JP5375019B2 - 結晶粒解析装置、結晶粒解析方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
特許文献1には、圧延された薄板鋼板を焼鈍して一次再結晶化し、一次再結晶化した薄板鋼板を仕上げ焼鈍して、二次再結晶化した薄板鋼板を得るための技術が開示されている。かかる技術では、一次再結晶化した結晶粒の粒径の分布を統計的に求める。そして、その一次再結晶化した結晶粒の粒径の分布を用いて、一次再結晶化した個々の結晶粒の粒界エネルギーの積分値(積分粒界エネルギー)を求め、求めた結果を用いて一次再結晶化した結晶粒の最適な分布を推定する。そして、特許文献1では、このようにして推定した分布となるように、一次再結晶化した結晶粒を得るようにすれば、適正に二次再結晶化した薄板鋼板が得られることになるとしている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、一次再結晶化した結晶粒について着目し、一次再結晶化した結晶粒が、二次再結晶化されるまでの挙動について考慮していない。したがって、結晶粒が時間の経過と共にどのように変化していくのかについての正確な知見を得ることが困難であった。また、前述した従来の技術では、一次再結晶化した結晶粒の粒径の分布を統計的に求めるので、事前の製造・試験等に基づいた多くのデータが必要であった。したがって、結晶粒の状態を簡便に解析することが困難であるという問題点があった。
また、特許文献3に記載の技術では、具体的にどのようなモデルを用いて、結晶粒成長の計算を行うのかが示されていないという問題点があった。
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、結晶粒解析装置で行われる解析方法の一例を概念的に示す図である。尚、図1では、説明の都合上、電磁鋼板を構成する多数の結晶粒のうち、1つの結晶粒Aのみを示しているが、実際には、多数の結晶粒により電磁鋼板が形成されるということは言うまでもない。
まず、図1(a)に示すように、結晶粒Aの3つの粒界ua〜ucの両端点に対応する位置に三重点ia、ie、ifを設定し、粒界ua〜ucの中間点に対応する位置に二重点ib〜id、ig〜iiの各粒界点を設定する。ここで、三重点ia、ie、ifとは、3つの直線が交わる点(すなわち、3つの結晶粒と接する点)をいい、二重点ib〜id、ig〜iiとは、2つの直線が交わる点(2つの結晶粒と接する点)をいう。そして、同一の粒界ua〜uc上で互いに隣接する点(粒界点)iを互いに結ぶ直線(ライン)を設定する。
以上のように、本実施形態では、粒界ua〜ucの両端の位置だけでなく、粒界ua〜ucの途中の形状も出来るだけ忠実に表すことができるように、二重点ib〜id、ig〜iiを設定するようにしている。
図2は、本実施形態の結晶粒解析装置の機能構成の一例を示すブロック図である。尚、結晶粒解析装置100のハードウェアは、パーソナルコンピュータ等、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、画像入出力ボード、各種インターフェース、及びインターフェースコントローラ等を備えた情報処理装置を用いて実現することができる。そして、特に断りのない限り、図2に示す各ブロックは、CPUが、ROMやハードディスクに記憶されている制御プログラムを、RAMを用いて実行することにより実現される。そして、図2に示す各ブロック間で、信号のやり取りを行うことにより、以下の処理が実現される。
いに隣接する2つの結晶粒Aの方位ξの差分Δξの絶対値と、解析温度θ(t)との関係を示すグラフ、数値列、式、又はそれらの組み合わせを記憶する。尚、以下の説明では、これらグラフ、数値列、式、又はそれらの組み合わせをグラフ等と称する。
例えば、図3(c)に示した粒界u1における易動度Miは、結晶粒A1の方位ξ1と結晶粒A2の方位ξ2との差分Δξの絶対値と、解析温度設定部106により取得された解析温度θ(t)とに対応した易動度Miを、易動度記憶部110に記憶されたグラフ等から読み出すことにより得られる。尚、易動度記憶部110は、例えば、RAM又はハードディスクを用いて構成される。
図4は、二重点に生じる駆動力Fi(t)の計算方法の一例を説明する図である。図4では、二重点iに生じる駆動力Fi(t)を計算する場合を例に挙げて説明する。
まず、二重点iが属する粒界uの粒界ベクトルγiの大きさ(絶対値)と同じ大きさを有し、且つ、二重点iから点i−1、i+1に向かう方向を有する2つのベクトルfi1、fi2のベクトル和が、二重点iに生じる駆動力Frであると仮定する(図4を参照)。そうすると、二重点iに生じる駆動力Frの大きさは、以下の(2)式で表される。
二重点iに生じる駆動力を(2)式のようにして定義してもよいが、このようにして定義してしまうと、二重点iに生じる駆動力が、二重点iから点i−1(又は点i+1)までの直線42、43の長さlに依存してしまう。すなわち、二重点iに生じる駆動力が、1つの粒界uに対して設定された二重点iの数に依存してしまう。例えば、図3(c)に示すように、粒界u1に対して3つの二重点i2〜i4が設定された場合と、粒界u1に対して5つの二重点が設定された場合とで、二重点iに生じる駆動力が異なってしまう。
図5は、三重点に生じる駆動力Fi(t)の計算方法の一例を説明する図である。尚、図5では、三重点iに生じる駆動力Fi(t)を計算する場合を例に挙げて説明する。また、図5では、三重点iに隣接する3つの点を夫々「1」、「2」、「3」で表記している。
このように、本実施形態では、点1、2、3が属する粒界uにおける単位長さ当たりの粒界エネルギーγi1、γi2、γi3の大きさ(絶対値)と同じ大きさを有し、且つ、計算対象の三重点iから、その三重点iに隣接する点に向かう方向を有する3つのベクトルDi1(t)、Di2(t)、Di3(t)のベクトル和が、三重点iに生じる駆動力Fi(t)として計算される。
位置計算部116は、位置計算部116は、計算対象の三重点iが属する3つの粒界uの易動度Mi1〜Mi3を、易動度設定部111から取得する。
また、位置計算部116は、三重点用駆動力計算部115により計算された駆動力Fi(t)を示すベクトル(計算対象の三重点iに生じる駆動力Fi(t)を示すベクトル)を取得する。そして、位置計算部116は、計算対象の三重点iが属する粒界uの易動度Miと、計算対象の三重点iの駆動力Fi(t)を示すベクトルとを、前述した(4)式に代入して、計算対象の三重点iの速度vi(t)を示すベクトルを計算する。
図6において、破線部は、検出されたインヒビターkの領域を示している。この場合、インヒビター設定部118は、破線で示した検出領域を、図6に示すように円で近似して、インヒビターkの中心位置bkを示す座標に関する情報と、その半径rに関する情報を計算する。ここで、インヒビター設定部118により設定されるインヒビターkは、粒界点と異なり、時間の経過に伴う位置の変化をしないものである。
図7−1の(1a)〜(6a)は、ライン変更処理部119による処理前のラインpの一例が示されている。また、図7−1の(1a)〜(6a)に示す各ラインpに対する第1の処理例を図7−1の(1b)〜(6b)に示し、第2の処理例を図7−1の(1c)〜(6c)に示している。さらに、図7−2の(7a)〜(9a)は、ライン変更処理部119による処理前のラインpの一例が示されている。また、図7−2の(7a)〜(9a)に示す各ラインpに対する処理例を図7−2の(7b)〜(9b)に示す。
尚、ライン変更処理の内容は、図7に示したものに限定されない。例えば、図7−2において、インヒビターk内にある固定点ikが三重点であり、当該固定点ikとラインを介して相互に接続される粒界点である三重点がインヒビターk内を通る場合には、当該粒界点と固定点ikとを合体して、固定点ikを四重点にしてもよい。この場合には、当該固定点ikと当該粒界点とを結ぶラインが消滅し、点の数が1つ減ることになる。
そこで、有効範囲設定部122は、固定点ikを解放させるか否かを決定する際に考慮する粒界uの範囲に関する情報を、ユーザによる操作装置300の操作に基づいて取得し、RAM又はハードディスクに設定する。ここでは、この粒界uの範囲に関する情報を、操作装置300の操作に基づいて取得しているが、結晶粒解析装置100に有効範囲記憶部を設けて、そこから、予め記憶された「粒界uの範囲に関する情報」を読み出すようにしてもよい。尚、以下の説明では、この範囲を、必要に応じて有効範囲と称する。
本実施形態では、インヒビターkの中心位置bkを中心とする円を有効範囲として設定するものとする。よって、粒界エネルギー(E)算出部121は、有効範囲の半径に関する情報を有効範囲設定部122から取得する。この有効範囲は、実験的に求めることができるものである。具体的に説明すると、固定点ikと、当該固定点ikと隣接する点iとを結ぶ2つの直線のなす角度のうち、最も鋭角な角度(例えば図8、図10の角度2β)が、何度であるときに、固定点ikが適切に解放されるのかを実験的に求めておき、その求めた角度に基づいて、固定点ikが適切に解放される有効範囲を決定するようにすることができる。ただし、固定点ikを含み、且つインヒビターkよりも広い領域であって、粒界エネルギーを算出する対象を画定する領域であれば、どのように有効範囲を決定してもよい。
そこで、障壁エネルギー設定部123は、ユーザによる操作装置300の操作に基づいて、この所定のエネルギーに関する情報(エネルギーの値)を取得し、RAM又はハードディスクに設定する。ここでは、この所定のエネルギーに関する情報(エネルギーの値)を、操作装置300の操作に基づいて取得しているが、結晶粒解析装置100に障壁エネルギー記憶部を設けて、そこから、予め記憶された"所定のエネルギーに関する情報(エネルギーの値)"を読み出すようにしてもよい。尚、以下の説明では、この所定のエネルギーを障壁エネルギーと称する。
本実施形態では、粒界エネルギー(E)算出部121は、有効範囲内において、固定点ikが属する粒界uの粒界エネルギーEiを算出する。また、本実施形態では、粒界エネルギー(E)算出部121は、固定点ikを中心位置bkとするインヒビターk内(インヒビターkの表面(境界)は含まない)には、粒界uは存在しないものとして粒界エネルギーEiの計算(算出)を行う。
図8は、固定点ikが固定二重点である場合の粒界エネルギーの算出方法の一例を説明する図である。図9−1は、固定点ikが固定三重点である場合の粒界エネルギーの算出方法の一例を説明する図である。図9−2は、固定点ikが固定n重点(nは4以上の整数)である場合の粒界エネルギーの算出方法の一例を説明する図である。
Ei=(ラインpa、pbを含む粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ)
×(L1+L2) ・・・(7)
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、固定点ikを端点の1つとする仮想ライン(点ikと、点802、803とを最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEiが算出されることになる。
また、インヒビターk内には、粒界uは存在しない。このため、粒界エネルギー(E)算出部121は、粒界エネルギーEiの算出の際に用いられる有効長さとして、固定点ikと交点802、803との間の長さKから、インヒビターkの半径rの長さを差し引いた長さを求める。
Ei=(ラインpaを含む粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ1)×L1
+(ラインpbを含む粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ2)×L2
・・・(8)
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、固定点ikを端点の1つとする仮想ライン(点ikと、点802、803とを最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEiが算出されることになる。
また、インヒビターk内には、粒界uは存在しない。このため、粒界エネルギー(E)算出部121は、粒界エネルギーEiの算出の際に用いられる有効長さとして、固定点ikと交点802、803との間の長さKから、インヒビターkの半径rの長さを差し引いた長さを求める。
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、固定点ikを端点の1つとする仮想ライン(点ikと、点802、803とを最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEiが算出されることになる。そして、本実施形態では、このような粒界エネルギーEiを、相互に隣り合う2つのラインの全てについて算出する。
本実施形態では、粒界エネルギー(E)算出部121は、有効範囲801内において、固定点ikが属する粒界uの粒界エネルギーEi'を算出する。また、本実施形態では、粒界エネルギー(E)算出部121は、固定点iを中心位置bkとするインヒビターk内(インヒビターkの表面(境界)は含まない)には、粒界uは存在しないものとし、また、その他のインヒビターkは存在しないものとして粒界エネルギーEi'を算出する。
Ei'=(ラインpa、pbを含む粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ)
×(Lw1+Lw2)
=(ラインpa、pbを含む粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ)
×Q0 ・・・(9)
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、平衡位置wを通る仮想ライン(点802、803を最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEi'が算出されることになる。
Ei'=(ラインpaを含む粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ)×B1
+(ラインpbを含む粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ)×B2
+(ラインpcを含む粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ)×B3
・・・(10)
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、平衡位置wを通る仮想ライン(仮想ライン901〜903)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEi'が算出されることになる。
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、平衡位置wを通る仮想ライン(仮想ライン901〜903)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEi'が算出されることになる。そして、本実施形態では、このような粒界エネルギーEi'を、相互に隣り合う2つのラインの全てについて算出する。
本実施形態では、有効範囲内において、固定点ikが属する粒界uの粒界エネルギーEi''を算出する。また、本実施形態では、粒界エネルギー(E)算出部121は、固定点iを中心位置bkとするインヒビターk内(インヒビターkの表面(境界)は含まない)には、粒界uは存在しないものとし、また、その他のインヒビターkは存在しないものとして粒界エネルギーEi''を算出する。
次に、粒界エネルギー(E)算出部121は、固定点ikと点802、803とを最短距離で結んだ2つのライン(仮想ライン)のなす角を二等分する線とインヒビターkとの交点804を求める。本実施形態では、固定点ikは、この点804に解放されるものとする。そして、粒界エネルギー(E)算出部121は、点804と、点802、803とを最短距離で結んだライン(仮想ライン)の長さM1、M2を求める。更に、粒界エネルギー(E)算出部121は、点802、803を最短距離で結んだライン(仮想ライン)の長さQ0を求める。
ここで、固定点ikは二重点であるため、2つの有効長さL1、L2(=K−r)の部分は、同一の粒界uに属していると見なすことができる。よって、例えば、図8に示した、固定点ikが解放されるときの(点804における)粒界エネルギーEi''は、以下の(11)式により算出される。
Ei''=(ラインpa、pbを含む粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ)
×(M1+M2) ・・・(11)
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、点804を端点の1つとする仮想的なライン(点804と、点802、803とを最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEi''が算出されることになる。
Ei''=(ラインpaを含む粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ1)×M1
+(ラインpbを含む粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ2)×M2
・・・(12)
尚、図9−1(a)では、固定点ikと点802、803とを最短距離で結んだ2つのライン(仮想ライン)のなす角を二等分する線上の点に平衡位置wがある場合を例に挙げて示しているが、平衡位置wは、固定点ikと点802、803とを最短距離で結んだ2つのラインのなす角を二等分する線上の位置に限定されるものではない。
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、点804を端点の1つとする仮想的なライン(点804と、点802、803とを最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEi''が算出されることになる。
尚、図9−2(a)でも、固定点ikと点802、803とを最短距離で結んだ2つのライン(仮想ライン)のなす角を二等分する線上の点に平衡位置wがある場合を例に挙げて示しているが、平衡位置wは、固定点ikと点802、803とを最短距離で結んだ2つのラインのなす角を二等分する線上の位置に限定されるものではない。
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、点804を端点の1つとする仮想的なライン(点804と、点802、803とを最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEi''が算出されることになる。そして、本実施形態では、このような粒界エネルギーEi''を、相互に隣り合う2つのラインの全てについて算出する。
尚、図9−2では、固定点ikが5つの結晶粒801a〜801eに属する場合を例に挙げて説明するが、固定点ikが4つ以上の結晶粒に属していれば、前述したのと同様にして、粒界エネルギーEi、Ei'、Ei''を算出することができる。
Ei'<Ei ・・・(13)
この判定の結果、粒界エネルギーEi'が粒界エネルギーEi未満(Ei'<Ei)でない場合には、固定点ikを解放しない。
Ei''−Ei<E0 ・・・(14)
この判定の結果、粒界エネルギーEi''から、粒界エネルギーEiを減算した値が、障壁エネルギーE0未満でない場合には、固定点ikを解放しない。一方、粒界エネルギーEi''から、粒界エネルギーEiを減算した値が、障壁エネルギーE0未満である場合には、固定点ikを解除する(解放する)処理を行う。
ここで、前述したように本実施形態では、固定点ikがn(nは4以上の整数)重点である場合、相互に隣り合う2つのラインの全てについて算出した粒界エネルギーEi、Ei'、Ei''を算出する。したがって、固定点処理部120は、(13)式、(14)式の計算を、算出した全ての粒界エネルギーEi、Ei'、Ei''について行い、(13)式、(14)式を満たす全ての場合について、n(nは4以上の整数)重点である固定点ikを(n−1)重点の固定点に変更する処理を行う。
また、(14)式の代わりに、例えば、粒界エネルギーEiから粒界エネルギーEi''を減算した値の絶対値が、障壁エネルギーE0未満であるか否かを判定するようにしてもよい。
図10は、固定点ikが二重点である場合の、有効範囲801内における仮想ラインの長さ(K(=2K)、L(=L1+L2)、M(=M1+M2)、Q(=Q0))と、有効範囲上の点802、803の位置との関係の一例を示す図である。図11は、固定点ikが三重点以上である場合の、有効範囲801内における仮想ラインの長さ(K(=2K)、L(=L1+L2)、M(=M1+M2)、B(=B1+B2+B3))と、有効範囲上の点802、803の位置との関係の一例を示す図である。
図10に示す例では、長さQのグラフと長さLのグラフとが交わったか否かが第1の解放条件となる。一方、図11に示す例では、長さBのグラフと長さLのグラフとが交わったことが第1の解放条件となる。
図10に示す例では、長さMのグラフと長さLのグラフとの値の差が、障壁エネルギーE0を単位エネルギー当たりの粒界エネルギーγで割った値よりも小さくなることが第2の解放条件となる。一方、図11に示す例では、長さMのグラフと長さLのグラフとの値の差が、障壁エネルギーE0を単位エネルギー当たりの粒界エネルギーγで割った値よりも小さくなることが第2の解放条件となる。
以上のように第2の解放条件を導入することにより、固定点ikが属する粒界uの、単位長さ当たりの粒界エネルギーγを考慮して、固定点ikを解放することができるようになる。
図12において、グラフ1201は、有効範囲801を設定せずに、点802、804の情報の代わりに、固定点ikに隣接する点ir、itの情報を用いて前述した計算を行って、固定点ikを解放させるか否かを判定した場合のグラフである。一方、グラフ1202は、前述したように、有効範囲801を設定し、点802、804の情報を用いて計算を行って、固定点ikを解放させるか否かを判定した場合のグラフである。
このように本実施形態では、例えば、ステップS1の処理を行うことにより、画像信号取得手段の一例が実現される。
以上のように本実施形態では、例えば、ステップS7〜S10の処理を行うことにより、粒界点設定手段の一例が実現される。
以上のように本実施形態では、例えば、ステップS11〜S14の処理を行うことにより、介在物設定手段の一例が実現される。
次に、ステップS17において、障壁エネルギー設定部123は、ユーザによる操作装置300の操作に基づいて、障壁エネルギーE0に関する情報(本実施形態では、障壁エネルギーE0の値)が入力されるまで待機する。そして、障壁エネルギーE0に関する情報が入力されると、ステップS18に進む。
ステップS18に進むと、障壁エネルギー設定部123は、障壁エネルギーE0に関する情報を、RAM又はハードディスクに設定する。
p1={i1,i2} ・・・(15)
以上のように本実施形態では、例えば、ステップS19の処理を行うことにより、ライン設定手段の一例が実現される。
u1={p1,p2,p3,p4} ・・・(16)
このように本実施形態では、例えば、ステップS21の処理を行うことにより、方位設定手段の一例が実現される。
このように本実施形態では、例えば、ステップS22の処理を行うことにより、粒界エネルギー設定手段の一例が実現される。
ステップS28において、ライン変更処理部119は、ステップS25で取得したラインpに関する情報及びステップS27で取得したインヒビターkに関する情報に基づいて、ラインpがインヒビターk内を通るか否かを判定する。この際、インヒビターkの表面(境界)は、インヒビターk内でないと判定される。この判定の結果、ラインpがインヒビターk内でない場合(図7−1の(1a)〜(6a)に該当しない場合)には、ステップS38に進む。
以上のように本実施形態では、例えば、ステップS24〜S39の処理を行うことにより、ライン変更処理手段の一例が実現される。
次に、ステップS45において、解析点判別部113は、計算対象の点iが、固定点(ik)か否かを判定する。この判定の結果、計算対象の点iが、固定点(ik)でない場合には、ステップS46に進む。
以上のように本実施形態では、例えば、ステップS431〜S433の処理を行うことにより、駆動力演算手段の一例が実現され、例えば、ステップS434〜S436の処理を行うことにより、位置演算手段の一例が実現される。
以上のステップS441〜ステップS446までの処理を経ることにより、図13−4のステップS48に示す三重点用駆動力・位置算出処理が行われる。
以上のように本実施形態では、例えば、ステップS441、S442の処理を行うことにより、駆動力演算手段の一例が実現され、例えば、ステップS443〜S446の処理を行うことにより、位置演算手段の一例が実現される。
ステップS65に進むと、固定点処理部120は、解析点判別部113で判定処理された固定点iが4重点以上であるか否かを判定する。この判定の結果、固定点iが4重点以上でない場合には、ステップS49に進む。
ステップS49に進むと、固定点処理部120は、解析点判別部113で判定処理された固定点iの座標情報と、当該固定点iとラインpを構成する他方の各点の位置を示す情報とを、点設定部103から読み出す。そして、固定点処理部120は、処理対象の固定点iを中心位置bkとするインヒビターkに関する情報(中心位置bkを示す座標情報及びその半径rに関する情報)を、インヒビター設定部118から読み出す。更に、固定点処理部120は、有効範囲801に関する情報(有効範囲801の半径に関する情報)を、有効範囲設定部122から読み出す。
ここで、固定点i(ik)が二重点である場合には、例えば、(7)式を用いて粒界エネルギーEiが算出される。一方、固定点i(ik)が三重点である場合には、例えば、(8)式を用いて粒界エネルギーEiが算出される。
このように本実施形態では、例えば、粒界エネルギーEiにより第1の粒界エネルギーが実現され、ステップS50の処理を行うことにより、粒界エネルギー算出手段の一例が実現される。
ここで、固定点i(ik)が二重点である場合には、例えば、(9)式を用いて粒界エネルギーEi'が算出される。一方、固定点i(ik)が三重点である場合には、例えば、(10)式を用いて粒界エネルギーEi'が算出される。
このように本実施形態では、例えば、粒界エネルギーEi'により第2の粒界エネルギーが実現され、ステップS51の処理を行うことにより、粒界エネルギー算出手段の一例が実現される。
ここで、固定点i(ik)が二重点である場合には、例えば、(11)式を用いて粒界エネルギーEi''が算出される。一方、固定点i(ik)が三重点である場合には、例えば、(12)式を用いて粒界エネルギーEi''が算出される。
このように本実施形態では、例えば、粒界エネルギーEi''により第3の粒界エネルギーが実現され、ステップS53の処理を行うことにより、粒界エネルギー算出手段の一例が実現される。
一方、粒界エネルギーEiを減算した値が、障壁エネルギーE0未満である場合には、ステップS55に進む。
次に、ステップS58において、ライン変更処理部119は、ステップS57の処理で点の数及びラインの数がそれぞれ1つ増えたため、現在設定されている、増減する点の数を示すΔNIに1を加算して、当該ΔNIを変更すると共に、現在設定されている、増減するラインの数を示すΔNPに1を加算して、当該ΔNPを変更する。そして、ステップS59に進む。
以上のように本実施形態では、例えば、ステップS56、S57の処理を行うことにより、固定点処理手段の一例が実現される。
ステップS66に進むと、固定点処理部120は、固定点iが属する結晶粒を抽出する。図9−2に示した例では、5つの結晶粒801a〜801eが抽出される。
次に、ステップS67において、固定点処理部120は、固定点iが属する結晶粒の数を示す変数zに1を設定する。
このように本実施形態では、例えば、粒界エネルギーEi'により第2の粒界エネルギーが実現され、ステップS70の処理を行うことにより、粒界エネルギー算出手段の一例が実現される。
一方、ステップS71の判定の結果、粒界エネルギーEi'が粒界エネルギーEi未満である場合には、ステップS73に進む。ステップS73に進むと、粒界エネルギー(E)算出部121は、固定点iが解放されるときの、当該固定点iが属する粒界uの有効範囲801内における粒界エネルギーEi''を計算(算出)する。例えば、(12)式を用いて、ステップS66で抽出された結晶粒(図9−2に示した例では5つの結晶粒801a〜801e)のうち、ステップS67で設定された変数zに対応する結晶粒に属する粒界エネルギーEi''が算出される。
このように本実施形態では、例えば、粒界エネルギーEi''により第3の粒界エネルギーが実現され、ステップS73の処理を行うことにより、粒界エネルギー算出手段の一例が実現される。
一方、粒界エネルギーEiを減算した値が、障壁エネルギーE0未満である場合には、ステップS75に進む。
ステップS75に進むと、固定点処理部120は、固定点i(ik)を、インヒビターkの表面(境界)に移動させ、固定を解除して、点804の位置に通常の点i(ik)を生成する。更に、固定点処理部120は、固定点i(ik)に隣接していた点i(点ir、it、iu、iv、iw)のうち、生成した通常の点i(ik)と結ばれない点i(点iu、iv、iw)と、生成した通常の点i(ik)と結ばれる固定(n−1)重点(固定四重点)i(ix)を、インヒビターkの中心位置(bk)に生成する(図9−2(b)を参照)。
一方、変数zが、ステップS66で抽出された固定点iが属する結晶粒の数と一致する場合には、前述した図13−4のステップS58に進んだ後、ステップS59に進む。
以上のように本実施形態では、例えば、ステップS75の処理を行うことにより、固定点処理手段の一例が実現される。
ステップS60に進むと、解析点判別部113は、計算対象の点を示す変数iに1を加算して、計算対象の点iを変更する。そして、変更した点iに対して、ステップS45以降の処理を再度行う。
ステップS61に進むと、固定点処理部120は、点設定部103に対して、ステップS56、S57における点iの変更に伴う再設定を行わせる。また、これと同時に、位置計算部116は、点設定部103に対して、ステップS47又はステップS48で計算された点iが存在する位置ri(t+Δt)を示すベクトルを出力する。これにより、点iの現在の位置ri(t)を示すベクトルが、点設定部103に再設定される。
特に、本実施形態では、固定点iが中心位置bkに固定されているときの、当該固定点iが属する粒界uの粒界エネルギーEiと、固定点iが固定位置(インヒビターkの中心位置bk)から解放されて平衡位置にあるときの、当該解放された固定点iが属する粒界uの粒界エネルギーEi'と、固定点ikが解放されるときの、当該固定点iが属する粒界uの粒界エネルギーEi''とを算出する。そして、粒界エネルギーEi'が粒界エネルギーEiよりも小さく、且つ粒界エネルギーEi''と粒界エネルギーEiとの差が障壁エネルギーE0よりも小さい場合に、固定点ikを解放するための処理を行うようにした。このとき、固定点ikがn重点(nは4以上の整数)である場合には、n重点である固定点ikを(n−1)重点に変更すると共に、当該固定点ikとラインを介して相互に接続される三重点を、解放する点として発生させる。したがって、インヒビターによって結晶粒Aの粒界移動が抑制されていた状態から結晶粒Aの粒界移動が再開する状態への移行及び移行後の結晶粒Aの粒界移動の状態をシミュレーションすることができる。特に、インヒビターkが属する結晶粒が4つ以上になった場合でも、単位長さ当たりの粒界エネルギーγの影響を含めて、固定点ikを解放させるか否かを判定することができる。
尚、本実施形態では、図8(a)、図9−1(a)、図9−2(a)に示したように、固定点ikと当該固定点ikに隣接する点ir、itとにより構成されるラインpa、pbの延長線と、有効範囲801との交点802、803を求めるようにした。しかしながら、固定点ikを含む粒界uに接する線と、有効範囲801との交点を求めるようにしていれば必ずしもこのようにする必要はない。例えば、図8(a)において、交点802(803)に相当する点については、点ir(it)と、当該点ir(it)に隣接する固定点ik及び点iq(iu)とを通る円弧の固定点ikを通る接線と、有効範囲801との交点を求めるようにしてもよい。
また、本実施形態では、固定点ikを端点とする各ラインpa、pb、pcのうち、平衡位置wを挟む位置にあるラインpa、pbの延長線と、有効範囲801との交点802、803を求めるようにした。しかしながら、必ずしも平衡位置wを求めた上で、交点802、803を求める必要はない。例えば、以下のようにして交点802、803を求めることができる。図9−1(a)を参照しながら、交点802、803を求める方法のその他の一例を説明する。
まず、粒界エネルギー(E)算出部121は、『固定点ikと、当該固定点ikに隣接する点ir、itとにより定まるラインpa、pbのなす角度』、『固定点ikと、当該固定点ikに隣接する点ir、ivとにより定まるラインpa、pcのなす角度』、及び『固定点ikと、当該固定点ikに隣接する点iv、itとにより定まるラインpc、pbのなす角度』のうち、最も鋭角である角度(ラインpa、pbのなす角度)を選択する。そして、粒界エネルギー(E)算出部121は、選択した角度を構成するラインpa、pbを、平衡位置wを挟む位置にあるラインとみなし、そのラインpa、pbの延長線と、有効範囲801との交点802、803を求める。
また、本実施形態では、固定点ikがn(nは4以上の整数)重点である場合、固定点ikが属する全ての結晶粒について、粒界エネルギーEi、Ei'、Ei''を求め、図13−5のステップS71、S74の判定を行うようにした。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、ステップS71、S74の条件を1回でも満たした場合には、ステップS76の処理で自動的にYESと判定するようにしてもよい。
また、固定点ikがn(nは4以上の整数)重点である場合、固定点ikと、当該固定点ikに隣接する粒界点のうちの相互に隣り合う2つの粒界点(図9−2に示す例では、点ir、itと点it、iwと、点iw、ivと、点iv、iuと、点iu、ir)とにより定まる粒界のうち、粒界エネルギーEi'の小さい粒界から順に、図13−5のステップS67〜S76の処理を行うようにしてもよい。
また、固定点ikがn(nは4以上の整数)重点である場合、固定点ikと、当該固定点ikに隣接する粒界点のうちの相互に隣り合う2つの粒界点(図9−2に示す例では、点ir、itと点it、iwと、点iw、ivと、点iv、iuと、点iu、ir)とを相互に接続するラインのなす角度が小さいものから順に、図13−5のステップS67〜S76の処理を行うようにしてもよい。
以上のようにした場合にも、変形例3で説明したように、例えば、ステップS71、S74の条件を1回でも満たした場合には、ステップS76の処理で自動的にYESと判定するようにしてもよい。本変形例では、n(nは4以上の整数)重点の固定点ikを、(n−1)重点の固定点ikと三重点とに分割して、n重点の固定点ikを解放するための処理が行われやすい順番に図13−5のステップS67〜S76の処理を行う。したがって、処理の高速化を実現することができる。
また、本実施形態では、有効範囲801を円としたが、有効範囲801の形状は円に限定されるものではない。更に、前述したように有効範囲801を設定すれば、粒界uに対して設定される二重点の数に可及的に影響を受けずに固定点ikを解放することができ好ましいが、必ずしも有効範囲801を設定する必要はない。このようにした場合、例えば、図8及び図9において、点802、803の情報の代わりに、固定点ikに隣接する点ir、itの情報を用いて、前述した処理を行うようにすることができる。
このようにした場合、図8及び図9に示す例では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、点804を端点の1つとする仮想的なライン(点ir、itと点804とを最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEi''が算出されることになる。
更に、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、平衡位置wを通る仮想ライン(点ir、itを最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEi'が算出されることになる。
また、本実施形態では、ユーザが、結晶粒画像31を見ながら、操作装置300を使用して、点i及びインヒビターkを指定する場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、EBSP法で解析することにより得られた結晶粒画像信号に基づいて、結晶粒解析装置100(コンピュータ)が自動的に、点i及びインヒビターkを指定するようにしてもよい。
また、本実施形態では、インヒビター設定部118において、図6に示すように、検出したインヒビターkの領域を円で近似してインヒビターkを設定するようにしているが、検出したインヒビターkの領域の形状に応じて、近似する形状を変更するようにしてもよい。この際、例えば、インヒビターkを楕円に近似する場合には、楕円の中心位置(固定位置)を示す座標情報と、楕円の長軸の長さに係る情報と、楕円の短軸の長さに係る情報を計算して、当該インヒビターkをRAM又はハードディスクに設定する形態を採る。また、例えば、インヒビターkを多角形に近似する場合には、例えば固定位置として重心位置を示す座標情報と、当該多角形における各頂点を示す座標情報を計算して、当該インヒビターkをRAM又はハードディスクに設定する形態を採る。
また、本実施形態では、粒界設定部105により、粒界uを定義するようにしたが、点i、ラインp、及び結晶粒Aを用いれば、粒界uは自ずと定まるので、必ずしも粒界uを定義する必要はない。
[変形例9]
また、本実施形態では、粒界エネルギー(γ)設定部109、易動度設定部111は、粒界uを介して互いに隣接する2つの結晶粒Aの方位ξの差分Δξの絶対値に基づいて、単位長さ当たりの粒界エネルギーγ、易動度Miを設定するようにしたが、粒界uを介して互いに隣接する2つの結晶粒Aの方位ξの差分Δξそのものに基づいて、単位長さ当たりの粒界エネルギーγ、易動度Miを設定するようにしてもよい。
また、本実施形態では、(6)式を用いて、計算対象の三重点iにおける易動度Miを求めるようにしたが、計算対象の三重点iが属する3つの粒界uに対応する易動度Mi1〜Mi3を用いて、計算対象の三重点iの易動度Miを求めるようにしていれば、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、以下の(17)式を用いて、計算対象の三重点iにおける易動度Miを求めるようにしてもよい。
また、本実施形態では、粒界uの再現性を高めるために二重点を設定するようにしたが、二重点を設定せずに、三重点のみを設定するようにしてもよい。このようにする場合、例えば、図13−4のステップS46、S47を省略する。そして、ステップS57、S58の代わりに、固定点iをインヒビターの表面に移動させ、通常の点iを生成するようにする。また、ステップS56の代わりに、固定点iを消滅させると共に、当該固定点iと当該固定点iに隣接する2つの点とを最短距離で結ぶ2つのラインを消滅させて当該固定点iが属する2つの粒界を消滅させた後、固定点iに隣接していた2つの点を結ぶ粒界(ライン)を発生させ、増減する点及びラインの数を示すΔNI及びΔNPを1減算する処理を行う。さらに、図13−5のステップS75の処理後の固定点ikが二重点になる場合には、図13−5のステップS75において、三重点以上の固定点iをインヒビターの表面に移動させ、通常の点iを生成するようにする。一方、ステップS75の処理後の固定点ikが三重点以上になる場合には、前述したステップS75、S58の処理を行う。
また、本実施形態では、結晶粒解析装置が解析する材料の一例である金属材料として、電磁鋼板を例に挙げて説明したが、本発明に係る結晶粒解析装置が解析する材料は、このようなものに限定されず、インヒビター等の介在物を用いて製造されるものであれば、如何なるものでも適用可能である。尚、結晶粒解析装置が解析する金属材料が異なる場合には、粒界エネルギー(γ)記憶部108や易動度記憶部110に記憶されるグラフ等の内容等、結晶粒解析装置に入力されるデータが、材料に応じて異なることになる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
前述した第1の実施形態では、固定点ikと当該固定点ikに隣接する点ir、itとを最短距離で結ぶラインpa、pbの延長線と、有効範囲801との交点802、803を求めるようにして、固定点ikを含む粒界uに接する線と、有効範囲801との交点を求めるようにした。これに対し、本実施形態では、有効範囲801と、ラインpとの交点を求めるようにしている。このように本実施形態と前述した第1の実施形態とは、粒界エネルギーEi、Ei'、Ei''の算出方法の一部が主として異なる。したがって、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図15に付した符号と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
Ei=(固定点ikが属する粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ)
×(L1+L2) ・・・(18)
このように本実施形態では、定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、固定点ikを端点の1つとする仮想ライン(点ikと、点1602、1603とを最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEiが算出されることになる。
Ei=(点ik、ir、iq、ipにより構成されるラインを含む粒界uの単位長さ当
たりの粒界エネルギーγ1)×L1
+(点ik、it、iuにより構成されるラインを含む粒界uの単位長さ当たり
の粒界エネルギーγ2)×L2
・・・(19)
このように本実施形態では、定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、固定点ikを端点の1つとする仮想ライン(点ikと、点1602、1603とを最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEiが算出されることになる。
Ei=(点ik、ir、ilにより構成されるラインを含む粒界uの単位長さ当
たりの粒界エネルギーγ1)×L1
+(点ik、it、imにより構成されるラインを含む粒界uの単位長さ当たり
の粒界エネルギーγ2)×L2
・・・(20)
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、固定点ikを端点の1つとする仮想ライン(点ikと、点1602、1603とを最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEiが算出されることになる。
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、粒界エネルギー(E)算出部121は、有効範囲801内において、固定点ikが属する粒界uの粒界エネルギーEi'を算出する。また、粒界エネルギー(E)算出部121は、固定点iを中心位置bkとするインヒビターk内(インヒビターkの表面(境界)は含まない)には、粒界uは存在しないものとし、また、その他のインヒビターkは存在しないものとして粒界エネルギーEi'を算出する。
Ei'=(固定点ikが属する粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ)
×(Lw1+Lw2)
=(固定点ikが属する粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ)
×Q0 ・・・(21)
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、平衡位置wを通る仮想ライン(点1602、1603を最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEi'が算出されることになる。
Ei'=(点ik、ir、iq、ipにより構成されるラインを含む粒界uの単位長さ
当たりの粒界エネルギーγ)×B1
+(点ik、it、iuにより構成されるラインを含む粒界uの単位長さ当たり
の粒界エネルギーγ)×B2
+(点ik、iv、iwにより構成されるラインを含む粒界uの単位長さ当たり
の粒界エネルギーγ)×B3
・・・(22)
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、平衡位置wを通る仮想ライン(仮想ライン1701〜1703)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEi'が算出されることになる。
Ei'=(点ik、ir、ilにより構成されるラインを含む粒界uの単位長さ
当たりの粒界エネルギーγ)×B1
+(点ik、it、imにより構成されるラインを含む粒界uの単位長さ当たり
の粒界エネルギーγ)×B2
+(ラインpa、peにより定められる結晶粒と、ラインpb、pcにより定め
られる結晶粒との粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ)×B3
・・・(23)
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、平衡位置wを通る仮想ライン(仮想ライン2001〜2003)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEi'が算出されることになる。
本実施形態では、有効範囲801内において、固定点ikが属する粒界uの粒界エネルギーEi''を算出する。また、本実施形態では、粒界エネルギー(E)算出部121は、固定点iを中心位置bkとするインヒビターk内(インヒビターkの表面(境界)は含まない)には、粒界uは存在しないものとし、また、その他のインヒビターkは存在しないものとして粒界エネルギーEi''を算出する。
次に、粒界エネルギー(E)算出部121は、固定点ikと点1602、1603とを最短距離で結んだ2つのラインのなす角を二等分する線とインヒビターkとの交点804を求める。本実施形態では、固定点ikは、この点804に解放されるものとする。そして、粒界エネルギー(E)算出部121は、点804と、点1602、1603とを最短距離で結んだライン(仮想ライン)の長さM1、M2を求める。更に、粒界エネルギー(E)算出部121は、点1602、1603を最短距離で結んだライン(仮想ライン)の長さQ0を求める。
ここで、固定点ikは二重点であるため、2つの有効長さL1、L2(=K−r)の部分は、同一の粒界uに属していると見なすことができる。よって、例えば、図17に示した、固定点ikが解放されるときの(点804における)粒界エネルギーEi''は、以下の(24)式により算出される。
Ei''=(固定点ikが属する粒界uの単位長さ当たりの粒界エネルギーγ)
×(M1+M2) ・・・(24)
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、点804を端点の1つとする仮想的なライン(点804と、点1602、1603とを最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEi''が算出されることになる。
次に、粒界エネルギー(E)算出部121は、固定点ikと点1602、1603とを最短距離で結んだ2つのラインのなす角を二等分する線とインヒビターkとの交点804を求める。本実施形態では、固定点ikは、この点804に解放されるものとする。そして、粒界エネルギー(E)算出部121は、点804と、点1602、1603とを最短距離で結んだライン(仮想ライン)の長さM1、M2を求める。
Ei''=(点ik、ir、iq、ipにより構成されるラインを含む粒界uの単位長
さ当たりの粒界エネルギーγ1)×M1
+(点ik、it、iuにより構成されるラインを含む粒界uの単位長さ当たり
の粒界エネルギーγ2)×M2
・・・(25)
尚、図17では、固定点ikと点ir、itとを最短距離で結んだ2つのラインのなす角を二等分する線上の点に平衡位置wがある場合を例に挙げて示しているが、平衡位置wは、これに限定されず、例えば、固定点ikと点1602、1603とを最短距離で結んだ2つのラインのなす角を二等分する線上の位置にあってもよい。
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、点804を端点の1つとする仮想的なライン(点804と、点1602、1603とを最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEi''が算出されることになる。
次に、粒界エネルギー(E)算出部121は、固定点ikと点1602、1603とを最短距離で結んだ2つのラインのなす角を二等分する線とインヒビターkとの交点804を求める。本実施形態では、固定点ikは、この点804に解放されるものとする。そして、粒界エネルギー(E)算出部121は、点804と、点1602、1603とを最短距離で結んだライン(仮想ライン)の長さM1、M2を求める。
Ei''=(点ik、ir、ilにより構成されるラインを含む粒界uの単位長
さ当たりの粒界エネルギーγ1)×M1
+(点ik、it、imにより構成されるラインを含む粒界uの単位長さ当たり
の粒界エネルギーγ2)×M2
・・・(26)
尚、図18では、固定点ikと点ir、itとを最短距離で結んだ2つのラインのなす角を二等分する線上の点に平衡位置wがある場合を例に挙げて示しているが、平衡位置wは、これに限定されず、例えば、固定点ikと点1602、1603とを最短距離で結んだ2つのラインのなす角を二等分する線上の位置に平行位置wがあってもよい。
このように本実施形態では、固定点ikが属する粒界の仮想的な仮想ラインであって、点804を端点の1つとする仮想的なライン(点804と、点1602、1603とを最短距離で結ぶ仮想ライン)の長さと、固定点ikが属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーとを用いて、粒界エネルギーEi''が算出されることになる。
図19、図20に示す例では、図16〜図18に示した交点1602については求めることができる。これに対し、有効領域801が解析対象領域の境界1801よりも外側に設定されてしまうと、解析対象領域の境界1801よりも外側にはラインpが形成されないので、図19、図20に示すように、図16〜図18に示した交点1603については求めることができないことがある。
また、有効範囲801との交点を求めることが出来ない場合には、解析対象領域の境界1801に達するラインpを解析対象領域の境界1801の方向に延長した延長線1802と、有効範囲801との交点1803を求めるようにした。したがって、有効範囲801との交点を、第1の実施形態と同様に確実に求めることができる。
また、本実施形態においても、前述した第1の実施形態における種々の変形例を採ることができる。
また、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
101 結晶画像取得部
102 結晶画像表示部
103 点設定部
104 ライン設定部
105 粒界設定部
106 解析温度設定部
107 方位設定部
108 粒界エネルギー(γ)記憶部
109 粒界エネルギー(γ)設定部
110 易動度記憶部
111 易動度設定部
112 解析時間設定部
113 解析点判別部
114 二重点用駆動力計算部
115 三重点用駆動力計算部
116 位置計算部
117 解析画像表示部
118 インヒビター設定部
119 ライン変更処理部
120 固定点処理部
121 粒界エネルギー(E)算出部
122 有効範囲設定部
123 障壁エネルギー設定部
200 表示装置
300 操作装置
Claims (12)
- 金属材料における結晶及び当該金属材料に含まれる介在物の画像信号を取得する画像信号取得手段と、
前記結晶に含まれる結晶粒の粒界の両端点に対応し、且つ当該結晶粒を含む3つの結晶粒と接する三重点と、前記結晶に含まれる結晶粒の粒界の中間点に対応し、且つ当該結晶粒を含む2つの結晶粒と接する二重点とが、前記画像信号に基づいて指定されると、その指定された三重点及び二重点の粒界点を設定する粒界点設定手段と、
前記粒界点設定手段により設定された粒界点であって、同一の粒界上で相互に隣接する2つの粒界点を両端点とするラインを設定するライン設定手段と、
前記画像信号に基づいて前記介在物が指定されると、その指定された介在物を設定する介在物設定手段と、
前記ライン設定手段により設定されたラインが前記介在物内を通る場合に、当該介在物内に、n個(nは4以上の整数)の結晶粒と接するn重点である固定点が発生すると、当該固定点を端点とするラインの変更処理を行うライン変更処理手段と、
前記固定点が属する粒界における第1の粒界エネルギーと、当該固定点を固定位置から解放し、前記介在物内を除く領域の位置であって粒界エネルギーが最小となる平衡位置に移動させた際の、当該移動させた固定点が属する粒界における第2の粒界エネルギーとを算出する粒界エネルギー算出手段と、
前記第2の粒界エネルギーが前記第1の粒界エネルギー未満である場合に、前記固定点を解放するための処理を行う固定点処理手段と
を有し、
前記粒界エネルギー算出手段は、前記固定点が三重点以上である場合には、前記固定点と、当該固定点を一方の端点とするラインのうちの相互に隣り合う2つのラインの他方の端点となる2つの粒界点とにより定まる粒界毎に、前記第1の粒界エネルギーと前記第2の粒界エネルギーと、前記固定点が前記介在物から解放される際の、当該解放される固定点が属する粒界における第3の粒界エネルギーとを算出し、
前記固定点処理手段は、前記固定点が三重点以上である場合には、前記第2の粒界エネルギーが前記第1の粒界エネルギー未満であり、且つ前記第3の粒界エネルギーと前記第1の粒界エネルギーとの差が閾値未満であると判定すると、当該固定点と、当該固定点を一方の端点とするラインのうちの相互に隣り合う2つのラインの他方の端点となる2つの粒界点とにラインを介して相互に接続される三重点である粒界点を前記解放する点として追加すると共に、前記相互に隣り合う2つのラインを消滅させ、前記解放する点として追加した粒界点とラインを介して相互に接続された(n−1)重点に当該固定点を変更することを特徴とする結晶粒解析装置。 - 前記固定点処理手段は、前記固定点が四重点以上である場合には、前記固定点と、当該固定点に隣接する粒界点のうちの相互に隣り合う2つの粒界点とにより定まる粒界のうち、前記第2の粒界エネルギーの小さい粒界から順に、前記第2の粒界エネルギーが前記第1の粒界エネルギー未満であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の結晶粒解析装置。
- 前記固定点処理手段は、前記固定点が四重点以上である場合には、前記固定点と、当該固定点に隣接する粒界点のうちの相互に隣り合う2つの粒界点とを相互に接続するラインのなす角度が小さいものから順に、前記第2の粒界エネルギーが前記第1の粒界エネルギ未満であるか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の結晶粒解析装置。
- 前記粒界エネルギーを算出する対象を画定する領域であって、前記固定点を含む有効領域を設定する有効領域設定手段を有し、
前記粒界エネルギー算出手段は、前記有効領域設定手段により設定された有効領域内における粒界エネルギーを算出することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の結晶粒解析装置。 - 前記固定点処理手段は、当該固定点を端点とする各ラインで画定される領域のうち、前記平衡位置が存在するライン間の領域における前記介在物の境界であって、当該ライン間のなす角度を二等分する線分との交点の位置に、前記固定点を移動させる処理を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の結晶粒解析装置。
- 前記固定点処理手段は、前記三重点である固定点を解除する際、当該固定点を端点とする各ラインで画定される領域のうち、前記平衡位置が存在するライン間の領域における前記介在物の境界であって、当該ライン間のなす角度を二等分する線分との交点の位置に、前記固定点を移動させて解放すると共に、当該移動させた固定点と結ばれる二重点を前記介在物の中に生成する処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の結晶粒解析装置。
- 前記粒界点設定手段により設定された粒界点で発生する駆動力を、その粒界点が属する粒界における単位長さ当たりの粒界エネルギーを用いて演算する駆動力演算手段と、
前記駆動力演算手段により演算された駆動力を用いて、前記粒界点の時間の経過に伴う位置の変化を演算する位置演算手段とを更に有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の結晶粒解析装置。 - 前記粒界を介して相互に隣接する2つの結晶粒の方位の差分と、単位長さ当たりの粒界エネルギーとの関係を記憶する粒界エネルギー記憶手段と、
前記画像信号に含まれる結晶粒の方位を取得する方位取得手段と、
前記方位取得手段により取得された結晶粒の方位であって、前記粒界を介して相互に隣接する2つの結晶粒の方位の差分に対応する単位長さあたりの粒界エネルギーを、前記粒界エネルギー記憶手段により記憶された関係から求めて設定する粒界エネルギー設定手段とを有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の結晶粒解析装置。 - 前記粒界点設定手段は、前記結晶に含まれる結晶粒の粒界の両端点に対応し、且つ当該結晶粒を含む3つの結晶粒と接する三重点と、前記結晶に含まれる結晶粒の粒界の中間点に対応し、且つ当該結晶粒を含む2つの結晶粒と接する二重点とが、前記画像信号に基づいて指定されると、その指定された三重点及び二重点の粒界点を設定することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の結晶粒解析装置。
- 前記介在物は、時間の経過に伴う位置の変化をしないものであって、インヒビターであることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の結晶粒解析装置。
- 金属材料における結晶及び当該金属材料に含まれる介在物の画像信号を取得する画像信号取得ステップと、
前記結晶に含まれる結晶粒の粒界の両端点に対応し、且つ当該結晶粒を含む3つの結晶粒と接する三重点と、前記結晶に含まれる結晶粒の粒界の中間点に対応し、且つ当該結晶粒を含む2つの結晶粒と接する二重点とが、前記画像信号に基づいて指定されると、その指定された三重点及び二重点の粒界点を設定する粒界点設定ステップと、
前記粒界点設定ステップにより設定された粒界点であって、同一の粒界上で相互に隣接する2つの粒界点を両端点とするラインを設定するライン設定ステップと、
前記画像信号に基づいて前記介在物が指定されると、その指定された介在物を設定する介在物設定ステップと、
前記ライン設定ステップにより設定されたラインが前記介在物内を通る場合に、当該介在物内に、n個(nは4以上の整数)の結晶粒と接するn重点である固定点が発生すると、当該固定点を端点とするラインの変更処理を行うライン変更処理ステップと、
前記固定点が属する粒界における第1の粒界エネルギーと、当該固定点を固定位置から解放し、前記介在物内を除く領域の位置であって粒界エネルギーが最小となる平衡位置に移動させた際の、当該移動させた固定点が属する粒界における第2の粒界エネルギーとを算出する粒界エネルギー算出ステップと、
前記第2の粒界エネルギーが前記第1の粒界エネルギー未満である場合に、前記固定点を解放するための処理を行う固定点処理ステップと
を有し、
前記粒界エネルギー算出ステップは、前記固定点が三重点以上である場合には、前記固定点と、当該固定点を一方の端点とするラインのうちの相互に隣り合う2つのラインの他方の端点となる2つの粒界点とにより定まる粒界毎に、前記第1の粒界エネルギーと前記第2の粒界エネルギーと、前記固定点が前記介在物から解放される際の、当該解放される固定点が属する粒界における第3の粒界エネルギーとを算出し、
前記固定点処理ステップは、前記固定点が三重点以上である場合には、前記第2の粒界エネルギーが前記第1の粒界エネルギー未満であり、且つ前記第3の粒界エネルギーと前記第1の粒界エネルギーとの差が閾値未満であると判定すると、当該固定点と、当該固定点を一方の端点とするラインのうちの相互に隣り合う2つのラインの他方の端点となる2つの粒界点とにラインを介して相互に接続される三重点である粒界点を前記解放する点として追加すると共に、前記相互に隣り合う2つのラインを消滅させ、前記解放する点として追加した粒界点とラインを介して相互に接続された(n−1)重点に当該固定点を変更することを特徴とする結晶粒解析方法。 - 金属材料における結晶及び当該金属材料に含まれる介在物の画像信号を取得する画像信号取得ステップと、
前記結晶に含まれる結晶粒の粒界の両端点に対応し、且つ当該結晶粒を含む3つの結晶粒と接する三重点と、前記結晶に含まれる結晶粒の粒界の中間点に対応し、且つ当該結晶粒を含む2つの結晶粒と接する二重点とが、前記画像信号に基づいて指定されると、その指定された三重点及び二重点の粒界点を設定する粒界点設定ステップと、
前記粒界点設定ステップにより設定された粒界点であって、同一の粒界上で相互に隣接する2つの粒界点を両端点とするラインを設定するライン設定ステップと、
前記画像信号に基づいて前記介在物が指定されると、その指定された介在物を設定する介在物設定ステップと、
前記ライン設定ステップにより設定されたラインが前記介在物内を通る場合に、当該介在物内に、n個(nは4以上の整数)の結晶粒と接するn重点である固定点が発生すると、当該固定点を端点とするラインの変更処理を行うライン変更処理ステップと、
前記固定点が属する粒界における第1の粒界エネルギーと、当該固定点を固定位置から解放し、前記介在物内を除く領域の位置であって粒界エネルギーが最小となる平衡位置に移動させた際の、当該移動させた固定点が属する粒界における第2の粒界エネルギーと、前記固定点が前記介在物から解放される際の、当該解放される固定点が属する粒界における第3の粒界エネルギーとを算出する粒界エネルギー算出ステップと、
前記第2の粒界エネルギーが前記第1の粒界エネルギー未満であり、且つ前記第3の粒界エネルギーと前記第1の粒界エネルギーとの差が閾値未満である場合に、前記固定点を解放するための処理を行う固定点処理ステップと
をコンピュータに実行させ、
前記粒界エネルギー算出ステップは、前記固定点が三重点以上である場合には、前記固定点と、当該固定点を一方の端点とするラインのうちの相互に隣り合う2つのラインの他方の端点となる2つの粒界点とにより定まる粒界毎に、前記第1の粒界エネルギーと前記第2の粒界エネルギーと前記第3の粒界エネルギーとを算出し、
前記固定点処理ステップは、前記固定点が三重点以上である場合には、前記第2の粒界エネルギーが前記第1の粒界エネルギー未満であり、且つ前記第3の粒界エネルギーと前記第1の粒界エネルギーとの差が閾値未満であると判定すると、当該固定点と、当該固定点を一方の端点とするラインのうちの相互に隣り合う2つのラインの他方の端点となる2つの粒界点とにラインを介して相互に接続される三重点である粒界点を前記解放する点として追加すると共に、前記相互に隣り合う2つのラインを消滅させ、前記解放する点として追加した粒界点とラインを介して相互に接続された(n−1)重点に当該固定点を変更することを特徴とするコンピュータプログラム。
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