本実施形態の説明に先立ち、基礎となる予備的事項について説明する。
図1は、欠陥観察装置1の構成図である。
この欠陥検査装置1は、SEMレビュー装置であって、半導体装置や液晶表示装置用の基板Wの表面の欠陥の詳細な電子顕微鏡像を取得するのに使用されるものである。
欠陥検査装置1は、制御部20と内部が減圧された筐体2とを有する。このうち、筐体2は、電子顕微鏡部21と光学顕微鏡部22とに更に大別される。
電子顕微鏡部21には、電子線30を生成する電子銃3、コンデンサ電磁レンズ4、ブランキング用偏向器5、絞り6、第1の偏向器7、反射板8、対物レンズ9、第2の偏向器10、及び二次電子検出器19が設けられる。
そして、筐体2の底部には試料台11が固定され、その上にはステージ12が水平面内を移動可能なように設けられる。
電子顕微鏡部21における観察に際しては、電子線30の偏向量が第1及び第2の偏向器7、10によって調節され、基板Wの所定の部位に電子線30が照射される。電子線30の照射によって基板Wで発生した第1の二次電子31は、反射板8において反射し、第2の二次電子32を生成する。その第2の二次電子32は二次電子検出器19により捕捉される。そして、二次電子検出器19から出力された二次電子強度信号SIに基づいて、画像生成部18が基板Wの電子画像データIELEを生成する。
そのような電子顕微鏡部21の倍率は、例えば1000〜200000倍であって、観察対象の領域は倍率に応じて一辺が0.7μm〜135μmの正方形の領域となる。
一方、光学顕微鏡部22には、倍率が異なる第1の対物レンズ14a及び第2の対物レンズ14bと、これらの対物レンズによる顕微鏡像を取得するための撮像部15とが設けられる。
各対物レンズ14a、14bの倍率は特に限定されないが、第1の対物レンズ14aの倍率は例えば330倍であり、一辺が0.4mmの正方形の領域を観察することができる。また、第2の対物レンズ14bの倍率は例えば660倍であり、一辺が0.2mmの正方形の領域を観察することができる。
撮像部15で取得した光学画像データIOPTは制御部20に取り込まれる。制御部20は、光学画像データIOPTに基づいて、基板W上の欠陥の位置を算出する機能を有する。そのような機能はADR(Auto Defect Review)機能と呼ばれる。
また、制御部20は、ステージ移動信号SSをステージ12に出力し、それによりステージ12が水平面内を移動する。
このような観察装置1においては、後述のように光学顕微鏡部22において基板Wを観察し、その観察像に基づいて基板Wと装置1との位置合わせが行われる。そして、その位置合わせの後、基板Wの表面の個々の欠陥を電子顕微鏡部21において観察し、各欠陥の詳細な電子顕微鏡像を得ることができる。
図2は、この欠陥観察装置1を含むネットワーク構成図である。
図2に示されるように、欠陥観察装置1は、LAN(Local Area Network)等のネットワーク50を介して第1の欠陥検査装置51及び第2の欠陥検査装置52と接続される。また、そのネットワーク50には、基板Wの欠陥情報等を格納するためのデータベース53も接続されている。
半導体装置の製造工程では、まず、これらの欠陥検査装置51、52のいずれかにおいて基板Wの欠陥が検査され、その後にその欠陥の詳細な電子顕微鏡像を取得すべく、観察装置1内において基板Wで欠陥の観察が行われる。
各欠陥検査装置51、52は、いずれも基板Wの表面にレーザ光を照射し、その散乱光に基づいて基板Wの表面における欠陥の位置を特定するものであるが、対象となる基板Wの構造により以下のようにこれらの装置51、52は使い分けられる。
第1の検査装置51は、配線パターンやコンタクトホール等のデバイスパターンが表面に露出している基板Wに対して検査を行うものであり、そのデバイスパターンを目印にして基板Wの位置合わせが行われる。
一方、第2の検査装置52は、デバイスパターンが表面に露出していない基板Wを検査するものである。そのような基板Wとしては、デバイスパターンが一切形成されていない基板や、デバイスパターンは形成されているもののその上に絶縁膜や導電膜が形成されておりデバイスパターンが表出してない基板がある。
また、第2の欠陥検査装置52としては、基板Wのチップ領域を検査するものや、基板Wの外周から内側へ5mmまでのトップベベルとボトムベベル、及び基板Wの側面を検査する装置もある。
その第2の検査装置52は、検査により得られた欠陥情報Idをネットワーク50を介してデータベース53に出力する。欠陥情報Idには、基板Wの複数の欠陥のそれぞれの欠陥座標と、各欠陥の大きさ等が含まれる。
そして、その欠陥情報Idは、データベース53に格納されることになる。
図3は、欠陥座標を模式的に説明するための平面図である。
図3に示されるように、基板Wにはチップ領域RCが画定されており、チップ領域RC毎にチップ座標系(x,y)が設定される。欠陥座標(xi,yi)は、そのチップ座標系(x,y)から見た欠陥Diの位置座標である。
ところで、第2の欠陥検査装置52において検査の対象となるのは、既述のように表面にデバイスパターンが露出していない基板Wである。
しかしながら、そのような基板Wを図1の観察装置1内で観察しようとする場合、位置合わせの目印となるデバイスパターンが基板Wに露出していない。そのため、この場合は、第2の欠陥検査装置52から出力される上記の欠陥情報Idを利用して、欠陥座標(xi,yi)に基づいて位置合わせが行われる。
その位置合わせの方法について以下に説明する。
位置合わせに際しては、まず、欠陥観察装置1(図1参照)に付属のプリアライメント機構を利用して基板Wのノッチの位置を把握し、そのノッチが装置1内の特定の方向を向くように基板Wを回転させる。
次いで、その基板Wを筐体2内にローディングし、ステージ12上に基板Wを載置する。
そして、ステージ12を移動させることにより光学顕微鏡部22に基板Wを搬送する。その光学顕微鏡部22では、明視野により基板Wを観察し、基板Wの外周の3箇所とノッチとを目印にして基板Wと装置1との粗い位置合わせが行われる。
次に、基板Wと欠陥観察装置1との細かな位置合わせを行うべく、基板Wの欠陥を目印にした位置合わせを開始する。その位置合わせはファインアライメントとも呼ばれ、以下のような手順で行われる。
図4及び図5は、デバイスパターンが表面に露出していない基板Wに対するファインアライメントについて模式的に示す平面図である。
ファインアライメントを行うには、まず、図4(a)に示すように、ステージ12を駆動することにより、光学顕微鏡部22の正方形の視野22f内に1番目の欠陥D1を導入する。
本ステップは、既述の欠陥情報Idに含まれる1番目の欠陥D1の欠陥座標(x1,y1)を制御部20が取り込み、ステージ座標(X,Y)がその欠陥座標(x1,y1)に合うようにステージ12を駆動することにより行われる。
なお、ステージ座標(X,Y)とは、ステージ12に固定されたステージ座標系から見たステージ12の一点の座標である。そして、そのステージ座標(X,Y)を指定してステージ12を駆動すると、光学顕微鏡部22の視野中心22cとステージ座標(X,Y)とが一致することになる。また、電子顕微鏡部21において基板Wを観察するときにも、ステージ座標(X,Y)を指定してステージ12を駆動すると、電子顕微鏡部21の視野中心とステージ座標(X,Y)とが一致する。
本ステップでは光学顕微鏡部22の視野22fは暗視野となっており、基板Wの表面の欠陥D1は視野22f内に輝点として現れる。
ここで、ステージ12と基板Wが位置ずれしていなければ、欠陥座標(x1,y1)はステージ座標(X,Y)に一致するので、視野中心22cに欠陥D1が表示される。
しかしながら、この時点では欠陥観察装置1と基板Wとの位置合わせが正確になされていないので、図4(a)のように欠陥D1は視野中心22cからずれた所に表示される。
次いで、図4(b)に示すように、制御部20がADR機能により欠陥D1を捕捉して、当該欠陥D1と視野中心22cとの第1の位置ズレベクトル(Δx1、Δy1)を算出する。なお、図4(b)とこれ以降の図面では、ADR機能により捕捉された欠陥には十字を付してある。
次に、図4(c)に示すように、再びステージ12を駆動して、光学顕微鏡部22の視野22f内に2番目の欠陥D2を導入する。
導入に際しては、上記の第1の位置ズレベクトル(Δx1、Δy1)を利用することで、2番目の欠陥D2が視野中心22cに近づくように当該欠陥D2の欠陥座標(x2,y2)の補正を行う。
その補正は、制御部20がデータベース53を参照することで欠陥情報Idを取得し、その欠陥情報Idに含まれる欠陥座標(x2,y2)から第1の位置ズレベクトル(Δx1、Δy1)を減じて補正欠陥座標(x2−Δx1,y2−Δy1)を算出することで行われる。
そして、制御部20の制御下において、ステージ座標(X,Y)が補正欠陥座標(x2−Δx1,y2−Δy1)に合うようにステージ12を移動させる。
このような補正の結果、図4(c)に示すように、1番目の欠陥D1を捕捉したときよりも視野中心22cに近いところに2番目の欠陥D2が表示される。
続いて、図5(a)に示すように、ADR機能を利用して制御部20が2番目の欠陥D2を捕捉し、当該欠陥D2と視野中心22cとの第2の位置ズレベクトル(Δx2、Δy2)を算出する。
更に、図5(b)に示すように、再びステージ12を駆動して、光学顕微鏡部22の視野22f内に3番目の欠陥D3を導入する。その導入にあたっては、2番目の欠陥D2を導入したときと同様に、3番目の欠陥D3が視野中心22cに近い部分に表示されるような補正を行う。
その補正を行うには、まず、欠陥情報Idに含まれる3番目の欠陥D3の欠陥座標(x3,y3)から各位置ズレベクトル(Δx1、Δy1)、(Δx2、Δy2)を減じて補正欠陥座標(x3−Δx1−Δx2,y3−Δy1−Δy2)を算出する。そして、ステージ座標(X,Y)が補正欠陥座標(x3−Δx1−Δx2,y3−Δy1−Δy2)に合ようにステージ12を移動させる。
このような補正により、3番目の欠陥D3は、2番目の欠陥D2よりも更に視野中心22cに近いところに表示されるようになる。
その後、このような欠陥の捕捉と補正とを所要回数繰り返すことで、図5(c)に示されるように、n番目の欠陥Dnと視野中心22との間隔pが次第に0に収束していくことになる。
そして、その間隔pが許容値以下になったところで、光学顕微鏡22を利用した基板Wのファインアライメントを終了する。
この後は、ステージ12を駆動することにより電子線30(図1参照)の照射位置に基板Wを移動する。そして、電子顕微鏡部21により上記の各欠陥D1、D2、D3、…Dnを高倍率で観察し、各欠陥の詳細な電子顕微鏡像を取得する。その電子顕微鏡像の画像データは、例えば、上記の欠陥情報Idと共にデータベース53に格納され、必要に応じて作業者がその画像データを参照して半導体装置の不良解析等に役立てる。
ところで、図4〜図5の例では、ADRにより各欠陥D1、D2、D3、…Dnを捕捉することで基板Wのファインアライメントを行った。各欠陥D1、D2、D3、…Dnを捕捉するときに視野22f内に一つの欠陥しかない場合には特に問題はないが、複数個の欠陥が視野22fにある場合には捕捉すべき欠陥を間違えることがある。
図6は、そのような誤認識の例について説明するための模式図である。
この例では、図6に示すように、観察対象となるk番目の欠陥Dkを視野22f内に導入したときに、観察対象以外の欠陥Dが視野22f内に存在している。そして、本来ならADRによりk番目の欠陥Dkを捕捉すべきところを、欠陥Dを捕捉してしまっている。
このような誤認識の発生頻度が各欠陥D1、D2、D3、…Dnを捕捉する過程で数回程度ならば、その誤認識は欠陥D1、D2、D3、…Dnが視野中心22に収束する妨げとはならない。
例えば、図7の例では、8番目の欠陥D8を捕捉しようとしたときに、視野22f内の別の欠陥Dを捕捉しているが、このような御認識は8番目の欠陥D8のみで発生しておりそれ以外の欠陥では発生していない。これにより、12番目の欠陥D12の捕捉時には視野中心22fに当該欠陥D12を表示することができている。
しかし、誤認識が複数回連続して多数発生すると、欠陥D1、D2、D3、…Dnが視野中心に収束せず、欠陥観察装置1に基板Wをファインアライメントすることができなくなってしまう。
例えば、図8の例では、1番目〜3番目の欠陥D1〜D3においてこれらの欠陥とは別の欠陥Dを捕捉してしまっている。この結果、n番目の欠陥Dnを捕捉したときには、その欠陥Dnが視野22の中心22cから大きく外れて表示されてしまい、基板Wのファインアライメントができなくなってしまう。
特に、欠陥Dが捕捉対象の欠陥と比較して面積が大きかったり高さが高かったりする場合は、視野22f内において欠陥Dが捕捉対象の欠陥よりも高輝度で現れ、上記のような誤認識が発生する確率が高くなる。
本願発明者はこのような問題点に鑑み、以下に説明するような本実施形態に想到した。
(第1実施形態)
本実施形態では、図1に示した欠陥観察装置1を用い、図9のフローチャートに従って欠陥の観察を行う。図9は、本実施形態に係る欠陥観察方法のフローチャートである。
最初のステップS1では、制御部20がデータベース53(図2参照)を参照し、基板Wの複数の欠陥のそれぞれの欠陥座標と各欠陥の大きさ等を含む欠陥情報Idを取得する。
図10は、その欠陥情報Idを模式的に表す図である。
図10に示されるように、欠陥情報Idにおいては、第2の欠陥検査装置52(図2参照)が任意に付した番号iにより欠陥Diが特定され、その欠陥Diに欠陥座標(xi,yi)と大きさSiが対応付けられている。
次に、ステップS2に移り、欠陥観察装置1に付属のプリアライメント機構を利用することにより基板Wのノッチの位置を把握し、そのノッチが装置1内の特定の方向を向くように基板Wを回転させる。
次いで、ステップS3に移り、基板Wを筐体2内にローディングし、ステージ12上に基板Wを載置する。そして、制御部20の制御下でステージ12を駆動し、光学顕微鏡部22に基板Wを搬送する。
この状態で、基板Wの外周の3箇所とノッチとを目印にして、光学顕微鏡22により基板Wと装置1との粗い位置合わせを行う。なお、ノッチについては、V字型のノッチの左右各二箇所を目印に使用するのが好ましい。
次に、ステップS4に移る。
図11は、ステップS4の処理内容を模式的に示す平面図である。
本ステップでは、図11に示すように、制御部20が各欠陥Diを中心にした仮想的な所定領域Rを設定する。そして、欠陥Diを含め、所定領域Rに含まれる全ての欠陥Dの総個数Niを計数する。図11の例ではその総個数は4個となる。
そして、このような総個数Niを複数の欠陥Diの各々に対して算出し、その値を図10の欠陥情報Idに格納する。
なお、所定領域Rの大きさも特に限定されないが、光学顕微鏡部22の視野と同一の大きさに所定領域Rを設定するのが好ましい。
また、本ステップは、欠陥情報Idに基づいて制御部20が行うものである。
そして、ステップS5に移り、欠陥情報Idにおける各欠陥Diを総個数Niが少ない順に並べ替える。
以下では、説明をし易くするために、このように並べ替えた結果、一番目の欠陥D1の総個数N1が最も少なく、欠陥D2、D3、…の順に総個数Niが増えていくものとする。
次に、ステップS6に移り、総個数Niが少ない欠陥Diから順にファインアライメントを行う。
図12はそのステップS6に含まれるサブステップを示すフローチャートである。また、図13と図14はこれらのサブステップの処理内容を模式的に示す平面図であって、以下ではこれらの図も適宜参照する。
図12の最初のサブステップP1では、制御部20の制御下においてステージ12を駆動することにより、各欠陥Diのうち総個数Niが最も少ない一番目の欠陥D1の欠陥座標(x1,y1)にステージ座標(X,Y)を合わせる。
これにより、図13(a)に示すように、光学顕微鏡部22の視野22f内に1番目の欠陥D1が導入されることになる。
但し、この時点では、欠陥観察装置1と基板Wとの位置合わせが正確になされていないので、欠陥D1は視野中心22cからずれた所に表示される。
また、各欠陥Diを導入するときには視野22fは暗視野となっており、その視野22f内に各欠陥Diは輝点として現れる。
次に、サブステップP2に移る。
図13(b)は、サブステップP2の処理内容を模式的に示す図である。
図13(b)に示すように、本ステップでは、制御部20がADR機能を用いて1番目の欠陥D1を捕捉し、視野22f内の基準点として供せられる視野中心22cと1番目の欠陥D1との第1の位置ズレベクトル(Δx1、Δy1)を算出する。
続いて、サブステップP3に移り、上記の第1の位置ズレベクトル(Δx1、Δy1)に基づいて、制御部20が1番目の欠陥D1よりも総個数Niが多い2番目の欠陥D2の欠陥座標(x2,y2)を補正する。
その補正は、欠陥座標(x2,y2)から第1の位置ズレベクトル(Δx1、Δy1)を減じ、補正欠陥座標(x2−Δx1,y2−Δy1)を算出することにより行われる。
次に、サブステップP4に移り、制御部20の制御下でステージ12を駆動し、補正欠陥座標(x2−Δx1,y2−Δy1)にステージ座標(X,Y)を合わせる。
これにより、図13(c)に示すように、光学顕微鏡部22の視野22f内に2番目の欠陥D2が導入されることになる。
ここで、上記のサブステップP3において2番目の欠陥D2の欠陥座標(x2,y2)を補正し、補正欠陥座標(x2−Δx1,y2−Δy1)に基づいてステージ12を駆動するので、1番目の欠陥D1と比較して視野中心22cに近い部分に2番目の欠陥D2を導入することができる。
次に、サブステップP5に移る。
図14(a)は、サブステップP5の処理内容を模式的に示す図である。
図14(a)に示すように、本ステップでは、制御部20がADR機能を用いて2番目の欠陥D2を捕捉し、視野中心22fと2番目の欠陥D2との第2の位置ズレベクトル(Δx2、Δy2)を算出する。
続いて、サブステップP6に移り、上記の第2の位置ズレベクトル(Δx2、Δy2)に基づいて、制御部20が2番目の欠陥D2よりも総個数Niが多い3番目の欠陥D3の欠陥座標(x3,y3)を補正する。
その補正は、欠陥座標(x3,y3)から第1の位置ズレベクトル(Δx1、Δy1)と第2の位置ズレベクトル(Δx2、Δy2)とを減じ、補正欠陥座標(x3−Δx1−Δx2,y3−Δy1−Δy2)を算出することにより行われる。
次に、サブステップP7に移り、制御部20の制御下でステージ12を駆動し、補正欠陥座標(x3−Δx1−Δx2,y3−Δy1−Δy2)にステージ座標(X,Y)を合わせる。
これにより、図14(b)に示すように、光学顕微鏡部22の視野22f内に3番目の欠陥D3が導入されることになる。
この後は、サブステップP8に移り、図14(c)に示すように、第1の欠陥D1と比較してn番目に総個数Niが少ないn番目の欠陥Dnを視野22f内に導入する。
そのようにn番目の欠陥Dnを導入する際には、当該欠陥Dnの欠陥座標(xn,yn)をn-1回補正してなる補正欠陥座標(xn−Δx1−Δx2−…−Δxn-1,yn−Δy1−Δy2−…−Δyn-1)にステージ座標(X,Y)が合わせられる。このように補正が複数回なされた補正欠陥座標を利用することで、回を重ねる度に視野中心22cと各欠陥Diとの間隔pが縮まり、n番目の欠陥Dnに至っては視野中心22cの極近傍に表示されることになる。
但し、あまりに多くの欠陥に対してサブステップP8を行うと、欠陥の総個数Niが次第に増大し、捕捉対象となっていない欠陥が視野22f内に入るおそれがある。そのため、凡そ10番目の欠陥D10を視野22f内に導入したところで本ステップを終了するのが好ましい。
この後は、図9のステップS7に移り、制御部20(図1参照)の制御下においてステージ12を駆動し、電子顕微鏡部21に基板Wを移動させる。そして、その電子顕微鏡部21において基板W上の各欠陥Diの詳細な電子顕微鏡像を取得する。このとき、上記のように欠陥座標をn-1回補正したときは、各欠陥Diの欠陥座標(xi,yi)をn-1回補正してなる補正欠陥座標(xi−Δx1−Δx2−…−Δxn-1,yi−Δy1−Δy2−…−Δyn-1)にステージ座標(X,Y)を合わせる。これにより、電子顕微鏡像の視野中心に各欠陥Diが導入され、観察者の便宜に資することが可能となる。
以上により、本実施形態に係る欠陥観察方法の基本ステップが終了した。
上記した本実施形態によれば、図12のサブステップP1〜P8に示したように、総個数Niが少ない順に基板Wのファインアライメントを行う。総個数Niは、図11に示したように、所定領域R内に含まれる欠陥の個数であるから、その数が少ない欠陥Diほど視野22f内に他の欠陥が入り込む可能性が少なくなる。
そのため、本実施形態では視野22f内に複数個の欠陥が同時に表示される可能性を低減することができ、ADRによる捕捉対象となる欠陥Di以外の欠陥を誤って捕捉するのを防止できるようになる。その結果、各欠陥Diを捕捉していくうちに当該欠陥Diと視野中心22cとの間隔pが0に収束していき、基板Wのファインアライメントを良好に行うことが可能となる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、欠陥の総個数Niが少ない欠陥Diから順に視野22f内に導入することで、視野22f内に捕捉対象の欠陥Di以外の欠陥が入る可能性を低減した。
本実施形態では、このように総個数順に視野22f内に欠陥Diを導入する際に、以下のようにして視野22f内の観察領域を狭小化することで、捕捉対象の欠陥Di以外の欠陥が視野22f内に入る可能性を更に低減する。
まず、第1実施形態の図12のフローチャートに従ってサブステップP1〜P3を行う。
次いで、サブステップP4において光学顕微鏡部22の視野22f内に2番目の欠陥D2を導入するとき、図15に示すような禁止領域22xを視野22fの一部に設定する。
その禁止領域22xは、ADRの際に欠陥を認識しない領域として制御部20に設定されるものであって、禁止領域22xよりも内側の領域がADRの際に欠陥を認識する観察領域となる。
このように観察領域を狭小化することで、捕捉対象の2番目の欠陥D2以外の欠陥が禁止領域22xに存在する場合でも、その欠陥を捕捉対象と誤認識するのを防止できる。
その後、第1実施形態に従って図12のサブステップP5〜P6を行い、サブステップP7において視野22f内に3番目の欠陥D3を導入するときにも、図16に示すように禁止領域22xを視野22fの一部に設定する。
禁止領域22xの広さは特に限定されない。但し、総個数N3は総個数N2よりも多いので、視野22f内に捕捉対象の3番目の欠陥D3以外の欠陥が入り込む危険性が2番目の欠陥D2におけるよりも高い。よって、2番目の欠陥D2を視野22fに導入したときよりも禁止領域22xを広く設定するのが好ましい。このように欠陥Diの総個数Niに比例して禁止領域22xを広くすることで、禁止領域22xの内側の観察領域に捕捉対象以外の欠陥Diが入り込む危険性を一層低減することができる。
禁止領域22xの広さの設定の仕方としては、このように総個数Niを利用する方法の他に、欠陥情報Idに含まれる欠陥座標(xi,yi)を利用する方法もある。図17は、その方法について模式的に説明するための平面図である。
この方法では、図17に示すように、欠陥座標(xi,yi)を利用することにより、捕捉対象の欠陥Diとそれ以外の欠陥Djとの距離dijを算出する。そして、その距離dijに基づき、隣接する欠陥Djが禁止領域22xにマスクされるように、当該禁止領域22xの広さを決定する。例えば、禁止領域22xの内側の観察領域の対角線の長さをLとし、L<dijとなるように禁止領域22xの広さを決定すれば、欠陥Djが禁止領域22xにマスクされるようになる。
また、総個数Niや欠陥座標(xi,yi)のいずれを利用して禁止領域22xの広さを設定する場合でも、禁止領域22xの平面形状は上記に限定されない。
図18〜図20は、禁止領域22xの平面形状の他の例について示す平面図である。
このうち、図18(a)〜(d)の例では、正方形の視野22fの一つの辺のみに禁止領域22xを設定する。
また、図19(a)、(b)の例では、正方形の視野22fの対向する二つの辺に禁止領域22xを設定する。
そして、図20(a)〜(d)の例では、正方形の視野22fの隣接する二つの辺に禁止領域22xを設定する。
更に、図21(a)〜(d)の例では、正方形の視野22fの隣接する三つの辺に禁止領域22xを設定する。
上記のように総個数Niや欠陥座標(xi,yi)を利用して禁止領域22xを設定した後は、第1実施形態に従ってサブステップP8を行うことで視野22f内にn番目の欠陥Dnを導入し、基板Wのファインアライメントを終了する。
なお、上記では2番目と3番目の欠陥D2、D3を視野に導入するときに禁止領域22xを設定したが、禁止領域22xの設定対象となる欠陥はこれに限定されない。
図22は、禁止領域22xの設定対象となる欠陥の一例について模式的に示す図である。
図22の例では、1番目〜8番目の欠陥D1〜D8に対しては禁止領域22xを設定せず、10番目の欠陥D10以降に禁止領域22xを設定する。その禁止領域22xの広さは、図16で説明したのと同様の理由により、総個数Niが増えるにつれ広く設定される。
また、禁止領域22xの広さは3種類であり、10〜21番目の欠陥D10〜D21については視野22fの10%、22〜31番目の欠陥D22〜D31については視野22fの20%、32番目の欠陥D32については視野22fの30%の広さに設定される。
以上説明した本実施形態によれば、視野22fに禁止領域22xを設定し、禁止領域22xよりも内側の領域のみを観察領域とする。これにより、捕捉対象となっていない欠陥を禁止領域22xで覆うことができるので、当該欠陥を誤って捕捉する危険性を低減できる。よって、第1実施形態のように欠陥座標(xi,yi)の補正を欠陥Di毎に行うことで、欠陥Diの表示位置が視野中心22fに収束するようになり、基板Wのファインアライメントの精度を向上させることが可能となる。
(第3実施形態)
第2実施形態では視野22fに禁止領域22xを設定することで、捕捉対象となっていない欠陥を誤って捕捉する危険性を低減した。
これに対し、本実施形態では、光学顕微鏡部22の倍率を変えることにより、捕捉対象となっていない欠陥を視野22fから除外する。
図23は、本実施形態に係る欠陥観察方法について模式的に示す平面図である。
この例では、まず、図23(a)に示すように、第1実施形態のサブステップP1に従って視野22f内に1番目の欠陥D1を導入する。
次いで、図23(b)に示すように、第1実施形態のサブステップP4に従って視野22f内に2番目の欠陥D2を導入する。
このとき、光学顕微鏡部22の各対物レンズ14a、14b(図1参照)を適宜選択することにより、1番目の欠陥D1を導入したときよりも光学顕微鏡部22の倍率を高め、視野22fの内側の観察領域の狭小化する。
これにより、捕捉対象の2番目の欠陥D2以外の欠陥が視野22f内に導入される可能性が低くなるので、ADR時に欠陥を御認識し難くなり、ファインアライメントの精度を向上させることができる。
(第4実施形態)
本実施形態では、第1〜第3実施形態で説明したファインアライメントを利用しながら、欠陥検査装置1(図1参照)の電子顕微鏡部21において基板Wの詳細な電子顕微鏡像を得る方法について説明する。
図24及び図25は、本実施形態に係る欠陥観察方法について示すフローチャートである。
図24の最初のステップS10では、欠陥検査装置1の制御部20が、データベース53に格納されている欠陥情報Idを取得する。
次いで、ステップS11に移り、欠陥観察装置1に付属のプリアライメント機構を利用して基板Wのノッチの位置を把握し、そのノッチが装置1内の特定の方向を向くように基板Wを回転させる。
次に、ステップS12に移り、基板Wを筐体2内にローディングし、ステージ12上に基板Wを載置する。
続いて、ステップS13に移り、基板Wの表面に配線パターンやコンタクトホール等のデバイスパターンが露出しているかどうかを判断する。
この判断は作業者が行うものであり、デバイスパターンが露出している(YES)と判断した場合にはステップS14に移る。
そのステップS14では、光学顕微鏡部22において基板Wの表面を観察する。そして、基板Wの表面にデバイスパターンと共に形成されているアライメントパターンを制御部20に登録してあるパターンと比較することにより、制御部20が基板Wと欠陥観察装置1との位置合わせを行う。
このような位置合わせ方法はパターン認識法と呼ばれ、本実施形態では基板Wの2〜4点におけるアライメントパターンを利用してこの位置合わせを行う。
次に、ステップS15に移り、制御部20の制御下でステージ12を駆動し、基板Wを電子顕微鏡部21に移動させる。
そして、電子顕微鏡部21において基板Wの2〜4点のアライメントパターンを観察することで、パターン認識法により基板Wと欠陥観察装置1との位置合わせを行う。
続いて、ステップS16に移り、既述の第1〜第3実施形態に従って光学顕微鏡部22において基板Wのファインアライメントを実行するかどうかを判断する。
その判断は作業者が自身の裁量によって行うものであり、ステップS14、S15のパターン認識法によるアライメントで十分な位置合わせができている場合には実行しない(NO)と判断し、ステップS17に移る。
そのステップS17では、第1実施形態の図9のステップS7と同様にして、欠陥Diの欠陥座標(xi,yi)を補正してなる補正欠陥座標(xi−Δx1−Δx2−…−Δxn-1,yi−Δy1−Δy2−…−Δyn-1)にステージ座標(X,Y)を合わせ、欠陥Diの詳細な電子顕微鏡像を取得する。
次に、ステップS18に移り、電子顕微鏡像を取得すべき欠陥Diがまだあるかどうかを判断し、電子顕微鏡像を取得すべき欠陥DiがなくなるまでステップS17を繰り返す。
その後、ステップS19に移り、欠陥Diの電子顕微鏡像を欠陥情報Idと共にデータベース53(図2参照)に格納する。
一方、ステップS13においてデバイスパターンが露出していない(NO)と判断した場合には、図25のステップS20に移る。
ステップS20では、光学顕微鏡部22において明視野により基板Wを観察し、基板Wの外周の3箇所とノッチとを目印にして基板Wと装置1との粗い位置合わせを行う。
次いで、ステップS21に移り、光学顕微鏡部22において基板Wと欠陥観察装置1とのファインアライメントを行う。
そのファインアライメントでは、第1実施形態のように総個数Niの少ない欠陥Diから順に行うことで、捕捉対象以外の欠陥を御認識する危険性を低減でき、ファインアライメントの精度が向上する。更に、第2実施形態のように視野22fに禁止領域22xを設けたり、第3実施形態のように欠陥毎に光学顕微鏡部22の倍率を変えたりすることによって、ファインアライメントの精度を更に向上させることが可能となる。
なお、そのファインアライメントは基板W上の全ての欠陥を利用して行う必要はなく、5〜20個程度の欠陥を利用すれば十分な精度でファインアライメントを行うことができる。
次に、ステップS22に移り、電子顕微鏡部21においてファインアライメントを行うかどうかを判断する。電子顕微鏡部21におけるファインアライメントとは、第1〜第3実施形態で説明したのと同じ手順を電子顕微鏡部21において行い、基板Wと欠陥観察装置1との位置合わせを行うことをいう。
このファインアライメントを行うかどうかの判断は作業者の裁量に任される。例えば、基板Wと欠陥観察装置1との位置合わせに万全を期そうとする場合等にこのファインアライメントを実行するのが有用である。
ここで、電子顕微鏡部21におけるファインアライメントを実行する(YES)と判断した場合には、ステップS23に移る。
ステップS23では、制御部22の制御下でステージ12を駆動し、電子顕微鏡部21に基板Wを搬送する。そして、電子顕微鏡部21において、第1〜第3実施形態で説明した基板Wのファインアライメントを実行する。
このとき、第3実施形態のように倍率の変更によって捕捉対象以外の欠陥を視野から除外する場合には、電子顕微鏡部21のFOV(Field of View)を変更すればよい。
図26はFOVについて説明するための平面図である。
図26に示すように、FOVとは、電子顕微鏡部21で観察する場合の正方形の視野21fの一辺の長さである。
欠陥情報Idに含まれる欠陥座標(xi,yi)から、捕捉対象の欠陥Diとそれに隣接する欠陥Djとの距離がLであることが既知の場合、距離Lの2倍以下のFOVを利用することで、捕捉対象となっていない欠陥Djが視野21f内に入り込む可能性を低くすることができる。
例えば、距離Lが6μmの場合、FOVを10μmとすることで、欠陥Djが視野内に入り込み難くなる。
このようにしてファインアライメントを行った後、既述の図24ステップS17を行うことになる。
また、ステップS16において光学顕微鏡部22でファインアライメントを実行する(YES)と判断した場合には、上記のステップS21を行うことになる。
以上により、本実施形態に係る欠陥観察方法の基本ステップが終了した。
上記した本実施形態によれば、ステップS21において第1〜第3実施形態に従って基板Wと欠陥観察装置1とのファインアライメントを行うので、基板Wが欠陥観察装置1に精度良く位置合わせされる。そのため、ステップS17において欠陥の電子顕微鏡像を取得するときに、視野の中央付近に欠陥を導入することができ、観察者の便宜に資することが可能となる。
(第5実施形態)
本実施形態では、第1〜第4実施形態で説明した欠陥観察方法を半導体装置の製造工程に適用する。
図27〜図30は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。
以下では、半導体装置としてMOSトランジスタを製造する。
まず、図27(a)に示すように、シリコン基板60に素子分離溝60aを形成し、その素子分離溝60a内に素子分離絶縁膜64として酸化シリコン膜を埋め込む。このような素子分離構造はSTI(Shallow Trench Isolation)と呼ばれるが、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)により素子分離を行ってもよい。
次いで、図27(b)に示すように、素子分離絶縁膜64で画定されるシリコン基板60の活性領域にp型不純物としてボロンをイオン注入し、pウェル65を形成する。
続いて、シリコン基板60を熱酸化して厚さ約5nmの熱酸化膜を形成し、それをゲート絶縁膜66とする。
その後、シランを反応ガスとして使用するCVD法により、素子分離絶縁膜64とゲート絶縁膜66の上に導電膜67としてポリシリコン膜を厚さ約100nm程度に形成する。
次に、図28(a)に示すように、第1のレジストパターン68をマスクにしながら、塩素系のガスをエッチングガスとするRIEにより導電膜67を選択的にドライエッチングし、ゲート電極67aを形成する。
この後に、第1のレジストパターン68は除去される。
次に、図28(b)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、ゲート電極67aをマスクにしながらシリコン基板60にヒ素等のn型不純物をイオン注入することにより、ゲート電極67aの側方のシリコン基板60にn型ソース/ドレインエクステンション69を形成する。
次いでCVD法によりシリコン基板60の上側全面に酸化シリコン膜等の絶縁膜を形成した後、その絶縁膜をエッチバックしてゲート電極67aの側面に絶縁性サイドウォール70として残す。
その後、ゲート電極67aと絶縁性サイドウォール70をマスクにして、リン等のn型不純物をシリコン基板60にイオン注入する。これにより、ゲート電極67aの側方のシリコン基板60に、n型ソース/ドレインエクステンション69よりも深くて不純物濃度の高いn型ソース/ドレイン領域71が形成される。
続いて、図29(a)に示すように、シリコン基板60の上側全面にスパッタ法によりコバルト膜を形成した後、RTA(Rapid Thermal Anneal)によりコバルトとシリコンとを反応させる。続いて、素子分離絶縁膜64等の上で未反応となっているコバルト膜をウエットエッチングにより除去し、ソース/ドレイン領域71の上にコバルトシリサイド層72を残す。そのコバルトシリサイド層はゲート電極67aの上面にも形成され、それによりゲート電極67aはポリサイド構造となる。
次いで、図29(b)に示すように、シリコン基板60の上側全面にエッチングストッパ膜73として窒化シリコン膜をCVD法により形成し、更にその上にCVD法により酸化シリコン膜等の絶縁膜74を形成して、これらの膜73、74を層間絶縁膜75とする。その後に、層間絶縁膜75の上面をCMP法により研磨して平坦化する。その平坦化の結果、層間絶縁膜75の厚さは、シリコン基板60の平坦面上で約700nmとなる。
次に、図30(a)に示すように、層間絶縁膜75の上に第2のレジストパターン78を形成する。
そして、第2のレジストパターン78をマスクにするRIEにより層間絶縁膜75をエッチングして、コバルトシリサイド層72に至る深さのコンタクトホール75aを層間絶縁膜75に形成する。
そのエッチングは、絶縁膜74に対するエッチングとエッチングストッパ膜73に対するエッチングとの2ステップで行われ、エッチングストッパ膜73のエッチングでは下地のコバルトシリサイド層72がエッチングストッパとして機能する。
そして、これらのエッチングにおけるエッチングガスとしては、絶縁膜74に対してはC4F8、O2、及びArの混合ガスが使用され、エッチングストッパ膜73に対してはC4F8、CF4、O2、及びArの混合ガスが使用される。
この後に、第2のレジストパターン78は除去される。
次に、図30(b)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
まず、コンタクトホール75aの内面と層間絶縁膜75の上面に、スパッタ法によりチタン膜と窒化チタン膜とをこの順に形成し、それらをグルー膜とする。続いて、このグルー膜の上に、六フッ化タングステンを反応ガスとして使用するCVD法によりタングステン膜を形成し、そのタングステン膜によりコンタクトホール75aを完全に埋め込む。その後に、層間絶縁膜75上の余分なグルー膜とタングステン膜とをCMP法により除去し、それらの膜をコンタクトホール75aの中に導電性プラグ79として残す。その導電性プラグ79は、n型ソース/ドレイン領域71と電気的に接続される。
ここまでの工程により、ゲート電極67aやn型ソース/ドレイン領域71等を有するMOSトランジスタTRの基本構造が完成したことになる。
このような半導体装置の製造工程では、図29(b)の工程のようにシリコン基板60の全面に層間絶縁膜75を形成したことで、下地のゲート電極67a等のデバイスパターンが隠れる場合がある。
また、図27(b)の工程においても、シリコン基板60の全面に導電膜67を形成するので、下地の素子分離絶縁膜64等のデバイスパターンが隠れてしまう。
これらの場合、図1に示した欠陥観察装置1を用いて層間絶縁膜75上の欠陥を観察しようとしても、ゲート電極67a等のデバイスパターンを位置合わせの目印として使えないので、第1〜第4実施形態のように欠陥を位置合わせの目印にするファインアライメントを実行するのが好ましい。
第1〜第4実施形態で説明したように、そのようなファインアライメントを実行することで、欠陥観察装置1と基板Wとの位置合わせ精度が向上する。これにより、欠陥観察装置1の電子顕微鏡部21で欠陥を観察するとき、視野の中央付近に欠陥を導入することができるので、欠陥を見逃す機会が減り、高い歩留まりで半導体装置を製造することが可能となる。
以上説明した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 基板表面の複数の欠陥のそれぞれの欠陥座標を取得するステップと、
前記複数の欠陥のそれぞれについて所定領域を設定し、前記複数の欠陥のうち前記所定領域内に含まれる前記欠陥の総個数を計数するステップと、
前記基板が載せられているステージのステージ座標を、前記複数の欠陥のうち第1の欠陥の前記欠陥座標に合わせることにより、顕微鏡の視野内に前記第1の欠陥を導入するステップと、
前記視野内の基準点と前記第1の欠陥とのズレ量を取得するステップと、
前記ズレ量に基づいて、前記複数の欠陥のうち、前記第1の欠陥よりも前記総個数が多い第2の欠陥の前記欠陥座標を補正するステップと、
補正後の前記第2の欠陥の前記欠陥座標に前記ステージ座標を合わせることにより、前記顕微鏡の視野内に前記第2の欠陥を導入するステップと、
を有することを特徴とする欠陥観察方法。
(付記2) 前記視野内に前記第2の欠陥を導入するステップにおいて、前記視野内に前記第1の欠陥を導入するステップと比較して、前記視野内の観察領域を狭小化することを特徴とする付記1に記載の欠陥観察方法。
(付記3) 前記観察領域の前記狭小化は、前記視野の一部に前記第2の欠陥以外の前記欠陥を認識しない禁止領域を設定することにより行われることを特徴とする付記2に記載の欠陥観察方法。
(付記4) 前記禁止領域は、前記第2の欠陥の前記欠陥情報に基づいて、前記第2の欠陥以外の前記欠陥をマスクするように設定されることを特徴とする付記3に記載の欠陥観察方法。
(付記5) 前記禁止領域の広さを、前記第2の欠陥についての前記総個数に比例して広く設定することを特徴とする付記3に記載の欠陥観察方法。
(付記6) 前記観察領域の前記狭小化は、前記視野内に前記第1の欠陥を導入するステップと比較して、前記顕微鏡の倍率を上げることにより行われることを特徴とする付記2に記載の欠陥観察方法。
(付記7) 前記基板として、表面にデバイスパターンが露出していない基板を使用することを特徴とする付記1〜付記6のいずれかに記載の欠陥観察方法。
(付記8) 前記第2の欠陥の前記欠陥座標を補正するステップにおいて、前記欠陥座標から前記第1のズレ量を減じることにより、前記欠陥座標の補正を行うことを特徴とする付記1〜7のいずれかに記載の欠陥観察方法。
(付記9) 半導体基板の上にデバイスパターンを形成するステップと、
前記デバイスパターンを覆う膜を形成するステップと、
前記膜の表面の複数の欠陥のそれぞれの欠陥座標を取得するステップと、
前記欠陥のそれぞれについて所定領域を設定し、前記所定領域内に含まれる前記欠陥の総個数を計数するステップと、
前記半導体基板が載せられているステージのステージ座標を、前記複数の欠陥のうち第1の欠陥の前記欠陥座標に合わせることにより、顕微鏡の視野内に前記第1の欠陥を導入するステップと、
前記視野内の基準点と前記第1の欠陥とのズレ量を取得するステップと、
前記ズレ量に基づいて、前記複数の欠陥のうち、前記第1の欠陥よりも前記総個数が多い第2の欠陥の前記欠陥座標を補正するステップと、
補正後の前記第2の欠陥の前記欠陥座標に前記ステージ座標を合わせることにより、前記顕微鏡の視野内に前記第2の欠陥を導入するステップと、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記10) 基板が載せられるステージと、
前記基板を観察する顕微鏡と、
前記基板の表面にある複数の欠陥の各々の欠陥座標に基づいて、前記ステージのステージ座標を前記欠陥座標に合わせ、前記顕微鏡の視野内に前記欠陥を導入する制御部とを有し、
前記制御部は、
前記基板の表面の複数の欠陥のそれぞれの欠陥座標を取得し、
前記欠陥のそれぞれについて所定領域を設定して、前記所定領域内に含まれる前記欠陥の総個数を計数し、
前記ステージのステージ座標を、前記複数の欠陥のうち第1の欠陥の前記欠陥座標に合わせることにより、前記顕微鏡の視野内に前記第1の欠陥を導入し、
前記視野内の基準点と前記第1の欠陥とのズレ量を取得し、
前記ズレ量に基づいて、前記複数の欠陥のうち、前記第1の欠陥よりも前記総個数が多い第2の欠陥の前記欠陥座標を補正し、
補正後の前記第2の欠陥の前記欠陥座標に前記ステージ座標を合わせることにより、前記顕微鏡の視野内に前記第2の欠陥を導入することを特徴とする欠陥観察装置。