この発明は、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機に関する。
従来、遊技機の代表例として例えばスロットマシンがある。このスロットマシンは、例えば、当該スロットマシンの外殻を形成し遊技場(ホール)の遊技島に固定される筐体と、この筐体の正面視での左端側を開閉軸として筐体に対して開閉可能に支持される前面扉とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−200687号公報(第2頁,第1図)
しかしながら、従来のスロットマシンでは、前述の前面扉(扉部材)の開閉機構として抜き差し蝶番が用いられているが、前面扉の重量が増してきていることから、前面扉が閉まるときに生じる衝撃力が増しており、前面扉が閉まるときの衝撃力で前面扉または筐体(本体部材)が破損したりするあるいはそのおそれがある等の問題がある。また、その逆に前面扉を開く場合には、この前面扉が勢いよく開いて最大開放位置に至ることがあり、その際の勢いで前面扉や筐体が破損したりする等の問題もある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、扉部材を開閉する際の衝撃力によって扉部材や筐体が損傷することを低減できる遊技機を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、
本体部材と、
前記本体部材に対して開閉される扉部材と、
前記本体部材に対して前記扉部材を開閉軸を基準に開閉自在とする開閉機構部と、を備え、
前記開閉機構部は、前記扉部材が前記本体部材に対して回動する回動行程のうちの所定範囲である吸収有効範囲での運動エネルギーを吸収する緩衝手段であって同一のものを前記開閉軸の方向にずらした位置に複数個備え、
前記緩衝手段のうち少なくとも一つは、前記扉部材が前記本体部材に対して開放する開放回動行程のうち最大開放位置を含む一部の範囲を前記所定範囲である吸収有効範囲として前記運動エネルギーを吸収するものであり、
前記緩衝手段のうち別の少なくとも一つは、前記扉部材が前記本体部材に対して閉鎖する閉鎖回動行程のうち閉鎖位置を含む一部の範囲を前記所定範囲である吸収有効範囲として前記運動エネルギーを吸収するものである
ことを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、
請求項1記載の遊技機において、
前記開閉機構部は、前記扉部材または前記本体部材の一方に設けられた第1部材と、前記扉部材または前記本体部材の他方に設けられ、前記第1部材に対して着脱自在な第2部材とを備え、
前記第2部材は、前記開閉軸を中心に回動自在な回動部を備え、前記回動部のその軸心上箇所に前記第1部材の突出部と嵌合する嵌合穴または前記第1部材の嵌合穴と嵌合する突出部のいずれか一方が設けられたものであり、
前記開閉軸は、前記嵌合穴に前記突出部を嵌入することで、前記第2部材のうち前記回動部以外が前記第1部材に対して回動可能となる嵌合軸であり、
前記嵌合穴および前記突出部は、その一の嵌合状態である第1嵌合状態で嵌合し、かつ、前記第1嵌合状態に対して前記嵌合穴または前記突出部の少なくとも一方がその嵌合軸周りに回動した第2嵌合状態でも嵌合可能な形状であり、
前記第2部材は、前記回動部の基準位置を示す位置合わせマークを備え、
前記第1部材は、前記第2部材の前記位置合わせマークと位置合わせ可能な第1部材用マークを備える
ことを特徴とするものである。
この発明に係る遊技機によれば、扉部材を開閉する際の衝撃力によって扉部材や筐体が損傷することを低減できる遊技機を提供することができる。
なお、本明細書は、次のような遊技機に係る発明も開示している。
(1) 本体部材と、前記本体部材に対して開閉される扉部材と、前記本体部材に対して前記扉部材を開閉軸を基準に開閉自在とする開閉機構部とを備えた遊技機において、
前記開閉機構部は、前記扉部材または前記本体部材の一方に設けられた第1部材と、前記扉部材または前記本体部材の他方に設けられ、前記第1部材に対して着脱自在な第2部材とを備え、
前記第2部材は、前記開閉軸を中心に回動自在な回動部を備え、前記回動部のその軸心上箇所に前記第1部材の嵌合穴と嵌合する突出部が設けられたものであり、
前記開閉軸は、前記第2部材の前記回動部の前記突出部に前記第1部材の前記嵌合穴を嵌入することで、前記第2部材のうち前記回動部以外が前記第1部材に対して回動可能となる嵌合軸であり、
前記開閉機構部は、さらに、前記扉部材が前記本体部材に対して回動する回動行程のうちの所定範囲である吸収有効範囲での運動エネルギーを吸収する緩衝手段を備え、
前記嵌合穴および前記突出部は、その一の嵌合状態である第1嵌合状態で嵌合し、かつ、前記第1嵌合状態に対して前記嵌合穴または前記突出部の少なくとも一方がその嵌合軸周りに回動した第2嵌合状態でも嵌合可能な形状としている
ことを特徴とする遊技機。
前記(1)に記載の発明によれば、本体部材に対して扉部材を開閉軸を基準に開閉自在とする開閉機構部は、扉部材または本体部材の一方に設けられた第1部材と、扉部材または本体部材の他方に設けられ、第1部材に対して着脱自在な第2部材とを備えている。第2部材は、開閉軸を中心に回動自在な回動部を備え、回動部のその軸心上箇所に第1部材の嵌合穴と嵌合する突出部が設けられたものとしている。開閉軸は、第2部材の回動部の突出部を第1部材の嵌合穴に嵌入することで、第2部材のうち前記回動部以外が第1部材に対して回動可能となる嵌合軸となっている。開閉機構部に備えられた緩衝手段は、扉部材が本体部材に対して回動する回動行程のうちの所定範囲である吸収有効範囲での運動エネルギーを吸収する。したがって、扉部材を開閉する際の衝撃力を減らすことができ、扉部材を開閉する際の衝撃力によって扉部材や筐体が損傷することを低減できる。
さらに、嵌合穴および突出部は、その一の嵌合状態である第1嵌合状態で嵌合し、かつ、第1嵌合状態に対して嵌合穴または突出部の少なくとも一方がその嵌合軸周りに回動した第2嵌合状態でも嵌合可能な形状としているので、嵌合穴および突出部の嵌合状態を第1嵌合状態から第2嵌合状態に変更することができ、当該変更により、緩衝手段の吸収有効範囲を変更することができる。例えば、ある遊技店(ホール)では扉部材の緩衝手段をより効かせたい、あるいは、ある遊技店(ホール)では扉部材の緩衝手段をあまり効かせたくないなど、これらの要望に好適に対応することができる。また、遊技店(ホール)ごとに遊技機の設置角度が違ったり、あまり扉部材を開けたりしないないなどの事情に応じて緩衝部材の緩衝力を設定(変更)できる。
(2) 前記(1)に記載の遊技機において、
前記開閉機構部は、前記扉部材の正面視で当該扉部材の一辺側に設けられ、
前記扉部材は、その一辺側を前記開閉軸として前記本体部材に対して片開き自在であり、
前記扉部材は、その正面視で前記一辺側と対辺する他辺側に、前記本体部材と係止する係止部を備え、
前記緩衝手段は、前記第1,第2嵌合状態のうちの少なくとも一つの状態のときにおいて、前記扉部材の前記係止部が前記本体部材に当たるよりも前の事前範囲を、前記吸収有効範囲に含めている
ことを特徴とする遊技機。
前記(2)に記載の発明によれば、扉部材の正面視でその一辺側には、開閉機構部が設けられおり、扉部材は、その一辺側を開閉軸として本体部材に対して片開き自在となっている。また、扉部材の正面視でその一辺側と対辺する他辺側には、本体部材と係止する係止部を備えている。緩衝手段は、第1,第2嵌合状態のうちの少なくとも一つの状態のときにおいて、扉部材の係止部が本体部材に当たるよりも前の事前範囲を、吸収有効範囲に含めている。したがって、第1,第2嵌合状態のうちの少なくとも一つの状態のときにおいて、扉部材の係止部が本体部材に当たるよりも前に、扉部材の回動行程での運動エネルギーの吸収を効かすことができる。つまり、扉部材の係止部が本体部材に当たるよりも前にダンパを効かすことができる。すなわち、扉部材の係止部が勢いよく本体部材に当たると、その係止部等が変形や損傷などし、鍵としての機能が失われるので、そのようなことを保護でき、係止部の寿命を延ばすことができる。
(3) 前記(2)に記載の遊技機において、
前記開閉機構部は、前記扉部材の前記一辺側に、その辺方向に沿って複数個設けられている
ことを特徴とする遊技機。
前記(3)に記載の発明によれば、開閉機構部は、扉部材の一辺側に、その辺方向に沿って複数個設けられているので、これらの開閉機構部の緩衝手段で分担して、扉部材の回動行程での運動エネルギーを吸収することができる。
(4) 前記(3)に記載の遊技機において、
前記複数個の開閉機構部のうちの一部のものは、前記開閉機構部から前記緩衝手段を除去した構成のものである
ことを特徴とする遊技機。
前記(4)に記載の発明によれば、複数個の開閉機構部のうちの一部は、緩衝手段を有していない構成のものであり、それ以外の開閉機構部は緩衝手段を有しているので、複数個の開閉機構部のうちの所定の開閉機構部の緩衝手段により、扉部材の回動行程での運動エネルギーを吸収することができる。
(5) 前記(2)に記載の遊技機において、
前記開閉機構部は、前記扉部材の前記一辺側に、その辺方向に沿って2個設けられており、
前記2個の開閉機構部のうちの一方は、前記開閉機構部から前記緩衝手段を除去した構成のものである
ことを特徴とする遊技機。
前記(5)に記載の発明によれば、開閉機構部は、扉部材の一辺側に、その辺方向に沿って2個設けられ、この2個の開閉機構部のうちの一方の開閉機構部の緩衝手段で、扉部材の回動行程での運動エネルギーを吸収することができる。
(6) 前記(2)に記載の遊技機において、
前記開閉機構部は、前記扉部材の前記一辺側に、その辺方向に沿って2個設けられており、
前記2個の開閉機構部のうちの一方の前記緩衝手段は、前記扉部材が前記本体部材に対して開放する開放回動行程のうちの所定範囲である吸収有効範囲での運動エネルギーを吸収するものであり、
前記2個の開閉機構部のうちの他方の前記緩衝手段は、前記扉部材が前記本体部材に対して閉鎖する閉鎖回動行程のうちの所定範囲である吸収有効範囲での運動エネルギーを吸収するものである
ことを特徴とする遊技機。
前記(6)に記載の発明によれば、開閉機構部は、扉部材の一辺側に、その辺方向に沿って2個設けられている。2個の開閉機構部のうちの一方の緩衝手段は、扉部材が本体部材に対して開放する開放回動行程のうちの所定範囲である吸収有効範囲での運動エネルギーを吸収する。2個の開閉機構部のうちの他方の緩衝手段は、扉部材が本体部材に対して閉鎖する閉鎖回動行程のうちの所定範囲である吸収有効範囲での運動エネルギーを吸収する。したがって、一方は扉部材が閉じるとき、他方は扉部材が開くときのダンパとすることができる。
(7) 前記(1)から(6)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記開閉機構部は、前記扉部材の正面視で当該扉部材の縦方向の一辺側に設けられ、
前記開閉軸は、前記扉部材および前記本体部材を側面視した状態において、その軸方向の下端側に比べて上端側が前記本体部材の方へ傾斜している
ことを特徴とする遊技機。
前記(7)に記載の発明によれば、開閉機構部は、扉部材の正面視で当該扉部材の縦方向の一辺側に設けられている。開閉軸は、扉部材および本体部材を側面視した状態において、その軸方向の下端側に比べて上端側が本体部材の方へ傾斜している。つまり、開閉軸は、扉部材の重みで自然と閉じる側に勢いがつくように傾斜している。このように、扉部材がその自己の重みで自然と閉じる方向に勢いがついて閉まってしまうような構成において有効である。つまり、扉部材の閉鎖回動行程での運動エネルギーを吸収することができ、扉部材が閉まるときの衝撃力で、扉部材や本体部材が破損したりすることを低減できる。
(8) 前記(1)から(3)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記第2部材は、前記回動部の基準位置を示す位置合わせマークを備えている
ことを特徴とする遊技機。
前記(8)に記載の発明によれば、第2部材は、回動部の基準位置を示す位置合わせマークを備えている。したがって、回動部を位置合わせマークに従って基準位置に合わすことができ、回動部の基準位置が狂ってしまうことに起因する緩衝手段の吸収有効範囲の設定ずれを防止できる。
(9) 前記(8)に記載の遊技機において、
前記第1部材は、前記第2部材の前記位置合わせマークと合わせる第1部材用マークを備えている
ことを特徴とする遊技機。
前記(9)に記載の発明によれば、第1部材は、第2部材の位置合わせマーク(第2部材での回動部の基準位置を示す位置合わせマーク)と合わせる第1部材用マークを備えている。したがって、第1部材の第1部材用マークを第2部材の位置合わせマークに合わすことができ、第1部材が第2部材に対して狂った状態で取り付けられることに起因する緩衝手段の吸収有効範囲の設定ずれを防止できる。
(10) 前記(3)に記載の遊技機において、
前記複数個の開閉機構部は、前記回動部に回動部用位置合わせマークを備えている
ことを特徴とする遊技機。
前記(10)に記載の発明によれば、複数個の開閉機構部は、その回動部に回動部用位置合わせマークを備えている。したがって、各回動部の回動部用位置合わせマークを揃えることで、各開閉機構部の吸収有効範囲を揃えることができる。
(11) 前記(1)から(10)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記嵌合穴は、その嵌合方向視で多角形状となっており、
前記突出部は、前記嵌合穴に嵌合可能で、その嵌合方向視で当該嵌合穴と同様の多角形状となっている
ことを特徴とする遊技機。
前記(11)に記載の発明によれば、嵌合穴および突出部は、その一の嵌合状態である第1嵌合状態で嵌合し、かつ、第1嵌合状態に対して嵌合穴または突出部の少なくとも一方がその嵌合軸周りに回動した状態で嵌合する第2嵌合状態を具備する形状としている。具体的には、嵌合穴は、その嵌合方向視で多角形状とし、突出部は、嵌合穴に嵌合可能で、その嵌合方向視で当該嵌合穴と同様の多角形状としている。このように、嵌合穴および突出部をその嵌合方向視で多角形状とする場合においても、嵌合穴および突出部の嵌合状態を第1嵌合状態から第2嵌合状態に変更することができ、当該変更により、緩衝手段の吸収有効範囲を変更することができる。
(12) 前記(1)から(10)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記嵌合穴は、その嵌合方向視でその穴内周に複数個の凹部または凸部を嵌合軸対称に備えた形状となっており、
前記突出部は、前記嵌合穴に嵌合可能で、その嵌合方向視でその外周に当該嵌合穴と同様に前記複数個の凹部または凸部を備えた形状となっている
ことを特徴とする遊技機。
前記(12)に記載の発明によれば、嵌合穴および突出部は、その一の嵌合状態である第1嵌合状態で嵌合し、かつ、第1嵌合状態に対して嵌合穴または突出部の少なくとも一方がその嵌合軸周りに回動した状態で嵌合する第2嵌合状態を具備する形状としている。具体的には、嵌合穴は、その嵌合方向視でその穴内周に複数個の凹部または凸部を嵌合軸対称に備えた形状とし、突出部は、嵌合穴に嵌合可能で、その嵌合方向視でその外周に当該嵌合穴と同様に複数個の凹部または凸部を備えた形状としている。このように、嵌合穴および突出部をその嵌合方向視で複数個の凹部または凸部を備えた形状とする場合においても、嵌合穴および突出部の嵌合状態を第1嵌合状態から第2嵌合状態に変更することができ、当該変更により、緩衝手段の吸収有効範囲を変更することができる。
(13) 前記(1)から(10)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記嵌合穴は、その嵌合方向視で内歯形状となっており、
前記突出部は、前記嵌合穴に嵌合可能で、その嵌合方向視で当該嵌合穴の内歯と嵌合する外歯形状となっている
ことを特徴とする遊技機。
前記(13)に記載の発明によれば、嵌合穴および突出部は、その一の嵌合状態である第1嵌合状態で嵌合し、かつ、第1嵌合状態に対して嵌合穴または突出部の少なくとも一方がその嵌合軸周りに回動した状態で嵌合する第2嵌合状態を具備する形状としている。具体的には、嵌合穴は、その嵌合方向視で内歯形状としており、突出部は、嵌合穴に嵌合可能で、その嵌合方向視で当該嵌合穴の内歯と嵌合する外歯形状としている。このように、嵌合穴および突出部をその嵌合方向視で内歯および外歯形状とする場合においても、嵌合穴および突出部の嵌合状態を第1嵌合状態から第2嵌合状態に変更することができ、当該変更により、緩衝手段の吸収有効範囲を変更することができる。
(14) 前記(1)から(13)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機。
前記(14)に記載の遊技機によれば、扉部材を開閉する際の衝撃力によって扉部材や筐体が損傷することを低減できるパチンコ機を提供できる。なお、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技用媒体としての球を所定の遊技領域に発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(または作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報(図柄等)が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞手段(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
(15) 前記(1)から(13)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機。
前記(15)に記載の遊技機によれば、扉部材を開閉する際の衝撃力によって扉部材や筐体が損傷することを低減できるスロットマシンを提供できる。なお、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技用媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
(16) 前記(1)から(13)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機。
前記(16)に記載の遊技機によれば、扉部材を開閉する際の衝撃力によって扉部材や筐体が損傷することを低減できる、パチンコ機とスロットマシンとを融合させたものを提供できる。なお、この融合させたものの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する識別情報変動表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技用媒体として球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
以下、遊技機の一例としてスロットマシンの各種の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明を弾球遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)、特に、第1種パチンコ遊技機や第3種パチンコ遊技機(権利物とも呼ばれる)、コイン遊技機等の他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
図1は、実施例1のスロットマシンの前面扉を閉じた状態の斜視図であり、図2は実施例1のスロットマシンの前面扉を開いた状態の斜視図である。本実施例のスロットマシン10は、図1,図2に示すように、前面扉12がその左辺を回転軸J1として本体11に回動可能に取り付けられ、前面扉12を閉じた状態で施錠装置20により前面扉12と本体11とを施錠可能である。
前面扉12には、図1に示すように、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ13と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりするスピーカ14,14と、各種表示内容を表示する液晶ディスプレイ15と、左回胴Lと中回胴Mと右回胴Rとをそれぞれ透視可能な遊技パネル30と、略中段付近にて各種ボタン51,53〜56,61〜63やスタートレバー52やメダル投入口57が設けられた操作部50と、機種名や遊技に関わるキャラクタなどが表示された下段プレート16と、メダル払出口17から払い出された遊技用媒体としてのメダルを受けるメダル受け皿18とが装着されている。
また、スロットマシン10の内部には、図2に示すように、オンされるとスロットマシン10の各部に電源を供給する電源スイッチ81や、スロットマシン10をリセットするときに操作するリセットスイッチ82や、図示しない設定キーを挿入することにより、スロットマシン10の設定状態を変更可能にする設定キー挿入孔83などを備えている電源ボックス85と、溢れるメダルの外部への誘導口89を有し投入されたメダルを貯留する補助タンク87とこの補助タンク87内のメダルを払出用通路92に通じる開口93を介してメダル払出口17へ払い出す払出装置88とから構成されているホッパ86や、CPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており処理プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAMや入出力処理回路がバスによって接続されている主制御装置70や、CPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており主制御装置70からの出力信号による液晶ディスプレイ15の表示内容の制御を行う表示用制御装置94が装着されている。なお、上述した本体11が本発明における本体部材に相当し、上述した前面扉12が本発明における扉部材に相当する。
遊技パネル30は、図1に示すように、左回胴L、中回胴M、右回胴Rの停止中または回転中の様子を外部に露出する露出窓31L,31M,31Rを備え、露出窓31Lの左側に配設された5つのベットランプ32,33,33,34,34と、この露出窓31L,31M,31Rの下側に配設されている、スロットマシン内部に貯留されている枚数を表示するものであるクレジット枚数表示部35と、ビックボーナス時にあと何回JAC(ジャック)インできるかとかJACゲーム時にあと何回JAC図柄成立が残っているかといった回数を表示するものであるゲーム数表示部36と、有効ライン上に同じ図柄が揃って入賞したときに払い出された枚数を表示するものである払出枚数表示部37とを備えている。
操作部50は、図1に示すように、前面扉12の前面部に設けられたクレジットボタン51と、スタートレバー52と、左回胴用ストップボタン53と、中回胴用ストップボタン54と、右回胴用ストップボタン55と、返却ボタン56と、前面扉12の水平段部に設けられたメダル投入口57と、1枚ベットボタン61と、2枚ベットボタン62と、マックスベットボタン63とを備えている。
スロットマシン10は、図2に示すように、本体11に対して前面扉12を、開閉軸J1を基準に開閉自在(例えば片開き自在)とする開閉機構部材100を備えている。開閉機構部材100は、前面扉12の正面視で当該前面扉12の縦方向の一辺側(本実施例では左辺側)に設けられている。開閉軸J1は、図2に示すように、前面扉12および本体11を側面視した状態において、その軸方向の下端側に比べて上端側が本体11の方へ傾斜している。
具体的には、開閉機構部材100は、図2に示すように、正面視した状態での前面扉12の左辺側(正面視した状態での本体11の左辺側とも言える)に、その辺方向(つまり左辺長さ方向)に沿って複数個(本実施例では2個)間隔を空けて設けられている。つまり、前面扉12の左辺上部側に一つの開閉機構部材100が、前面扉12の左辺下部側にもう一つの開閉機構部材100がそれぞれ設けられている。
ここで、開閉機構部材100の構造などについて図3〜図6を用いて以下に説明する。図3(a)は、前面扉12を本体11に取り付ける際における下部側の開閉機構部材100の箇所を拡大視した概略斜視図であり、図3(b)は、前面扉12を本体11に取り付けた状態における下部側の開閉機構部材100の箇所を拡大視した概略斜視図である。図4(a)は、前面扉12を本体11に対して最大開放した状態における開閉機構部材100の箇所を示す図であり、図4(b)は、開閉機構部材100のダンパー有効範囲を示す図である。図5(a)〜(e)は前面扉12を閉じる際の開閉機構部材100箇所の様子を示す図である。図6は上下の開閉機構部材100のダンパー有効範囲を示す図である。
なお、図4,図5は、第2機構部材120の嵌合穴124のある一端面(下端面)とは反対の他端面(上端面)から、第1機構部材110に嵌合状態のその第2機構部材120を見た状態のものであり、説明の便宜上の理由から、突出部112、回動部122、第1マーク132、第2マーク134、第3マーク136を実線で図示している。
開閉機構部材100は、図3に示すように、本体11に設けられた第1機構部材110と、前面扉12に設けられ、第1機構部材110に対して着脱自在な第2機構部材120とを備えている。この第2機構部材120は、開閉軸J1を中心に回動自在な回動部122を備え、この回動部122のその軸心上箇所に第1機構部材110の突出部112と嵌合する嵌合穴124が設けられたものとしている。開閉軸J1は、第2機構部材120の回動部122の嵌合穴124に第1機構部材110の突出部112を嵌入することで、第2機構部材120のうち回動部122以外が第1機構部材110に対して回動可能となる嵌合軸である。
第2機構部材120の回動部122の嵌合穴124と第1機構部材110の突出部112とは、その一の嵌合状態である第1嵌合状態(図3(b)、図4(a)に示す嵌合状態)で嵌合し、かつ、その第1嵌合状態に対して嵌合穴124がその嵌合軸(開閉軸J1)周りに回動した第2嵌合状態でも嵌合可能な形状としている。つまり、嵌合穴124は、その嵌合方向視で多角形状となっており、突出部112は、嵌合穴124に嵌合可能で、その嵌合方向視で当該嵌合穴124と同様の多角形状となっている。具体的には、図3,図4に示すように、嵌合穴124および突出部112は嵌合方向視で正六角形としている。
第2機構部材120は、回動部122の基準位置を示す位置合わせマーク130を備えている。この位置合わせマーク130は、図3(a),図4(a)に示すように、第2機構部材120の回動部122を正面視(嵌合穴124を正面視)した状態において、第2機構部材120において回動部122以外の箇所に形成された第1マーク132と、回動部122の所定箇所に形成された第2マーク134とから構成されており、第1マーク132と第2マーク134とを同一線上に並べた状態が回動部122の基準位置となる。
また、第1機構部材110は、第2機構部材120の位置合わせマーク130と合わせる第1機構部材用マークとしての第3マーク136を備えている。具体的には、この第3マーク136は、突出部112の所定箇所(例えば先端面の所定箇所)に形成されている。
図3(a),図4(a)に示すように、第2機構部材120は、回動部122を第1マーク132と第2マーク134とを同一線上に並んだ状態とし、第1機構部材110の第3マーク136を第2機構部材120の位置合わせマーク130と合わせるようにして第2機構部材120の回動部122の嵌合穴124に第1機構部材110の突出部112を嵌合させる。
図3に示すように、開閉機構部材100は、さらに、前面扉12が本体11に対して回動する回動行程のうちの所定範囲である吸収有効範囲(ダンパー有効範囲)での運動エネルギーを吸収するダンパー部140を備えている。具体的には、第2機構部材120は、前面扉12が本体11に対して閉じる行程のうちの所定範囲(例えば10°〜0°[閉時])をダンパー有効範囲とし、その際の運動エネルギーを吸収するダンパー部140を備えている。
つまり、前面扉12が最大開放された状態(開放角120°の状態)から開放角10°となるまではダンパー無効範囲となっており、この範囲内でのダンパーによる運動エネルギーの吸収は行われておらず、開放角10°から開放角0°まではダンパー有効範囲となっており、この範囲内でのダンパーによる運動エネルギーの吸収が行われる。正確に言えば、開放角10°から開放角0°に至る行程で運動エネルギーの吸収が行われるのであって、その逆(開放角0°から開放角10°に至る開き行程)での運動エネルギーの吸収は行われない。
なお、開放角0°となることは、つまり前面扉12が本体11に閉じられた状態となり、これ以上前面扉12が回動できないが、ダンパー部140の機能だけを見れば、図4(b)に示すようにさらに70°分までダンパー有効範囲を有している。
本実施例のダンパー部140は、そのダンパー有効範囲(約80°)とその設定位置が予め決められて製造されたものである。つまり、本実施例のダンパー部140は、図4に示すように、第2機構部材120の嵌合穴124のある一端面(下端面)とは反対の他端面(上端面)からこの第2機構部材120を見た状態において、第2機構部材120での回動部122以外箇所の第1マーク132と回動部122の第2マーク134とが同一線上に並んでいる状態から、第1マーク132が反時計周りに110°進むまではダンパーが効かない範囲(ダンパー無効範囲)となっており、この110°から190°までの範囲がダンパーの効く範囲(ダンパー有効範囲)となっており、この190°を越えて220°までの範囲や図4(a)に示した状態から時計回りに20°進んだ範囲もダンパー無効範囲となっており、第1マーク132と第2マーク134との相対的関係によりダンパー有効範囲が特定される構造となっている。つまり、ダンパー部140は、ダンパー有効範囲とダンパー無効範囲とを含む範囲(例えば、360°未満、本実施例では240°)を回動可能範囲とするものであり、完全に一周することはできないものを採用している。なお、ダンパー部140として何周の回動可能なタイプのものを採用してもよい。
前面扉12は、図2に示すように、その裏面視で左辺側(開閉軸J1の存する右辺側とは反対側)に、本体11と係止する係止爪150を備えている。詳細に言えば、係止爪150は、前面扉12の裏面視で、その左辺側で間隔を空けた2箇所にそれぞれ設けられている。
ここで、前面扉12とダンパー部40との関係について説明する。つまり、ダンパー部140は、第1,第2嵌合状態の両方の状態において、前面扉12の係止爪150が本体11に当たるよりも前の事前範囲を、ダンパー有効範囲に含めている。要するに、前面扉12を本体11に対して閉じる際に、ダンパーが効き始めてから係止爪150が本体11に当たるようになっている。
なお、上述した開閉機構部材100が本発明における開閉機構部に相当し、上述した第1機構部材110が本発明における第1部材に相当し、上述した第2機構部材120が本発明における第2部材に相当し、上述したダンパー部140が本発明における緩衝手段に相当し、上述した係止爪150が本発明における係止部に相当し、上述した第1マーク132および第2マーク134が本発明における位置合わせマークに相当し、上述した第2マーク134が本発明における回動部用位置合わせマークに相当し、上述した第3マーク136が本発明における第1部材用マークに相当する。
ここで、前面扉12の本体11への取り付けと、前面扉12の閉動作とについて説明する。
<前面扉12の本体11への取り付け>
上下2個の開閉機構部材100に共通であるが、第2機構部材120の第1マーク132および第2マーク134を図3(a),図4(a)に示すように同一直線上に並べた状態で、この第2マーク134に第1機構部材110の突出部112の第3マーク136を合わせるようにして第2機構部材120の嵌合穴124に第1機構部材110の突出部112を嵌合させることで、図3(a)に示すように前面扉12を本体11に取り付ける。
このように取り付けられた状態では、図4(a),図5(a)に示すように、前面扉12が閉時(0°)に対して最大に開いた状態(開放角120°)となっている。
<前面扉12の閉動作>
図5(a)〜(d)に示すように、前面扉12を本体11に対して閉じていく、つまり、前面扉12が開放角120°から10°に至るまではダンパーは効いておらず(ダンパー無効範囲)、図5(d)〜(e)に示すように前面扉12が開放角10°から0°に至るまではダンパーは効いた状態となっている(ダンパー有効範囲)。なお、このダンパー有効範囲の途中で係止爪150が本体11に当たるようになっていることは前述した通りである。
図6に示すように、上下2個の開閉機構部材100は、それぞれ同一のダンパー有効範囲となっている。つまり、上下いずれの開閉機構部材100も開放角10°〜0°でダンパーが効くようになっている。
なお、図5(a)に示すように前面扉12が本体11に取り付けられた後は、前面扉12が開閉するに際して、第1機構部材110の突出部112の第3マーク136と、第2機構部材120の回動部122の第2マーク134とが同一線上で並んだまま固定となっており、第2機構部材120の回動部122以外の箇所の第1マーク132が回動している。つまり、回動部122の嵌合穴124は固定な突出部112と嵌合しているため、突出部112および回動部122(嵌合穴124)は非回転となり、回動部122以外の第2機構部材120の部分(箇所)が開閉軸J1を軸心に回動していることがわかる。
ここで、ダンパー有効範囲の変更手順について図7〜図9を用いて説明する。図7(a)は、前面扉12を本体11に対して最大開放した状態における開閉機構部材100の箇所を示す図であり、図7(b)は、開閉機構部材100の変更後のダンパー有効範囲を示す図である。図8(a)〜(e)は前面扉12を閉じる際の開閉機構部材100箇所の様子を示す図である。図9は上下の開閉機構部材100のそれぞれのダンパー有効範囲を示す図である。
<ダンパー有効範囲の変更手順>
図8(a)に示すように、第2マーク134を第1マーク132に対して時計回りに60°回転した位置となるように回動部122を60°回転させる。
そして、第1マーク132と第3マーク136とが同一線上に並ぶようにして、第2機構部材120の嵌合穴124に第1機構部材110の突出部112を嵌合させることで、図8(b)に示すように前面扉12を本体11に取り付ける。こうすることで、ダンパー有効範囲の変更が完了する。
このように取り付けられた状態では、図7(a),図8(b)に示すように、前面扉12が閉時(0°)に対して最大に開いた状態(開放角120°)となっている。
<前面扉12の閉動作>
図8(b)〜(e)に示すように、前面扉12を本体11に対して閉じていくことになるが、前面扉12が開放角120°から70°に至るまではダンパーが効いておらず(ダンパー無効範囲)、図7(b)や図8(d),(e)に示すように前面扉12が開放角70°から0°に至るまではダンパーが効いた状態となっている(ダンパー有効範囲)。なお、この変更後のダンパー有効範囲の途中で係止爪150が本体11に当たるようになっていることも明らかである。
図9に示すように、上下2個の開閉機構部材100は、それぞれ同一で変更後のダンパー有効範囲となっている。つまり、上下いずれの開閉機構部材100も開放角70°〜0°でダンパーが効くようになっている。
なお、図8(b)に示すように前面扉12が本体11に取り付けられた後は、前面扉12が開閉するに際して、第1機構部材110の突出部112の第3マーク136と、第2機構部材120の回動部122の第2マーク134とが60°の開き角のまま固定となっており、第2機構部材120の回動部122以外の箇所の第1マーク132が回動している。つまり、突出部112と嵌合穴124とは非回転で、回動部122以外の第2機構部材120の部分(箇所)が回転していることがわかる。
上述したように、本実施例1のパチンコ機10によれば、本体11と、この本体11に対して開閉される前面扉12と、本体11に対して前面扉12を開閉軸J1を基準に開閉自在とする開閉機構部材100とを備え、開閉機構部材100は、本体11に設けられた第1機構部材110と、前面扉12に設けられ、第1機構部材110に対して着脱自在な第2機構部材120とを備え、第2機構部材120は、開閉軸J1を中心に回動自在な回動部122を備え、この回動部122のその軸心上箇所に第1機構部材110の突出部112と嵌合する嵌合穴124が設けられたものであり、開閉軸J1は、第2機構部材120の回動部122の嵌合穴124に第1機構部材110の突出部112を嵌入することで、第2機構部材120のうち回動部122以外が第1機構部材110に対して回動可能となる嵌合軸であり、開閉機構部材100は、さらに、前面扉12が本体11に対して回動する回動行程のうちの所定範囲であるダンパー有効範囲(吸収有効範囲)での運動エネルギーを吸収するダンパー部140を備えているので、前面扉12を開閉する際の衝撃力を減らすことができ、前面扉12を開閉する際の衝撃力によって前面扉12や本体11(筐体)が損傷することを低減できる。
また、嵌合穴124および突出部112は、その一の嵌合状態である第1嵌合状態で嵌合し、かつ、第1嵌合状態に対して嵌合穴124または突出部112の少なくとも一方がその嵌合軸周りに回動した第2嵌合状態でも嵌合可能な形状としているので、嵌合穴124および突出部112の嵌合状態を第1嵌合状態から第2嵌合状態に変更することができ、当該変更により、ダンパー部140の吸収有効範囲を変更することができる。例えば、ある遊技店(ホール)では前面扉12のダンパー部140をより効かせたい、あるいは、ある遊技店(ホール)では前面扉12のダンパー部140をあまり効かせたくないなど、これらの要望に好適に対応することができる。また、遊技店(ホール)ごとにスロットマシンの設置角度が違ったり、あまり前面扉12を開けたりしないないなどの事情に応じてダンパー部140の緩衝力を設定(変更)できる。
また、開閉機構部材100は、前面扉12の正面視で当該前面扉12の左辺側に設けられ、前面扉12は、その左辺側を開閉軸J1として本体11に対して片開き自在であり、前面扉12は、その正面視で右辺側に、本体11と係止する係止爪150を備え、ダンパー部140は、第1,第2嵌合状態のうちの少なくとも一つの状態のときにおいて、前面扉12の係止爪150が本体11に当たるよりも前の事前範囲を、ダンパー有効範囲に含めているので、第1,第2嵌合状態のうちの少なくとも一つの状態のときにおいて、前面扉12の係止爪150が本体11に当たるよりも前に、前面扉12の回動行程での運動エネルギーの吸収を効かすことができる。つまり、前面扉12の係止爪150が本体11に当たるよりも前にダンパーを効かすことができる。すなわち、前面扉12の係止爪150が勢いよく本体11に当たると、その係止爪150が変形や損傷などし、鍵としての機能が失われるので、そのようなことを保護でき、係止爪150の寿命を延ばすことができる。
また、開閉機構部材100は、前面扉12の左辺側に、その辺方向に沿って2個設けられているので、これらの開閉機構部材100のダンパー部140で分担して、前面扉12の回動行程での運動エネルギーを吸収することができる。
また、開閉機構部材100は、前面扉12の正面視で当該前面扉12の縦方向の左辺側に設けられ、開閉軸J1は、前面扉12および本体11を側面視した状態において、その軸方向の下端側に比べて上端側が本体11の方へ傾斜している。つまり、開閉軸J1は、前面扉12の重みで自然と閉じる側に勢いがつくように傾斜している。このように、前面扉12がその自己の重みで自然と閉じる方向に勢いがついて閉まってしまうような構成において有効である。つまり、前面扉12の閉鎖回動行程での運動エネルギーを吸収することができ、前面扉12が閉まるときの衝撃力で、前面扉12や本体11などが破損したりすることを低減できる。
また、第2機構部材120は、回動部122の基準位置を示す位置合わせマーク130(第1マーク132と第2マーク134)を備えているので、回動部122を位置合わせマーク130(第1マーク132と第2マーク134)に従って基準位置に合わすことができ、回動部122の基準位置が狂ってしまうことに起因するダンパー部140の吸収有効範囲の設定ずれを防止できる。
また、第1機構部材110は、第2機構部材120の位置合わせマーク130(第2機構部材120での回動部122の基準位置を示す位置合わせマーク)と合わせる第3マーク136を備えているので、第1機構部材110を第2機構部材120の位置合わせマーク130に合わすことができ、第1機構部材110が第2機構部材120に対して狂った状態で取り付けられることに起因するダンパー部140の吸収有効範囲の設定ずれを防止できる。
また、嵌合穴124は、その嵌合方向視で多角形状となっており、突出部112は、嵌合穴124に嵌合可能で、その嵌合方向視で当該嵌合穴124と同様の多角形状となっているので、嵌合穴124および突出部112の嵌合状態を第1嵌合状態から第2嵌合状態に変更することができ、当該変更により、ダンパー部140のダンパー有効範囲(吸収有効範囲)を変更することができる。
また、上下2個の開閉機構部は、その回動部122に第2マーク134を備えているので、各回動部122の第2マーク134を揃えることで、各開閉機構部の吸収有効範囲を揃えることができる。
次に、実施例2のパチンコ機10について図10,図11を用いて説明する。図10(a)は、実施例2の最大開放した状態における下側の開閉機構部材100の箇所を示す図であり、図10(b)は、その開閉機構部材100のダンパー有効範囲を示す図である。図11は、上下の開閉機構部材100でダンパー有効範囲を異ならせた様子を示す図である。
実施例2では、上下の開閉機構部材100でダンパー有効範囲の設定位置を異ならせている点が、前述の実施例1とは異なっている。具体的には、上側の開閉機構部材100は閉じる間際(例えば、開放角10°〜0°の範囲)にダンパーが効き、下側の開閉機構部材100は最大開時となる間際(例えば、開放角110°〜120°の範囲)にダンパーが効くようにしている。
本実施例2では、下側の開閉機構部材100が最大開時となる間際(例えば、開放角110°〜120°の範囲)にダンパーが効くようにしている点が、前述の実施例1とは異なっているので、下側の開閉機構部材100の構成について詳細に説明し、前述の実施例1と同様の内容については説明を省略することとする。
<下側の開閉機構部材100のダンパー有効範囲の変更>
下側の開閉機構部材100は、図10(a)に示すように、第2マーク134を第1マーク132に対して時計回りに180°回転した位置となるように回動部122を180°回転させる。
そして、第1マーク132と第3マーク136とが同一線上で並び近接するようにして、第2機構部材120の嵌合穴124に第1機構部材110の突出部112を嵌合させることで、図10(a)に示すように前面扉12を本体11に取り付ける。こうすることで、ダンパー有効範囲が(例えば、開放角110°〜120°の範囲)に変更される。
このように取り付けられた状態では、図10(a)に示すように、前面扉12が閉時(0°)に対して最大に開いた状態(開放角120°)となっている。
<前面扉12の閉動作>
図11に示すように、前面扉12を閉じる際において、前面扉12が開放角120°から10°に至るまでは上下2個の開閉機構部材100でのダンパーは効いておらず(ダンパー無効範囲)、前面扉12が開放角10°から0°に至るまでは、上側の開閉機構部材100のダンパーが効いた状態となっている(ダンパー有効範囲)。なお、このダンパー有効範囲の途中で係止爪150が本体11に当たるようになっていることも明らかである。
<前面扉12の開動作>
図11に示すように、前面扉12を開く際において、前面扉12が開放角0°から110°に至るまでは上下2個の開閉機構部材100でのダンパーは効いておらず(ダンパー無効範囲)、前面扉12が開放角110°から120°に至るまでは、下側の開閉機構部材100のダンパーが効いた状態となっている(ダンパー有効範囲)。
図11に示すように、上側の開閉機構部材100は、前面扉12が閉じる間際(例えば、開放角10°〜0°の範囲)にダンパーが効き、下側の開閉機構部材100は前面扉12が最大開時となる間際(例えば、開放角110°〜120°の範囲)にダンパーが効くようになっている。
上述したように、本実施例2のパチンコ機10によれば、上側の開閉機構部のダンパー部140は、前面扉12が本体11に対して開放する開放回動行程のうちの所定範囲(開放角120°〜10°の範囲)であるダンパー有効範囲(吸収有効範囲)での運動エネルギーを吸収する。下側の開閉機構部のダンパー部140は、前面扉12が本体11に対して閉鎖する閉鎖回動行程のうちの所定範囲(開放角110°〜120°の範囲)であるダンパー有効範囲(吸収有効範囲)での運動エネルギーを吸収する。したがって、上側の開閉機構部のダンパー部140は前面扉12が閉じるとき、下側の開閉機構部のダンパー部140は前面扉12が開くときのダンパーとすることができる。
なお、本実施例2では、上側の開閉機構部のダンパー部140は前面扉12が閉じるとき、下側の開閉機構部のダンパー部140は前面扉12が開くときのダンパーとしているが、下側の開閉機構部のダンパー部140は前面扉12が閉じるとき、上側の開閉機構部のダンパー部140は前面扉12が開くときのダンパーとしてもよい。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した各実施例では、開閉機構部材100を2個としているが、1個または3個以上としてもよい。また、複数個の開閉機構部材100を設け、これらの開閉機構部材100のうちの一部のものは、開閉機構部材100からダンパー部140を除去した構成のものであるとしてもよい。この場合には、複数個の開閉機構部材100のうちの所定の開閉機構部材100のダンパー部140により、前面扉12の回動行程での運動エネルギーを吸収することができる。
(2)上述した各実施例では、正面視で左辺側に開閉機構部材100を設けているが、右辺側や上辺側や下辺側などに設けるようにしてもよい。
(3)上述した各実施例では、本体11に第1機構部材110を、前面扉12に第2機構部材120を設けているが、本体11に第2機構部材120を、前面扉12に第1機構部材110を設けるようにしてもよい。
(4)上述した各実施例では、第1機構部材110に突出部112を、第2機構部材120の回動部122に嵌合穴124を設けているが、第1機構部材110に設けた回動部122に嵌合穴124を、第2機構部材120に突出部112を設けるようにしてもよい。
(5)上述した各実施例では、突出部112および回動部122の嵌合穴124をその嵌合方向視で正六角形としているが、図12(a)に示すように三角形としたり、図12(b)に示すように四角形としたり、図12(c)に示すように八角形としたりするなど多角形としてもよい。
また、嵌合穴124はその嵌合方向視で内歯形状とし、突出部112は嵌合穴124に嵌合可能でその嵌合方向視で当該嵌合穴124の内歯と嵌合する外歯形状としてもよい。例えば、図12(d)に示すように星形六角形としたり、スプライン形状やローレット形状としたりするなどが挙げられる。
また、嵌合穴124はその嵌合方向視でその穴内周に複数個の凹部または凸部を嵌合軸対称に備えた形状とし、突出部112は、嵌合穴124に嵌合可能で、その嵌合方向視でその外周に当該嵌合穴124と同様に前記複数個の凹部または凸部を備えた形状としてもよい。例えば、図12(e)に示すように十字形とするなどが挙げられる。
(6)上述した各実施例では、前面扉12は閉時(0°)に対して120°開いた状態(開放角120°)を最大開放角としているが、それ以外の角度を開放角とするものであってもよい。
(7)上述した各実施例では、ダンパー部140はそのダンパー有効範囲を80°とするものを例示したが、ダンパー部140としてそのダンパー有効範囲を80°以外とするものを採用してもよい。また、ダンパーが一切効かない範囲にも設定可能である。
(8)上述した各実施例では、ダンパー部140は、第1,第2嵌合状態の両方の状態において、前面扉12の係止爪150が本体11に当たるよりも前の事前範囲を、ダンパー有効範囲に含めているが、第1,第2嵌合状態の少なくとも一つの状態において、前面扉12の係止爪150が本体11に当たるよりも前の事前範囲を、ダンパー有効範囲に含めるようにしてもよい。
(9)上述した各実施例では、図3に示すように、回動部122に前面扉12の自重がかかっているが、回動部122への前面扉12の重みが低減される構成を採用することで、回動部122の寿命を延ばすことができる。その構成としては、第2機構部材120での回動部122以外の箇所が、第1機構部材110に当接し、前面扉12の重みが第2機構部材120の回動部122にかからず、第2機構部材120での回動部122以外の箇所にかかるようにすることなどが挙げられる。
(10)上述した各実施例では、図3に示すように前面扉12の側面箇所に開閉機構部100が位置しているが、図13に示すように、前面扉12を閉じた状態での本体11と前面扉12とにより形成される内部空間に開閉機構部100が位置するようにしてもよい。例えば、図13に示すように、本体11の内側に取り付けられた支持具160は、第1機構部材110を、本体11の前側位置でかつ前面扉12内の箇所で支持している。
(11)本発明を各種(例えば第一種、第三種など)の遊技機に実施してもよいし、上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される。)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞されることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。また、球が所定の入賞口に入ることで特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。さらに、パチンコ機以外にも、アレンジボール型パチンコ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機等の各種遊技機として実施するようにしてもよい。
なお、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の遊技球の投入後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受け皿に多量の球が払い出されるものである。
以上のように、この発明は、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機に適している。
実施例1のスロットマシンの前面扉を閉じた状態の斜視図である。
実施例1のスロットマシンの前面扉を開いた状態の斜視図である。
(a)は、前面扉を本体に取り付ける際における下部側の開閉機構部材の箇所を拡大視した概略斜視図であり、(b)は、前面扉を本体に取り付けた状態における下部側の開閉機構部材の箇所を拡大視した概略斜視図である。
(a)は、前面扉を本体に対して最大開放した状態における開閉機構部材の箇所を示す図であり、(b)は、開閉機構部材のダンパー有効範囲を示す図である。
(a)〜(e)は前面扉を閉じる際の開閉機構部材箇所の様子を示す図である。
上下の開閉機構部材のダンパー有効範囲を示す図である。
(a)は、前面扉を本体に対して最大開放した状態における開閉機構部材の箇所を示す図であり、(b)は、開閉機構部材の変更後のダンパー有効範囲を示す図である。
(a)〜(e)は前面扉を閉じる際の開閉機構部材箇所の様子を示す図である。
上下の開閉機構部材のそれぞれのダンパー有効範囲を示す図である。
(a)は、実施例2の最大開放した状態における下側の開閉機構部材の箇所を示す図であり、(b)は、その開閉機構部材のダンパー有効範囲を示す図である。
上下の開閉機構部材でダンパー有効範囲を異ならせた様子を示す図である。
変形例における突出部および回動部の嵌合穴の嵌合方向視での形状を示す図である。
変形例における開閉機構部材の箇所を拡大視した概略斜視図である。
11 …本体(本体部材)
12 …前面扉(扉部材)
100 …開閉機構部材(開閉機構部)
110 …第1機構部材(第1部材)
112 …突出部
120 …第2機構部材(第2部材)
122 …回動部
124 …嵌合穴
130 …位置合わせマーク
132 …第1マーク(位置合わせマーク)
134 …第2マーク(位置合わせマーク,回動部用位置合わせマーク)
136 …第3マーク(第1部材用マーク)
140 …ダンパー部(緩衝手段)
150 …係止爪(係止部)