以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図7は、本発明の実施形態1に係る容器と供給管との接続構造Yが適用された遺体処置装置1の使用状態を示す図である。
上記遺体処置装置1は、遺体用の体液漏出防止剤2を収容する容器3と、体液漏出防止2を遺体の咽喉部Bへ供給する供給管4とを備えている。容器3は、シリンジ10と、ピストン11とで構成されている。シリンジ10は、図3に示すように、内部に体液漏出防止剤2が充填される筒状の収容部12と、収容部12に設けられたノズル部13とを有している。
また、供給管4は、図1及び図2に示すように、鼻孔Aから咽喉部Bへ向けて挿入される挿入管部15を備えている。挿入管部15の断面形状は、円形状とされている。挿入管部15の挿入方向先端側(図1及び図2における左側)には、第1、第2及び第3注入孔16、17、18が形成されている。挿入管部15の基端部(図1及び図2における右側)には、筒状の中間部19が設けられている。この中間部19の基端部には、容器3のノズル部13に接続される接続部20が設けられている。上記挿入管部15、中間部19及び接続部20は、塩化ビニール等の柔軟性を有する合成樹脂を用いて一体成形されている。
挿入管部15は、細長形状をなしている。この挿入管部15は、鼻孔Aから咽喉部Bまでの内部形状に応じて変形可能な柔軟性と、鼻孔Aに挿入した際に挿入管部15の内部通路Rが潰れないような固さとを有している。図1に示すように、挿入管部15の挿入方向先端面には、上記第1注入孔16が開口している。また、挿入管部15の先端面よりも基端側に離れた周壁部には、2つの上記第2注入孔17、17が互いに周方向に180゜離れて開口している。また、挿入管部15の第2注入孔17、17よりも基端側に離れた周壁部には、2つの上記第3注入孔18、18が互いに180゜離れて開口している。第2注入孔17、17の開口位置と第3注入孔18、18の開口位置とは、挿入管部15の周方向に90゜ずれている。上記第1注入孔16は円形状とされ、第2及び第3注入孔17、18は、略楕円形状とされている。
上記第2及び第3注入孔17、18の長径寸法は、4mmに設定され、また、短径寸法は3mmに設定されている。第2注入孔17の中心は、挿入管部15の先端面から基端側へ向けて10mm離れている。第3注入孔18の中心は、挿入管部15の先端面から基端側へ向けて22mm離れている。
第1〜第3注入孔16〜18は、挿入管部15内の体液漏出防止剤2を咽喉部Bに注入できるものであればよく、上記の形態に限られない。すなわち、第1〜第3注入孔16〜18の形状、数、開口位置は、挿入管部15の外径、内径、挿入管部15が有する弾性や内部通路Rを流れる体液漏出防止剤2の種類、流動性等の条件によって任意に設定することが可能である。例えば、第2及び第3注入孔17、18の開口面積は、互いに異ならせてもよい。また、第2及び第3注入孔17、18は円形状にしてもよい。さらに、第1〜第3注入孔16〜18のいずれか1つまたは2つを省略してもよい。また、図示しないが、挿入管部15の第3注入孔18よりも基端側に、別の注入孔を開口させてもよい。
また、第2注入孔17の中心と、挿入管部15の先端面との離間寸法は、6mm以上15mm以下が好ましい。また、第2注入孔17の中心と第3注入孔18の中心とは、挿入管部15の軸線方向に、4mm以上10mm以下の範囲で離れているのが好ましい。このように第2及び第3注入孔17、18の大きさや位置を設定することで、挿入管部15内の体液漏出防止剤2を咽喉部Bに確実に注入することができる。
挿入管部15の先端側の外径は、5.0mmに設定され、内径は3.5mmに設定されている。挿入管部15の外径及び内径は、先端部から基端部に向かって僅かに拡大している。これは、挿入管部15の成形時の型抜き性を考慮したことによるものである。
挿入管部15の外径は、2.5mm以上8.0mm以下が好ましい。また、挿入管部15の内径は、外径よりも0.6mm以上2.4mm以下の範囲で小さくなるように設定するのが好ましい。挿入管部15の外径の上限を8.0mm以下にしているのは、8.0mmよりも大きいと鼻孔Aに挿入しにくなるからである。また、挿入管部15の外径の下限を2.5mm以下にしているのは、2.5mmよりも小さいと内部通路Rが狭くなって体液漏出防止剤2が流動しにくくなるからである。つまり、挿入管部15の外径及び内径を上記のように設定することで、鼻孔Aからの挿入作業性及び体液漏出防止剤2の注入作業性を良好にすることが可能になる。
また、中間部19の内径は、挿入管部15の基端部の内径と同じに設定されている。中間部19の内周面と挿入管部15の内周面とは滑らかに連なっている。また、中間部19の外径は、挿入管部15の外径よりも大きく設定され、接続部20側ヘ向かって徐々に大きくなっている。中間部19の外周面は、接続部20の外周面と滑らかに連なっている。中間部19の肉厚は、挿入管部15の肉厚よりも厚くなっている。
また、接続部20は、上記容器3のノズル部13を覆う筒状をなしている。接続部20の先端部(中間部19と連続する側)は、中間部19の基端部に一体成形されている。接続部20の内径は、中間部19の内径よりも大きく設定され、具体的には、ノズル部13の外径に対応している。このため、中間部19の内周面と接続部20の内周面との間には、段差部21が形成されることになり、接続部20の肉厚は中間部19の肉厚よりも薄くなる。また、接続部20の肉厚は、挿入管部15の肉厚よりも厚くなっている。この段差部21の深さは、図5に示すように、ノズル部13の肉厚と略同じに設定されており、ノズル部13を接続部20に挿入した状態で、ノズル部13の内周面と中間部19の内周面とが連続するようになっている。
接続部20の内周面は、その基端へ向かって拡径するように形成され、上記ノズル部13の外周面に嵌合する嵌合面20aで構成されている。嵌合面20aの軸方向中間部には、周方向に延びる溝部(係合部)23が設けられている。この溝部23は、嵌合面20aの全周に亘って連続して環状をなしている。
接続部20の基端部の内周面には、面取りが施された面取り部20cが形成されている。この面取り部20cによって、接続部20の基端部の内径が拡大している。これにより、シリンジ10のノズル部13を接続部20に容易に挿入することが可能になる。
挿入管部15には、中間部19との境界部分近傍から径方向外方へ突出して周方向に延びるストッパー22が一体に形成されている。ストッパー22は、挿入管部15の第1〜第3注入孔16〜18が咽喉部Bに達したときに鼻先A1に当たるように位置付けられている。尚、ストッパー22の形成位置は、挿入管部15の先端部が咽喉部Bの近傍に位置したときに鼻先A1に当たるように設定してもよい。また、ストッパー22の形状は、上記した形状に限られるものではなく、挿入管部15の周方向に断続する形状としてもよく、また、挿入管部15の周方向一部から突出する突起形状であってもよい。また、ストッパー22は、挿入管部15の基端側の他の部位や、中間部19、接続部20に形成してもよい。
また、ストッパー22の代わりに、挿入管部15の咽喉部Bへの挿入量を示すマーク(目印)を設けてもよい。このマークを設ける位置は、上記ストッパー22と同様に設定すればよい。上記ストッパー22をマークとして利用することも可能である。また、複数のマークを挿入管部15の軸線方向に間隔をあけて設けてもよい。マークは、突起部や、凹部等で構成してもよいし、文字やライン等で構成してもよい。
上記シリンジ10は、樹脂材の一体成形品である。図3及び図4に示すように、ノズル部13は直線状に延びており、その軸線は、シリンジ10の軸線からずれている。ノズル部13の先端には、体液漏出防止剤2が吐出される開口部13aが形成されている。ノズル部13の外周面は、先端側へ行くほど縮径するテーパー面13bで構成されており、このテーパー面13bの形状は、上記供給管4の接続部20の嵌合面20aに沿うように延びており、該嵌合面20aに嵌合するように設定されている。したがって、ノズル部13を供給管4の接続部20に挿入すると、嵌合面20aとテーパー面13bとが全周に亘って密着した状態となり、これにより、十分な液密性が確保されるようになっている。
ノズル部13の軸線方向中間部の外周面には、2つの突出部(係合部)14、14が周方向に離れて形成されている。図6に示すように、突出部14、14は、ノズル部13を供給管4の接続部20に完全に挿入した状態で、溝部23内に位置するように配置され、かつ、溝部23に嵌るように形成されている。
各突出部14の挿入方向先端側には、基端側へ向けて傾斜する傾斜部14aが形成されている。一方、突出部14の基端側には、エッジ部14bが形成されている。
なお、ノズル部13の突出部14の数は、2つに限られるものではく、1つや、3つ以上であってもよい。また、突出部14をノズル部13の周方向に連続する環状に形成してもよい。
また、図3及び図4に示すように、上記ノズル部13には、開口部13aを閉塞する樹脂製のキャップ25が装着されるようになっている。これにより、使用前に、収容部12内の体液漏出防止剤2がノズル部13から漏れることはない。
上記ピストン11は、収容部12の内部の体液漏出防止剤2をノズル部13の開口部13aから押し出すためのものである。ピストン11は、収容部12のノズル部13と反対側の端部から挿入される押出部11aと、押出部11aを操作するための押し棒11bとを有する。押出部11aと押し棒11bは、シリンジ10と同様な樹脂材で形成されている。このため、使用後は、シリンジ10とピストン11とを一緒に廃棄処分可能である。
次に、上記のように構成された遺体処置装置1の容器3と供給管4とを接続する要領について説明する。尚、体液漏出防止剤2が充填されたシリンジ10のノズル部13には、キャップ25が装着されている。また、ピストン11の押出部11aは、シリンジ10の内部に挿入され、これにより、シリンジ10が閉塞されている。
まず、上記キャップ25をノズル部13から外す。その後、容器3と供給管4とを接続する。すなわち、シリンジ10のノズル部13を供給管4の接続部20に挿入する。ノズル部13を接続部20に深く挿入していくと、ノズル部13のテーパー面13bが接続部20の嵌合面20aに押し付けられる。このとき、ノズル部13及び接続部20が樹脂材で構成されているので、僅かに弾性変形しながら、テーパー面13bと嵌合面20aとが密着した状態になる。ノズル部13が接続部20に完全に挿入される直前のタイミングで、ノズル部13の突出部14が、接続部20の溝部23に嵌り始める。このとき、突出部14の挿入方向先端側に傾斜部14aが形成されていることから、突出部14が溝部23に嵌りやすい。そして、図5に示すように、突出部14が溝部23に完全に嵌った状態、即ち、ノズル部13が接続部20に完全に挿入された状態で、突出部14が溝部23に係合する。これにより、ノズル部13が接続部20から不意に抜けることが防止され、ノズル部13のテーパー面13bと接続部20の嵌合面20aとの密着状態が保たれて、高い液密性を確保できる。
また、ノズル部13が接続部20に挿入された状態で、ノズル部13に対し接続部20から抜ける方向に力が作用した場合、突出部14のエッジ部14bが溝部23の内面に食い込むようになる。これにより、ノズル部13の抜けが阻止される。
また、上記のように供給管4の接続部20の肉厚が、挿入管部15の肉厚より厚いので、接続部20の剛性が挿入管部15に比べて高くなっている。これにより、接続部20に外力が作用しても、該接続部20とノズル部13との密着状態を保つことができる。
次に、体液漏出防止剤2を咽喉部Bに注入する要領について説明する。尚、図7におけるCは舌、Dは気管、Eは食道、Fは頚椎、Gは口腔をそれぞれ示している。
まず、挿入管部15をその先端側から鼻孔Aに挿入していく。このとき、挿入管部15は中間部19や接続部20よりも薄肉で柔軟であるため、鼻孔Aの内部形状に沿うように変形し易く、挿入力が小さくて済む。
挿入管部15が鼻孔Aの奥へ深く挿入されていき、挿入管部15の第1〜第3注入孔16〜18が咽喉部Bに達すると、ストッパー22が鼻先A1に当たる。すなわち、ストッパー22は挿入管部15の先端側が咽喉部Bに到達したことを示す目印として機能する。ストッパー22が鼻先A1に当たると、挿入管部15をそれ以上挿入できなくなる。
一方、ストッパー22が鼻先A1からかなり離れている状態で、作業者が挿入管部15の挿入を止めた場合には、挿入管部2の先端側が咽喉部Bに達していないことになる。この咽喉部Bに達していない場合には、挿入管部15を鼻孔Aにさらに押し込んでいく。
挿入管部15を鼻孔Aに押し込むときの挿入抵抗が大きいときには、一度抜く方向に動かしてから挿入し直すか、他方の鼻孔Aに挿入する。このようにすることで、挿入管部15を咽喉部Bに向けて挿入することが可能になる。よって、遺体処置の初心者であっても、挿入管部15を咽喉部Bまで簡単に挿入できる。
その後、ピストン11の押し棒11bをシリンジ10に押し込むと、押出部11aがシリンジ10の内面を摺動してノズル部13側へ進む。これにより、シリンジ10内の体液漏出防止剤2がノズル部13を通って開口部13aから供給管4の中間部19を通り、挿入管部15内に送り込まれる。挿入管部15内に送り込まれた体液漏出防止剤2は、内部通路Rを流通して、第1〜第3注入孔16〜18から咽喉部Bに注入される。この体液漏出防止剤2の注入時には、押出部11aによる圧力がノズル部13内部から供給管4内部に亘って作用するが、上記の如くテーパー面13bと嵌合面20aとが密着していることと、突出部14が溝部23に嵌っていることとにより、ノズル部13が接続部20から不意に抜けることが防止されるとともに、体液漏出防止剤2がノズル部13と接続部20との間から漏れることも防止される。
また、体液漏出防止剤2を咽喉部Bに注入する際に、例えば、挿入管部15の第2注入孔17の一部又は全部が鼻孔Aの内壁や咽喉部Bの内壁より塞がれていることが考えられる。この場合、体液漏出防止剤2は、第3注入孔18から吐出されて、挿入管部15の外周面と鼻孔Aの内壁との間を通って、咽喉部Bに導かれるとともに、第1注入孔16から咽喉部Bに注入される。
また、体液漏出防止剤2を咽喉部Bに注入する要領としては、上記したように容器3と供給管4とを接続してから、供給管4の挿入管部15を鼻孔Aに挿入する方法以外に、供給管4の挿入管部15を鼻孔Aに挿入した後に、容器3と供給管4とを接続する方法もある。
後者の方法では、まず、挿入管部15を鼻孔Aから咽喉部Bに向けて挿入する。そして、シリンジ10のノズル部13を供給管4の接続部20に挿入して、突出部14を溝部23に係合させる。これにより、容器3と供給管4とが接続される。そして、ピストン11を操作することで、体液漏出防止剤2が供給管4を介して咽喉部Bに注入される。
したがって、この実施形態1に係る容器3と供給管4との接続構造Yによれば、容器3のノズル部13の外周面に突出部14を形成し、供給管4の接続部20の内周面に溝部23を形成し、ノズル部13を接続部20に挿入した状態で突出部14を溝部23に嵌めるようにしたので、容器3と供給管4との接続を確実にできる。これにより、体液漏出防止剤2の遺体への注入作業中に、体液漏出防止剤2が接続部分から漏れることを防止できるとともに、供給管4が容器3から外れることを防止できる。
また、供給管4の挿入管部15と接続部20とを一体成形したことで、両者を別々に成形した場合に用いられる接着剤が不要になる。これにより、接着剤が挿入管部15と接続部20との間から挿入管部15の内部通路Rへはみ出すことはなく、接着剤による内部通路Rの閉塞を回避できる。
また、ノズル部13のテーパー面13bに供給管4の接続部20の嵌合面20aが嵌った状態で、突出部14が溝部23に嵌るので、突出部14が溝部23から離脱しにくい。これにより、容器3と供給管4とをより一層確実に接続できる。
また、シリンジ10内を摺動するピストン11によって体液漏出防止剤2をシリンジ10から押し出すようにしたので、使用前においては、体液漏出防止剤2をシリンジ11内で確実に保持でき、一方、注入作業時には、ピストン11をシリンジ10に押し込むという簡単な操作で体液漏出防止剤2を咽喉部Bに注入することができる。
尚、体液漏出防止剤2を咽喉部Bに注入した後、遺体処置装置1を廃棄する際には、容器3と供給管4とを接続した状態であってもよいし、分離した状態としてもよい。容器3と供給管4とを分離する場合には、シリンジ10のノズル部13を供給管4の接続部20から強く引き抜けばよい。
また、図示しないが、供給管4の接続部20の内周面に係合部としての突出部を設け、ノズル部13の外周面に係合部としての溝部を設け、これらを係合させるようにしてもよい。
また、図8に示す実施形態1の変形例のように、供給管4の接続部20の周壁部に、ノズル部13の突出部14が嵌る貫通孔(係合部)30を設けてもよい。この変形例では、貫通孔30に、ノズル部13の突出部14を嵌めることで、貫通孔30と突出部14とを係合させることができる。また、図示しないが、ノズル部13の周壁部に貫通孔(係合部)を設け、接続部20の内周面に貫通孔に嵌る突出部(係合部)を設けてもよい。
(実施形態2)
図9及び図10は、本発明の実施形態2に係る容器と供給管との接続構造に用いられる供給管31を示すものである。
実施形態2の供給管31の挿入管部32の挿入方向先端側の所定範囲は、その先端部が基端部よりも径方向一方側に位置するように湾曲している。また、挿入管部32の先端面には、第1注入孔16が開口しておらず、挿入管部32の挿入方向へ膨出するように湾曲した湾曲面部32aによって閉塞されている。挿入管部32の先端側の周壁部には、上記実施形態1の第2及び第3注入孔17、17、18、18と同様に、合計4つの注入孔36、36、37、37が形成されている。
また、挿入管部32の基端側の外径は、基端に向かって徐々に大きくなっている。また、挿入管部32の基端側の肉厚は、先端側に比べて厚くなっている。この挿入管部32の基端部に連なる中間部33と、この中間部33に連なる接続部34とは、略同じ肉厚とされている。したがって、中間部33の外周面と接続部34の外周面とは滑らかに連なっており、また、中間部33の内周面と接続部34の内周面とも滑らかに連なっている。
接続部34の外周面は、実施形態1と同様に嵌合面34aで構成されている。接続部34の周壁部には、2つの貫通孔(係合部)35、35が周方向に離れて形成されている。各貫通孔35は接続部34の周方向に延びる形状とされている。貫通孔35は、供給管31を射出成形金型(図示せず)で成形する際に、貫通孔35に対応する部位に配設した抜き型によって成形されている。これにより、成形後の加工によって貫通孔35を形成する場合に比べて、低コストで貫通孔35を形成可能である。
また、この供給管31の外周面には、実施形態1のストッパー22と同様に挿入管部32の挿入し過ぎを防止するストッパー38が形成されている。このストッパー38の周方向一部は、直線状に切り欠かれていて、その切り欠かれた部分によって直線部38aが構成されている。この直線部38aの周方向の位置は、挿入管部32の先端側の湾曲方向に対応している。このように、直線部35aの周方向の位置と、挿入管部32の湾曲方向とを対応させたことで、作業者は、挿入管部32を咽喉部Bに挿入した状態で、挿入管部32の湾曲方向を鼻孔Aの外側から確認することが可能である。
尚、この実施形態2の接続構造に用いられる容器は、実施形態1の容器3と同じものであるため、以下、実施形態1の符号を使用して説明を行う。
この実施形態2では、上記容器3と供給管31とを接続する際、供給管31の接続部34に貫通孔35、35を形成しているので、各貫通孔35に容器3のノズル部13の突出部14が嵌って係合しているか否かを、作業者が、接続部34の外側から見て確認することが可能である。
この実施形態2においても、実施形態1と同様に、接続部34の貫通孔35にノズル部13の突出部14を係合させることで、容器3と供給管31との接続を確実にでき、体液漏出防止剤2が接続部分から漏れることを防止できるとともに、供給管31が容器3から外れることを防止できる。
また、実施形態2の供給管31を咽喉部Bに向けて挿入する際には、挿入管部32が湾曲していて鼻孔Aから咽喉部Bまでの形状に対応するようになっているので、挿入管部32を咽喉部Bまでスムーズに挿入できる。尚、挿入管部32の湾曲度合いを大きくし過ぎると、鼻孔Aへの挿入作業が難しくなるので、例えば、挿入管部32の先端部の中心が、基端部の中心に対して、挿入管部32の先端直径の半分から3倍程度の範囲で、径方向に偏位するように挿入管部32を湾曲させるのが好ましい。
また、ストッパー38の一部を切り欠いて直線部38aを形成し、この直線部38aの位置を挿入管部32の湾曲方向に対応させているので、ストッパー38が鼻先A1に接近した際に、鼻先A1と上唇との間の皮膚(鼻の下方部分)に当り難くなり、挿入作業性を良好にできる。
また、図11に示す変形例1のように、供給管31の接続部34の周壁部に、係合部としての第1溝部40及び第2溝部41を形成し、容器3のノズル部13の周壁部には、上記第1溝部40及び第2溝部41に挿入されるピン部(係合部)42を形成してもよい。第1溝部40は、接続部34の軸線方向中間部において周方向に延びている。第2溝部41は、第1溝部40の一端部に連続し、接続部34の周壁部の軸方向に延び、接続部34の基端部に達している。
この変形例1において、容器3と供給管31とを接続する際には、まず、ノズル部13を接続部34に挿入していき、ピン部42を第2溝部41に挿入する。ピン部42が第2溝部41の先端側に達したら、接続部34をノズル部13に対し回転させてピン部42を第1溝部40内に位置付け、その後、仮想線で示すように、ピン部42を第1溝部40の第2溝部41とは反対側の端部に位置付ける。これにより、ピン部42と第1溝部40とが係合した状態になり、ノズル部13の抜けが阻止される。また、接続部34をノズル部13に対し回転させることで、ノズル部13のテーパー面部13bと接続部34の嵌合面34aとを強く密着させることができる。尚、容器3と供給管31とを接続する際には、ノズル部13を接続部34に対し回転させてもよい。
上記変形例1の第1溝部40は、図12に示す変形例2のように、第2溝部41と反対側へ行くに従って接続部34の基端側に位置するように形成してもよい。これにより、ピン部42が第1溝部40に入った状態で接続部34とノズル部13との相対回転が抑制され、ピン部42が第1及び第2溝部40、41から抜けにくくなる。また、第1溝部40は、第2溝部41と反対側へ行くに従って接続部34の先端側に位置するように形成してもよい。
尚、図示しないが、第1溝部及び第2溝部をノズル部13に形成し、ピン部を接続部34の内周面に形成してもよい。また、上記変形例1、2において、第1溝部40及び第2溝部41の代わりに、これらと同様に延びる形状の第1凹部及び第2凹部を形成してもよい。
また、図13に示す変形例3のように、キャップ25に凹部からなる係合部25aを設け、この係合部25aをノズル部13の突出部14に嵌めるようにしてもよい。キャップ25は、有底筒状をなしており、係合部25aは、キャップ25の内周面において周方向に延びるように形成されている。係合部25aは、凹部に限られるものではなく、例えば、貫通孔であってもよい。
また、キャップ25の開放側の端部には、鍔部25bが設けられている。キャップ25をノズル部13から取り外す際に、鍔部25bに指をかけることで取り外し易くなっている。鍔部25bの形状としては、キャップ25の外周面から突出して周方向に連続して延びる形状であってもよいし、周方向の一部にのみ突出する形状であってもよい。また、図示しないが、キャップ25には、指を引っ掛けることができるリング状に形成したものを設けてもよい。
また、図14に示す変形例4のように、キャップ25をゴム製としてもよい。このキャップ25は、開放側がノズル部13の外径よりも小径に形成されている。したがって、キャップ25をノズル部13に装着した状態で、キャップ25がノズル部13の突出部14に引っ掛かって抜け落ちにくくなる。
また、図15に示す変形例5のように、供給管31の接続部34の係合部を雌ねじ部50で構成してもよい。この雌ねじ部50は、接続部34の嵌合面34aに螺旋状に形成されている。この変形例5では、ノズル部13の係合部は、図示しないが、雌ねじ部50に螺合する雄ねじ部(係合部)で構成されている。雄ねじ部を雌ねじ部50に螺合させることで両者が係合した状態になる。
また、図16に示す変形例6のように、供給管31の中間部33の外径を挿入管部32の外径よりも大きくして供給管31の外周面に段部51を形成してもよい。この段部51は、挿入管部32の第1〜第3注入孔16〜18が咽喉部Bに達したとき又は咽喉部Bの近傍に達したときに鼻先A1に当たるストッパーを構成している。
また、この変形例6では、供給管31の接続部34に、軸方向に延びる4つのスリット55、55、…が周方向に間隔をあけて形成されている。また、接続部34の嵌合面34aには、係合部としての溝部52が形成されている。接続部34にスリット55、55、…を形成したことで、ノズル部13を接続部34に挿入した際に接続部34が変形し、これにより、ノズル部13の突出部14が接続部34の溝部52に嵌りやすくなる。
また、図17〜図19に示す変形例7のように、供給管31の接続部34の係合部を爪部56で構成し、ノズル部13の係合部を爪部56が嵌る凹部57としてもよい。この変形例7の供給管31には、変形例6と同様にストッパーとして機能する段部51が形成されている。また、接続部34には、変形例6と同様にスリット55、55、…が形成されている。爪部56は、4つが接続部34の周方向に離れて設けられており、接続部34の基端部から該接続部34の内方へ向けて突出している。一方、凹部57は、ノズル部13の周方向に連続している。
また、図20に示す変形例8のように、供給管31の挿入管部32の先端側に、先端へ向かって細く形成された先細部60を設けてもよい。先細部60の先端面には、細孔からなる第1注入孔16が開口している。また、第3注入孔18は、円形状とされている。この変形例8では、第2及び第3注入孔17、18が鼻孔Aの内壁等で閉塞された場合に、体液漏出防止剤2を第1注入孔16から咽喉部Bに注入することが可能である。また、先細部60に第1注入孔16を開口させたことにより、先細部60の剛性が低下して先細部60を折れ曲がりやすくできる。これにより、挿入管部32を咽喉部Bに向けて挿入する際、先細部60を変形させて鼻孔Aの奥側へスムーズに挿入することができる。
また、図21に示す変形例9のように、供給管31の挿入管部32の先端面に第1注入孔を形成することなく、湾曲面部63で閉塞するようにしてもよい。この湾曲面部63には突出部64が形成されており、この突出部64は、挿入管部32の軸線から径方向にずれて配置されている。また、第2注入孔17、17は、図21に示す挿入管部32の上下両側にそれぞれ形成されている。これら第2注入孔17、17により、挿入管部32の先端側が折れ曲がり易くなり、湾曲面部63が図21の上下方向(挿入管部32の径方向)に容易に変位するようになっている。また、挿入管部32を挿入する際に、突出部64が鼻孔Aの内壁に当たった際に、挿入管部32の先端側が咽喉部B方向へ容易に折れ曲がるようになり、挿入管部32をスムーズに挿入できる。
また、図22に示す変形例10のように、供給管31の挿入管部32の先端部に蓋部材66を嵌め込んでもよい。この蓋部材66の外面は、挿入管部32の挿入方向へ向けて湾曲する湾曲面66aで構成されている。また、蓋部材66の湾曲面66aは、上記変形例9の挿入管部32の先端面の形状と同じようにしてもよい。
また、第1〜第3注入孔16〜18は、挿入管部32に十字状の切れ込みを入れることによって形成してもよい。このようにすれば、体液漏出防止剤2の注入時には、その吐出圧力によって、切れ込みが開いて開口し、体液漏出防止剤2が吐出される。注入後には、切れ込みが閉じるので、挿入管部32を鼻孔Aから引き抜いたときに、挿入管部32内の体液漏出防止剤2が漏れにくくなる。この切れ込み形状は、直線状であってもよいし、曲線形状であってもよい。
また、第1〜第3注入孔16〜18の形状は、円形や楕円形に限られるものではなく、例えば、直線状のスリット形状、弓形に湾曲したスリット形状、多角形状などであってもよい。
また、第2及び第3注入孔17、18は、それぞれ、挿入管部32の周方向に120゜おきに3つ開口させてもよいし、90゜おきに4つ開口させてもよい。
また、第1〜第3注入孔16〜18のうち、どれかを切れ込みで形成してもよい。
また、挿入管部32には、図示しないが、第3注入孔18から軸方向に離れて開口する注入孔を、第2注入孔17とは別に形成してもよい。
また、図示しないが、例えば、第1〜第3注入孔16〜18の外側に薄膜材からなるワンウェイ弁を設けておき、使用後に、挿入管部32内に残っている体液漏出防止剤2が注入孔16〜18から垂れるのを抑制するようにしてもよい。また、上記薄膜材の一部を挿入管部32の外周面に接合しておき、挿入管部32内の体液漏出防止剤2を注入する際には、そのときの吐出圧力によって、薄膜材が一部を残して外周面から離れるようにしてもよい。これにより、注入時には、体液漏出防止剤2の吐出圧力により、第1〜第3注入孔16〜18が開放されて、体液漏出防止剤2が咽喉部Bに注入される。そして、注入後は、ピストン16を少し引いて、収容部12内に陰圧を作用させることで、挿入管部32内の体液漏出防止剤2をシリンジ10内に吸引するようにする。これにより、薄膜材が挿入管部32の外周面に密着するようになり、第1〜第3注入孔16〜18が閉塞される。この薄膜材で閉塞する注入孔は、第1〜第3注入孔16〜18のうち、任意の1つであってもよいし、2つであってもよい。
上記実施形態2の変形例1〜10は、実施形態1のものにも適用することが可能である。
また、容器3のノズル部13の突出部14や、突出部14よりも先端側を着色して、他の部分と明確にわかるように区別し、さらに、供給管31の接続部34を透光性にある材料で構成してもよい。これにより、ノズル部13の突出部14が接続部34の外側から透けて見えるようになり、突出部14が貫通孔35に係合しているか否かを目視で確認できる。
(実施形態3)
図23及び図24に基づいて、本発明の実施形態3に係る容器と供給管との接続構造について説明する。
上記実施形態1、2のものでは、供給管4を鼻孔Aに差し込んで咽喉部Bまで挿入するようにしているが、本実施形態3では、図23に示すように、供給管131を口から口腔Gに差し込んで咽喉部Bまで挿入するようにしている点で実施形態1、2のものとは異なっている。尚、この実施形態3の供給管4を鼻孔Aに差し込んで咽喉部Bまで挿入することもできる。この場合、供給管131は、鼻孔Aから差し込む場合と口腔Gから差し込む場合とで兼用される兼用供給管となる。
この実施形態3の供給管131は、構造上、挿入管部132に目印136が設けられている点で実施形態2の供給管31とは異なっており、長さや太さは実施形態2のものと同じである。目印136は、ストッパー38から挿入管部132の先端側に離れて位置付けられている。目印136は、挿入管部132の外周面に周方向に延びる所定幅の帯状をなすように形成されており、挿入管部132の色とは異なる色で着色されてなるものである。この目印136は、単色で形成してもよいし、多色で形成してもよいし、模様や文字等で形成してもよい。
目印136は、口腔Gから咽喉部Bまで差し込む際に使用されるものである。すなわち、一般に、口から口腔Gを通って咽喉部Bまで達する距離は、鼻先A1から鼻孔Aを通って咽喉部Bまで達する距離よりも短い。このため、挿入管部132を口から咽喉部Bまで挿入するとき、例えば、鼻孔Aから挿入することを想定して位置設定されているストッパー38が唇や前歯に当たるまで挿入してしまうと、注入口36、37が咽喉部Bの適切な位置よりも奥まで入ることになり、体液漏出防止剤2が咽喉部Bの狙いとする部位に注入されない虞れがある。
つまり、図23に示すように、挿入管部132の挿入作業時に、ストッパー38が唇や前歯に当たる前に、目印136が唇や前歯に接近したときに挿入を中止することで、挿入管部132の挿入し過ぎを防止できる。これにより、体液漏出防止剤2を咽喉部Bの狙いとする部位に確実に注入することができる。
この供給管131を鼻孔Aから咽喉部Bに挿入する場合には、ストッパー38が鼻孔Aの鼻先A1に当たるまで挿入すればよい。これにより、体液漏出防止剤2を咽喉部Bの狙いとする部位に確実に注入することができる。このストッパー38は、挿入管部132の咽喉部Bへの挿入量を示す目印としても使用可能である。
この実施形態3のものにおいても、実施形態1と同様な効果を奏することができる。
なお、目印136としては、上記したものに限られず、例えば、挿入管部132の外周面に形成した段差であってもよいし、挿入管部132の外周面を一部だけ粗く表面処理した部位であってもよいし、外周部分の一部をストッパーになるように切り起こしたものでもよい。また、図示しないが、挿入管部132と別部材で構成した別体ストッパーを挿入管部132に設け、この別体ストッパーを、挿入管部132の外周面上を移動できるように構成してもよい。こうすることで、挿入管部132を鼻孔Aから咽喉部Bに挿入する場合と、挿入管部132を口腔Gから咽喉部Bに挿入する場合とで別体ストッパーの位置を変更して容易に対応することができ、いずれの場合においても別体ストッパーを利用することができるようになる。尚、この別体ストッパーは、挿入管部132の咽喉部Bへの挿入量を示す目印としても使用可能である。
また、図示しないが、挿入管部132のストッパー38よりも先端側に、別部材からなるリング状のストッパーを配置しておくようにしてもよい。この場合には、挿入管部132を鼻孔Aから咽喉部Bに挿入する場合と、挿入管部132を口腔Gから咽喉部Bに挿入する場合とで、リング状のストッパーを対応する部位まで移動させることにより、いずれの場合においてもリング状のストッパーを使用することができる。
図25は、実施形態3の変形例1を示している。実施形態3の変形例1では、両端が開放したカバー筒235を挿入管部132に被せるようにしている。カバー筒235は、上記のようなストッパーや目印、またはその両方として機能するものであり、供給管131に対し着脱自在となっている。カバー筒235の軸方向一端部には、フランジ部236が形成されている。また、カバー筒235の内径は、挿入管部132の基端側の外径よりも小さく設定されている。
この変形例1のものを使用する際には、供給管131の挿入管部132を口腔Gに差し込む前に、カバー筒235を挿入管部132に被せてセットする。このとき、カバー筒235のフランジ部236側と反対側がストッパー38に当たるようにカバー筒235の向きを決めておく。そして、カバー筒235のフランジ部236側と反対側がストッパー38に当たるまでカバー筒235を移動させると、カバー筒235の内径が挿入管部132の基端側の外径よりも小さく設定されていることにより、カバー筒235の内周面が挿入管部132の外周面に圧接する。これにより、カバー筒235が挿入管部132から簡単には抜けないようになる。尚、カバー筒235の内周面に凸部を設け、この凸部を挿入管部132の外周面に当てることによってカバー筒235の抜けを抑制するようにしてもよい。
このようにして、カバー筒235を挿入管部132にセットしてから、挿入管部132を口腔Gに差し込んでいき、カバー筒235のフランジ部236が唇や前歯に当たるまで挿入する。これにより、注入口36、37を咽喉部Bの適切な位置に位置付けることができる。カバー筒235のセット位置は、ストッパー38に当たる手前としてもよい。
また、図26は、実施形態3の変形例2を示している。実施形態3の変形例2では、有底のカバー筒335を挿入管部32に被せるようにしている。カバー筒335の先端部は、湾曲面で構成されている。カバー筒335の先端側には、挿入管部132の注入口36、37に一致する開口部が形成されている。カバー筒335の基端側には、拡径部336が形成されている。この拡径部336は、上記ストッパーや目印、またはその両方として機能するものである。また、カバー筒335の内径は、挿入管部132の基端側の外径よりも小さく設定されている。さらに、このカバー筒335は、全体として湾曲しており、その湾曲度合いは、挿入管部132の湾曲度合い(同図に仮想線で示す)よりも大きく設定されている。
この変形例2のものを使用する際には、供給管131の挿入管部132を口腔Gに差し込む前に、カバー筒335を挿入管部132に被せてセットする。このとき、カバー筒335の先端側の開口部を、挿入管部132の注入口36、37に合わせる。さらに、挿入管部132の先端部をカバー筒335の先端部内面に接触させることにより、カバー筒335を位置決めする。
このようにして、カバー筒335を挿入管部132にセットしてから、挿入管部132をカバー筒335と一緒に口腔Gに差し込んでいき、カバー筒235の拡径部336が唇や前歯に当たるまで挿入する。これにより、挿入管部132の注入口36、37を咽喉部Bの適切な位置に位置付けることができる。
変形例2では、カバー筒335を挿入管部132に被せているので、咽喉部Bへ挿入する部分の外径は大きくなるが、口腔Gは鼻孔Aよりも大きく開くので、咽喉部Bへの挿入に際しては問題とならない。また、カバー筒335を被せることで、挿入管部132が補強されて曲がり難くなる。これにより、挿入管部132を口腔Gへ差し込む際に、挿入管部132が無用に曲がり難くなり、スムーズに挿入することができる。また、径が太くなることで、作業者は口腔Gから咽喉部Bへ挿入するためのものであることを外観で判断できるようになる。
なお、上記したカバー筒235、335以外にも、例えば、挿入管部132に嵌まるように形成された部材でストッパーや目印を構成してもよい。このような部材としては、例えば、蛇腹状の管部材等が挙げられるが、これらに限られるものではない。また、挿入管部132にテープを巻き、これをストッパーや目印としてもよい。また、断面C字形状の樹脂製弾性リング部材を挿入管部132の外側に嵌めて、これをストッパーや目印としてもよい。この弾性リング部材を挿入管部132に取り付ける場合には、弾性リング部材32を径方向に拡げればよく、挿入管部132への取り付け作業は容易である。
(実施形態4)
図27は、本発明の実施形態4に係る供給管431を示すものである。この供給管431は、口腔Gから咽喉部Bへ挿入する場合にのみ用いられるものであり、その長さは、上記実施形態1〜3のものよりも短く設定されている。また、実施形態4の供給管431の外径D2は、実施形態2のものの外径D1(図9に示す)よりも大きく設定されている。
供給管431の先端面には、注入口436が形成されている。また、供給管431の先端側の周壁部には、2つの注入口437(図27には1つのみ示す)が周方向に間隔をあけて設けられている。供給管431には、実施形態1と同様に機能するストッパー438が設けられている。このストッパー438は、円板形状である。また、供給管431は、口腔Gの湾曲した形状に沿うように湾曲している。また、供給管431は、口腔Gに挿入しても殆ど変形しないように高い剛性を有している。
この実施形態4のものを使用する場合について説明する。供給管431を口腔Gから咽喉部Bへ向けて挿入していくと、供給管431のストッパー438が唇や前歯に当たり、これにより、注入口436、437が咽喉部B内の最適な位置となる。また、この供給管431を挿入するときには、遺体が死後硬直する前であれば、口を大きく開けるようにしてもよい。供給管431を咽喉部Bへ挿入した状態では、供給管431が上記のように高い剛性を有していて、しかも口腔Gの形状に対応するように湾曲しているので、供給管431が変形してその内径が狭くなることはなく、体液漏出防止剤2を咽喉部Bにスムーズに注入できる。
尚、供給管431は、弾性変形可能に構成してもよい。この場合、供給管431が、遺体の口腔Gの湾曲形状に対応して変形するようになる。
また、接続部34には、実施形態1の溝部(係合部)23と同様な溝部(係合部)435が設けられている。溝部43の代わりに、実施形態2のような貫通孔を形成してもよい。
この実施形態4のものにおいても、実施形態1と同様な効果を奏することができる。
また、実施形態1、2の鼻孔Aから咽喉部Bまで挿入するように構成された鼻孔用供給管4、31と、実施形態3、4の口腔Gから咽喉部Bまで挿入するように構成された口腔用供給管131、431とをセットにしておいてもよい。
また、実施形態1〜4のものにおいて、体液漏出防止剤2には、一般に使用されている防腐剤、腐食防止剤、殺菌剤、滅菌剤、芳香剤、消毒剤等を単独で、或いは混合して添加してもよい。また、体液漏出防止剤2には、例えば、安定化二酸化塩素、ホルマリン、アルコール類、フェノール類、樹木から採取した油等を添加しても良い。
上記実施形態1〜4では、容器3の収容部12をシリンジ10で構成したが、これに限らず、柔軟性を有するチューブのような部材を用いて構成してもよい。この場合、体液漏出防止剤2を収容部から搾り出すようにすればよい。
また、実施形態1の供給管4や実施形態2の供給管31を口腔G(図7に示す)から咽喉部Bに向けて挿入するようにしてもよい。
また、実施形態1〜4の供給管4、31、131、431の接続部20、34と、挿入管部15、32、132とを樹脂によって別々に成形しておき、これらを溶着して一体化するようにしてもよい。これにより、接続部20、34を構成する樹脂と、挿入管部15、32、132を構成する樹脂とを異ならせることができ、供給管4、31の設計自由度を向上させることができる。
また、供給管4、31、131、431を構成する材料は、上記した柔軟性を有する樹脂材に限られるものではなく、例えば、硬質樹脂材や金属材料、繊維材等であってもよい。
また、供給管4、31、131、431の挿入管部15、32、132の断面形状は、円形状以外にも、楕円形状であってもよい。
また、上記供給管4、31を幼児に使用する場合には、供給管4、31の先端から約5cm位の部位に目印またはストッパーを設けるのが好ましい。さらに、児童用としては、挿入管部15の先端から約8cm位の部位に目印またはストッパーを設けるのが好ましい。また、供給管4、31を、鼻孔Aから咽喉部Bへ挿入する場合と、口腔Gから咽喉部Bへ挿入する場合との両方へ使用する場合には、上述したような目印やストッパーを2箇所設けるようにしてもよい。また、児童用の目印を、供給管4、31の軸方向に広く形成し、その目印の先端側(供給管4、31の先端側)を口腔Gから挿入する場合に目印として用い、後端側(供給管4、31の基端側)を鼻孔Aから挿入する場合に目印として用いてもよい。幼児用の供給管と、児童用の供給管と、成人用の供給管とをセットにしておき、必要に応じて選択して使用可能にしてもよい。幼児用の供給管と、児童用の供給管と、成人用の供給管とに、識別マークを付してもよいし、これら供給管の色を互いに異ならせてもよい。また、幼児用と児童用と成人用とで容器3の大きさを変えてもよい。また、幼児用と児童用と成人用とで体液漏出防止剤2の成分や注入量を変えてもよい。