JP5373230B2 - 窒化物半導体発光素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本願は窒化物半導体発光素子およびその製造方法に関するものである。
V族元素として窒素(N)を有する窒化物半導体は、そのバンドギャップの大きさから、短波長発光素子の材料として有望視されている。そのなかでも、窒化ガリウム系化合物半導体(GaN系半導体)の研究は盛んに行われ、青色発光ダイオード(LED)、緑色LED、ならびにGaN系半導体を材料とする半導体レーザも実用化されている。
GaN系半導体は、ウルツ鉱型結晶構造を有している。図1は、GaNの単格子を模式的に示している。AlxGayInzN(x+y+z=1,x≧0,y≧0,z≧0)半導体の結晶では、図1に示すGaの一部がAlおよび/またはInに置換され得る。
図2は、ウルツ鉱型結晶構造の面を4指標表記(六方晶指数)で表すために一般的に用いられている4つのベクトルa1、a2、a3、cを示している。基本ベクトルcは、[0001]方向に延びており、この方向は「c軸」と呼ばれる。c軸に垂直な面(plane)は「c面」または「(0001)面」と呼ばれている。なお、「c軸」および「c面」は、それぞれ、「C軸」および「C面」と表記される場合もある。添付図面では、見易さのため大文字の表記を使用している。
GaN系半導体を用いて半導体素子を製作する場合、GaN系半導体結晶を成長させる基板として、一般的に、c面すなわち(0001)面を主面とする基板が使用される。しかしながら、c面においてはGaの原子層と窒素の原子層の位置がc軸方向に僅かにずれているため、分極(Electrical Polarization)が形成される。このため、「c面」は「極性面」とも呼ばれている。分極の結果、活性層におけるInGaNの量子井戸方向にはc軸方向に沿ってピエゾ電界が発生する。このようなピエゾ電界が発生層に発生すると、キャリアの量子閉じ込めシュタルク効果により活性層内における電子およびホールの分布に位置ずれが生じるため、内部量子効率が低下する。このため、半導体レーザであれば、しきい値電流の増大が引き起こされる。LEDであれば、消費電力の増大や発光効率の低下が引き起こされる。また、注入キャリア密度の上昇と共にピエゾ電界のスクリーニングが起こり、発光波長の変化も生じる。
そこで、これらの課題を解決するため、非極性面、例えば[10−10]方向に垂直な、m面と呼ばれる(10−10)面を主面に有する基板を使用することが検討されている。ここで、ミラー指数を表すカッコ内の数字の左に付された「−」は、「バー」を意味する。m面は、図2に示されるように、c軸(基本ベクトルc)に平行な面であり、c面と直行している。m面においてはGa原子と窒素原子は同一原子免状に存在するため、m面に垂直な方向に分極は発生しない。その結果、m面に垂直な方向に半導体積層構造を形成すれば、活性層にピエゾ電界も発生しないため、上記課題を解決することができる。
m面は、(10−10)面、(−1010)面、(1−100)面、(−1100)面、(01−10)面、(0−110)面の総称である。なお、本明細書において、「X面成長」とは、六方晶ウルツ鉱構造のX面(X=c、mなど)に垂直な方向にエピタキシャル成長が生じることを意味するものとする。X面成長において、X面を「成長面」と称する場合がある。また、X面成長によって形成された半導体の層を「X面半導体層」と称する場合がある。
よって、例えばこのような非極性面を有する基板を使用して作製したLEDは、従来のc面上の素子に比べて発光効率の向上が実現できる。
このように、m面基板上で成長させたGaN系半導体素子は、c面基板上で成長させたものと比較して顕著な効果を発揮し得るが、c面基板上で成長させたものよりもコンタクト抵抗が高い、という問題がある。
特許文献1には、m面を主面とするGaN系半導体発光素子において、p型半導体領域に接触したMg層とMg層の上に形成されたAg層からなるp側電極によりコンタクト抵抗が低減できると述べられている。特許文献2には、m面を主面とするGaN系半導体発光素子において、ZnとAgからなる電極によりコンタクト抵抗が低減できると述べられている。特許文献1および2に記載のp側電極は、加熱処理を行うことでp型半導体側のGa元素が電極側に拡散し、p型半導体にアクセプターとして働くGa空孔が形成されるためにコンタクト抵抗が低くなることが開示されている。
また、特許文献3には、III−V族窒化物の半導体層上に形成されるものであって、Znに溶質元素が含まれるZn系物質による第1層と、前記第1層上部に積層されるものとして{Au、Co、Pd、Pt、Ru、Rh、Ir、Ta、Cr、Mn、Mo、Tc、W、Re、Fe、Sc、Ti、Sn、Ge、Sb、Al、ITO、ZITO、ZIO、GIO、ZTO、FTO、AZO、GZO、In4Sn312およびZn1-xMgxO(0≦x≦1)}で構成される群から選択された少なくとも1つの物質による第2層と、を含むことを特徴とするIII−V族GaN系化合物半導体の電極が開示されている。
また、特許文献4には、従来の装飾用銀合金であるAg−In−Cu−Ge合金中のInをPdで置換することにより、耐湿性が改良されたAg−Pd−Cu−Ge合金が提供できることが述べられている。
また、特許文献5には、Ag合金層120a、Ti層120b及びAu層120cをp−GaNコンタクト層118側からこの順に有しているp側電極120が開示されている。Ag合金層120aは、Agを主成分とし、Pd、Cu及びGeが添加されている。Geが添加されているので、Pb及びCuの相互作用を引き起こし、比較的低濃度のPd濃度及びCu濃度であっても、良好な熱的及び化学的安定性を得ることができる。さらにまた、Ag合金層120aに、Geを添加することにより、Pd及びCuの添加による反射率の低下を抑制することができる。Ag合金層120aは、Agに、Pdを1.0質量%、Cuを1.0質量%、Geを0.1質量%添加した合金である。
特許第4568379号公報 特許第4568380号公報 特開2005-136415号公報 特許第4417166号公報 特開2010−56423号公報
しかしながら、前述した従来の技術では、さらなる電力効率および発光効率の向上が課題となっていた。
本願の、限定的でない例示的なある実施形態は、電力効率および発光効率を向上することができる窒化物半導体発光素子およびその製造方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、成長面がm面であるp型半導体領域を有する窒化物系半導体積層構造と、前記p型半導体領域上に設けられた電極とを備えた窒化物半導体発光素子であって、前記p型半導体領域は、GaN系半導体から形成されており、前記電極は、Agを主成分とし、MgおよびZnの少なくとも一方とGeとを含む。
本発明の一態様にかかる窒化物半導体発光素子及びその製造方法によれば、電力効率および発光効率を向上させることができる。
GaNの単位格子を模式的に示す斜視図である。 ウルツ鉱型結晶構造の基本ベクトルa1、a2、a3、cを示す斜視図である。 (a)から(c)は本発明の例示的な実施形態に係る窒化物系半導体発光素子100の断面模式図である。 (a)はm面の結晶構造を表す図、(b)はc面の結晶構造を表す図である。 (a)はSIMS分析による、m−(Zn、Ge)Agの深さ方向プロファイル、(b)はm−(Zn)Agおよびm−(Zn、Ge)Agの熱処理前後の光反射率プロファイルである。 (a)はm−(Zn、Ge)Agの熱処理前後におけるTLM測定の電流−電圧特性、(b)はTLM電極パターン図である。 (a)および(b)はTLM測定から算出された固有コンタクト抵抗のグラフである。 (a)はm−(Ni、Ge)Ag、m−(Mg、Ge)Ag、m−(Zn、Ge)AgのSIMS分析によるGaの深さ方向プロファイル、(b)はm−(Ni、Ge)Ag、m−(Mg、Ge)Ag、m−(Zn、Ge)AgのSIMS分析によるGeの深さ方向プロファイルを示す図である。 (a)はm−(Ni、Ge)Ag、(b)はm−(Mg、Ge)Ag、(c)はm−(Zn、Ge)Agの光反射率プロファイルである。 m−(Zn、Ge)AgのTLM測定から算出された固有コンタクト抵抗のグラフである。 m面のp型コンタクト領域上に、Agが主成分でMgおよびGeを含む電極を形成してTLM測定を行った結果である。 (a)はc面上とm面上に作製した(Pd、Ge)Ag電極のTLM測定による電流−電圧特性、(b)はTLM測定から算出された固有コンタクト抵抗のグラフである。 (a)は、Ge層の厚さと、コンタクト抵抗との関係を示すグラフであり、(b)は、Geの厚さと、光の反射率との関係を示すグラフである。 は本発明の例示的な実施形態に係る光源の断面模式図である。
本発明についての一つの着想点について、以下に説明する。
例えば、一般的なフリップチップ型LEDにおいて、活性層から放出された光の一部は、p側電極で反射され、基板を通じて半導体層の外部へ出射される。この場合、LEDの活性層からの発光を効率よく外部に取り出すためには、高い反射率を有するp側電極層の形成が重要となる。p側電極層に用いる反射率の高い材料としてAgがある。
一般的に、金属膜を含む電極を半導体に設ける場合、半導体と金属の間に生じるショットキー障壁を取り除くために加熱処理を行う。金属膜がAgを含む場合、Agは加熱処理時に凝集現象を起こす可能性がある。この凝集現象では、金属膜表面に存在する過剰の自由エネルギー(表面エネルギー)が小さくなるように金属膜の表面積が小さくなる。この凝集現象により膜中をAg原子が移動する。そして、膜表面粗さの増大や膜中の空孔が発生し、光反射率が低下する場合がある。
発明者は、m面基板上に成長させたGaN系半導体層にAg電極を形成した場合、c面基板上に成長させたGaN系半導体層に形成したAg電極を形成した場合よりもAgの凝集が起こりやすいことを発見した。
また、Agは、腐食現象によって反射率劣化が生じやすい。例えば、酸素、硫黄およびハロゲンと反応しやすく、水分の存在する環境ではマイグレーションも起こりやすい。
そのような状況の中、発明者は、コンタクト抵抗の低減および光反射率の向上を両立することができ、電力効率および発光効率を向上させることができる手段を見出した。
本発明の一態様の概要は以下のとおりである。
(1)本発明の一態様の窒化物半導体発光素子は、成長面がm面であるp型半導体領域を有する窒化物系半導体積層構造と、前記p型半導体領域上に設けられた電極とを備えた窒化物半導体発光素子であって、前記p型半導体領域は、GaN系半導体から形成されており、前記電極は、Agを主成分とし、MgおよびZnの少なくとも一方とGeとを含む。
本発明の一態様の窒化物半導体発光素子によると、電力効率および発光効率を向上させることができる。
(2)前記(1)の前記電極におけるAgの濃度は50質量%以上、Mg、ZnおよびGeの濃度は合計50質量%以下であってもよい。
(3)前記(1)または(2)の前記電極におけるAgの濃度は90質量%以上、Mg、Zn、Geの濃度は合計10質量%以下であってもよい。
(4)前記(1)から(3)のいずれかの前記電極において、Geの濃度は0.05質量%以上2.0質量%以下であってもよい。
(5)前記(1)から(4)のいずれかの前記電極のうち前記p型半導体領域との界面において、Geの濃度よりもMgおよびZnのどちらか一方の濃度が高くてもよい。
(6)前記(1)から(5)のいずれかの前記電極と前記p型半導体領域との界面のGe濃度は、前記p型半導体領域側とは反対側の電極表面のGe濃度よりも低くてもよい。
(7)前記(1)から(6)のいずれかの前記電極は、前記p型半導体領域から拡散したGaを含んでおり、前記電極中のGa濃度は前記p型半導体界面から離れるにしたがって低くなっていてもよい。
(8)前記(1)から(7)のいずれかの前記電極において、Ag、Mg、Zn、GeおよびGa以外の元素の濃度が0.1質量%以下であってもよい。
(9)前記(8)において、前記元素は、Ni、Cu、Pd、In、Sn、Nd、Sm、Pt、AuおよびBiの少なくとも一つを含んでいてもよい。
(10)前記(1)から(9)のいずれかにおいて、前記電極の波長450nmの光に対する反射率は85%以上であってもよい。
(11)前記(1)から(10)のいずれかの前記電極の波長520nmの光に対する反射率は90%以上であってもよい。
(12)前記(1)から(11)のいずれかの前記電極の厚さは2nm以上500nm以下であってもよい。
(13)前記(1)から(12)のいずれかの前記p型半導体領域は、AlxGayInzN(x+y+z=1,x≧0,y>0,z≧0)半導体から形成されていてもよい。
(14)本発明の一態様の光源は、前記(1)から(13)の何れかの窒化物半導体発光素子と、前記窒化物半導体発光素子から放射された光の波長を変換する蛍光物質を含む波長変換部とを備える。
(15)本発明の一態様の窒化物半導体発光素子の製造方法は、基板を用意する工程(a)と、成長面がm面であるp型半導体領域を有する窒化物系半導体積層構造を前記基板上に形成する工程(b)と、前記p型半導体領域の前記成長面上に電極を形成する工程(c)とを含む窒化物半導体発光素子の製造方法であって、前記p型半導体領域は、GaN系半導体から形成されており、前記電極は、Agを主成分とし、MgおよびZnの少なくとも一方と、Geとを含む。
(16)前記(15)において、前記工程(c)は、前記p型半導体領域の前記成長面上に、Zn層およびMg層の少なくとも一方を堆積する工程と、Geを含むAg合金層を堆積する工程とを含んでいてもよい。
(17)前記(15)において、前記工程(c)は、前記p型半導体領域の前記成長面上に、Ge層を堆積する工程と、Zn層またはMg層を堆積する工程とを含んでいてもよい。
(18)前記(15)において、前記工程(c)は、Geと、ZnおよびMgの少なくとも一つとを含むAg合金層を堆積する工程を含んでいてもよい。
(19)前記(15)から(18)のいずれかにおいて、前記工程(c)は、400℃以上600℃以下で前記電極を加熱する工程を含んでいてもよい。
(20)前記(15)から(19)のいずれかにおいて、前記工程(c)では、前記電極におけるAg、Mg、Zn、GeおよびGa以外の元素の濃度が0.1質量%以下となるように前記電極を形成してもよい。
(21)前記(15)から(20)のいずれかにおいて、前記電極を加熱する工程の後の前記電極と前記p型半導体領域との界面のGe濃度は、前記p型半導体領域側とは反対側の電極表面のGe濃度よりも低くてもよい。
以下、図面を参照しながら、本発明の例示的な実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
図3(a)から(c)は、本発明の例示的な実施形態に係る窒化物系半導体発光素子100の断面構成を模式的に示している。図3(a)から(c)に示した窒化物系半導体発光素子100は、GaN系半導体からなる窒化物系半導体積層構造を有している。
本実施形態の窒化物系半導体発光素子100は、m面を成長面(表面)12とするGaN系基板10と、m面の上に形成された半導体積層構造20と、半導体積層構造20の上に形成された電極30とを備えている。本実施形態では、半導体積層構造20は、m面成長によって形成されたm面半導体積層構造であり、その成長面はm面である。なお、r面サファイア基板上にはa面GaNが成長するという事例もあることから、成長条件によっては必ずしもGaN系基板10の主面がm面であることが必須とならない。本実施形態の構成においては、少なくとも半導体積層構造20のうち、電極と接触する半導体領域の成長面がm面であればよい。
本実施形態の窒化物系半導体発光素子100は、半導体積層構造20を支持するGaN系基板10としてGaN基板を備えているが、GaN基板に代えて他の基板を備えていても良いし、基板が取り除かれた状態で使用されることも可能である。
図4(a)は、成長面がm面である窒化物系半導体の断面(基板主面に垂直な断面)における結晶構造を模式的に示している。Ga原子と窒素原子は、m面に平行な同一原子面上に存在するため、m面に垂直な方向に分極は発生しない。すなわち、m面は非極性面であり、m面に垂直な方向に成長した活性層内ではピエゾ電界が発生しない。なお、添加されたInおよびAlは、Gaのサイトに位置し、Gaを置換する。Gaの少なくとも一部がInやAlで置換されていても、m面に垂直な方向に自発分極は発生しない。
m面を主面に有するGaN系基板は、本明細書では「m面GaN系基板」と称される。m面に垂直な方向に成長したm面窒化物系半導体積層構造を得るには、典型的には、m面GaN系基板を用い、その基板のm面上に半導体を成長させればよい。GaN系基板の主面の面方位が、半導体積層構造の面方位に反映されるからである。しかし、前述したように、基板の主面がm面である必要は必ずしも無く、また、最終的なデバイスに基板が残っている必要もない。
参考のために、図4(b)に、成長面がc面である窒化物系半導体の断面(基板主面に垂直な断面)における結晶構造を模式的に示す。Ga原子と窒素原子は、c面に平行な同一原子面上に存在しない。その結果、c面に垂直な方向に自発的な分極が発生する。c面を主面に有するGaN系基板を、本明細書では「c面GaN系基板」と称する。
c面GaN系基板は、GaN系半導体結晶を成長させるための一般的な基板である。c面に平行なGaの原子層と窒素の原子層の位置がc軸方向に僅かにずれているため、c軸方向に沿って分極が形成される。
再び、図3(a)を参照する。m面GaN系基板10の成長面(m面)12の上には、半導体積層構造20が形成されている。半導体積層構造20は、AlaInbGacN層(a+b+c=1,a≧0, b≧0, c≧0)を含む活性層24と、AldGaeN層(d+e=1, d≧0, e≧0)25を含んでいる。AldGaeN層25は、活性層24を基準にして成長面12の側とは反対の側に位置している。ここで、活性層24は、窒化物系半導体発光素子100における電子注入領域である。
本実施形態の半導体積層構造20には、他の層も含まれており、活性層24とGaN系基板10との間には、AluGavInwN層(u+v+w=1, u≧0, v≧0, w≧0)22が形成されている。本実施形態のAluGavInwN層22は、第1導電型(n型)のAluGavInwN層22である。また、活性層24とAldGaeN層25との間に、アンドープのGaN層を設けてもよい。
AldGaeN層25において、Alの組成比率dは、厚さ方向に一様である必要はない。AldGaeN層25において、Alの組成比率dが厚さ方向に連続的または階段的に変化していても良い。すなわち、AldGaeN層25は、Alの組成比率dが異なる複数の層が積層された多層構造を有していても良いし、ドーパントの濃度も厚さ方向に変化していてもよい。なお、コンタクト抵抗低減の観点から、AldGaeN層25の最上部(半導体積層構造20の上面部分)は、Alの組成比率dがゼロである層(GaN層)から構成されていてもよい。また、Al組成dはゼロでなくてもよく、Al組成を0.05程度とした、Al0.05Ga0.95Nを用いることもできる。
AldGaeN層25には、第2導電型(p型)のドーパントがドープされている。p型ドーパントとしては、Mgが一般的に使用されるが、例えばZn、Beなどがドープされていてもよい。
AldGaeN層25の成長面側には、p型コンタクト領域26が存在する。p型コンタクト領域26はAldGaeN層25の一部であって、明瞭な境界を有する積層構造になっている必要はない。p型コンタクト領域26においては、AldGaeN層25と比べて、Gaの空孔が多数存在しており、Gaのサイトに置換される活性なドーパントの量が多くなるため、キャリア濃度が高くて抵抗が低い。なお、コンタクト抵抗をさらに低減するため、p型コンタクト領域26には、p型ドーパントがAldGaeN層25と比較して高濃度にドーピングされていてもよい。p型コンタクト領域26の厚さは、10nm以上50nm以内であってもよい。
電極30は、p型コンタクト領域26に接触しており、p型電極(p側電極)として機能する。本実施形態では、電極30は、第2導電型(p型)のドーパントがドープされたp型コンタクト領域26に接触している。
電極30は、Agを主成分とし、ZnまたはMgの少なくとも一方と、Geを含んでいる。電極30は、Agを50質量%以上含み、ZnまたはMgの少なくとも一方とGeとをあわせて50質量%以下だけ含む合金である。より望ましくは、電極30におけるAgの濃度が90質量%以上、ZnまたはMgの少なくとも一方とGeの濃度はあわせて10質量%以下である。Agの濃度が90質量%以上であれば、光の反射率を特に高くすることができる。望ましくは、半導体界面において、Geは、ZnまたはMgよりも少ない。電極30のうち半導体との界面から100nmまでの領域において、Geは、例えば1質量%以下の濃度で含まれている。電極30のうち半導体との界面から100nmまでの領域におけるGeの割合が1質量%以下であれば、十分に低いコンタクト抵抗が得られる。また、電極30のうち半導体との界面から100nmまでの領域において、Geが0.01質量%以下であってもよい。これにより、さらに低いコンタクト抵抗が得られる。また、電極30のうち半導体との界面から40nmまでの領域において0.01質量%以下であってもよい。これにより、さらに低いコンタクト抵抗が得られる。
また、電極30全体において、Geは、例えば0.05質量%以上2.0質量%以下の濃度で含まれている。Geの濃度が0.05質量%以上であることにより、容易に作製することができる。さらに、Geの濃度は、1質量%以下であってもよい。
電極30は、接触するGaN系半導体由来のGaを含む。電極30は、製造する上で不可避な不純物(例えば、Ni、Cu、Pd、In、Sn、Nd、Sm、Pt、Au、Bi等)を含んでいてもよいが、その濃度(Ag、Mg、Zn、GeおよびGa以外の元素の濃度)はあわせて0.1質量%以下である。
電極30は、Ag層と、Zn層またはMg層の少なくとも一方と、Ge層とからなる積層電極でもよいし、Ag層と、Zn層またはMg層の少なくとも一方と、Ge層とが一部合金化している構造を有していてもよい。また、電極30は、AgにZnまたはMgの少なくとも一方と、Geがほぼ均一に拡散している合金の単層構造でもよい。
発光素子100から効率よく光を取り出すためには、本実施形態のように光の吸収が少ない、すなわち光に対して高い反射率を有する電極を選択するのが望ましく、AgまたはAgを主成分とする合金層が、p型コンタクト領域26に接するように形成されていてもよい。
電極30は、Agを主成分とし、ZnまたはMgの少なくとも一方と、Geを含んでいるが、その上面(半導体との界面と対向する面)に金属層31を配置しても良い。金属層31は、図3(b)のように電極30の上面のみに接触していてもよいし、図3(a)および(c)のように上面と側面を覆っていてもよい。
前述のように、Agは他の物質(例えば、酸素、硫黄、ハロゲン、水分)と反応して反射率が劣化しやすい。Ag合金化は純粋なAgと比べて反射率劣化の進行は遅くなるが、反応しやすい物質との接触を遮断する構造にしておくことが信頼性上望ましい。すなわち、電極30は、図3(a)のようにp型コンタクト領域26と金属層31のみに接触しているか、図3(b)および(c)のようにp型コンタクト領域26と金属層31と絶縁膜50のみに接触していることが望ましい。
絶縁膜50は、酸化珪素(SiOx)や窒化珪素(SiNx)、その他の一般的に使用される絶縁膜で形成するが、全体が均一な組成である必要はない。例えば、半導体積層構造20や電極30に接触している領域はSiOxで、表面側(半導体との界面と対向する面)はSiNxであってもよい。一般に、酸化物よりも窒化物のほうが疎水性なので、絶縁膜50に窒化物の層を使用することで電極30と水分の接触を抑制できる。
金属層31には、電極30の内部に拡散して光反射率が低い合金を形成したり、コンタクト抵抗を劣化させたりしない金属を選択してもよい。すなわち金属層31として、Ti、Fe、W、Pd、Pt、Ni、Moのように、Ag層と混ざり合いにくい、または、AlxGayInzN(x+y+z=1,x≧0,y≧0,z≧0)中に拡散しにくいもしくは拡散してもドーパントと相殺しない金属を選択してもよい。
本実施形態の電極30の厚さは、例えば、20nm以上500nm以下の範囲にしてもよい。電極30の厚さが20nm以上であることにより、後述する熱処理で凝集が起こりにくいため、電極30の材料が凝集してアイランド状になりにくい。また、電極30の厚さが500nm以下であることにより、歪が大きくなるのを回避できるため、電極30を剥がれにくくすることができる。
また、m面の成長面12を有するGaN系基板10の厚さは、例えば、100〜400μmである。これはおよそ100μm以上の基板厚であればウエハのハンドリングに支障が生じないためである。なお、本実施形態のGaN系基板10は、GaN系材料からなるm面の成長面12を有していれば、積層構造を有していても構わない。すなわち、本実施形態のGaN系基板10は、少なくとも成長面12にm面が存在している基板も含み、したがって、基板全体がGaN系であってもよいし、他の材料との組み合わせであっても構わない。
本実施形態の構成では、n型のAluGavInwN層(例えば、厚さ0.2〜2μm)22の一部に、電極40(n型電極)が形成されている。図示した例では、半導体積層構造20のうち電極40が形成される領域には、n型のAluGavInwN層22の一部が露出するように凹部42が形成されている。その凹部42にて露出したn型のAluGavInwN層22の成長面に電極40が設けられている。電極40は、例えば、Al層とPt層との積層構造から構成されており、電極40の厚さは、例えば、100〜200nmである。
本実施形態の活性層24は、Ga0.9In0.1N井戸層(例えば、厚さ9nm)とGaNバリア層(例えば、厚さ9nm)とが交互に積層されたGaInN/GaN多重量子井戸(MQW)構造(例えば、厚さ81nm)を有している。
活性層24の上には、p型のAldGaeN層25が設けられている。p型のAldGaeN層25の厚さは、例えば、0.2〜2μmである。なお、上述したように、活性層24とAldGaeN層25との間には、アンドープのGaN層を設けてもよい。
次に、引き続き図3を参照しながら、本実施形態の窒化物系半導体発光素子100の製造方法を説明する。
まず、m面GaN系基板10を用意する。本実施形態では、GaN系基板10として、GaN基板を用いる。本実施形態のGaN基板は、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法を用いて得られる。
例えば、まずc面サファイア基板上に数mmオーダの厚膜GaNを成長する。その後、厚膜GaNをc面に垂直方向、m面で切り出すことによりm面GaN基板が得られる。GaN基板の作製方法は、上記に限らず、例えばナトリウムフラックス法などの液相成長やアモノサーマル法などの融液成長方法を用いてバルクGaNのインゴットを作製し、それをm面で切り出す方法でも良い。
GaN系基板10の代わりに、例えば、酸化ガリウム、SiC基板、Si基板、サファイア基板などを用いることができる。基板上にm面から成るGaN系半導体をエピタキシャル成長するためには、SiCやサファイア基板の面方位もm面である方が良い。ただし、r面サファイア基板上にはa面GaNが成長するという事例もあることから、成長条件によっては必ずしも成長用表面がm面であることが必須とならない場合もあり得る。少なくとも半導体積層構造20の成長面がm面であれば良い。本実施形態では、GaN系基板10の上に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により結晶層を順次形成していく。
次に、m面GaN系基板10の上に、AluGavInwN層22を形成する。AluGavInwN層22として、例えば、厚さ3μmのAlGaNを形成する。GaNを形成する場合には、m面GaN系基板10の上に、1100℃でTMG(Ga(CH33)、TMA(Al(CH33)およびNH3を供給することによってGaN層を堆積する。
次に、AluGavInwN層22の上に、活性層24を形成する。この例では、活性層24は、厚さ9nmのGa0.9In0.1N井戸層と、厚さ9nmのGaNバリア層が交互に積層された厚さ81nmのGaInN/GaN多重量子井戸(MQW)構造を有している。Ga0.9In0.1N井戸層を形成する際には、Inの取り込みを行うために、成長温度を800℃に下げてもよい。
次に、活性層24の上に、例えば厚さ30nmのアンドープGaN層を堆積する。次いで、アンドープGaN層の上に、AldGaeN層25を形成する。AldGaeN層25として、例えば、TMG、NH3、TMA、TMIおよびp型不純物としてCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を供給することにより、厚さ70nmのp−Al0.14Ga0.86Nを形成する。AldGaeN層25の成長面側、例えば厚さ20nmの領域を堆積する際に、Cp2Mgの供給量を増やし、Mgの濃度が7×1019atoms/cm3のp型コンタクト領域26を形成する。
以上の手順でGaN系基板10の上に作製した半導体積層構造20は、アセトンおよびエタノールで超音波洗浄して有機物やパーティクルなどの汚れを除去し、p型コンタクト領域26表面側にレジストパターンを形成して、p型コンタクト領域26、AldGaeN層25、アンドープGaN層および活性層24の一部を塩素系ドライエッチングで除去して凹部42を形成し、AluGavInwN層22のn型電極形成領域を露出させる。
次いで、凹部42の底部に位置するn型電極形成領域の上に、電極40を形成する。電極40は、例えば、真空蒸着法(抵抗加熱法、電子ビーム法など)やスパッタ法を用いて、Ti、Al、Ptの順に堆積する。
次に、p型コンタクト領域26の上に電極30を形成する。例えば、電子ビーム蒸着法を用いて、Zn、Ge、Agの順で、それぞれ厚さ0.5nm、0.5nm、400nmずつ堆積し、窒素と酸素を10:1で混合した雰囲気中で500度の加熱処理を10分間行う。この熱処理は、例えば、400℃以上600℃以下の温度で行う。この場合、電極30の全質量のうち、ZnとGeの割合はそれぞれ約0.085質量%と約0.063質量%になる。
本工程において、Zn層の厚さは例えば0.5nm以上10nm以下、Ge層の厚さは例えば0.5nm以上10nm以下である。Geの厚さを0.5nm以上とすることにより、制御性よくGe層を形成することができる。また、Geの厚さを10nm以下とすることにより、電極による光の反射率を高い範囲に保つことができる。Ag層の厚さは例えば50nm以上500nm以下にすればよい。Ag層の厚さがこの範囲内であれば、Agの凝集が抑制される。また、電極におけるZnの質量%は例えば0.05%以上10%以下、Geの質量%は例えば0.05%以上10%以下、Agの質量%は例えば80%以上99.9%以下にすればよい。
なお、電極30を形成するために元素を堆積する順番は、上述の順番に限られない。例えば、Ge、Zn、Agの順に堆積してもよい。例えば、Znを堆積した後に、Geを含むAg層を堆積してもよい。また、Ge、Zn、Agの合金層を堆積してもよい。Znの代わりにMgを用いることもできる。また、Znに加えてMgを用いることもできる。
電子ビーム蒸着法は、電子ビームで原料を蒸気にして試料表面に吸着させる方法であるが、電極30には、ZnとGe以外に、原料の金属ペレットを製造する上で不可避な不純物(例えば、Ni、Cu、Pd、In、Sn、Nd、Sm、Pt、Au、Bi等)をすべて合計して0.1質量%以下含んでいてもよい。加熱処理を行うことによって、電極30を構成するZn、Ge、Agは相互拡散し合金化する。電極30は、均一な合金である必要はなく、一部偏析していてもよいし積層構造になっていてもよい。以下、電極30の構成は、m−(Zn、Ge)Agのように表記する。この場合、m面を成長面とするGaN系半導体の上に形成した、Agを主成分としてZnとGeを含む金属膜を意味する。
図5(a)は、本実施形態によって作製したm−(Zn、Ge)Ag電極のSIMS(Secondary Ion−microprobe Mass Spectrometer)分析結果である。1次イオンとしてCs+を試料に入射し、スパッタされた2次イオンの質量を測定することで、試料を構成する元素および量に関する深さ方向のプロファイルが得られた。ZnとMgは左縦軸の濃度atoms/cm3に、それ以外の元素は右縦軸の検出強度である。横軸の距離は、SIMS測定後のスパッタ痕の深さからスパッタレート一定と仮定して算出した値で、Gaの強度が半減している領域を電極と半導体との界面(距離=0)と定義した。図5(a)で明らかなように、Zn、Ge、Agを堆積させ、500度の熱処理を10分間行った電極において、ZnとGeは層状には存在しておらず、主成分のAgの膜中に拡散していることがわかる。
なお、図5(a)から明らかなように、電極(横軸が-0.4から0.0の領域)は、半導体から拡散したGaを含んでおり、電極中のGa濃度は半導体との界面から離れるにしたがって低くなっている。
続いて、電極30の上面に、金属層31を形成する。金属層31は、例えば厚さ200nmのTiの膜である。金属層31は、Ti、Pt、Mo、Pd、Au、W、などを含む単層でもよいし積層構造でもよい。図3(a)や図3(c)のように、電極30の上面および側壁を金属層31で覆う構造にすると、電極30と大気が接触しないため、Agのマイグレーションや硫化、酸化、ハロゲン化などの腐食を抑制することができる。電極30と大気の接触を防ぐ膜は必ずしもすべてが金属である必要はなく、図3(b)のように、上面は金属層31、側面は絶縁膜50の一部によって被覆されていてもよい。絶縁膜50は、例えば厚さ400nm程度のSiNxが用いられる。
さらに、前述の金属保護電極または誘電体保護膜の上に、配線用の金属(Au、AuSnなど)を形成してもよい。
レーザリフトオフ、エッチング、研磨などの方法を用いて、GaN系基板10、AluGavInwN層22の一部までを除去してもよい。このとき、GaN系基板10のみを除去してもよいし、GaN系基板10およびAluGavInwN層22の一部だけを選択的に除去してもよい。もちろん、GaN系基板10、AluGavInwN層22を除去せずに残してもよい。以上の工程により、本実施形態の窒化物系半導体発光素子100が形成される。
本実施形態の窒化物系半導体発光素子100において、電極40と電極30との間に電圧を印加すると、電極30から活性層24に向かって正孔が、電極40から活性層24に向かって電子が注入され、例えば450nm波長の発光が生じる。
本実施形態によって作製したm−(Zn、Ge)Ag電極の特徴を図5(a)から図6(b)を参照して説明する。
図5(b)は、m面GaN上に0.5nmのZn層と0.5nmのGe層と400nmのAg層を堆積させた試料m−(Zn、Ge)Agと、m面GaN上に0.5nmのZn層と400nmのAg層を堆積させた試料m−(Zn)Agの反射率測定結果である。反射率の測定は、入射光をGaN系基板10側から入射角5度で照射して行っており、波長375nm以下で反射率が落ち込んでいるのは、GaN系基板10の光吸収のためである。m−(Zn)Agの反射率は、熱処理前は375nm以上の波長領域で94%と高いが、窒素と酸素を10:1で混合した雰囲気中で500度の加熱処理を10分間行ったところ、全波長領域で反射率が低下した。
一方、m−(Zn、Ge)Agは加熱処理前に反射率が低く、Geの光吸収が大きいことが分かる。ところが、m−(Zn、Ge)Agは加熱処理後に反射率が高くなっている。これは、図5(a)のSIMS結果からもわかるように、GeがZnとともに金属膜側に拡散し、半導体界面付近における光の吸収が小さくなったためだと考えられる。測定を行った全波長領域において、熱処理後の反射率はm−(Zn)Agよりもm−(Zn、Ge)Agが高く、波長450nmで88%、波長520nmで94%であった。本実施形態においては、Geを電極30に添加することにより、例えば波長450nmの光に対する反射率を85%以上に、波長520nmの光に対する反射率を90%以上にすることができる。
また、加熱処理後に注目すると、m−(Zn)Agは波長500nm付近、m−(Zn、Ge)Agは460nm付近に特異的な反射率の低下が見られる。これは、Agの凝集によるピンホールや粒界が原因と考えられ、Agに加える元素の種類や濃度、加熱処理の雰囲気や温度条件によって、反射率の低下する程度や波長領域は変化する。
図6(a)は、本実施形態によって作製したm−(Zn、Ge)Ag電極のTLM(Transmission Line Method)測定結果である。TLM測定は、図6(b)に示す電極パターン間の電流−電圧測定を行って固有コンタクト抵抗を算出する方法であり、m−(Zn、Ge)Ag電極の固有コンタクト抵抗は平均で8.4×10-4Ω・cm2と低い値が得られた。コンタクト抵抗は、一般に、コンタクトの面積S(cm2)に反比例する。ここで、コンタクト抵抗をR(Ω)とすると、R=Rc/Sの関係が成立する。比例定数のRcは、固有コンタクト抵抗と称され、コンタクト面積Sが1cm2のときのコンタクト抵抗Rに相当する。すなわち、固有コンタクト抵抗の大きさは、コンタクト面積Sに依存せず、コンタクト特性を評価するための指標となる。以下、「固有コンタクト抵抗」を「コンタクト抵抗」と略記する場合がある。
[比較実験1]
実施の形態と同様の手法で半導体積層構造20を堆積し、p型コンタクト領域26の上にAgを主成分とする種々の電極を形成し、TLM測定を行った。固有コンタクト抵抗を表にまとめる。
図7(a)は、m−(Ge)Ag電極、m−(Pd)Ag電極、m−(Ni)Ag電極、m−(Mg)Ag電極およびm−(Zn)Ag電極の固有コンタクト抵抗の測定結果である。それぞれの電極を作製するために、Ge、Pd、Ni、Mg、Znのいずれか一種類の金属をp型コンタクト領域26の上に厚さ0.5nm堆積させ、その上に厚さ400nmのAgの層を堆積させ、窒素と酸素を10:1で混合した雰囲気中で500度の加熱処理を10分間行った。なお、図中の縦軸に示した「1E−1」は「1×10-1」を意味し、「1E−2」は「1×10-2」を意味し、すなわち、「1E+X」は、「1×10X」の意味である。
図7(a)に示すように、m−(Pd)Ag電極、m−(Ni)Ag電極、m−(Mg)Ag電極およびm−(Zn)Ag電極は、いずれもコンタクト抵抗が1〜2×10-3Ω・cm2と低い値だが、m−(Ge)Ag電極のみコンタクト抵抗が7.5×10-2Ω・cm2と高い。PdおよびNiは、従来のc面GaN系半導体素子のp型電極として使用されているとおり、仕事関数が大きくオーミック接触が形成されやすい。一方、特許文献1および2に記載されるように、MgおよびZnを有する電極においては、m面GaNの上に堆積させて熱処理を行うとGa原子が半導体層から引き抜かれ、アクセプターとして働くGa空孔が形成されるためコンタクト抵抗が低くなったと考えられる。しかし、Geは仕事関数も小さく、n型ドーパントとして働く元素であることから、p型ドーパントとの補償が起こり、m−(Ge)Ag電極のコンタクト抵抗が高くなったと考えられえる。
図7(b)は、m−(Pd、Ge)Ag電極、m−(Ni、Ge)Ag電極、m−(Mg、Ge)Ag電極およびm−(Zn、Ge)Ag電極の固有コンタクト抵抗の測定結果である。それぞれの電極を作製するために、Pd、Ni、Mg、Znのいずれか一種類の金属をp型コンタクト領域26の上に厚さ0.5nm堆積させ、その上に厚さ0.5nmのGeを堆積させ、その上に厚さ400nmのAgの層を堆積させ、窒素と酸素を10:1で混合した雰囲気中で500度の加熱処理を10分間行った。前述のとおり、Geはp型電極に悪影響を起こすため、m−(Pd、Ge)Ag電極、m−(Ni、Ge)Ag電極、m−(Mg、Ge)Ag電極のコンタクト抵抗は、Geを使用していないm−(Pd)Ag電極、m−(Ni)Ag電極、m−(Mg)Ag電極の値と比較すると高い。しかしながら、m−(Zn、Ge)Ag電極のコンタクト抵抗は平均8.4×10-4Ω・cm2と、m−(Zn)Ag電極よりも低い値である。
図8から図9を参照して、このような結果が得られた理由を考察する。
図8(a)は、SIMS測定で得られたGaのプロファイルで、m−(Ni、Ge)Ag電極の加熱処理前「△」と加熱処理後「▲」、m−(Mg、Ge)Ag電極の加熱処理前「□」と加熱処理後「■」、m−(Zn、Ge)Ag電極の加熱処理前「○」加熱処理後「●」を表している。加熱処理前のGaプロファイルは3つの電極ともほぼ同じで重なっているが、熱処理後のGaプロファイルに変化が見られる。すなわち、電極側(横軸マイナス側)にGaが拡散しており、拡散しているGaの量がm−(Zn、Ge)Ag、m−(Mg、Ge)Ag、m−(Ni、Ge)Agの順に大きい。前述のように、MgおよびZnを用いると、m面GaNのGaが電極側に拡散して、Ga空孔が多数形成されていることがわかる。
図8(b)は、SIMS測定で得られたGeのプロファイルで、m−(Ni、Ge)Ag電極の加熱処理前「△」と加熱処理後「▲」、m−(Mg、Ge)Ag電極の加熱処理前「□」と加熱処理後「■」、m−(Zn、Ge)Ag電極の加熱処理前「○」加熱処理後「●」を表している。加熱処理前は3つの電極とも半導体との界面付近にGeが多数存在していることを示すピークが見られるが、熱処理を行うといずれも電極側に拡散している。加熱処理後の半導体界面に注目すると、m−(Ni、Ge)Ag、m−(Mg、Ge)Ag、m−(Zn、Ge)の順にGeの強度が強く、アクセプターを補償するGeが残存しているのがわかる。
熱処理後のm−(Zn,Ge)Ag電極中の総Ge量は全体の約0.06質量%で、電極において半導体との界面から電極側に100nmまでの領域の積算強度は約14%なので、0.06×0.14=約0.009となり、約0.009質量%のGeが存在することになる。また、熱処理後のm−(Ni,Ge)Ag電極中において界面から電極側に100nmまでの領域のGe濃度は約0.015質量%である。また、熱処理後のm−(Mg,Ge)Ag電極中において界面から電極側に100nmまでの領域のGe濃度は約0.017質量%である。
また、熱処理後のm−(Zn,Ge)Ag電極中において界面から電極側に40nmまでの領域のGe濃度は約0.005質量%である。また、熱処理後のm−(Ni,Ge)Ag電極中において界面から電極側に40nmまでの領域のGe濃度は約0.011質量%である。また、熱処理後のm−(Mg,Ge)Ag電極中において界面から電極側に40nmまでの領域のGe濃度は約0.012質量%である。(表1)に、熱処理後のそれぞれの電極における半導体との界面からの距離とGe濃度との関係を示す。(表1)に示すように、電極と半導体との界面(半導体/金属界面)のGe濃度は、半導体とは反対側の電極表面(金属表面)のGe濃度よりも低くなっている。
Figure 0005373230
図9(a)から(c)は、それぞれ、加熱処理後のm−(Ni、Ge)Agとm−(Ni)Ag、m−(Mg、Ge)Agとm−(Mg)Ag、m−(Zn、Ge)Agとm−(Zn)Agの反射率測定結果である。Geを使用することで、いずれも反射率が高くなっている。一般的に使用されている青色LEDの発光波長450nmで比較すると、m−(Zn、Ge)Ag、m−(Mg、Ge)Ag、m−(Ni、Ge)Agの順で反射率は高く、図8(b)のGeプロファイルの結果と矛盾しない結果である。すなわち、光を吸収しやすいGeが半導体界面から拡散しやすい電極構成ほど、反射率が高くなっている。
以上の結果より、Ga空孔が形成されやすいほど、固有コンタクト抵抗が低くなり、さらに、Geが半導体界面から電極表面側に拡散しやすいほど、固有コンタクト抵抗が低くなると言える。また、Geが多量に半導体界面に留まっていると光を吸収してしまうため、実施の形態のように、金属の層を積層させて熱処理を行い合金化する製造方法の場合、Geが半導体界面より電極表面に向かって拡散しやすい構成であることが望ましい。すなわち、本実験において、m−(Zn、Ge)Ag電極が、Ga空孔を形成しやすく、Geを電極表面側に拡散させやすいため、低いコンタクト抵抗と高い反射率を実現することができたと考えられる。
また、以上の結果を鑑みると、p型コンタクト領域26の上にMg層を堆積し、Mg層の上に極微量(例えば、0.05質量%以下)のGeを含むAgを主成分とする合金を堆積し、加熱処理を行う製造方法を用いることによって、MgのGa空孔形成の効果とGeが偏析していない半導体界面を得ることができ、前述のm−(Zn、Ge)Ag電極と同等の効果が期待できる。
[比較実験2]
図10は、m面のp型コンタクト領域上に、Agが主成分でZnおよびGeを含む電極を形成してTLM測定を行った結果である。
試料(1)は、m面のp型コンタクト領域上に、0.2nmのZn層を堆積させ、その上に0.5nmのGeを堆積させ、その上にAgを400nm堆積させることにより作製した。
試料(2)は、m面のp型コンタクト領域上に、0.5nmのZn層を堆積させ、その上に0.5nmのGeを堆積させ、その上にAgを400nm堆積させることにより作製した。
試料(3)は、m面のp型コンタクト領域上に、0.5nmのGe層を堆積させ、その上に0.5nmのZnを堆積させ、その上にAgを400nm堆積させることにより作製した。
試料(1)、(2)、(3)に対しては、窒素と酸素を10:1で混合した雰囲気中で500度の加熱処理を10分間行った。図10に示すように、すべての試料において、固有コンタクト抵抗の値は、約1×10-3Ω・cm2である。この結果から、上記いずれの製造方法でも、低抵抗なp型電極が作製可能であることがわかる。
[比較実験3]
図11は、m面のp型コンタクト領域上に、Agが主成分でMgおよびGeを含む電極を形成してTLM測定を行った結果である。
試料(4)は、m面のp型コンタクト領域上に、厚さ0.5nmのMg層と、厚さ0.5nmのGe層と、厚さ400nmのAg層とを順次堆積することにより作製した。
試料(5)は、m面のp型コンタクト領域上に、厚さ0.5nmのMg層と、厚さ400nmのGe-Ag合金層とを順次堆積することにより作製した。Ge-Ag合金層の蒸着源としては、母材がAgであり、Geを0.1質量%含むGe-Ag合金を用いた。
試料(4)、(5)に対しては、窒素と酸素を10:1で混合した雰囲気中で500度の加熱処理を10分間行った。
試料(4)のコンタクト抵抗は平均4.2×10-3Ω・cm2であり、試料(5)のコンタクト抵抗は平均6.2×10-4Ω・cm2である。この結果から、試料(5)においては、試料(4)よりもさらに低いコンタクト抵抗が得られていることがわかる。
試料(4)のSIMS測定結果においては、電極のうち半導体との界面付近に、わずかなGeのピークが観測された。試料(4)においては界面にGeが存在し、コンタクト特性に悪影響を及ぼしていると考えられる。試料(5)においては、界面におけるGe濃度が試料(4)よりも低く、より良好なコンタクト特性が得られていると考えられる。
[比較実験4]
図12(a)と(b)は、c面GaNとm面GaNの上に、電極を作製してTLM測定を行った結果である。図12(a)は、8μm離れた電極間の電流―電圧特性を示す。図12(a)によると、c−(Pd、Ge)Ag電極はオーミック特性を示すが、m−(Pd、Ge)Ag電極は電圧が高くショットキー特性を示す。図12(b)は、固有コンタクト抵抗の算出結果を示すグラフである。m−(Pd、Ge)Ag電極のコンタクト抵抗はc−(Pd、Ge)Ag電極のコンタクト抵抗の約10倍も高い。このように、同じように作製した電極でも、半導体成長面の面方位によって異なる挙動を示す。
特許文献5には、PdとGeを含むAg電極が開示されているが、半導体成長面の面方位に関する記載はなく通常のc面GaNに関する技術だと考えられる。図12の結果から、特許文献5の技術は、m面GaNには容易に適応できないことが明らかである。
以上のように、本実施形態のとおり作製した電極は、m面を成長面とする窒化物系半導体発光素子の電極30として、低いコンタクト抵抗と高い光反射率を実現する。これにより、高い発光効率の窒化物系半導体発光素子100を実現することができる。
本実施形態に係る上記の発光素子は、そのまま光源として使用されても良い。しかし、本実施形態に係る発光素子は、波長変換のための蛍光物質を備える樹脂などと組み合わせれば、波長帯域の拡大した光源(例えば白色光源)として好適に使用され得る。
[比較実験5]
図13(a)は、Ge層の厚さと、コンタクト抵抗との関係を示すグラフである。図13(a)に示す測定の試料は、p型コンタクト領域の上に、厚さ0.5nmのZn層と、Ge層と、厚さ400nmのAg層とを順次堆積し、500℃の温度で10分間の熱処理を行うことにより作製した。
Ge層の厚さが0.2nm、0.5nm、1.0nm、5nm、10nmのときのコンタクト抵抗の平均値は、それぞれ、6.0×10-4、1.9×10-3、1.8×10-2、3.8×10-2、3.9×10-2Ω・cm2であった。なお、Ge層の厚さが0.2nm、0,5nm、1.0nm、5nm、10nmのときの電極におけるGeの割合は、それぞれ、0.025質量%、0.063質量%、0.12質量%、0.64質量%、1.25質量%である。
この結果から、Geの厚さが0.5nm以下(電極におけるGeの質量%が0.063質量%以下)の場合には、1.9×10-3以下の低いコンタクト抵抗が得られることがわかる。
図13(b)は、Geの厚さと、光の反射率との関係を示すグラフである。図13(b)に示す測定の試料としては図13(a)の試料と同一のものを用いた。反射率の測定は、入射光をGaN系基板側から入射角5度で照射して行った。図13(b)には、電極の堆積後、熱処理を行う前(as-depo)の状態と、熱処理後の状態の試料の反射率が示されている。下記(表2)に、それぞれの試料の反射率を示す。
Figure 0005373230
この結果から、熱処理後には、Geの厚さが1.0nm以上(電極におけるGeの質量%が0.12質量%以上)の場合に、91%以上の高い反射率が得られることがわかる。
よって、より低いコンタクト抵抗を得るという観点から、Geの質量%は0.063%以下であってもよく、より高い反射率を得るという観点から、Geの質量%は0.12%以上であってもよいことがわかる。
図14は、このような白色光源の一例を示す模式図である。図14の光源は、図3(a)に示す構成を有する発光素子100と、この発光素子100から放射された光の波長を、より長い波長に変換する蛍光体(例えばYAG:Yttrium Alumninum Garnet)が分散された樹脂層200とを備えている。発光素子100は、表面に配線パターンが形成された支持部材220上に搭載されており、支持部材220上には発光素子100を取り囲むように反射部材240が配置されている。樹脂層200は、発光素子100を覆うように形成されている。
なお、電極30と接触するp型半導体領域がGaN、もしくはAlGaNから構成される場合について説明したが、Inを含む層、例えばInGaNであってもよい。この場合、Inの組成を例えば0.2とした「In0.2Ga0.8N」を、電極30と接するコンタクト層に用いることができる。GaNにInを含ませることにより、AlaGabN(a+b=1、a≧0、>0)のバンドギャップをGaNのバンドギャップよりも小さくできるため、コンタクト抵抗を低減することができる。以上のことから、電極30が接するp型半導体領域は、AlxInyGazN(x+y+z=1,x≧0,y>0,z≧0)半導体から形成されていればよい。
以上、本発明を例示的な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
なお実際のm面半導体の成長面は、m面に対して完全に平行な面である必要はなく、m面から所定の角度で傾斜していてもよい。傾斜角度は、窒化物半導体層における主面または成長面の法線とm面の法線とが形成する角度により規定される。傾斜角度θの絶対値は、c軸方向において5°以下、または1°以下の範囲であればよい。また、a軸方向において5°以下、または1°以下の範囲であればよい。このような傾斜角度であれば、窒化物半導体層の主面は全体的にm面から傾斜しているが、微視的には多数のm面領域が露出していると考えられる。これにより、m面から絶対値で5°以下の角度で傾斜している面は、m面と同様の性質を有すると考えられる。また、傾斜角度θの絶対値が5°以下とすることにより、ピエゾ電界による内部量子効率低下を抑制することができる。したがって、本願発明の「m面」は、傾斜角度θの絶対値がc軸方向において5°以下であってa軸方向において5°以下の面を含む。また、本願発明の「m面」は、ステップ状の複数のm面領域を有する面を含む。
コンタクト抵抗低減の効果は、当然に、LED以外の発光素子(半導体レーザ)においても得ることが可能である。
本実施形態の発光素子は、例えば、紫外から青色、緑色、オレンジ色および白色などの可視域全般の波長域における発光ダイオード、レーザダイオード等のGaN系半導体発光素子である。
本発明の一態様にかかる発光素子は、表示、照明および光情報処理分野等に特に好適に利用できる。
10 基板(GaN系基板)
12 基板の成長面(m面)
20 半導体積層構造
22 AluGavInwN層
24 活性層
25 AldGaeN層25(p型半導体領域)
26 p型コンタクト領域
30 電極(p側電極)
31 金属層
40 電極(n側電極)
42 凹部
100 窒化物系半導体発光素子
200 波長を変換する蛍光体が分散された樹脂層
220 支持部材
240 反射部材

Claims (19)

  1. n側電極と、
    成長面がm面であるn型半導体領域、活性層およびp型半導体領域を有する窒化物系半導体積層構造と、
    前記p型半導体領域上に設けられたp側電極と
    を備えた窒化物半導体発光素子であって、
    前記p型半導体領域は、GaN系半導体から形成されており、
    前記p側電極は、Agを主成分とし、MgおよびZnの少なくとも一方とGeとを含む合金から形成されており、
    前記Geは、前記合金内で拡散されており、
    前記p側電極と前記p型半導体領域との界面のGe濃度は、前記p型半導体領域側とは反対側のp側電極の表面のGe濃度よりも低い、
    窒化物半導体発光素子。
  2. 前記p側電極におけるAgの濃度は50質量%以上、Mg、ZnおよびGeの濃度は合計50質量%以下である請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 前記p側電極におけるAgの濃度は90質量%以上、Mg、Zn、Geの濃度は合計10質量%以下である請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 前記p側電極において、Geの濃度は0.05質量%以上2.0質量%以下である、請求項に記載の窒化物半導体発光素子。
  5. 前記p側電極のうち前記p型半導体領域との界面において、Geの濃度よりもMgおよびZnのどちらか一方の濃度が高い、請求項に記載の窒化物半導体発光素子。
  6. 前記p側電極は、前記p型半導体領域から拡散したGaを含んでおり、前記p側電極中のGa濃度は前記p型半導体界面から離れるにしたがって低くなる、請求項に記載の窒化物半導体発光素子。
  7. 前記p側電極において、Ag、Mg、Zn、GeおよびGa以外の元素の濃度が0.1質量%以下である、請求項に記載の窒化物半導体発光素子。
  8. 前記元素は、Ni、Cu、Pd、In、Sn、Nd、Sm、Pt、AuおよびBiの少なくとも一つを含む、請求項に記載の窒化物半導体発光素子。
  9. 前記p側電極の波長450nmの光に対する反射率は85%以上である、請求項に記載の窒化物半導体発光素子。
  10. 前記p側電極の波長520nmの光に対する反射率は90%以上である、請求項に記載の窒化物半導体発光素子。
  11. 前記p側電極の厚さは2nm以上500nm以下である、請求項に記載の窒化物半導体発光素子。
  12. 前記p型半導体領域は、AlxGayInzN(x+y+z=1,x≧0,y>0,z≧0)半導体から形成されている、請求項に記載の窒化物半導体発光素子。
  13. 請求項1に記載の窒化物半導体発光素子と、
    前記窒化物半導体発光素子から放射された光の波長を変換する蛍光物質を含む波長変換部と
    を備える光源。
  14. 窒化物半導体発光素子の製造方法であって、以下の工程を具備する:
    基板を用意する工程(a)
    成長面がm面であるn型半導体領域、活性層およびp型半導体領域を有する窒化物系半導体積層構造を前記基板上に形成する工程(b)
    前記p型半導体領域の前記成長面上に、p側電極を形成する工程(c)、および
    工程(c)の後に、前記窒化物系半導体積層構造を加熱して、前記p側電極と前記p型半導体領域との界面のGe濃度が、前記p型半導体領域側とは反対側のp側電極表面のGe濃度よりも低くなるように、前記p側電極内で前記Geを拡散させる工程(d)。
  15. 前記工程(c)は、前記p型半導体領域の前記成長面上に、Zn層およびMg層の少なくとも一方を堆積する工程と、Geを含むAg合金層を堆積する工程とを含む、請求項14に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  16. 前記工程(c)は、前記p型半導体領域の前記成長面上に、Ge層を堆積する工程と、
    Zn層またはMg層を堆積する工程とを含む、請求項14に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  17. 前記工程(c)は、Geと、ZnおよびMgの少なくとも一つとを含むAg合金層を堆積する工程を含む、請求項14に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  18. 前記工程()は、400℃以上600℃以下で前記電極を加熱する工程を含む、請求項14に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
  19. 前記工程(c)では、前記電極におけるAg、Mg、Zn、GeおよびGa以外の元素の濃度が0.1質量%以下となるように前記電極を形成する請求項14に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
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