路となる制御端子等を備える。
この嵌着部14の上部には、給電プラグ10とインレット部5とが接続された際に、両者の接続状態を好適に維持するための係止爪16が設けられている。係止爪16は、プラグ本体11の内部に設けられた軸を中心として回動可能に設けられている。係止爪16は、図2に実線で示す第1の位置と2点鎖線で示す第2の位置との間を変位する。第1の位置は、給電プラグ10とインレット部5とが接続された際にインレット部5の一部に係合して、両者の接続状態を好適に保持する位置である。また、第2の位置は、インレット部5の一部との係合が解除されて、給電プラグ10をインレット部5から取り外すことが可能となる位置である。なお、係止爪16は、通常時において第1の位置に弾性保持されるとともに、プラグ本体11の上部に設けられた操作部17を押し操作すると第2の位置(傾動状態)へ変位する。操作部17の操作が解除されると、係止爪16は第1の位置へ弾性復帰する。
図3に示すように、インレット部5のインレット本体5aには、給電プラグ10をインレット部5に接続する際に、嵌着部14が挿入される円筒部5bが形成されている。そして、円筒部5bの内部には、複数の接続端子29が設けられている。接続端子29は、電力の伝送経路となるパワー端子や、各種制御指令の通信経路となる制御端子等を備える。嵌着部14が円筒部5bに挿入された際、同円筒部5bのパワー端子には嵌着部14のパワー端子が、円筒部5bの制御端子には嵌着部14の制御端子がそれぞれ接続される。
図3に示すように、インレット本体5aの外周面上部には、係止爪16と係合する係合部21が形成されている。係合部21のプラグ挿入側には、斜面5cが形成されている。係合部21は、係止爪16の挿入及び傾動を許容する係合凹部21aを有する。係止爪16は、係合凹部21aのプラグ挿入側の内面21bに係合する。これにより、給電プラグ10のインレット部5に対する引き抜き方向への変位が規制される。インレット本体5aの上部には、係合部21と係合する係止爪16のロック/アンロックを切り替えるロック装置20が固定されている。
図4に示すように、ロック装置20は、直方体状のケース31を備える。ケース31は、同ケース31の上部、前部及び下部の3部を形成するコの字板状のケース本体32と、ケース31の後部及び右側部の2部を形成してケース本体32を閉蓋するL字板状の第1蓋部33と、ケース31の左側部を形成してケース本体32を閉蓋する第2蓋部34とを備える。ケース31の後部にあたる第1蓋部33の外側面には、充電ECU75(図1参照)と電気的に接続されるコネクタ35が設けられている。
ケース本体32の内部には、モータ収容部32aと、部材収容部32bとが仕切壁32cを挟んで形成されている。モータ収容部32aには、ロック用駆動源としてのモータ22が収容されている。モータ22は、2個の螺子36によって仕切壁32cに固定されている。モータ22の駆動軸22aは、仕切壁32cに形成された貫通孔32dに挿入されて部材収容部32bの内部に突出している。モータ22の駆動軸22aには、該駆動軸22aと同軸方向に伸びる円柱状の伝達部材(ギヤ付きシャフト)25が固定されている。伝達部材25のモータ22側の端部25bは、貫通孔32dに軸受24を介して軸支されている。伝達部材25の端部25bと反対側の端部25cは、第2蓋部34に形成された軸受部34aに軸支されている。伝達部材25の中央部の外周には、周方向に沿って雄螺子部25aが形成されている。
伝達部材25には、管状のストッパ26が螺合されている。ストッパ26の内周面には、伝達部材25の雄螺子部25aと螺合する雌螺子部26aが形成されている。ストッパ26の下部には、その軸方向の往復直線運動を案内するレール26dが形成されている。レール26dは、ケース本体32(部材収容部32b)の内面下部に形成されたレール溝32fに嵌装されている。これにより、ストッパ26のケース本体32に対する相対回転が規制される。このため、伝達部材25がモータ22によって回転すると、ストッパ26は、伝達部材25の軸方向、すなわちレール溝32fに沿って直線移動する。
ストッパ26のコネクタ35側には、磁石収容部26bが形成されている。磁石収容部26bには、磁石27が収容されている。第1蓋部33の内面に取着された基盤37には、第1ホール素子38と第2ホール素子39とが設置されている。これら第1ホール素子38及び第2ホール素子39は、伝達部材25の軸方向と平行となるようにそれぞれ設置されている。なお、第1ホール素子38はストッパ26が最も第2蓋部34側に変位したときの磁石27に、第2ホール素子39はストッパ26が最もモータ22側に変位したときの磁石27にそれぞれ対向するように配置されている。これら第1ホール素子38及び第2ホール素子39は、基盤37を介してコネクタ35の接続端子29(制御端子)に電気的に接続されている。つまり、第1ホール素子38及び第2ホール素子39が検出する磁界の変化は充電ECU75によって検出される。また、モータ22も基盤37を介してコネクタ35の接続端子29(制御端子)に電気的に接続されている。つまり、モータ22は、充電ECU75によって制御される。充電ECU75は、第1ホール素子38及び第2ホール素子39における検出結果に基づいて、モータ22の駆動を制御する。
ケース本体32(部材収容部32b)の内部において、レール溝32fの上側の部分には、これに沿って延びるロックバー誘導溝32gが形成されている。このロックバー誘導溝32gには、板状のロックバー23が摺動可能に挿入されている。ロック部材としてのロックバー23の中央部には、緩衝孔23aが形成されている。ロックバー23は、伝達部材25の軸方向へ延びる長孔状をなす。この緩衝孔23aには、ストッパ26のレール26dが上方から挿入されている。レール26dと緩衝孔23aとの間には、伝達部材25の軸方向において隙間23bが形成される。
図6に示すように、ロックバー誘導溝32gは、ケース本体32に形成された突出孔32kを介して外部に開放されている。ロックバー23は、そのモータ22側(右側)の端部が、外部に突出可能とされている。図7に示すように、突出孔32kから突出するロックバー23の上面は、ケース本体32の下面に形成された案内面32hに摺動案内される。
ロックバー23の第2蓋部34側の側面には、ばね取付部23cが突出して形成されている。ばね取付部23cには、ばね28の一端が取り付けられるとともに、他端は第2蓋部34の内面に形成された凹部34bに固定されている。ばね28は、ロックバー23をモータ22の軸方向に沿って第2蓋部34から離間する方向へ常時付勢する。ロックバー23の第2蓋部34から離間する方向への変位は、緩衝孔23aの第2蓋部34側の端部がレール26dに当接することにより規制される。すなわち、ばね28の弾性力によりロックバー23は、常時その緩衝孔23aの第2蓋部34側(左側)の端部が、レール26dの根元に当接した状態に維持される。従って、ストッパ26がモータ22側へ変位すると、これに追従してロックバー23は、ばね28の弾性力によって緩衝孔23aの第2蓋部34側の端部がレール26dに当接した状態を保ちつつ、モータ22側へ変位する。反対に、ストッパ26が第2蓋部34側へ変位すると、レール26dと緩衝孔23aの第2蓋部34側の端部との当接を通じて、ロックバー23は、ばね28の弾性力に抗してストッパ26と一体となって第2蓋部34側へ変位する。
ロックバー23は、図6に示すアンロック位置と図8に示すロック位置との間を変位する。ロック位置は、ロックバー23がケース本体32の外部に突出するとともに、これが係合部21(係合凹部21a)の上方に存在する位置である。ロックバー23がこのロック位置にあるとき、給電プラグ10(図2参照)の係止爪16の上方(係合部21に対する係合が解除される方向)への変位は、係止爪16の上部がロックバー23の下面に当接することにより規制される。すなわち、係止爪16は、操作部17の操作を通じた第1の位置(係合状態)から第2の位置(係合解除状態)への変位が規制されるロック状態となる。また、ロック位置は、給電プラグ10をインレット部5に挿入する際に係止爪16の先端がロックバー23に当接して給電プラグ10のインレット部5への挿入を規制する位置でもある。一方、アンロック位置は、ロックバー23がロックバー誘導溝32g内に完全に収容される位置である。ロックバー23がこのアンロック位置にあるとき、係止爪16は、操作部17の操作を通じて第1の位置から第2の位置への変位が許容されるアンロック状態となる。なお、ロックバー23がロック位置にあるとき、ストッパ26の磁石27は第2ホール素子39と対応し、同じくアンロック位置にあるとき、磁石27は第1ホール素子38と対応する。
図4及び図5に示すように、ケース本体32の前部側面には、右側に赤色LED(発光ダイオード)40、左側に青色LED41が外部から視認できるように設けられている。この両LED40,41は、基盤37及びコネクタ35を介して充電ECU75に接続されている。充電ECU75は、係止爪16のアンロックを検出する第1ホール素子38が磁石27の磁力の検知をした場合に青色LED41を、ロック位置を検出する第2ホール素子39が磁石27の磁力を検知した場合に赤色LED40を、それぞれ点灯させる。ユーザは、両LED40,40の点灯状態により係止爪16のロック/アンロック状態を認識可能となる。
次に、給電プラグ10からバッテリ4に充電を行うときの、ロック装置20の動作について説明する。なお、バッテリ4への充電を行う前提として、車両1の駆動源が停止している状態であれば、ロック装置20は、ロックバー23をアンロック位置に位置させて、給電プラグ10のインレット部5への接続を許容している。このとき、ロック装置20は、青色LED41を点灯させている。
図5に示すように、嵌着部14と円筒部5b、係止爪16と係合部21の係合凹部21aとの位置を合わせた状態で給電プラグ10をインレット部5側へ動かす。図7に示すように、係止爪16は、これを第1の位置に保持しようとする弾性力に抗して斜面5cに案内されて上方へ変位する。そして、更に給電プラグ10をインレット部5側へ動かすと、同図にて2点鎖線で示すように、係止爪16は、斜面5cを乗り越えて係合凹部21aに至る。すると、係止爪16はこれを第1の位置に保持しようとする弾性力により下方へ変位して係合凹部21aの内面に係合する(図7の実線)。このとき、給電プラグ10の接続端子15とインレット部5の接続端子29とが好適に接続された状態となる。これにより、給電プラグ10とインレット部5とが電気的に接続された状態となる。
給電プラグ10とインレット部5とが接続されると、充電ECU75は、充電装置62からの接続信号を受信する。接続信号の受信を通じて充電ECU75は、給電プラグ10とインレット部5との接続を認識する。そして、充電ECU75は、外部電源61からバッテリ4への充電を開始するとともに、ロックバー23をロック位置へ変位させるべくモータ22へ駆動信号を出力する。このようにして、充電ECU75は、係止爪16のロック動作を開始する。
モータ22が駆動すると、この駆動力によって伝達部材25が回転する。伝達部材25の回転運動は、伝達部材25の雄螺子部25aとストッパ26の雌螺子部26aとの螺合によって、ストッパ26の軸方向の直進運動に変換される。従って、ストッパ26(レール26d)は、ケース31のモータ22側、すなわちロック側への直進運動を開始する。ロックバー23は、ばね28の弾性力によりモータ22側へ常時付勢されているので、自身の緩衝孔23aの内面がレール26dに当接した状態を保ちつつ、ストッパ26とともに、ロック位置に向かって直進移動する。そして、ロックバー23がロック位置、すなわちストッパ26の磁石27が第2ホール素子39に対向する位置に移動すると、これが第2ホール素子39により検出される。充電ECU75は、第2ホール素子39を通じてロックバー23がロック位置に到達したことを検出すると、モータ22の駆動を停止させる。ロックバー23は、図8及び図9に示すように、ロック位置に保たれる。また、充電ECU75は、赤色LED40を点灯させる。これにより、係止爪16がロックされた状態である旨、ユーザは視覚を通じて認識可能となる。
このように、係止爪16がロック状態に保たれている場合に、例えば第三者等が給電プラグ10をインレット部5から取り外そうとして、操作部17の操作を行ったとする。これに伴い係止爪16は上方に変位しようとする。しかし、係止爪16の上方にはロックバー23が位置しているので、係止爪16が上方に持ち上がろうとしても、ロックバー23によってこの動きが規制され、係止爪16は係合部21に引っ掛かった状態を維持する。これにより、第三者等が給電プラグ10を取り外そうとしても、係止爪16と係合部21との係合を解除できないので、給電プラグ10の不正取り外しが防止される。
給電プラグ10とインレット部5との接続を解除するには、取り外しスイッチ76を操作する。充電ECU75は、車外照合の成立が検出された状態で取り外しスイッチ76の操作を検出すると、モータ22に逆回転の駆動信号を出力して、係止爪16のアンロック動作を開始する。
モータ22が逆回転駆動すると、この駆動力により伝達部材25がロックのときと逆方向に回転して、ストッパ26がアンロック側に直進移動する。この際、ロックバー23は、自身の緩衝孔23aを介してストッパ26によってアンロック側に押されることにより、ばね28の弾性力に抗して、アンロック位置に向かって直進移動する。
そして、ロックバー23がアンロック位置、すなわちストッパ26の磁石27が第1ホール素子38に対向する位置に移動すると、これが第1ホール素子38により検出される。充電ECU75は第1ホール素子38を通じてロックバー23がアンロック位置に到達した旨を検出すると、モータ22の駆動を停止させる。ロックバー23はアンロック位置に保たれる。また、充電ECU75は、青色LED41を点灯させる。これにより、図6及び図7に示すように、ロックバー23は、部材収容部32b内に収容されて、係止爪16の上部にロックバー23が位置する状態が解除される。操作部17の押し操作により係止爪16を開き操作することが可能となるので、係止爪16を開いて、給電プラグ10をインレット部5から取り外すことが可能となる。
車両1の駆動源(エンジン又はモータの少なくとも一方)が始動して、同駆動源の駆動力が駆動輪2に伝達できる状態となった場合、これを検出した充電ECU75は、再度モータ22を順回転駆動させて、ロックバー23をロック位置に変位させ、この状態を保持する。また、充電ECU75は、赤色LED40を点灯させる。これにより、インレット部5へ給電プラグ10を挿入しようとしても、斜面5cによって案内される係止爪16の先端部がロックバー23と当接する。従って、これ以上の給電プラグ10の挿入ができない。これにより、車両1の駆動源が始動している状態では、インレット部5と給電プラグ10との接続が不可となる。ユーザは、このことを、赤色LED40が点灯していることから認識することができる。また、給電プラグ10とインレット部5とが接続されている旨検出される場合には、照合ECU71は、ハイブリッドシステム3の始動を禁止する。このため、給電プラグ10がインレット部5に挿入されたまま、車両1が走行することはできない。
次に、充電ECU75によるロック装置20の制御についての処理手順を図10に示すフローチャートに従って説明する。
車両1の駆動源(エンジン・モータ)が停止されてこの制御がスタートすると、充電ECU75は、モータ22を駆動させてロックバー23をアンロック位置に位置させる(ステップS1)。これにより、インレット部5と給電プラグ10との接続が可能となる。次に、充電ECU75は、インレット部5に給電プラグ10が挿入されているかどうかを判断する(ステップS2)。これは、充電ECU75が充電装置62から発信される接続信号を受信できるか否かにより判断する。インレット部5に給電プラグ10が挿入されていると判断される、すなわち充電ECU75が接続信号を受信した場合には(ステップS2でYES)、モータ22を駆動させてロックバー23をロック位置に位置させる(ステップS3)。これにより、インレット部5と給電プラグ10との接続解除が不可能となる。なお、給電プラグ10がインレット部5と接続した瞬間からバッテリ4への充電は開始されている。
次に、充電が完了して、或いは充電最中であってもこれを終了させるべく取り外しスイッチ76が操作されると(ステップS4)、給電プラグ10からバッテリ4への充電が停止されるとともにモータ22が駆動してロックバー23をアンロック位置に位置させる(ステップS5)。これにより、インレット部5と給電プラグ10との接続解除が可能となる。その後、給電プラグ10がインレット部5から抜かれたかどうかを確認する(ステップS6)。給電プラグ10がインレット部5から抜かれなければ(ステップS6でNO)、抜かれるまでこのステップを繰り返す。
充電ECU75は、給電プラグ10がインレット部5から抜かれたと判断される(ステップS6でYES)、又は先のステップS2でインレット部5に給電プラグ10が挿入されていないと判断されれば(ステップS2でNO)、車両1の駆動源が始動したかどうかを判断する(ステップS7)。充電ECU75は、これを照合ECU71との通信を通じて判断する。充電ECU75において、駆動源が始動したと判断されれば(ステップS7でYES)、モータ22を駆動してロックバー23をロック位置に位置させて(ステップS8)、この制御を終了する。これにより、インレット部5と給電プラグ10との接続が不可能となる。なお、ステップS7で駆動源が始動していないと判断された場合は(ステップS7でNO)、ステップS2に処理を移行して、上述の制御を再度実行する。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)車両1が停止状態であってもすぐに移動できる状態、すなわち駆動源が稼働した状態である場合には、給電プラグ10とインレット部5との接続が不能となる。このため、給電プラグ10とインレット部5とが接続された状態で車両1が走行することが抑制される。従って、両者が接続された状態で車両1が走行することに伴う給電プラグ10やインレット部5等に機械的な負荷がかかることを抑制することができる。
(2)ロック装置20は、駆動源が始動されて車両1が走行不能状態から走行可能状態となったときに自動的に作動してロックバー23を係合部21内に突出させる。従って、駆動源が始動しているときには、給電プラグ10とインレット部5との接続を不能にすることができる。
(3)駆動源が停止されて、車両1が走行不能状態となれば、ロックバー23がアンロック位置へ変位しているため、ユーザは、スイッチ等を操作することなく、スムーズに給電プラグ10をインレット部5に接続させてバッテリ4に充電を行うことができる。
(4)外部に露出した赤色及び青色LED40,41を設けることによって、ロックバー23がアンロック位置又はロック位置にあることをユーザが認識しやすくなる。これにより、ユーザは給電プラグ10をインレット部5と接続できるか否かの判断を容易に行うことができる。
(5)ユーザは、赤色及び青色LED40,41によって、容易にロックバー23がロック位置にあることを認識することができる。従って、給電プラグ10をインレット部5に接続しようとすると、給電プラグ10の一部がロックバー23に当接して、両者が接続できないことをユーザは容易に推測できる。これにより、給電プラグ10とロックバー23とが当接する可能性が抑制されるため、給電プラグ10とロックバー23とにかかる機械的な負荷を抑制することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、走行不能状態とは車両1の駆動源が停止した状態としたが、これに限るものではない。例えばハイブリッドシステム3によって駆動源が停止していなくとも駆動源の駆動力が駆動輪2に伝達しない場合等としてもよい。これの、具体例としては、シフトレバーがパーキングとなっていること等が考えられる。
・上記実施形態において、報知手段として赤色LED40及び青色LED41を用いたが他の色のLED、他の種類の光源、音、及び振動など他の報知手段を用いてもよい。また、これら異なる報知手段を組み合わせて用いてもよい。
・上記実施形態において、赤色LED40及び青色LED41をインレット部5に設けたが、給電プラグ10に設けてもよいし、電子キー80に設ける等してもよい。また、これら複数の箇所に設けてユーザにより視認しやすくしてもよい。
・上記実施形態において、外部電源61からバッテリ4へ充電する際の制御は、充電ECU75にて行ったが、照合ECU71が行ってもよい。
・上記実施形態において、モータ22の駆動力は、伝達部材25を介してストッパ26に伝達させたが、伝達部材25を省略してモータ22がストッパ26を直接駆動するようにしてもよい。
・上記実施形態において、インレット部5は車両1の前部右側面に設けるようにしたが、これに限らず、後部側面や車両前面等に設けてもよい。
・上記実施形態において、係止爪16は、給電プラグ10の嵌着部14の上部に設けるようにしたが、片側だけでなく嵌着部14を挟んで上下等の複数箇所に設けるようにしてもよい。
・上記実施形態において、係止爪16は給電プラグ10に、係合部21は、インレット部5にそれぞれ形成されたが、逆であってもよい。
・上記実施形態において、ロックバー23には緩衝孔23aを形成したが、孔ではなく凹部であってもよい。
・上記実施形態において、駆動手段としてモータ22を用いたが、ソレノイド等の他の駆動手段を用いてもよい。
・上記実施形態において、電子キーシステム70は、例えばIDコードの発信元としてトランスポンダを使用するイモビライザーシステムを採用してもよい。
・上記実施形態において、電子キーシステム70で使用する電波の周波数は、必ずしもLFやUHFに限定されず、これら以外の周波数が使用可能である。また、車両1から電子キー80に電波発信するときの周波数と、電子キー80から車両1に電波を返すときの周波数とは、必ずしも異なるものに限定されず、これらを同じ周波数としてもよい。
・上記実施形態において、ユーザ認証は、必ずしも電子キー80を使用したキー認証に限定されず、例えば生体認証等の他の認証を応用してもよい。例えば、メカニカルキーを通じたドアの施錠状態に応じて、ロック装置20のロック状態を切り替える等としてもよい。
・上記実施形態において、プラグインハイブリッド式の車両1のインレット部5に適用したが、プラグインハイブリッド式の車両に限らず、電気自動車のインレット部等に適用してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)請求項4に記載の給電プラグのロック装置において、前記報知手段は、前記ロック部材が前記ロック位置にあることを報知することを特徴とする給電プラグのロック装置。
ユーザが、ロック部材がロック位置に存在することに気づかない場合、給電プラグをインレットに接続しようとして、給電プラグとロック部材とが強く当接した状態でロック部材がアンロック位置へ変位しようと動作することも想定される。この場合、給電プラグ及びロック部材に機械的な負荷がかかることが懸念される。この点、同構成によれば、ユーザは、報知手段によって、容易にロック部材がロック位置にあることを認識することができる。従って、給電プラグをインレット部に接続しようとすると、給電プラグの一部がロック部材に当接して、両者が接続できないことをユーザは容易に推測できる。これにより、給電プラグとロック部材とが当接した状態でロック用駆動源が駆動される状況の発生が抑制されるため、給電プラグとロック部材とにかかる機械的な負荷を抑制することができる。