JP5374054B2 - マテチャ含有新規サポニン化合物とその用途 - Google Patents
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Description
より詳細には、本発明は、モチノキ科モチノキ属植物であるマテチャの乾燥葉部の水または含水低級アルコール抽出物および/またはこの抽出物に含まれる新規サポニン化合物およびその用途に関する。
古来、このマテチャは、南米ではその葉を熱気で乾燥し、破砕して飲用の茶(マテ茶)として用いられている(例えば、非特許文献1)。
また、マテ茶が、強壮、刺激、利尿作用;神経を落ち着かせ、気を亢進させる作用;栄養不良を補い、衰弱を止め回復を促す作用;腸の蠕動運動の促進により、消化を助ける作用;呼吸運動の促進作用;筋肉の労働量の増強作用;ビタミンCの補給効果;活性酸素消去作用およびアレルギー発症抑制作用などを有することが知られている(例えば特許文献1および2)。
よって、このリパーゼ活性を阻害することにより、加水分解されなかったトリグリセリドは体内に吸収されずに排出され、したがって、結果として脂肪摂取を減少すること、すなわち摂取カロリーを減少することができ、糖尿病、高脂血症、メタボリックシンドロームに該当するヒトのカロリーまたは脂肪摂取の低減に効果が期待できる。
また、本発明者は、マテチャの抽出物および該抽出物に含まれる新規サポニンがリパーゼ阻害活性を有することを見出した。
したがって、本発明によれば、新規サポニン化合物の化学構造を決定すると共に、当該化合物の薬理作用についても知見を得、マテチャの新規用途を確立し、上記の課題を解決する。
R1は、α−L−アラビノピラノシル基、β−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−L−アラビノピラノシル基またはα−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→3)]−α−L−アラビノピラノシル基であり、R2は、β−D−グルコピラノシル基またはβ−D−グルコピラノシル−(1→6)−β−D−グルコピラノシル基であり、R3およびR4は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、R5はメチル基またはヒドロキシメチル基である]
で表されるサポニン化合物が提供される。
本発明において、マテチャの葉部は、通常乾燥したものが用いられるが、採取したものをそのまま、あるいは当業者に公知の方法で製茶して用いることができる。
具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノールもしくはt-ブタノールまたはこれらの混液あるいはこれらの任意の割合における含水アルコール等が挙げられる。さらに、エタンジオール、プロパンジオールおよびブタンジオールおよびこれらの位置異性体またはこれらの混液あるいはこれらの任意の割合における含水ジアルコール等が挙げられる。
これらの抽出用溶媒は、抽出材料に対して1〜50倍 (容量)程度、好ましくは2〜10倍 (容量)程度用いられる。
抽出物は、そのまま本発明の組成物を調製するのに用いてもよいが、粉末状または凍結乾燥品等として用いてもよい。これらの固形物とする方法は、当該分野で公知の方法を採用することができる。
すなわち、マテチャの水または含水低級アルコール抽出物を濃縮して得られた抽出物を、必要に応じて酢酸エチルと水を用いて分配し、酢酸エチル可溶画分と水溶性画分として得ることができる。
この場合の非水和性有機溶媒としては、n-ブタノール、ヘキサン、クロロホルムなどが挙げられるが、中でもn-ブタノールが好ましい。
すなわち、上記の酢酸エチルと水との分配後の水溶性画分をそのままn-ブタノールとの分配に付すか、または該水溶性画分を濃縮して得られる残渣をさらに水とn-ブタノールとの分配に付し、n-ブタノール画分と水溶性画分を得ることができる。
精製処理には、上記の水抽出物の水と非水和性有機溶媒による分配抽出以外に、当業者に公知のクロマトグラフ法、イオン交換クロマトグラフ法等を単独で、または組み合わせて採用することができる。例えば、クロマトグラフ法としては、順相もしくは逆相担体またはイオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーまたは遠心液体クロマトグラフィー等のいずれか、またはそれらを組み合わせて行う方法が挙げられる。この際の担体、溶出溶媒等の精製条件は、各種クロマトグラフィーに対応して適宜選択することができる。
また、本発明者は、n-ブタノール画分からは、1種の既知トリテルペン配糖体マテサポニン1、2種の既知トリテルペン、ウルソール酸、3-β-ヒドロキシウルス-11-エン-13β(28)-オリド、2種の既知フラボノイド配糖体ルチン、ケンフェロール-3-O-ルチノシドを既知物質をして得ると共に、さらに以下の新規化合物を見い出した。
R1は、α−L−アラビノピラノシル基、β−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−L−アラビノピラノシル基またはα−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→3)]−α−L−アラビノピラノシル基であり、
R2は、β−D−グルコピラノシル基またはβ−D−グルコピラノシル−(1→6)−β−D−グルコピラノシル基であり、
R3およびR4は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、
R5はメチル基またはヒドロキシメチル基である]
で表されるサポニン化合物が提供される。
例えば、ブラジル産マテチャ(Ilex paraguariensis) の乾燥葉部(3.0 kg)を、メタノール(MeOH)を用いてマテチャ抽出物を調製し、該抽出物を精製した例を表1および以下に示す。
ブラジル産マテチャ(Ilex paraguariensis) の乾燥葉部(3.0 kg)をMeOH(30L)で熱時抽出後、ろ過し、残渣は同様操作を2回くり返した。溶媒を減圧留去し、MeOH抽出エキス (1.0 kg、収率 33.3%) を得た。 得られたMeOH抽出エキスのうち500.0 gをH2O(2L)に懸濁し、EtOAc(2L)で3回分配抽出した。次いでH2O可溶画分をn-BuOH(2L)で3回分液抽出し、各可溶画分を常法に従って処理してEtOAc可溶画分(168.3 g、11.2%)、n-BuOH可溶画分(251.1 g、16.7%)、H2O可溶画分(96.5 g、6.4%)を得た。
活性が認められたEtOAc可溶画分およびn-BuOH可溶画分について含有成分の探索を以下に示す手順に従って行った。
EtOAc可溶画分を順相シリカゲル、逆相ODSカラムクロマトグラフィーおよびHPLCで繰り返し分離精製し、1種の新規トリテルペン配糖体マテノシドB(0.0013%)、1種の既知トリテルペン配糖体マテサポニン1(0.010%)、2種の既知トリテルペンウルソール酸 (1.02%)、3-β-ヒドロキシウルス-11-エン-13β(28)-オリド(0.039%)、2種の既知フラボノイド配糖体ルチン(0.012%%)、ケンフェロール-3-O-ルチノシド(0.0079%)を単離した。
上記で得られたn-BuOH可溶画分を順相シリカゲル、逆相ODSカラムクロマトグラフィーおよびHPLCで繰り返し分離精製し、2種の新規サポニン化合物マテノシドA(0.020%)、マテノシドC(0.20%)、10種の既知トリテルペン配糖体マテサポニン1(0.080%)、マテサポニン2(0.029%)、マテサポニン3(0.0099%)、マテサポニン4(0.034%)、マテサポニン5(0.0094%)、マテサポニンJ3a(0.10%)、マテサポニンJ3b(0.060%)、3-O-β-D-グルコピラノシル(1→3)-α-L-2-O-アセチルアラビノピラノシル ウルソール酸 28-O-β-D-グルコピラノシド(0.047%)、3-O-α-L-ラムノピラノシル(1→2)-α-L-アラビノピラノシル オレアノール酸 28-O-β-D-グルコピラノシル(1→6)-β-D-グルコピラノシド(0.29%)、ヌディカウシンC(0.12%)、2種の既知フラボノイド配糖体ルチン(0.50%)、ケンフェロール-3-O-ルチノシド(0.17%)、4種の既知クロロゲン酸3-O-カフェオイルキニン酸(0.16%)、4-O-カフェオイルキニン酸 (0.15%)、5-O-カフェオイルキニン酸(0.046%)、3,5-O-ジカフェオイルキニン酸(0.32%)およびカフェイン(0.55%)、テオブロミン(0.15%)、(R)-リナリル 6-O-α-L-アラビノピラノシル-β-D-グルコピラノシド(0.090%)を単離した。
但し、これらの単離成分の収率は、ブラジル産マテチャからの単離収率である。
マテノシドAは正の旋光性([α]D 25+18.7°、MeOH) を示す白色粉末として得られた。IRスペクトルから水酸基(3600 cm-1)、カルボニル基(1716 cm-1)、オレフィン(1650 cm-1)、およびエーテル(1070 cm-1) の存在が示唆された。
さらに、陽イオンおよび 陰イオンFAB-MSにおいて擬似分子イオンピークが、m/z 951 (M+Na)+および927(M−H)-に観測され、高分解能FAB-MSから分子式C47H76O18を有する化合物であることが判明した。
また、マテノシドAのピリジン-d5を溶媒とする1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルデータ(表2および3)、種々の二次元NMRデータを詳細に解析した。
また、マテノシドBのピリジン-d5を溶媒とする1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルデータ(表1および2)、種々の二次元NMRデータを詳細に解析した。
以上の結果から、マテノシドAおよびBの化学構造を前記式(2)および(3)に示すように決定した。
マテノシドCについても同様の方法により構造解析を行った。マテノシドC は5%H2SO4水溶液-1,4-ジオキサン (1:1、v/v、1 ml) で酸加水分解することにより既知化合物オレアノール酸が得られたと共に、構成糖として旋光度検出器においてL-アラビノース、D-グルコース、L-ラムノースが検出された。
以上の結果から、マテノシドCの化学構造を前記式(4)に示すように決定した。
さらに、本発明者は、マテチャ抽出物から単離された既知物質メタサポニン1およびヌディカウシンCがリパーゼ阻害活性作用を有することも見出した。
また、本発明によれば、マテチャ抽出物、すなわち、メタノール抽出物、酢酸エチル画分、n-ブタノール画分および水画分ならびにマテノシドCを有効成分として含む脂肪肝改善用組成物が提供される。
その上、本発明によれば、該組成物を含む健康食品が提供される。
これらの食品の製造工程において、あるいは最終製品に、上記の抽出物を添加して、健康食品とすることができる。
メタノール(MeOH):ナカライテスク社製、特級
エタノール(EtOH):ナカライテスク社製、特級
クロロホルム:ナカライテスク社製、特級
酢酸エチル(AcOEt):ナカライテスク社製、特級
アラビアゴム:和光純薬工業株式会社製
カルボキシメチルセルロース ナトリウム塩(CMC-Na):和光純薬工業株式会社製
炭素末(活性炭;粉末状):和光純薬工業株式会社製
豚膵リパーゼ:シグマ・アルドリッチ社製
カラムクロマトグラフィー用逆相シリカゲル:富士シリシア化学社製、Chromatorex ODS DM1020T、100〜200メッシュ
HPLC用ODSカラム:ジーエルサイエンス社製、Intertsil ODS-3 (250×20mm(内径))
IR:島津製作所社製、FTIR-8100
HPLC:島津製作所社製、検出器;示差屈折率検出器RID-6A
UV検出器SPD-10A
送液ユニット;LC-6AD
GC:島津製作所GC-14A
MS:日本電子データム社製(JEOL)、FABMS、HRFABMAS;JMS-SX 102A
EIMS、HREIMS;JMS-GCMATE
(1) マテチャの抽出および酢酸エチル可溶画分ならびにn−ブタノール可溶画分の調整
マテチャ(Ilex paraguariensis) の乾燥葉部(3.0 kg)をMeOH(30L)で3回くり返し熱時抽出した。 抽出液を濾過し、残渣に新たにMeOHを加え、同様の抽出操作を計3回行った。MeOH抽出液を合わせて減圧下に溶媒留去し、MeOH抽出エキス (1.0 kg、収率 33.3%) を得た。
得られたMeOH抽出エキスのうち500.0 gをH2O(2L)に懸濁後EtOAc(2L)で3回で分配抽出し、H2O可溶画分をn-BuOH(2L)で3回分配抽出し、各可溶画分を減圧下溶媒留去して、EtOAc可溶画分エキス (168.3 g、11.2%)、n-BuOH可溶画分エキス (251.1 g、16.7%)、H2O可溶画分エキス (96.5 g、6.4%) を得た。
得られたEtOAc可溶画分エキス (150.0 g)を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー[3.0 kg、ヘキサン:酢酸エチル = (5:1 → 1:1) → 酢酸エチル→CHCl3→ CHCl3:MeOH = (5:1 → 1:1) → MeOH]で分画し、Fr. 1 (295.7 mg)、Fr. 2 (15.5 g)、Fr. 3 (1.5 g)、Fr. 4 (2.7 g)、Fr. 5 (1.1 g)、Fr. 6 (13.3 g)、Fr. 7 (0.1 g)、Fr. 8 (6.8 g)、Fr. 9 (3.2 g)、Fr. 10 (16.2 g)、Fr. 11 (6.7 g)、Fr. 12 (3.1 g)、Fr. 13 (20.3 g)、Fr. 14 (0.1 g ) を得た。
Fr. 6-2 (400.0 mg) を逆相HPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (90:10)、流速:9.0 mL/分]を用いて分離精製し、3-β-ヒドロキシウルス-11-エン-13β(28)-オリド(13.1 mg、0.039%)、ウルソール酸 (308.0 mg、0.92%)を単離した。
Fr. 13-6 (500.0 mg) を逆相HPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (45:55)、流速:9.0 mL/分]を用いて分離精製し、ルチン (48.7 mg、0.012%)、ケンフェロール-3-O-ルチノシド (32.8 mg、0.0079%) を単離した。
上記の既知化合物については、いずれもこれら化合物の1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルデータと文献値との比較により同定した。
得られたn-BuOH可溶画分エキス(150.0 g) を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー[3.0 kg、CHCl3 → CHCl3:MeOH:H2O = 10:3:1 (下層) → 7:3:1 (下層) → 6:4:1 → MeOH] で分画し、Fr. 1 (14.7 g)、Fr. 2 (26.9 g)、Fr.3 (30.8 g)、Fr. 4 (41.3 g)、Fr. 5 (34.5 g)、Fr. 6 (5.5 g) を得た。
Fr. 1-5 (1.2 g)から再結晶(MeOH)によりカフェイン(567.6 mg、0.065%) を単離した。
Fr. 4-7 (500.0 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (60:40)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、マテサポニン3(44.8 mg、0.0099%) を単離した。
Fr. 4-11 (786.2 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (30:70)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、Fr. 4-11-1 (115.4 mg)、Fr. 4-11-2 (58.7 mg)、Fr. 4-11-3 (262.9 mg)、Fr. 4-11-4 (53.7 mg)、Fr. 4-11-5 (197.6 mg) を得た。
Fr. 4-11-2 (58.7 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (70:30)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、マテサポニン4 (29.7 mg、0.034%) を単離した。
Fr. 4-11-3 (262.9 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (65:35)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、3-O-α-L-ラムノピラノシル(1→2)-α-L-アラビノピラノシル オレアノール酸 28-O-β-D-グルコピラノシル(1→6)-β-D-グルコピラノシド (65.7 mg、0.07%) を単離した。
Fr. 5-4 (500.0 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (10:90)、流速:9.0 mL/min] を用いて分離精製し、5-O-カフェオイルキニン酸(20.8 mg、0.032%)、3-O-カフェオイルキニン酸(105.9 mg、0.16%)、4-O-カフェオイルキニン酸 (94.2 mg、0.15%)を単離した。
上記のように本発明により酢酸エチル可溶画分から見出されたマテノシドB、n−ブタノール可溶画分から見出されたマテノシドAおよびCの物性値を以下に示す。
マテノシドA:黄色粉末
旋光度:[α]D 25 +18.7° (c = 0.13、MeOH)
高分解能 陽イオンFAB-MS
理論値:C47H76O18Na (M+Na)+:951.4933
実測値:951.4938
IR (KBr、cm-1): 3600、1716、1650、1070
陽イオンFAB-MS:m/z 951 (M+Na)+
陰イオンFAB-MS:m/z 927 (M-H)-
旋光度:[α]D 29+47.3°(c = 0.63、MeOH)
高分解能陽イオンFAB-MS
理論値:C41H66O13Na (M+Na)+:789.4412
実測値:789.4407
IR (KBr、cm-1): 3507、1653、1072
陽イオンFAB-MS:m/z 789 (M+Na)+
旋光度:[α]D 25 −5.56° (c = 0.64、MeOH)
高分解能陽イオンFAB-MS
理論値:C59H96O26Na (M+Na)+:1243.6089
実測値:1243.6094
IR (KBr、cm-1):3432、1080、1036
陽イオンFAB-MS:m/z 1243 (M+Na)+
陰イオンFAB-MS:m/z 1219 (M-H)-
マテノシドA(17.0 mg) を5%H2SO4水溶液-1,4-ジオキサン(1:1、v/v、1 ml) に溶解させ、2時間加熱還流した。反応液を陰イオン交換樹脂アンバーライトIRA-400 (商品名)(OH-型)で中和し、樹脂を濾別後、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。
得られた生成物を、EtOAcとH2Oで分配し、水相画分を以下に示す条件で旋光度検出器によるHPLC分析を行い、加水分解で得られた糖を、標品と比較して同定した。その結果、マテノシドAの構成糖はL-アラビノースおよびD-グルコースであることが判明した。
マテノシドB(3.5 mg)、マテノシドC(3.3 mg)についても同様の処理を行った。その結果、マテノシドBの構成糖はL-アラビノースおよびD-グルコースであることが判明した。
また、マテノシドCの構成糖はL-アラビノース、D-グルコース、L-ラムノースであることが判明した。
検出機:Shodex OR-2
カラム:Kaseisorb LC NH2-60-5 (4.6 x 250 mm(内径)、5μm)
溶媒:MeCN-H2O (80:20、v/v)
流速:0.8 ml/分
注入量:20 μL
カラム温度:室温
L-アラビノース:8.3 分
D-グルコース:9.5分
L-ラムノース:6.5分
マテチャ抽出物のリパーゼ阻害活性作用
評価方法
基質としてトリオレイン溶液[トリオレイン80 mg、ホスファチジルコリン 10 mg、タウロコール酸 5 mgに0.1 M トリス緩衝液 (0.1 M NaCl含有、pH 7.0) 9 mLを加え、10分間超音波処理を行った溶液]100 μL に被験サンプル溶液5 μL を加え、トリス緩衝液 (pH 7.0) を95 μL 加え、全量を200 μLとした。37℃で3 分間予備加温したのち、リパーゼ溶液(ブタ膵臓由来)50 μLを加えて30分間反応させ、その後2分間沸騰水浴 (90〜100℃) に入れて反応を停止させた。
別に、各サンプルにつきリパーゼ溶液に代えてトリス緩衝液を50 μL 加え、同様の操作を行ったものを盲検として調製した。
生成したオレイン酸の量をNEFA Cキット法 (NEFA C-テストワコー:和光純薬製)により測定した。
リパーゼはトリス緩衝液に溶解し、本実験条件下で約0.7 m当量/Lのオレイン酸が生成する濃度に調製した。被験サンプルはDMSOを用いて溶解し、希釈した。比較対照薬としてorlistat(ゼニカル:商標)を用いた。
当該分野で公知の方法に従って、マテチャ抽出物10重量部を乳糖25重量部と混合し、ゼラチンカプセルに充填し、1カプセル中に抽出物が500 mg含有されるゼラチンカプセル剤を得た。
実施例1で得られた酢酸エチル可溶画分を実施例2のマテチャ抽出物に替えて、実施例2と同様にして、ゼラチンカプセル剤を得た。
実施例1で得られたn−BuOH可溶画分の濃縮物を実施例2のマテチャ抽出物に替えて、実施例2と同様にして、ゼラチンカプセル剤を得た。
米粉50重量部、砂糖5重量部、全卵10重量部、実施例1で得られたマテチャ抽出物1重量部を秤量した。
全卵に砂糖を混合した後、予め篩に通した米粉を加え、軽く混ぜ合わせて生地を作り、これを適当な形に成形し、オーブンで焼き上げて、せんべいを作った。
実施例1で得られた酢酸エチル可溶画分を実施例5のマテチャ抽出物に替えて、実施例5と同様にしてせんべいを作った。
実施例1で得られたn−BuOH可溶画分の濃縮物を実施例5のマテチャ抽出物に替えて、実施例5と同様にして、せんべいを作った。
小麦粉100重量部、塩4重量部、実施例1で得られたマテチャ抽出物5重量部および水45重量部を秤量し、常法に従ってこれらをよく混合して、うどんを製造した。
実施例1で得られた酢酸エチル可溶画分を実施例8のマテチャ抽出物に替えて、実施例8と同様にしてうどんを製造した。
実施例1で得られたn−BuOH可溶画分の濃縮物を実施例8のマテチャ抽出物に替えて、実施例8と同様にして、うどんを製造した。
以下の処方に従って、清涼飲料水(ドリンク)100mLを調製した。
マテチャ抽出物 1 (重量/容量)%
食物繊維 5 (重量/容量)%
ビタミンB2 0.002 (重量/容量)%
ビタミンB6 0.005 (重量/容量)%
ビタミンC 0.1 (重量/容量)%
果糖ブドウ糖液糖 5 (重量/容量)%
水 適量
実施例1で得られた酢酸エチル可溶画分を実施例11のマテチャ抽出物に替えて、実施例11と同様にしてドリンクを製造した。
実施例1で得られたn−ブタノール可溶画分を実施例11のマテチャ抽出物に替えて、実施例11と同様にしてドリンクを製造した。
以下の処方に従って、健康食品(カプセル剤)100gを調製した。
マテチャ抽出物 30重量%
ギャバ 30重量%
テアニン 30重量%
ビタミンC 30重量%
乳糖 30重量%
実施例1で得られた酢酸エチル可溶画分を実施例14のマテチャ抽出物に替えて、実施例14と同様にしてカプセル剤を製造した。
実施例1で得られたn−ブタノール可溶画分を実施例14のマテチャ抽出物に替えて、実施例14と同様にしてカプセル剤を製造した。
Claims (7)
- 次の一般式(1):
R1がβ−D−グルコピラノシル−(1→3)−β−D−アラビノピラノシル基であり、R2がβ−D−グルコピラノシル基であり、R3がメチル基であり、R4が水素原子であり、R5がヒドロキシメチル基であるか;
R1がα−L−アラビノピラノシル基であり、R2がβ−D−グルコピラノシル基であり、R3がメチル基であり、R4が水素原子であり、R5がヒドロキシメチル基であるか;または
R1がα−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→3)]−α−L−アラビノピラノシル基であり、R2がβ−D−グルコピラノシル−(1→6)−β−D−グルコピラノシル基であり、R3が水素原子であり、R4がメチル基であり、R5がメチル基である]
で表されるサポニン化合物。 - 前記サポニン化合物が、前記式(1)の化合物において、R1がβ−D−グルコピラノシル−(1→3)−β−D−アラビノピラノシル基であり、R2がβ−D−グルコピラノシル基であり、R3がメチル基であり、R4が水素原子であり、R5がヒドロキシメチル基であり、以下の式(2):
- 前記サポニン化合物が、前記式(1)の化合物において、R1がα−L−アラビノピラノシル基であり、R2がβ−D−グルコピラノシル基であり、R3がメチル基であり、R4が水素原子であり、R5がヒドロキシメチル基であり、以下の式(3):
- 前記サポニン化合物が、前記式(1)の化合物において、R1がα−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→3)]−α−L−アラビノピラノシル基であり、R2がβ−D−グルコピラノシル−(1→6)−β−D−グルコピラノシル基であり、R3が水素原子であり、R4がメチル基であり、R5がメチル基であり、以下の式(4):
- マテチャを水または含水低級アルコールで抽出して得られる抽出液、およびこの抽出液をさらに必要に応じて酢酸エチル/水およびn−ブタノール/水で分配処理して得られる有機溶媒可溶画分に含まれる請求項1〜4のいずれか1つに記載のサポニン化合物。
- 請求項4に記載のマテノシドCを有効成分として含むことを特徴とする遊離脂肪酸産生抑制用医薬組成物。
- 前記医薬組成物が、抗肥満、抗高脂血症または脂肪肝改善用である請求項6に記載の医薬組成物。
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