JP4437019B2 - キンポウゲ科クロタネソウ属植物のアルコール抽出物とその用途 - Google Patents

キンポウゲ科クロタネソウ属植物のアルコール抽出物とその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キンポウゲ科クロタネソウ属植物またはそのアルコール抽出物を有効成分として含む一酸化窒素(NO)産生抑制または脂質代謝促進用組成物に関するものである。より詳細には、本発明は、キンポウゲ科クロタネソウ属植物であるセイヨウクロタネソウまたはそのアルコール抽出物を有効成分として含むNO産生抑制または脂質代謝促進用組成物、ならびに該アルコール抽出物に含まれる新規化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
キンポウゲ科(Ranunculaceae)クロタネソウ属(Nigella L.)植物であるセイヨウクロタネソウ(Nigella sativa L.)は、アジア南西部、地中海沿岸部およびヨーロッパ中部を原産とする双子葉植物であり、別名ブラッククミン、黒種草と呼ばれており、春から夏にかけて青、白、桃、紫色の綺麗な花を咲かせることから、日本では園芸植物として栽培されている。
その種子であるニゲラシードは、エジプトやトルコでなどでは一般的な食品として使われている以外に、古代エジプト時代より種々の疾患(風邪、喘息、結膜炎、小児麻痺など)に有効な民間薬として伝承されている(非特許文献1および2)。
【0003】
また、セイヨウクロタネソウについての化学、薬理学の両面からの研究は数多くなされてきており、含有成分として精油、脂肪酸、ステロール、テルペノイド、サポニン、フラボノール配糖体、アルカロイドなどが単離され、エキスレベルでは抗腫瘍、気管支拡張、降圧、抗菌、抗真菌作用を有することが報告されている(非特許文献3)。
【0004】
【非特許文献1】
S.A. Ghazanfer, Handbook of ARABIAN MEDICINAL PLANTS, CRC出版, 1994, 第180頁
【非特許文献2】
田端ら、 A Report on Traditional Medicine and Medical Plants in Turkey (1990, 1991), 京都大学薬学部、1993, 3月, 第25, 116, 126, 140頁
【非特許文献3】
奥山ら、Biol. Pharm. Bull. 24(3), 307-310 (2001)
【0005】
NOは、血管内皮や神経系などで生成し、血管拡張作用、神経シナプスの興奮伝達調節など、種々の生理作用を示すことが知られている。一方、菌体膜成分であるリポ多糖(LPS)や、TNF-αなどの炎症性サイトカイン刺激を受けたマクロファージなどが産生する誘導型NO合成酵素(iNOS)によって過剰に産生されるNOは、抗微生物作用や抗腫瘍作用などの生体防御としての働きを担う反面、肺血症性ショック、虚血性脳障害、自己免疫疾患、腎炎、肝炎、潰瘍性大腸炎、関節炎、心筋症およびインスリン依存性糖尿病等の発症および進展の原因物質の一つであることが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来、トルコ、エジプト地方で上記のような症状の治療または緩解に広く用いられてきた民間伝承薬であるキンポウゲ科クロタネソウ属植物であるセイヨウクロタネソウおよび/またはニゲラシードに含まれる有効成分の特定、ならびに該植物のアルコール抽出物および該アルコール抽出物に含まれる成分の新規用途の開発を課題とする。
【0007】
近年、食生活の欧米化に伴って、脂肪の摂取量が増加し、その結果、抗脂血症、肥満、糖尿病、高血圧症等の罹患率は急増している。このうち抗脂血症および肥満は、さらに虚血性心疾患または動脈硬化の発症や進展の主因子となっている。
これら高脂血症や肥満の予防および治療を目的とした医薬品開発は、最近、リガンド依存性転写因子であるペルオキシソーム増殖活性化受容体(peroxisome proliferators-activated receptor;PPAR)の3種のアイソフォーム(α、β、γ)のうちPPARαを指標として行われている。このPPARαは、脂肪酸の異化能が高い肝臓や腎臓等に分布しており、特に絶食時などのエネルギー枯渇時に、脂肪酸のβ酸化酵素の発現を介して脂質代謝を制御していることが明らかとなっている。本発明の組成物は、NO産生抑制のみならず、上記のPPARαのリガンドとして作用し、肝細胞中の中性脂質量の低下作用を有することが見出された。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、キンポウゲ科クロタネソウ属植物であるセイヨウクロタネソウおよびニゲラシードに含まれる生理活性成分について鋭意研究を行った結果、いくつかの新規化合物が含まれることを見出した。さらに、意外にもこれら新規化合物を含む上記植物のアルコール抽出物が、従来知られている民間伝承薬とは全く異なる、NO産生抑制活性および肝細胞内脂質代謝促進活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
したがって、本発明によれば、キンポウゲ科クロタネソウ属植物またはそのアルコール抽出物を有効成分として含むことを特徴とする、NO産生抑制または脂質代謝促進用組成物が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、次の式:
【化7】
Figure 0004437019
で表される新規化合物が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のNO産生抑制または脂質代謝促進用組成物は、キンポウゲ科クロタネソウ属植物からアルコールで抽出された抽出物または抽出エキスを有効成分として含有する。
キンポウゲ科クロタネソウ属植物としては、具体的には、セイヨウクロタネソウ(Nigella sativa L.)およびクロタネソウ(Nigella damascena L.)などの同属植物が挙げられる。この同属植物に、後述される本願の新規化合物が含有される限り、当該同属植物は本願発明に利用することができる。
セイヨウクロタネソウの産地は特に限定されるものではないが、一般に、アジア南西部から地中海沿岸部に分布するものが好適に用いられ、トルコまたはエジプト産のものが特に好ましい。
アルコールでの抽出には、植物の全草もしくはその一部または種子が用いられる。また、全草またはその一部は乾燥したものであってもよいし、採取した新鮮なそのままの形態であってもよい。種子を用いる場合には、食品または民間薬として用いられているニゲラシードを用いると好都合である。
【0012】
本発明の抽出物を得るのに用いられるアルコールとしては、炭素数1〜4の低級アルコール類が挙げられ、具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノールもしくはこれらの混液または30容量%程度までの水を含有するこれらの含水アルコール等が挙げられる。なかでも、メタノールが特に好ましい。
これらの抽出溶媒は、抽出材料に対して、1〜50倍(容量)程度、好ましくは2〜10倍(容量)程度用いられる。
【0013】
抽出温度は、室温〜溶媒の沸点の間で任意に設定できるが、例えば50℃〜抽出溶媒の沸点の温度で、振盪下もしくは非振盪下または還流下に、上記の抽出材料を上記の抽出溶媒に浸漬することによって行うのが適当である。抽出材料を振盪下に浸漬する場合には、30分間〜10時間程度行うのが適当であり、非振盪下に浸漬する場合には、1時間〜20日間程度行うのが適当である。また、抽出溶媒の還流下に抽出するときは、30分〜数時間加熱還流するのが好ましい。
なお、50℃より低い温度で浸漬して抽出することも可能であるが、その場合には、上記の時間よりも長時間浸漬するのが好ましい。抽出操作は、同一材料について1回だけ行ってもよいが、複数回、例えば、2〜5回程度繰り返すのが好ましい。
【0014】
抽出混合物から固形物を除去して得られる抽出液は、常法により濃縮して抽出エキスとしてもよい。濃縮は、低温で減圧下に行うのが好ましく、抽出液が乾固するまで行ってもよい。
抽出エキスは、そのまま本発明の組成物を調製するのに用いてもよいが、粉末状または凍結乾燥品等として用いてもよい。これらの固形物とする方法は、当該分野で公知の方法を採用することができる。
したがって、本発明における抽出物とは、抽出液、抽出エキス、およびそれらを固形化して得られる固形物のいずれをも包含する。
【0015】
なお、抽出液は、濃縮する前後に精製処理に付してもよい。精製処理は、クロマトグラフ法、イオン交換クロマトグラフ法、溶媒による分配抽出等を単独または組み合わせて採用することができる。例えば、クロマトグラフ法としては、順相もしくは逆相担体またはイオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーまたは遠心液体クロマトグラフィー等のいずれか、またはそれらを組み合わせて行う方法が挙げられる。
この際の担体、溶出溶媒等の精製条件は、各種クロマトグラフィーに対応して適宜選択することができる。
【0016】
なかでも、抽出液を濃縮して抽出エキスとし、この抽出エキスを水と非水和性有機溶媒を用いて分配し、有機溶媒可溶画分として得ることが好ましい。非水和性有機溶媒としては、酢酸エチル、n-ブタノール、ヘキサン、クロロホルムなどが挙げられるが、中でも酢酸エチルが好ましい。
すなわち、濃縮して得られた抽出エキスまたは濃縮乾固して得られた濃縮残渣を、酢酸エチルと水を用いて分配し、酢酸エチル可溶画分として得ることが好ましい。分配抽出は、当該分野で通常行われる撹拌もしくは振盪分配法または液滴向流分配法などの常法に従って行うことができる。例えば、室温下、振盪下または非振盪下に、抽出エキスなどに対して、酢酸エチルと水とを1〜10倍(容量)程度(1:10〜10:1)加えて行うのが適当である。さらに、このようにして得られた有機溶媒可溶画分を上記のような精製処理に付してもよい。すなわち、上記で得られた有機溶媒可溶画分を、逆相クロマトグラフィーもしくは逆相高速クロマトグラフィー単独で、またはこれらを組合わせてさらに精製することもできる。
【0017】
本発明の抽出物は、次に示す化合物を含有している。
式:
【化8】
Figure 0004437019
[式中、Rは水素原子または式:
【化9】
Figure 0004437019
であり、部分構造:
【0018】
【化10】
Figure 0004437019
は、Aが-OOH基である場合には、エンド型二重結合を有する、式:
【化11】
Figure 0004437019
を意味し、Aが存在しない場合には、エキソ型二重結合を有する、式:
【化12】
Figure 0004437019
を意味する]
【0019】
より具体的には、式:
【化13】
Figure 0004437019
で表される化合物群を含む。
これらの化合物群は、いずれも新規化合物である。
上記の新規化合物は、いずれもNO産生抑制および肝細胞内脂質代謝促進などの作用を有することも見出された。
【0020】
したがって、上記の各化合物ならびに上記の各化合物を含むキンポウゲ科クロタネソウ属植物、そのアルコール抽出物および酢酸エチル可溶画分は、前記疾患の予防または治療を目的とするNO産生抑制または脂質代謝促進用組成物の有効成分として用いることができる。
本発明のアルコール抽出物および/または酢酸エチル可溶画分は、そのままの状態、または適当な媒体で希釈して、あるいは医薬品の製造分野において公知の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤または液剤等、種々の医薬品の形態に製剤化して使用することができる。
上記の各化合物も、上記の抽出物と同様に製剤化して用いることができる。
【0021】
製剤化に際しては、適当な媒体を添加してもよく、そのような媒体としては、医薬的に許容される賦形剤、例えば結合剤(例えばシロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガントまたはポリビニルピロリドン)、充填剤(例えば乳糖、砂糖、トウモロコシ澱粉、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン)、滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルクまたはポリエチレングリコール)、崩壊剤(例えば馬鈴薯澱粉)または湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)等が挙げられる。
錠剤は、通常の方法でコーティングしてもよい。液体製剤は、例えば水性または油性の懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップまたはエリキシルの形態であってもよく、使用前に水または他の適当な賦形剤で再生する乾燥製品として提供してもよい。
【0022】
液体製剤は、通常の添加剤、例えば懸濁化剤(例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン水添加食用脂)、乳化剤(例えば、レシチン、ソルビタンモノオレエートまたはアラビアゴム)、(食用脂を含んでいてもよい)非水性賦形剤(例えば、アーモンド油、分画ココヤシ油またはグリセリン、エチレングリコールもしくはプロピレングリコール)、保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル、またはソルビン酸)、および所望により着色剤または香料等を含んでいてもよい。
【0023】
上記の抽出物は単独で、または賦形剤などとの混合物として、また前記の個々の化合物(Ia)、(Ib)、(Ic)および(Id)も単独で、または混合物として、食品および/または健康食品に利用することができる。健康食品とは、通常の食品よりも積極的な意味で保健、健康維持・増進等を目的とした食品を意味し、例えば、液体または半固形、固形の製品、具体的には、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤または液剤等のほか、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト、まんじゅう等の菓子類、清涼飲料、お茶類、栄養飲料、スープ等の形態が挙げられる。
これらの食品の製造工程において、あるいは最終製品に、上記の抽出物および/または化合物等を混合または噴霧などにより添加して、健康食品とすることができる。
【0024】
NO産生抑制または脂質代謝促進用組成物のための、上記の抽出物および化合物の使用量としてはいずれも、抽出液の濃縮・精製の程度、疾患の重篤度、服用者の体重、年齢等によって適宜調節することができ、例えば、成人1回につき抽出物(固形分)として、0.5〜5g程度が挙げられ、化合物としては50〜500mg程度が挙げられる。
また、健康食品としての使用時には、食品の味や外観に悪影響を及ぼさない量、例えば、対象となる食品1kgに対して、上記の抽出物として2〜20g、または化物として、100mg〜2g程度の範囲で用いることが適当である。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の抽出物、化合物(Ia)〜(Id)の精製法およびそれらの作用についての実施例を具体的に説明する。
なお、実施例では、特に記載がない限り、以下の各種溶媒、ろ紙、クロマトグラフィー用担体およびHPLCカラムを用いた:
メタノール:ナカライテスク社、特級、
n−へキサン:ナカライテスク社、特級、
酢酸エチル:ナカライテスク社、特級、
イオン交換樹脂:Diaion-HP20、日本練水社製、
順相シリカゲル:富士シリシア社製、BW-200、150〜350メッシュ、
逆相オクタデシルシリカゲル(以下、ODS):富士シリシア社製、Chromatrex
ODS DM1020T、100〜200メッシュ、
HPLCカラム:YMC社製、YMC Pack R&D-ODS-A、20mm(i.d.)×25
0mm。
【0026】
実施例1
(1)ニゲラシードのメタノール抽出エキスの調製
エジプト産セイヨウクロタネソウの種子(972.4g)をメタノール10Lで加熱還流下に3時間抽出後ろ過し、ろ液から減圧下に溶媒を留去した。同様の操作を計3回繰り返してメタノールエキス122.0g (12.5%)を得た。
(2)メタノール抽出エキスの酢酸エチルおよび水による分配抽出
次いで、このメタノールエキス100gを酢酸エチル2Lと水2Lで分配抽出し、各抽出液から減圧下に溶媒を留去して、酢酸エチル可溶画分(56.9g, 7.1%)と水可溶画分(38.6g, 4.8%)を得た。
(3)水可溶画分の精製
水可溶画分をDiaion HP-20カラムに付し、水、メタノールで順次溶出し、それぞれ水溶出部(13.6g, 1.70%)とメタノール溶出部(24.9g, 3.13%)を得た。
【0027】
ニゲラシードのメタノールエキスおよび画分のNO産生抑制活性
上記(1)〜(3)得られたメタノールエキス、酢酸エチル可溶画分、水溶出部およびメタノール溶出部について、森川らの方法(J. Nat. Prod. 66, 638-645 (2003))に従って、リポ多糖(LPS)刺激による活性化マクロファージからのNO産生に与える影響を検討し、表1の結果を得た。
【0028】
表1:ニゲラシードから得られたメタノールエキス、酢酸エチル可溶画分、水溶出部およびメタノール溶出部の活性化マクロファージにおけるNO産生に対する阻害活性
【表1】
Figure 0004437019
各値は平均±SEM. (N=4)を示す。対照との有意差 : *:p<0.05, **:p<0.01, ▼:細胞毒性があることを示す
酢酸エチル可溶画分に強いNO産生抑制活性が認められた。
【0029】
(4)ニゲラシードの含有成分の単離と同定
上記で得られた酢酸エチル可溶画分50gを、n-ヘキサン/酢酸エチル(15/1、10/1、3/1および1/1の濃度勾配)、酢酸エチルおよびメタノールの各溶媒で順次溶出する順相シリカゲルクロマトグラフィー(2kg)に付し、フラクション1〜10を得た。
上記で得られたフラクション3 (1.07g)を、80%水性メタノール〜100%メタノールの濃度勾配で溶出する逆相ODSカラムクロマトグラフィー(12g)に付して既知のモノテルペンであるカルバクロール(136 mg)を得た。
上記で得られたフラクション4 (7.02g)を、80%水性メタノール〜100%メタノールの濃度勾配で溶出する逆相ODSカラムクロマトグラフィー(21g)に付してオレイン酸(1.47g)、リノール酸(3.57 g)およびリノール酸メチルエステル(74.5 mg)を得た。
【0030】
上記で得られたフラクション6 (3.50g)を、55%、60%および70%水性メタノール〜100%メタノールの濃度勾配で溶出する逆相ODSカラムクロマトグラフィー(400g)ならびに43%水性メタノールを移動相とする逆相HPLCに付して、既知のモノテルペンであるチモキノール(130.5mg)を得た。
上記で得られたフラクション9 (641.4mg)を、50%、60%、80%および90%水性メタノール〜100%メタノールの濃度勾配で溶出する逆相ODSカラムクロマトグラフィー(50g)ならびに85%水性メタノールを移動相とする逆相HPLCに付して、化合物(Ia)(36.1 mg)、化合物(Ib)(6.2 mg)、化合物(Ic)(3.1mg)および化合物(Id)(6.2mg)をそれぞれ得た。
ニゲラシードのメタノール抽出および含有成分の精製工程の概略図を図1に示す。
【0031】
上記のようにして単離した各化合物を、以下に示す旋光度、各種質量分析、1H-および13C-NMRスペクトルなどの種々の物理化学データにより同定した。さらに、絶対構造を、2次元NMR 1H-1H COSY、13C-1H COSY、HMBCおよび位相検波NOESYスペクトル等の種々の手法により決定した(2次元スペクトルデータは非表示)。
なお、既知化合物については、文献値との1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルデータの比較により同定した。
【0032】
以下に、化合物(Ia)〜(Id)の諸物性値ならびに各種分析データを示す。
なお、以下の1H-NMRおよび13C-NMRによる構造解析に用いたナンバリングは、例えば、上記の化合物(Ia)の構造式のナンバリングに基づいている。
【0033】
化合物 ( Ia ) : 白色粉末
[α]D 21 -17.9° (c=0.60, MeOH)
高分解能FAB-MS
計算値(C39H43N2O7 (M+H)+ ) : 651.3071
実測値 : 651.3065
UV [MeOH, nm (logε)] : 220 (4.50), 264 (3.82)
IR (KBr, cm-1) : 1718, 1652, 1592, 1458, 1281, 1111, 1024
1H-NMR (CD3OD, 500 MHz, δ) : 1.52, 1.68, 1.85, 1.92 (各々3H, 全てs, H3-17, 20, 16, 19), 1.64 (1H, dd, J = 12.8, 13.1 Hz, H-9β), 1.78(1H, m, H-6α), 1.95 (1H, m, H-6β), 2.23(2H, m, H2-14), 2.30 (2H, m, H2-13), 2.37 (1H, br.d, J = 約14 Hz, H-5α) 2.51 (1H, dd, J = 5.1, 13.1 Hz, H-9α), 2.53 (1H, ddd, J = 5.5, 13.5, 13.5 Hz, H-5β), 2.75 (1H, br.s, H-11), 3.14 (1H, d, J = 9.1 Hz, H-7), 5.10, 5.29 (2H, ABq, J = 11.0 Hz, H2-15), 5.54 (1H, d, J = 10.4 Hz, H-2), 5.76 (1H, br.dd, J = 約6, 13 Hz, H-10), 5.87 (1H, d, J = 10.4 Hz, H-3), 7.19 (1H, dd, J = 5.0, 7.8 Hz, H-5'), 7.39 (2H, dd, J = 7.7, 8.5 Hz, H-3''', 5'''), 7.57 (1H, m, H-5''), 7.60 (1H, t, J = 7.7 Hz, H-4'''), 8.07 (2H, br.d, J = 約8 Hz, H-2''', 6'''), 8.07 (1H, ddd, J = 1.8, 1.8, 7.8 Hz, H-6'), 8.44 (1H, ddd, J = 1.8, 1.8, 7.9 Hz, H-6''), 8.64 (1H, br.s, H-4'), 8.74 (1H, br.s, H-4''), 8.98 (1H, br.s, H-2'), 9.17 (1H, br.s, H-2'')
【0034】
13C-NMR (CD3OD, 125 MHz, δC) : 表2に記載
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ) : 1.53, 1.67, 1.87, 1.88 (各々3H, 全てs, H3-17, 20, 16, 19), 1.61 (1H, dd, J = 12.5, 13.7 Hz, H-9β), 1.65 (1H, m, H-6α), 2.02 (1H, d-like, H-6β), 2.23(1H, m, H-14α), 2.34 (1H, m, H-14β), 2.36 (2H, m, H2-13), 2.38 (1H, m, H-5α), 2.48 (1H, ddd, J = 5.2, 12.8, 12.8 Hz, H-5β), 2.59 (1H, dd, J = 5.5, 13.7 Hz, H-9α), 2.71 (1H, br.s, H-11), 3.07 (1H, br.d, J = 約9 Hz, H-7), 4.90 (1H, d, J = 11.0 Hz, H-15), 5.31 (1H, d, J = 11.0 Hz, H-15), 5.48 (1H, d, J = 10.3 Hz, H-2), 5.70 (1H, br.dd, J = 約6, 13 Hz, H-10), 5.73 (1H, d, J = 10.3 Hz, H-3), 6.98 (1H, dd, J = 4.9, 8.0 Hz, H-5'), 7.39 (2H, dd, J = 7.8, 7.9 Hz, H-3''', 5'''), 7.41(1H, m, H-5''), 7.58 (1H, t, J = 7.8 Hz, H-4'''), 7.96 (1H, ddd, J = 1.8, 1.8, 8.0 Hz, H-6'), 8.10 (2H, br.d, J = 約8 Hz, H-2''', 6'''), 8.31 (1H, ddd, J = 1.8, 1.8, 7.9 Hz, H-6''), 8.65 (1H, br.d, J = 約5 Hz, H-4'), 8.79 (1H, br.d, J = 約4, H-4''), 9.11 (1H, br.s, H-2'), 9.24 (1H, br.s, H-2'')
13C-NMR (CDCl3, 125 MHz, δC) : 表2に記載
FAB-MS : m/z 651 (M+H)+, 1301 (2M+H)+
【0035】
化合物 ( Ib ) : 白色粉末
[α]D 21 +10.9° (c=0.30, MeOH),
[α]D 27 +20.0° (c=1.10, CHCl3)
高分解能EI-MS
計算値(C39H43N2O9 (M+H)+ ) : 683.2969
実測値 : 683.2965
UV [MeOH, nm (logε)] : 221 (4.71), 264 (4.09)
IR (KBr, cm-1) : 1717, 1636, 1592, 1456, 1281, 1113, 1026
1H-NMR (CD3OD, 500 MHz, δ) : 1.35, 1.54, 1.58 (各々3H, 全てs, H3-19, 20, 17), 1.60 (1H, m, H-9β), 1.76 (1H, m, H-6α), 1.92 (1H, m, H-6α), 1.95 (3H, d, J = 0.9 Hz, H3-19), 2.36 (1H, br.d, J = 約13 Hz, H-5α), 2.51 (1H, ddd, J = 5.1, 12.8, 12.8 Hz, H-5β), 2.69 (1H, dd, J = 5.5, 13.7 Hz, H-9α), 2.72 (1H, dd, J = 3.0, 17.4 Hz, H-14α), 2.81 (1H, br.d, J = 約17 Hz, H-14β), 3.02 (1H, br.s, H-11), 3.14 (1H, br.d, J = 約10 Hz, H-7), 5.24, 5.28 (2H, ABq, J = 11.3 Hz, H2-15), 5.64 (1H, d, J = 10.4 Hz, H-2), 5.73 (1H, br.s, H-13), 5.89 (1H, br.d, J = 約10 Hz, H-3), 5.92 (1H, br.dd, J = 約6, 13 Hz, H-10), 7.14 (1H, dd, J = 4.9, 7.4 Hz, H-5'), 7.43 (2H, dd, J = 7.6, 8.3 Hz, H-3''', 5'''), 7.58 (1H, dd, J=4.9, 7.3 Hz, H-5''), 7.63 (1H, t, J = 7.6 Hz, H-4'''), 8.04 (1H, br.d, J = 約8 Hz, H-6'), 8.09 (2H, dd, J = 1.2, 8.3 Hz, H-2''', 6'''), 8.43 (1H, br.d, J=約8 Hz, H-6''), 8.62 (1H, br.s, H-4'), 8.74 (1H, br.s, H-4''), 8.96 (1H, br.s, H-2'), 9.15 (1H, br.s, H-2'')
【0036】
13C-NMR (CD3OD, 125 MHz, δC) : 表2に記載
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ) : 1.49, 1.51, 1.52 (各々3H, 全てs, H3-19, 20, 17), 1.58 (1H, dd, J=12.9, 13.1 Hz, H-9β), 1.66 (1H, m, H-6α), 1.94 (3H, d, J = 1.2 Hz, H3-16), 2.02 (1H, m, H-6β), 2.36 (1H, br.d, J = 約13 Hz, H-5α), 2.47 (1H, ddd, J = 4.9, 12.6, 12.6 Hz, H-5β), 2.71 (1H, dd, J = 5.1, 13.1 Hz, H-9α), 2.74 (1H, dd, J = 3.0, 17.0 Hz, H-14α), 2.79 (1H, br.d, J = 約17 Hz, H-14β), 2.99 (1H, br.d, J = 約10 Hz, H-7), 5.11, 5.28 (2H, ABq, J = 11.0 Hz, H2-15), 5.59 (1H, d, J = 10.7 Hz, H-2), 5.79 (1H, d, J = 10.7 Hz, H-3), 5.81 (1H, br.s, H-13), 5.92 (1H, br.dd, J = 約6, 12 Hz, H-10), 6.96 (1H, dd, J = 4.9, 7.6 Hz, H-5'), 7.42 (2H, dd, J = 7.6, 8.3 Hz, H-3''', 5'''), 7.43 (1H, dd, J = 4.9, 7.8 Hz, H-5''), 7.60 (1H, br.t, J = 約8 Hz, H-4'''), 7.93 (1H, br.d, J = 約8 Hz, H-6''), 8.11 (2H, dd, J = 1.3, 8.3 Hz, H-2''', 6'''), 8.31 (1H, br.d, J = 約8 Hz, H-6'), 8.66 (1H, br.s, H-4'), 8.74 (1H, br.s, H-4''), 9.09 (1H, br.s, H-2'), 9.20 (1H, br.s, H-2'')
13C-NMR (CDCl3, 125 MHz, δC) : 表2に記載
ポジティブFAB-MS : m/z 683 (M+H)+
【0037】
化合物 ( Ic ) : 白色粉末
[α]D 27 +20.2° (c=0.80, CHCl3)
高分解能EI-MS
計算値(C40H44NO9 (M+H)+) : 682.3016
実測値 : 682.3013
UV [MeOH, nm (logε)] : 227 (4.72), 264 (3.91)
IR (KBr, cm-1) : 1717, 1603, 1453, 1424, 1277, 1113, 1026
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ) : 1.49, 1.50, 1.52 (各3H, 全てs, H3-19, 20, 17), 1.61 (1H, m, H-9β), 1.66 (1H, m, H-6α), 1.94 (3H, d, J = 0.9 Hz, H3-16), 2.01 (1H, m, H-6β), 2.35 (1H, br.d, J = 約13 Hz, H-5α), 2.47 (1H, ddd, J = 4.9, 12.8, 12.8 Hz, H-5β), 2.72 (1H, dd, J = 5.8, 13.7 Hz, H-9α), 2.78 (2H, br.s, H2-14), 2.84 (1H, br.s, H-11), 2.99 (1H, br.d, J = 約10 Hz, H-7), 5.12, 5.27 (2H, ABq, J = 11.0 Hz, H2-15), 5.57 (1H, d, J = 10.4 Hz, H-2), 5.79 (1H, d, J = 10.4 Hz, H-3), 5.80 (1H, br.s, H-13), 5.92 (1H, br.dd, J = 約6, 12 Hz, H-10), 6.96 (1H, dd, J = 4.9, 7.8 Hz, H-5''), 7.12 (2H, dd, J = 7.6, 8.3 Hz, H-3', 5'), 7.44 (2H, dd, J = 7.7, 8.5 Hz, H-3''', 5'''), 7.41 (1H, br.t, J = 約8 Hz, H-4'), 7.61 (1H, br.t, J = 約8 Hz, H-4'''), 7.81 (2H, dd, J = 1.3, 8.3 Hz, H-2', 6'), 8.15 (2H, br.d, J = 約8 Hz, H-2''', 6'''), 8.34 (1H, br.d, J = 約8 Hz, H-6''), 8.66 (1H, br.s, H-4''), 9.07 (1H, br.s, H-2'')13C-NMR (CDCl3, 125 MHz, δC) : 表2に記載
FAB-MS : m/z 682 (M+H)+
【0038】
化合物 ( Id ) : 白色粉末
[α]D 27 -23.4° (c=1.20, CHCl3)
高分解能FAB-MS
計算値(C40H44NO7 (M+H)+) : 650.3118
実測値 : 650.3123
UV [MeOH, nm (log ε)] : 226 (4.61), 264 (3.73)
IR (KBr, cm-1) : 1717, 1592, 1559, 1509, 1451, 1277, 1111, 1069, 1026
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz, δ) : 1.54, 1.66, 1.88 (各々3H, 全てs, H3-17, 20, 19), 1.62 (1H, dd, J = 12.5, 13.8 Hz, H-9β), 1.72 (1H, m, H-6α), 1.87 (3H, d, J = 0.9 Hz, H3-16), 2.01 (1H, m, H-6β), 2.20 (1H, m, H-14α), 2.34 (1H, m, H-14β), 2.31 (2H, m, H2-13), 2.39 (1H, br.d, J = 約13 Hz, H-5α), 2.47 (1H, ddd, J = 4.9, 12.9, 12.9 Hz, H-5β), 2.59 (1H, dd, J = 5.5, 13.8 Hz, H-9α), 2.72 (1H, br.s, H-11), 3.08 (1H, br.d, J = 約10 Hz, H-7), 4.93 (1H, d, J = 11.0 Hz, H-15), 5.29 (1H, d, J = 11.0 Hz, H-15), 5.45 (1H, d, J = 10.4 Hz, H-2), 5.70 (1H, br.dd, J = 約6, 13 Hz, H-10), 5.74 (1H, dd, J = 0.9, 10.4 Hz, H-3), 7.13 (2H, dd, J = 7.6, 8.3 Hz, H-3', 5'), 7.39 (2H, dd, J = 7.6, 8.3 Hz, H-3''', 5'''), 7.41 (1H, dd, J = 4.9, 8.0 Hz, H-5''), 7.44 (1H, tt, J = 1.3, 7.6 Hz, H-4'), 7.58 (1H, tt, J = 1.3, 7.6 Hz, H-4'''), 7.84 (2H, dd, J = 1.3, 8.3 Hz, H-2', 6'), 8.10 (2H, dd, J = 1.3, 8.3 Hz, H-2''', 6'''), 8.31 (1H, ddd, J = 1.9, 2.2, 8.0 Hz, H-6''), 8.78 (1H, br.d, J = 約5 Hz, H-4''), 9.24 (1H, br.d, J = 約2 Hz, H-2'')
13C-NMR (CDCl3, 125 MHz, δC) : 表2に記載
FAB-MS : m/z 650 (M+H)+
【0039】
表2:化合物(Ia)〜(Id)の13C-NMRデータ(125MHz)
【表2】
Figure 0004437019
a):CD3OD、b):CDCl3で測定
【0040】
Griess 法によるNOの測定および MTT アッセイ法による毒性の判定
ddY系雄性マウス(体重約30g)に、4%チオグリコレート培地(日水製薬社製)2mlを腹腔内投与し、4日後に頚椎脱臼により致死させ、腹部の体皮を剥離し、氷冷したCa2+、Mg2+を含まないリン酸緩衝化生理食塩水(PBS(-)) 7mlで腹腔内を洗浄して、洗浄液を回収した。
回収した洗浄液を遠心分離(1,000rpm, 10分, 4℃)し、PBS(-)で2回洗浄した後に、5%ウシ胎仔血清(FCS)、100単位/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン含有RPMI-1640培地(シグマ社製)に懸濁した。
次に、96ウェル平底マイクロプレートに5.0×105個の細胞(100μl培地/ウェル)を播種し、1時間前培養(5%, CO2, 37℃)し、PBS(-)で洗浄した後に、被験物質および10μl/ml LPS(サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)由来)を含む培地で20時間培養した。
【0041】
培養上清中に蓄積したNO2 -をNOとして、Griess法により定量した。すなわち、培養上清に同量のGriess試薬(1%スルファニルアミド/0.1% N-1-ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩/2.5%リン酸)を加えて混和し、10分間室温で放置した後に、マイクロプレートリーダー(モデル550、バイオラッド社)にて吸光度(測定波長570nm、参照波長655nm)を測定し、培地で希釈した。
NaNO2を標準液として培養上清に蓄積したNO2 -を定量した。また、被験物質による細胞毒性についてはMTT [3-(4,5-ジメチル-2-チアゾリル)-2,5-ジフェニル-2H-テトラゾリウムブロミド]アッセイ法を用い、生成したホルマザンを0.04M HCl含有2-プロパノールで溶解した後に、マイクロプレートリーダー(モデル550、バイオラッド社)にて吸光度(測定波長570nm、参照波長655nm)を測定した。
なお、被験物質にはDMSOに溶解し、培地に添加した(DMSOの終濃度0.5%)。
表3に示す結果を得た。
【0042】
表3:化合物(Ia)、化合物(Ib)および化合物(Ic)のLPS刺激によるNO産生抑制作用
【表3】
Figure 0004437019
各値は平均±SEM. (N=4)を示す。*;p<0.05、**;p<0.01
【0043】
化合物 ( Ia ) 、化合物 ( Ib ) および化合物 ( Ic ) の肝細胞内脂質代謝促進活性
化合物(Ia)〜(Ic)の肝細胞内脂質代謝促進活性を、以下のようにPPARαを指標として、PPARαリガンドであり、抗脂血症治療薬として知られているクロフィブレートを用いて比較実験を行った。
【0044】
ddY系雄性マウス(体重35〜40g)を用いてペントバルビタール麻酔下に、コラゲナーゼ潅流法によりマウス肝細胞を採取した。得られた細胞を48ウェルマイクロプレートに8×104細胞/ウェル(培養液:ウィリアムのE培地に牛胎児血清を10%添加、200μl/ウェル)ずつ播種し、5%CO2の存在下に、37℃で2時間、前培養した。これに、被験物質を含む培地200μl/ウェル(被験物質をDMSOに溶解した、DMSOの最終濃度;0.5容量%)を添加し、さらに20時間培養した。培養後、マイクロプレートを遠心分離(2000rpm、10分間、4℃)して、上清を除去した。各ウェルに水120μlを添加し、次いでマイクロプレートミキサーで10分間攪拌した後に、細胞を超音波処理により破砕した。破砕液を遠心分離し、上清液中の中性脂質濃度を市販キット(トリグリセライドGテストワコー、和光純薬)で測定して、細胞中の中性脂質量を求めた。測定結果を表4に示す。表中、各被験物質濃度における測定結果を、薬物未処置群(0.5%DMSO)の平均値を100として、これに対する相対値で示した。
【0045】
表4:化合物(Ia)、化合物(Ib)および化合物(Ic)の肝細胞中の中性脂質量に及ぼす影響
【表4】
Figure 0004437019
各値は平均±SEM. (N=4)を示す。*;p<0.05、**;p<0.01
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、キンポウゲ科クロタネソウ属植物またはその抽出物、あるいは該抽出物中に含まれる活性成分を、NO産生抑制剤用組成物ならびに脂質代謝促進剤用組成物として安全に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ニゲラシードのメタノール抽出および含有成分の精製工程の概略図を示す。

Claims (7)

  1. 有効成分が、式(I):
    Figure 0004437019
    [式中、Rは水素原子または式:
    Figure 0004437019
    であり、部分構造:
    Figure 0004437019
    は、Aが-OOH基である場合には、エンド型二重結合を有する、式:
    Figure 0004437019
    を意味し、Aが存在しない場合には、エキソ型二重結合を有する、式:
    Figure 0004437019
    を意味する]
    で表される化合物であるNO産生抑制または脂質代謝促進用組成物。
  2. 前記有効成分が、以下の式(Ia)〜(Id):
    Figure 0004437019
    で表される化合物である請求項1に記載の組成物
  3. 前記有効成分が、キンポウゲ科クロタネソウ属セイヨウクロタネソウのアルコール抽出物に含まれる請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記アルコール抽出物が低級アルコール抽出物である請求項3に記載の組成物。
  5. 前記アルコール抽出物が、さらに酢酸エチルと水とによる分配抽出処理に付されている請求項3または4に記載の組成物。
  6. 請求項1または2に記載の有効成分を含有する、NO産生抑制または脂質代謝促進用医薬組成物
  7. 式(Ia)〜(Id):
    Figure 0004437019
    で表される化合物。
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