JP5376851B2 - リサイクルジルコニア粉末の製造方法、当該製造方法によるリサイクルジルコニア粉末、およびそれを用いたジルコニア焼結体の製造方法 - Google Patents

リサイクルジルコニア粉末の製造方法、当該製造方法によるリサイクルジルコニア粉末、およびそれを用いたジルコニア焼結体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リサイクルジルコニア粉末の製造方法、当該製造方法によるリサイクルジルコニア粉末、およびそれを用いたジルコニア焼結体の製造方法に関する。詳しくは、ジルコニアを含む燃料電池用セルまたは、ジルコニアおよびセリアを含む燃料電池用セルを、溶解・粉砕等により電解質としてのジルコニア材料と電極中に含まれるジルコニア材料とを再利用し、新たなリサイクルジルコニア粉末、当該リサイクルジルコニア粉末を利用したジルコニア焼結体シート、およびそれらの製造方法に関するものである。さらには、当該ジルコニア焼結体シートを用いた固体酸化物形燃料電池用電解質ならびに固体酸化物形燃料電池にも関する。
従来から固体酸化物形燃料電池用セルの製造に関しては、ジルコニア焼結体を電解質としてその一方の面に燃料極材料をスクリーン印刷等によって塗布後焼成し、次いで、他方の面に空気極材料をスクリーン印刷等によって塗布後焼成して電解質支持型セルとする方法(特許文献1他)、燃料極材料のグリーンシート上に電解質材料のグリーンシートを積層後、共焼結し、次いで、電解質面上に空気極材料をスクリーン印刷等によって塗布後焼成する方法(非特許文献1他)、あるいは燃料極材料のグリーンシート上に電解質材料のグリーンシートを積層し、次いで電解質グリーンシート上に空気極材料のグリーンシートを積層後、共焼結によって燃料極支持型セルとする方法(特許文献2他)がある。これらジルコニア焼結体、燃料極材料や空気極材料はいずれもセラミックスであり、焼成時の焼成収縮率の差異により反りや割れが生じる問題や、反りや割れが生じなくとも寸法が大きく変化するため寸法精度を保つことが難しく、その結果燃料電池用セルの製造歩留まりが低くなる傾向がある。特に、上記燃料極支持型セルは、異なる材料のグリーンシートを積層後、共焼結するので高度な平面性や平坦性を保つことが難しく、歩留まりの低さは著しいものである。また電解質支持型セル、燃料極支持型セルとも薄膜であるがゆえにハンドリング強度は十分とは言えず、製造時や取扱い時に破損するセルが多く生じることがある。これら不良セルやその不良セルの断片、破片が蓄積するとともに、発電終了後に大量のセルも蓄積することになるので廃棄上の問題と資源の有効活用が望まれる。しかしながら、これらセルのリサイクルに関する技術はほとんど知られていない。その中で、ランタンガレート系セルからランタンガレート電解質のリサイクル技術が開示されている(非特許文献2)。これは、浮選および浸出実験によりランタンガレート系電解質を用いたセルから電解質材料を回収して再利用ができる可能性を示したもので、リサイクル技術として完成されたものとは言えない。
特開2005−322547号 特開平11−25995号 Proceedings of the Seventh International Symposium(SOFCVII)p.983−988(2001) 第16回SOFC研究発表会講演要旨集 213B、p.268−271(2007)
本発明は、ジルコニアを含む燃料電池用セルまたは、ジルコニアおよびセリアを含む燃料電池用セル中のジルコニアを原料として再利用することによってリサイクルジルコニア粉末を得るとともに、そのリサイクルジルコニア粉末を再利用してジルコニア焼結体、特にジルコニア焼結体シート、を高品質に得ることができる技術を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討の結果下記手段を見出することで、発明を完成するに至ったものである。以下に本発明を特定するものである。
本発明の第一発明は、ジルコニアを含む燃料電池用セルを用いてリサイクルジルコニア粉末を製造する方法において、
(A)当該燃料電池用セルを酸で処理して電極材料を溶解する工程(第1セル溶解工程)
(B)当該第1セル溶解工程で得られたジルコニア材料を酸で溶解する工程(ジルコニア溶解工程)
(C)当該ジルコニア溶解工程で得られた溶解液を、共沈法、加水分解法、水熱合成法または噴霧乾燥法によりジルコニア粉末前駆体を調製する工程(前駆体調製工程)
(D)前駆体調製工程で得られた前駆体を、乾燥・仮焼してリサイクルジルコニア粉末とする工程(仮焼工程)
からなることを特徴とするリサイクルジルコニア粉末の製造方法である。
また、ジルコニアおよびセリアを含む燃料電池用セルを用いてリサイクルジルコニア粉末を製造する方法において、
(A)当該燃料電池用セルを酸で処理して電極材料を溶解する工程(第1セル溶解工程)
(A’)当該第1セル溶解工程に次いで、アルカリで更に電極材料を溶解する工程(第2セル溶解工程)
(B)当該第1セル溶解工程で得られたジルコニア材料を酸で溶解する工程(ジルコニア溶解工程)
(C)当該ジルコニア溶解工程で得られた溶解液を、共沈法、加水分解法、水熱合成法または噴霧乾燥法によりジルコニア粉末前駆体を調製する工程(前駆体調製工程)
(D)前駆体調製工程で得られた前駆体を、乾燥・仮焼する工程(仮焼工程)
からなることを特徴とするリサイクルジルコニア粉末の製造方法である。なお、本発明では第1セル溶解工程の前に燃料電池用セルを前粉砕して粉砕セル片とすることが好ましい。また、当該燃料電池用セルに含まれるジルコニアが、Sc、Y、Ybから選択される少なくとも1種の酸化物で安定化されたジルコニアからなることが好ましい。
本発明の第二発明は、第一発明にかかる製造方法によって得られるリサイクルジルコニア粉末であり、その平均粒子径が0.01〜1μmであることを特徴とする。また、当該リサイクルジルコニア粉末が、Sc、Y、Ybから選択される少なくとも1種の酸化物で安定化されたジルコニアからなることが好ましい。
本発明の第三発明は、第二発明により得られるリサイクルジルコニア粉末を原料ジルコニア粉末として、あるいは当該リサイクルジルコニア粉末と未使用ジルコニア粉末とからなる粉末を原料ジルコニア粉末として成形し、焼成して得られることを特徴とするジルコニア焼結体の製造方法である。特に、ドクターブレード法または押出成形法でシートに成形した後、焼成することによってジルコニア焼結体シートが好適に製造される。
本発明の第四発明は、第三発明にかかる製造方法によって得られることを特徴とするジルコニア焼結体である。特に、当該の焼結体がジルコニア焼結体シートである場合は、その厚さが0.03〜0.5mmであることが好ましい。
本発明の第五発明は、第四発明により得られるジルコニア焼結体を用いたことを特徴とする固体酸化物形燃料電池用電解質である。
本発明の第六発明は、第四発明にかかるジルコニア焼結体または第五発明にかかる固体酸化物形燃料電池用電解質を用いることを特徴とする固体酸化物形燃料電池である。
本発明の第七発明は、第二発明により得られるリサイクルジルコニア粉末からなる原料ジルコニア粉末と、あるいは当該リサイクルジルコニア粉末と未使用ジルコニア粉末とからなる原料ジルコニア粉末と、NiO粉末とからなる原料燃料極粉末を用いたことを特徴とする固体酸化物形燃料電池用燃料極または燃料極基板である。
本発明は、燃料電池用セル中の電極材料を溶解除去して得られるジルコニア材料を粉砕することによってジルコニアリサイクル粉末とし、当該ジルコニアリサイクル粉末を再利用してジルコニア焼結体を得ることで、資源を有効に利用できるとともに、ジルコニア焼結体の強度、靭性を向上させることができるものである。特に、リサイクルジルコニア粉末と未使用ジルコニア粉末とを原料ジルコニア粉末として用いることで、ジルコニア焼結体、特にジルコニア焼結体シートの場合に前記効果はより一層向上するものである。
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り以下のものに限定されるものではない。
本発明にかかる第一発明は、リサイクルジルコニア粉末の製造方法であり、その製造方法は、ジルコニアを含む燃料電池用セルの第1セル溶解工程あるいは、ジルコニアおよびセリアを含む燃料電池用セルの第1セル溶解工程および第2セル溶解工程、および当該溶解工程によって得られたジルコニア材料の粉砕工程からなる。以下、各工程を詳細に説明する。
(第1セル溶解工程)
ジルコニアを含む燃料電池用セル中の電極材料を酸で溶解し、電極材料が溶解されたジルコニア材料を得る工程である。ジルコニアを含む燃料電池用セルとは、電解質支持型燃料電池用セルあるいは燃料極支持型燃料電池用セルのうち、電解質がジルコニア材料からなるセル、および/または燃料極や空気極の電極材料の一部にジルコニア材料を含むセルであって、当該セル製造時あるいは製造後に生じる寸法等の規格外セル、破損したセルの破片や、発電終了後の使用済みセルのことを言う。その形状は平板状、ディンプル付平板状、円筒状、平板円筒状、あるいはそれらの破損形状や一部破損形状など特に制限はない。その大きさは平板状セルで最大30cm角、通常は10cm角や12cm丸であり、その厚さは0.03〜1cmである。また、円筒状セルの場合は最大外径3cm丸で最大厚さが1cm、その最大長さが120cm、平板円筒状セルは最大長径が20cm、最大短径が3cmで最大厚さが1cm、その最大長さが120cmなど特に制限はないが、大きさが3cm以上で厚さが1cm以上の三次元形状セルは、後の粉砕工程において多大のエネルギーを消費して粉砕効率が悪くなると共に粉砕に伴う不純物の混入が問題となるおそれがある。したがって、燃料電池用セルとしては、一般的に厚さが3mm未満、特に厚さが1mm以下の平板状、シート状セルが好ましい。これら燃料電池用セルは、セル溶解工程を促進するためにプラスチックハンマーや下記の粉砕工程の方法によって前粉砕しておくことが好ましい。この前粉砕によって得られる燃料電池用セル片の大きさはより小さくする方が好ましく、具体的にはセル片の片最大長が10mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、特に好ましくは1mm以下である。
燃料電池用セルは、電解質、燃料極、空気極、中間層および/または燃料極基板等から構成される。電解質材料がジルコニアの場合は、MgO、CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類金属酸化物;Y、La、CeO、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb等の希土類金属酸化物;Sc、Bi、In等その他の金属酸化物など安定化剤として加えたジルコニアが好ましい。これらから1種または2種以上を選択した単独または混合物であってもよい。これらの中でも、3〜10モル%のYで安定化された90〜97モル%ジルコニア、4〜12モル%のScで安定化された88〜96モル%ジルコニア、または4〜15モル%のYbで安定化された85〜96モル%ジルコニアが好ましく、特に、8〜10モル%のY、8〜12モル%のScまたは8〜15モル%のYbで安定化された立方晶系ジルコニアが好適である。さらに上記安定化剤とジルコニアの合計質量に対して0.01〜5質量%程度のAl、Ga、SiO、Bi、TiO、CeO等の添加剤が添加されたジルコニアを例示することができる。
燃料極および燃料極基板の材料は、Ni、Fe、Co、Ru等の酸化物(なお、これらは発電雰囲気中では金属状態)から成る電子導電成分と、上記の安定化ジルコニアおよび/またはGd、YおよびSmから選択される少なくとも1種の酸化物を10〜35モル%含むセリア系酸化物から成る骨格成分とからなる。好ましくは、NiOと、8〜10モル%Y安定化ジルコニア、9〜12モル%Sc安定化ジルコニアまたは、15〜30モル%のGd、Y、Smでドープされたセリアからなるサーメットである。また、サーメット中の電子導電成分と上記骨格成分の混合比は、電子導電成分が40〜70質量%、上記骨格成分が30〜60質量%である。
空気極の材料は、ランタンマンガナイト(LaMnO)、ランタンコバルタイト(LaCoO)やランタンフェライト(LaFeO)ペロブスカイト構造酸化物をベースとし、上記ランタンの一部が、サマリウム、プラセオジウムなどの他の希土類元素やストロンチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウムなどのアルカリ土類元素などで置換されたペロブスカイト構造酸化物、および/または上記マンガン、コバルト、鉄の一部が銅、ニッケルなどで置換されたペロブスカイト構造酸化物が例示される。好ましくは、La0.6Sr0.4MnO、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8、LaNi0.6Fe0.4である。さらに、これらペロブスカイト型酸化物に、上記安定化ジルコニアおよび/または上記セリア系酸化物とからなる。その時の混合比は、ペロブスカイト構造酸化物が70〜100質量%、上記安定化ジルコニアおよび/または上記セリア系酸化物が0〜30質量%である。
さらに電解質と空気極との間に、これらの固相反応防止のために中間層が配置されていても良い。その中間層材料としては、上記セリア系酸化物であり、好ましくは15〜30モル%のGd、Y、Smでドープされたセリアである。
さらには、燃料極とセパレータとの間に生じる隙間を埋めて両者間の密着度を向上させ、これにより接触抵抗を減じ、集電効率を向上させるなどの目的で、Ni粉体、Ni合金粉体、Pt粉体、Pt合金粉体、Ag粉体、Ag合金粉体、Au粉体、Au合金粉体などからなる燃料極コンタクト層や、同じく空気極とセパレータとの間に生じる隙間を埋めて両者間の密着度を向上させ、これにより接触抵抗を減じ、集電効率を向上させるなどの目的で、Ag粉体もしくはAg合金粉体および/または上記ぺロブスカイト構造酸化物などからなる空気極コンタクト層が形成されていてもよい。
これら燃料電池用セルの上記構成材料の厚さは、電解質支持型セルの場合は、電解質は0.05〜0.3mm、燃料極は0.01〜0.1mm、空気極は0.01〜0.1mm、中間層がある場合はその厚さは0.01〜0.02mmである。また、燃料極支持型セルの場合は、電解質は0.01〜0.1mm、燃料極基板を含む燃料極の厚さは0.3〜3mm、空気極は0.01〜0.1mm、また、中間層がある場合はその厚さは0.01〜0.02mmである。
第1セル溶解工程で溶解される電極材料とは、上記セル組成中の燃料極材料、空気極材料、中間層材料および/または燃料極基板材料中の安定化ジルコニアとセリアを除くその他の電極材料である。具体的には、燃料極材料ではNi、Fe、Co、Ru等の酸化物から成るNiO、FeO、CoO等の電子導電成分や、上記セリア系酸化物中のGd、Y、Sm等の骨格成分の一部が例示される。空気極材料ではLaMnO、LaCoOやLaFeO等のペロブスカイト構造酸化物中のLa、CoO、Fe、MnO等がある。さらに、当該ペロブスカイト構造酸化物のランタンの一部が、サマリウム、プラセオジウムなどの他の希土類元素やストロンチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウムなどのアルカリ土類元素などで置換されているペロブスカイト構造酸化物、および/またはマンガン、コバルト、鉄の一部が銅、ニッケルなどで置換されたペロブスカイト構造酸化物である場合は、Sm、Pr、SrO、CaO、BaO、MgO、CuO、NiO等が例示される。なお、ジルコニア材料中や安定化ジルコニア中に含まれるSc、Y、Ybやセリア系酸化物中のGd、Y、Smは、本工程では溶解されにくいものであり、その一部あるいは全部がジルコニア材料、安定化ジルコニア、セリア系酸化物に残存していてもよく、その残存比率等に制限は無い。
第1セル溶解工程で使用する酸としては、硫酸、硝酸、塩酸等であり、特にそれらが水で希釈された希酸が好適である。これら酸の濃度は、硫酸の場合は10〜92質量%、好ましくは20〜80質量%、硝酸の場合は10〜98質量%、好ましくは20〜67質量%、塩酸の場合は3〜37質量%、好ましくは5〜30質量%である。第1セル溶解工程における操作は特に制限されないが、上記燃料電池用セルと上記酸を容器に入れ、室温下で燃料電池用セルや上記酸を攪拌棒や超音波振動等でたえず動かせながら処理して電極材料の溶解を促進させることが好ましい。このときの酸の添加量は、燃料電池用セルが酸に浸る程度であればよく、燃料電池用セル100gに対して100〜1000ml、好ましくは200〜500mlである。また、攪拌時間や超音波振動時間は10分〜16時間、好ましくは20分〜3時間であり、攪拌や超音波振動終了後に上記電極材料が溶解した電極溶解液を除去して再度酸を添加する同様の操作を繰り返してジルコニア材料を得る。このとき、各電極材料溶解物のICPで測定した濃度が元素換算で500ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下、特に好ましくは50ppm以下になるまで繰り返すことが好適である。なお、ジルコニア材料とは、上記のように燃料電池用セルの電極材料が酸で溶解除去されたあとのセル、あるいは下記第2セル溶解工程のように、燃料電池用セルの電極材料が酸、次いでアルカリで溶解除去されたセルを言う。
(第2セル溶解工程)
ジルコニアおよびセリアを含む燃料電池用セル中のセリア以外の電極材料を酸で溶解する上記第1セル溶解工程に次いで、第1セル溶解工程で残存しているセリアを溶解してジルコニア材料を得る工程である。上記燃料電池用セルの電解質材料、燃料極材料、空気極材料、中間層材料および/または燃料極基板材料中に存在する安定化ジルコニアとセリアは第1セル溶解工程の酸では溶解が非常に困難であり、そのうちセリアは酸に溶解しないで未溶解のまま残存している。この残存CeOはアルカリに溶解するので、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液、アンモニア水等のアルカリを使用する。特に水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液が好適である。アルカリの濃度は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの場合は1〜10規定、好ましくは1〜5規定、アンモニア水では、5〜35質量%、好ましくは8〜15質量%である。
第2セル溶解工程における操作も第1セル溶解工程と同様に制限されず、好ましくは第1セル溶解工程で用いる酸をアルカリ水溶液に置き換えることで実施される。このとき、攪拌や超音波振動終了後にCeOが溶解したCeO溶解液を除去して再度アルカリを添加する同様の操作を繰り返してジルコニア材料を得る。このとき、CeOのICPで測定した濃度が元素換算で500ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下、特に好ましくは50ppm以下になるまで繰り返すことが好適である。なお、本工程では、ジルコニア材料中や安定化ジルコニア中に含まれるSc、Y、Ybやセリア系酸化物中のGd、Y、Smは、本工程は溶解されにくいものであるが、その一部がジルコニア材料、安定化ジルコニア、セリア系酸化物から溶解されてもよく、その溶解比率等に制限は無い。
(ジルコニア溶解工程)
当該ジルコニア溶解工程は、上記第1セル溶解工程(A)や第2セル溶解工程(A’)で得られたジルコニア材料を酸で溶解する工程であり、酸分解法、加圧分解法、融解法等の公知の方法によりジルコニア溶解液やペースト状のジルコニア融解物を得ることができる。また、当然のことながら上記で得たジルコニア材料をさらに粉砕したものを使用することも可能である。
酸分解法とは、塩酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、リン酸、フッ化水素酸およびこれらの混酸酸を当該ジルコニア材料とともに開放容器に入れ、100〜400℃に加熱して溶解する方法である。加圧分解法とは、これら酸とジルコニア材料をテトラフルオロエチレン製の加圧分解容器に入れ、この容器をさらに金属製の耐圧容器に入れて加熱・加圧下でジルコニアを溶解する方法である。融解法とは、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、過酸化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、ピロ硫酸カリウム、炭酸ナトリウム+ホウ酸、炭酸リチウム+ホウ酸、硫酸アンモニウム+硫酸等を融剤として当該ジルコニア材料とよく混合し、電気炉等で200〜1200℃1〜10時間加熱して強熱融解して得られる融成物を上記の塩酸、硝酸、硫酸などの溶解させる方法である。
本発明では、より溶解を簡便かつ効率的に行うために、当該ジルコニア材料に強酸と融剤を加え、常圧下150〜350℃、好ましくは200〜300℃で分解させる酸分解法と融解法を組み合せた方法が好適である。そのときの当該酸の濃度は50〜98%好ましくは60〜97%であり、当該ジルコニア材料1kgに対して、酸を1〜20L、好ましくは1〜10L加え、融剤を1〜10kg、好ましくは2〜8kg加え、これらの混合物を20〜180分間、好ましくは30〜120分間、溶解させることが好ましい。温度が150℃を下回る場合や使用する酸の濃度が50%を下回る場合は、ジルコニア材料が完全に溶解できず未溶解のジルコニア材料として残渣になり、回収率が低下することになる。一方、温度が350℃を上回る場合や酸濃度が98%を上回る場合は、設定条件が非常に厳しくなる割には溶解効率が格段によくなるものではなく過剰条件となる。また、使用する酸の量が1Lを下回り、融剤の量が1kgを下回り、溶解時間が20分を下回る場合には、同様に、ジルコニア材料が完全に溶解できず未溶解のジルコニア材料として残渣になり、回収率が低下することになる。一方、酸の量が20Lを上回り、融剤の量が10kgを上回り、溶解時間が180分を上回る場合にも、同様に、溶解効率が格段によくなるものではなく過剰条件となる。使用する酸の中で好ましいものは硫酸、融剤の中で好ましいものは硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、特に好ましいものは硫酸アンモニウムである。
なお、本工程では、ジルコニア材料中や安定化ジルコニア中に含まれるSc、Y、Ybやセリア系酸化物中のGd、Y、Smも、本工程でほぼ完全に溶解されるものであるが、その一部が未溶解のまま残ることがある。この場合は本溶解工程で未溶解のまま残ったジルコニア材料とともにろ過等で除去する。
(前駆体調製工程)
上記溶解工程で得られた溶解液を中和法、均一沈殿法、共沈法、加水分解法、水熱合成法または噴霧乾燥法等の公知の方法によりジルコニア粉末前駆体を調製する工程である。得られた溶解液や融解物はpHが2以下、多くの場合pHが1以下の強酸であるので、次の前駆体調製工程で扱いやすいように希釈液でpHが4.0〜7.0の希釈することが好ましい。好ましい希釈はpHが5.0〜7.0、より好ましくは6.0〜7.0である。希釈に際しては、希釈による急激な発熱を避けるために、水中に当該溶解液を攪拌させながら徐々に滴下することが好ましい。また、当該希釈において、希釈によるジルコニア濃度の低下を防ぎリサイクルジルコニア粉末の生産性を高めることを目的に、水の代わりにジルコニウム塩水溶液、ジルコニアゾル、ジルコニア分散液を用いて希釈することも可能である。さらには、水で希釈した後さらに、下記のように定義される未使用ジルコニア粉末、ジルコニア水酸化物、ジルコニア含水物を添加することも可能である。このとき、ジルコニア材料の組成と同じになるように、当該ジルコニウム塩、ジルコニアゾル、未使用ジルコニア粉末の組成に前記のようなSc、Yb、Yを安定化剤として加えられているもの、あるいは安定化剤を別途単独で加えることが好ましい。
また、上記中和法とは、水酸化物が生成するpH領域に酸またはアルカリ溶液(本発明ではアルカリ溶液)を添加して水酸化物として沈殿させることにより粉体を合成する方法である。均一沈殿法とは、沈殿剤を溶液内で徐々に生成させ、沈殿剤の局所的不均一性をなくして沈殿物を生成させることにより粉体を合成する方法である。共沈法とは、2種の生成物を同時に液相中で生成・沈殿させることにより粉体を合成する方法であり、加水分解法とは、金属塩、金属イオンや金属アルコキシドを含む溶液に水を加えて、水酸化物や、HまたはOHとの配位化合物を合成する方法である。水熱合成法とは、気密容器または加圧装置の内部において、熱水、高圧水蒸気の雰囲気中で、酸化物を溶解した溶解液の反応性を利用して粉体合成する方法であり、噴霧乾燥法とは、粉体原料を含む溶液を高温中に噴霧し、瞬間的に熱分解反応をさせて粉体を得る方法である。
本発明では、希釈液が酸性であることから、アンモニア水等のアルカリ性溶液による中和法や共沈法や尿素等による均一沈殿法等が好適に選択され、特に、特許公報1613619号に開示されているようなアンモニア水による沈殿生成物を流通式反応方法で反応時中のpHを一定に保ちつつ連続的に行うことにより沈殿を形成させる方法が好ましい。これら方法によってジルコニア水酸化物等の沈殿物を生成し、該沈殿物を通常のろ過や限外ろ過によって沈殿物をフィルタープレス等で脱水しながら分離回収し、これをさらに60〜100℃で乾燥してリサイクルジルコニア粉末前駆体を得る。該沈殿物には溶解工程で使用された酸のCl、NO 、SO 2−、融剤のNa、K、NH 等のイオンが不純物として含まれているので、それらを十分に洗浄、除去するために限外ろ過することが好ましい。
(仮焼工程)
上記前駆体調製工程で得られた前駆体を仮焼する工程である。仮焼の条件、特にその温度は求めるリサイクルジルコニア粉末の比表面積によって決定されるが、一般的に500〜1100℃、ハンドリングに適した比表面積である3〜30m/gに調整するためには好ましくは600〜1000℃である。また、仮焼時間は、1〜20時間であり、好ましくは2〜10時間である。仮焼の雰囲気は酸化性ガス雰囲気であり、好ましくは空気雰囲気である。以上の工程を順に行うことにより、本発明のリサイクルジルコニア粉体を得ることができる。当該リサイクルジルコニア粉末は微細であるために凝集しやすいので、仮焼後のリサイクルジルコニア粉末を、その後の取扱いをさらに容易にするために、噴霧乾燥して球状に弱く凝集した粉末にすることが好ましい。
本発明の第二発明は、上記第一発明の方法で製造される平均粒子径が0.01〜1μmであるリサイクルジルコニア粉末である。当該方法によって得られるリサイクルジルコニア粉末の平均粒子径として好ましくは0.1〜0.8μm、より好ましく0.2〜0.7μm、さらに好ましくは0.1〜0.6μmで、最大粒子径として好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは1〜4μm、さらに好ましくは1〜3μmである。なお、本発明で言う平均粒子径および最大粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、商品名「LA−920」)により測定した50体積%径、100体積%径であり、蒸留水中の分散剤として0.2質量%のメタリン酸ナトリウムを添加した水溶液を分散媒とし、該分散媒約100cm中に当該ジルコニア粉末を0.01〜1質量%加え、5分間超音波処理して分散させて測定する。平均粒子径とは小さいほうから粒子体積を積算して全粒子体積に対して50体積%となる粒子径、最大粒子径とは小さいほうから粒子体積を積算して100体積%となる粒子径の値である。なお、前記方法で当該ジルコニア粉末が分散されずに沈降してしまう場合には、セル粉砕片測定の場合と同様に、超深度カラー3D形状測定レーザー光顕微鏡(キーエンス製、商品名「VK−9500」)を用いて粒子画像を取り込み、これを印刷して印刷された各粒子をノギスで計測してその最大値を最大粒子径とし、その平均値を算出して平均粒子径とする。また、当該リサイクルジルコニア粉末の比表面積は3〜30m/g、より好ましくは5〜20m/gであり、さらに好ましくは7〜15m/gである。当該リサイクルジルコニア粉末の組成・組成比は、その原料となる燃料電池用セル中のジルコニア電解質と同組成・同組成比であることが好ましく、その場合には上記に記載したように、MgO、CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類金属酸化物;Y、La、CeO、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb等の希土類金属酸化物;Sc、Bi、In等その他の金属酸化物など安定化剤として加えたジルコニアが好ましい。これらから1種または2種以上を選択した単独または混合物であってもよい。これらの中でも、燃料電池用固体電解質として使用する場合の組成は、例えば、3〜10モル%のY、4〜12モル%のScまたは4〜15モル%のYbで安定化されたジルコニアが好ましく、特に、8〜10モル%のY、8〜12モル%のScまたは8〜15モル%のYbで安定化された立方晶系ジルコニアが好適である。さらに0.01〜5質量%程度のAl、Ga、SiO、Bi、TiO、CeO等が添加されたジルコニアを例示することができる。なお、本発明のリサイクルジルコニア粉末中に含まれる不純物には、溶解用セル中のジルコニア電解質に最初から含まれている酸化物表記でAl、SiO、TiO、Fe、NaO等の成分や、前記粉砕工程で混入するSO、Cl、WO、CoO、Fe、Cr、NaO、KO等の成分があるが、いずれも、0.3質量%未満、好ましくは0.1質量%未満、特に好ましくは0.01質量%未満である。
本発明の第三発明は、第二発明により得られるリサイクルジルコニア粉末を原料ジルコニア粉末として、あるいは当該リサイクルジルコニア粉末と未使用ジルコニア粉末とからなる粉末を原料ジルコニア粉末としてジルコニア焼結体を製造するものである。好ましくは、原料ジルコニア粉末をドクターブレード法または押出成形法でシート状に成形したジルコニア焼結体シートの製造方法である。
本発明で言う未使用ジルコニア粉末とは、当該燃料電池用セル中のジルコニア電解質製造用の粉末として用いていないものであり、ジルコニアを含むものであれば何れのものであっても良く、ジルコニアのみならず、含水物や水酸化物等を乾燥または焼成しジルコニア粉末となるものであっても良いが、好ましくはジルコニア粉末である。未使用ジルコニア粉末の組成・組成比は、溶解用セルのジルコニア材料と同一であることが好ましい。これらジルコニア粉末、ジルコニア含水物、ジルコニア水酸化物等は市販のものを使用することができる。未使用のジルコニア粉末は、平均粒子径が0.01〜2μm、好ましくは0.1〜1μmであり、比表面積は、2〜40m/g、好ましくは5〜20m/gである。原料ジルコニア粉末が、当該リサイクルジルコニア粉末と未使用ジルコニア粉末とからなる場合、その割合は特に限定されないが、原料粉末中のリサイクルジルコニア粉末が2〜98質量%、未使用ジルコニア粉末が98〜2質量%、好ましくはリサイクルジルコニア粉末が5〜50質量%、未使用ジルコニア粉末が95〜50質量%、特に好ましくはリサイクルジルコニア粉末が10〜30質量%、未使用ジルコニア粉末が90〜70質量%である。
以下、ジルコニア焼結体の例として、ジルコニアシートの製造方法についてその工程を詳細に説明する。
(1)原料スラリーまたは原料混練物の調製
先ず、当該原料ジルコニア粉末、溶媒、バインダー、可塑剤等を混合し、原料スラリーまたは原料混練物を調製する。原料スラリーまたは原料混練物に用いられるバインダーの種類にも格別の制限はなく、従来から知られた有機質のバインダーを適宜選択して使用することができる。有機質バインダーとしては、例えばエチレン系共重合体、スチレン系共重合体、アクリレート系およびメタクリレート系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、マレイン酸系共重合体、ビニルブチラール系樹脂、ビニルアセタール系樹脂、ビニルホルマール系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ワックス類、エチルセルロース等のセルロース類等が例示される。これらの中でも、ジルコニアグリーンシートの成形性や打抜き加工性、強度、焼成時の収縮率バラツキを抑制する観点から、熱可塑性で、且つ数平均分子量が20,000〜250,000、より好ましくは50,000〜200,000の(メタ)アクリレート系共重合体が好ましいものとして推奨される。
原料ジルコニア粉末とバインダーの使用比率は、前者100質量部に対して後者5〜30質量部が好ましく、より好ましくは後者10〜20質量部の範囲である。バインダーの使用量が不足する場合は、ジルコニアグリーンシートの成形性が低下し、また、強度や柔軟性が不十分となる。逆に多過ぎる場合はスラリーの粘度調節が困難になるばかりでなく、脱脂・焼結時のバインダー成分の分解放出が多く且つ激しくなって収縮率のバラツキも大きくなり、寸法バラツキの小さなシートが得られ難くなり、また、バインダーの熱分解が不十分となり、バインダー成分の一部が残留カーボンとして残留し易くなる。
使用される溶媒としては、水;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類等が挙げられ、これらから適宜選択して使用する。これらの溶媒も単独で使用し得る他、2種以上を適宜混合して使用することができる。これら溶媒の使用量は、ジルコニアグリーンシート成形時におけるスラリーの粘度を加味して適当に調節するのがよく、好ましくはスラリー粘度が1〜50Pa・s、より好ましくは2〜20Pa・sの範囲となる様に調整するのがよい。
原料スラリーまたは原料混練物の調製に当たっては、ジルコニア原料粉末の解膠や分散を促進するため、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アンモニウム等の高分子電解質;クエン酸、酒石酸等の有機酸;イソブチレンまたはスチレンと無水マレイン酸との共重合体およびそのアンモニウム塩あるいはアミン塩;ブタジエンと無水マレイン酸との共重合体およびそのアンモニウム塩等からなる分散剤;セラミックグリーンシートに柔軟性を付与するためのフタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類;プロピレングリコール等のグリコール類やグリコールエーテル類;フタル酸系ポリエステル、アジピン酸系ポリエステル、セバチン酸系ポリエステル等のポリエステル系からなる可塑剤など;さらには界面活性剤や消泡剤などを必要に応じて添加することができる。
原料スラリーまたは原料混練物は、上記成分を適量混合することにより調製する。その際、各粒子の微細化や粒子径を均一化するために、ボールミル等により粉砕しつつ混合してもよい。また、各成分の添加の順番は特に制限されず、従来方法に従えばよい。
(2)ジルコニアグリーンシートの製造
次に、上記のようにして得られた原料スラリーまたは原料混練物を成形する。成形方法は特に制限されないが、ドクターブレード法や押出成形法を用いて、適切な厚さのシートとすることが好ましい。その後、乾燥することによりジルコニアグリーンシートとする。乾燥条件は特に制限されず、例えば室温〜150℃の一定温度で乾燥してもよいし、50℃、80℃、120℃の様に順次連続的に昇温して加熱乾燥してもよい。
得られたジルコニアグリーンシートは、任意の方法で適当な大きさに打抜き若しくは切断加工してもよい。このグリーンシートの形状としては、円形、楕円形、角形、R(アール)を持った角形など何れでもよく、これらのシート内に同様の円形、楕円形、角形、Rを持った角形などの穴を1つもしくは2つ以上有するものであってもよい。また、グリーンシート厚も特に制限されるものではないが、例えば35〜1000μm程度とすることがきる。
なお、ジルコニアグリーンシートの表面粗さは、使用する原料ジルコニア粉末や原料スラリー、原料混練物等の粒度分布に依存するが、ドクターブレード法によるテープキャスティングの場合、必要に応じて比較的容易に調整することができる。例えば、粗化したPETフィルム上にキャスティング等や、キャスティング後に表面を粗くした粗化用シートあるいは金型をグリーンシートに押圧すればよい。押出成形法によりセラミックグリーンシートを得た場合でも同様である。なお、セラミックグリーンシートの表面粗さとしては、一般的には、Raで0.01〜6μmの範囲が好適である。
(3)グリーンシートの焼成
ジルコニアグリーンシートを焼成する際には、1枚づつ棚板に当該グリーンシートを載置して焼成することも可能であるが、量産化のために当該ジルコニアグリーンシートと多孔質スペーサーシートとを交互に積み重ねた積層体として焼成することが好ましい。通常は再下段にスペーサーシートを置き、その上にジルコニアグリーンシートとスペーサーシートを交互に積み重ね、再上段にはスペーサーシートを載せる。再下段のスペーサーシートはジルコニアグリーンシートと棚板との接合を防ぎ、最上段のスペーサーシートは重しとなりジルコニアグリーンシートの反りやうねりの発生を低減する。
具体的な焼成の条件は特に制限されず、常法によればよい。例えば、当該ジルコニアグリーンシートからバインダーや可塑剤等の有機成分を除去するために150〜600℃、好ましくは250〜500℃で5〜80時間程度処理する。次いで、1000〜1600℃、好ましくは1200〜1500℃で2〜10時間保持焼成することによりジルコニア粉末を焼結し、本発明の厚さが0.03〜0.5mmのジルコニア焼結体シートを得る。その全面積は5〜2000cm、好ましくは50〜1000cm、さらに好ましくは100〜500cmである。
かくして得られる本発明のジルコニア焼結体シートは、厚さが0.03〜0.5mmであり、理論密度に対するアルキメデス法で測定した密度の相対密度が93%以上、好ましくは95%以上であり、3点曲げ強度も、ジルコニアの結晶構造が正方晶系のものは、800MPa以上、好ましくは900MPa以上、特に好ましくは1000MPa以上であり、立方晶系のものは、300MPa以上、好ましくは350MPa以上、特に好ましくは400MPa以上であり、未使用ジルコニア粉末を用いて製造したジルコニア焼結体シートと同等の強度を有するものである。
本発明の第五発明は、第四発明で得られたジルコニア焼結体を、固体酸化物形燃料電池用電解質として用いたものである。固体酸化物形燃料電池用電解質は、シート状である場合にはその厚さが0.03〜0.5mmであり、その全面積は5〜2000cm、好ましくは50〜1000cm、さらに好ましくは100〜500cmである。固体酸化物形燃料電池用電解質として使用されるときには、当該電解質の一方の面に燃料極、他方の面に空気極が形成され、また、必要に応じて、電解質材料と燃料極材料または電解質材料と空気極材料との反応を防止するために、電解質の一方の面あるいは両方の面に中間層が形成されるのが一般的である。そこで、電解質と燃料極、空気極、中間層との接合力を高めそれらの電解質からの剥離を防止するために、当該固体酸化物形燃料電池用電解質表面にアンカー効果を付与する表面粗さをもたせることが好ましく、その粗さはRaで0.1〜3μm、好ましくは0.3〜2μm、さらに好ましくは0.5〜1.5μmである。
本発明の第六発明は、第四発明にかかるジルコニア焼結体または第五発明にかかる固体酸化物形燃料電池用電解質を用いた固体酸化物形燃料電池である。当該ジルコニア焼結体または固体酸化物形燃料電池用電解質を用いて燃料電池とする一般的な手段を用いることができるが、好ましくは、ジルコニア焼結体シートまたは当該固体酸化物形燃料電池用電解質の一面に、燃料極材料としてNi、Co、Ru等と上記の安定化ジルコニアおよび/上記セリア系酸化物のサーメットが好適に使用される。特に好ましくは、Niと9〜12モル%Sc安定化ジルコニアからなるサーメットである。これら燃料極材料をエチルセルロース等のバインダー、α−テルピネオール等の溶剤とともに混練して燃料極ペーストを、あるいはミリングして燃料極スラリーを調製し、これをスクリーン印刷法、コーティング法などで被覆・乾燥・焼成することで燃料極を得ることができる。次いで、ジルコニア焼結体または当該固体酸化物形燃料電池用電解質の燃料極と反対の面に、空気極材料として上記LaMnO、LaCoOやLaFeOを基本構造とするペロブスカイト型構造酸化物、さらには、これらペロブスカイト構造酸化物に上記安定化ジルコニアおよび/または上記セリア系酸化物か添加された混合物である。特に好ましくは、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8あるいはLaNi0.6Fe0.4に9〜12モル%Sc安定化ジルコニア加えた混合物が好適に使用される。上記燃料極の場合と同様に、空気極ペーストあるいは空気極スラリーを調製し、これをスクリーン印刷法、コーティング法などで被覆・乾燥・焼成することで空気極を得ることができる。当該ジルコニア焼結体または固体酸化物形燃料電池用電解質と空気極と燃料極とにより固体酸化物形燃料電池が形成される。なお、燃料極、空気極の製造の順は特には限定されるものではない。また、固体電解質と空気極との間に、これらの固相反応防止のために、上記セリア系酸化物がそれらの中間層として存在していてもよい。さらには、燃料極の上に上記のような燃料極コンタクト層や、空気極の上に上記のような空気極コンタクト層や形成されていてもよい。
当該ジルコニア焼結体シートまたは固体酸化物形燃料電池用電解質と空気極と燃料極とにより電解質支持型固体酸化物形燃料電池が形成される。あるいは、固体酸化物形燃料電池用電解質と空気極と燃料極と燃料極支持基板とにより燃料極支持型固体酸化物形燃料電池が形成される。なお、電解質、燃料極、空気極、燃料極基板形成の順序は特には限定されるものではない。
以下に本発明を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<参考例1>
燃料電池用セルの製造
市販の8モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(東ソー株式会社製、商品名「TZ−8YS」、平均粒子径:0.52μm、比表面積:8.5m2/g、以下8YSZ粉末と記す)100質量部、溶媒であるトルエン/イソプロパノール混合液(トルエン/イソプロパノール質量比=3/2)50質量部、および分散剤であるソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤2質量部とから成る混合物を、ボールミルを用いて8YSZ粉末を解砕しつつ均一混合した。当該混合物へ、バインダーとしてメタクリレート系共重合体(数平均分子量:100,000、ガラス転位温度:−8℃、固形分濃度:50%)を固形分換算で15質量部と、可塑剤であるジブチルフタレート3質量部を添加し、さらにボールミルにより混合してスラリーとした。得られたスラリーを濃縮脱泡し、25℃での粘度を3Pa・sに調整し、塗工用スラリーとした。この塗工用スラリーをドクターブレード法によりPETフィルム上に塗工し、塗工部に続く乾燥機中を0.2m/分の速度で通過させて乾燥し、厚さ320μmの長尺8YSZグリーンシートを得た。この長尺グリーンシートを120mm角づつに切断して、120mm角の8YSZグリーンシートを得た。
次いで、焼成用棚板上に載置したアルミナ多孔質シート(気孔率:45%、厚さ:0.2mm、寸法:15cm角)上に、上記で得た8YSZグリーンシートを1枚重ね、その上にスペーサーとして多孔質シートを重ね、同様にしてさらに交互に9枚ずつ8YSZグリーンシートと多孔質シートを重ね合わせ、最後に最上層のスペーサーの上にムライト・アルミナ製の重し用治具(気孔率60%、嵩比重:1.3)を載置した。このようにして8YSZグリーンシートを9枚重ね合わせたものを大気雰囲気下で、1425℃で3時間焼成し、約100mm角、厚さ270μmの8YSZ焼結体シートを得た。
参考に、当該8YSZ焼結体シートの物性を測定すると、シート理論密度に対するアルキメデス法による密度から求めた気孔率は97.2%、JIS−1601に準拠した焼結体シートの3点曲げ強度試験による強度の20枚の平均値は348MPaであった。
得られた上記8YSZ焼結体シートの片面に、燃料極ペーストをスクリーン印刷した後に90℃で1時間乾燥することによって、厚さ40μmの燃料極前駆体が形成された燃料電池ハーフセル前駆体を作製した。なお、使用した燃料極ペーストは、酸化ニッケル粉末(正同化学社製、「NiO−D」、平均粒子径:1.9μm、比表面積:1.0m2/g)と上記8YSZ粉末を質量比で65:35になるように混合した燃料極材料100gに対し、バインダーとしてポリビニルブチラールを4g、溶剤としてテルピネオールを76g、分散剤としてソルビタン酸エステル(三洋化成製、イオネットS−80)1gを添加し、乳棒で攪拌混合後に3本ロールミルでミリングすることにより調製したものである。次いで、得られた燃料電池ハーフセル前駆体20枚を150mmφの20%アルミナ含有3YSZ製セッター上に積重ね、大気雰囲気下1300℃3時間焼成して焼付け、片面に燃料極が形成された燃料電池用ハーフセルを作製した。
当該ハーフセルの燃料極が形成されていない他方の電解質面上へ、燃料極を印刷した場合と同様の条件で厚さ35μmの空気極前駆体を形成した。使用した空気極ペーストは、La0.8Sr0.2MnOペロブスカイト構造酸化物粉末(セイミケミカル製、平均粒子径:1.3μm、比表面積:3.5m2/g)と上記の8YSZ粉末を質量比90:10で混合した空気極材料100gを用いて、上記燃料極ペーストと同様の条件で調製したものである。次に、当該セル前駆体を150mm角のNiAl製セッターと交互に積重ね、大気雰囲気下1150℃3時間焼成して焼付け、燃料極と空気極が形成されたジルコニアを含む燃料電池用セル(X)を作製した。
さらに、上記燃料極付きハーフセルの燃料極が形成されていない他方の電解質面上へ、中間層ペーストを同様の条件でスクリーン印刷し、90℃で1時間乾燥して中間層前駆体を形成した。使用した中間層ペーストは、20モル%イットリアをドープした(CeO0.8(Y0.2粉末(セイミケミカル製、平均粒子径:0.8μm、比表面積:5.7m2/g、以下YDC粉末と記す)である。これを、上記アルミナ多孔質体シート上に載置し、大気雰囲気下で1300℃3時間焼成して焼付け、一方の面に燃料極が形成され、他方の面に中間層が形成された燃料電池用ハーフセルを作製した。次いで、この中間層上に空気極ペーストをスクリーン印刷し、90℃で1時間乾燥して空気極前駆体を形成した。使用した空気極ペーストは、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8ペロブスカイト構造酸化物粉末(セイミケミカル製、平均粒子径:1.7μm、比表面積:4.1m2/g)と、上記YDC粉末を質量比90:10で混合したものを用いた以外は上記実施例1と同様に調製したものである。
次に、当該燃料電池セル前駆体を上記と同様に積層し、大気雰囲気下で最高温度950℃3時間焼成して焼付け、中間層が形成されたジルコニアとセリアを含む燃料電池用セル(Y)を作製した。
<実施例1>
(A)第1セル溶解工程
上記参考例1で得られた燃料電池用セル(X)をプラスチックハンマーで最大長が1mm以下になるように前粉砕して燃料電池用セル片を得た。
得られたセル片100gと50%硝酸水溶液200mLとをビーカーに入れ攪拌機で攪拌しながら超音波照射した。20分後、電極成分が一部溶解した50%硝酸水溶液を排出し、新たに50%硝酸水溶液200mLを加え、攪拌しながら20分間超音波を照射した。この操作を5回繰り返した後の超音波照射した50%硝酸水溶液はほとんど無色になったので、この溶液を希釈後、希釈液中のY、Ni、La、Sr、Mnの濃度をICP分析装置(島津製作所社製、型式「ICPE−9000」)で測定した。これら5つの元素の濃度(金属換算)はすべて100ppm以下になっており、電極材料が除去されたジルコニア材料片を得た。
(B)ジルコニア溶解工程
上記で得られたジルコニア材料片100gを平底白金皿に入れ、次いで、市販の硫酸(98%)500mLと市販の硫酸アンモニウムを200g入れた。これに上蓋をして250℃で1時間加熱してペースト状の融解物を得た。これを10%硫酸で洗い流して溶解液を得た。この溶解液中のジルコニア固形分濃度は10%、そのpHは1以下であった。
(C)前駆体調製工程
攪拌機付き反応槽に蒸留水を入れ、シールレスポンプによりオーバーフロー管を通し循環させた。この反応層に上記ジルコニア溶解工程で得られた溶解液を徐々に滴下してジルコニアとしての濃度が0.5モル/Lまで希釈した。得られた希釈液を毎分50mLの割合で、またアンモニア水(28質量%水溶液)を毎分40mLの割合で、100L反応槽に定量ポンプで注入・攪拌しながらオーバーフロー管より反応液の一部を流出させる流通方式によって、反応槽内のpHは5.5±0.5に保ちつつ中和沈殿生成反応を行った。流出液中の水酸化物を限外ろ過機でろ過分離し水洗することによって硫酸アンモニウム等を除去した後、ロータリーフィルタープレス機で水分を除去して、120℃で20時間乾燥してジルコニア前駆体を調製した。
(D)仮焼工程
上記前駆体調製工程で得られたジルコニア前駆体を800℃で5時間仮焼することにより、平均粒子径が0.4μm、最大粒子径が1.5μm、比表面積が12m/gの8YSZリサイクルジルコニア粉末(I)を得た。
<実施例2>
(A)第1セル溶解工程
上記参考例1で得られた燃料電池用セル(Y)をプラスチックハンマーで最大長が3mm以下になるように前粉砕して燃料電池用セル片を得た。得られた用セル片100gと50%硫酸水溶液200mLを用いた以外は実施例1の第1セル溶解工程と同様にして電極材料の溶解操作を5回繰り返した。50%硫酸水溶液はほとんど無色になったので、この溶液を希釈後、希釈液中のY、Ni、La、Sr、Co、Feの濃度をICP分析装置で測定した。これら6つの元素の濃度(金属換算)はすべて100ppm以下になっており、上記セル片はCeO以外の電極が除去されて、CeO以外の電極なしジルコニア材料を得た。
(A’)第2セル溶解工程
上記第1セル溶解工程で得られたジルコニア材料100gと5規定の水酸化ナトリウム水溶液200mLとをビーカーに入れ攪拌機で攪拌しながら超音波照射した。20分後、CeO成分が一部溶解した水酸化ナトリウム水溶液を排出し、新たに5規定の水酸化ナトリウム水溶液2000mLを加え、攪拌しながら20分間超音波を照射した。この操作を3回繰り返した後の超音波照射した後、この溶液を希釈して希釈液中のCeの濃度をICP分析装置で測定した。Ce元素の濃度(金属換算)は100ppm以下になっており、CeOが除去されたジルコニア材料を得た。
(B)ジルコニア溶解工程
実施例1のジルコニア溶解工程と同様にして溶解液を得た。この溶解液中のジルコニア固形分濃度は10%、そのpHは1以下であった。
(C)前駆体調製工程
実施例1の前駆体調製工程と同様にしてジルコニア前駆体を調製した。
(D)仮焼工程
上記前駆体調製工程で得られたジルコニア前駆体を900℃で3時間仮焼することにより、平均粒子径が0.6μm、最大粒子径が2.1μm、比表面積が9m/gの8YSZリサイクルジルコニア粉末(II)を得た。
<実施例3>
実施例1および2で得た8YSZリサイクルジルコニア粉末(I)と(II)をそれぞれ原料ジルコニア粉末として用いた以外は、参考例1の溶解用セルの製造に記載した8YSZ焼結体シートの製法と全く同様にして各8YSZ焼結体シート200枚を製造した。当該8YSZ焼結体シートの物性を測定すると、シート理論密度に対するアルキメデス法による密度から求めた気孔率は96.6%、JIS−1601に準拠した焼結体シートの3点曲げ強度試験による強度の20枚の平均値は335MPaであり、参考例1の未使用ジルコニア粉末を原料粉末とした8YSZ焼結体シートとほぼ同性能であった。
本発明は、燃料電池用セルの製造後に生じるセル中のジルコニア材料の再利用し、リサイクルジルコニア粉末およびそれを用いたジルコニア焼結体の製造に関するものである。

Claims (5)

  1. ジルコニアを含む燃料電池用セルを用いてリサイクルジルコニア粉末を製造する方法において、
    (A)当該燃料電池用セルを酸で処理して当該セル組成中の燃料極材料、空気極材料、中間層材料および/または燃料極基板材料中の安定化ジルコニアとセリアを除くその他の電極材料を溶解する工程(第1セル溶解工程)
    (B)当該第1セル溶解工程で得られたジルコニア材料を酸で溶解する工程(ジルコニア溶解工程)
    (C)当該ジルコニア溶解工程で得られた溶解液を、共沈法、加水分解法、水熱合成法または噴霧乾燥法によりジルコニア粉末前駆体を調製する工程(前駆体調製工程)
    (D)前駆体調製工程で得られた前駆体を、乾燥・仮焼する工程(仮焼工程)
    からなることを特徴とするリサイクルジルコニア粉末の製造方法。
  2. ジルコニアおよびセリアを含む燃料電池用セルを用いてリサイクルジルコニア粉末を製造する方法において、
    (A)当該燃料電池用セルを酸で処理して当該セル組成中の燃料極材料、空気極材料、中間層材料および/または燃料極基板材料中の安定化ジルコニアとセリアを除くその他の電極材料を溶解する工程(第1セル溶解工程)
    (A’)当該第1セル溶解工程に次いで、アルカリで更に第1セル溶解工程で残存しているセリアを溶解してジルコニア材料を得る工程(第2セル溶解工程)
    (B)当該第2セル溶解工程(A’)で得られたジルコニア材料を酸で溶解する工程(ジルコニア溶解工程)
    (C)当該ジルコニア溶解工程で得られた溶解液を、共沈法、加水分解法、水熱合成法または噴霧乾燥法によりジルコニア粉末前駆体を調製する工程(前駆体調製工程)
    (D)前駆体調製工程で得られた前駆体を、乾燥・仮焼する工程(仮焼工程)
    からなることを特徴とするリサイクルジルコニア粉末の製造方法。
  3. 当該燃料電池用セルに含まれるジルコニアが、Sc、Y、Ybから選択される少なくとも1種の酸化物で安定化されたジルコニアからなる粉末である請求項1または2記載のリサイクルジルコニア粉末の製造方法。
  4. 当該仮焼工程(D)において、得られたジルコニア粉末前駆体を500〜1100℃で1〜20時間熱処理する請求項1〜3のいずれかに記載のリサイクルジルコニア粉末の製造方法。
  5. 当該ジルコニア溶解工程が、酸分解法、加圧分解法、溶融法によるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリサイクルジルコニア粉末の製造方法。
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