JP2015187962A - アノード支持基板及びアノード支持型セル - Google Patents

アノード支持基板及びアノード支持型セル Download PDF

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Abstract

【課題】厚みが薄くても適切な機械的強度を有し、水熱劣化による強度の低下が抑制されたアノード支持基板を提供する。【解決手段】本発明に係る固体酸化物形燃料電池用のアノード支持基板は、導電成分と骨格成分とを含む。骨格成分は、安定化ジルコニアを含む。安定化ジルコニアは、4.1モル%以上7.4モル%以下のイットリアで安定化されたイットリア安定化ジルコニア及び/又は6.1モル%以上8.4モル%以下のスカンジアで安定化されたスカンジア安定化ジルコニアである。【選択図】図1

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池用のアノード支持基板及びそのアノード支持基板を備えたアノード支持型セルに関する。
近年、燃料電池は、クリーンエネルギー源として注目されている。燃料電池のうち、電解質に固体のセラミックスを使用している固体酸化物形燃料電池(以下、「SOFC」ということがある)は、作動温度が高いので排熱を利用でき、さらに高効率で電力を得ることができる等の長所を有している。このため、SOFCは、家庭用電源から大規模発電まで幅広い分野での活用が期待されている。
SOFCは、基本構造として、カソード(空気極)とアノード(燃料極)との間にセラミックスからなる固体電解質層が配置された構造を有する。例えば平型のSOFCは、カソード、固体電解質層、及びアノードを重ね合せたものを単セルとし、この単セルがインターコネクターを挟んで複数積み重ねられたスタックの構成で、各単セルでの電極反応によって高出力を得る。ここで、SOFCの発電性能を高めるためには、固体電解質層を緻密にし、かつ、薄くすることが有効である。なぜなら、固体電解質層には、発電源となる燃料ガスと空気との混合を確実に阻止するための緻密性と導電ロスを極力抑えることができる優れた酸素イオン伝導性が求められるからである。しかし、固体電解質層を支持体とする電解質支持型セルを用いる場合、固体電解質層が薄いほど、セルを多数積層した場合の積層荷重によってセルが割れやすくなる。そこで、固体電解質層をより薄くするために、アノード支持基板によってセルの強度を維持するアノード支持型セル(以下、「ASC」ということがある)が提案されている。
SOFCの良好な発電性能を確保するために、アノード支持基板には、電子伝導性に加えて、十分な通気性が要求される。なぜなら、アノード支持基板は、発電源となる燃料ガス及び空気と、燃料の酸化によって生成する炭酸ガス及び水蒸気等の排ガスを通過及び拡散させる必要があるからである。そこで、アノード支持基板は、通気性を確保するために多孔質のセラミックス材料で形成され、かつ、ASCが自立するための高い機械的強度を有する必要がある。しかし、多孔質のセラミックス材料で高い機械的強度を確保することは難しい。そこで、十分な通気性と高い機械的強度とを両立できるアノード支持基板の開発が進められている。
例えば、特許文献1には、アノード支持基板の骨格成分の材料として、機械的強度に優れる、正方晶系の結晶構造を主として有する安定化ジルコニア(3モル%イットリア安定化ジルコニア)を用いることによって、高い通気性及び高い機械的強度を有するアノード支持基板と、そのアノード支持基板を用いたASCが提案されている。
特許4580755号公報
近年、SOFCのさらなる高性能化が求められており、ASCにおいても、アノード支持基板の厚さを低減することが求められている。また、SOFCでは、燃料ガスを加湿し、又は、都市ガスを改質するために多量の水を加えることがあるので、SOFCの内部に水が残留する可能性がある。このため、SOFCを起動するとき、SOFCを停止するとき、又はSOFCがスタンバイ状態であるときに、アノード支持基板の骨格成分である安定化ジルコニアが、水又は水蒸気が存在し、かつ、100℃〜300℃の温度範囲の環境に繰り返し曝される可能性がある。これにより、特に、正方晶系の結晶構造を主として有する安定化ジルコニアがアノード支持基板の骨格成分である場合、水熱劣化により単斜晶系ジルコニアの割合が大きくなってアノード支持基板にクラックが生じやすくなり、アノード支持基板が割れてしまう可能性がある。その結果、薄膜の固体電解質層にもクラックが生じ、場合によっては固体電解質層が破壊される。アノード支持基板が割れると、酸素及び燃料が燃焼反応に使用されてしまうので、SOFCの出力が低下してSOFCとして有効な発電を維持できない可能性がある。特許文献1に係るASCにおいても、アノード支持基板の骨格成分である安定化ジルコニアの水熱劣化による発電性能の低下が懸念される。
そこで、本発明は、厚みが薄くても適切な機械的強度を有し、かつ、水熱劣化による強度の低下が抑制されたアノード支持基板を提供することを目的とする。また、本発明は、そのアノード支持基板を備えたASCを提供することを目的とする。
本発明は、
導電成分と骨格成分とを含み、
前記骨格成分が安定化ジルコニアを含み、
前記安定化ジルコニアは、4.1モル%以上7.4モル%以下のイットリアで安定化されたイットリア安定化ジルコニア及び/又は6.1モル%以上8.4モル%以下のスカンジアで安定化されたスカンジア安定化ジルコニアである、
固体酸化物形燃料電池用のアノード支持基板を提供する。
また、本発明は、
上記のアノード支持基板と、
カソードと、
前記アノード支持基板と前記カソードとの間に配置された固体電解質層と、
を備え、
前記固体電解質層及び前記カソードは、前記アノード支持基板によって支持されている、
アノード支持型セルを提供する。
上記のアノード支持基板によれば、骨格成分の安定化ジルコニアが、4.1モル%以上7.4モル%以下のイットリアで安定化されたイットリア安定化ジルコニア及び/又は6.1モル%以上8.4モル%以下のスカンジアで安定化されたスカンジア安定化ジルコニアであるので、骨格成分の安定化ジルコニアが正方晶の結晶構造及び立方晶の結晶構造を含む。このため、アノード支持基板の厚みが薄くても、アノード支持基板が適切な機械的強度を有する。さらに、水熱劣化によるアノード支持基板の強度の低下が抑制される。
本発明に係るアノード支持型セルの一実施形態を模式的に示す断面図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は本発明の一例に関するものであり、本発明はこれによって限定されるものではない。
図1に示すように、アノード支持型セル(ASC)1は、アノード11と、カソード12と、アノード11とカソード12との間に配置された固体電解質層13とを備える。
アノード11は、アノード支持基板111と、アノード支持基板111の固体電解質層13側の面上に配置されたアノード活性層112とによって形成されている。なお、アノード支持基板111自体が、アノードとして十分に作用し得る場合には、アノード活性層112が設けられていない場合もある。固体電解質層13及びカソード12は、アノード支持基板111によって支持されている。
アノード支持基板111は、導電成分と骨格成分とを含む。導電成分は、アノード支持基板111に導電性を付与するための成分である。骨格成分は、アノード支持基板111の骨格を形成する成分であり、アノード支持基板111として必要な強度を確保するうえで重要な成分である。
アノード支持基板111の骨格成分は、安定化ジルコニアを含む。この安定化ジルコニアは、4.1モル%以上7.4モル%以下のイットリアで安定化されたイットリア安定化ジルコニア及び/又は6.1モル%以上8.4モル%以下のスカンジアで安定化されたスカンジア安定化ジルコニアである。このため、安定化ジルコニアが正方晶の結晶構造及び立方晶の結晶構造を含む。正方晶の結晶構造により、アノード支持基板111の曲げ強度が高まるので、アノード支持基板111の厚みを薄くしても、アノード支持基板111が適切な曲げ強度を有する。立方晶の結晶構造により、アノード支持基板111の耐水熱劣化特性が高まる。また、立方晶の結晶構造により、アノード支持基板111の酸素イオン伝導度が高まる。アノード支持基板111の酸素イオン伝導度が高いと、アノード活性層112のみならずアノード支持基板111においても電極反応を生じさせることができ、発電性能が向上する。アノード支持基板111の厚みを薄くしてもアノード支持基板111の曲げ強度を確保し、かつ、アノード支持基板111の耐水熱劣化特性を高める観点から、骨格成分に含まれる安定化ジルコニアは、4.5モル%以上7.0モル%以下のイットリアで安定化されたイットリア安定化ジルコニア及び/又は6.5モル%以上8.0モル%以下のスカンジアで安定化されたスカンジア安定化ジルコニアであることが望ましい。また、骨格成分に含まれる安定化ジルコニアは、5.0モル%以上6.5モル%以下のイットリアで安定化されたイットリア安定化ジルコニア及び/又は6.5モル%以上7.5モル%以下のスカンジアで安定化されたスカンジア安定化ジルコニアであることがより望ましい。
骨格成分に含まれる安定化ジルコニアは、例えば、以下の式(1)及び式(2)によって求まる正方晶率Tが30%〜95%であり、かつ、立方晶率Cが5%〜70%である結晶構造を有する。
M[%]=100×[m(111)+m(11−1)]/[m(111)+m(11−1)+tc(111)] (1)
T[%]=(100−M)×[t(400)+t(004)]/[t(400)+t(004)+c(400)] (2)
C[%]=100−M−T (3)
ここで、m(111)は単斜晶(111)面のX線回折パターンのピーク強度であり、m(11−1)は単斜晶(11−1)面のX線回折パターンのピーク強度であり、tc(111)は正方晶(111)面のX線回折パターンのピーク強度と立方晶(111)面のX線回折パターンのピーク強度との和であり、t(400)は正方晶(400)面のX線回折パターンのピーク強度であり、t(004)は正方晶(004)面のX線回折パターンのピーク強度であり、c(400)は立方晶(400)面のX線回折パターンのピーク強度である。
アノード支持基板111の骨格成分である安定化ジルコニアには、さらに、分散強化剤としてAl23、SiO2、Nb25、Ta25、MnO2、又はGeO2を0.2〜5質量%が添加されていてもよい。アノード支持基板111の骨格成分である安定化ジルコニアは、0.5質量%〜3質量%のAl23が均一に分散されていることが望ましく、1質量%〜2.5質量%のAl23が均一に分散されていることがより望ましい。
骨格成分は、安定化ジルコニア以外に、Gd、Sm、及びY等の希土類元素の酸化物等がドープされたセリア(ドープセリア)等を含んでいてもよい。骨格成分が、ドープセリアを含む場合、例えば、骨格成分における安定化ジルコニアの含有率が80質量%〜97質量%であり、骨格成分におけるドープセリアの含有率が3質量%〜20質量%である。
アノード支持基板111の骨格成分は、上記の式(1)〜(3)によって求まる、正方晶率T、立方晶率C、及び単斜晶率Mが、30%≦T≦95%、5%≦C≦70%、及び0%≦M≦10%の関係を満たす結晶構造を当該骨格成分の焼結体が有するように構成されていることが望ましい。このように、骨格成分が構成されていることにより、アノード支持基板111の厚みを薄くしてもアノード支持基板111の曲げ強度を確保し、かつ、アノード支持基板111の耐水熱劣化特性を高めることができる。なお、アノード支持基板111の骨格成分がこのような構成を有することは、アノード支持基板111に対しX線回折法による測定を行うことによって確認できる。
アノード支持基板111の骨格成分は、当該骨格成分の焼結体を100MPa及び180℃の条件で水に5時間浸漬した後の単斜晶率Mが30%以下となるように構成されていることが望ましい。アノード支持基板111の骨格成分がこのような特性を有することにより、アノード支持基板111の耐水熱劣化特性を高めることができる。
アノード支持基板111の骨格成分は、骨格成分からなる相対密度98%以上の焼結体のJIS(日本工業規格) R1601:1995に準拠して測定される3点曲げ強さが400MPa以上であるという特性を有することが望ましい。この3点曲げ強さは、より望ましくは420MPa以上である。これにより、アノード支持基板111の厚みを薄くしても、アノード支持基板111が適切な機械的強度(曲げ強さ)を有するので、ASCのコンパクト化を図れる。
アノード支持基板111の導電成分としては、ニッケル、コバルト、鉄、白金、パラジウム、ルテニウム等の金属;酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄のようにSOFC稼働時の還元性雰囲気で導電性金属に変化する金属酸化物;あるいはこれらの酸化物を2種以上含有するニッケルフェライト及びコバルトフェライト等の複合金属酸化物、を挙げることができる。これらは単独で使用されてもよいし、必要に応じて2種以上を適宜組み合わせて使用されてもよい。これらの中でも、金属ニッケル、金属コバルト、金属鉄、及びこれらの酸化物が望ましい。
導電成分と骨格成分との合計を100質量%としたとき、導電成分と骨格成分との質量比(導電成分の質量/骨格成分の質量)は、35/65〜75/25であることが望ましく、40/60〜70/30であることがより望ましい。なお、ここでの導電成分の量は、導電成分が酸化物として存在するときの質量に換算した質量である。
アノード支持基板111の厚さは、特に制限されないが、アノード支持基板111に適切な機械的強度を付与する観点から、例えば0.1mm以上であり、0.12mm以上が望ましい。また、アノード支持基板111の厚みを薄くして通気性を高める観点から、アノード支持基板111の厚さは、0.25mm以下が望ましく、0.22mm以下がより望ましく、0.20mm以下がさらに望ましく、0.18mm以下がとりわけ望ましい。アノード支持基板111の厚さが上記の範囲であれば、アノード支持基板111の機械的強度と通気性とが良好にバランスする。
アノード支持基板111の気孔率は、特に制限されないが、還元処理した後の気孔率は、例えば、10%以上が望ましく、15%以上がより望ましく、20%以上がさらに望ましい。また、アノード支持基板111の気孔率は、50%以下が望ましく、45%以下がより望ましく、40%以下がさらに望ましい。アノード支持基板111の気孔率が上記の範囲であれば、アノード支持基板111の機械的強度と通気性とが良好にバランスする。なお、気孔率とは、JIS R2205‐1992の「耐火れんがの見掛気孔率の測定方法」に準拠して求まる気孔率を意味する。以下で述べる「気孔率」も同様である。試料の見掛気孔率(P0)は、乾燥試料の質量(W1)、飽水試料の水中の質量(W2)、及び飽水試料の質量(W3)から、以下の式(4)で算出できる。
0={(W3−W1)/(W3−W2)}×100 (4)
アノード活性層112は、導電成分と骨格成分とを含む。アノード活性層112の導電成分は、アノード支持基板111の導電成分として例示された物質の中から適宜選択できる。アノード活性層112の骨格成分としては、例えば、ジルコニア、アルミナ、マグネシア、チタニア、窒化アルミニウム、及びムライトが挙げられる。これらの中でも、安定化剤として希土類金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物が用いられた安定化ジルコニアがアノード活性層112の骨格成分として望ましく用いられる。アノード支持基板111に用いられる安定化ジルコニアは、アノード活性層112の骨格成分としても使用可能である。
アノード活性層112の厚さは特に制限されないが、例えば、5μm以上が望ましく、7μm以上がより望ましく、10μm以上がさらに望ましい。また、アノード活性層112の厚さは、100μm以下が望ましく、50μm以下がより望ましく、30μm以下がさらに望ましい。アノード活性層112の厚さが上記の範囲内であれば電極反応が効率的に行われ、SOFCの発電性能が良好となる。
固体電解質層13には、一般的なSOFCの固体電解質層が適用できるので、その材料は特に限定されない。詳しくは、固体電解質層13は、固体電解質を主成分として含む。固体電解質としては、通常、SOFCの固体電解質層の材料として用いられるものであれば特に限定されない。例えば、イットリア、セリア、スカンジア、イッテルビア等で安定化されたジルコニア;イットリア、サマリア、ガドリニア等でドープされたセリア;ランタンガレート、及びランタンガレートのランタン又はガリウムの一部がストロンチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、コバルト、鉄、ニッケル、銅等で置換されたランタンガレート型ペロブスカイト構造酸化物、等を使用することができる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、イットリア、スカンジア、イッテルビア等で安定化された、立方晶の結晶構造を主として有するジルコニアが、酸素イオン伝導性が高いので望ましく用いることができる。
特に、立方晶の結晶構造を主として有するジルコニアとして、8モル%以上10モル%以下のイットリアで安定化されたジルコニア、10モル%以上12モル%以下のスカンジアで安定化されたジルコニア、8モル%以上12モル%以下のスカンジアで安定化されたジルコニア、10モル%以上15モル%以下のイッテルビアで安定化されたジルコニア、8〜12モル%のスカンジアと0.5〜2モル%のセリアで安定化されたジルコニアを用いることが望ましい。また、これらの安定化ジルコニアに、アルミナ、シリカ、チタニア等を焼結助剤又は分散強化剤として添加した材料も望ましく用いることができる。
固体電解質層13の厚さは、特に制限されないが、例えば3μm以上が望ましく、4μm以上がより望ましく、5μm以上がさらに望ましい。また、固体電解質層13の厚さは、40μm以下が望ましく、30μm以下がより望ましく、20μm以下がさらに望ましい。固体電解質層13の厚さが上記範囲内であれば、固体電解質層の緻密性が保たれ、ASCとした場合に、ガスのクロスリークを防ぎつつ発電性能がより良好となる。
固体電解質層13の気孔率は、ゼロであることが最も望ましい。しかし、固体電解質層13の気孔率は、燃料ガスや空気のガスタイト性に影響がない範囲であればよい。固体電解質層13の気孔率は、例えば、5%以下であり、3%以下が望ましく、1%以下がより望ましい。
カソード12は、一般に、電子伝導性に優れ、酸化雰囲気下でも安定な、ペロブスカイト形酸化物が用いられる。具体的には、La0.8Sr0.2MnO3、La0.6Sr0.4CoO3、La0.6Sr0.4FeO3及びLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83等のランタンの一部をストロンチウムで置換したランタンマンガナイト、ランタンフェライト及びランタンコバルタイト等が好適に用いられる。また、カソード12に酸素イオン伝導性又は電子伝導性を付与するために、Sc、Y及びCe等の希土類金属の酸化物やアルカリ土類金属酸化物を安定化剤として2.5〜15モル%で含む安定化ジルコニアや、希土類元素酸化物等をドープしたセリアを適宜混合することも可能である。
カソード12の厚さは、特に限定されないが、例えば5μm以上が望ましく、7μm以上がより望ましく、10μm以上がさらに望ましい。また、カソード12の厚さは、60μm以下が望ましく、50μm以下がより望ましく、40μm以下がさらに望ましい。カソード12の厚さが上記の範囲内であれば、電極反応が効率的に行われ、ASCとした場合に、発電性能がより良好となる。
なお、ASC1は、固体電解質層13とカソード12とが隣接する構成を有する。しかし、ASC1は、この構成に限定されず、固体電解質層13とカソード12との間にさらに別の層を含んでいてもよい。例えば、カソード12に用いられる材料によっては、固体電解質層13とカソード12との間にバリア層が設けられる場合がある。このバリア層は、セル作製時又は発電中の高温雰囲気下において、固体電解質層13とカソード12との間で起こる絶縁物質の生成を抑える効果、あるいは、発電を促進させる効果を期待できるものである。一般には、酸化物イオン伝導性を有する材料であり、Gd、Sm、及びY等の希土類元素の酸化物等がドープされたセリアが用いられる。
次に、ASC1の製造方法について説明する。ASC1を製造する方法の一例は、アノード11と固体電解質層13とを含む多層焼成体を作製する工程と、得られた多層焼成体を所定の形状に切断及び/又は打ち抜きする工程と、所定の形状に切断された多層焼成体において、アノード11と反対側の面にカソード12を作製する工程と、を含む方法である。
多層焼成体は、
(1)アノード支持基板111用のグリーンシート上に、アノード活性層112用のグリーン層(アノード活性層112を設けない構成の場合は不要)と、固体電解質層13用のグリーン層と、バリア層を設ける構成の場合はバリア層用のグリーン層と、が順に積み重ねられた積層体を形成した後、これら全体を一括して焼成する方法、又は、
(2)アノード支持基板111用のグリーンシートを焼成してアノード支持基板111を作製し、その上にアノード活性層112用のグリーン層(アノード活性層112を設けない構成の場合は不要)と、固体電解質層13用のグリーン層と、バリア層を設ける構成の場合はバリア層用のグリーン層と、が順に積み重ねられた積層体を形成した後、これらを焼成する方法、を用いて作製できる。ここでは、(1)の方法を例に挙げて、多層焼成体の作製方法を説明する。
まず、アノード支持基板111用のグリーンシートを準備する。アノード支持基板111用のグリーンシートは、原料粉末(導電成分の粉末及び骨格成分の粉末)と、気孔形成剤と、バインダー及び溶剤とを混合し、さらに必要に応じて分散剤及び可塑剤等を添加してスラリーを調製し、このスラリーをドクターブレード法、カレンダーロール法、押出し法等の任意の方法で所定の厚さを有するシート状に成形し、これを乾燥させて溶剤を揮発除去することによって、得られる。
導電成分として使用可能な物質の例は、上記のとおりである。導電成分の粉末のサイズは、特に限定されない。しかし、導電成分の粉末は、平均粒径が0.2μm以上5μm以下であり、かつ、90体積%径が15μm以下であることが望ましく、平均粒径が0.3μm以上3μm以下であり、かつ、90体積%径が10μm以下であることがより望ましく、平均粒径が0.4μm以上2μm以下であり、かつ、90体積%径が8μm以下であることがさらに望ましい。なお、本明細書における平均粒径とは、粒度分布から求められるメジアン径、すなわち体積累積が50%に相当する粒径(D50)のことである。また、90体積%径とは、粒度分布において、粒径が小さい側からの体積粒径が90%に相当する粒径(D90)のことである。ここで、本明細書において特定される粉末の粒径とは、レーザー回折散乱法に基づいて測定される粒径のことである。
骨格成分として使用可能な物質及び各物質の添加量は、上記の通りである。骨格成分の粉末は、安定化ジルコニアの粉末を含み、場合によっては、Al23等のその他成分の粉末を含む。骨格成分の粉末のサイズは、特に限定されない。しかし、骨格成分の粉末は、平均粒径が0.1μm以上3μm以下であり、かつ、90体積%径が6μm以下であることが望ましく、平均粒径が0.1μm以上1.5μm以下であって、かつ、90体積%径が3μm以下であることがより望ましく、平均粒径が0.2μm以上1μm以下であり、かつ、90体積%径が2μm以下であることがさらに望ましい。
気孔形成剤は、グリーンシート焼成時に焼失するものであればよく、その種類は限定されない。例えば、アクリル系樹脂等からなる架橋微粒子集合体;小麦粉、トウモロコシ澱粉(コーンスターチ)、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉等の天然有機質粉体;メラミンシアヌレート等の熱分解性もしくは昇華性の樹脂粉体;カーボンブラック及び活性炭等の炭素質粉体、等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
気孔形成剤の平均粒径は、0.5μm以上100μm以下が望ましく、3μm以上50μm以下がより望ましい。また。気孔形成剤の10体積%径(粒度分布において、粒径が小さい側からの体積粒径が10%に相当する粒径)は、0.1μm以上10μm以下が望ましく、1μm以上5μm以下がより望ましい。
気孔形成剤の添加量は、導電成分の粉末と骨格成分の粉末との合計100質量部に対して、2質量部以上が望ましく、5質量部以上がより望ましい。また、気孔形成剤の添加量は、導電成分の粉末と骨格成分の粉末との合計100質量部に対して、40質量部以下が望ましく、30質量部以下がより望ましい。気孔形成剤の使用量を上記範囲内とすることにより、焼成時の熱分解によって適度に気孔が形成され、アノード支持基板111の通気性及び機械的強度がより良好となる。
バインダーは、特に限定されず、従来のASCの製造方法で公知となっている有機バインダーの中から適宜選択できる。有機バインダーとしては、例えば、エチレン系共重合体、スチレン系共重合体、アクリレート系及びメタクリレート系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、マレイン酸系共重合体、ビニルブチラール系樹脂、ビニルアセタール系樹脂、ビニルホルマール系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ワックス類、エチルセルロース等のセルロース類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶媒は、特に限定されず、アルコール類、グリコールエーテル類、脂肪族炭化水素類、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類等の多種の有機溶剤を使用できる。有機溶剤としては、具体的には、α−テルピネオール、ジヒドロターピネオール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、1−ヘキサノール、グリセリン、ポリエチレングリコール等のアルコール類;ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール等のグリコールエーテル類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ケロシン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、ターピネオールアセテート、ジヒドロターピネオールアセテート等のエステル類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塗工後の乾燥を早めるために、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、アセトン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が望ましい。
分散剤は、原料粉末の解膠や分散を促進するものである。分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アンモニウム等の高分子電解質;クエン酸、酒石酸等の有機酸;イソブチレン又はスチレンと無水マレイン酸との共重合体及びそのアンモニウム塩あるいはアミン塩;ブタジエンと無水マレイン酸との共重合体及びそのアンモニウム塩、等が挙げられる。
可塑剤は、アノード支持基板111に柔軟性を付与するものである。可塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジトリデシル等のフタル酸エステル類;プロピレングリコール等のグリコール類やグリコールエーテル類;フタル酸系ポリエステル、アジピン酸系ポリエステル、セバチン酸系ポリエステル等のポリエステル類、が挙げられる。
アノード支持基板111用のグリーンシート上に、アノード活性層112用のペーストを用いて、アノード活性層112用のグリーン層が形成される。アノード活性層112用のペーストは、原料粉末(導電成分の粉末及び骨格成分の粉末)と、気孔形成剤と、バインダー及び溶剤とを混合し、さらに必要に応じて分散剤及び可塑剤等を添加することによって、調製される。このペーストをアノード支持基板111用のグリーンシート上に、スクリーン印刷等の方法を用いて塗布し、これを乾燥させることによって、アノード活性層112用のグリーン層が形成される。なお、導電成分の粉末、気孔形成剤、バインダー、溶剤、分散剤及び可塑剤等については、アノード支持基板111用のグリーンシートを作製する際に用いられるものとして例示された物質の中から選択できるので、ここでは説明を省略する。骨格成分の粉末としては、アノード活性層112の骨格成分として上記した物質の粉末を適宜選択して用いることができる。骨格成分の粉末のサイズは、特に限定されない。しかし、骨格成分の粉末は、平均粒径が0.1μm以上3μm以下であり、かつ、90体積%径が6μm以下であることが望ましく、平均粒径が0.1μm以上1.5μm以下であって、かつ、90体積%径が3μm以下であることがより望ましく、平均粒径が0.2μm以上1μm以下であり、かつ、90体積%径が2μm以下であることがさらに望ましい。
アノード活性層112用のグリーン層の上に、固体電解質層13用のペーストを用いて、固体電解質層13用のグリーン層が形成される。固体電解質層13用のペーストは、少なくとも固体電解質の原料となる固体電解質粉末と溶媒とを混合して作製される。
固体電解質層13用のペーストに用いられる溶媒は、特に限定されず、アノード支持基板111用のスラリーに用いられる溶媒として例示された物質の中から選択して使用することができる。溶媒は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
固体電解質層13用のペーストには、固体電解質粉末及び溶媒に加えて、バインダー、分散剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤等を添加してもよい。バインダー、分散剤、及び可塑剤は、成膜する固体電解質層13の材料に合わせて、アノード支持基板111用のスラリーの材料として例示された物質の中から選択して使用することができる。固体電解質層13用のペーストは、上記成分を適量混合することにより調製される。その際、各粒子を細かくしたり粒径を均一化したりするために、ボールミル等を用いて粉砕しつつ混合してもよい。また、各成分の添加の順番は特に制限されず、従来方法に従えばよい。
固体電解質層13用のグリーン層上に、必要であればバリア層用のグリーン層を形成する。バリア層用のグリーン層も、アノード活性層112及び固体電解質層13と同様に、バリア層を構成する原料粉末を含むペーストを調製し、それを固体電解質層13用のグリーン層上に塗布し、乾燥させることによって形成できる。
アノード支持基板111用のグリーンシート上に、アノード活性層112用のグリーン層と、固体電解質層13用のグリーン層と、バリア層を設ける構成の場合はバリア層用のグリーン層と、が順に積み重ねられることによって形成された積層体が、一括して焼成される。積層体の焼成温度は、特に限定されないが、1100℃以上が望ましく、1200℃以上がより望ましく、1250℃以上がさらに望ましい。また、焼成温度は、1500℃以下が望ましく、1400℃以下がより望ましく、1350℃以下がさらに望ましい。また、焼成時の焼成時間は、特に限定されないが、0.1時間以上が望ましく、0.5時間以上がより望ましく、1時間以上がさらに望ましい。また、焼成時間は、10時間以下が望ましく、7時間以下がより望ましく、5時間以下がさらに望ましい。
以上のような方法によって、多層焼成体が得られる。次に、得られた多層焼成体を所定の形状に切断及び/又は打ち抜きする。
次に、所定の形状に切断された多層焼成体において、アノード11と反対側の面上に、カソード12を作製する。カソード12用のペーストを用いてカソード12用のグリーン層を形成し、それを焼成することによってカソード12が作製される。カソード12用のペーストは、カソード12を構成する原料粉末、バインダー及び溶媒と、必要により分散剤及び可塑剤等とを共に均一に混合することによって、調製される。バインダー、溶媒、分散剤及び可塑剤等は、アノード支持基板111用のスラリーの材料として例示された物質の中から選択して使用することができる。調製したペーストを、多層焼成体上にスクリーン印刷等により塗布し、乾燥させることによって、カソード12用のグリーン層が形成される。これを焼成することによって、カソード12が作製される。焼成温度は、特に限定されないが、800℃以上が望ましく、850℃以上がより望ましく、950℃以上がさらに望ましい。また、焼成温度は、1300℃以下が望ましく、1250℃以下がより望ましく、1200℃以下がさらに望ましい。また、焼成時の焼成時間は、特に限定されないが、0.1時間以上が望ましく、0.5時間以上がより望ましく、1時間以上がさらに望ましい。また、焼成時間は、10時間以下が望ましく、7時間以下がより望ましく、5時間以下がさらに望ましい。
以上のような方法によって、厚みが薄くても適切な機械的強度を有し、かつ、水熱劣化による強度の低下が抑制されたアノード支持基板を備えたASC1を製造できる。
次に、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。
<4.5モル%イットリア安定化ジルコニア粉末の調製>
以下のようにして得られる安定化ジルコニアにおいて、4.5モル%のY23が含まれ、残部がZrO2となるようにオキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムとの混合水溶液を調製した。この混合水溶液は、ZrO2が0.2モル/L(リットル)となるように調製した。攪拌機付槽型反応器に純水300mLを入れ、さらにアンモニア水を加えて、pHが8.5である水溶液を得た。この水溶液を攪拌しながら、定量ポンプを用いて50mL/分の速度で上記の混合水溶液を攪拌機付槽型反応器に加え、かつ、定量ポンプを用いて50mL/時間の速度で28質量%の濃度を有するアンモニア水を攪拌機付槽型反応器に加えた。このとき、攪拌機付槽型反応器の中の液量が一定になるように別の定量ポンプで反応液を攪拌機付槽型反応器から排出した。このようにして、中和共沈反応を連続的に行った。反応液中のpHが8.5±0.2の範囲になるように、混合水溶液を加える速度及びアンモニア水を加える速度を細かく調整しながら中和共沈反応を行った。攪拌機付槽型反応器から排出された排出液中の水酸化物をろ過により排出液から分離し、この水酸化物繰り返し水洗いして塩化アンモニウムを除去した。水洗いした水酸化物をn−ブタノール中に分散させ、分散液の温度が105℃になるまで常圧蒸留を行うことによって脱水を行った。
次に、脱水された水酸化物を含むn−ブタノール分散液を噴霧乾燥させ、流動性が良い粉末を得た。この粉末を1000℃で1時間焼成することによって、凝集塊が認められない、9m2/gの比表面積を有する4.5モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(4.5YSZ)粉末を得た。
<その他の安定化ジルコニア粉末の調製>
得られる安定化ジルコニアにおいて、5.5モル%のY23が含まれ、残部がZrO2となるようにオキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムとの混合水溶液を調製した以外は、4.5YSZ粉末の調製と同様にして、5.5モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(5.5YSZ)粉末を得た。得られる安定化ジルコニアにおいて、6.5モル%のY23が含まれ、残部がZrO2となるようにオキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムとの混合水溶液を調製した以外は、4.5YSZ粉末の調製と同様にして、6.5モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(6.5YSZ)粉末を得た。塩化イットリウムの代わりに硝酸スカンジウムを用い、得られる安定化ジルコニアにおいて、6.5モル%のSc23が含まれ、残部がZrO2となるようにオキシ塩化ジルコニウムと硝酸スカンジウムとの混合水溶液を調製した以外は、4.5YSZ粉末の調製と同様にして、6.5モル%のスカンジアで安定化されたジルコニア(6.5ScSZ)粉末を得た。この6.5ScSZは、8m2/gの比表面積を有していた。また、塩化イットリウムの代わりに硝酸スカンジウムを用い、得られる安定化ジルコニアにおいて、7.5モル%のSc23が含まれ、残部がZrO2となるようにオキシ塩化ジルコニウムと硝酸スカンジウムとの混合水溶液を調製した以外は、4.5YSZ粉末の調製と同様にして、7.5モル%のスカンジアで安定化されたジルコニア(7.5ScSZ)粉末を得た。
(実施例1)
<アノード支持基板用のグリーンシートの作製>
導電成分として、酸化ニッケル(NiO、正同化学工業株式会社製)60質量部、骨格成分の安定化ジルコニアとして、上記の4.5モル%イットリア安定化ジルコニア(4.5YSZ)の粉末40質量部、気孔形成剤として、カーボンブラック10質量部、バインダーとして、メタクリレート系共重合体(分子量:30,000、ガラス転移温度:−8℃、固形分濃度:50質量%)30質量部、可塑剤として、ジブチルフタレート2質量部、溶媒として、トルエン/イソプロピルアルコール(質量比=3/2)の混合溶媒80質量部、をボールミルにより混合し、スラリーを調製した。得られたスラリーを使用し、ドクターブレード法によりシート状に成形した後乾燥させ、アノード支持基板用のグリーンシートが得られた。
<アノード活性層用のペーストの作製>
導電成分として、酸化ニッケル(NiO、キシダ化学株式会社製)36質量部、骨格成分として、8モル%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)の粉末(第一稀元素化学工業株式会社製、商品名「HSY−8.0」)24質量部、気孔形成剤として、カーボンブラック2質量部、溶媒として、α−テルピネオール36質量部と、バインダーとして、エチルセルロース4質量部、可塑剤として、ジブチルフタレート6質量部、分散剤として、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤4質量部、を乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質;アルミナ)を用いて解砕した。これにより、アノード活性層用のペーストが得られた。
<固体電解質層用のペーストの作製>
固体電解質として、8モル%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)の粉末(第一稀元素化学工業株式会社製、商品名「HSY−8.0」)60質量部、バインダーとして、エチルセルロース5質量部、溶媒として、α−テルピネオール40質量部、可塑剤として、ジブチルフタレート6質量部、分散剤として、ソルビタン酸エステル系界面活性剤5質量部、を乳鉢を用いて混合した後、上記の3本ロールミルを用いて解砕した。これにより、固体電解質層用のペーストが得られた。
<バリア層用のペーストの作製>
バリア層用の粉末として、10モル%ガドリニアがドープされているセリア粉末(阿南化成株式会社製)60質量部、バインダーとして、エチルセルロース5質量部、溶媒として、α−テルピネオール40質量部、可塑剤として、ジブチルフタレート6質量部、分散剤として、ソルビタン酸エステル系界面活性剤5質量部、を乳鉢を用いて混合した後、上記の3本ロールミルを用いて解砕した。これにより、バリア層用のペーストが得られた。
<アノード活性層用のグリーン層の形成>
上記のアノード支持基板用のグリーンシート上に、上記のアノード活性層用のペーストを、スクリーン印刷により印刷した。これを100℃で30分間乾燥させることによって、アノード活性層用のグリーン層を形成した。
<固体電解質層用のグリーン層の形成>
上記のアノード活性層用のグリーン層上に、上記の固体電解質層用のペーストを、スクリーン印刷により印刷した。これを100℃で30分間乾燥させることによって、固体電解質層用のグリーン層を形成した。
<バリア層用のグリーン層の形成>
上記の固体電解質層用のグリーン層上に、上記のバリア層用のペーストを、スクリーン印刷により印刷した。これを100℃で30分間乾燥させることによって、バリア層用のグリーン層を形成した。
<焼成>
バリア層用のペーストの乾燥後、上記で得たバリア層用のグリーン層、固体電解質層用のグリーン層、アノード活性層用のグリーン層が形成されたアノード支持基板用のグリーンシートを、焼成後の1辺が60mmの正方形になるように打ち抜いた。打ち抜いた後、それぞれを1300℃で2時間焼成した。これにより、アノード支持型ハーフセルを作製した。
<カソード用のペーストの作製>
ペロブスカイト型酸化物粉末La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8360質量部、溶媒として、α−テルピネオール36質量部、バインダーとして、エチルセルロース4質量部、可塑剤として、ジブチルフタレート6質量部、分散剤として、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤4質量部、を乳鉢を用いて混合した後、上記の3本ロールミルを用いて解砕した。これにより、カソード用のペーストが得られた。
<カソードの形成>
上記のハーフセルのバリア層上に、スクリーン印刷により、1辺1cmの正方形となるように、上記のカソード用のペーストを塗布した。これを90℃で1時間乾燥させ、その後1000℃で2時間焼成した。このようにして、実施例1に係るASCを作製した。実施例1に係るASCにおいて、バリア層の厚さが2μmであり、固体電解質層の厚さが12μmであり、アノード活性層の厚さが20μmであり、アノード支持基板の厚さが0.14mmであった。また、カソードの厚さは、30μmであった。なお、得られたASCにおける各層およびアノード支持基板の厚みは、ASCにおける厚み方向の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像より求めた。具体的には、各層について、SEM像における任意の10箇所の厚みを測定し、その平均値を、そのASCの厚みとした。他の実施例、比較例に係るASCの各層およびアノード支持基板の厚みも同様に決定した。
(実施例2)
アノード支持基板用のグリーンシートの作製において、骨格成分の安定化ジルコニアとして、上記の5.5モル%イットリア安定化ジルコニア(5.5YSZ)の粉末40質量部を用いた点以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係るASCを作製した。実施例2に係るASCにおいて、アノード支持基板の厚さは0.16mmであった。
(実施例3)
アノード支持基板用のグリーンシートの作製において、骨格成分の安定化ジルコニアとして、上記の6.5モル%イットリア安定化ジルコニア(6.5YSZ)の粉末40質量部を用いた点以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係るASCを作製した。実施例3に係るASCにおいて、アノード支持基板の厚さは0.18mmであった。
(実施例4)
アノード支持基板用のグリーンシートの作製において、骨格成分の安定化ジルコニアとして、上記の6.5モル%スカンジア安定化ジルコニア(6.5ScSZ)の粉末40質量部を用いた点以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係るASCを作製した。実施例4に係るASCにおいて、アノード支持基板の厚さは0.18mmであった。
(実施例5)
アノード支持基板用のグリーンシートの作製において、骨格成分の安定化ジルコニアとして、上記の7.5モル%スカンジア安定化ジルコニア(7.5ScSZ)の粉末40質量部を用いた点以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係るASCを作製した。実施例5に係るASCにおいて、アノード支持基板の厚さは0.20mmであった。
(比較例1)
アノード支持基板用のグリーンシートの作製において、骨格成分として、8モル%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)の粉末(第一稀元素化学工業社製、商品名:「HSY−8.0」)40質量部のみを用いた点以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係るASCを作製した。比較例1に係るASCにおいて、アノード支持基板の厚さは0.21mmであった。
(比較例2)
アノード支持基板用のグリーンシートの作製において、骨格成分として、3モル%イットリア安定化ジルコニア(3YSZ)の粉末(第一稀元素化学工業社製、商品名:「HSY−3.0」)40質量部のみを用いた点以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係るASCを作製した。比較例2に係るASCにおいて、アノード支持基板の厚さは0.14mmであった。
<発電性能評価試験>
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、比較例1、及び比較例2に係るASCの性能を評価するために、電流−電圧特性による発電性能評価試験を実施した。まず、アノード側に100mL/分の流量で窒素を供給し、かつ、カソード側に100mL/分の流量で空気を供給しながら、200℃/時間の速度でASC周辺の温度を750℃(測定温度)まで昇温した。昇温後、アノード及びカソードの出口側のガスの流量を流量計を用いて測定し、ガスの漏れがないことを確認した。次に、6mL/分の流量の水素及び194mL/分の流量の窒素からなる加湿した混合ガスをアノードに供給し、かつ、400mL/分の空気をカソードに供給した。10分経過後に起電力が発生したこと、及び、ガスの漏れがないことを確認した後、加湿水素を200mL/分の流量でアノードへ供給し、ASC周辺の温度を750℃に維持しながら各実施例のASC又は各比較例のASCを用いて24時間発電させた。
その後、以下の工程1、工程2、工程3、及び工程4からなるサイクルを9回繰り返した。
工程1:窒素の加湿ガスを200mL/分の流量でアノードに供給しながらASC周辺の温度を150℃まで下げる。
工程2:ASC周辺の温度を150℃で3〜6時間維持する。
工程3:ASC周辺の温度を750℃まで再び昇温する。
工程4:ASC周辺の温度を750℃に維持しながら3時間発電する。
最初の発電における最高出力密度Pi[W/cm2]及び上記のサイクルの9回目の発電における最高出力密度Pf[W/cm2]に基づいて、最高出力密度の低下率D[%]を以下の式(5)によって算出した。結果を表1に示す。
D[%]=100×(Pi−Pf)/Pi (5)
また、発電評価試験終了後の各実施例又は各比較例のASCにおけるアノード支持基板の状態を目視で観察しクラック発生の有無を確認した。結果を表1に示す。
Figure 2015187962
(サンプルA−1及びサンプルA−2)
上記の4.5モル%イットリア安定化ジルコニア(4.5YSZ)の粉末100質量部、バインダーとして、メタクリレート系共重合体(分子量:30,000、ガラス転移温度:−8℃、固形分濃度:50質量%)30質量部、可塑剤として、ジブチルフタレート2質量部、溶媒として、トルエン/イソプロピルアルコール(質量比=3/2)の混合溶媒60質量部、をボールミルにより混合し、スラリーを調製した。得られたスラリーを使用し、ドクターブレード法によりシート状に成形し、80℃で5時間乾燥させた。これにより、厚さ約0.28mmのグリーンシートを得た。このグリーンシートを、5×50mmの短冊形状に打ち抜き、1420℃で焼成してサンプルA−1を作製した。サンプルA−1の相対密度は98%以上であり、サンプルA−1の厚さは、0.22mmであった。また、このグリーンシートを直径30mmφの円形状に打ち抜き、1420℃で焼成し、さらに表面を粒度3μmのダイヤモンドペーストで鏡面研磨して、サンプルA−2を作製した。
(サンプルB−1及びサンプルB−2)
4.5YSZの粉末に代えて、上記の5.5モル%イットリア安定化ジルコニア(5.5YSZ)の粉末100質量部を用いた以外は、サンプルA−1及びサンプルA−2と同様にして、サンプルB−1及びサンプルB−2をそれぞれ作製した。サンプルB−1の相対密度は98%以上であった。
(サンプルC−1及びサンプルC−2)
4.5YSZの粉末に代えて、上記の6.5モル%イットリア安定化ジルコニア(6.5YSZ)の粉末100質量部を用いた以外は、サンプルA−1及びサンプルA−2と同様にして、サンプルC−1及びサンプルC−2をそれぞれ作製した。サンプルC−1の相対密度は98%以上であった。
(サンプルD−1及びサンプルD−2)
4.5YSZの粉末に代えて、上記の6.5モル%スカンジア安定化ジルコニア(6.5ScSZ)の粉末100質量部を用いた以外は、サンプルA−1及びサンプルA−2と同様にして、サンプルD−1及びサンプルD−2をそれぞれ作製した。サンプルD−1の相対密度は98%以上であった。
(サンプルE−1及びサンプルE−2)
4.5YSZの粉末に代えて、上記の7.5モル%スカンジア安定化ジルコニア(7.5ScSZ)の粉末100質量部を用いた以外は、サンプルA−1及びサンプルA−2と同様にして、サンプルE−1及びサンプルE−2をそれぞれ作製した。サンプルE−1の相対密度は98%以上であった。
(サンプルF−1及びサンプルF−2)
4.5YSZの粉末に代えて、8モル%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)の粉末(第一稀元素化学工業社製、商品名:「HSY−8.0」)100質量部を用いた以外は、サンプルA−1及びサンプルA−2と同様にして、サンプルF−1及びサンプルF−2をそれぞれ作製した。サンプルF−1の相対密度は98%以上であった。
(サンプルG−1及びサンプルG−2)
4.5YSZの粉末に代えて、3モル%イットリア安定化ジルコニア(3YSZ)の粉末(第一稀元素化学工業社製、商品名:「HSY−3.0」)100質量部を用いた以外は、サンプルA−1及びサンプルA−2と同様にして、サンプルG−1及びサンプルG−2をそれぞれ作製した。サンプルG−1の相対密度は98%以上であった。
<3点曲げ強度試験>
サンプルA−1、サンプルB−1、サンプルC−1、サンプルD−1、サンプルE−1、サンプルF−1、及びサンプルG−1を用いて、JIS R1601:1995に準拠した方法で強度試験を行った。具体的には、3点曲げ強度試験用の治具を取り付けた万能材料試験装置(インストロン社製、型式4301)を用いて、スパン20mm、クロスヘッド速度0.5mm/分の条件で測定し、20枚の各サンプルについての測定値の平均値を3点曲げ強度に決定した。結果を表2に示す。
<酸素イオン導電率の測定>
サンプルA−1、サンプルB−1、サンプルC−1、サンプルD−1、サンプルE−1、サンプルF−1、及びサンプルG−1を用いて、各サンプルを800℃の環境に曝した状態で、酸素イオン伝導率を測定した。サンプルに1cm間隔で4ヶ所に直径0.2mmの白金線を巻き付け、白金ペーストを塗って100℃で乾燥することにより白金線を固定した。このようにして、電流電圧端子を形成した。次に、白金線がサンプルに密着するように白金線を巻いたサンプルの両側をアルミナ板ではさみ、アルミナ板に約500gの荷重をかけた。この状態で、外側の2つの端子に0.1mAの一定電流を流し、内側の2つの端子における電圧を、デジタルマルチメータ(アドバンテスト社製、商品名「TR6845」)を用いて直流4端子法で測定し、酸素イオン伝導率を求めた。3枚の各サンプルについての測定値の平均値をそのサンプルについての酸素イオン伝導率に決定した。結果を表2に示す。
<水熱劣化試験>
サンプルA−2、サンプルB−2、サンプルC−2、サンプルD−2、サンプルE−2、サンプルF−2、及びサンプルG−2を用いて、水熱劣化試験を行った。まず、各サンプルの研磨面を表に向けて内容積が800mlの耐圧容器の底面に置いた。次に、サンプルを動かさないように耐圧容器の内部に500mlの純水をゆっくりと注いでサンプルを純水に浸漬させた。その後、サンプルの入った耐圧容器をオートクレーブ装置(耐圧硝子工業社製、TEM−V)の内部に入れて、100MPa及び180℃の条件で水に5時間浸漬した。水熱劣化試験の前後のサンプルのX線回折パターンを測定し、X線回折パターンの各ピークの強度を求め、上記の式に従って、正方晶率、立方晶率、及び単斜晶率を算出した。なお、このX線回折パターンの測定は、広角ゴニオメーター及び湾曲モノクロメーターが付属された理学電機社製のX線回折装置「RU−300」を用いて行った。X線としては、50kV/300mAのCuKα1を照射した。得られたX線回折ピークに対して、平滑化処理、バックグランド処理、Kα2除去等の処理を行った。各サンプルについての水熱劣化試験の結果を表3に示す。
Figure 2015187962
Figure 2015187962
表3に示された結果から、サンプルA−2、サンプルB−2、サンプルC−2、サンプルD−2、及びサンプルE−2についての水熱劣化試験後の単斜晶率はいずれも30%を下回っていた。これに対し、サンプルG−2についての水熱劣化試験後の単斜晶率は40%を超えていた。4.5YSZ、5.5ScSZ、6.5ScSZ、及び7.5ScSZは、正方晶の結晶構造を主とし、立方晶の結晶構造も有する安定化ジルコニアである。また、6.5YSZは、立方晶の結晶構造を主とし、正方晶の結晶構造も有する安定化ジルコニアである。正方晶の結晶構造及び立方晶の結晶構造を有する安定化ジルコニアを含むアノード支持基板の耐水熱劣化特性は、正方晶の結晶構造を有する安定化ジルコニアのみを含むアノード支持基板の耐水熱劣化特性よりも優れることが示唆された。
表2に示す通り、サンプルF−1についての3点曲げ強度は290MPaであったのに対し、サンプルA−1、サンプルB−1、サンプルC−1、サンプルD−1、及びサンプルE−1についての3点曲げ強度は、420MPa〜810MPaであった。正方晶の結晶構造及び立方晶の結晶構造を有する安定化ジルコニアを含むアノード支持基板は、厚みが薄くても適切な機械的強度を有することが示唆された。
表1に示す通り、実施例1〜5のASCについての最高出力密度の低下率は20%未満であり、クラックの発生も認められなかった。これに対し、比較例1及び比較例2のASCについての最高出力密度の低下率は20%を超えており、クラックの発生が認められた。比較例1のASCにおけるクラック発生は、水熱劣化の影響によって生じたのではなく、立方晶の結晶構造を主として有する安定化ジルコニアのみを骨格成分として用い、かつ、アノード支持基板の厚さが0.21mmと非常に小さいことによるアノード支持基板の機械的強度の不足によって生じたと考えられる。なぜなら、サンプルF−2についての水熱劣化試験後の単斜晶率は非常に小さく、かつ、サンプルF−1についての3点曲げ強度が非常に小さいからである。このように、実施例1〜5に係るASCは、アノード支持基板の厚さが0.20mm以下でも適切な機械的強度を有し、かつ、良好な耐水熱劣化特性を有する。また、実施例1〜5に係るASCは、良好な発電性能を有する。
本発明のアノード支持基板及びこのアノード支持基板を備えたアノード支持型セルによれば、セルの発電性能の低下が抑制されつつ、クラックの発生を抑制できるように適切な機械的強度がアノード支持基板に付与される。このため、アノード支持基板の厚さを従来よりも薄くしても、十分な強度を確保できる。従って、本発明のアノード支持基板及びこれを用いたASCは、十分な強度が要求されるSOFC及びさらなる厚さ低減が要求されるSOFCに好適に利用できる。
1 アノード支持型セル(ASC)
11 アノード
12 カソード
13 固体電解質層
111 アノード支持基板
112 アノード活性層

Claims (5)

  1. 導電成分と骨格成分とを含み、
    前記骨格成分が安定化ジルコニアを含み、
    前記安定化ジルコニアは、4.1モル%以上7.4モル%以下のイットリアで安定化されたイットリア安定化ジルコニア及び/又は6.1モル%以上8.4モル%以下のスカンジアで安定化されたスカンジア安定化ジルコニアである、
    固体酸化物形燃料電池用のアノード支持基板。
  2. 前記骨格成分は、以下の式で定義される正方晶率T、立方晶率C、及び単斜晶率Mが、30%≦T≦95%、5%≦C≦70%、及び0%≦M≦10%の関係を満たす結晶構造を前記骨格成分の焼結体が有するように構成されている、請求項1に記載のアノード支持基板。
    M=100%×[m(111)+m(11−1)]/[m(111)+m(11−1)+tc(111)]
    T=(100%−M)×[t(400)+t(004)]/[t(400)+t(004)+c(400)]
    C=100%−M−T
    m(111):単斜晶(111)面のX線回折パターンのピーク強度
    m(11−1):単斜晶(11−1)面のX線回折パターンのピーク強度
    tc(111):正方晶(111)面のX線回折パターンのピーク強度と立方晶(111)面のX線回折パターンのピーク強度との和
    t(400):正方晶(400)面のX線回折パターンのピーク強度
    t(004):正方晶(004)面のX線回折パターンのピーク強度
    c(400):立方晶(400)面のX線回折パターンのピーク強度
  3. 前記骨格成分は、前記骨格成分の焼結体を100MPa及び180℃の条件で水に5時間浸漬した後の前記単斜晶率Mが30%以下となるように構成されている、請求項1又は2に記載のアノード支持基板。
  4. 0.1mm〜0.25mmの厚さを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアノード支持基板。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアノード支持基板と、
    カソードと、
    前記アノード支持基板と前記カソードとの間に配置された固体電解質層と、
    を備え、
    前記固体電解質層及び前記カソードは、前記アノード支持基板によって支持されている、
    アノード支持型セル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018032578A (ja) * 2016-08-26 2018-03-01 日本特殊陶業株式会社 電気化学反応セルの製造方法

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