JP2008143834A - 遺体の処置装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】遺体の体腔を作業性良く簡便に、的確に且つ衛生的に封止して体液漏出を防止できる遺体の処置装置を提供する。
【解決手段】遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置は、両端が開口され、先端に吐出口22を有すると共に、先端と後端の間の所定位置に半径方向外側に突出したストッパ部26を有し、且つ、後端部に指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した鍔部23を有する筒状本体20と、該筒状本体に後端部側から摺動自在に挿入されているピストン30とを有する注入器10を備える。上記筒状本体の内部には体液漏出防止材X、Yが収容されており、筒状本体の先端の吐出口は、上記体液漏出防止材と共に遺体の肛門及び/又は膣内に押し出される閉塞部材40により脱着自在に閉塞されている。さらに、上記処置装置と、遺体の口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置とをセットにした遺体処置装置も提供される。
【選択図】図4

Description

本発明は、遺体の体腔、特に肛門や女性の膣などの体腔に体液漏出防止材を装填して封止することにより、体液漏出を防止するための遺体処置装置に関する。
本発明はまた、上記遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置と、遺体の口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置とを組み合わせて備える遺体の処置装置に関する。
一般に、ヒトや動物の死亡後には体腔各部の筋肉が弛緩し、胃液、肺液、腹水、排泄物などの体液が漏出することが多く、悪臭や、病原菌による感染の原因ともなっている。このため、例えば病院では、死亡確認後、遺体の口、鼻、耳、肛門、女性の膣等の体腔に多量のガーゼ、脱脂綿等を装填し、体液の漏出を防ぐことが行なわれており、また、事故や手術後の遺体の開口部にも同様な処置がとられている。しかしながら、体腔へのガーゼ、脱脂綿等の装填作業の多くは、従業者や看護師等の手によって行われることが多く、その作業の煩雑さや不衛生さと同時に、ガーゼ、脱脂綿等は吸水能力が低いため、作業中もしくは作業後にしばしば体液が漏出してしまうという問題や、作業従事中にこの漏出物質による死後感染の可能性もあり、その解決が強く求められていた。
このようなことから、ガーゼ、脱脂綿等に代えて高吸水性樹脂粉末を口、耳、鼻などに装填することが知られており、例えば、注射器を使って口、耳、鼻などに高吸水性樹脂粉末を装填する方法や(特許文献1参照)、安定化二酸化塩素を含む吸水性樹脂粉末を、咽喉には粉末のまま、耳孔、鼻孔には水溶性シートに包んで使用する方法(特許文献2参照)などが知られている。ところが、このような高吸水性樹脂粉末を装填しようとしても、流動性が悪いため、狭い体腔、例えば咽喉部には装填することが困難である。また、鼻孔や耳孔の入口部分だけであれば、このような微粉末を注射器のような注入器で充填できるが、奥までは充填できない。また、奥まで充填するために注入器を動かしながら充填しようとすると、先端から出る微粉末が飛び散り、かえって遺体周辺を汚すだけである。
このような高吸水性樹脂粉末の充填性や作業性の悪さや、飛散等の問題を解決するために、近年、粉体でなく、ゼリーを用いることが提案されており、例えば、消臭剤入りの粉末ポリマーを適当量の水で溶かし適当に混合してゼリー状にしたものを用いる方法(特許文献3参照)や、アルコールを主成分とするゼリーの中に高吸水性ポリマー粉体を多数分散させたものを用いる方法(特許文献4参照)が知られている。しかしながら、これらのゼリー状体液漏出防止剤は、口、鼻、耳などに注入・装填することを目的としており、肛門や膣を封止するためのものではない。また、前記のような従来のゼリー状体液漏出防止剤のみを注入器具で肛門や膣に注入・装填した場合、死後の体腔各部の筋肉の弛緩により体液が漏出し易いという問題がある。さらに、注入器具を肛門や膣に挿入する場合、常に一定の施用部位に吐出口部が位置するように挿入することが難しいという問題がある。
このようなゼリー状の体液漏出防止剤を、例えば鼻孔奥の咽喉部に充填する場合の充填方法について図1を参照しながら説明すると、特許文献4に記載のように、ゼリー状の体液漏出防止剤2が収容されている注入器1は、後端部からピストン3が摺動自在に挿入されていると共に、その先端に保護キャップ5を被せた注入口4を備え、フイルムパック(図示せず)で包んでシールした状態にされている。咽喉部B等の体腔に挿入される細長い挿入管(チューブ)6は、一端に注入器1の注入口4に接続される接続部7を有し、他端に鼻孔Aに挿入される開口部8を有する。
次に、このようにして用意された遺体処置装置を使用する方法を説明する。図1において、Aは鼻孔、Bは咽喉部、Cは舌、Dは気管、Eは食道である。使用時には、フイルムパックから注入器1を取り出し、注入器1の注入口4の保護キャップ5を取り外し、挿入管6の接続部7を注入口4に嵌め合わせて挿入管6を接続する。次いで、挿入管6の開口部8を鼻孔Aから咽喉部Bに向けて挿入し、挿入管6のストッパ部9が鼻先Bに当たった時点で挿入を停止する。そして、注入器1のピストン3を押圧し、注入器1内のゼリー状の体液漏出防止剤2を挿入管6を経由して咽喉部Bに注入する。注入器1内の体液漏出防止剤2を押出し、充填した後は、注入器1と挿入管6を鼻孔Aから取り除く。
前記したようなゼリー状の体液漏出防止剤は、押出し流動性が高く、鼻孔等の狭い体腔であっても充填され易く、注入器で圧入しても飛散することがないという利点を有する。特に、高吸水性ポリマー粉体を多数分散させたゼリーの場合、吸水性能が高く、このポリマーが体腔から漏出する体液を吸収し、外部へ漏出することを防止することが可能となる。
しかしながら、従来のゼリー状体液漏出防止剤を用いた遺体処置の場合、注入器1の注入口4の保護キャップ5を取り外し、注入器1の先端部の注入口4に挿入管6の接続部7を嵌め合わせて接続し、細長い挿入管6の開口部8を鼻孔Aから咽喉部Bに向けて挿入するものであるため、準備に時間がかかると共に、小さな鼻孔Aから細長い挿入管6を入れてその開口部8が咽喉部Bに達するまで挿入するため、挿入操作に時間がかかり、迅速な処置という面において難点があった。また、口から挿入しようとしても、舌の存在のため、従来の可撓性のある挿入管(チューブ)を口から挿入することは困難である。
一方、肛門や膣を封止するための装置としては、芯部材の外周に弾性ゴム部材が巻かれ、弾性ゴム部材を膨らます流体の導入通路が該芯部材の内部に形成された挿入部材と両親媒性ゲルが内臓された注入器とを用意し、該挿入部材を体腔に装填し、該導入通路の体腔外部に開口する開口部に注入器をセットし、注入器内の両親媒性ゲルを上記芯部材を介して弾性ゴム部材の内部に充填し、該弾性ゴム部材を膨張させて体腔内壁に密着させて体腔を封止することを特徴とする体液漏出防止方法(特許文献5参照)が提案されている。しかしながら、このような方法では、挿入部材と両親媒性ゲルが内臓された注入器の連結、挿入部材の体腔内への装填、及び注入器内の両親媒性ゲルの弾性ゴム部材内部への充填という操作が必要であり、作業性が悪くて迅速に体液漏出操作を行い難いと共に、器具数が多く、コスト高になるという問題に加えて、弾性ゴム部材を膨張させて体腔内壁に密着させて体腔を封止する方法であるため、体液漏出防止を効果的且つ確実に行い難いという問題がある。
特開平10−298001号公報(特許請求の範囲) 特開平7−265367号公報(特許請求の範囲) 特開平8−133901号公報(特許請求の範囲) 特許第3586207号公報(特許請求の範囲) 特開2001−288002号公報(請求項11)
前記したような遺体の肛門や膣からの汚物の漏出防止作業は、それに従事する従業者や看護師にとって衛生的にも院内感染の面からも好ましくない。また、遺体の搬送作業等に悪影響を与えるので、従業者や看護師の作業を簡素化し、且つ、簡便な装置で体腔内汚物を衛生的に、且つ、迅速、確実に封止することが強く求められている。
従って、本発明の目的は、前記したような従来技術の問題を解決し、遺体の肛門や膣の封止作業を作業性良く、簡便に、的確に、且つ衛生的に行え、体液漏出を確実に防止できる遺体の処置装置を提供することにある。
さらに本発明の目的は、遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置と、遺体の口から簡単に挿入でき、のど部に体液漏出防止剤を迅速に注入・装填できる処置装置とを組み合わせて備え、遺体の体液漏出防止処置を全体的に効果的且つ迅速に行える遺体の処置装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明によれば、遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置であって、両端が開口され、先端に吐出口を有すると共に、先端と後端の間の所定位置に半径方向外側に突出したストッパ部を有し、且つ、後端部に指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した鍔部を有する筒状本体と、該筒状本体に後端部側から摺動自在に挿入されているピストンとを有する注入器を備え、上記筒状本体の内部に体液漏出防止材が収容されており、且つ、筒状本体の先端の吐出口は、上記体液漏出防止材と共に遺体の肛門及び/又は膣内に押し出される閉塞部材により脱着自在に閉塞されていることを特徴とする遺体の処置装置が提供される。
好適な態様においては、前記筒状本体は、両端が開口され、先端に吐出口を有すると共に、後端部に指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した鍔部を有する円筒状部材と、その外周に被冠されたカバー部材とからなり、該カバー部材の所定位置に前記ストッパ部が設けられており、また前記ピストンは上記円筒状部材内に摺動自在に挿入されている。
さらに本発明によれば、セットとしての遺体処置装置も提供され、この処置装置は、
前記のような遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置と、
体液漏出防止剤が収容されている筒状体と、該筒状体内にその後端部側から摺動自在に挿入されているピストンと、上記筒状体の先端部からその軸線方向に突出しており、先端部に吐出口部を有すると共に、先端部から所定長さだけ湾曲状に形成された湾曲部を有する挿入管部とからなる、遺体の口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置
とを組み合わせて備えることを特徴としている。
このセットとしての遺体処置装置は、好適には、さらに耳孔及び/又は鼻孔から体液の漏出を防ぐための繊維製封止材を備えている。あるいはさらに、口中装填用の繊維製封止材も備えることができる。
好適な態様においては、前記遺体の口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置において、前記挿入管部の湾曲部は、湾曲中心に向かう方向の寸法がそれと垂直な方向の寸法よりも小さな扁平環状の断面を有する。
別の好適な態様によれば、前記筒状体は、その後端部に、指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した鍔部を有し、且つ、筒状体の先端部には挿入管部側に向かって先細のテーパ状接続管部が形成されており、一方、前記挿入管部の後端部には、前記筒状体に嵌め合わされる筒状の外部接続部と、該外部接続部の内側に配され、前記テーパ状接続管部に嵌め合わされるテーパ状内部接続部が形成されている。
さらに他の好適な態様においては、前記筒状体は、円筒状の内筒体と、それを囲繞する外筒体とからなり、上記外筒体は、挿入管部側に向かって先細のテーパ状筒体であり、その後端部に半径方向外側に突出した鍔部を有し、一方、上記内筒体は、その先端部に挿入管部側に向かって先細のテーパ状接続管部を有し、且つ、その後端部に上記外筒体の鍔部と係合する半径方向外側に突出した係合片を有する。
前記遺体の口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置のさらに別の好適な態様においては、前記挿入管部の後端部には、前記筒状体の外筒体先端部に嵌め合わされる筒状の外部接続部と、該外部接続部の内側に配され、前記筒状体の内筒体先端部のテーパ状接続管部に嵌め合わされるテーパ状内部接続部が形成されている。
本発明に係る遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置は、両端が開口され、先端に吐出口を有すると共に、先端と後端の間の所定位置に半径方向外側に突出したストッパ部を有し、且つ、後端部に指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した鍔部を有する筒状本体と、該筒状本体に後端部側から摺動自在に挿入されているピストンとを有する注入器を備え、上記筒状本体の内部に体液漏出防止材が収容されており、且つ、筒状本体の先端の吐出口は、上記体液漏出防止材と共に遺体の肛門及び/又は膣内に押し出される閉塞部材により脱着自在に閉塞されているため、閉塞部材を取り外すことなくそのまま体液漏出防止材と共に体腔内に装填することができる。また、筒状本体の所定位置に半径方向外側に突出したストッパ部を有しているため、常に一定した施用部位に確実に吐出口が位置して体液漏出防止材を装填することができる。さらに、本発明の遺体の処置装置は、筒状本体の後端部に指を引っ掛けるための鍔部を有するため、遺体の体腔への体液漏出防止材の注入操作をより簡便に作業性良く行うことができる。従って、遺体の肛門や膣の封止作業を作業性良く、簡便に、且つ衛生的に行える。
また、本発明に係る遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置のより好適な態様においては、前記筒状本体は、両端が開口され、先端に吐出口を有すると共に、後端部に指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した鍔部を有する円筒状部材と、その外周に被冠されたカバー部材とからなり、該カバー部材の所定位置に前記ストッパ部が設けられており、また前記ピストンは上記円筒状部材内に摺動自在に挿入されているため、一体成形の場合に比べて低コストで容易に筒状本体を製造できると共に、カバー部材を断面多角形の外形にしたり、カバー部材を着色したり、あるいはその色を他の部材の色と異なるように着色してカラフルな注入器とすることにより、病院で看護師が一般の注射器と間違えずに容易に判別できる、あるいはまた施用場所を鮮明に把握できるようにすることができる。
さらに本発明のセットとしての遺体処置装置は、前記肛門及び/又は膣を封止するための処置装置と、遺体の口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置とを備え、好ましくは耳孔及び/又は鼻孔から体液の漏出を防ぐための繊維製封止材とを備えているため、容器内に必要な構成処置具を全て備えた遺体処置キットとして構成できるので、持ち運びが簡単になり、遺体処置をより迅速に行うことが可能になる。さらに、耳孔及び/又は鼻孔から体液の漏出を防ぐための繊維製封止材や口中装填用の繊維製封止材も備えていることにより、死後の体腔各部の筋肉の弛緩による体液漏出もより確実に防止することができる。
また、本発明のセットとしての遺体処置装置に用いる遺体の口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置は、体液漏出防止剤が収容されている筒状体の先端部に、その軸線方向に突出しており、先端に吐出口部を有すると共に、先端の吐出口部から所定長さだけ湾曲状に形成された湾曲部を有する挿入管部が設けられているため、遺体の口から簡単に挿入でき、のど部に体液漏出防止剤を迅速に注入・装填できる。特に上記挿入管部の湾曲部が、湾曲中心に向かう方向の寸法がそれと垂直な方向の寸法よりも小さな扁平環状の断面を有する好適な態様によれば、遺体の口から極めてスムーズに挿入できるので迅速な処置が可能となり、遺体の口からの体液漏出を迅速に防止できる。また、体腔内で体液と接触すると速やかに体液を吸収・膨潤して固まり、体液漏出を効果的に防止できる高吸水性樹脂粉末を分散・含有するゼリー状の体液漏出防止剤を注入するのに適し、このような体液漏出防止剤を遺体ののど部に作業性良く注入・装填でき、体液漏出を効果的且つ迅速に防止できる。
遺体の口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置の別の好適な態様によれば、前記筒状体は、後端部に指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した鍔部を有し、且つ、筒状体の先端部には挿入管部側に向かって先細のテーパ状接続管部が形成されており、一方、前記挿入管部の後端部には、前記筒状体に嵌め合わされる筒状の外部接続部と、該外部接続部の内側に配され、前記テーパ状接続管部に嵌め合わされるテーパ状内部接続部が形成されている。この態様によれば、上記鍔部に指を引っ掛けてピストンを簡単に且つ安定して押すことができるので、体液漏出防止剤の注入操作をより簡便に作業性良く行うことができる。この態様の場合、湾曲部を有する挿入管部と、後端部に半径方向外側に突出した鍔部を有する体液漏出防止剤を収容するための筒状体とを予め別体として製造しておき、挿入管部の後端部に形成された筒状の外部接続部を前記筒状体に嵌め合わせと共に、該外部接続部の内側に配されたテーパ状内部接続部を前記筒状体先端部のテーパ状接続管部に嵌め合わせ、固定することにより容易に一体化することができる。従って、湾曲部を有する挿入管部と後端部に半径方向外側に突出した鍔部を有する筒状体を比較的低コストで生産性よく作製でき、これらを一体成形する場合の金型作製のコストが高くなるなど、経済性や製造上の面で好ましくない点を解消することができる。
さらに、前記筒状体が、円筒状の内筒体と、それを囲繞する外筒体とからなり、上記外筒体は、挿入管部側に向かって先細のテーパ状筒体であり、その後端部に半径方向外側に突出した鍔部を有し、上記内筒体は、その先端部に挿入管部側に向かって先細のテーパ状接続管部を有し、且つ、その後端部に上記外筒体の鍔部と係合する半径方向外側に突出した係合片を有する他の好適な態様においては、比較的低コストで筒状体を生産性よく作製でき、先端部に挿入管部側に向かって先細のテーパ状接続管部を有し、後端部に鍔部を有する筒状体を一体成形する場合の金型作製のコストが高くなるなど、経済性や製造上の面で好ましくない点を解消することができる。
さらに、前記挿入管部の後端部には、前記筒状体の外筒体先端部に嵌め合わされる筒状の外部接続部と、該外部接続部の内側に配され、前記筒状体の内筒体先端部のテーパ状接続管部に嵌め合わされるテーパ状内部接続部が形成されている特に好適な態様においては、筒状体の先端部に挿入管部を安定して固定することができる共に、筒状体内の体液防止剤が漏れを生じることなくスムーズに挿入管部に流れ、体液防止剤を挿入管部を介してスムーズに押し出すことができる。また、挿入管部後端部の筒状の外部接続部はストッパ部として機能するので、挿入管部の挿入に熟練を要することなく、常に一定した施用部位に吐出口部が位置するように挿入できる。
本発明に係る遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置は、前記したような問題を解決し、遺体の肛門や膣の封止作業を作業性良く、簡便に、且つ衛生的に行え、体液漏出を確実に防止できるようにするために、両端が開口され、先端に吐出口を有すると共に、先端と後端の間の所定位置に半径方向外側に突出したストッパ部を有し、且つ、後端部に指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した鍔部を有する筒状本体と、該筒状本体に後端部側から摺動自在に挿入されているピストンとを有する注入器を備え、上記筒状本体の内部に体液漏出防止材が収容されており、且つ、筒状本体の先端の吐出口は、上記体液漏出防止材と共に遺体の肛門及び/又は膣内に押し出される閉塞部材により脱着自在に閉塞されていることを特徴としている。このように筒状本体の先端の吐出口を閉塞部材により脱着自在に閉塞することにより、閉塞部材を取り外すことなく、そのまま体液漏出防止材と共に体腔内に装填することができる。
また、前記したように、従来の注入器具を肛門や膣に挿入する場合、常に一定の施用部位に吐出口部が位置するように挿入することが難しいという問題があったが、本発明の遺体処置装置の場合、筒状本体の所定位置に半径方向外側に突出したストッパ部が設けられているため、常に一定した施用部位に確実に吐出口が位置して体液漏出防止材を注入・装填することが可能となる。なお、ストッパ部は、体液漏出防止材を注入・装填する部位に応じて、筒状本体の先端から所定距離離れた位置に形成すればよいが、一般に筒状本体の略中間部に形成することが好ましい。
さらに、注入器の操作性を向上させるために、本発明の遺体の処置装置は、筒状本体の後端部に指を引っ掛けるための鍔部を有する。このような鍔部を設けることにより、これに指を引っ掛けることができるため、注入操作がし易くなる。従って、遺体の肛門や膣への体液漏出防止材の注入操作をより簡便に作業性良く、且つ衛生的に行える。
また、従来の体液漏出防止剤用注入器は一般の注射器と類似の外形を有するため、病院で看護師が一般の注射器と間違える恐れがある。このような間違えを回避するためには、注入器の筒状本体を、先端に吐出口部を有する円筒状部材と、その外周に被冠されたカバー部材とに分けることが好ましい。これにより、一体成形の場合に比べて低コストで容易に筒状本体を製造できるという利点の他に、カバー部材を断面多角形の外形にしたり、カバー部材を着色したり、あるいはその色を他の部材の色と異なるように着色してカラフルな注入器とすることにより、病院で看護師が一般の注射器と間違えずに容易に判別できる、あるいはまた施用場所を鮮明に把握できるようにすることができる。このようなカバー部材を用いる場合、前記したストッパ部はカバー部材の所定位置に設ければよく、好ましくはストッパ部はカバー部材の先端部又はカバー部材が円筒状部材と同じような長さの場合には略中間部に、鍔部は円筒状部材の後端部に設けることが望ましい。このような構成の場合、遺体の肛門や膣に挿入したときにストッパ部がそれらの入口に当接するが、カバー部材の後端が円筒状部材の鍔部に突き当たることにより、ストッパ部を有するカバー部材が後方に位置ズレすることはない。
本発明に係る遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置に用いる体液漏出防止材としては、高吸水性樹脂粉末もしくはそれを圧縮整形したもの、又は高吸水性樹脂粉末を繊維等の充填材と共に圧縮整形したもの、あるいは高吸水性樹脂粉末を含有するゼリー状の体液漏出防止剤や、吸水性繊維状充填材などを、単独で又は組み合わせて用いることができる。体液漏出防止材が高吸水性樹脂粉末を含有もしくは保持する場合、体液及び汚物中の液を吸収した高吸水性樹脂粉末は膨脹し(吸水性繊維状充填材と併用した場合には、その一部は吸水性繊維状充填材に浸透し)、固形状のゲルになるので、体液及び汚物の漏出を確実に防止することができる。
例えば、高吸水性樹脂粉末を含む圧縮整形体又は体液を吸収すると速やかに膨脹して固形状のゲルになる体液漏出防止剤と、吸水性繊維状充填材とを組み合わせて用いる場合、注入器の筒状本体の内部に吐出口側から順に、高吸水性樹脂粉末を含む圧縮整形体又はゼリー状の体液漏出防止剤と、吸水性繊維状充填材を収容し、筒状本体の先端の吐出口を閉塞部材により脱着自在に閉塞する。このように構成することにより、閉塞部材を取り外すことなく、そのまま高吸水性樹脂粉末を含む圧縮整形体又はゼリー状の体液漏出防止剤及び吸水性繊維状充填材と共に体腔内に注入・装填することができる。従って、遺体の肛門や膣の封止作業を作業性良く、簡便に、且つ衛生的に行える。また、そのとき、体液及び汚物中の液を吸収した体液漏出防止材中の高吸水性樹脂粉末は膨脹すると共に、その一部は吸水性繊維状充填材に浸透して、固形状のゲルになるので、体液及び汚物の漏出を確実に防止することができる。
また、前記肛門及び/又は膣を封止するための処置装置とセットとして用いられる、遺体の口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置としては、後端部側から摺動自在にピストンが挿入されており、且つ体液漏出防止剤が収容されている筒状体の先端部に、その軸線方向に突出しており、先端部に吐出口部を有すると共に、先端部から所定長さだけ湾曲状に形成された湾曲部、好ましくは湾曲中心に向かう方向の寸法がそれと垂直な方向の寸法よりも小さな扁平環状の断面を有する湾曲部を有する挿入管部を設けた遺体の処置装置を組み合わせて用いることが好ましい。この装置の場合、挿入管部が湾曲部を有するため遺体の口から極めてスムーズに挿入できるので迅速な処置が可能となり、遺体の口からの体液漏出を迅速に防止できる。また、体腔内で体液と接触すると速やかに体液を吸収・膨潤して固まり、体液漏出を効果的に防止できる高吸水性樹脂粉末を分散・含有するゼリー状の体液漏出防止剤を注入するのに適し、このような体液漏出防止剤を遺体ののど部に作業性良く注入・装填でき、体液漏出を効果的且つ迅速に防止できる。
また、前記筒状体が後端部に指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した鍔部を有する場合、この鍔部に指を引っ掛けてピストンを簡単に且つ安定して押すことができるので、体液漏出防止剤の注入操作をより簡便に作業性良く行うことができるという利点が得られる。しかしながら、前記のような湾曲部を有する挿入管部を、後端部に半径方向外側に突出した鍔部を有する体液漏出防止剤を収容するための筒状体と一体成形することは、そのための金型作製のコストが高くなるため、経済性の面で好ましくない。そこで、好適な態様においては、前記筒状体は、後端部に指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した鍔部を有し、且つ、筒状体の先端部には挿入管部側に向かって先細のテーパ状接続管部が形成されており、一方、前記挿入管部の後端部には、前記筒状体に嵌め合わされる筒状の外部接続部と、該外部接続部の内側に配され、前記テーパ状接続管部に嵌め合わされるテーパ状内部接続部が形成されている。
また、前記したような先端部に挿入管部側に向かって先細のテーパ状接続管部が形成され、且つ、後端部に半径方向外側に突出した鍔部を有する筒状体を一体成形することは、そのための金型作製のコストが高くなるなど、経済性や製造上の面で好ましくない。そこで、好ましくは、前記筒状体が、円筒状の内筒体と、それを囲繞する外筒体とからなり、上記外筒体は、内筒体としっかり係合するように挿入管部側に向かって先細のテーパ状筒体であり、その後端部に半径方向外側に突出した鍔部を有し、一方、上記内筒体は、その先端部に挿入管部側に向かって先細のテーパ状接続管部を有し、且つ、その後端部に上記外筒体の鍔部と係合する半径方向外側に突出した係合片を有する。このような好適な態様においては、先端部にテーパ状接続管部を有し、後端部に鍔部を有する筒状体を一体成形する場合の金型作製のコストが高くなるなど、経済性や製造上の面で好ましくない点を解消することができ、内筒体と外筒体とを予め別体として製造しておき、先端部にテーパ状接続管部を有する内筒体を、後端部に鍔部を有する外筒体に嵌め合わせ、これらを固定することにより、容易に一体化することができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の遺体処置装置の好適な態様の具体例について説明する。
まず、肛門及び/又は膣を封止するための注入器の形態の本発明の処置装置(以下、注入器という)の好適な実施態様について、図2〜図4を参照しながら説明する。なお、図2の(A)は正面図、(B)は左側面図、(C)は右側面図、図3は平面図、図4は縦断面図を示している。
図2〜図4に示されるように、注入器10は、いずれも高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等のプラスチックから作製された筒状本体20と、ピストン30と、筒状本体20の先端吐出口を脱着自在に閉塞する閉塞部材40とから構成されており、全体的に透光性を有し、筒状本体20内に収容されている体液漏出防止材がある程度視認できるように構成されているが、中が見えないように着色されていても構わず、また他の任意のプラスチック材料から作製することもできる。
注入器10内には、吐出口側に配された高吸水性樹脂粉末を圧縮整形したもの又はゼリー状の体液漏出防止剤からなる体液漏出防止材Xと共に、ピストン側に吸水性繊維状充填材(栓部材)Yが収容されている。この吸水性繊維状充填材Yは、肛門や膣の体腔内で体液漏出防止材Xが体液を吸収して固形状のゲルになった後、体腔各部の筋肉が死後弛緩して固形状ゲルとの間に隙間が生じても、確実に体液漏出の防止を図るためのものである。一つの装置に収容される体液漏出防止材Xの量は約1〜10g、より好ましくは約1〜5g、吸水性繊維状充填材Yの長さは約10〜30mm、直径は約8〜23mmの範囲内に設定することが好ましい。尚、吸水性繊維状充填材Yを用いずに体液漏出防止材Xのみでもよい。
筒状本体20は、先端に吐出口22を有する円筒状部材21と、その外周に被冠されたカバー部材25とからなる。
円筒状部材21先端の吐出口22は、円筒体を切断した端面のように円形形である。図4に明瞭に示されているように、円筒状部材21は、後端部に指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した一対の鍔部23を有する。鍔部23の先端部分は吐出口22側に湾曲しており、指が引っ掛け易いようになっている。また、円筒状部材21の後端部近傍の内周面には、僅かに内方に突出したリング状の突条部24が形成されている。
なお、死後、硬直するまでに肛門や膣に外径の大きな筒状注入器(シリンジ)を挿入すると、肛門管や膣口が大きく開き、収縮するまでに時間を要するので体液の漏出の原因になる。また、円筒状部材21の外径は細いほど挿入し易く、使用が簡便である。従って、円筒状部材21の外径は約10〜25mm、より好ましくは約10〜15mm、内径は約8〜23mmの範囲内に設定することが好ましい。また、鍔部23の円筒状部材21の外周面からの高さは約5〜18mm、先端部の湾曲の程度は0〜50°の範囲内に設定することが好ましい。
一方、カバー部材25は、図2及び図3から明らかなように、断面八角形の筒体であり、病院で看護師が一般の注射器と容易に判別できるように構成されている。なお、カバー部材25は断面が円環状又は任意の多角形の筒体としてもよく、また、カバー部材を着色したり、あるいはその色を他の部材の色と異なるように着色してカラフルな注入器とすることにより、施用場所を鮮明に把握できるようにすることも可能である。図4に明瞭に示されているように、カバー部材25は、その先端部に後方に拡開する笠状のストッパ部26を有する。円筒状部材21の先端からストッパ部26までの距離は約15〜50mmの範囲内に設定することが好ましく、ストッパ部26の円筒状部材21の外周面からの高さは、容易に肛門や膣口で止まるように約5〜30mmの範囲内に設定することが好ましい。なお、ストッパ部26は、必ずしも本実施態様のように笠状にする必要はなく、注入器10を肛門や膣へ所定長さだけ挿入した位置でそれ以上の挿入を行わないことを確保できる部材であればよく、例えば円板状であってもよい。また、このようなカバー部材を用いる場合、前記した鍔部とストッパ部はカバー部材の所定位置に設けてもよく、例えばストッパ部はカバー部材の先端部又はカバー部材が円筒状部材と同じような長さの場合には略中間部に、鍔部はカバー部材の後端部に設け、このカバー部材が後方に抜け出ないような突部(ストッパー)を円筒状部材の後端部に設ける構成としてもよい。
前記カバー部材25は、その後端が円筒状部材21の後端に形成された鍔部23に当接することによって、円筒状部材21の後端より後方向に移動しないように構成されている。円筒状部材21を遺体の肛門や膣に挿入したときにストッパ部26がそれらの入口に当接するが、カバー部材25の後端が円筒状部材21の鍔部23に突き当たることにより、ストッパ部26を有するカバー部材25が後方に位置ズレすることはない。また、円筒状部材21の先端の吐出口22には、注入器10内に体液漏出防止材が充填された後に、半球キャップ状の閉塞部材40が被冠される。なお、本実施態様においては、円筒状部材21とカバー部材25は別体に形成されているが、一体成形してもよい。
前記半球キャップ状の閉塞部材40の材質としては、耐薬品性があり、安価なプラスチック材料、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA、別名:ナイロン)等の熱可塑性プラスチックが好ましい。また、合成繊維や天然繊維の成型不織布や、高吸水性樹脂繊維等の成型物なども好適に用いることができる。
一方、ピストン30は、上記筒状本体20の円筒状部材21に、後端部側から摺動自在に挿入されている。ピストン30の長さは、内容物の体液漏出防止材X及び吸水性繊維状充填材Yを全て押し出せるように、円筒状部材21の長さよりも長くなるように設計されている。ピストン30は、断面円形の丸棒状のピストンロッド31を有し、その先端部には該ピストンロッドの断面寸法よりも若干大きな直径の円形フランジ部32が形成されている。該円形フランジ部32から突出して形成されたフランジ部33周囲には、合成樹脂やゴム等から作製されたガスケット34が被冠されている。また、ピストンロッド31の後端には、ピストンロッド31を指で押圧し易いように、指を当てる円板状部35が形成されている。
ピストン30は、筒状本体20の円筒状部材21に後端部側から挿入したときに、上記ガスケット34が注入器10の円筒状部材21内周面に接触した状態で円筒状部材21内を摺動するように構成されている。さらに、円筒状部材21の後端部近傍の内周面には僅かに内方に突出したリング状の突条部24が形成されており、この突条部24にピストンロッド31の円形フランジ部32が当たることによって、ピストン30が筒状本体20から容易に抜け出ないように構成されている。
上記肛門及び/又は膣に前記体液漏出防止材X及び吸水性繊維状充填材Yを注入・装填するための処置装置の使用に際しては、まず、注入器10の吐出口22に装着された閉塞部材40を取り外さずに、そのまま例えば肛門や膣に挿入し、ストッパ部26が肛門や膣の入口に当たった時点で挿入を停止する。この際、挿入抵抗を軽減するために、閉塞部材40に潤滑剤を塗布してもよい。そして、注入器10のピストン30を押圧し、注入器10内の体液漏出防止材X及び吸水性繊維状充填材Yを閉塞部材40と共に注入する。そのとき、体液及び汚物中の液を吸収した体液漏出防止材X中の高吸水性樹脂粉末は膨脹すると共に、その一部は吸水性繊維状充填材Yに浸透して、固形状のゲルになるので、効果的に体液及び汚物の漏出を防止することができる。その後、注入器10を肛門や膣から抜き出す。
前記体液漏出防止材Xとしては、後述するような高吸水性樹脂粉末もしくはそれを圧縮整形したもの、又は高吸水性樹脂粉末を繊維等の充填材と共に圧縮整形したもの、あるいは高吸水性樹脂粉末を含有する後述するようなゼリー状の体液漏出防止剤などを好適に用いることができる。
一方、前記吸水性繊維状充填材Yとしては、高吸水性樹脂繊維の不織物、高吸水性樹脂繊維等の成形物、圧縮パルプ紙、綿、綿と高吸水性樹脂繊維混紡、合成繊維の不織布、布などで形成できるが、特に水膨潤性繊維、例えばアクリル繊維の内層と高吸水性樹脂からなる外層とで構成された東洋紡績株式会社製のランシール(登録商標)F又はランシール(登録商標)Kを円柱状に成形したもの、又はパルプを円柱形状に圧縮成形したもの(例:女性用タンポンタイプ)を用いることが好ましい。
図5は、前記実施態様の変形例を示している。この実施態様においては、ピストン30は、断面十字形のピストンロッド31aを有しているが、それ以外の構成は前記実施態様と同様である。
図6は、前記実施態様の閉塞部材の変形例を示している。この実施態様においては、閉塞部材40aは、半球キャップ状部材41の内部に皿状の内蓋42がその底部が外側を向くように嵌め込まれたものである。この閉塞部材40aは、円筒状部材21の先端の吐出口22に被冠されたときに、内蓋42の底部が円筒状部材21の端面に当接して吐出口22を塞ぐように構成されている。前記実施態様の半球キャップ状の閉塞部材40の場合、肛門及び/又は膣に注入した時に前記体液漏出防止材Xの一部(先端部)が半球キャップ状の閉塞部材40内部に押し込まれて溜まり易くなり、その分だけ体液の吸収に使用される体液漏出防止材の量が少なくなり、吸液速度が遅くなる。これに対して、図6に示すような内蓋42を用いた閉塞部材40aの場合、体液漏出防止材Xの一部が半球キャップ状の閉塞部材40a内部に押し込まれて溜まる量は殆どないので、体液漏出防止材のほぼ全体量を体液の吸収に有効に使用することができる。
前記内蓋42は、図6に示すような皿状でなくてもよく、例えば円形板状に成型することもできる。その材質としては、耐薬品性があり、安価なプラスチック材料、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA、別名:ナイロン)等の熱可塑性プラスチックが好ましい。また、合成繊維や天然繊維の成型不織布や、高吸水性樹脂繊維等の成型物なども好適に用いることができる。
図7は、前記実施態様の閉塞部材の他の変形例を示している。この実施態様においては、閉塞部材40bは、円筒状部材21の内径よりも大きな直径を有する半球部43と、円筒状部材21の先端の吐出口22に嵌め込まれる丸棒部44が一体となったキノコ型の形状を有する。
一方、図8に示す実施態様においては、閉塞部材40cは、いずれも円筒状部材21の内径と同じ直径を有する半球部43aと丸棒部44aが一体となった形状を有する。
前記図7及び図8に示す閉塞部材40b,40cは、いずれも円筒状部材21の先端の吐出口22に嵌め込んで閉塞するものである。
このような閉塞部材40b,40cの材質としては、牛脂、ヤシ油、パーム油などから作られた固形石鹸や、ポリエチレングリコール(PEG、平均分子量として約1000以上の固体のもの)、プラスチック材料、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA、別名:ナイロン)等の熱可塑性プラスチック、ゴム、高吸水性樹脂繊維等の成型物、パルプを円柱状に圧縮成形したもの(例:女性用タンポンタイプ)、綿と高吸水性樹脂繊維混紡、合成繊維や天然繊維の成型不織布、プラスチック発泡体(独立気泡フォーム)、木材、コルクなどを用いることができる。
次に、前記肛門及び/又は膣を封止するための処置装置とセットとして用いられる口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置の好適な実施態様について、図9〜図15を参照しながら説明する。
図9〜図15は、口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための注入器の形態の本発明の処置装置(以下、注入器という)の一実施例を示しており、図9はその正面図、図10は平面図、図11は左側面図、図12は右側面図、図13は縦断面図を示している。
本発明の注入器100は、体液漏出防止剤が収容されている筒状体110と、該筒状体内110にその後端部側から摺動自在に挿入されているピストン130と、上記筒状体110の先端部からその軸線方向に突出しており、先端部に吐出口部151を有すると共に、先端部から所定長さだけ湾曲状に形成された湾曲部152を有する挿入管部150とからなる。湾曲部152は、ヒトの口蓋の形状に近似した湾曲状に形成されている。筒状体110、ピストン130及び挿入管部150は、いずれも高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等のプラスチックから作製され、全体的に透光性を有し、筒状体110内に収容されている体液漏出防止剤がある程度視認できるように構成されているが、中が見えないように着色されていても構わず、また他の任意のプラスチック材料から作製することもできるが、挿入管部150の少なくとも湾曲部152は可撓性を有することが好ましい。
図13に示されているように、ゼリー状の体液漏出防止剤Xを収容するため筒状体110は、円筒状の内筒体111と、それを囲繞する外筒体121とからなる。上記外筒体121は、全体的に見て、内筒体111としっかり係合するように挿入管部150側に向かって僅かに先細のテーパ状筒体であり、内筒体111の外径と同一か又は若干大きな内径を有する所定長さの先端円筒部122と、その後側のテーパ状筒部123とからなる。テーパ状筒部123の先端は、先端円筒部122の後端から半径方向外側に外部接続部153の厚み分だけ僅かに拡張し、先端円筒部122の外径よりも大きな外径の先端部を有し、先端円筒部122の後端との間に段差が形成されていると共に、該先端部から後方にかけて徐々に僅かに径が大きくなるテーパ状筒部123となっている。テーパ状筒部123の後端部には、図11〜13に明瞭に示されているように、半径方向外側に突出した楕円形状の鍔部124を有し、該鍔部124の背面には後述する内筒体111の係合片114が嵌め込まれる凹陥部125が形成されている。楕円形状の鍔部124の両側先端部分は、挿入管部150側の方向に僅かに湾曲しており、指が容易に引っ掛かり易いようになっている。
また、図15に示されるように、上記外筒体121の先端円筒部122の先端内周縁部には、円周方向90度の角度となる間隔で4箇所に、凹部126が形成されていると共に、先端円筒部122のテーパ状筒部123近傍の所定位置外周面には、同様に円周方向90度の角度となる間隔で4箇所に、テーパ状筒部123に向かってなだらかに立ち上がり、後端縁が鋭角(直角)となっている突部127が形成されている。さらに、テーパ状筒部123の内周面には、円周方向90度の角度となる間隔で4箇所に、その先端から後方に所定距離だけ軸線方向に延在する突条のリブ128が形成されている。各リブ128の内側面により形成される仮想内周の径は内筒体111の外径と同一か又は若干大きな径となっており、内筒体111を挿入したときに外筒体121内にしっかりと係合・保持されるように構成されている。なお、図示の例では、各凹部126と各突部127は軸線方向に一直線上に配され、各リブ128はそれらと30°円周方向に位置がずれて(30°回転した位置に)配されているが、位置ずれは例えば45°など任意の角度でよく、また、各リブ128は各凹部126及び各突部127と軸線方向に一直線上に配されてもよい。なお、各凹部126と各突部127も任意の角度で位置ずれした位置に配することもできるが、各凹部126と各突部127が軸線方向に一直線上に配されている場合、内筒体111を挿入するときの円周方向回転角度の位置合わせを簡単に行うことができるので好ましい。
一方、上記内筒体111は、図13に示されるように、円筒状本体112の先端部に挿入管部150側に向かって先細のテーパ状接続管部113が形成されており、且つ、その後端部に上記外筒体121の鍔部124の凹陥部125と係合する半径方向外側に突出した係合片114を有する。係合片114の形状は、外筒体121の鍔部124の楕円形状よりも小さな楕円形状であるが、鍔部124の凹陥部125と係合する形状であれば任意でよく、例えば楕円形状の両側が切断されたような形状であってもよい。また、円筒状本体112の先端縁外周面には、円周方向90度の角度となる間隔で4箇所に、テーパ状接続管部113への移行部116の後端から後方に向かってなだらかに立ち上がり、後端縁が鋭角(直角)となっている突部115が形成されている。
挿入管部150は、先端部に吐出口部151を有すると共に、先端部から所定長さだけ湾曲状に形成された湾曲部152を有する。湾曲部152及び吐出口部151は、湾曲中心に向かう方向の寸法がそれと垂直な方向の寸法よりも小さな扁平環状の断面を有し、ヒトの口蓋の形状に近似した湾曲状に形成されており、可撓性を有するため、処置する遺体の口蓋の曲面形状が多少異なっていても、容易にその曲面形状に追従するので、遺体の口からスムーズに挿入することができる。また、挿入管部150の後端部には、図15に明瞭に示されているように、前記筒状体110の外筒体121の先端円筒部122に嵌め合わされる筒状の外部接続部153と、該外部接続部153の内側に配され、前記筒状体110の内筒体111のテーパ状接続管部113が嵌め込まれるテーパ状内部接続部154が形成されており、これらは接続部155を介して湾曲部152に至っている。接続部155とテーパ状内部接続部154は、後端部側に向って徐々に径が大きくなるテーパ状内周面156を有し、このテーパ状内周面156の寸法は内筒体111のテーパ状接続管部113の外形寸法と略等しくなっている。
尚、挿入管部150の外部接続部153の後端部はテーパ状内部接続部154の後端部よりも後方に突出しており、外部接続部153の後端とテーパ状内部接続部154の後端との距離は、外筒体121の先端円筒部122と内筒体111の移行部116の軸線方向の合計長さと略等しくなっている。また、外部接続部153の後端部には、円周方向90度の角度となる間隔で4箇所に、前記筒状体110の外筒体121の先端円筒部122に形成された各突部127が嵌め込まれる孔部157が形成されている。尚、外部接続部153の後端から孔部157までの距離は、先端円筒部122の後端から突部127までの距離と略等しくなっている。また、挿入管部150先端の吐出口部151には、注入器100内に体液漏出防止剤が充填された後に、主として外気の湿気の影響を防止するために、保護キャップ(図示せず)が取り外し自在に被冠されるが、このような保護キャップはなくても構わない。
また、挿入管部150の筒状の外部接続部153は、湾曲部152を遺体の口からのど部に向けて挿入する際、ストッパ部として機能し、又は挿入停止位置表示部として機能するので、先端の吐出口部151から外部接続部153までの長さは、口から通して吐出口部151がのど部に達する長さ(挿入長さ)と同程度とすればよく、また、湾曲部の扁平環状断面の長径外寸は約5〜25mm、好ましくは約10〜15mm、短径外寸は約3〜15mm、好ましくは約5〜10mm程度であればよい。さらに、吐出口部151が詰まったときの予備開口部となる複数の孔部を、湾曲部152の先端部側部に設けることもできる。
筒状体110の内筒体111と外筒体121及び挿入管部150の組立てに際しては、まず筒状体110の外筒体121に内筒体111を挿入すると(図15参照)、内筒体111の円筒状本体112の先端縁外周面に形成された4個の突部115が、外筒体121の先端円筒部122の先端内周縁部に形成された4個の凹部126に嵌り込むと共に、外筒体121の鍔部124の凹陥部125に内筒体111の係合片114が係合し、内筒体111は外筒体121から抜け出なくなり、一体化される。このように内筒体111と外筒体121が一体化された筒状体110のテーパ状接続管部113を挿入管部150の外部接続部153内に挿入すると、前記筒状体110の内筒体111のテーパ状接続管部113が挿入管部150のテーパ状内部接続部154内に嵌め込まれると共に、外筒体121の先端円筒部122に形成された4個の突部127が外部接続部153に形成された4個の孔部157に嵌り込み、筒状体110は挿入管部150から抜け出なくなり、一体化される。尚、挿入管部150の湾曲部152の方向と外筒体121の鍔部124の方向は同一方向(図9に示す状態では上下方向)に配向しており、遺体の口からの挿入と注入操作が容易に行えるように構成されていると共に、組立てに際しての挿入管部150と外筒体121との位置合わせを簡便にして組立てが容易に行えるように構成されている。
一方、ピストン130は、図13に明瞭に示されるように、上記筒状体110の内筒体111内に、後端部側から摺動自在に挿入されている。ピストン130の長さは、内容物の体液漏出防止剤Xを全て押し出せるように、内筒体111の長さよりも長くなるように設計されている。ピストン130は、図14に示されるように、断面十字形のピストンロッド131を有し、その先端部には該ピストンロッド131の断面寸法よりも若干大きな直径の円形フランジ部132が形成されている。該円形フランジ部132から突出して形成されたフランジ部133周囲には、合成樹脂やゴム等から作製されたガスケット134が被冠されている。また、ピストンロッド131の後端には、ピストンロッド131を指で押圧し易いように、指を当てる円板状部135が形成されている。ピストン130は、筒状体110の内筒体111に後端部側から挿入したときに、上記ガスケット134が注入器100の内筒体111内周面に接触した状態で内筒体111内を摺動するように構成されている。なお、本実施態様では、ピストンロッド131は、図14に示されるように断面十字形であるが、断面円形等の丸棒状であってもよい。
上記遺体処置装置の使用に際しては、まず、注入器100の吐出口部151の保護キャップ(図示せず)を取り外し、挿入管部150の湾曲部152を遺体の口からのど部に向けて挿入する。この際、挿入管部150後端部の筒状の外部接続部153はストッパ部として機能するので、挿入管部の挿入に熟練を要することなく、常に一定した施用部位に吐出口部151が位置するように挿入できる。また、挿入抵抗を軽減するために、挿入管部150に潤滑剤を塗布してもよい。そして、注入器100のピストン130を押圧し、注入器100内のゼリー状の体液漏出防止剤Xを挿入管部150を経由してのど部に注入する。この際、筒状体110内の体液漏出防止剤Xが漏れを生じることなくスムーズに挿入管部150に流れ、体液漏出防止剤Xを挿入管部150先端の吐出口部151からスムーズに押し出すことができる。また、注入器100内の体液漏出防止剤Xを押出し、充填した後は、注入器100を口から抜き出す。
前記実施態様においては、外筒体121は、図11から明らかなように、断面円形の筒体であるが、テーパ状筒部123を断面八角形等の多角形の筒体とし、病院で看護師が一般の注射器と間違えずに容易に判別できるように構成することもできる。また、外筒体121を着色したり、あるいはその色を他の部材の色と異なるように着色してカラフルな注入器とすることにより、施用場所を鮮明に把握できるようにすることも可能である。また、挿入管部150の湾曲部152及び吐出口部151は、湾曲中心に向かう方向の寸法がそれと垂直な方向の寸法よりも小さな扁平環状の断面を有するが、楕円形、円形等の所望の断面形状とすることができる。また、本実施態様においては、内筒体111と外筒体121は別体に形成されているが、一体成形してもよい。さらに、本実施態様においては、筒状体110の外筒体121と内筒体111の一体化は、内筒体111の円筒状本体112の先端縁外周面に形成された4個の突部115を、外筒体121の先端円筒部122の先端内周縁部に形成された4個の凹部126に嵌め込むと共に、外筒体121の鍔部124の凹陥部125に内筒体111の係合片114を係合させることにより行われるが、内筒体111と外筒体121の円筒状本体112とを接着剤、溶着等の適当な手段により接合してもよい。
前記したような肛門及び/又は膣に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置、及び鼻孔から挿入して咽喉部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置は、耳孔及び/又は鼻孔から体液の漏出を防ぐための繊維製封止材、あるいはさらに口中装填用の繊維製封止材と共に、一つの容器内に収納して、必要な構成処置具を全て備えた遺体処置キット(遺体処置装置ユニット)として構成することが好ましく、それによって携帯に便利となり、迅速に遺体の処置を行うことができる。さらに、耳孔及び/又は鼻孔から体液の漏出を防ぐための繊維製封止材や口中装填用の繊維製封止材も備えていることにより、死後の体腔各部の筋肉の弛緩による体液漏出もより確実に防止することができる。
耳孔及び鼻孔から体液の漏出を防ぐための繊維製封止材としては、綿、高吸水性樹脂繊維、綿と高吸水性樹脂繊維の混紡及び不織物からなり、球状、柱状、立方体等の所望の形状に成形したものを好適に用いることができる。耳栓用2個及び鼻栓用2個の封止材を備えていることが好ましい。
また、口中装填用の繊維製封止材は、頬内に入れ、体液の漏出防止及び頬の膨らみを自然の膨らみに近い方で形成することを目的とするものであり、前記したような綿、綿と高吸水性樹脂繊維混紡、高吸水性樹脂繊維等の布もしくは不織物、又は綿と高吸水性樹脂繊維の不織物の単品部材や、これらの単品部材を任意の層構成でサンドイッチ状に積層した部材からなる封止材を好適に用いることができる。
本発明の遺体処置装置に用いられる体液漏出防止剤としては、遺体の体腔に本発明の注入器によりスムーズに注入できる押出し流動性を有し、体液漏出を防止できるものであれば全て使用できる。特に、親水性の溶剤(A)と、これに溶解した分散安定剤(B)及び/又は増粘剤(C)とを含有する基剤に、高吸水性樹脂粉末(D)を分散させてなるゼリー状の体液漏出防止剤は、遺体の体腔に注入・装填したときに、速やかに体液を吸収・膨潤して流動性の無い固いゼリー状に固化してしまい、体液漏出を確実に防止できるので好ましい。
溶剤としては、アルコールなど、室温で液状の親水性の各種有機化合物を好適に用いることができ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルコールとしては、水に可溶な溶剤は全て使用でき、特定のものに限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを好適に使用することができる。これらのアルコールの中でも、グリセリンが好ましい。
上記溶剤(A)の含有量は、特定の範囲に限定されるものではないが、一般に体液漏出防止剤全体量の約30〜90質量%の割合が適当であり、好ましくは約40〜80質量%、さらに好ましくは約50〜70質量%の割合である。溶剤(A)の含有量が上記範囲を越えて多量に配合されると、高吸水性樹脂粉末の分散性には問題ないが、ゼリー状になり難く、溶液に近い状態となるので好ましくない。一方、溶剤(A)の含有量が低すぎると、良好なゼリー状態とすることが困難になるので好ましくない。
前記分散安定剤(B)は、高吸水性樹脂粉末の均一な分散状態を保持させるためのものであり、アクリル酸重合体であるカルボキシビニルポリマー、アクリル酸重合体のカルボキシビニルポリマーをアルカリで中和したものなど、従来公知の各種分散安定剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
分散安定剤(B)の含有量は、特定の範囲に限定されるものではないが、一般に体液漏出防止剤全体量の約0.1〜35質量%の割合が適当であり、より好ましくは約1〜25質量%の割合である。分散安定剤(B)の含有量が低すぎると、高吸水性樹脂粉末の均一な分散性を保持し難くなり、一方、上記範囲を越えて多量に配合してもそれ以上の効果の改善は見られず、経済性の点から好ましくない。
前記増粘剤(C)は、組成物の粘性を上げ、安定したゼリー状物とするために添加されるものである。増粘剤(C)としては、特定のものに限定されないが、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテルなどの従来公知の各種増粘剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。増粘剤の含有量は、特定の範囲に限定されるものではないが、一般に体液漏出防止剤全体量の約0.1〜20質量%の割合が適当であり、より好ましくは約0.2〜10質量%である。
前記高吸水性樹脂粉末(D)としては、従来公知の各種高吸水性樹脂の粉末を用いることができ、特定のものに限定されないが、それらの中でも、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体等のポリアクリル酸塩、アクリル酸グラフト共重合体架橋物、ポリビニルアクリレート、ビニルアルコールとポリアクリル酸の共重合体、ポリアクリル酸−マレイン酸の共重合体、アルギン酸塩、ポリエチレングリコール系ポリマー、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系ポリマー、ポリアルギン酸塩系ポリマーなどを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記高吸水性樹脂粉末(D)は、平均粒度が約15メッシュ〜180メッシュ(Tyler表示)の粉体が適当であり、より好ましくは約30メッシュ〜150メッシュである。
また、高吸水性樹脂粉末(D)の含有量は、遺体内の体液を体腔から漏出することなく直ちに吸収・膨脹して流動性のないゲルを作成するのに必要な量でなければならない。高吸水性樹脂粉末の含有量は、特定の範囲に限定されるものではないが、一般に体液漏出防止剤全体量の約5〜55質量%の割合が適当であり、より好ましくは約10〜40質量%の割合である。
本発明で用いるゼリー状の体液漏出防止剤は、さらに必要に応じて、酸化防止剤、紫外線防止剤、殺菌剤、防カビ剤、防腐剤、消臭剤、香料等の他の添加剤の1種以上を含有することができる。これら添加剤の含有量は、各成分の所望の効果を維持し、安全性及び良好な経済性が得られる量的割合であれば充分である。
以上のような各成分を含有するゼリー状の体液漏出防止剤の室温(20±5℃)における粘度は、特定の範囲に限定されるものではないが、良好な流動性を持つためには、一般に約6,000〜50,000cPsの範囲が適当であり、より好ましくは約10,000〜40,000cPsである。
なお、前記溶剤(A)の含有量が低くなるほど、従って高吸水性樹脂粉末(C)の含有量が高くなるほど、体液漏出防止剤がゼリー状になる時間は短くなり、また液の粘度は上昇するので、これらの配合量を調節することにより、ゼリー状になる時間や所望の用途(施用部位)に応じた液粘度となるように調節することができる。
本発明の体液漏出防止剤を体腔に注入して充填する量は、施用部位に応じて適宜設定でき、特に限定されるものではない。また、ゼリー状の体液漏出防止剤中に含有されている高吸水性樹脂の吸水性能にもよるが、一般に約5〜100gの範囲が適当であり、より好ましくは10〜50gである。例えば、遺体の口からのど部に注入する体液漏出防止剤(高吸水性樹脂5〜55質量%含有)の充填量は約5〜50gの範囲が適当であり、より好ましくは10〜30g程度である。ゼリー状の体液漏出防止剤の注入量が多すぎると、注入器具が大きくなるので取り扱いが難しく、コストアップになる。一方、注入量が少なすぎると、体液をゲル状に固めることが困難になり、体液が漏出する危険性があるので好ましくない。
従来の遺体処置装置の使用状態を示す概略断面図である。 本発明に係る遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置と、装置遺体処置装置の一実施態様を示し、(A)は正面図、(B)は左側面図、(C)は右側面図である。 図2に示す遺体処置装置の平面図である。 図2に示す遺体処置装置の中心軸線に沿った縦断面図である。 図2に示す遺体処置装置の変形例を示す縦断面図である。 図2に示す遺体処置装置の閉塞部材の変形例を示す部分縦断面図である。 図2に示す遺体処置装置の閉塞部材の他の変形例を示す部分縦断面図である。 図2に示す遺体処置装置の閉塞部材のさらに別の変形例を示す部分縦断面図である。 本発明に係る遺体の口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置の一実施態様の概略正面図である。 図9に示す遺体処置装置の平面図である。 図9に示す遺体処置装置の左側面図である。 図9に示す遺体処置装置の右側面図である。 図9に示す遺体処置装置の中心軸線に沿った縦断面図である。 図13のA−A線矢視断面図である。 図9に示す遺体処置装置の筒状体の内筒体と外筒体及び挿入管部を分解した状態で示す部分断面図である。
符号の説明
1,10,100 注入器
20 筒状本体
21 円筒状部材
22 吐出口
23 鍔部
24 突条部
25 カバー部材
26 ストッパ部
30 ピストン
31,31a ピストンロッド
32 円形フランジ部
33 フランジ部
34 ガスケット
35 円板状部
40,40a,40b,40c 閉塞部材
110 筒状体
111 内筒体
112 円筒状本体
113 テーパ状接続管部
114 係合片
115 突部
116 移行部
121 外筒体
122 先端円筒部
124 鍔部
125 凹陥部
126 凹部
127 突部
128 リブ
130 ピストン
131 ピストンロッド
132 円形フランジ部
133 フランジ部
134 ガスケット
135 円板状部
150 挿入管部
151 吐出口部
153 外部接続部
154 テーパ状内部接続部
156 テーパ状内周面
157 孔部
X 体液漏出防止剤
Y 繊維状充填材
A 鼻孔
B 咽喉部
C 舌
D 気管
E 食道

Claims (8)

  1. 遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置であって、両端が開口され、先端に吐出口を有すると共に、先端と後端の間の所定位置に半径方向外側に突出したストッパ部を有し、且つ、後端部に指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した鍔部を有する筒状本体と、該筒状本体に後端部側から摺動自在に挿入されているピストンとを有する注入器を備え、上記筒状本体の内部に体液漏出防止材が収容されており、且つ、筒状本体の先端の吐出口は、上記体液漏出防止材と共に遺体の肛門及び/又は膣内に押し出される閉塞部材により脱着自在に閉塞されていることを特徴とする遺体の処置装置。
  2. 前記筒状本体は、両端が開口され、先端に吐出口を有すると共に、後端部に指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した鍔部を有する円筒状部材と、その外周に被冠されたカバー部材とからなり、該カバー部材の所定位置に前記ストッパ部が設けられており、また前記ピストンは上記円筒状部材内に摺動自在に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の処置装置。
  3. 請求項1又は2に記載の遺体の肛門及び/又は膣を封止するための処置装置と、
    体液漏出防止剤が収容されている筒状体と、該筒状体内にその後端部側から摺動自在に挿入されているピストンと、上記筒状体の先端部からその軸線方向に突出しており、先端部に吐出口部を有すると共に、先端部から所定長さだけ湾曲状に形成された湾曲部を有する挿入管部とからなる、遺体の口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置
    とを組み合わせて備えることを特徴とする遺体の処置装置。
  4. さらに耳孔及び/又は鼻孔から体液の漏出を防ぐための繊維製封止材を備えることを特徴とする請求項3に記載の遺体の処置装置。
  5. 前記遺体の口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置において、前記挿入管部の湾曲部は、湾曲中心に向かう方向の寸法がそれと垂直な方向の寸法よりも小さな扁平環状の断面を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の処置装置。
  6. 前記遺体の口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置において、前記筒状体は、後端部に指を引っ掛けるための半径方向外側に突出した鍔部を有し、且つ、筒状体の先端部には挿入管部側に向かって先細のテーパ状接続管部が形成されており、一方、前記挿入管部の後端部には、前記筒状体に嵌め合わされる筒状の外部接続部と、該外部接続部の内側に配され、前記テーパ状接続管部に嵌め合わされるテーパ状内部接続部が形成されていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の処置装置。
  7. 前記遺体の口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置において、前記筒状体は、円筒状の内筒体と、それを囲繞する外筒体とからなり、上記外筒体は、挿入管部側に向かって先細のテーパ状筒体であり、その後端部に半径方向外側に突出した鍔部を有し、一方、上記内筒体は、その先端部に挿入管部側に向かって先細のテーパ状接続管部を有し、且つ、その後端部に上記外筒体の鍔部と係合する半径方向外側に突出した係合片を有することを特徴とする請求項6に記載の処置装置。
  8. 前記遺体の口から挿入してのど部に体液漏出防止剤を注入・装填するための処置装置において、前記挿入管部の後端部には、前記筒状体の外筒体先端部に嵌め合わされる筒状の外部接続部と、該外部接続部の内側に配され、前記筒状体の内筒体先端部のテーパ状接続管部に嵌め合わされるテーパ状内部接続部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の処置装置。
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