JP5369755B2 - ガスセンサ - Google Patents
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Description
金属表面では表面電荷の集団振動である表面プラズモンが存在可能である(例えば非特許文献1)。この表面プラズモンは電磁波が境界面で全反射する際に生じるエバネッセント波により励起可能である。表面プラズモンが励起されると、入射波のエネルギーが表面プラズモンの励起によって奪われることから反射率が低下する。この表面プラズモンの共鳴的励起は、金属膜が薄膜の場合で、反射面とは逆側に存在する誘電体等の誘電率変化、および当該誘電体の膜厚変化に対し非常に敏感である。その為、金属膜の反射面とは逆側に感応膜を設置することで、様々なセンサとして機能させることが可能となる(例えば非特許文献2)。
なお、表面プラズモンの励起は入射波の波長及び入射角に依存することから、実際的な測定では波長毎、もしくは入射角毎の反射率を測定するのが一般的である。また測定系としては基板の裏に屈折率調整オイルを介してプリズムを配置し、光の入出射を行うKretchmann配置を用いることが一般的である。
また、特許文献3には、アミノ酸のプラズマ重合膜を感応膜として用い、表面プラズモン共鳴により香料であるカルボン分子を検出するガスセンサが記載されている。
特許文献4及び5、並びに非特許文献4及び5は本願発明で用いる個々の技術について記載されているものである。
請求項3に係る発明は、感応膜に、検査対象となる気体を導入したときの共鳴角変化と、感応膜を初期状態に戻すための所定の気体を導入したときの共鳴角変化を測定する手段を有し、その共鳴角変化から、検査対象となる気体の分子種を特定する、ことを特徴とする。
本発明は、表面プラズモン共鳴現象と高分子多層膜を組み合わせたことにある。表面プラズモンの共鳴的励起により金属膜近傍での誘電率変化に対して敏感になる距離(厚み)と高分子累積膜により制御可能な膜厚が適合していることで今回の発明が実現した。
高分子多層膜(累積膜)の作製は、主として高分子が適当な溶媒に溶解した溶液を逐次固体基板に塗布、または吹き付け、もしくはスピンコート等を施すことで作製される。一般的に溶媒に溶解した高分子を固体基板に累積していく際には、相溶性という問題に注意を要する。すなわち、第一に作製された高分子膜に対し、第二の高分子溶液を滴下することで、第一の高分子膜が侵され膜構造が壊れてしまうという問題である。これに対しては、第一の高分子膜に対し適当な処理を行い、分子内もしくは分子間で架橋構造を持たせることで溶媒に対し難溶性とする手法や、第一の高分子膜作製後、第二の積層にもちいる溶媒として第二の高分子にとっては良溶媒であるが第一の高分子には貧溶媒となる溶媒を選び、相溶を防ぐ方法などが用いらていれる。本発明においては、これらの手法を排除するものではないが、第一の膜と第二の膜を構成する高分子間に強いクーロン力を生じさせ、溶媒に侵されるのを防ぐことができる。この手法によって作製された膜を一般的には、交互吸着膜または交互積層膜または高分子電解質累積膜もしくはPolyelectrolyte Multilayers等と呼ぶ(以下ではPEMと略す。例えば非特許文献3)。
また、高分子としてイオン解離性の高分子を利用する際には、溶液のpHをコントロールすることで、主鎖のコンフォメーションを糸まり状や棒状に変化させることが可能となり(例えば非特許文献5)、空洞の大きさ制御が可能となる。
こうして、内部にナノレベルの空洞構造を形成することができる。これにより吸着分子の拡散速度が促進されるとともに、高分子が吸着後に膨潤、収縮する為のスペースを提供する。
本発明によれば、複数の分子種が混在する気体の中から、ある特定の分子に対して感度を持たせたセンサが実現可能となる。さらに吸着分子を脱離するためのヒーター、真空系を用いずとも吸着分子を脱離させることが可能となり簡便なセンサが構築可能となる。
図1のガスセンサ100は、透光性の誘電体から成る基板10の表面に、金属膜20を形成し、その上に2種類の高分子A及びBを交互に積層した感応膜30を形成している。適当な筐体40で感応膜30を覆い、筐体40の気体導入部41から検査対象気体を導入する。検査対象気体中の例えば極性分子は、感応膜30に吸着される。検査対象気体を連続的に導入するため、筐体40には気体排出部42が設けられている。
こうして、例えば基板10の裏面に設けたプリズム50を介して、所定の波長の光を基板10裏面から入射角θで導入し、金属膜20で反射させる。こののち、反射光について、一定の反射角度における強度変化を測定するか、所定の反射角度で強度を測定しながら光強度の最も小さい入射角θを決定することで、感応膜30における変化を定量できる(表面プラズモン共鳴の変化の測定)。これにより、感応膜30に吸着された特定のガス分子の定量又は当該ガス分子の特定(同定)が可能となる。
尚、以下に示す通り、気体導入部41には検査対象気体の他、感応膜30の初期化のために例えば乾燥空気を導入可能としておくと良い。この際、検査対象気体の導入から乾燥空気の導入に切り替えたのちの、表面プラズモン共鳴の変化の測定を時間と共に追跡することで、検査対象気体中に存在したガス分子の感応膜30からの離脱状態を測定でき、当該ガス分子の特定(同定)を可能とする。
なお、本発明は表面プラズモン共鳴と高分子累積膜を組み合わせたものであるが、より共鳴領域を限定した局在表面プラズモン素子への適用も可能である(例えば非特許文献2及び特許文献5)。
なお、本発明の実施例における表面プラズモン共鳴測定の結果は波長770nmによるものだが、この波長に限定するものではない。
なお、一般的には表面プラズモン共鳴測定の評価は共鳴角のシフトで評価することが多いが、特定の角度で受光器を固定し反射率の変化を計測する方法であっても良い。
なお、本発明は表面プラズモン共鳴と高分子多層膜(累積膜)を組み合わせたガスセンサに関するものであるが、本発明の構成を液体に適用することを制限するものではない。この場合、適用される液体は、検出対象分子等を含む混合物を指すものである。
なお、金属膜としては典型的には金もしくは銀が用いられることが多いが、自由電子をもつ金属であれば特に限定はせず、金属単体であっても合金であっても良い。
非特許文献4に記載されたSpin−Assembly法にしたがって、高分子多層膜の作製を行った。手順を以下に示す。
基板10としてカバーガラス(Matsunami製、18×18mm)を用いた。高分子Aとして主鎖である環構造又は側鎖にカチオンを有するpoly(diallyldimethylammonium chloride)(以下、PDDA)を、高分子Bとして側鎖にアニオン性基を有するPoly[1−[4−(3−carboxy−4−hydroxyphenylazo)benzenesulfonamido]−1,2−ethanediyl,sodium salt](以下、PAZO)を用いた。試薬はSigma−Aldrichより購入し、特に精製などは行わずそのまま用いた。両高分子電解質は純水製造装置Milli−RO60により製造した純水を用いて、各々イオン換算濃度で1mmol/Lの水溶液とした。
UVオゾンクリーナ(日本レーザ電子製 NL−UV253)によりオゾン処理して基板10表面を親水化した。次に基板10上に水を滴下し、回転数5000rpmで20秒間、洗浄した。
高分子A水溶液(ポリカチオン溶液)を基板10(の最上層の)上に滴下し、スピンコートする(5000rpm、20秒)。
水の滴下とスピンコート(5000rpm、20秒)を、3回繰り返す。
高分子B水溶液(ポリアニオン溶液)を基板10の最上層の上に滴下し、スピンコートする(5000rpm、20秒)。
水の滴下とスピンコート(5000rpm、20秒)を3回繰り返す。
以上の累積プロセスを繰り返すことで所望の層数を持つPEMを作製した。
例1に示したのと同様の作製法により感応膜を作製し、気体に対する表面プラズモン共鳴測定を行った。高分子Aとしてpoly(4−vinylpyridine)(以下、P4VP)を、高分子Bとしてpoly(4−vinylphenol)(以下、PVPh)を用い、測定装置として表面プラズモン共鳴測定装置Handy−SPR PS−0109(NTT−AT社製、測定レンジ40°〜50°)を用いた。又、感応膜作製の際は溶媒としてエタノールを用い、積層を5ペア行った。
本例においては、高分子A(P4VP)の複素環を構成する窒素原子の孤立電子対と、高分子B(PVPh)のフェノール性水酸基の水素とによる水素結合が、高分子膜同士を引き合わせる主たる要因となっている。
本発明に係るガスセンサは、高分子多層膜を構成する材料、各単層の膜厚、累積数と総膜厚を所望に設計でき、異なる複数の気体分子に対する感度を、独立に設計可能なものである。そこでそのような、異なる複数の気体分子に対する感度の異なる本発明に係るガスセンサ素子を複数個用意し、各々の表面プラズモン共鳴角の変化から、より精度良く気体分子を同定可能であり、且つ濃度測定が可能である。更に、複数の気体分子を同定可能となり、且つ濃度測定が可能となる。
10:透光性の誘電体から成る基板
20:金属膜
30:高分子多層膜から成る感応膜
40:筐体
41:気体導入部
42:気体排出部
50:プリズム
Claims (3)
- 表面プラズモン共鳴を利用してアルコールを検出するガスセンサにおいて、
透光性の誘電体から成る基板と、
前記基板の表面に形成された金属膜と、
前記金属膜の上に形成された誘電体多層膜から成り、検査対象となる気体に曝される感応膜とを有し、
前記感応膜は、水素結合によって互いに引き合う2種類の高分子膜を交互に積層した構造であり、
前記感応膜表面に、検査対象となる気体を導入する手段と、
前記感応膜を初期状態に戻すための所定の気体を導入する手段と、
を有することを特徴とするガスセンサ。 - 前記所定の気体は乾燥空気であることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
- 前記感応膜に、検査対象となる気体を導入したときの共鳴角変化と、前記感応膜を初期状態に戻すための所定の気体を導入したときの共鳴角変化を測定する手段を有し、その共鳴角変化から、前記検査対象となる気体の分子種を特定する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスセンサ。
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