JP5371815B2 - 扉の解錠装置 - Google Patents
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例えば特許文献1に記載された消火システムでは、窒素ガス、二酸化炭素ガス、ハロゲンガス等の不活性ガスや不燃性ガスからなる消火ガスを室内に噴射して充満させるガス消火設備が用いられている。
このようなガス消火設備は、大型コンピュータ等の精密機器等が設置された室内での消火に有効である。このガス消火設備においては、短時間のうちに大量の消火ガスを対象室内に充満させることができるように、室内に開口するノズルから高圧の消火ガスを高速で噴出させている。
一方、精密機器等を設置した部屋に設けた開閉扉には、例えばラッチ錠が設けられている。ラッチ錠は一方の扉または壁部に設けたストライクに他方の扉に設けたラッチボルトが係合している。特許文献2、3等に記載されたドアロック装置では、ラッチボルトの基部にばね部材が設けられており、ノブやレバーハンドルを操作したり扉を押したりすることで、ばね部材の付勢力に抗して圧縮することでラッチボルトが後退してストライクから外れ、扉を開放できる。
例えば図7に示すように、防火扉1に高圧が負荷されることで扉2、3が湾曲変形し、ラッチ機構4に過大な力が作用して引っかかりが生じたり、蝶番に変形が生じたり、順位調整器に故障や引っかかりが生じたり、ドアチェックに故障が生じるなどして、レバーハンドルを操作しても扉2、3が容易に開かなくなるおそれがあった。
ラッチはストライクに係脱可能な一次ラッチ部材と一次ラッチ部材の基部側に設けた弾性変形可能な二次ラッチ部材とを備え、
ストライクに室内の圧力を印加する圧力伝達手段を設け、
圧力が大気圧を超える高圧になると圧力伝達手段を介してストライク内の一次ラッチ部材に伝達され、二次ラッチ部材が弾性変形して前記一次ラッチ部材をストライクから後退させるようにしたことを特徴とする。
本発明による扉の解錠装置によれば、例えば消火ガスの供給等によって室内の圧力が大気圧を超える高圧になると、この圧力を圧力伝達手段で受けてストライクに伝達され、ストライク内で係合状態にある一次ラッチ部材が圧力を受けて押され、二次ラッチ部材が弾性変形して圧縮等されるから一次ラッチ部材がストライクから退き、扉はラッチによる係合状態から外れる。そのため、室内の圧力で扉が変形してラッチとストライクとの咬み合いによって扉が開かない状態になることはない。
室内の圧力は扉の開口から導圧路を通してストライク内に伝達されており、室内の圧力が大気圧を超える高圧になるとこの高圧がストライク内に伝達され、一次ラッチ部材が押される。
室内の圧力が大気圧を超える所定の高圧になったり人手で押されたりすると、圧力受け部材がこの圧力を受けて移動し、圧力受け部材の移動に連動して押動部材が移動することで、押動部材が一次ラッチ部材を押動させてストライクから離脱させる。
また、圧力は室内に供給される消火ガスによるガス圧であってもよい。
室内に火災等が発生すると消火ガスが室内に供給されて充満することで消火され、その際、室内の圧力が高圧になる。
本実施形態による防火扉の解錠装置は、図1乃至図3に示すように、大型コンピュータやサーバ等の精密機器等を設置した部屋や、半導体製造装置を設置したクリーンルームなどの部屋5と、この部屋5の壁に開口形成された扉開口部10を介してつながる廊下等の外部空間とを連通/区画するように開閉可能に設置されている。また、部屋5には、火災発生時に窒素ガス、二酸化炭素ガス、ハロゲンガス等の不活性ガスや不燃性ガス(消火ガス)を消火剤として高圧で噴射するガス消火システムが具備されている。
左右の扉21、22の互いに接合する中央側の端面21a,22aには、シリンダー錠26とラッチ錠27が設けられている。シリンダー錠26と共に、或いはシリンダー錠26に代えて電気錠が設けられていてもよい。シリンダー錠26は一方の扉21に室内で用いるサムターンとデッドボルト28が設けられ、他方の扉22にはデッドボルト28を受け入れてロックするストライク29が設けられている。
また、ラッチ錠27にはラッチをストライクから外すためのレバーハンドル30が設けられているが、レバーハンドル30に代えてドアノブを設けてもよい。各扉21、22のヒンジ23側の上部には、扉21,22の閉鎖速度を調整するためのドアクローザ31が設けられている。
図2及び図3は本発明の第一実施形態によるラッチ錠27の構成を示す図である。図2及び図3において、各防火扉21、22の閉鎖状態の合わせ目である端面21a,22aには互いに他方の防火扉22,21の表面まで延びて当接するフランジ部21b、22bが設けられている。これらフランジ部21b、22bが対向配置されることによって各防火扉21、22の端面21a、22aが覆われている。なお、図2,図3に示す扉21,22が閉じた状態で各扉21、22の端面21a、22a間に小さなスペース33が設けられている。
そして、ラッチ錠27として、一方の扉21の端面21aには凹部34が形成され、凹部34内にはラッチ35が進退可能に設けられている。ラッチ35は扉21の端面21aから突出していて進退可能な一次ラッチ部材であるラッチボルト36と、ラッチボルト36の基部側に配設されて凹部34内に収容されていて弾性変形可能な二次ラッチ部材であるコイルスプリング37及びこれを収容したラッチ枠38とで構成されている。
また、二次ラッチ部材としてコイルスプリング37がラッチ枠38内に設けられているが、コイルスプリング37に代えて高強度で耐久性のある弾性圧縮力及び復帰力の高いスポンジやゴム、或いはスプリング等の弾性部材を設けてもよい。
ラッチ枠38の基部側には、上述したレバーハンドル30やドアノブ等に接続された従来技術に示すような公知の図示しない連結機構が設けられている。そのため、レバーハンドル30やドアノブを回転させることで、ラッチ枠38を後退させてラッチボルト36を少なくともスペース33まで後退させることができ、これによって解錠し開扉可能となる。
そして、部屋5内にノズル12から消火ガスが噴出されて部屋5内のガス圧が大気圧を超えて高圧になった場合、ラッチボルト36のテーパ面36aが押されてコイルスプリング38がその付勢力に抗してラッチ枠38内で圧縮され、ラッチボルト36がストライク40から後退して開扉可能になる。
図2及び図3において、図示しない電気錠やシリンダー錠26が開錠されており、防火扉20の扉21,22のラッチ錠27が閉鎖された状態にあるものとする。この状態で、一方の扉21に設けたラッチボルト36は二次ラッチ部材のコイルスプリング37の弾性力によって凹部34から突出しており、ラッチボルト36が他方の扉22のストライク40に進出・係合して閉扉されている。
そして、作業員が部屋5から出入りする場合には、例えばレバーハンドル30を下方に回動することで、図示しない連結機構を介してラッチ35が後退することで、ラッチボルト36がストライク40から離れる。この状態で開扉され、一方の扉21が部屋5の外側に開いて作業員が出入りする。
防火扉20の閉扉状態において、部屋5内に消火ガスが充満して避圧口18からのガス圧の漏出にも関わらず、部屋5内のガス圧が大気圧を超えた高圧になる。この高圧のガス圧は扉22の開口42から導圧路41を介してストライク40内に進出し、ストライク40内の空間を部屋5内と同じ高圧にする。すると、そのガス圧でストライク40内のラッチボルト36が後退して二次ラッチ部材のコイルスプリング37が圧縮され、ラッチボルト36がストライク40から外れる。
この状態になると、扉21はレバーハンドル30を回動させなくても押すだけで開扉するから、作業員が容易に外部に退出することができる。
そして、消火後に閉扉して部屋5内の圧力が常圧に戻れば、コイルスプリング37の付勢力により、ラッチボルト36がストライク40に進出して閉錠状態になる。
次に本発明の第二実施形態による防火扉20の解錠装置24について図4及び図5により説明するが、上述した第一実施形態と同一または同様の部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
図4及び図5に示す第二実施形態による防火扉20の解錠装置24において、防火扉20の両扉21、22の端面に形成したラッチ35とストライク40等は上述した第一実施形態による解錠装置と同一の構成を備えている。相違点は次の通りである。
防火扉20の他方の扉22において、部屋5側の表面には凹溝45が形成されており、凹溝45内には圧力受け部材であるピストン部材46が進退可能に配設されている。ピストン部材46の背面側には、ピストン部材46の進退に連動してストライク40内のラッチボルト36を押動する連動レバー47が配設されている。なお、連動レバー47は押動部材を構成する。
なお、押圧部51の先端が当接するラッチボルト36のテーパ面36aには、押圧部51先端部のテーパ面36aでのスリップや滑りを防ぐために段部や平坦部等の着座部を形成してもよい。
そして、常態において、ピストン部材46は連動レバー47の一方のレバー部48に押されて凹溝45の表面に扉22の表面と面一に保持されている。そして、部屋5内の圧力が消火ガスのガス圧によって大気圧を超えた高圧になった場合に、一方のレバー部48の弾性力に抗してピストン部材46が凹溝45内を後退し、他方のレバー部49との交差角が小さくなる分だけ押圧部51がその長手方向に移動する。これによって押圧部51がラッチボルト36をストライク40内から押し出すように構成されている。
連動レバー47の変位に応じて、押圧部51がストライク40内を前進し、その先端でラッチボルト36のテーパ面36aを押してラッチボルト36を押す。これにより、コイルスプリング37がその弾性力に抗して圧縮されて、ラッチボルト36はストライク40から後退して外れる。
或いは、部屋5内のガス圧が高圧に上昇する前であっても、部屋5内の作業者がピストン部材46を手等で強く押すだけで、容易に扉21,22を開放できる。そのため、緊急時に扉21、22を開放するための動作が簡単になる。
図6に示す防火扉20の解錠装置24において、閉鎖状態にある一対の扉21,22の各端面21b、22bの間にスペース33が形成されており、その両端が各扉21、22のフランジ部21b、22bで閉鎖されている。そして、各扉21,22の部屋5側の表面には開口53、54が形成され、各開口53,54は導圧路53a、54aを経由してスペース33に連通する構成を有している。
この状態で、部屋5内にノズル12から消火ガスが噴出されて、ガス圧が大気圧より高まると、部屋5内のガス圧は防火扉20の各開口53、54から導圧路53a、54aを通ってスペース33内に供給される。すると、スペース33内のガス圧が大気圧を超えるため、外部との差圧により一方の扉21がフランジ21aを押されて開放作動する。
これによって、部屋5内に火災等が生じてガス圧が充満した場合に、ガス圧によって自動的に扉21を開放作動できる。
なお、第一実施形態における開口42及び導圧路41、第二実施形態におけるピストン部材46,連動レバー47は圧力伝達手段を構成する。
また、本発明は防火扉20のラッチ機構における解錠装置24に関するものであり、解錠装置24の取付位置や扉21,22等の建具周辺の各種機構等は上述した各実施形態などに限定されることはなく適宜変更可能である。本発明は任意の構成の扉の解錠装置に採用できることはいうまでもない。
また、本発明は防火扉20に限定されることなく、防火扉でない扉に対しても適用できることもいうまでもない。
20 防火扉
21、22 扉
21b、22b フランジ部
24 解錠装置
27 ラッチ錠
35 ラッチ
36 ラッチボルト
37 コイルスプリング
38 ラッチ枠
40 ストライク
41、53a、54a 導圧路
42、53,54 開口
45 凹溝
46 ピストン部材
47 連動レバー
48、49 レバー部
50 押圧部
Claims (4)
- ストライクに進退可能なラッチを設けた扉の解錠装置において、
前記ラッチはストライクに係脱可能な一次ラッチ部材と該一次ラッチ部材の基部側に設けた弾性変形可能な二次ラッチ部材とを備え、
前記ストライクに室内の圧力を印加する圧力伝達手段を設け、
前記圧力が大気圧を超える高圧になると前記圧力伝達手段を介してストライク内の一次ラッチ部材に伝達され、前記二次ラッチ部材が弾性変形して前記一次ラッチ部材をストライクから後退させるようにしたことを特徴とする扉の解錠装置。 - 前記圧力伝達手段は、前記室内側の扉の開口からストライクに連通する導圧路である請求項1に記載された扉の解錠装置。
- 前記圧力伝達手段は、大気圧を超える高圧の圧力を受けて進退する圧力受け部材と、該圧力受け部材に連動して前記一次ラッチ部材をストライクから離脱する方向に押す押動部材とを備えている請求項1に記載された扉の解錠装置。
- 前記圧力は室内に供給される消火ガスによるガス圧であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載された扉の解錠装置。
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