JP5374354B2 - カーボンナノチューブ複合構造体および粘着部材 - Google Patents

カーボンナノチューブ複合構造体および粘着部材 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンナノチューブ複合構造体に関する。詳細には、本発明は、基材上に複数のカーボンナノチューブ柱状構造体を備えたカーボンナノチューブ複合構造体に関する。本発明は、また、該カーボンナノチューブ複合構造体を含む粘着部材に関する。
カーボンナノチューブについては、その優れた熱的特性や電気的特性などから、様々な機能性材料への展開が期待されている。このため、カーボンナノチューブに関し、生産性、用途等、種々の検討がなされている。カーボンナノチューブを機能性材料として実用化させていくためには、例えば、複数のカーボンナノチューブ柱状構造体からなるカーボンナノチューブ集合体とし、その集合体の特性を向上させていくことが挙げられる。
カーボンナノチューブ集合体の用途としては、例えば、粘着剤が挙げられる(特許文献1、特許文献2)。産業用途の粘着剤としては、種々の材料が使われているが、そのほとんどは柔軟にバルク設計された粘弾性体である。粘弾性体は、そのモジュラスの低さから被着体にぬれて馴染み、接着力を発揮する。一方、カーボンナノチューブは、その直径がナノサイズであるため、被着体の表面凹凸に追従し、ファンデルワールス力によって接着力を発揮することが明らかとなっている。
複数のカーボンナノチューブ柱状構造体からなるカーボンナノチューブ集合体を基材上に備えたカーボンナノチューブ複合構造体は、粘着部材等の様々な用途に適用することが可能である。
カーボンナノチューブ複合構造体は、一般に、基材上にて化学蒸着気相法(CVD法)によりカーボンナノチューブを成長形成させて製造される。化学蒸着気相法(CVD法)によるカーボンナノチューブの成長形成は一般に400〜800℃あたりの高温下で行われる。このため、基材としては、高温下でも高い耐久性を示す高耐熱性の材料が用いられる。ところが、このような高耐熱性の材料からなる基材はカーボンナノチューブとの密着力が低いという問題がある。このようにカーボンナノチューブと基材との密着力が低いと、例えば、粘着部材に適用する場合には、複数のカーボンナノチューブ柱状構造体からなるカーボンナノチューブ集合体を別の基材に転写する必要があり、製造コストが高くなるという問題が生じる。
高耐熱性の材料が用いられた基材として、従来、シリコン基板が代表的に用いられている。しかし、シリコン基板は高価であるという問題がある。また、シリコン基板は硬直であるため、柔軟性(例えば、180°に折り曲げが可能であるなど)が求められる用途に適用し難いという問題がある。さらに、シリコン基板はカーボンナノチューブに比べて熱伝導率や導電率が大きく劣るという問題がある。
そうすると、高耐熱性の材料が用いられた基材として、シリコン基板以外の基材に着目することになるが、このような基材はカーボンナノチューブとの密着力が非常に低いという問題がある。
米国特許出願公開第2004/0071870号 米国特許出願公開第2006/0068195号
本発明の目的は、基材上に複数のカーボンナノチューブ柱状構造体を備えたカーボンナノチューブ複合構造体であって、基材とカーボンナノチューブ柱状構造体との密着力が非常に高いカーボンナノチューブ複合構造体を提供することにある。また、そのようなカーボンナノチューブ複合構造体を含む粘着部材を提供することにある。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体は、基材上に複数のカーボンナノチューブ柱状構造体を備えたカーボンナノチューブ複合構造体であって、該基材と該カーボンナノチューブ柱状構造体との間に中間層を備え、該中間層の厚みが1.0nm以上10nm未満であり、該中間層を備えた基材とカーボンナノチューブ柱状構造体との密着力が5N/cm以上である。
好ましい実施形態においては、上記中間層が無機酸化物からなる。
好ましい実施形態においては、上記基材が、銅、または銅を50重量%以上含む銅合金のいずれかからなる。
好ましい実施形態においては、上記基材のヤング率が250GPa以下である。
本発明の別の実施形態においては、粘着部材を提供する。本発明の粘着部材は、本発明のカーボンナノチューブ複合構造体を含む。
本発明によれば、基材上に複数のカーボンナノチューブ柱状構造体を備えたカーボンナノチューブ複合構造体であって、基材とカーボンナノチューブ柱状構造体との密着力が非常に高いカーボンナノチューブ複合構造体を提供することができる。また、そのようなカーボンナノチューブ複合構造体を含む粘着部材を提供することができる。
また、本発明の好ましい実施形態によれば、基材として特定の基材を採用することにより、基材とカーボンナノチューブ柱状構造体との密着力が非常に高いことに加えて、180°に折り曲げが可能である優れた柔軟性を有するとともに、優れた熱伝導率および優れた導電率を発現できる、カーボンナノチューブ複合構造体を提供することができる。また、そのようなカーボンナノチューブ複合構造体を含む粘着部材を提供することができる。
本発明の好ましい実施形態におけるカーボンナノチューブ複合構造体の概略断面図である。 本発明の好ましい実施形態におけるカーボンナノチューブ集合体製造装置の概略断面図である。 ヤング率測定方法を示す概略断面図である。 体積抵抗率測定装置の概略断面図である。
図1は、本発明の好ましい実施形態における代表的なカーボンナノチューブ複合構造体の概略断面図(各構成部分を明示するために縮尺は正確に記載されていない)を示す。カーボンナノチューブ複合構造体10は、基材1と、複数のカーボンナノチューブ柱状構造体2と、中間層3を備える。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体においては、中間層を備えた基材とカーボンナノチューブ柱状構造体との密着力が5N/cm以上である。該密着力は、好ましくは7〜500N/cm、より好ましくは10〜200N/cmである。中間層を備えた基材とカーボンナノチューブ柱状構造体との密着力が上記範囲内にあることにより、粘着部材への適用がきわめて容易になる。例えば、中間層を備えた基材とカーボンナノチューブ柱状構造体との密着力が十分に高いため、複数のカーボンナノチューブ柱状構造体からなるカーボンナノチューブ集合体を別の基材に転写する必要がなくなり、製造コストの低減が実現できる。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体において、カーボンナノチューブ柱状構造体の先端の25℃における対ガラスせん断接着力は、好ましくは15N/cm以上、より好ましくは15〜200N/cm、さらに好ましくは20〜200N/cm、特に好ましくは25〜200N/cm、最も好ましくは30〜200N/cmである。カーボンナノチューブ柱状構造体の先端の25℃における対ガラスせん断接着力が上記範囲内にあることにより、本発明のカーボンナノチューブ複合構造体を粘着部材として用いた場合に、非常に優れた粘着特性を示し得る。
カーボンナノチューブ柱状構造体は、単層であっても多層であってもよい。また、カーボンナノチューブ柱状構造体の直径、比表面積、密度は、任意の適切な値に設定され得る。
カーボンナノチューブ柱状構造体の形状としては、その横断面が任意の適切な形状を有していれば良い。例えば、その横断面が、略円形、楕円形、n角形(nは3以上の整数)等が挙げられる。
カーボンナノチューブ柱状構造体の長さは、任意の適切な長さに設定され得る。カーボンナノチューブ柱状構造体の長さは、好ましくは300〜10000μmであり、より好ましくは400〜1000μmであり、さらに好ましくは500〜1000μmである。カーボンナノチューブ柱状構造体の長さが上記範囲内にあることにより、本発明のカーボンナノチューブ複合構造体を粘着部材として用いた場合に、非常に優れた粘着特性を示し得る。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体が備えるカーボンナノチューブ柱状構造体は、その層数分布の分布幅、該層数分布の最頻値、該最頻値の相対頻度は、任意の適切な値を取り得る。ここで、層数分布の分布幅とは、カーボンナノチューブ柱状構造体の層数の最大層数と最小層数との差をいう。これらの層数や層数分布は、任意の適切な装置によって測定すれば良い。好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過電子顕微鏡(TEM)によって測定される。例えば、20本以上のカーボンナノチューブ柱状構造体をSEMあるいはTEMによって測定すれば良い。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体が備えるカーボンナノチューブ柱状構造体は、例えば、下記の第1の好ましい実施形態または第2の好ましい実施形態を取り得る。
<カーボンナノチューブ柱状構造体の第1の好ましい実施形態>
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体が備えるカーボンナノチューブ柱状構造体の第1の好ましい実施形態は、層数分布の分布幅が好ましくは10層以上であり、該層数分布の最頻値の相対頻度が好ましくは25%以下である。上記層数分布の分布幅は、より好ましくは10〜30層、さらに好ましくは10〜25層、特に好ましくは10〜20層である。上記層数分布における最大層数は、好ましくは5〜30層、より好ましくは10〜30層、さらに好ましくは15〜30層、特に好ましくは15〜25層であり、上記層数分布における最小層数は、好ましくは1〜10層、より好ましくは1〜5層である。上記層数分布の最頻値の相対頻度は、より好ましくは1〜25%、さらに好ましくは5〜25%、特に好ましくは10〜25%、最も好ましくは15〜25%である。上記層数分布の最頻値は、好ましくは2〜10層に存在し、より好ましくは3〜10層に存在する。本発明のカーボンナノチューブ複合構造体が備えるカーボンナノチューブ柱状構造体が上記のような実施形態をとることにより、本発明のカーボンナノチューブ複合構造体を粘着部材として用いた場合に、非常に優れた粘着特性を示し得る。
<カーボンナノチューブ柱状構造体の第2の好ましい実施形態>
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体が備えるカーボンナノチューブ柱状構造体の第2の好ましい実施形態は、層数分布の最頻値が好ましくは層数10層以下に存在し、該最頻値の相対頻度が好ましくは30%以上である。上記層数分布の最頻値は、より好ましくは9層以下に存在し、さらに好ましくは1〜9層に存在し、特に好ましくは2〜8層に存在し、最も好ましくは3〜8層に存在する。上記層数分布における最大層数は、好ましくは1〜20層、より好ましくは2〜15層、さらに好ましくは3〜10層である。上記層数分布における最小層数は、好ましくは1〜10層、より好ましくは1〜5層である。上記層数分布の最頻値の相対頻度は、より好ましくは30〜100%、さらに好ましくは30〜90%、特に好ましくは30〜80%、最も好ましくは30〜70%である。上記層数分布の最頻値は、好ましくは1〜10層に存在し、より好ましくは2〜8層に存在し、さらに好ましくは2〜6層に存在する。本発明のカーボンナノチューブ複合構造体が備えるカーボンナノチューブ柱状構造体が上記のような実施形態をとることにより、本発明のカーボンナノチューブ複合構造体を粘着部材として用いた場合に、非常に優れた粘着特性を示し得る。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体に含まれる基材は、高耐熱性の材料からなる基材であれば、任意の適切な基材を採用し得る。例えば、無機材料からなる基材、金属材料からなる基材が挙げられる。好ましくは、金属材料からなる基材であり、より好ましくは、銅、または銅を50重量%以上含む銅合金のいずれかからなる基材である。本発明のカーボンナノチューブ複合構造体に含まれる基材が、銅、または銅を50重量%以上含む銅合金のいずれかからなることにより、より優れた柔軟性を有するとともに、より優れた熱伝導率およびより優れた導電率を発現できる、カーボンナノチューブ複合構造体を提供することができる。
上記無機材料としては、例えば、グラファイトが挙げられる。
上記銅を50重量%以上含む銅合金としては、銅を50重量%以上含むものであれば、本発明の効果を発現できる範囲内で任意の適切な他の金属を含み得る。このような他の金属としては、例えば、ニッケル、鉄、クロム、亜鉛、錫、シリコン、マンガン、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、銀、コバルトなどが挙げられる。上記銅合金の具体例としては、例えば、黄銅、白銅、青銅、洋白、コバール合金などが挙げられる。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体に含まれる基材のヤング率は、好ましくは250GPa以下であり、より好ましくは1.0〜200GPaであり、さらに好ましくは5.0〜150GPaである。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体に含まれる基材のヤング率が250GPa以下であれば、優れた柔軟性を有することができる。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体に含まれる基材は、熱伝導率が、好ましくは1〜5000W/mK以上であり、より好ましくは10〜4000W/mKであり、さらに好ましくは50〜3000W/mKであり、特に好ましくは150〜3000W/mKである。本発明のカーボンナノチューブ複合構造体に含まれる基材の熱伝導率が上記範囲内にあることにより、より優れた熱伝導率を発現できるカーボンナノチューブ複合構造体を提供することができる。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体に含まれる基材は、導電率が、好ましくは1.0×10−1・Ω−1以上であり、より好ましくは1.0×10〜50×10−1・Ω−1であり、さらに好ましくは1.0×10〜20×10−1・Ω−1であり、特に好ましくは1.0×10〜10×10−1・Ω−1である。本発明のカーボンナノチューブ複合構造体に含まれる基材の導電率が上記範囲内にあることにより、より優れた導電率を発現できるカーボンナノチューブ複合構造体を提供することができる。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体に含まれる基材の厚みは、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。好ましくは200μm以下であり、より好ましくは0.01〜200μmであり、さらに好ましくは0.1〜100μmであり、特に好ましくは1〜100μmである。本発明のカーボンナノチューブ複合構造体に含まれる基材の厚みを上記範囲内とすることにより、より優れた柔軟性を有するカーボンナノチューブ複合構造体を提供することができる。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体に含まれる中間層としては、任意の適切な材料を採用し得る。好ましくは、無機酸化物である。このような無機酸化物としては、例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、シリカ−アルミナ(SiO−Al)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、マグネシア(MgO)などが挙げられる。このような無機酸化物は1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体に含まれる中間層の厚みは、1.0nm以上10nm未満である。該厚みは、好ましくは2nm以上9nm以下、より好ましくは3nm以上8nm以下である。本発明のカーボンナノチューブ複合構造体に含まれる中間層の厚みを上記範囲内とすることにより、基材とカーボンナノチューブ柱状構造体との密着力が非常に高いカーボンナノチューブ複合構造体を提供することができる。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体に含まれる中間層の製造方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、基材上にスパッタによって薄膜を形成する方法が挙げられる。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体は、好ましくは、基材の表面に中間層を形成し、該中間層上に触媒層を形成し、化学蒸着気相法(Chemical Vapor Deposition:CVD法)によって該触媒層上にカーボンナノチューブを成長させて得られる。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体を製造する際に用い得る装置としては、任意の適切な装置を採用し得る。例えば、熱CVD装置としては、図2に示すような、筒型の反応容器を抵抗加熱式の電気管状炉で囲んで構成されたホットウォール型などが挙げられる。その場合、反応容器としては、例えば、耐熱性の石英管などが好ましく用いられる。
中間層上に触媒層を形成する方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、金属触媒をEB(電子ビーム)、スパッタなどにより蒸着する方法、金属触媒微粒子の懸濁液を基板上に塗布する方法などが挙げられる。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体を製造する際において用い得る触媒(触媒層の材料)としては、任意の適切な触媒を用い得る。例えば、鉄、コバルト、ニッケル、金、白金、銀、銅などの金属触媒が挙げられる。
上記触媒層の厚みは、好ましくは0.01〜20nm、より好ましくは0.1〜10nm、さらに好ましくは0.1〜5nm、特に好ましくは1〜3nmである。上記触媒層の厚みが上記範囲内にあることによって、複数のカーボンナノチューブ柱状構造体と基材との密着力を、より十分に発現することができる。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体を製造する際において用い得る、カーボンナノチューブの原料となる炭素源としては、任意の適切な炭素源を用い得る。例えば、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼンなどの炭化水素;メタノール、エタノールなどのアルコール;などが挙げられる。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体は、粘着部材とすることができる。本発明の粘着部材は、本発明のカーボンナノチューブ複合構造体を含む。粘着部材としては、例えば、粘着シート、粘着フィルムが挙げられる。
本発明の粘着部材は、本発明のカーボンナノチューブ複合構造体が任意の適切な基板に固定されたものであっても良いし、本発明のカーボンナノチューブ複合構造体をそのまま用いるものであっても良い。
本発明の粘着部材が基板を有する場合、該基板としては、石英ガラス、シリコン(シリコンウェハなど)、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。エンジニアリングプラスチックおよびスーパーエンジニアリングプラスチックの具体例としては、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミドが挙げられる。分子量などの諸物性は、本発明の目的を達成し得る範囲において、任意の適切な物性を採用し得る。
本発明の粘着部材が基板を有する場合、該基板の厚みは、目的に応じて、任意の適切な値に設定され得る。例えば、好ましくは1〜10000μm、より好ましくは5〜5000μm、さらに好ましくは10〜1000μmである。
上記基板の表面は、隣接する層との密着性、保持性などを高めるために、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理などの化学的または物理的処理、下塗剤(例えば、上記粘着性物質)によるコーティング処理が施されていてもよい。
上記基板は単層であっても良いし、多層体であっても良い。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体を基板に固定する場合、その方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、基板に接着層を設けて固定してもよい。また、基板が熱硬化性樹脂の場合は硬化処理を行って固定すれば良い。また、基板が熱可塑性樹脂や金属などの場合は、溶融した状態で圧着させた後に室温まで冷却して固定すれば良い。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は重量(質量)基準である。
≪基材とカーボンナノチューブ柱状構造体との密着力の測定方法≫
ガラス(MATSUNAMI スライドガラス27mm×56mm)に、1cm単位面積に切り出したカーボンナノチューブ複合構造体における複数のカーボンナノチューブ柱状構造体の先端が接触するように載置し、5kgのローラーを一往復させてカーボンナノチューブの先端をガラスに圧着した。その後、30分間放置した。引張り試験機(Instron Tensil Tester)で25℃にて引張速度50mm/minにて引張り、剥離面が中間層を備えた基材とカーボンナノチューブ柱状構造体との界面であることを確認後、単位面積当たりのせん断接着力を求めた。
≪ヤング率の測定≫
図3に示すような両端支持の板状試料(d×b×Lmm)の中央部に荷重(PN)をかけたときに生じるたわみ(hmm)を差動トランスにて検出し、ヤング率E(N/m)を下記式から算出した。
E=(1/4)(L/(d・b))(P/h)×10
≪熱伝導率の評価≫
(株)リガク社製の「LE/TCM−FA8510B」装置を用い、レーザーフラッシュ法にて、測定項目として熱拡散率(t1/2法)および比熱(外挿法)を採用し、測定温度25℃での基材の熱伝導率を測定した。
≪導電性の評価≫
導電性の評価として、体積抵抗率を測定した。図4に示す装置を用い、垂直方向の体積抵抗率を測定した。すなわち、基材を10mmφ、厚み35μmに切り出し、該基材の両末端を導電性のゴム電極(Ag含有、体積抵抗率=5.07×10−3Ωcm)で挟み込み、上側のゴム電極上にSUSの重り(65g)を載置し、電圧(1.0V)をかけ、電流量から体積抵抗率(ρV)を求めた(体積抵抗率ρV(Ωcm)=〔電圧(V)/電流(A)〕×〔面積(cm)/厚み(cm)〕)。測定した体積抵抗率(ρV)の逆数を導電性とした。
〔実施例1〕
SUS444基材(森松工業社製、厚み35μm)上にスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)によりMgO薄膜(厚み5nm)を形成した。このMgO薄膜上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてさらにFe薄膜(厚み1nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、触媒層付基材をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて10分間放置後、温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、30分間放置してカーボンナノチューブを基材上に成長させ、カーボンナノチューブ複合構造体(1)を得た。
得られたカーボンナノチューブ複合構造体(1)中のカーボンナノチューブ柱状構造体(1)は、長さが540μm、層数分布の最頻値が層数2層に存在し、該最頻値の相対頻度が61%であった。
結果を表1にまとめた。
〔実施例2〕
SUS444基材(森松工業社製、厚み35μm)上にスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)によりMgO薄膜(厚み9nm)を形成した以外は、実施例1と同様に行い、カーボンナノチューブ複合構造体(2)を得た。
得られたカーボンナノチューブ複合構造体(2)中のカーボンナノチューブ柱状構造体(2)は、長さが595μm、層数分布の最頻値が層数2層に存在し、該最頻値の相対頻度が60%であった。
結果を表1にまとめた。
〔実施例3〕
銅基材(日鉱金属社製、JTCS、厚み35μm)上にスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)によりAl薄膜(厚み5nm)を形成し、このAl薄膜上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてさらにFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した以外は、実施例1と同様に行い、カーボンナノチューブ複合構造体(3)を得た。
得られたカーボンナノチューブ複合構造体(3)中のカーボンナノチューブ柱状構造体(3)は、長さが650μm、層数分布の最頻値が層数3層に存在し、該最頻値の相対頻度が68%であった。
結果を表1にまとめた。
〔実施例4〕
銅基材(日鉱金属社製、JTCS、厚み35μm)上にスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)によりAl薄膜(厚み9nm)を形成した以外は、実施例3と同様に行い、カーボンナノチューブ複合構造体(4)を得た。
得られたカーボンナノチューブ複合構造体(4)中のカーボンナノチューブ柱状構造体(4)は、長さが710μm、層数分布の最頻値が層数3層に存在し、該最頻値の相対頻度が69%であった。
結果を表1にまとめた。
〔実施例5〕
黄銅基材(日鉱金属社製、C2680、厚み35μm、銅:亜鉛=66:34(重量比))上にスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)によりSiO薄膜(厚み5nm)を形成し、このSiO薄膜上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてさらにFe薄膜(厚み1nm)を蒸着させて触媒層を形成した以外は、実施例1と同様に行い、カーボンナノチューブ複合構造体(5)を得た。
得られたカーボンナノチューブ複合構造体(5)中のカーボンナノチューブ柱状構造体(5)は、長さが575μm、層数分布の最頻値が層数2層に存在し、該最頻値の相対頻度が60%であった。
結果を表1にまとめた。
〔実施例6〕
黄銅基材(日鉱金属社製、C2680、厚み35μm、銅:亜鉛=66:34(重量比))上にスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)によりSiO薄膜(厚み9nm)を形成した以外は、実施例5と同様に行い、カーボンナノチューブ複合構造体(6)を得た。
得られたカーボンナノチューブ複合構造体(6)中のカーボンナノチューブ柱状構造体(6)は、長さが620μm、層数分布の最頻値が層数2層に存在し、該最頻値の相対頻度が67%であった。
結果を表1にまとめた。
〔実施例7〕
銅基材(日鉱金属社製、JTCS、厚み35μm)上にスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)によりAl薄膜(厚み2nm)を形成し、このAl薄膜上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてさらにFe薄膜(厚み1nm)を蒸着させて触媒層を形成した以外は、実施例1と同様に行い、カーボンナノチューブ複合構造体(7)を得た。
得られたカーボンナノチューブ複合構造体(7)中のカーボンナノチューブ柱状構造体(7)は、長さが520μm、層数分布の最頻値が層数2層に存在し、該最頻値の相対頻度が62%であった。
結果を表1にまとめた。
〔比較例1〕
SUS444基材(森松工業社製、厚み35μm)上にスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)によりMgO薄膜(厚み1nm)を形成した以外は、実施例1と同様に行い、カーボンナノチューブ複合構造体(C1)を得た。
得られたカーボンナノチューブ複合構造体(C1)中のカーボンナノチューブ柱状構造体(C1)は、長さが500μm、層数分布の最頻値が層数2層に存在し、該最頻値の相対頻度が55%であった。
結果を表1にまとめた。
〔比較例2〕
SUS444基材(森松工業社製、厚み35μm)上にスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)によりMgO薄膜(厚み20nm)を形成した以外は、実施例1と同様に行い、カーボンナノチューブ複合構造体(C2)を得た。
得られたカーボンナノチューブ複合構造体(C2)中のカーボンナノチューブ柱状構造体(C2)は、長さが640μm、層数分布の最頻値が層数2層に存在し、該最頻値の相対頻度が64%であった。
結果を表1にまとめた。
〔比較例3〕
銅基材(日鉱金属社製、JTCS、厚み35μm)上にスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)によりAl薄膜(厚み1nm)を形成した以外は、実施例3と同様に行い、カーボンナノチューブ複合構造体(C3)を得た。
得られたカーボンナノチューブ複合構造体(C3)中のカーボンナノチューブ柱状構造体(C3)は、長さが620μm、層数分布の最頻値が層数3層に存在し、該最頻値の相対頻度が62%であった。
結果を表1にまとめた。
〔比較例4〕
銅基材(日鉱金属社製、JTCS、厚み35μm)上にスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)によりAl薄膜(厚み20nm)を形成した以外は、実施例3と同様に行い、カーボンナノチューブ複合構造体(C4)を得た。
得られたカーボンナノチューブ複合構造体(C4)中のカーボンナノチューブ柱状構造体(C4)は、長さが730μm、層数分布の最頻値が層数3層に存在し、該最頻値の相対頻度が71%であった。
結果を表1にまとめた。
〔比較例5〕
黄銅基材(日鉱金属社製、C2680、厚み35μm、銅:亜鉛=66:34(重量比))上にスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)によりSiO薄膜(厚み1nm)を形成した以外は、実施例5と同様に行い、カーボンナノチューブ複合構造体(C5)を得た。
得られたカーボンナノチューブ複合構造体(C5)中のカーボンナノチューブ柱状構造体(C5)は、長さが320μm、層数分布の最頻値が層数2層に存在し、該最頻値の相対頻度が62%であった。
結果を表1にまとめた。
〔比較例6〕
黄銅基材(日鉱金属社製、C2680、厚み35μm、銅:亜鉛=66:34(重量比))上にスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)によりSiO薄膜(厚み20nm)を形成した以外は、実施例5と同様に行い、カーボンナノチューブ複合構造体(C6)を得た。
得られたカーボンナノチューブ複合構造体(C6)中のカーボンナノチューブ柱状構造体(C6)は、長さが750μm、層数分布の最頻値が層数2層に存在し、該最頻値の相対頻度が68%であった。
結果を表1にまとめた。
〔比較例7〕
銅基材(日鉱金属社製、JTCS、厚み35μm)上にスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)によりAl薄膜(厚み1.5nm)を形成した以外は、実施例7と同様に行い、カーボンナノチューブ複合構造体(C7)を得た。
得られたカーボンナノチューブ複合構造体(C7)中のカーボンナノチューブ柱状構造体(C7)は、長さが450μm、層数分布の最頻値が層数2層に存在し、該最頻値の相対頻度が63%であった。
結果を表1にまとめた。
表1の結果が示すように、本発明のカーボンナノチューブ複合構造体は、基材とカーボンナノチューブ柱状構造体との密着力が非常に高いことが判る。
本発明のカーボンナノチューブ複合構造体は、粘着シート、粘着フィルムなどの粘着部材に好適に用いることができる。
1 基材
2 カーボンナノチューブ柱状構造体
3 中間層
10 カーボンナノチューブ複合構造体

Claims (5)

  1. 基材上に複数のカーボンナノチューブ柱状構造体を備えたカーボンナノチューブ複合構造体であって、
    該基材と該カーボンナノチューブ柱状構造体との間に中間層を備え、
    該中間層の厚みが1.0nm以上10nm未満であり、
    該中間層を備えた基材とカーボンナノチューブ柱状構造体との密着力が5N/cm以上である、
    カーボンナノチューブ複合構造体。
  2. 前記中間層が無機酸化物からなる、請求項1に記載のカーボンナノチューブ複合構造体。
  3. 前記基材が、銅、または銅を50重量%以上含む銅合金のいずれかからなる、請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ複合構造体。
  4. 前記基材のヤング率が250GPa以下である、請求項1から3までのいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合構造体。
  5. 請求項1から4までのいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合構造体を含む、粘着部材。



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